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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】機器制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/72 20180101AFI20240726BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240726BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20240726BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20240726BHJP
【FI】
F24F11/72
F24F11/64
F24F11/65
F24F11/80
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022566794
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 JP2021040491
(87)【国際公開番号】W WO2022118599
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2020199981
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴司
(72)【発明者】
【氏名】幅 倫朗
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-088320(JP,A)
【文献】特開平04-106354(JP,A)
【文献】特開2016-133275(JP,A)
【文献】特開平04-068252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/72
F24F 11/64
F24F 11/65
F24F 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を前記室内に給気することにより前記室内を換気する給気浄化扇と、
前記室内の空気調和を行う空気調和装置と、
前記給気浄化扇と前記空気調和装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記室内の換気のための制御と、前記室内の空気調和のための制御とを逐次実行し、
前記換気のための制御は、前記室内の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、前記室内の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含み、
前記第1換気制御、前記空気調和のための制御、および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記第1換気制御は、前記室内の空気の汚染度としてのCO2濃度を低減するためのCO2濃度低減制御と、前記室内の空気の汚染度としてのPM2.5濃度を低減するためのPM2.5濃度低減制御とを含み、
前記制御装置は、
前記CO2濃度低減制御、前記PM2.5濃度低減制御の順に優先して実行する機器制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第2換気制御における前記給気浄化扇の風量を、前記第1換気制御における前記給気浄化扇の風量よりも小さくする請求項に記載の機器制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記空気調和のための制御において、前記室内の温度と、前記空気調和装置の設定温度とに基づいて、前記給気浄化扇による給気の態様を決定する、請求項1または2に記載の機器制御システム。
【請求項4】
室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を前記室内に給気することにより前記室内を換気する給気浄化扇と、
前記室内の空気調和を行う空気調和装置と、
前記給気浄化扇と前記空気調和装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記室内の換気のための制御と、前記室内の空気調和のための制御とを逐次実行し、
前記換気のための制御は、前記室内の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、前記室内の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含み、
前記第1換気制御、前記空気調和のための制御、および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記空気調和のための制御において、前記室内の温度と、前記空気調和装置の設定温度とに基づいて、前記給気浄化扇による給気の態様を決定し、
前記室内の温度が前記設定温度より小さく、温度差が所定値を超える場合、前記給気浄化扇の風量を前記第1換気制御における給気浄化扇の風量より小さい風量にし、
前記室内の温度が前記設定温度より大きく、温度差が所定値を超える場合、前記給気浄化扇の給気動作をオフにする機器制御システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記空気調和のための制御において、前記室内の湿度と、予め定められた湿度の基準値とに基づいて、前記給気浄化扇による給気の態様を決定する、請求項1からのいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項6】
室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を前記室内に給気することにより前記室内を換気する給気浄化扇と、
前記室内の空気調和を行う空気調和装置と、
前記給気浄化扇と前記空気調和装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記室内の換気のための制御と、前記室内の空気調和のための制御とを逐次実行し、
前記換気のための制御は、前記室内の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、前記室内の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含み、
前記第1換気制御、前記空気調和のための制御、および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記空気調和のための制御において、前記室内の湿度と、予め定められた湿度の基準値とに基づいて、前記給気浄化扇による給気の態様を決定し、
前記室内の湿度が快適の下限値である第1基準値よりも小さい場合、前記給気浄化扇の給気風量を前記第1換気制御における給気浄化扇の風量にし、
前記室内の湿度が前記第1基準値よりも大きい前記快適の上限値である第2基準値よりも大きい場合、前記給気浄化扇の給気動作をオフにする機器制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記換気のための制御において、前記空気調和装置の設定温度を低下させる、請求項1からのいずれかに記載の機器制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記換気のための制御である前記第1換気制御において、前記室内の温度と前記設定温度との差が大きいほど前記設定温度を低下させる請求項に記載の機器制御システム。
【請求項9】
室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を前記室内に給気することにより前記室内を換気する給気浄化扇と、
前記室内の空気調和を行う空気調和装置と、
前記給気浄化扇と前記空気調和装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記室内の換気のための制御と、前記室内の空気調和のための制御とを逐次実行し、
前記換気のための制御は、前記室内の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、前記室内の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含み、
前記第1換気制御、前記空気調和のための制御、および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記換気のための制御において、前記空気調和装置の設定温度を低下させ、
前記換気のための制御である前記第2換気制御において、前記室内の温度と前記設定温度との差が所定値以下の場合、前記給気浄化扇の風量が大きいほど前記設定温度を低下させる機器制御システム。
【請求項10】
室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を前記室内に給気することにより前記室内を換気する給気浄化扇と、
前記室内の空気調和を行う空気調和装置と、
前記給気浄化扇と前記空気調和装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記室内の換気のための制御と、前記室内の空気調和のための制御とを逐次実行し、
前記換気のための制御は、前記室内の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、前記室内の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含み、
前記第1換気制御、前記空気調和のための制御、および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記空気調和のための制御は、温度制御と、湿度制御とを含み、
前記制御装置は、
前記第1換気制御、前記温度制御、前記湿度制御および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記湿度制御または前記第2換気制御を実行中であっても、前記室内の温度と前記空気調和装置の設定温度との差が大きい温度外れの場合、前記湿度制御または前記第2換気制御を中断して前記温度制御を実行する機器制御システム。
【請求項11】
室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を前記室内に給気することにより前記室内を換気する給気浄化扇と、
前記室内の空気調和を行う空気調和装置と、
前記給気浄化扇と前記空気調和装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記室内の換気のための制御と、前記室内の空気調和のための制御とを逐次実行し、
前記換気のための制御は、前記室内の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、前記室内の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含み、
前記第1換気制御、前記空気調和のための制御、および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記空気調和のための制御は、温度制御と、湿度制御とを含み、
前記制御装置は、
前記第1換気制御、前記温度制御、前記湿度制御および前記第2換気制御の順に優先して実行し、
前記第2換気制御を実行中であっても、前記室内の湿度が予め定められた快適ゾーン外である湿度外れの場合、前記第2換気制御を中断して、前記湿度制御を実行する機器制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置と換気扇を同時に運転させる場合に、効率的な省エネルギー運転を可能とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-272086号公報
【発明の概要】
【0004】
近年、室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を室内に給気する給気浄化扇が提供されている。給気浄化扇により室外の空気を室内に取り込む場合、取り込まれる室外の空気の温度または湿度などが、室内の空気の温度または湿度などに影響を与える。このことを踏まえ、本発明者は、給気浄化扇と空気調和装置を好適に協調させる技術を想到した。
【0005】
本開示は、給気浄化扇と空気調和装置を好適に協調させる技術を提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の機器制御システムは、室外から室内に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を室内に給気することにより室内を換気する給気浄化扇と、室内の空気調和を行う空気調和装置と、給気浄化扇と空気調和装置とを制御する制御装置と、を備える。制御装置は、室内の換気のための制御と、室内の空気調和のための制御とを逐次実行し、換気のための制御は、室内の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、室内の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含み、第1換気制御、空気調和のための制御、および第2換気制御の順に優先して実行し、第1換気制御は、室内の空気の汚染度としてのCO2濃度を低減するためのCO2濃度低減制御と、室内の空気の汚染度としてのPM2.5濃度を低減するためのPM2.5濃度低減制御とを含み、
制御装置は、CO2濃度低減制御、PM2.5濃度低減制御の順に優先して実行する等により上記課題を解決する。
【0007】
本開示によれば、給気浄化扇と空気調和装置を好適に協調させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態の機器制御システムの構成を示す図である。
図2図2は、図1の各装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図3図3は、サーバの動作を示すフローチャートである。
図4図4は、図3に続くサーバの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、図3のS18の第1換気制御の詳細を示すフローチャートである。
図6図6は、図3のS24の温度制御の詳細を示すフローチャートである。
図7図7は、図3のS30の湿度制御の詳細を示すフローチャートである。
図8図8は、図4のS36の第2換気制御の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(Integrated Circuit)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。ここではICあるいはLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)もしくはUSLI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネットなどを含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0010】
以下に説明する実施の形態は、本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0011】
図1は、実施の形態の機器制御システム1000の構成を示す。機器制御システム1000は、空気調和装置200、外気風路300、排気風路302、熱交換器310、給気浄化扇312、排気口340、ユーザ端末350、およびサーバ360を備える。機器制御システム1000を構成する上記複数の要素のうちサーバ360を除く要素は住宅などの施設に設置される。
【0012】
機器制御システム1000は、施設内の室内100の温度と湿度を調節し、また、室内100の空気を浄化する。室内100の上面には天井110が配置される。室内100の側面には、壁面120が配置され、室内100の下面には床面130が配置される。
【0013】
壁面120には空気調和装置200が設置される。空気調和装置200は、室内100の空気調和を行う。具体的には、空気調和装置200は、冷房機能と除湿機能を有し、室内100の温度と湿度を調節する。なお、空気調和装置200は、暖房機能をさらに有してもよい。空気調和装置200の風量レベルは「強」と「弱」がある。例えば、風量レベル「強」は、10~30m/分の範囲で定められた風量であり、風量レベル「弱」は、風量レベル「強」よりも小さい風量である。
【0014】
一般的に、空気調和装置200は、室内機と室外機との組合せにより構成されるが、ここでは、室外機を省略し、室内機を空気調和装置200として説明する。空気調和装置は吹出口(図示せず)を備え、吹出口は、温度あるいは湿度を調節した空気である空調空気500を室内100の中央部分に向かって吹き出す。
【0015】
室内100を有する施設の外側が室外102であり、室外102と室内100とを結ぶダクトが外気風路300と排気風路302である。外気風路300と排気風路302は、途中部分において熱交換器310に接続される。熱交換器310は、外気風路300を通る空気と、排気風路302を通る空気との間で熱交換を実行する。
【0016】
外気風路300において、熱交換器310よりも室内100側には、給気浄化扇312が設けられる。実施の形態では、給気浄化扇312は、壁面120に設置されるが、給気浄化扇312の設置位置はこれに限定されない。変形例として、給気浄化扇312は、天井110に設置されてもよい。
【0017】
給気浄化扇312は、室外102から室内100に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を室内100に給気することにより室内100を換気する給気型の換気扇である。言い換えれば、給気浄化扇312は、室内100の空気を換気するとともに浄化する。実施の形態では、給気浄化扇312は、室内100の二酸化炭素(CO)濃度とPM2.5濃度を低下させる。
【0018】
給気浄化扇312は、送風機320、IAQ(Indoor Air Quality)リモコン322、浄化フィルタ付給気口330を含む。送風機320は、ファンを有し、ファンを回転させることによって、外気風路300を通って室外102から室内100に向かって空気を流す。つまり、室外102の空気(すなわち外気)は、外気風路300に流入されて室内100の方に向かう。
【0019】
IAQリモコン322は、送風機320の動作を遠隔操作する装置である。IAQリモコン322と送風機320は、有線または無線により接続される。給気浄化扇312(送風機320)の風量レベルは「0」~「5」の6段階である。各風量レベルの風量は0~300CMH(Cubic Meter per Hour、すなわちm/時間)の間で6段階に区分した風量に設定する。ただし、風量レベル「0」は0CMHとし、風量レベルが大きくなるほど風量は大きくなる。
【0020】
浄化フィルタ付給気口330は、外気風路300の室内側端に設けられ、浄化フィルタ(図示せず)を内蔵する。浄化フィルタの一例は不織布である。不織布は、空気中に浮遊するミスト粒子(例えばPM2.5)、細菌、カビ、ウィルス、およびアレルゲンなどを捕捉する機能を有する。そのため、浄化フィルタは、送風機320によって外気風路300を室外102から室内100に向かって流れる空気を浄化する。浄化フィルタ付給気口330は、浄化フィルタが浄化した空気を給気502として室内100に流入させる。
【0021】
排気風路302の室内側端には排気口340が設けられる。室内100に存在する空気は、給気502により押し出されることによって、排気口340から排気風路302に流入する。排気風路302に流入した空気は、排気風路302を通って室外102に排気される。そのため、排気口340は、室内100の空気を室外102に排気させるといえる。排気風路302に、送風機が設けられてもよい。送風機は、ファンを回転させることによって、排気風路302を通って室内100から室外102に向かって空気を流す。
【0022】
ユーザ端末350は、ユーザ(例えば施設の住人)により操作される情報処理端末である。ユーザ端末350は、例えば、スマートフォンやタブレット端末であってもよい。図1では、ユーザ端末350が室内100に設置されているが、ユーザ端末350の設置位置に制限はない。例えば、ユーザ端末350は、室外102に設置されてもよい。
【0023】
サーバ360は、空気調和装置200と給気浄化扇312を制御する機能を有する制御装置である。サーバ360は、例えば、クラウド上に配置された情報処理装置であってもよい。サーバ360は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、またはインターネットなどを含む通信網370を介して、空気調和装置200、IAQリモコン322、およびユーザ端末350と信号を送受信する。
【0024】
図2は、図1の各装置の機能ブロックを示すブロック図である。本開示のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)およびメモリをはじめとする素子あるいは機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現される。しかし、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0025】
ユーザ端末350は、通信部10と協調運転指示部12を備える。通信部10は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。協調運転指示部12は、ユーザの操作に応じて、空気調和装置200と給気浄化扇312の協調運転について、その開始または停止を指示するデータを、通信部10を介してサーバ360へ送信する。協調運転指示部12の機能は、アプリケーションプログラムに実装されてもよい。ユーザ端末350のCPUは、そのアプリケーションプログラムを実行することにより、協調運転指示部12の機能を発揮してもよい。
【0026】
空気調和装置200は、通信部20、制御部22、温度センサ24、および湿度センサ26を備える。温度センサ24は、室内100の温度を検知し、湿度センサ26は、室内100の湿度を検知する。温度センサ24と湿度センサ26はともに、空気調和装置200の制御に関連する室内100の状態を検知するセンサと言える。温度センサ24と湿度センサ26はともに、空気調和装置200の吸い込み口(図示せず)に設置されてもよい。
【0027】
通信部20は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部22は、空気調和装置200の動作を制御する。空気調和装置200の風量が「自動」に設定される場合、制御部22は、温度センサ24により検知された温度情報と、湿度センサ26により検知された湿度情報に基づいて、空気調和装置200の風量を決定してもよい。また、制御部22は、通信部20を介して、サーバ360と各種データ(温度情報、湿度情報、および制御信号など)を送受信する。
【0028】
給気浄化扇312は、送風機320とIAQリモコン322を備える。送風機320は、通信部30とファン制御部32を含む。通信部30は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置(実施の形態ではIAQリモコン322)と通信する。ファン制御部32は、IAQリモコン322からの指示にしたがって、送風機320のファン(図示せず)の回転動作を制御することにより、送風機320の風量を制御する。
【0029】
IAQリモコン322は、通信部40、制御部42、記憶部44、二酸化炭素センサ(COセンサ)46、およびPM2.5センサ48を備える。COセンサ46は、室内100のCO濃度を検知する。PM2.5センサ48は、室内100のPM2.5濃度を検知する。COセンサ46とPM2.5センサ48はともに、給気浄化扇312の制御に関連する室内100の状態を検知するセンサと言える。
【0030】
通信部40は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部42は、給気浄化扇312(送風機320)の動作を制御する。また、制御部42は、通信部40を介して、サーバ360と各種データ(CO濃度、PM2.5濃度、および制御信号など)を送受信する。また、制御部42は、通信部40を介して、送風機320と各種データ(制御信号など)を送受信する。
【0031】
記憶部44は、給気浄化扇312(送風機320)の自動運転用の風量切替テーブル(風量切替基準とも言える)を記憶する。風量切替テーブルは、第1の風量切替テーブルと第2の風量切替テーブルを含んでもよい。第1の風量切替テーブルは、PM2.5濃度に応じた風量レベルを定めるものであってもよい。PM2.5の風量切替濃度の設定範囲は、例えば、10μg(マイクログラム)/m(立方メートル)~300μg/mの範囲であってもよい。
【0032】
第2の風量切替テーブルは、CO濃度に応じた風量レベルを定めるものであってもよい。例えば、風量レベル「5」に切り替えるCO濃度は、500ppm(parts per million)~5000ppmの範囲の値であってもよい。風量レベル「1」から風量レベル「4」までのそれぞれの切替基準となるCO濃度は、風量レベル「5」の切替基準となるCO濃度よりも小さい値となる。
【0033】
サーバ360は、通信部50、センサ情報取得部52、運転状態取得部54、協調運転制御部56、および記憶部58を備える。通信部50は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。
【0034】
記憶部58は、空気調和装置200と給気浄化扇312を協調運転させるためのアルゴリズム(以下「協調運転アルゴリズム」と呼ぶ。)が実装されたコンピュータプログラムを記憶する。上記コンピュータプログラム(言い換えれば協調運転アルゴリズム)は、上記の第1の風量切替テーブルと第2の風量切替テーブルの内容を含んでもよい。サーバ360のCPUは、上記コンピュータプログラムを実行することにより、センサ情報取得部52、運転状態取得部54、および協調運転制御部56の機能を発揮してもよい。
【0035】
センサ情報取得部52は、通信部50を介して、温度センサ24により検知された温度情報と、湿度センサ26により検知された湿度情報を空気調和装置200から取得する。また、センサ情報取得部52は、通信部50を介して、COセンサ46により検知されたCO濃度情報と、PM2.5センサ48により検知されたPM2.5濃度情報をIAQリモコン322から取得する。センサ情報取得部52は、所定の周期(例えば5分)で温度情報、湿度情報、CO濃度情報、およびPM2.5濃度情報を繰り返し取得する。
【0036】
運転状態取得部54は、通信部50を介して、空気調和装置200の運転状態(オン/オフおよび設定温度など)を空気調和装置200から取得する。また、運転状態取得部54は、通信部50を介して、給気浄化扇312の運転状態(オン/オフおよび風量など)をIAQリモコン322から取得する。
【0037】
協調運転制御部56は、ユーザ端末350から協調運転の開始が指示された場合、(1)センサ情報取得部52により取得された温度情報、湿度情報、CO濃度、およびPM2.5濃度と、(2)運転状態取得部54により取得された空気調和装置200の運転状態および給気浄化扇312の運転情報と、(3)予め定められた協調運転アルゴリズムとにしたがって、空気調和装置200の動作と給気浄化扇312の動作を制御する。
【0038】
実施の形態では、室外102の空気は高温多湿とする。言い換えれば、機器制御システム1000は、高温多湿の地域に構築されることとする。そのため、給気浄化扇312が室外102の高温多湿の空気を室内100に取り込むと、空気調和装置200による空気調和の効率(すなわち冷房効率および除湿効率)が低下する。そこで、実施の形態の協調運転制御部56は、室内100の換気のための制御(後述の第1換気制御と第2換気制御)と、室内100の空気調和のための制御(後述の温度制御と湿度制御)を並列実行するのではなく逐次実行する。これにより、空気調和装置200による空気調和の効率低下を抑制し、室内100の空気調和と空気浄化を効率的かつ迅速に実現できる。
【0039】
また、協調運転制御部56は、給気浄化扇312の制御に関連する室内100の状態を検知するセンサにより検知された室内100の状態(実施の形態ではCO濃度とPM2.5濃度)と、空気調和装置200の制御に関連する室内100の状態を検知するセンサにより検知された室内100の状態(実施の形態では温度と湿度)とに基づいて、室内100の換気のための制御と、室内100の空気調和のための制御のいずれかを選択的に実行する。これにより、空気調和装置200による空気調和の効率低下を抑制し、室内100の空気調和と空気浄化を効率的かつ迅速に実現できる。
【0040】
また、換気のための制御は、室内100の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、室内100の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含む。協調運転制御部56は、第1換気制御、空気調和のための制御(すなわち温度制御と湿度制御)、第2換気制御の順に優先して実行する。人は、温度、湿度、および空気質(清浄度)の順に敏感であるが、上記構成によると、室内100の人の健康に配慮しつつ、室内100の快適性を迅速に高めることができる。
【0041】
また、協調運転制御部56は、空気調和のための制御において、室内100の温度と、空気調和装置200の設定温度とに基づいて、給気浄化扇312による給気の態様を決定する。実施の形態では、室内100での測定温度と、空気調和装置200の設定温度との差に基づいて、給気浄化扇312による給気の態様を決定する。これにより、空気調和装置200による空気調和の効率低下を抑制でき、または、室内100における温度調整を効率的に実現できる。なお、協調運転制御部56は、室内100の温度を下げるべき場合、給気浄化扇312による給気を停止させてもよい。一方、室内100の温度を上げるべき場合は、給気浄化扇312による給気を継続してもよい。
【0042】
また、協調運転制御部56は、空気調和のための制御において、室内100の湿度と、予め定められた湿度の基準値とに基づいて、給気浄化扇312による給気の態様を決定する。実施の形態では、室内100での測定湿度と、湿度の基準値との大小関係に基づいて、給気浄化扇312による給気の態様を決定する。これにより、空気調和装置200による空気調和の効率低下を抑制でき、または、室内100における湿度調整を効率的に実現できる。例えば、協調運転制御部56は、室内100の湿度を下げるべき場合、給気浄化扇312による給気を停止させてもよい。一方、室内100の湿度を上げるべき場合は、給気浄化扇312による給気を継続してもよい。
【0043】
また、協調運転制御部56は、換気のための制御において、空気調和装置200の設定温度をそれまでの値より低下させる。これにより、給気浄化扇312による給気動作(すなわち室外102の空気による室内100の換気)により、室内100の温度が急速に上昇することを抑制できる。言い換えれば、室内100の快適性が急速に低下することを抑制できる。
【0044】
以上の構成による機器制御システム1000の動作を図3を参照しつつ説明する。図3は、サーバ360の動作を示すフローチャートである。
【0045】
ユーザは、ユーザ端末350において協調運転設定用のアプリケーションを起動し、協調運転の開始を指示する操作を当該アプリケーションに入力する。ユーザ端末350の協調運転指示部12は、協調運転開始の指示をサーバ360へ送信する。
【0046】
サーバ360は、ユーザ端末350から送信された協調運転開始の指示を受け付ける(S10)。サーバ360のセンサ情報取得部52は、室内100の温度情報と湿度情報を空気調和装置200から取得し、室内100のCO濃度とPM2.5濃度をIAQリモコン322から取得する。既述したように、センサ情報取得部52は、所定の周期(例えば5分周期)で、最新の温度情報、湿度情報、CO濃度、およびPM2.5濃度を繰り返し取得する。また、サーバ360の運転状態取得部54は、空気調和装置200の運転状態を空気調和装置200に問い合わせて取得し、給気浄化扇312の運転状態をIAQリモコン322に問い合わせて取得する(S12)。
【0047】
サーバ360の協調運転制御部56は、室内100のCO濃度とPM2.5濃度とに基づいて、室内100の空気汚染度を確認する(S14)。協調運転制御部56は、空気汚染度が高いと判定した場合(S16のY)、第1換気制御を実行する(S18)。第1換気制御では、第1の風量切替テーブルの内容と、第2の風量切替テーブルの内容とにしたがって給気浄化扇312の動作態様を決定する。第1換気制御の詳細は後述する。
【0048】
実施の形態では、協調運転制御部56は、CO濃度が所定のCO閾値A1以上であることと、PM2.5濃度が所定のPM2.5閾値A2より大きいことの少なくとも一方が満たされる場合に、空気汚染度が高いと判定する。協調運転制御部56は、空気汚染度が高いと判定しなければ(具体的にはCO濃度がCO閾値A1未満かつPM2.5濃度がPM2.5閾値A2以下の場合)(S16のN)、S18の処理をスキップする。
【0049】
続いて、サーバ360の協調運転制御部56は、室内100の温度と空気調和装置200の設定温度との差を確認する(S20)。協調運転制御部56は、室温と設定温度との差が±1℃を超える場合(S22のN)、温度制御を実行する(S24)。温度制御の詳細は後述する。室温と設定温度との差が±1℃内であれば(S22のY)、S24の処理をスキップする。
【0050】
続いて、サーバ360の協調運転制御部56は、室内100の湿度を確認する(S26)。協調運転制御部56は、室内100の湿度が予め定められた湿度の第1基準値(快適の下限値)である40%以下であるか、または、予め定められた湿度の第2基準値(快適の上限値)である60%以上であれば(S28のN)、湿度制御を実行する(S30)。湿度制御の詳細は後述する。室内100の湿度が40%~60%の範囲(以下「快適ゾーン」とも呼ぶ。)であれば(S28のY)、S30の処理をスキップする。
【0051】
図4は、図3に続くサーバ360の動作を示すフローチャートである。協調運転制御部56は、室内100のCO濃度とPM2.5濃度とに基づいて、室内100の空気汚染度を確認する(S32)。協調運転制御部56は、空気汚染度が十分に低くないと判定した場合(S34のN)、第2換気制御を実行する(S36)。第2換気制御では、第1の風量切替テーブルの内容と、第2の風量切替テーブルの内容とにしたがって給気浄化扇312の動作態様を決定する。第2換気制御の詳細は後述する。
【0052】
実施の形態では、協調運転制御部56は、CO濃度が所定のCO閾値B1(CO閾値A1より小さい)未満であり、かつ、PM2.5濃度が所定のPM2.5閾値B2(PM2.5閾値A2より小さい)未満である場合に、空気汚染度が十分に低いと判定する。協調運転制御部56は、空気汚染度が十分に低いと判定した場合(S34のY)、S36の処理をスキップする。
【0053】
協調運転制御部56は、空気調和装置200と給気浄化扇312をデフォルトの設定に戻す(S38)。具体的には、協調運転制御部56は、空気調和装置200の運転状態を冷房運転とし、風量を自動とし、設定温度を初期温度とすることを指示する信号を空気調和装置200へ送信する。各フローチャートの説明における「初期温度」は、協調運転開始時に空気調和装置200に設定された設定温度である。また、協調運転制御部56は、風量を自動とすることを指示する信号を給気浄化扇312(IAQリモコン322)へ送信する。
【0054】
協調運転オンの状態が維持される間、サーバ360のセンサ情報取得部52は、所定の周期で(例えば5分おきに)、室内100の温度情報、湿度情報、CO濃度、およびPM2.5濃度を繰り返し取得する。同様に、サーバ360の運転状態取得部54は、所定の周期で(例えば5分おきに)、空気調和装置200の運転状態と給気浄化扇312の運転状態を繰り返し取得する(S40)。
【0055】
サーバ360の協調運転制御部56は、S16、S22、S28、およびS34それぞれの判定を実施する(S42)。すなわち、協調運転制御部56は、空気汚染度が高いか(言い換えれば高い空気汚染状態か否か)、室内100の温度と設定温度との差が大きいか(温度外れか否か)、室内100の湿度が快適ゾーンを外れているか(湿度外れか否か)、および空気汚染度が十分に低いか(言い換えれば中程度の空気汚染状態か否か)を判定する。この判定処理は、各センサ情報(温度情報など)の取得と同期して実行されてもよく、実行周期は5分であってもよい。
【0056】
高い空気汚染状態の場合、温度外れの場合、湿度外れの場合、または中程度の空気汚染状態の場合(S42のY)、協調運転制御部56は、S18の第1換気制御、S24の温度制御、S30の湿度制御、またはS36の第2換気制御を実行する(S44)。高い空気汚染状態、温度外れ、湿度外れ、または中程度の空気汚染状態の複数が該当する場合、協調運転制御部56は、第1換気制御、温度制御、湿度制御、および第2換気制御の順に実行する。高い空気汚染状態、温度外れ、湿度外れ、または中程度の空気汚染状態のいずれにも該当しない場合(S42のN)、S44の処理をスキップする。
【0057】
所定の終了条件が満たされた場合(S46のY)、サーバ360は、空気調和装置200と給気浄化扇312の協調運転を終了し、図3図4に示す処理を終了する。以降、空気調和装置200と給気浄化扇312は、互いに独立して自律的に動作する。終了条件は、例えば、ユーザが協調運転の停止を指示する操作をユーザ端末350に入力し、サーバ360がユーザ端末350から送信された協調運転終了の指示を受け付けたことであってもよい。所定の終了条件が満たされなければ(S46のN)、S42の処理に戻る。
【0058】
図5は、図3のS18の第1換気制御の詳細を示すフローチャートである。協調運転制御部56は、室内100のCO濃度がCO閾値A1以上の場合(S50のY)、S52の処理を実行する。また、協調運転制御部56は、室内100のCO濃度がCO閾値A1未満であり(S50のN)、かつ、室内100のPM2.5濃度がPM2.5閾値A2より大きければ(S54のY)、S52の処理を実行する。
【0059】
協調運転制御部56は、S52の処理として、給気浄化扇312の風量レベルを「4」に設定する。また、協調運転制御部56は、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「強」に設定する。また、協調運転制御部56は、室内温度と設定温度との差が予め定められた温度差閾値A3以下の場合、(初期温度-調整値A4(調整値A4は0より大きい))を新たな設定温度として設定する。また、協調運転制御部56は、室内温度と設定温度との差が温度差閾値A3より大きい場合、(初期温度-調整値B4(調整値B4は調整値A4より大きい))を新たな設定温度として設定する。
【0060】
協調運転制御部56は、5分が経過するまで、すなわち、新たなCO濃度情報とPM2.5濃度情報が取得されるまで待機する(S56のN)。5分が経過すると(S56のY)、S50に戻る。協調運転制御部56は、室内100のCO濃度がCO閾値A1未満であり、かつ、室内100のPM2.5濃度がPM2.5閾値A2以下であれば(S54のN)、設定温度を初期温度に戻す(S58)。
【0061】
図6は、図3のS24の温度制御の詳細を示すフローチャートである。協調運転制御部56は、室内100の温度が設定温度より大きい(温度差が1℃を超える)場合(S60のY)、給気浄化扇312の給気動作をオフ(風量レベル「0」)にするとともに、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「強」に設定する(S62)。これにより、室内100の温度を効率よく低下させる。協調運転制御部56は、室内100の温度と設定温度との差が±1℃以内になるまで待機する(S64のN)。協調運転制御部56は、室内100の温度と設定温度との差が±1℃以内になると(S64のY)、図6に示す温度制御の処理を終了する。
【0062】
協調運転制御部56は、室内100の温度が設定温度より小さく(S60のN)、その温度差が1℃を超える場合(S66のY)、給気浄化扇312の風量レベルを「1」に設定するとともに、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「自動」に設定する(S68)。これにより、室内100の温度を徐々に高める。協調運転制御部56は、室内100の温度と設定温度との差が±1℃以内になるまで待機する(S70のN)。協調運転制御部56は、室内100の温度と設定温度との差が±1℃以内になると(S70のY)、図6に示す温度制御の処理を終了する。S66の判定ステップで室内100の温度と設定温度との差が±1℃以内であれば(S66のN)、図6に示す温度制御の処理を終了する。
【0063】
図7は、図3のS30の湿度制御の詳細を示すフローチャートである。協調運転制御部56は、室内100の湿度が60%より大きい場合(S80のY)、給気浄化扇312の給気動作をオフ(風量レベル「0」)にするとともに、空気調和装置200の動作モードを除湿運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「自動」に設定する(S82)。これにより、室内100の湿度を効率よく低下させる。協調運転制御部56は、室内100の湿度が40%~60%の範囲になるまで待機する(S84のN)。協調運転制御部56は、室内100の湿度が40%~60%の範囲に入ると(S84のY)、図7に示す湿度制御の処理を終了する。
【0064】
協調運転制御部56は、室内100の湿度が40%未満の場合(S80のNかつS86のY)、給気浄化扇312の風量レベルを「4」に設定するとともに、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「自動」に設定する(S88)。これにより、室内100の湿度を効率よく高めることができる。協調運転制御部56は、室内100の湿度が40%~60%の範囲になるまで待機する(S90のN)。協調運転制御部56は、室内100の湿度が40%~60%の範囲に入ると(S90のY)、図7に示す湿度制御の処理を終了する。そもそも室内100の湿度が40%~60%の範囲であれば(S86のN)、図7に示す湿度制御の処理を終了する。
【0065】
図8は、図4のS36の第2換気制御の詳細を示すフローチャートである。協調運転制御部56は、室内100のCO濃度が所定のCO閾値B1(CO閾値B1はCO閾値A1より小さい)以下である場合(S100のY)、給気浄化扇312の風量レベルを「1」に設定するとともに、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「自動」に設定する(S102)。協調運転制御部56は、S104の処理に進む。
【0066】
室内100のCO濃度がCO閾値B1より大きく、かつ、CO閾値A1より小さい場合(S100のNかつS108のY)、協調運転制御部56は、給気浄化扇312の風量レベルを「3」に設定するとともに、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「強」に設定する(S110)。協調運転制御部56は、室内100のCO濃度がCO閾値B1以下になるまで待機し(S112のN)、CO濃度がCO閾値B1以下になると(S112のY)、S104の処理に進む。
【0067】
室内100のCO濃度がCO閾値A1以上であれば(S108のN)、協調運転制御部56は、図5で示した第1換気制御を実行する。第1換気制御が終了すると、図8に示す第2換気制御の処理をS100から再度実行してもよい。
【0068】
続いて、室内100のPM2.5濃度が所定のPM2.5閾値B2(PM2.5閾値B2はPM2.5閾値A2より小さい)以下である場合(S104のY)、協調運転制御部56は、給気浄化扇312の風量レベルを「1」に設定するとともに、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「自動」に設定する(S106)。協調運転制御部56は、図8に示す第2換気制御の処理を終了する。
【0069】
室内100のPM2.5濃度がPM2.5閾値B2より大きく、かつ、PM2.5閾値A2以下の場合(S104のNかつS114のY)、協調運転制御部56は、給気浄化扇312の風量レベルを「2」に設定するとともに、空気調和装置200の動作モードを冷房運転に設定し、空気調和装置200の風量レベルを「自動」に設定する(S116)。協調運転制御部56は、室内100のPM2.5濃度がPM2.5閾値B2以下になるまで待機し(S118のN)、PM2.5濃度がPM2.5閾値B2以下になると(S118のY)、図8に示す第2換気制御の処理を終了する。
【0070】
室内100のPM2.5濃度がPM2.5閾値A2より大きければ(S114のN)、協調運転制御部56は、図7で示した第1換気制御を実行する。第1換気制御が終了すると、図8に示す第2換気制御の処理をS100から再度実行してもよい。
【0071】
図8で示した第2換気制御において、給気浄化扇312の風量レベルが「1」または「2」の場合であって、かつ、室内温度と設定温度の差が上記の温度差閾値A3以下の場合、協調運転制御部56は、空気調和装置200の設定温度を1℃減じてもよい。また、給気浄化扇312の風量レベルが「3」~「5」の場合であって、かつ、室内温度と設定温度の差が温度差閾値A3以下の場合、協調運転制御部56は、空気調和装置200の設定温度を2℃減じてもよい。なお、第2換気制御は、温度制御の後に実行されるため、室内温度と設定温度の差は温度差閾値A3以下になる。
【0072】
実施の形態の機器制御システム1000によると、協調運転アルゴリズムに基づいて、給気浄化扇312と空気調和装置200とを好適に協調運転させ、室内100の空気の快適性を効率的に向上させることができる。また、図5図8に関連して説明したように、協調運転アルゴリズムでは、第1換気制御、温度制御、湿度制御、第2換気制御のそれぞれがサブルーチン化されており、室内環境の複数の要素(温度、湿度、空気質)のうち状態が悪化した要素に対応するサブルーチンを実行することで、室内環境を効率的に改善することができる。
【0073】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0074】
変形例を説明する。サーバ360の協調運転制御部56は、S16、S22、S28、およびS34それぞれの判定を5分ごとに実行してもよい。協調運転制御部56は、温度外れを検出した場合、湿度制御または第2換気制御を実行中であっても、当該制御を中断して、温度制御を実行してもよい。また、協調運転制御部56は、温度外れはないが湿度外れを検出した場合、第2換気制御を実行中であっても、当該制御を中断して、湿度制御を実行してもよい。ただし、協調運転制御部56は、第1換気制御を最高優先度で実行する。
【0075】
別の変形例を説明する。機器制御システム1000は、寒冷地(例えば低温乾燥地域)に構築されてもよい。この場合、給気浄化扇312が室外102の低温乾燥の空気を室内100に取り込むと、空気調和装置200による空気調和の効率が低下する。そこで、本変形例においても、サーバ360が、室内100の換気のための制御(第1換気制御と第2換気制御)と、室内100の空気調和のための制御(温度制御と湿度制御)を並列実行せずに逐次実行することにより、空気調和装置200による空気調和の効率低下を抑制し、室内100の空気調和と空気浄化を効率的かつ迅速に実現することができる。
【0076】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0077】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の機器制御システム(1000)は、室外(102)から室内(100)に向かって流れる空気を浄化し、浄化した空気を室内(100)に給気することにより室内(100)を換気する給気浄化扇(312)と、室内(100)の空気調和を行う空気調和装置(200)と、給気浄化扇(312)と空気調和装置(200)とを制御する制御装置(360)とを備える。制御装置(360)は、室内(100)の換気のための制御と、室内(100)の空気調和のための制御とを逐次実行する。
【0078】
機器制御システム(1000)は、給気浄化扇(312)の制御に関連する室内(100)の状態を検知する第1センサ(46、48)と、空気調和装置(200)の制御に関連する室内(100)の状態を検知する第2センサ(24、26)とをさらに備えてもよい。制御装置(360)は、第1センサ(46、48)により検知された室内(100)の状態と、第2センサ(24、26)により検知された室内(100)の状態とをもとに、換気のための制御と、空気調和のための制御のいずれかを選択的に実行してもよい。
【0079】
換気のための制御は、室内(100)の空気の汚染度が相対的に高い場合の第1換気制御と、室内(100)の空気の汚染度が相対的に低い場合の第2換気制御とを含んでもよい。制御装置(360)は、第1換気制御、空気調和のための制御、および第2換気制御の順に優先して実行してもよい。
【0080】
制御装置(360)は、空気調和のための制御において、室内(100)の温度と、空気調和装置(200)の設定温度とに基づいて、給気浄化扇(312)による給気の態様を決定してもよい。
【0081】
制御装置(360)は、空気調和のための制御において、室内(100)の湿度と、予め定められた湿度の基準値とに基づいて、給気浄化扇(312)による給気の態様を決定してもよい。
【0082】
制御装置(360)は、換気のための制御において、空気調和装置(200)の設定温度を低下させてもよい。
【符号の説明】
【0083】
24 温度センサ
26 湿度センサ
46 二酸化炭素センサ(COセンサ)
48 PM2.5センサ
100 室内
102 室外
200 空気調和装置
312 給気浄化扇
350 ユーザ端末
360 サーバ
1000 機器制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8