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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-24
(45)【発行日】2024-08-01
(54)【発明の名称】開削型自走シールド管渠接合装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20240725BHJP
【FI】
E21D9/06 331
E21D9/06 321
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024079805
(22)【出願日】2024-05-15
【審査請求日】2024-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506343704
【氏名又は名称】株式会社トーメック
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健壱
(72)【発明者】
【氏名】植野 進一
(72)【発明者】
【氏名】上田 竜生
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3659485(JP,B2)
【文献】特公平2-26017(JP,B2)
【文献】特開2001-248386(JP,A)
【文献】特公昭58-36160(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00-9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、
縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、
該フロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、
前記フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、
複数個設けられた前記フロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該フロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、
前記フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、該フロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、
複数個設けられた前記ボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該ボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、
前記テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、
長手方向に延びる形状で形成され、両端部が前記テールフレームに接続されるロープ状部材を設け、
前記ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具と該先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けた後に前記テールフレームに接続され、該ロープ状部材の両端部が前記テールフレームに接続された状態で、該テールフレームを前方方向に前進移動させると、該ロープ状部材の引張力が増大するので、該テールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されている該先方既設管渠と新たに設置された該新管渠が離れないようにできることを特徴とする開削型自走シールド管渠接合装置。
【請求項2】
フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、
縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、
該フロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、
前記フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、
複数個設けられた前記フロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該フロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、
前記フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、該フロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、
複数個設けられた前記ボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該ボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、
前記テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、
長手方向に延びる形状で形成され、端部が前記テールフレームに接続されるロープ状部材と、
長手方向に延びる形状で形成され、両端部同士を結合させることができる巻付ロープ状部材を設け、
前記巻付ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具と該先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けて両端部を結合させ、
前記ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具と該先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けて両端部を結合させた前記巻付ロープ状部材に接続された後に、該テールフレームを前方方向に前進移動させると、該ロープ状部材の引張力が増大するので、該テールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されている該先方既設管渠と新たに設置された該新管渠が離れないようにできることを特徴とする開削型自走シールド管渠接合装置。
【請求項3】
フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、
縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、
該フロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、
前記フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、
複数個設けられた前記フロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該フロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、
前記フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、該フロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、
複数個設けられた前記ボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該ボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、
前記テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、
長手方向に延びる形状で形成され、端部が前記テールフレームに接続されるロープ状部材と、
長手方向に延び少なくとも1端部が輪っか形状で形成された貫通巻付ロープ状部材を設け、
前記貫通巻付ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具と該先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けて他端部を1端部の輪っか状内に挿入貫通させ、
前記ロープ状部材は、1端部の輪っか状内に挿入貫通させた前記貫通巻付ロープ状部材の他端部に結合させた後に、該テールフレームを前方方向に前進移動させると、該ロープ状部材の引張力が増大するので、該テールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されている該先方既設管渠と新たに設置された該新管渠が離れないようにできることを特徴とする開削型自走シールド管渠接合装置。
【請求項4】
フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、
縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、
該フロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、
前記フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、
複数個設けられた前記フロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該フロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、
前記フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、該フロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、
複数個設けられた前記ボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該ボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、
前記テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、
長手方向に延びる形状で形成され、両端部が前記テールフレームに接続されるロープ状部材を設け、
前記ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具に後方から前方を介して後方に回り込ませ係止させた後、該先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具に前方から後方を介して前方に回り込ませ係止され、さらに、該先方既設管渠に取り付けられた該管接続用治具に後方から前方を介して後方に回り込ませ係止されるように、少なくとも該先方既設管渠内の該管接続用治具と該新管渠内の該管接続用治具を少なくとも1周巻き付けた後に前記テールフレームに接続され、該ロープ状部材の両端部が前記テールフレームに接続された状態で、該テールフレームを前方方向に前進移動させると、該ロープ状部材の引張力が増大するので、該テールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されている該先方既設管渠と新たに設置された該新管渠が離れないようにできることを特徴とする開削型自走シールド管渠接合装置。
【請求項5】
前記ロープ状部材は、長手方向に延びるワイヤーロープであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の開削型自走シールド管渠接合装置。
【請求項6】
前記管接続用治具は、前後方向に回転する回転ローラを有し、
前記ロープ状部材は、前記管接続用治具の回転ローラを介して、該管接続用治具に回り込み係止されることを特徴とする請求項5記載の開削型自走シールド管渠接合装置。
【請求項7】
前記テールフレームに設けられ、前記ロープ状部材の引張力を増減させることができるロープ状部材引張装置を有し、
前記ロープ状部材引張装置は、前記ロープ状部材を引っ張ることにより該ロープ状部材の引張力を調整することができることを特徴とする請求項6記載の開削型自走シールド管渠接合装置。
【請求項8】
前記ロープ状部材引張装置により引っ張られる前記ロープ状部材の引張力が測定される引張力測定装置と、
該引張力測定装置により測定された前記ロープ状部材の引張力が表示される引張力表示装置と、を有し、
前記ロープ状部材引張装置は、前記引張力測定装置により測定された前記ロープ状部材の引張力が少なくとも破断引張力にならないように、前記ロープ状部材の引張力が調整されることを特徴とする請求個7記載の開削型自走シールド管渠接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、管渠の運搬接合する管渠接合工法が知られている。この種の管渠接合工法は、まず接合しようとする管渠101が立坑から降ろされた後に、管運搬台車を管渠101内に乗り込ませ、そして、管運搬台車の支持梁107が前油圧ジャッキ105と後油圧ジャッキ106を用いて持ち上げられることにより、管渠101をかつぎあげることができる(図18参照)。そして、管渠101が所定の高さまで持ち上げられた後は、バッテリー機関車114で押され、奥の既に固定された管渠111の所まで運搬される。そして、管渠101が固定されている管渠111の所まで到着したタイミングで、バッテリー機関車114を一定の速度まで減速させて、管渠101と管渠111を接合させる。このようにして、管渠101と管渠111との接合が完了すれば、管運搬台車が管渠101から引き抜かれ、管運搬台車を最初の立坑の所まで移動させ、上述した手順が繰り返し行われることにより、管渠が複数個接合され、その複数個接合された管渠より長い管渠を生成することができるというものであった(たとえば、特許文献1)。ここで、 図18は従来の管運搬台車が管渠を運搬して、接合のために乗り込もうとしている状態を示す側面図である。また、特許文献1の内容は、管渠に限定した内容でないが、本願発明の説明の都合上、管渠接合工法として説明する。
【0003】
【文献】特開2005-67567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の管渠接合工法では、今まで管渠が埋設されていない地中内に新たに管渠を埋設させて設置させるためには、地中内に管渠を設置させるところまで地盤掘削機を用いて地盤を掘削させ、その掘削させたところに管渠を設置させることが必要となる。そのためには、まず地盤を掘削させて、新たに管渠を埋設させるための管渠埋設予定凹部が形成され、そして、その管渠埋設予定凹部に管渠101が降ろされ、管渠101を管渠111と順次接合させることが必要となる。
【0005】
しかしながら、従来の管渠接合工法では、地盤掘削機による地盤の掘削(管渠埋設予定凹部の形成)を行なった後に、管渠101と管渠111の接合することを繰り返し行われるが、管渠101と管渠111の接合を、メッセルシールド機を用いて行わせようとするとテールメッセルを前方方向に移動させる際には、テールフレーム下部の土砂がテールフレームに引きずられて移動することになるので、接合させた管渠101と管渠111の接合部分が緩み接合が離れる可能性がある。このように、接合させた管渠101と管渠111の接合部分が緩み接合が離れると、その管渠101と管渠111の間から下水漏れが生じ、その管渠101と管渠111外に漏れした下水が地盤に染み込み、時には地盤が隆起するという問題が生じることになる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、今まで管渠が埋設されていない地中内に新たに管渠を埋設させて設置させる際においても、先方に設置された先方既設管渠と新たに設置された新管渠の接合を確実に離れないようにすることができる開削型自走シールド管渠接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、そのフロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、複数個設けられたフロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、そのフロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、そのフロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、複数個設けられたボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、そのボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、長手方向に延びる形状で形成され、両端部がテールフレームに接続されるロープ状部材を設け、ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具とその先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けた後にテールフレームに接続され、そのロープ状部材の両端部がテールフレームに接続された状態で、そのテールフレームを前方方向に前進移動させると、そのロープ状部材の引張力が増大するので、そのテールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されているその先方既設管渠と新たに設置されたその新管渠が離れないようにできることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、ロープ状部材を先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具とその先方既設管渠の後方で結合された新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けた後にテールフレームに接続させているので、テールフレームが前進方向に移動することによりテールフレーム下部の土砂がテールフレームに引きずられ移動しても、ロープ状部材の両端部がテールフレームに接続された状態で、ロープ状部材の引張力を増大させることにより、先方に設置されている先方既設管渠と新たに設置された新管渠が離れないようにできる。
【0009】
本発明のうち第2の態様に係るものは、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、そのフロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、複数個設けられたフロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、そのフロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、そのフロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、複数個設けられたボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、該ボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、長手方向に延びる形状で形成され、端部がテールフレームに接続されるロープ状部材と、長手方向に延びる形状で形成され、両端部同士を結合させることができる巻付ロープ状部材を設け、巻付ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具と該先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けて両端部を結合させ、ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具と該先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けて両端部を結合させた巻付ロープ状部材に接続された後に、該テールフレームを前方方向に前進移動させると、該ロープ状部材の引張力が増大するので、該テールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されている該先方既設管渠と新たに設置された該新管渠が離れないようにできることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、ロープ状部材を先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具とその先方既設管渠の後方で結合された新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けて両端部を結合させた巻付ロープ状部材に接続させているので、テールフレームが前進方向に移動することによりテールフレーム下部の土砂がテールフレームに引きずられ移動しても、ロープ状部材の両端部がテールフレームに接続された状態で、ロープ状部材の引張力を増大させることにより、先方に設置されている先方既設管渠と新たに設置された新管渠が離れないようにできる。
【0011】
本発明のうち第3の態様に係るものは、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、そのフロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、複数個設けられたフロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、そのフロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、そのフロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、複数個設けられたボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、そのボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、長手方向に延びる形状で形成され、端部がテールフレームに接続されるロープ状部材と、長手方向に延び少なくとも1端部が輪っか形状で形成された貫通貫通巻付ロープ状部材を設け、貫通巻付ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具とその先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具を少なくとも1周巻き付けて他端部を1端部の輪っか状内に挿入貫通させ、ロープ状部材は、1端部の輪っか状内に挿入貫通させた貫通巻付ロープ状部材の他端部に結合させた後に、そのテールフレームを前方方向に前進移動させると、そのロープ状部材の引張力が増大するので、そのテールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されているその先方既設管渠と新たに設置されたその新管渠が離れないようにできることを特徴とするものである。
【0012】
本発明によれば、ロープ状部材を1端部の輪っか状内に挿入貫通させた貫通巻付ロープ状部材の他端部に結合させているので、テールフレームが前進方向に移動することによりテールフレーム下部の土砂がテールフレームに引きずられ移動しても、ロープ状部材がテールフレームに接続された状態で、ロープ状部材の引張力を増大させることにより、先方に設置されている先方既設管渠と新たに設置された新管渠が離れないようにできる。
【0013】
本発明のうち第4の態様に係るものは、フロントフレームとテールフレームとの間に中間ジャッキが連結され、連続して設置される管渠の接合に用いられる開削型自走シールド管渠接合装置であって、縦柱材と横補強材を備えた左右の枠体の間に長手方向に構成された切梁が配設されたフロントフレームと、フロントフレームと中間ジャッキで連結され、管渠が据え付けられるために上部が開口したテールフレームと、フロントフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたフロントメッセルと、複数個設けられたフロントメッセルのそれぞれに対応して設けられ、フロントメッセルを前後方向に移動させる圧入ジャッキと、フロントフレームの底部に横方向に複数個設けられ、フロントフレームの前方底部から突出可能なボトムメッセルと、複数個設けられたボトムメッセルのそれぞれに対応して設けられ、ボトムメッセルを前後方向に移動させるボトムジャッキと、テールフレームの左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられたテールメッセルと、長手方向に延びる形状で形成され、両端部がテールフレームに接続されるロープ状部材を設け、ロープ状部材は、先方に設置された管渠である先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具に後方から前方を介して後方に回り込ませ係止させた後、先方既設管渠の後方で結合された新たに設置された管渠である新管渠に取り付けられた管接続用治具に前方から後方を介して前方に回り込ませ係止され、さらに、先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具に後方から前方を介して後方に回り込ませ係止されるように、少なくとも先方既設管渠内の管接続用治具と新管渠内の管接続用治具を少なくとも1周巻き付けた後にテールフレームに接続され、ロープ状部材の両端部がテールフレームに接続された状態で、テールフレームを前方方向に前進移動させると、ロープ状部材の引張力が増大するので、テールフレームを前方方向に前進移動させても、先方に設置されている先方既設管渠と新たに設置された新管渠が離れないようにできることを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、ロープ状部材を先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具に回り込ませ係止させた後、先方既設管渠の後方で結合された新管渠に取り付けられた管接続用治具に回り込ませ係止され、さらに、先方既設管渠に取り付けられた管接続用治具に回り込ませ係止された後にテールフレームに接続されているので、テールフレームが前進方向に移動することによりテールフレーム下部の土砂がテールフレームに引きずられ移動しても、ロープ状部材の両端部がテールフレームに接続された状態で、ロープ状部材の引張力を増大させることにより、先方に設置されている先方既設管渠と新たに設置された新管渠が離れないようにできる。
【0015】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1~第4のいずれかの態様に係る開削型自走シールド管渠接合装置であって、ロープ状部材は、長手方向に延びるワイヤーロープであることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、ロープ状部材は長手方向に延びるワイヤーロープであるので、ワイヤーロープを引っ張ることによりロープ状部材の引張力を容易に増大させることができる。これにより、テールフレームが前方方向に移動した場合でも、先方に設置された先方既設管渠と新たに設置された新管渠の接合部を容易に離れなくすることができる。
【0017】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第5の態様に係る開削型自走シールド管渠接合装置であって、管接続用治具は、前後方向に回転する回転ローラを有し、ロープ状部材は、管接続用治具の回転ローラを介して、その管接続用治具に回り込み係止されることを特徴とするものである。
【0018】
本発明によれば、ロープ状部材は、管接続用治具の回転ローラを介して、その管接続用治具に回り込み係止されるので、回転ローラの回転に沿ってロープ状部材により管渠をスムーズに締め付けることができる。これにより、ロープ状部材の引張力を早期かつスムーズに増大させることができ、先方に配置された先方既設管渠と新たに設置された新管渠の接合部を早期かつスムーズに離れないようにすることができる。
【0019】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第6の態様に係る開削型自走シールド管渠接合装置であって、テールフレームに設けられ、ロープ状部材の引張力を増減させることができるロープ状部材引張装置を有し、ロープ状部材引張装置は、ロープ状部材を引っ張ることによりロープ状部材の引張力を調整することができることを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、ロープ状部材の引張力を増減させることができるロープ状部材引張装置を有しているので、テールフレームが前方方向に移動することによりロープ状部材の引張力が増大しても、ロープ状部材引張装置によりロープ状部材を十分かつ適切な引張力に調整することができるとともに、ロープ状部材が破断しない引張力に調整することができる。これにより、管渠の引張力を安定して確実に増大させることができ、先方既設管渠と新管渠の接合部を安定して確実に離れないようにすることができる。
【0021】
本発明のうち第8の態様に係るものは、第7の態様に係る開削型自走シールド管渠接合装置であって、ロープ状部材引張装置により引っ張られるロープ状部材の引張力が測定される引張力測定装置と、引張力測定装置により測定されたロープ状部材の引張力が表示される引張力表示装置と、を有し、ロープ状部材引張装置は、引張力測定装置により測定されたロープ状部材の引張力が少なくとも破断引張力にならないように、ロープ状部材の引張力が調整されることを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、引張力測定装置により測定されたロープ状部材の引張力が引張力表示装置に表示されるので、作業者は、その引張力表示装置に表示される引張力測定装置により測定されたロープ状部材の引張力を見ながら、ロープ状部材の引張力を十分かつ適切な引張力にすることができるとともに、ロープ状部材の引張力が少なくとも破断引張力にならないようにロープ状部材の引張力を調整することができ、管渠を安定して確実に締め付けることができる。これにより、管渠の引張力を安定して確実に増大させることができ、先方既設管渠と新管渠の接合部を安定して確実に離れないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、今まで管渠が埋設されていない地中内に新たに管渠を埋設させて設置させる際においても、先方に配置された先方既設管渠と新たに設置される新管渠の接合を確実に離れないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置の施工状況を示す概略図である。
図2】同メッセルシールド管渠接合装置の斜視図である。
図3】同メッセルシールド管渠接合装置の平面図である。
図4】(a)同メッセルシールド管渠接合装置の前面図である。(b)同メッセルシールド管渠接合装置の後面図である。
図5図4(a)のA-A断面図である。。
図6】(a)同メッセルシールド管渠接合装置のテールフレーム前方に設けられたワイヤーロープ引張装置を示す図である。(b)同メッセルシールド管渠接合装置のワイヤーロープ引張装置を用いた作業図である。(c)同メッセルシールド管渠接合装置のワイヤーロープ引張装置裏側中段ローラを示す前方斜視図である。
図7】(a)同メッセルシールド管渠接合装置に用いられるワイヤーロープ引張装置の操作レバーおよび操作リモコンが設けられている制御ユニットを示す図である。(b)同メッセルシールド管渠接合装置に用いられるワイヤーロープ引張装置の操作リモコンの正面図である。
図8】同メッセルシールド管渠接合装置に用いられるワーヤーロープを示す図である。
図9】同メッセルシールド管渠接合装置に用いられるワイヤーロープが取り付けられた引張力測定装置を示す図である。
図10】(a)同メッセルシールド管渠接合装置に用いられる下水管を示す図である。(b)同メッセルシールド管渠接合装置に用いられる下水管が複数個接続された状態を示す図である。
図11】(a)同メッセルシールド管渠接合装置に用いられる管接続用治具の側面図である。(b)同メッセルシールド管渠接合装置に用いられる管接続用治具の上面図である。
図12】同メッセルシールド管渠接合装置に用いられる管接続用治具が下水管に設置された状態を示す図である。
図13】同メッセルシールド管渠接合装置と下水管(管接続用治具)をワイヤーロープで接続する方法を示す図である。
図14】本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置を用いたメッセルシールド管渠接合工法のフローチャートである。
図15】(a)本発明の変形例1における回転ローラが取り付けられた管接続用治具の側面図である。(b)同回転ローラが取り付けられた管接続用治具の上面図である。(c)同回転ローラが取り付けられた管接続用治具にワイヤーロープを接続する方法を示す図である。
図16】(a)本発明の変形例4におけるメッセルシールド管渠接合装置の巻付ワイヤーロープにより下水管(管接続用治具)が巻き付けられている状態を示す図である。(b)同メッセルシールド管渠接合装置と下水管(管接続用治具)を巻き付けた巻付ワイヤーロープとワイヤーロープを接続する方法を示す図である。
図17】(a)本発明の変形例5におけるメッセルシールド管渠接合装置の貫通巻付ワイヤーロープにより下水管(管接続用治具)が巻き付けられている状態を示す図である。(b)同メッセルシールド管渠接合装置と下水管(管接続用治具)を巻き付けた貫通巻付ワイヤーロープとワイヤーロープを接続する方法を示す図である。
図18】従来の管運搬台車が管を運搬して、接合のために乗り込もうとしている状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置について、図面を参照にしながら説明する。このメッセルシールド管渠接合装置は、後述するメッセルシールド管渠接合工法(開削型自走シールド管渠接合工法)に用いられる。ここで、図1は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置の施工状況を示す概略図である。なお、本実施形態では、下水管2を布設する場合について説明するが、下水管2に限定されず、「雨水管」や「電力管」や「ガス管」や「通信管」等の他の「管渠」を用いてもよい。この場合、以下に説明する「下水管」の表示は「管渠」に読み替えて適用される。また、以下において、下水管2を布設する場合について説明するが、特許請求の範囲の名称の統一性を考慮して、たとえば、「メッセルシールド管渠接合装置1」や「メッセルシールド管渠接合工法」や「新管渠設置工程」や「管渠接合工程」などにおいては、「下水管」を用いず「管渠」を用いて説明する。ここで、下水管2は、道路下に埋設され、下水道や雨水下水管などに使用される配管である。また、本実施形態では、メッセルシールド管渠接合装置(メッセルシールド管渠接合工法)として説明するが、これについては、「メッセルシールド機」のみに用いられるものではないので、開削型自走シールド管渠接合装置(開削型自走シールド管渠接合工法)としてもよい。
【0026】
図1に示すように、下水管2は、自走機能を持つメッセルシールド管渠接合装置1を用いて布設され、地中内に埋設される。ここで、メッセルシールド管渠接合工法は、地盤を掘削し、その掘削された地盤の底面を固め、その固められた地盤上に、自走機能を持つメッセルシールド管渠接合装置1を用いて、下水管2の接合部分が離れないように締め付けながら、下水管2などの管渠を布設する工法であり、下水管2が布設された後は、その掘削された地盤を埋めて元の状態に戻される。
【0027】
次に、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合工法が用いられるメッセルシールド管渠接合装置について、図2図5(主に図3図5)を参照にしながら説明する。ここで、図2は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置の斜視図であり、図3は同メッセルシールド管渠接合装置の平面図であり、図4(a)は同メッセルシールド管渠接合装置の前面図であり、図4(b)は同メッセルシールド管渠接合装置の後面図であり、図5図4(a)のA-A断面図である。。
【0028】
メッセルシールド管渠接合装置1は、剛性のフロントフレーム10とテールフレーム20とを有し、フロントフレーム10とテールフレーム20との間に中間ジャッキ30が連結されている(図5参照)。このフロントフレーム10は、縦柱材11と横補強材12とから一体構成された左右の枠体4の間に長手方向に構成された切梁13が配設されている。また、テールフレーム20の前方に延設された水平梁21は、フロントフレーム10の後方に延設された支持梁14に載置され、テールフレーム20が沈降するのを抑止する構成になっている。フロントフレーム10とテールフレーム20の両側には、フロントメッセル40とテールメッセル41が摺動自在に配列され、フロントメッセル40とテールメッセル41の間はピンで連結されている。このフロントメッセル40はフロントフレーム10の左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられ、またテールメッセル41はテールフレーム20の左右両側にそれぞれ上下方向に複数個設けられている。そして、フロントフレーム10とそれぞれのフロントメッセル40間は圧入ジャッキ15で連結されている。この圧入ジャッキ15は、複数個設けられたフロントメッセル40のそれぞれに対応して設けられ、フロントメッセル40を前後方向に移動させることができる。また、フロントフレーム10の底部には、ボトムジャッキ16を介してボトムメッセル17が摺動自在に配されている。このボトムメッセル17はフロントフレーム10の底部に横方向に複数個設けられ、フロントフレーム10の前方底部から突出させることができ、またボトムジャッキ16は複数個設けられたボトムメッセル17のそれぞれに対応して設けられ、そのボトムメッセル17を前後方向に移動させることができる。さらに、テールフレーム20の底部には、そり体22が配されている。そして、圧入ジャッキ15が操作されることによりフロントメッセル40が開削方向へ掘進され、ボトムジャッキ16が操作されることによりボトムメッセル17が開削方向へ掘進され、中間ジャッキ30の収縮によりテールフレーム20がフロントフレーム10方向に引き寄せられる。この圧入ジャッキ15、ボトムジャッキ16、および中間ジャッキ30の制御は、フロントフレーム10上部に搭載された制御ユニット18により行われる。
【0029】
テールフレーム20は、縦柱材23と横補強材24とから一体構成された枠体25にテールメッセル41が支持され、枠体25の前方には平面コ字形の切梁26が横補強材24に合わせて多段構成として配され、切梁26と横補強材24の接合部には補強材28が設けられている。対向する枠体25の間には下水管2を吊り込むための吊込空間27が形成されている(図3参照)。この吊込空間27は空間の上方および後方が開放されている。そして、このテールフレーム20の上部が開口した吊込空間27から下水管2が据え付けられる。テールフレーム20の前方位置には、ワイヤーロープ引張装置51の他、ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aおよびワイヤーロープ他端係止部52bが設けられている。なお、本実施形態では、ワイヤーロープ引張装置51、ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aおよびワイヤーロープ他端係止部52bをテールフレーム20の前方位置に設けたが、これに限らず、テールフレーム20の中間位置や後方位置に設けてもよく、テールフレーム20のいずれの位置に設けてもよい。
【0030】
ワイヤーロープ引張装置51は、テールフレーム20の前方位置に設けられ、ワイヤーロープ19を引っ張ることにより、ワイヤーロープ19の引張力を増減させることができる。具体的には、ワイヤーロープ引張装置51は、引張りシリンダー51aと引張りピストン51bを有している(図6参照)。そして、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bは、油圧で作動させることにより、引張りシリンダー51a内から引張りピストン51bを上下方向に伸縮させることができる。ワイヤーロープ引張装置51の上端には、ワイヤーロープ引張装置上端左側ローラ51cとワイヤーロープ引張装置上端右側ローラ51d(図6(a)参照)が設けられ、また、ワイヤーロープ引張装置51の裏側には、ワイヤーロープ引張装置裏側中段ローラ51e(図6(c)参照)が設けられ、さらに、また、ワイヤーロープ引張装置51の側面下部には、2つのワイヤーロープ係止部51f、51gが設けられている。そして、ワイヤーロープ引張装置51は、後述する操作レバー53または操作リモコン54が操作されることにより、引張りピストン51bの上下移動させることができる。また、ワイヤーロープ引張装置51の近傍(横)には、ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aとワイヤーロープ他端係止部52bが設けられている。このワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aとワイヤーロープ他端係止部52bについては、後述する。なお、本実施形態では、ワイヤーロープ19を用いたが、これに限らず、ワイヤーロープ以外の「チェーンロープ」や「ベルトスリング」などの「ロープ状部材」を用いてもよい。この場合、以下に説明する「ワイヤーロープ」の表示は「ロープ状部材」に読み替えて適用される。このように読み替えられると、例えば、「ワイヤーロープ引張装置」は「ロープ状部材引張装置」に、「ワイヤーロープ一端係止長さ調整部」は「ロープ状部材一端係止長さ調整部」に、「ワイヤーロープ他端係止部」は「ロープ状部材他端係止部」にそれぞれ読み替えられる。ここで、図6(a)は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置のテールフレーム前方に設けられたワイヤーロープ引張装置を示す図であり、図6(b)は同メッセルシールド管渠接合装置のワイヤーロープ引張装置を用いた作業図であり、図6(c)は同メッセルシールド管渠接合装置のワイヤーロープ引張装置裏側中段ローラを示す前方斜視図である。
【0031】
このように、ワイヤーロープ引張装置51を用いてワイヤーロープ19の引張力を増減させることができるので、ワイヤーロープ引張装置51により引っ張られるワイヤーロープ19を十分かつ適切な引張力に調整することができるとともに、破断しない引張力に調整することができる。これにより、下水管2の引張力を安定して確実に増大させることができ、先方既設下水管2y(2)と新下水管2x(2)の接合部を安定して確実に離れないようにすることができる。具体的に後述する。
【0032】
操作レバー53は、フロントフレーム10上部に搭載された制御ユニット18の前方部に設置されている(図2参照)。そして、作業者は、操作レバー53を操作することにより、ワイヤーロープ引張装置51の引張りピストン51bの上下移動させることができる(図6図7参照)。また、操作リモコン54は、フロントフレーム10上部に搭載された制御ユニット18の前面のリモコンボックス54a内に取り外し可能な状態で設けられている(図2図7(a)参照)。そして、作業者は、リモコンボックス54aから操作リモコン54を取り出し、操作リモコン54を操作することにより、ワイヤーロープ引張装置51の引張りピストン51bの上下移動させることができる(図6図7参照)。ここで、図7(a)は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置に用いられるワイヤーロープ引張装置の操作レバーおよび操作リモコンが設けられている制御ユニットを示す図であり、図7(b)は同メッセルシールド管渠接合装置に用いられるワイヤーロープ引張装置の操作リモコンの正面図である。なお、本実施形態では、操作レバー53および操作リモコン54を用いて、ワイヤーロープ引張装置51の引張りピストン51bを上下移動させたが、これに限らず、操作レバー53と操作リモコン54のいずれか1つを用いて、ワイヤーロープ引張装置51の引張りピストン51bを上下移動させてもよく、また、操作レバー53や操作リモコン54や操作ボタンなどの操作手段を用いて、ワイヤーロープ引張装置51の引張りピストン51bを上下移動させてもよい。
【0033】
次に、メッセルシールド管渠接合装置1に用いられるワイヤーロープ19について、図8を参照にしながら説明する。ここで、図8は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置に用いられるワーヤーロープを示す図である。
【0034】
ワイヤーロープ19は、断面略円形で長手方向に延びる形状で形成され、両端部がテールフレーム20に接続されている。具体的には、ワイヤーロープ19の一端に輪っか状のワイヤーロープ一端輪っか部19aが形成され、また、ワイヤーロープ19の他端部にも輪っか状のワイヤーロープ他端輪っか部19bが形成されている(図8参照)。そして、ワイヤーロープ19の一端部は、ワイヤーロープ引張装置51の前方に設けられたガイドローラ51hからワイヤーロープ引張装置51を介しワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aに取り付けられている。また、ワイヤーロープ19は、後述する引張力測定装置56を介し、テールフレーム20の前方位置に設けられたワイヤーロープ他端係止部52bに取り付けられる。なお、上述したように、本実施形態では、ワイヤーロープ19を用いたが、これに限らず、「チェーンロープ」や「ベルトスリング」などの「ロープ状部材」を用いてもよい。また、本実施形態では、ワイヤーロープ引張装置51を設けたが、これに限らず、ワイヤーロープ引張装置51を設けなくてもよい。この場合、ワイヤーロープ19は、長手方向に延びるワイヤーロープ19やワイヤーロープ19の途中や一端部にバネや伸縮可能な伸縮部を設けることによりワイヤーロープ引張装置51を設けなくても、ワイヤーロープ19の切断荷重未満の引張荷重にすることができる。このように、長手方向に延びるワイヤーロープ19やワイヤーロープ19の途中や一端部にバネや伸縮可能な伸縮部を用いて、ワイヤーロープ19を引っ張ることによりワイヤーロープ19の引張力を容易に増大させることができる。これにより、テールフレーム20が前方方向に移動した場合でも、ワイヤーロープ19の引張荷重が切断荷重以上になることにより、ワイヤーロープ19が破損することを心配することなく、先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)と新たに設置された新下水管2x(2)の接合部を容易に離れなくすることができる。
【0035】
ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aは、「電動ドラムローラ」から構成されている。そして、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ一端輪っか部19aはワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aに固定して取り付けられ、また、ワイヤーロープ19は、引張力測定装置56(図9参照)を介して、テールフレーム20の前方のワイヤーロープ他端係止部52bに取り付けられる。すなわち、本実施形態では、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ一端輪っか部19aとワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bの間に引張力測定装置56(図9参照)が取り付けられている。具体的には、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bは、ワイヤーシャックル59により引張力測定装置56(図9参照)の測定装置一端開口部56aに接続され、そして、引張力測定装置56(図9参照)の測定装置他端開口部56bは、ワイヤーシャックル59によりワイヤーロープ19を介しテールフレーム20前方に設置されているワイヤーロープ他端係止部52bに着脱自在に取り付けられる。このように、ワイヤーロープ19は、引張力測定装置56を介し、テールフレーム20前方のワイヤーロープ他端係止部52bに取り付けられる。つまり、テールフレーム20の前方に形成されているワイヤーロープ他端係止部52bは、テールフレーム20の前方から見ると、テールフレーム20前方のワイヤーロープ他端係止部52b→ワイヤーシャックル59→ワイヤーロープ19→ワイヤーシャックル59→(測定装置他端開口部56b)引張力測定装置56(測定装置一端開口部56a)→ワイヤーシャックル59→ワイヤーロープ19の順でそれぞれ連結して、ワイヤーロープ19がテールフレーム20の前方に取り付けられる。なお、本実施形態では、引張力測定装置56を用いたが、これに限らず、ワイヤーロープ19がワイヤーロープ19の切断荷重以上にならない場合や、作業者がテールフレーム20の移動距離から判断してワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)を調整できる場合などにおいては、引張力測定装置56を備えなくてもよい。ここで、「ワイヤーロープ19の両端部がテールフレーム20に接続される」とは、「ワイヤーロープ19→引張力測定装置56→ワイヤーロープ19」として結合させているワイヤーロープ19を一つのワイヤーロープ19とみなして、その端部がテールフレーム20に接続されるの意味である。つまり、「ワイヤーロープ19の両端部がテールフレーム20に接続される」とは、引張力測定装置56の有無にかかわらず、「ワイヤーロープ19」→引張力測定装置56→「ワイヤーロープ19」のワイヤーロープ19を一つのワイヤーロープ19とみなして、その端部がテールフレーム20に接続されるということである。この引張力測定装置56は、ワイヤーロープ引張装置51により引っ張られるワイヤーロープ19の引張力を測定する機器である。ここで、本実施形態では、引張力測定装置56として、「株式会社東京測器研究所の引張型ロードセル(引張型荷重計 TLP-NB)」を用いられている。また、この引張力測定装置56のワイヤーロープ引張力値は、フロントフレーム10上部に搭載された制御ユニット18に設置されている引張力表示装置57(図4(a)、図7(a)参照)で表示される。この引張力表示装置57は、引張力測定装置56により測定されたワイヤーロープ19の引張力を表示する機器である。なお、本実施形態では、引張力測定装置56として、「株式会社東京測器研究所の引張型ロードセル(引張型荷重計 TLP-NB)」を用いたが、これに限らず、ワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)を測定できれば他の「引張力測定装置」であってもよい。また、本実施形態では、この引張力測定装置56のワイヤーロープ引張力値を制御ユニット18に設置されている引張力表示装置57(図4(a)、図7(a)参照)に表示させたが、これに限らず、他の引張力表示装置(図示略)に引張力測定装置56のワイヤーロープ引張力値を表示させてもよい。ここで、図9は同メッセルシールド管渠接合装置に用いられるワイヤーロープが取り付けられた引張力測定装置を示す図である。なお、本実施形態では、ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aを電動ドラムローラから構成させたが、これに限らず、ワイヤーロープ19を巻き付ける「ワイヤーロープ巻付装置」、またはワイヤーロープ19を引き寄せる「ワイヤーロープ引寄装置」のようにワイヤーロープ19の作動長さを短くできるものであれば、電動ドラムローラ以外のものであってもよく、またワイヤーロープ19と引張力測定装置56、およびワイヤーロープ19とワイヤーロープ他端係止部52bをワイヤーシャックル59により結合させたが、これに限らず、ワイヤーシャックル59以外の部材結合手段を用いて結合させてもよい。
【0036】
次に、メッセルシールド管渠接合装置1に用いられる下水管2について、図10を参照にしながら説明する。ここで、図10(a)は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置に用いられる下水管を示す図であり、図10(b)は同下水管が複数個接続された状態を示す図である。
【0037】
下水管2は、軸方向に延びる円筒状で形成されている(図10参照)。本実施形態では、下水管2として、積水化学工業株式会社製の繊維強化プラスチック複合管(FRPM管)を用いている。この下水管2の一端部は、内外径が一定の管本体部2cより拡径された受口2aが形成され、下水管2の他端部は、内外径が一定の管本体部2cと同一径の挿口2bで形成されている。そして、下水管2を複数個接続する際には、下水管2の受口2aに他の下水管2の挿口2bが挿入することにより接続される。この繊維強化プラスチック複合管(FRPM管)の材料および製造方法については、特開2023‐018923号公報に記載されているので、具体的な説明は省略する。なお、本実施形態では、下水管2として積水化学工業株式会社製の繊維強化プラスチック複合管(FRPM管)を用いたが、これに限らず、積水化学工業株式会社製の繊維強化プラスチック複合管(FRPM管)以外の下水管を用いてもよい。また、上述したように、本実施形態では、下水管2を用いたが、下水管2に限定されず、「雨水管」や「電力管」や「ガス管」や「通信管」等の他の「管渠」を用いてもよい。この場合、上述したように、以下に説明する「下水管」の表示は「管渠」に読み替えて適用される。また、以下において、下水管2を布設する場合について説明するが、上述したように、特許請求の範囲の名称の統一性を考慮して、たとえば、「メッセルシールド管渠接合工法」や「新管渠設置工程」や「管渠接合工程」などにおいては、「下水管」を用いず「管渠」を用いて説明する。
【0038】
下水管2の端部(先端部や後端部)には、管接続用治具55が設置される。そして、ワイヤーロープ19は、先行する下水管2(2y)とそれに後続する下水管2(2x)にそれぞれ設置された管接続用治具55を行き来することにより、下水管2とその隣の下水管2にそれぞれ設置された管接続用治具55の外周面にワイヤーロープ19が巻き付けられ係止される。本実施形態では、管接続用治具55として、特開平9‐079426号公報の従来技術に記載されている管接続用治具を用いている。なお、本実施形態では、管接続用治具55として特開平9‐079426号公報の従来技術記載の管接続用治具を用いたが、これに限らず、ワイヤーロープ19を巻き付けて下水管2とその隣の下水管2が離れないようにすることができる管接続用治具であれば、他の管接続用治具であってもよい。また、本実施形態では、下水管2とその隣の下水管2にそれぞれ管接続用治具55を設置させて、その管接続用治具55の外周面にワイヤーロープ19が巻き付けたが、これに限らず、下水管2とそれに先行する下水管2(その2つ隣の下水管2や3つ隣の下水管2など)に管接続用治具55を設置させて、その管接続用治具55の外周面にワイヤーロープ19が巻き付けてもよい。ここで、図11(a)は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置に用いられる管接続用治具の側面図であり、図11(b)は同メッセルシールド管渠接合装置に用いられる管接続用治具の上面図であり、図12は同メッセルシールド管渠接合装置に用いられる管接続用治具が下水管に設置された状態を示す図である。
【0039】
管接続用治具55は、直線状の連結杆55aと、連結杆55aの各端部に取り付けられた係止板55bを有している。そして、それぞれの係止板55bは、後続の下水管2(2x)の受口2a内の管本体部2c端面と、その後続の下水管2(2x)と先方の下水管2(2y)が接合された状態で、先方の下水管2の挿口2bの端面に係止板55bの外側縁部が係止される。すなわち、先行の下水管2の受口2a内に後続の下水管2の挿口2bが軽く挿入された状態で、一方の管接続用治具55は先方の下水管2の挿口2bの端面に係止板55bの外側縁部が係止され、また、他方の管接続用治具55はその後続の下水管2の受口2a内の管本体部2c端面に配置される(図12の点線参照)。ここで、一方の管接続用治具55は、先方の下水管2の挿口2bの端面に係止板55bの外側縁部が係止されるとしたが、これは、この先方の下水管2の挿口2bの端面とそれに接合される先々方する下水管2の受口2a内の管本体部2c端面の間に設置される。そして、それらの管接続用治具55にワイヤーロープ19が巻き付けられ、各管接続用治具55同士が相互に接近するように牽引される。これにより、各管接続用治具55は、先行する下水管2(2y)と後続の下水管2(2x)とを相互に接近させ、先行の下水管2の受口2a内に後続の下水管2の挿口2bに挿入され離れないようにすることができる。具体的には、後述する。なお、上述したように、本実施形態では、下水管2とその隣の下水管2にそれぞれ管接続用治具55を設置させたが、これに限らず、下水管2とそれに先行する下水管2(後続の下水管2(2x)から2つ隣の下水管2や3つ隣の下水管2など)に管接続用治具55を設置させてもよい。
【0040】
次に、メッセルシールド管渠接合装置1と下水管2(管接続用治具55)をワイヤーロープ19で接続する方法について、図13を参照にしながら説明する。ここで、図13は、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置と下水管(管接続用治具)をワイヤーロープで接続する方法を示す図である。
【0041】
ワイヤーロープ19は、ガイドローラ51hを介し、ワイヤーロープ引張装置51上端のワイヤーロープ引張装置上端左側ローラ51c(図6(a)参照)に掛けられ、そして、ワイヤーロープ引張装置51裏側のワイヤーロープ引張装置裏側中段ローラ51e(図6(c)参照)に係止された後に、ワイヤーロープ引張装置51上端のワイヤーロープ引張装置上端右側ローラ51d(図6(a)参照)に掛けられる。そして、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ一端輪っか部19aは、ワイヤーロープ引張装置51上端のワイヤーロープ引張装置上端右側ローラ51d(図6(a)参照)からワイヤーロープ引張装置51の側面下部の2つのワイヤーロープ係止部51f、51gに8字形状で係止された後に、ワイヤーロープ引張装置51の横(テールフレーム20の前方)に設けられたワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aに取り付けられている。ここで、ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aは、上述したように、「電動ドラムローラ」から構成され、ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aによりワイヤーロープ19を巻き取られる。
【0042】
また、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bは、先方に設置された先方既設下水管2y(2)の先端に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)に後方から前方を介して後方に回り込ませ係止させた後、その先方既設下水管2y(2)と接合された新たに設置された新下水管2x(2)の後端に取り付けられた新管接続用治具55x(55)に前方から後方を介して前方に回り込ませ係止され、さらに、その先方既設下水管2y(2)の先端に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)に後方から前方を介して後方に回り込ませ係止された後に、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bが引張力測定装置56を介してテールフレーム20前方のワイヤーロープ他端係止部52bに接続される。ここで、本実施形態では、構成の名称をより明確にするために、先方に設置された下水管2を先方既設下水管2y(2)とし、その先方既設下水管2y(2)と接合された新た(後方)に設置される下水管2を新下水管2x(2)としたが、先方既設下水管2y(2)および新下水管2x(2)はいずれも下水管2に他ならず、また、先方既設下水管2y(2)の先端に取り付けられた管接続用治具55を先方管接続用治具55y(55)とし、新下水管2x(2)の後端に取り付けられた管接続用治具55を新管接続用治具55x(55)としたが、先方管接続用治具55y(55)および新管接続用治具55x(55)はいずれも管接続用治具55に他ならない。また、本実施形態では、ワイヤーロープ19を先方既設下水管2y(2)の先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)の新管接続用治具55x(55)を1周巻き付けた後にテールフレーム20に接続させたが、これに限らず、先方既設下水管2y(2)の先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)の新管接続用治具55x(55)を2周や3周などの少なくとも1周巻き付けた後にテールフレーム20に接続させてもよい。また、ワイヤーロープ19がワイヤーロープ引張装置51から先方既設下水管2y(2)の先方既設下水管2y(2)→新下水管2x(2)の新管接続用治具55x(55)→ワイヤーロープ他端係止部52bに配され、そして、新下水管2x(2)の新管接続用治具55x(55)の後方部で、往来(往復)するワイヤーロープ19同士を結合した場合も1周巻き付けているとする。
【0043】
このように、ワイヤーロープ19は、ワイヤーロープ一端輪っか部19aがテールフレーム20の前方に設けられたワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aに取り付けられ、そして、そこからワイヤーロープ引張装置51を介し、先方既設下水管2y(2)の先方管接続用治具55y(55)→新下水管2x(2)の新管接続用治具55x(55)→先方既設下水管2y(2)の先方管接続用治具55y(55)の順で巻き付けられた後に、ワイヤーロープ他端輪っか部19bが引張力測定装置56を介してワイヤーロープ他端係止部52bに取り付けられる。すなわち、ワイヤーロープ19の他端部(ワイヤーロープ他端輪っか部19b)が引張力測定装置56を介しテールフレーム20の前方のワイヤーロープ他端係止部52bに取り付けられる。このように、ワイヤーロープ19は、テールフレーム20の前方→先方既設下水管2y(2)→新下水管2x(2)→先方既設下水管2y(2)→テールフレーム20の前方の順に巻き付け、ワイヤーロープ19により先方既設下水管2y(2)と新下水管2x(2)が巻き付けられる。そして、この状態で、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bを上方に移動させることにより、ワイヤーロープ19がワイヤーロープ19の引張力を増大させるように引っ張れる。具体的には、この引張りピストン51bは、8tの引張力でワイヤーロープ19をワイヤーロープ19の後方方向に引っ張ることができる。このように、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bを上下方向に移動させることにより、ワイヤーロープ19がワイヤーロープ引張装置51から50センチ(25センチ×2(2本の引張りピストン51b分))出し入れされ、ワイヤーロープ19の引張力を増減させることができる。
【0044】
次に、本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置を用いたメッセルシールド管渠接合工法の施工手順について図14を用いて説明する。図14は本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合装置を用いたメッセルシールド管渠接合工法のフローチャートである。なお、本実施形態では、事前に掘削工程(S2)~中間ジャッキ収納工程(S5)が実施され、掘削穴が形成されているところから開始される。
【0045】
まずS1において、「新管渠設置工程」が実施される。この新管渠設置工程では、掘削穴に下水管2が設置される。具体的には、クレーン58で下水管2が吊り下げられ、テールフレーム20上部の開口からテールフレーム20内に新たに設置される下水管2(新下水管2x)が設置される(図1参照)。そして、S2に進む。ここで、上述したように、本実施形態では、下水管2を布設する場合について説明するが、特許請求の範囲の名称の統一性を考慮して、「新管渠設置工程」においては、「下水管」を用いず「管渠」を用いて説明する。これについては、「メッセルシールド管渠接合工法」や「管渠接合工程」などにおいても同様である。また、本実施形態では、下水管2を布設する場合について説明するが、「下水管2」を「管渠」として用いる場合は、上述したように、「下水管」の表示は「管渠」に読み替えて適用される。
【0046】
S2において、「掘削工程」が実施される。この掘削工程では、次の下水管2(地下埋設構造物)を埋設させるために、掘削機(バックフォー)を用いて掘削開口(穴)が掘削される。そして、S3に進む。
【0047】
S3において、「フロントメッセル地山貫入工程」が実施される。このフロントメッセル地山貫入工程では、圧入ジャッキ15が操作されることにより、フロントメッセル40が上方から順次前方方向に移動され、フロントメッセル40が前方の地山に順次貫入される。具体的には、上下4段からなるフロントメッセル40の上方から左右同時に順次、1段目→2段目→3段目→4段目とそれぞれ左右のフロントメッセル40が上方から順次前方方向に移動される。ここで、フロントメッセル40が前方方向に移動することにより、フロントメッセル40とピンで結合されたテールメッセル41も前方方向に移動される。なお、本実施形態では、フロントメッセル40が上方から順次前方方向に移動されたが、これに限らず、フロントメッセル40を下方から順次前方方向に移動させてもよい。そして、S4に進む。
【0048】
S4において、「ボトムメッセル地山貫入工程」が実施される。このボトムメッセル地山貫入工程では、ボトムジャッキ16が操作されることにより、ボトムメッセル17が左右から順次前方方向に移動され、ボトムメッセル17が前方の地山に順次貫入される。具体的には、左右3個からなるボトムメッセル17の左右両端から左右同時に順次、左右両端1個目→2個目→3個目とそれぞれ左右のボトムメッセル17が左右両端から順次前方方向に移動される。そして、S5にすすむ。
【0049】
S5において、「中間ジャッキ収縮工程」が実施される。この中間ジャッキ収縮工程では、フロントフレーム10とテールフレーム20の間の中間ジャッキ30が収縮されることにより、テールフレーム20がフロントフレーム10方向に引き寄せられる。このテールフレーム20は、中間ジャッキ30が収縮されることにより、50センチ移動されるように設定されている。そして、S6に進む。
【0050】
S6において、先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)と接合された下水管2(新下水管2x)を締め付けているワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)の調整が必要か判断される。この場合、先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)と下水管2(新下水管2x)を締め付けているワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)を増加させて引き締めるのは、後述する管渠締付工程(S15)により行われるので、管渠締付工程(S15)がまだ実施されていない、すなわち、下水管2(先方既設下水管2y)の先方に既に下水管2が設置されていない場合や、中間ジャッキ収縮工程(S5)によりテールフレーム20が前進移動することにより、ワイヤーロープ19の引張力が増大するが、この場合でもワイヤーロープ19の引張力が十分な適切な引張力である場合は、下水管2(先方既設下水管2y)と下水管2(新下水管2x)を締め付けているワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)の調整する必要がないので、S6において「No」と判断される。そして、S6において、「Yes」と判断された場合はS7に進み、「No」と判断された場合はS10に進む。
【0051】
S7において、「ロープ状部材引張力調整工程」が実施される。このロープ状部材引張力調整工程では、後述する管渠締付工程(S14)により先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)と接合された下水管2(新下水管2x)を締め付けているワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)が調整される。このロープ状部材引張力調整工程は、テールフレーム20が前進移動することにより、ワイヤーロープ19の引張力が増大することから、ワイヤーロープ19の引張力が切断荷重以上であるとかワイヤーロープ19の引張力が適切な引張力でない場合に行われる。具体的には、操作レバー53又は操作リモコン54を用いて、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bを下方に移動させることにより、ワイヤーロープ19の引張力が低減される。なお、本実施形態では、「ロープ状部材引張力調整工程」を「中間ジャッキ収縮工程」が実施された後に行ったが、これに限らず、「ロープ状部材引張力調整工程」を「中間ジャッキ収縮工程」が実施されている間に行ってもよい。すなわち、「中間ジャッキ収縮工程」によりテールフレーム20が前進移動され、ワイヤーロープ19の引張力が適切な引張力の範囲を超えたときに、「ロープ状部材引張力調整工程」により引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bを下方に移動させ、ワイヤーロープ19の引張力を低減させるようにしてもよい。このように、ワイヤーロープ19の引張力が適切な引張力の範囲を超える毎に「ロープ状部材引張力調整工程」を実施させ、そして、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bを下方に移動させてワイヤーロープ19の引張力を低減させることにより、ワイヤーロープ19の引張力をより適切な引張力にすることができる。そして、S8に進む。
【0052】
S8において、ワイヤーロープ19の長さの調整が必要か判断される。このワイヤーロープ19の長さ調整は、テールフレーム20が50センチ(所定の長さ)つづ前進移動することにより、ロープ引張力調整工程(S7)で引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bが下方設定位置まで移動されると、次の250センチ(所定の長さ)の下水管2(新下水管2x)が設置されるまで、テールフレーム20が50センチ前方に移動した地点から更にS2(掘削工程)~S5(中間ジャッキ収縮工程)が実施されることから、テールフレーム20が前進移動した分だけワイヤーロープ19の長さを長くする必要がある。また、テールフレーム20が250センチ前進移動すると、その後の新管渠設置工程(S11)により下水管2(新下水管2x)が設置され、管接続用治具取付工程(S13)により管接続用治具55が取り付けられることになるが、その際にも、従来の先方(先々方)の下水管2(先方既設下水管2yの端部(挿口2b)に取り付けられている管接続用治具55を取り外すためにワイヤーロープ19の引張力を緩める必要がある。このように、ロープ引張力調整工程(S7)で引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bが下方設定位置まで移動した後に、さらにワイヤーロープ19の引張力を緩めたい場合に、S8において、「YES」と判断がなされる。そして、S9に進む。
【0053】
S9において、「ロープ長さ調整工程」が実施される。このロープ長さ調整工程では、ワイヤーロープ一端係止長さ調整部52a(電動ドラムローラ)を回転させることによりワイヤーロープ19の長さを所定の長さ長くさせる。このワイヤーロープ19の長さを長くさせる所定の長さは、ワイヤーロープ19の長さを長くさせる目的により異なる。これにより、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bが下方設定位置まで移動させた後に、先方(先々方)の先方既設下水管2yの挿口2bに取り付けられている管接続用治具55を取り外し、そして、その管接続用治具55を下水管2(新下水管2x)の受口2a内に取り付ける際においても、ワイヤーロープ19が緩められているので、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bをワイヤーロープ他端係止部52bから容易に取り外すことができる。そして、S10に進む。
【0054】
S10において、下水管2(新下水管2x)を設置することが必要であるかが判断される。この下水管2(新下水管2x)および下水管2(先方既設下水管2y)は、250センチ(所定の長さ)の長さを有しているので、中間ジャッキ収縮工程(S5)により50センチ(所定分割長さ)毎移動するテールフレーム20が250センチ移動(5回移動分)することにより、次の下水管2(新下水管2x)が設置されることになる。そして、S10において、「Yes」と判断された場合はS11に進み、「No」と判断された場合はS17に進む。
【0055】
S11において、「新管渠設置工程」が実施される。この新管渠設置工程では、上述したように、掘削穴に下水管2(新下水管2x)が設置される。具体的には、クレーン58で下水管2が吊り下げられ、テールフレーム20上部の開口からテールフレーム20内に新たに設置される下水管2(新下水管2x)が設置される(図1参照)。このように、新たな下水管2(新下水管2x)が設置されると、それに接続する前方の下水管2(新下水管2x)は下水管2(先方既設下水管2y)となる。そして、S12に進む。
【0056】
S12において、「管渠接合工程」が実施される。この管渠接合工程では、下水管2(新下水管2x)の先端と下水管2(先方既設下水管2y)の後端と接合される。具体的には、新管渠設置工程(S10)によりクレーン58で下水管2(新下水管2x)が吊り下げられた状態から吊り降ろされるときに、下水管2(新下水管2x)の先端と下水管2(先方既設下水管2y)の後端と接合される。なお、本実施形態では、「新管渠設置工程」と「管渠接合工程」をそれぞれ別々に行ったが、これに限らず、「新管渠設置接合工程」という名称で1つの工程として行なってもよい。そして、S13に進む。
【0057】
S13において、「管接続用治具取付工程」が実施される。この管接続用治具取付工程では、下水管2(新下水管2x)に管接続用治具55が取り付けられる。具体的には、下水管2(新下水管2x)の後端部の受口2aの端面(図11の点線参照)に、係止板55bの外側縁部が突き当てられる。そして、S14に進む。ここで、下水管2(新下水管2x)の先方に既に下水管2(先方既設下水管2y)が設置されている場合は、前回の管接続用治具取付工程(S12)により、下水管2(先方既設下水管2y)に管接続用治具55が取り付けられている。また、今回「新管渠設置工程」により設置された下水管2(新下水管2x)の先方の下水管2(先方既設下水管2y(前回の新下水管2x))より、さらに先方(先々方)の下水管2(前回の先方既設下水管2y)の端部(挿口2b)に管接続用治具55が取り付けられている場合は、その下水管2(前回の先方既設下水管2y)の端部(挿口2b)の管接続用治具55を取り外し、今回の下水管2(新下水管2x)に管接続用治具55が取り付けられる。なお、上述したように、本実施形態では、下水管2とその隣の下水管2にそれぞれ管接続用治具55を設置させたが、これに限らず、下水管2とそれに先行する下水管2(後続の下水管2(2x)から2つ隣の下水管2や3つ隣の下水管2など)に管接続用治具55を設置させてもよい。また、本実施形態では、管接続用治具取付工程(S13)は新管渠設置工程(S10)が実施された後に行われたが、これに限らず、管接続用治具取付工程(S13)を新管渠設置工程(S10)が実施される前に行なうようにしてもよい。すなわち、まず「管接続用治具取付工程」により、下水管2(新下水管2x)の後端部の受口2aの端面に管接続用治具55が取り付けられ、そして、新管渠設置工程(S11)により管接続用治具55が取り付けられた下水管2(新下水管2x)がクレーン58に吊り下げられ、テールフレーム20上部の開口からテールフレーム20内に下水管2(新下水管2x)が設置され、管渠接合工程(S12)により、下水管2(新下水管2x)の先端と下水管2(先方既設下水管2y)の後端を接合させてもよい。
【0058】
S14において、「ロープ状部材係止工程」が実施される。このロープ状部材係止工程では、ワイヤーロープ19を先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)の先端部に取り付けられた管接続用治具55に回り込ませた後に、その下水管2(先方既設下水管2y)と接合された下水管2(新下水管2x)の後端部に取り付けられた管接続用治具55に回り込ませ、さらに、先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)の先端部に取り付けられた管接続用治具55に回り込ませた後に、ワイヤーロープ19の他端部がテールフレーム20に接続される。具体的には、ワイヤーロープ19の一端部のワイヤーロープ一端輪っか部19aがテールフレーム20の前方設けられたワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aに係止されている状態で、そこから、ワイヤーロープ19の他端がワイヤーロープ引張装置51を介し、ワイヤーロープ19を先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)の先端部に取り付けられた管接続用治具55に回り込ませた後に、その下水管2(先方既設下水管2y)と接合された下水管2(新下水管2x)の後端部に取り付けられた管接続用治具55に回り込ませ、さらに、先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)の先端部に取り付けられた管接続用治具55に回り込ませた後に、ワイヤーロープ19の他端部のワイヤーロープ他端輪っか部19bがテールフレーム20の前方設けられたワイヤーロープ他端係止部52bにワイヤーシャックル59により取り付けられテールフレーム20の前方に接続される。ここで、本実施形態では、引張力測定装置56(図9参照)が設けられているので、上述したように、ワイヤーロープ19は、引張力測定装置56(図9参照)を介し、ワイヤーロープ他端係止部52bに取り付けられテールフレーム20の前方に接続される。なお、上述したように、本実施形態では、ワイヤーロープ19を先方既設下水管2y(2)の先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)の新管接続用治具55x(55)を1周巻き付けた後にテールフレーム20に接続させたが、これに限らず、先方既設下水管2y(2)の先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)の新管接続用治具55x(55)を2周や3周などの少なくとも1周巻き付けた後にテールフレーム20に接続させてもよい。そして、S15に進む。ここで、上述したように、「ワイヤーロープ19」を「ロープ状部材」として用いてもよく、この場合は、「ワイヤーロープ」の表示を「ロープ状部材」に読み替えて適用される。また、今回の管接続用治具取付工程(S13)が実施される前に、前回に管接続用治具取付工程(S13)とロープ状部材係止工程(S14)が実施され、ワイヤーロープ19により下水管2(先方既設下水管2y)の管接続用治具55と下水管2(新下水管2x)の管接続用治具55が巻き付けられている場合は、管接続用治具取付工程(S13)が実施される前に、下水管2(先方既設下水管2y)の管接続用治具55と下水管2(新下水管2x)の管接続用治具55が巻き付けられているワイヤーロープ19の巻き付け状態を解き、そして、下水管2(先方既設下水管2y)の管接続用治具55が取り外してから、管接続用治具取付工程(S13)が実施される。この工程を「ロープ状部材管接続用治具取外工程」という。
【0059】
S15において、「管渠締付工程」が実施される。この管渠締付工程では、テールフレーム20に設けられたワイヤーロープ引張装置51によりワイヤーロープ19が引っ張られ、そのワイヤーロープ19により先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)とその後方の下水管2(新下水管2x)が引き寄せられ締め付けられる。具体的には、ワイヤーロープ19の一端部(ワイヤーロープ一端輪っか部19a)がてテールフレーム20の前方のワイヤーロープ一端係止長さ調整部52aに取り付けられ、また、ワイヤーロープ19の他端部(ワイヤーロープ他端輪っか部19b)がテールフレーム20の前方のワイヤーロープ他端係止部52bに取り付けられた状態で、操作レバー53又は操作リモコン54を用いて、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bを上方に移動させる。これにより、ワイヤーロープ19が50センチ(25センチ×2(2本の引張りピストン51b分))(所定の長さ)引っ張られることによりワイヤーロープ19の引張力が増大し、下水管2(先方既設下水管2y)と下水管2(新下水管2x)が引き寄せられ締め付けられる。なお、本実施形態では、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bを上方に移動させて、ワイヤーロープ19を50センチ(25センチ×2(2本の引張りピストン51b分))引っ張ったが、ワイヤーロープ19は、引張りシリンダー51a内の引張りピストン51bの上方上昇度合を調整することにより、ワイヤーロープ19の引張力は調整することができる。そして、S16に進む。
【0060】
S16において、「地盤埋設工程」が実施される。この地盤埋設工程では、下水管2(新下水管2x)の先方に接続されている下水管2(先方既設下水管2y)の上部から周辺に土が流し込まれ、下水管2(先方既設下水管2y)の周辺の掘削された地盤が埋めて掘削される前のもとの地盤の状態に戻される。そして、S18に進む。
【0061】
このように、地盤埋設工程(S16)により下水管2(先方既設下水管2y)の上部から土が流し込まれ、地盤が埋められ掘削される前のもとの地盤の状態に戻されることにより、地盤埋設工程(S16)により下水管2(先方既設下水管2y)は地盤内の特定位置に固定され移動され難くすることができる。
【0062】
また、S10において、「No」と判断された場合はS17に進み、上述した「管渠締付工程」が実施される。この「管渠締付工程」については、S15と同様の処理であるので、説明は省略する。
【0063】
S18において、メッセルシールド下水管接合工程が終了されるか判断される。そして、S18において、「No」と判断された場合はS2に進み、上記した掘削工程(S2)からの工程が繰り返し実施されるが、「Yes」と判断された場合はメッセルシールド下水管接合工程が終了する。なお、掘削工程(S2)からの処理は、上述した処理と同様であるので、説明は省略する。
【0064】
このように、本実施形態では、250センチ(所定の長さ)の下水管2(新下水管2x)が設置された後に、テールフレーム20が50センチつづ前進移動することによりワイヤーロープ19の引張力が増大するが、この場合においても、テールフレーム20が50センチつづ前進移動する際には、ロープ引張力調整工程(S7)によりワイヤーロープ19の引張力が調整されているので、ワイヤーロープ19の引張力を十分かつ適切な引張力にすることができるとともに、テールフレーム20の50センチ前進移動が完了し、次の管接続用治具55を取り付ける際においても、ロープ長さ調整工程(S9)によりワイヤーロープ19の引張力を緩めているので、従来の管接続用治具55を容易に取り外すことができる。
【0065】
以上説明したように、ワイヤーロープ19を下水管2(先方既設下水管2y)の先端(挿口2b)に取り付けられた管接続用治具55y(55)に回り込ませ係止させた後、下水管2(先方既設下水管2y)の後端部と接合された下水管2(新下水管2x)の後端(受口2a内)に取り付けられた管接続用治具55x(55)に回り込ませ係止され、さらに、下水管2(先方既設下水管2y)に取り付けられた管接続用治具55y(55)に回り込ませ係止された後にテールフレーム20に接続されているので、テールフレーム20が前進方向に移動することによりテールフレーム20下部の土砂がテールフレーム20に引きずられ移動しても、ワイヤーロープ19の両端部がテールフレーム20に接続された状態で、ワイヤーロープ19の引張力を増大させることにより、先方に設置されている下水管2(先方既設下水管2y)と新たに設置された下水管2(新下水管2x)の接合部が離れないようにできる。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0067】
次に、本発明のメッセルシールド管渠接合装置の変形例について説明する。
(変形例1)
次に、本発明の変形例1のメッセルシールド管渠接合装置について説明する。本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1と変形例1のメッセルシールド管渠接合装置が異なるところは、本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1では、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bを、先方既設下水管2y(2)の先端(挿口2b)の先方管接続用治具55y(55)に後方から前方を介し外周方向に回り込ませた後、新下水管2x(2)の後端(受口2内)の新管接続用治具55x(55)に前方から後方を介し外周方向に回り込ませ、さらに、その先方既設下水管2y(2)の先端(挿口2b)の先方管接続用治具55y(55)に後方から前方を介し外周方向に回り込ませた後に、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bがテールフレーム20の前方のワイヤーロープ他端係止部52bに係止接続されたが、これに対し、本発明の変形例1のメッセルシールド管渠接合装置では、先方既設下水管2y(2)の先端(挿口2b)の先方管接続用治具551y(551)の外側および新下水管2x(2)の後端(受口2内)の新管接続用治具551x(551)の外側に回転ローラ552を設け、ワイヤーロープ19を先方既設下水管2y(2)の先端(挿口2b)の先方管接続用治具551y(551)に後方から前方を介し先方管接続用治具551y(551)の外側に設けられた回転ローラ552を介し回り込ませた後、新下水管2x(2)の後端(受口2内)の新管接続用治具551x(551)に前方から後方を介し外側に設けられた回転ローラ552を介し回り込ませ、さらに、その先方既設下水管2y(2)の先端(挿口2b)の先方管接続用治具551y(551)に後方から前方を介し外側に設けられた回転ローラ552を介し回り込ませた後に、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bをテールフレーム20の前方のワイヤーロープ他端係止部52bに係止接続させたところが異なる。なお、本発明の変形例1においては、本発明の一実施形態(他の変形例含む)で説明したものが適用され、本発明の一実施形態(他の変形例含む)と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
【0068】
本発明の変形例1においては、管接続用治具551(新管接続用治具551x、先方管接続用治具551y)の外側面に、前後方向に回転する回転ローラ552が設けられているので(図15参照)、ワイヤーロープ19は、管接続用治具551(新管接続用治具551x、先方管接続用治具551y)の回転ローラ552を介して管接続用治具551(新管接続用治具551x、先方管接続用治具551y)に回り込み、管接続用治具551(新管接続用治具551x、先方管接続用治具551y)に係止される(図15(b)参照)。ここで、 図15(a)は本発明の変形例1における回転ローラが取り付けられた管接続用治具の側面図であり、図15(b)は同回転ローラが取り付けられた管接続用治具の上面図であり、図15(c)は同回転ローラが取り付けられた管接続用治具にワイヤーロープを接続する方法を示す図である。
【0069】
このように、管接続用治具55(新管接続用治具55x、先方管接続用治具55y)の外側に回転ローラ552が設けられているので、ワイヤーロープ19を管接続用治具55(新管接続用治具55x、新管接続用治具55x)の回転ローラ552を介してその管接続用治具55(新管接続用治具55x、先方管接続用治具55y)に回り込ませることにより、回転ローラ552の回転に沿ってワイヤーロープ19をスムーズに締め付けることができる。これにより、ワイヤーロープ19の引張力を迅速にかつスムーズに増大させることができ、先方に配置された先方既設下水管2y(2)と新たに設置された新下水管2x(2)の接合部を迅速にかつスムーズに離れないようにすることができる。
【0070】
(変形例2)
次に、本発明の変形例2のメッセルシールド管渠接合装置について説明する。本発明の一実施形態におけるメッセルシールド管渠接合工法のロープ状部材引張力調整工程(S7)では、管渠締付工程(S16)により先方に設置された下水管2(先方既設下水管2y)と下水管2(新下水管2x)を締め付けているワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)が調整されるが、このロープ状部材引張力調整工程の内容として、本発明の一実施形態のロープ状部材引張力調整工程(S7)と変形例2のロープ状部材引張力調整工程が異なるところは、本発明の一実施形態のロープ状部材引張力調整工程(S7)では、引張力測定装置56によりワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)が測定された測定値から、作業者により操作レバー53又は操作リモコン54が操作され、ワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)が調整されたが、本発明の変形例2のロープ状部材引張力調整工程(S7)では、引張力測定装置56によりワイヤーロープ引張装置51により引っ張られるワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)が測定された測定値が制御手段(図示略)に送信され、制御手段(図示略)により引張力測定装置56により測定された測定値が所定の値以上にならないように、すなわち、引張力測定装置56により測定された測定値が所定の値以上になれば、ワイヤーロープ引張装置51によりワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)を小さくなるように制御、つまりワイヤーロープ引張装置51によりワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)を制御させるようにしたところが異なる。なお、本発明の変形例2においては、本発明の一実施形態(他の変形例含む)で説明したものが適用され、本発明の一実施形態(他の変形例含む)と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
【0071】
このように、引張力測定装置56によりワイヤーロープ引張装置51により引っ張られるワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)が測定された測定値が所定値(例えば、破断引張力値など)以上にならないように、ワイヤーロープ引張装置51によりワイヤーロープ19の引張力(引張荷重)が制御されるので、先方既設下水管2y(2)と新下水管2x(2)の接合部を簡易かつ安定して確実に離れないようにすることができる。
【0072】
(変形例3)
次に、本発明の変形例3のメッセルシールド管渠接合装置について説明する。本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1と変形例3のメッセルシールド管渠接合装置が異なるところは、本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1では、管接続用治具55を新下水管2x(2)の受口2a内の管本体部2c端面と新下水管2x(2)の挿口2bの端面と接合された先方既設下水管2y(2)の挿口2bに係止させて取り付けたのに対し、本発明の変形例3のメッセルシールド管渠接合装置では、管接続用治具を新下水管2x(2)の長手方向中間付近(略中間)の内部とそれに先行する先方既設下水管2y(2)の長手方向中間付近(略中間)の内部にそれぞれ取り付けられ、管接続用治具は、長手方向に延びる治具中央管の前方側と後方側の側面円周上に下水管内面支持管が4つ設けられ、そして、治具中央管の前方側と後方側に前後方向円周上同位置に取り付けられている下水管内面支持管の外側先端には下水管内面設置体が設置され、これにより、下水管内面設置体は治具中央管と略長手方向と同方向に向けて設置されている。そして、この下水管内面支持管は、治具中央管との取付位置を軸として、下水管2の長手方向向きから外側に回動させることができる。このように、前方側と後方側の前後方向円周上同位置にそれぞれ設置された下水管内面支持管が、治具中央管との接続点を軸として、下水管2の長手方向向きから外側に回動させることにより、前方側と後方側の前後方向円周上同位置にそれぞれ設置された下水管内面支持管の外側先端に設置された下水管内面設置体は、外側につまり下水管2内面方向に移動することにより下水管2の内面に接しさせることができるようにしたところが異なる。なお、本発明の変形例3においては、本発明の一実施形態(他の変形例含む)で説明したものが適用され、本発明の一実施形態(他の変形例含む)と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
【0073】
作業者は、下水管2内で下水管内面支持管を治具中央管との接続点を軸として、下水管2の長手方向向きから外側に回動させることにより、下水管内面支持管の外側先端に設置された下水管内面設置体を下水管2の内面に接触させる。そして、下水管内面支持管の先端内部に挿入された支持管内管を外側に移動させることにより、下水管内面支持管と支持管内管の全体長さを増加させることができるので、下水道2の内面に下水管内面設置体を強く押圧させることができる。この下水管内面支持管の先端内部に挿入された支持管内管を外側方向に移動させるのは、手動で回転ネジを回すことにより回転ネジの回転に連動して回転する回転ギアを回動させることにより、下水管内面支持管の先端内部に挿入された支持管内管を下水管内面支持管の外部方向に移動させることができる。なお、本変形例3では、手動で回転ネジを回すことにより回転ネジの回転に連動して回転する回転ギアを回動させることにより、下水管内面支持管の先端内部に挿入された支持管内管を下水管内面支持管の外部方向に移動させるようにしたが、これに限らず、油圧シリンダーを設け、その油圧シリンダーに油を送ることにより下水管内面支持管の先端内部に挿入された支持管内管を水管内面支持管の外部方向に移動させてもよい。
【0074】
そして、変形例3の管接続用治具を用いて、ワイヤーロープ19を下水管2(先方既設下水管2y)の内部に取り付けられた管接続用治具に回り込ませ係止させた後、下水管2(先方既設下水管2y)の後端部と接合された下水管2(新下水管2x)内に取り付けられた管接続用治具に回り込ませ係止され、さらに、下水管2(先方既設下水管)に取り付けられた管接続用治具に回り込ませ係止された後にテールフレーム20の前方に接続させる。これにより、テールフレーム20が前進方向に移動することによりテールフレーム20下部の土砂がテールフレーム20に引きずられ移動しても、両端部がテールフレーム20に接続されたワイヤーロープ19の引張力を増大させることにより、先方に設置されている下水管2(先方既設下水管)と新たに設置された下水管2(新下水管)の接合部が離れないようにできる。
【0075】
(変形例4)
次に、本発明の変形例4のメッセルシールド管渠接合装置について説明する。本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1と変形例4のメッセルシールド管渠接合装置が異なるところは、本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1では、ワイヤーロープ19を新下水管2x(2)の受口2a内の管本体部2c端面に取り付けた管接続用治具55と新下水管2x(2)の挿口2bの端面と接合された先方既設下水管2y(2)の挿口2bに取り付けた管接続用治具55に少なくとも1周巻き付けた後にテールフレーム20に接続させたのに対し、
変形例4のメッセルシールド管渠接合装置では、長手方向に延びる形状で形成され、両端部同士を結合させることができる巻付ワイヤーロープ60を設け、巻付ワイヤーロープ60は、先方に設置された下水管2である先方既設下水管2y(2)に取り付けられた管接続用治具55y(55)と先方既設下水管2y(2)の後端部と接合された新たに設置された下水管2である新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55x(55)に少なくとも1周巻き付けて両端部を結合させ、ワイヤーロープ19は、先方に設置された下水管2である先方既設下水管2y(2)に取り付けられた管接続用治具55y(55)とその先方既設下水管2y(2)の後端部と接合された新たに設置された下水管2である新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55x(55)に少なくとも1周巻き付けて両端部を結合させた巻付ワイヤーロープ60に接続されたところが異なる。なお、本発明の変形例4においては、本発明の一実施形態(他の変形例含む)で説明したものが適用され、本発明の一実施形態(他の変形例含む)と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
【0076】
本発明の変形例4のメッセルシールド管渠接合装置について、図16を用いて具体的に説明する。ここで、図16(a)は本発明の変形例4におけるメッセルシールド管渠接合装置の巻付ワイヤーロープにより下水管(管接続用治具)が巻き付けられている状態を示す図であり、図16(b)は同メッセルシールド管渠接合装置と下水管(管接続用治具)を巻き付けた巻付ワイヤーロープとワイヤーロープを接続する方法を示す図である。
【0077】
巻付ワイヤーロープ60は、ワイヤーロープ19(図8参照)と同様の材料および形状から構成されている。そして、変形例4においては、まず巻付ワイヤーロープ60を先方既設下水管2y(2)の先端(挿口2b)の先方管接続用治具55y(55)に前方から外周方向に回り込ませた後、新下水管2x(2)の後端(受口2a)の新管接続用治具55x(55)に後方から外周方向に回り込ませ、そして、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた新管接続用治具55x(55)を1周巻き付けたところで、巻付ワイヤーロープ60の端部がワイヤーシャックル59を用いて結合される(図16(a)参照)。なお、変形例4では、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた新管接続用治具55x(55)を1周巻き付けたところで、巻付ワイヤーロープ60の端部を結合させたが、これに限らず、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた新管接続用治具55x(55)を2周以上巻き付けたところで、巻付ワイヤーロープ60の端部を結合させてもよい。このように、巻付ワイヤーロープ60は、先方既設下水管2y(2)と新下水管2x(2)が離れないようにするためのものであるので、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた新管接続用治具55x(55)が離れないように巻き付けられていれば問題ないことから、その意味で、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた新管接続用治具55x(55)を少なくとも1周巻き付けたところで、巻付ワイヤーロープ60の端部を結合させるようにすればよい。なお、変形例4では、下水管2とその隣の下水管2にそれぞれ管接続用治具55を設置させたが、これに限らず、本発明の一実施形態と同様、下水管2とそれに先行する下水管2(後続の下水管2(2x)から2つ隣の下水管2や3つ隣の下水管2など)に管接続用治具55を設置させてもよいのは上述した通りである。
【0078】
ワイヤーロープ19は、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた管接続用治具55と新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55を巻き付けている巻付ワイヤーロープ60と接続される。具体的には、ワイヤーロープ19は、巻付ワイヤーロープ60の端部同士の結合に用いられているワイヤーシャックル59にワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bを取り付けることにより、ワイヤーロープ19と巻付ワイヤーロープ60が結合される(図16(b)参照)。なお、本実施形態では、巻付ワイヤーロープ60の端部同士の結合に用いられているワイヤーシャックル59にワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bを取り付けることにより、ワイヤーロープ19と巻付ワイヤーロープ60を結合させたが、ワイヤーロープ19を先方既設下水管2y(2)に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた新管接続用治具55x(55)を巻き付けている巻付ワイヤーロープ60の輪っか状内を通した後、ワイヤーロープ19のワイヤーロープ他端輪っか部19bをテールフレーム20の前方のワイヤーロープ他端係止部52bに係止接続させるようにしてもよい。このような構造にしても、テールフレーム20を前方方向に前進移動させると、ワイヤーロープ19(巻付ワイヤーロープ60)の引張力が増大するので、テールフレーム19を前方方向に前進移動させても、先方に設置されている先方既設下水管2y(2)と新たに設置された新下水管2x(2)の接合部が離れないようにすることができる。
【0079】
(変形例5)
次に、本発明の変形例5のメッセルシールド管渠接合装置について説明する。本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1と変形例5のメッセルシールド管渠接合装置が異なるところは、本発明の一実施形態のメッセルシールド管渠接合装置1では、ワイヤーロープ19を新下水管2x(2)の受口2a内の管本体部2c端面に取り付けた管接続用治具55と新下水管2x(2)の挿口2bの端面と接合された先方既設下水管2y(2)の挿口2bに取り付けた管接続用治具55に少なくとも1周巻き付けた後にテールフレーム20に接続させたのに対し、
本発明の変形例5のメッセルシールド管渠接合装置では、長手方向に延び少なくとも1端部が輪っか形状で形成された貫通巻付ワイヤーロープ61を設け、貫通巻付ワイヤーロープ61は、先方に設置された下水管2である先方既設下水管2y(2)に取り付けられた先方管接続用治具55y(55)と先方既設下水管2y(2)の後端部と接合された新たに設置された下水管2である新下水管2x(2)に取り付けられた新管接続用治具55x(55)を少なくとも1周巻き付けて他端部を1端部の輪っか状内に挿入貫通させ、ワイヤーロープ19は、1端部の輪っか状内に挿入貫通させた貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部に結合させたところが異なる。なお、本発明の変形例5においては、本発明の一実施形態(他の変形例含む)で説明したものが適用され、本発明の一実施形態(他の変形例含む)と同一構成のものについては同一符号を用い、同一の作用効果を奏するものとし、説明は省略する。
【0080】
本発明の変形例5のメッセルシールド管渠接合装置について、図17を用いて具体的に説明する。ここで、図17(a)は本発明の変形例5におけるメッセルシールド管渠接合装置の貫通巻付ワイヤーロープにより下水管(管接続用治具)が巻き付けられている状態を示す図であり、図17(b)は同メッセルシールド管渠接合装置と下水管(管接続用治具)を巻き付けた貫通巻付ワイヤーロープとワイヤーロープを接続する方法を示す図である。
【0081】
貫通巻付ワイヤーロープ61は、ワイヤーロープ19と同様の材料および形状から構成されている(図8参照)。そして、変形例5においては、まず貫通巻付ワイヤーロープ61を先方既設下水管2y(2)の先端(挿口2b)の先方管接続用治具55y(55)に後方から前方を介し外周方向に回り込ませた後、新下水管2x(2)の後端(受口2a)の新管接続用治具55x(55)に前方から後方を介し外周方向に回り込ませ、そして、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55x(55)を1周巻き付けたところで、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部を1端部の輪っか状内に挿入貫通させて、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部が引っ張られる(図17参照)。これにより、先方既設下水管2y(2)と新下水管2x(2)が離れないように締め付けられる。なお、変形例5では、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55x(55)を1周巻き付けたところで、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部を1端部の輪っか状内に挿入貫通させて、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部が引っ張られるとしたが、これに限らず、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55x(55)を2周以上巻き付けたところで、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部を1端部の輪っか状内に挿入貫通させて、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部が引っ張られるようにしてもよい。このように、貫通巻付ワイヤーロープ61は、先方既設下水管2y(2)と新下水管2x(2)が離れないようにするためのものであるので、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55x(55)が離れないように巻き付けられていれば問題ないことから、その意味で、先方既設下水管2y(2)に取り付けられた管接続用治具55y(55)と新下水管2x(2)に取り付けられた管接続用治具55x(55)を少なくとも1周巻き付けたところで、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部を1端部の輪っか状内に挿入貫通させて、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部が引っ張られるようにすればよい。また、ワイヤーロープ19は、本実施形態のワイヤーロープ19と同様、長手方向に延びるワイヤーロープ19やワイヤーロープ19の途中や一端部にバネや伸縮可能な伸縮部を設けてもよいことは上述した通りである。さらに、変形例5では、貫通巻付ワイヤーロープ61の両端部に輪っか形状部を設けたが、1方の端部のみに輪っか形状部を設けるようにしてもよい。
【0082】
ワイヤーロープ19は、1端部の輪っか状内に挿入貫通させた貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部と結合される。このように、変形例5では、テールフレーム20の前方部に取り付けられたワイヤーロープ19は、貫通巻付ワイヤーロープ61の他端部に結合される(図17(b)参照)。このような構造においても、テールフレーム20を前方方向に前進移動させると、ワイヤーロープ19(貫通巻付ワイヤーロープ61)の引張力が増大するので、テールフレーム19を前方方向に前進移動させても、先方に設置されている先方既設下水管2y(2)と新たに設置された新下水管2x(2)の接合部が離れないようにすることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 メッセルシールド管渠接合装置
2 下水管
2x 新下水管
2y 先方既設下水管
2a 受口
2b 挿口
2c 管本体部
4 枠体
10 フロントフレーム
11 縦柱材
12 横補強材
13 切梁
14 支持梁
15 圧入ジャッキ
16 ボトムジャッキ
17 ボトムメッセル
18 制御ユニット
19 ワイヤーロープ
19a ワイヤーロープ一端輪っか部
19b ワイヤーロープ他端輪っか部
20 テールフレーム
21 水平梁
22 そり体
23 縦柱材
24 横補強材
25 枠体
26 切梁
27 吊込空間
28 補強材
30 中間ジャッキ
40 フロントメッセル
41 テールメッセル
51 ワイヤーロープ引張装置
51a 引張りシリンダー
51b 引張りピストン
51c ワイヤーロープ引張装置上端左側ローラ
51d ワイヤーロープ引張装置上端右側ローラ
51e ワイヤーロープ引張装置裏側中段ローラ
51f ワイヤーロープ係止部
51g ワイヤーロープ係止部
51h ガイドローラ
52a ワイヤーロープ一端係止長さ調整部
52b ワイヤーロープ他端係止部
53 操作レバー
54 操作リモコン
54a リモコンボックス
55 管接続用治具
55x 管接続用治具
55y 管接続用治具
55a 連結杆
55b 係止板
56 引張力測定装置
56a 測定装置一端開口部
56b 測定装置他端開口部
57 引張力表示部
58 クレーン
59 ワイヤーシャックル
60 巻付ワイヤーロープ
61 貫通巻付ワイヤーロープ
551 管接続用治具
551x 新管接続用治具
551y 先方管接続用治具
552 回転ローラ

【要約】
【課題】
メッセルシールド機を用いて従来の管渠接合工法を行わせようとすると、テールメッセルを前方方向に移動させる際に、接合させた管渠101と管渠111の接合部分が離れ、その管渠101と管渠111の間から下水漏れが生じるという問題がある。
【解決手段】
本発明は、ワイヤーロープ19により下水管2(2y)内に取り付けられた管接続用治具55y(55)と下水管2(2x)内に取り付けられた管接続用治具55x(55)をそれぞれ回り込ませ締め付けているので、テールフレーム20が前進方向に移動することによりテールフレーム20下部の土砂がテールフレーム20に引きずられ移動しても、ワイヤーロープ19の両端部がテールフレーム20に接続された状態で、ワイヤーロープ19の引張力を増大させることにより、先方に設置されている下水管2(2y)と新たに設置された下水管2(2x)の接合部が離れないようにできる。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18