(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】誘虫光照射装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/04 20060101AFI20240726BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240726BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20240726BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20240726BHJP
F21W 131/103 20060101ALN20240726BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240726BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20240726BHJP
【FI】
A01M1/04 A
H01L33/00 L
F21S8/08 100
F21V33/00 400
F21W131:103
F21Y115:10
F21Y113:10
(21)【出願番号】P 2020214530
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】青木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】葛原 一功
(72)【発明者】
【氏名】矢口 充雄
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2013/042743(JP,A1)
【文献】特開2016-086733(JP,A)
【文献】特開2016-165277(JP,A)
【文献】特開2016-208944(JP,A)
【文献】特開2013-118823(JP,A)
【文献】特開2016-085896(JP,A)
【文献】特開2020-116881(JP,A)
【文献】特開2016-103017(JP,A)
【文献】特開2009-218019(JP,A)
【文献】特開2014-186881(JP,A)
【文献】特表2019-512237(JP,A)
【文献】特開2013-239269(JP,A)
【文献】特開2019-062772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/04
H01L 33/00
F21S 8/08
F21V 33/00
F21W 131/103
F21Y 115/10
F21Y 113/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上面に配置され、430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する青色光を上方に向けて放つ
複数の第1LED素子と、
前記上面に配置され、350nm以上390nm以下の範囲にピーク波長を有する紫外光を上方に向けて放つ
複数の第2LED素子と、
複数の前記第1LED素子及び
複数の前記第2LED素子の上方に配置され、板形状を有し、前記青色光及び前記紫外光が透過するカバー部材と、を備え、
前記基板の平面視において、
前記カバー部材の面積をS1とし、
複数の前記第1LED素子及び
複数の前記第2LED素子の外接矩形の領域の面積をS2とした場合、
前記S1及び前記S2は、
1/3≦S2/S1≦1
を満た
し、
前記平面視において、
複数の前記第1LED素子及び複数の前記第2LED素子は、j×k(j及びkは、1以上の自然数)の行列状に配置され、
前記行列状の1列目には、複数の前記第1LED素子のうち1以上の前記第1LED素子のみが配置され、
前記行列状のk列目には、複数の前記第1LED素子のうち他の1以上の前記第1LED素子のみが配置される
誘虫光照射装置。
【請求項2】
前記S1及び前記S2は、
1/2≦S2/S1≦1
を満たす
請求項1に記載の誘虫光照射装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記青色光及び前記紫外光の少なくとも一方を散乱させる散乱層を有する
請求項1又は2に記載の誘虫光照射装置。
【請求項4】
前記散乱層は、前記一方の反射を抑制する
請求項3に記載の誘虫光照射装置。
【請求項5】
前記散乱層は、前記青色光及び前記紫外光を散乱させる
請求項3又は4に記載の誘虫光照射装置。
【請求項6】
前記散乱層は、前記青色光及び前記紫外光の反射を抑制する
請求項3~5のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【請求項7】
前記散乱層の拡散透過率は、10%以上100%以下である
請求項3~6のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【請求項8】
前記第1LED素子の上方、かつ、前記カバー部材の下方に前記青色光を拡散する第1拡散レンズを、さらに備える
請求項1~7のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【請求項9】
前記第1拡散レンズは、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂によって構成されている
請求項8に記載の誘虫光照射装置。
【請求項10】
前記第2LED素子の上方、かつ、前記カバー部材の下方に前記紫外光を拡散する第2拡散レンズを、さらに備える
請求項1~9のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【請求項11】
前記第2拡散レンズは、ホウケイ酸ガラス又はソーダガラスによって構成されている
請求項10に記載の誘虫光照射装置。
【請求項12】
前記第2拡散レンズは、強化ガラスによって構成されている
請求項11に記載の誘虫光照射装置。
【請求項13】
基板と、
前記基板の上面に配置され、430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する青色光を上方に向けて放つ
複数の第1LED素子と、
前記上面の上方に配置され、350nm以上390nm以下の範囲にピーク波長を有する紫外光を上方に向けて放つ
複数の第2LED素子と、
板形状を有し、前記青色光及び前記紫外光が透過するように配置されるカバー部材と、
複数の前記第1LED素子の
それぞれの上方に前記青色光を拡散する第1拡散レンズと、を備え、
前記カバー部材は、前記青色光及び前記紫外光を散乱させる散乱層を有
し、
前記基板の平面視において、
複数の前記第1LED素子及び複数の前記第2LED素子は、j×k(j及びkは、1以上の自然数)の行列状に配置され、
前記行列状の1列目には、複数の前記第1LED素子のうち1以上の前記第1LED素子のみが配置され、
前記行列状のk列目には、複数の前記第1LED素子のうち他の1以上の前記第1LED素子のみが配置される
誘虫光照射装置。
【請求項14】
前記誘虫光照射装置は、所定方向を軸として回動可能である
請求項1~13のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘虫光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光は虫を誘引する光(誘虫光)として利用されることがあり、従来、このような紫外光を放つ誘虫光照射装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される発光装置(誘虫光照射装置)は、実装基板と、この実装基板上に配置された紫外光を放つ複数の紫外LED素子、紫外光を取り出すための窓材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、虫が誘虫光照射装置を見た場合には、窓材から誘虫光が照射されているため、窓材が発光部材であるように見える。なお、特許文献1では、複数の紫外LED素子が実装基板の中央に集められて配置されている。このような複数の紫外LED素子の配置では、虫は、発光部材の一部(つまりは、発光部材の中央付近の狭い範囲)しか発光していないように見える。つまり、誘虫光は、広い範囲に向けて放たれていないため、十分に誘虫することができない。
【0006】
本発明は、十分に誘虫することができる誘虫光照射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る誘虫光照射装置は、基板と、前記基板の上面に配置され、430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する青色光を上方に向けて放つ第1LED素子と、前記上面に配置され、350nm以上390nm以下の範囲にピーク波長を有する紫外光を上方に向けて放つ第2LED素子と、前記第1LED素子及び前記第2LED素子の上方に配置され、板形状を有し、前記青色光及び前記紫外光が透過するカバー部材と、を備え、前記基板の平面視において、前記カバー部材の面積をS1とし、前記第1LED素子及び前記第2LED素子の外接矩形の領域の面積をS2とした場合、前記S1及び前記S2は、1/3≦S2/S1≦1を満たす。
【0008】
本発明の一態様に係る誘虫光照射装置は、基板と、前記基板の上面に配置され、430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する青色光を上方に向けて放つ第1LED素子と、前記上面の上方に配置され、350nm以上390nm以下の範囲にピーク波長を有する紫外光を上方に向けて放つ第2LED素子と、板形状を有し、前記青色光及び前記紫外光が透過するように配置されるカバー部材と、前記第1LED素子の上方に前記青色光を拡散する第1拡散レンズと、を備え、前記カバー部材は、前記青色光及び前記紫外光を散乱させる散乱層を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の誘虫光照射装置は、十分に誘虫することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る誘虫光照射装置を備える照明システムの構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る誘虫光照射装置の外観図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る誘虫光照射装置が備える基板の平面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線における誘虫光照射装置の切断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1の変形例1に係る誘虫光照射装置が備える基板の平面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1の変形例2に係る誘虫光照射装置が備える基板の平面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1の変形例3に係る誘虫光照射装置が備える基板の平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る誘虫光照射装置の外観図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3に係る誘虫光照射装置の外観図である。
【
図10】
図10は、第1実施例に係る誘虫光照射装置が備える基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、それぞれ三次元直交座標系の三軸を示している。各実施形態では、基板の上面とxy平面とは平行であり、xy平面と垂直は方向をx軸方向としている。
【0014】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではない。「上方」及び「下方」などの用語は、あくまでも部材間の相互の配置を指定するために用いており、誘虫光照射装置の使用時における姿勢を限定する意図ではない。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接触する場合にも適用される。
【0015】
(実施の形態1)
まず、実施の形態に係る誘虫光照射装置100を備える照明システム1の構成について説明する。
【0016】
[構成]
図1は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100を備える照明システム1の構成を示す側面図である。
【0017】
図1が示すように、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100は、照明システム1などに用いられる。この照明システム1は、青色光と紫外光とを含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100と、照明光L2を照射する照明光照射装置200と、第1架台101と、第2架台201と、支柱400とを備えるシステムである。
【0018】
ここでは、支柱400は、第1架台101及び第2架台201を介して、誘虫光照射装置100及び照明光照射装置200を支持する長尺形状の部材である。第1架台101及び第2架台201のそれぞれは、支柱400に取り付けられ、支柱400と誘虫光照射装置100及び照明光照射装置200のそれぞれとを接続する部材である。
【0019】
照明システム1は、例えば、屋外の競技施設10などで利用されるシステムである。照明光照射装置200が放つ照明光L2によって、競技施設10のグラウンドGが照明される。このとき、照明光L2が意図せず虫Pを誘引してしまうため、虫Pが照明光照射装置200に取り付いてしまう。そこで、この照明システム1では、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射することによって、取り付いた虫Pを照明システム1の周囲に誘引し続け、つまりは、取り付いた虫Pを照明システム1に留めておくことができる。このような照明システム1によって、競技施設10外に虫Pが拡散することが抑制される。
【0020】
また、このような照明システム1においては、照明光照射装置200と誘虫光照射装置100とが同時に照明光L2と誘虫光L1とを照射してもよい。さらに、照明光照射装置200の消灯後にも、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射し続けるとよい。これにより、照明光照射装置200が放つ照明光L2によって誘虫された虫Pは、誘虫光L1によって引き続き誘虫され続ける。つまりは、競技施設10外に虫Pが拡散することがより抑制される。
【0021】
なお、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100の使用用途は、上記に限定されるものではない。
【0022】
続いて、誘虫光照射装置100について説明する。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100の外観図である。また、
図3は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100が備える基板150の平面図である。
【0024】
図2及び
図3が示すように、誘虫光照射装置100は、複数の第1LED素子110と、複数の第1拡散レンズ111と、複数の第2LED素子120と、複数の第2拡散レンズ121とを有する。また、誘虫光照射装置100は、基板150と、筐体160と、カバー部材170と、2個の取付部180とを有する。なお、
図2及び
図3においては、識別のため、複数の第1LED素子110には濃いドットが、複数の第2LED素子120には薄いドットが付されている。
【0025】
さらに、誘虫光照射装置100の構成要素について説明する。
【0026】
図3が示すように、複数の第1LED素子110のそれぞれは、基板150の上面151(つまりは、z軸正側に位置する基板150の主面)に配置され、青色光を放つLED(Light Emitting Diode)によって構成されたLED素子である。換言すると、複数の第1LED素子110のそれぞれは、基板150の上面151に実装されている。また、複数の第1LED素子110のそれぞれは、青色光を上方(つまり、z軸正側)に向けて放つ。
【0027】
青色光とは、430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する光である。また、青色光のピーク波長は、440nm以上460nm以下であるとよりよく、445nm以上455nm以下であるとさらによい。青色光とは、主に430nm以上490nm以下の波長を有する光である。青色光とは、430nm以上490nm以下の波長の光以外の光を含まないとよい。また、青色光とは、430nm以上490nm以下の波長の光以外の光の強度が、ピーク波長の強度の10分の1以下である光であってもよい。
【0028】
複数の第2LED素子120のそれぞれは、基板150の上面151に配置され、紫外光を放つLEDによって構成されたLED素子である。換言すると、複数の第2LED素子120のそれぞれは、基板150の上面151に実装されている。また、複数の第2LED素子120のそれぞれは、紫外光を上方に向けて放つ。
【0029】
紫外光とは、350nm以上390nm以下の範囲にピーク波長を有する光である。また、紫外光のピーク波長は、360nm以上380nm以下であるとよりよく、365nm以上375nm以下であるとさらによい。紫外光とは、主に300nm以上400nm以下の波長を有する光である。紫外光とは、300nm以上400nm以下の波長の光以外の光を含まないとよい。また、紫外光とは、300nm以上400nm以下の波長の光以外の光の強度が、ピーク波長の強度の10分の1以下である光であってもよい。
【0030】
このように、複数の第1LED素子110のそれぞれと複数の第2LED素子120のそれぞれとは、青色光と紫外光とを放つ。誘虫光照射装置100が照射する誘虫光L1は、この放たれた青色光と紫外光とを含む光である。つまり、誘虫光L1は、非白色光である。
【0031】
虫Pは、光に反応して移動する走行性という習性を有する。ここで、虫Pは、光に向かって進む正の走行性を有する。また、紫外光の波長範囲は、一般的な虫Pの比視感度が高い波長範囲である。そのため、誘虫光L1が紫外光を含むことで、虫Pが誘虫光L1に向かって進む、つまりは、虫Pが誘虫光L1に誘引されやすくなる。また、青色光の波長範囲は、虫Pのうちカメムシ目などの比視感度が高い波長範囲となる。同様に、誘虫光L1が青色光を含むことで、カメムシ目なども誘虫光L1に誘引されやすくなる。
【0032】
複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、個々にパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子である。複数の第1LED素子110のそれぞれ及び複数の第2LED素子120のそれぞれは、樹脂製等の容器(パッケージ)と、容器内に配置されたLEDチップ(ベアチップ)と、LEDチップを封止する封止部材とを備える。
【0033】
具体的には、複数の第1LED素子110のそれぞれは、青色光を放つSMD型の青色LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると青色光を発する青色LEDチップを用いて、容器に充填される封止部材としては、青色光を透過する透明樹脂(一例として、シリコーン樹脂)を用いることができる。
【0034】
同様に、複数の第2LED素子120のそれぞれは、紫外光を放つSMD型の近紫外LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると紫外光を発する紫外LEDチップを用いて、容器に充填される封止部材としては、紫外光を透過し、かつ、紫外光により劣化しにくいガラス材料及びフッ素系樹脂などを用いることができる。
【0035】
なお、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120そのものがLEDチップ(ベアチップ)であるLED素子であってもよい。この場合、基板150と複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120とは、LEDチップ(複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120)が基板150に直接実装されたCOB(Chip On Board)構造となる。
【0036】
さらにここで、複数の第1LED素子110と複数の第2LED素子120との配置について説明する。まずは、この配置について、複数の第1LED素子110と複数の第2LED素子120とに分けて別個に説明する。
【0037】
図2及び
図3が示すように、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100は、12個の第2LED素子120を有し、12個の第2LED素子120は、3×4の行列状に配置されている。12個の第2LED素子120のそれぞれは、互いに離間して配置されている。なお、基板150の上面151に配置された全ての第2LED素子120の個数が12個である。しかし、これに限られず、誘虫光照射装置100が有する第2LED素子120の数は、p個(p≧1、pは自然数)であればよい。つまり、基板150の上面151に配置された全ての第2LED素子120の個数がp個である。p個の第2LED素子120の配置は行列状に限られず、ランダム形状、リング形状及び線形状などでもよく、p個の第2LED素子120は上面151に平面充填された正多角形の頂点に相当する箇所に配置されてもよい。また、p個の第2LED素子120は、上記が組み合わされて配置されてもよい。
【0038】
さらに、
図2及び
図3が示すように、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100は、6個の第1LED素子110を有する。なお、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110の個数が6個である。
【0039】
また、6個の第1LED素子110は、2個のグループに分けて配置されている。より具体的には、6個の第1LED素子110のうち3個は1個のグループに属して配置され、残り3個は他の1個のグループに属して配置されている。なお、1個のグループに属する3個の第1LED素子110は、12個の第2LED素子120よりもx軸負側に配置され、他の1個のグループに属する3個の第1LED素子110は、12個の第2LED素子120よりもx軸正側に配置されている。また、1個のグループに属する3個の第1LED素子110、及び、他の1個のグループに属する3個の第1LED素子110は、3×4の行列状に配置された12個の第2LED素子120の列と平行となるように直線形状に配置されている。
【0040】
つまり、
図2及び3が示すように、複数の第2LED素子120は、1個のグループに属する3個の第1LED素子110、及び、他の1個のグループに属する3個の第1LED素子110によって挟まれるように配置されている。
【0041】
複数の第2LED素子120が上記のように挟まれるように配置されているため、誘虫光照射装置100が照射する誘虫光L1は、青色光と紫外光とが均一に複合された光となり易い。よって、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0042】
しかし、上記に限られず、第1LED素子110は以下のように構成されてもよい。誘虫光照射装置100が有する第1LED素子110の数は、q個(q≧1、qは自然数)であればよい。なお、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110の個数がq個である。
【0043】
また、上記では、6個の第1LED素子110が2個のグループに分けて配置されたが、これに限られず、q個の第1LED素子110は、1個のグループに配置されてもよく、3つ以上のグループに分けて配置されてもよい。q個の第1LED素子110の配置は上記に限られず、ランダム形状、リング形状及び線形状などでもよく、q個の第1LED素子110は、上面151に平面充填された正多角形の頂点に相当する箇所に配置されてもよい。また、q個の第1LED素子110は、上記が組み合わされて配置されてもよい。
【0044】
次に、複数の第1LED素子110と複数の第2LED素子120との双方の配置について説明する。なお、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120を纏めて複数のLED素子と、複数の第1LED素子110のそれぞれ及び複数の第2LED素子120のそれぞれを単にLED素子と記載する場合がある。
【0045】
上記の通り、誘虫光照射装置100は、12個の第2LED素子120と、6個の第1LED素子110とを有し、つまりは、18個のLED素子を有している。18個のLED素子は、3×6の行列状に配置されている。また、18個のLED素子のそれぞれは、互いに離間して配置されている。なお、基板150の上面151に配置された全てのLED素子の個数が18個である。しかし、これに限られず、誘虫光照射装置100が有するLED素子の数は、m個(m=p+q≧2)であればよい。つまり、基板150の上面151に配置された全てのLED素子の個数がm個である。m個のLED素子の配置は行列状に限られず、ランダム形状、リング形状及び線形状などでもよく、m個のLED素子は上面151に平面充填された正多角形の頂点に相当する箇所に配置されてもよい。また、m個のLED素子は、上記が組み合わされて配置されてもよい。
【0046】
また、複数の第1LED素子110から放たれた青色光は第1拡散レンズ111に、複数の第2LED素子120から放たれた紫外光は第2拡散レンズ121に到達する。
【0047】
次に、複数の第1拡散レンズ111及び複数の第2拡散レンズ121について説明する。なお、複数の第1拡散レンズ111及び複数の第2拡散レンズ121をまとめて複数の拡散レンズと記載する場合がある。
【0048】
複数の第1拡散レンズ111は、それぞれ複数の第1LED素子110の上方、かつ、カバー部材170の下方(z軸負側)に配置される光学部品である。つまり、1個の第1拡散レンズ111と、1個の第1LED素子110とは、1対1で対応するように配置されている。複数の第1拡散レンズ111は、複数の第1LED素子110が放つ青色光を拡散する。つまりは、この青色光は、複数の第1拡散レンズ111を介して、より広角に放たれる。
【0049】
同様に、複数の第2拡散レンズ121は、それぞれ複数の第2LED素子120の上方、かつ、カバー部材170の下方に配置される光学部品である。1個の第2拡散レンズ121と、1個の第2LED素子120とは、1対1で対応するように配置されている。複数の第2拡散レンズ121は、複数の第2LED素子120が放つ紫外光を拡散する。つまりは、この紫外光は、複数の第2拡散レンズ121を介して、より広角に放たれる。
【0050】
複数の拡散レンズのそれぞれの形状は、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120が放つ青色光及び紫外光を拡散することができればどのような形状であってもよい。
【0051】
図3及び
図4には、複数の拡散レンズのそれぞれの形状の一例が示されている。
図4は、
図3のIV-IV線における誘虫光照射装置100の切断面を示す断面図である。
図3及び
図4が示すように、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの形状は、平凸レンズ形状であり、より具体的には、所謂半球レンズ形状である。なお、複数の第2拡散レンズ121のそれぞれの形状も同様である。
【0052】
つまり、複数の拡散レンズのそれぞれと大気との界面で、青色光及び紫外光の屈折が起こるため、上記の通り青色光及び紫外光がより広角に放たれる。なお、複数の拡散レンズのそれぞれの形状は上記に限られず、例えば、両凸レンズであってもよい。また、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの形状と、複数の第2拡散レンズ121のそれぞれの形状とは、本実施の形態においては同じであるが、異なっていてもよい。
【0053】
図4では、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれは、複数の第1LED素子110のそれぞれと直接接して配置されているが、これに限られない。例えば、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれと、複数の第1LED素子110のそれぞれとの間には、接着層が設けられてもよい。
【0054】
また、例えば、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれと複数の第1LED素子110のそれぞれとの間には空気層が設けられてもよい。つまり、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれと複数の第1LED素子110のそれぞれとは接していなくてもよい。この場合には、基板150の上面151に複数の第1拡散レンズ111を支持する支持部材が設けられ、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれは、この支持部材に接して配置されるとよい。なお、図示されないが、複数の第2拡散レンズ121のそれぞれも、複数の第2LED素子120のそれぞれと直接接して配置されているが、これに限られない。
【0055】
このように、複数の第1LED素子110のそれぞれの上方に、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれが配置されることで、複数の第1拡散レンズ111から放たれた青色光は、拡散されて放たれる。同様に、複数の第2LED素子120のそれぞれの上方に、複数の第2拡散レンズ121のそれぞれが配置されることで、複数の第2拡散レンズ121から放たれた紫外光は、拡散されて放たれる。
【0056】
つまりは、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0057】
さらに、複数の拡散レンズを構成する材料について説明する。
【0058】
まずは、複数の第1拡散レンズ111を構成する材料について説明する。
【0059】
複数の第1拡散レンズ111のそれぞれを構成する材料は、例えば透明樹脂であり、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などが候補として挙げられるが、ここでは、アクリル樹脂である。これらの透明樹脂は、複数の第1LED素子110が放つ青色光の波長領域における光透過率が、複数の第2LED素子120が放つ紫外光の波長領域における光透過率よりも高い材料である。
【0060】
これら透明樹脂によって構成される複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの青色光の波長領域における光透過率は、高い。複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの青色光の波長領域における光透過率は、具体的には、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。
【0061】
また例えば、これら透明樹脂によって構成される複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの紫外光の波長領域における光透過率は、低い。具体的には、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの紫外光の波長領域における光透過率は、50%未満であるとよく、30%未満であるとよりよく、20%未満であるとさらによく、10%未満であるとさらによりよい。なお、これら複数の第1拡散レンズ111が紫外光を吸収することで、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの紫外光の波長領域における光透過率は、上記の通りとなる。
【0062】
このように、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれは、青色光の波長領域における光透過率が、紫外光の波長領域における光透過率よりも高い材料によって構成されている。つまりは、複数の第1拡散レンズ111のそれぞれの、青色光の波長領域における光透過率は高く、紫外光の波長領域における光透過率は低い。
【0063】
青色光の波長領域における光透過率が高いことで、例えば、青色光が、複数の第1拡散レンズ111に吸収又は反射されることが抑制される。つまり、複数の第1LED素子110が放つ青色光の光ロスが抑制される。従って、このような青色光を含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100の発光効率を高めることができる。
【0064】
また、紫外光の波長領域における光透過率が低いことで、より具体的には、紫外光が吸収されることで、複数の第1LED素子110に紫外光が到達し難くなる。このため、この紫外光によって、複数の第1LED素子110が劣化することが抑制される。ここで、複数の第1LED素子110が劣化するとは、封止部材である透明樹脂が黄変する、この透明樹脂がパッケージから剥離する、又は、この透明樹脂に割れが発生する、などの問題を意味する。このため、例えば、黄変が抑制されるため、青色光が透明樹脂に吸収されることによる複数の第1LED素子110の発光特性の低下などの問題が発生し難い。つまりは、このような青色光を含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100では、発光特性の低下などの問題が発生しにくい。
【0065】
よって、紫外光による複数の第1LED素子110の劣化を抑制することができ、つまりは、紫外光による劣化を抑制することができる誘虫光照射装置100が実現される。この場合、紫外光は、複数の第2LED素子120が放つ紫外光に限られず、太陽光が含む紫外光も該当する。
【0066】
次に、複数の第2拡散レンズ121を構成する材料について説明する。
【0067】
複数の第2拡散レンズ121のそれぞれを構成する材料は、例えば、ホウケイ酸ガラス又はソーダガラスなどが候補として挙げられるが、ここでは、ホウケイ酸ガラスである。これらの材料は、紫外光の波長領域における光透過率が高い材料である。
【0068】
これらの材料によって構成される複数の第2拡散レンズ121のそれぞれの紫外光の波長領域における光透過率は、高い。複数の第2拡散レンズ121のそれぞれの紫外光の波長領域における光透過率は、具体的には、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。
【0069】
このように、紫外光の波長領域における光透過率が高いことで、例えば、紫外光が、複数の第2拡散レンズ121に吸収又は反射されることが抑制される。つまり、複数の第2LED素子120が放つ紫外光の光ロスが抑制される。従って、このような紫外光を含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100の発光効率を高めることができる。
【0070】
さらに、複数の第2拡散レンズ121は、強化ガラスによって構成されている。つまりは、複数の第2拡散レンズ121のそれぞれを構成する材料であるホウケイ酸ガラス又はソーダガラスは、強化ガラスである。
【0071】
強化ガラスは、一例として、風冷強化ガラス又は化学強化ガラスである。風冷強化ガラスは、均一に加熱されたガラスが軟化点付近の温度から急冷され、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力が生じることで、ガラス表面が強化されたガラスである。化学強化ガラスは、イオン交換法などによってガラス表面に圧縮応力が生じることで、ガラス表面が強化されたガラスである。
【0072】
つまり、複数の第2拡散レンズ121は、強化ガラスによって構成されていることで、熱又は衝撃などによる複数の第2拡散レンズ121の破損が抑制される。このため、誘虫光照射装置100の信頼性を高めることができる。
【0073】
さらに基板150について説明する。
【0074】
基板150は、上面151と、上面151に形成された配線パターンとを有する基板であって、一例として、矩形のプリント配線基板であるがこれに限られない。上面151には、複数の第1LED素子110と、複数の第2LED素子120とが配置されている。
【0075】
また、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100が有する基板150の数は、1個である。ここで、他の例に係る誘虫光照射装置について検討する。他の例に係る誘虫光照射装置は、2個の基板と、一方の基板に配置され青色光を放つ第1LED素子と、他方の基板に配置され紫外光を放つ第2LED素子とを有する。本実施の形態に係る誘虫光照射装置100は、他の例に係る誘虫光照射装置と比べ、1個の基板150を有していればよいため、誘虫光照射装置100のコンパクト化などが容易である。
【0076】
また、上面151における青色光及び紫外光の波長範囲の反射率は、低いとよく、具体的には、30%以下であるとよく、20%以下であるとよりよく、10%以下であるとさらによい。
【0077】
ここでは、上面151における青色光及び紫外光の波長範囲の反射率は10%以下であり、例えば、上面151の色は黒色である。よって基板150は、所謂黒色基板である。上面151がこのように構成されていることで、複数の第1LED素子110から放たれた青色光、及び、複数の第2LED素子120から放たれた紫外光が上面151に到達すると、吸収される。これにより、放たれた青色光及び紫外光が上面151によって反射されることが抑制され、つまりは、誘虫光照射装置100における迷光を抑制することができる。
【0078】
配線パターンは、複数の第1LED素子110のそれぞれ及び複数の第2LED素子120のそれぞれに電力を供給するための配線である。また、配線パターンは、リード線などと電気的に接続されている。よって、リード線及配線パターンを介して電力供給が行われることで、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120が青色光及び紫外光を放つ。
【0079】
次に、筐体160について説明する。
【0080】
筐体160は、金属製のケースである。具体的には、筐体160は、アルミニウム、銀、金、鉄及び銅のうち1以上の金属によって構成されるとよく、ここでは、筐体160は、アルミニウムによって構成される。
【0081】
また、筐体160を構成する材料は、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120によって放たれる青色光及び紫外光を透過しない材料によって構成されているとよい。上記のように、筐体160を構成する金属は、青色光及び紫外光を透過しない材料に該当する。なお、筐体160は、樹脂製のケースであってもよいが、この場合でも、筐体160を構成する材料は青色光及び紫外光を透過しない材料によって構成されているとよい。
【0082】
筐体160の内部空間は、複数の第1LED素子110と、複数の第1拡散レンズ111と、複数の第2LED素子120と、複数の第2拡散レンズ121と、基板150とを収納する閉塞空間である。従って、これらの構成要素は、筐体160によって保護されている。
【0083】
続いて、カバー部材170について説明する。
【0084】
図4が示すように、カバー部材170は、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の上方に配置され、板形状を有する部材である。また、カバー部材170は、筐体160に取り付けられる。より具体的には、カバー部材170は筐体160の開口部に取り付けられており、
図2が示すように、平面視で、カバー部材170の周囲は筐体160に囲まれている。また、カバー部材170の形状は、板形状を有していればよく、ここでは、平板形状であるが、これに限られず、湾曲形状又はドーム型であってもよい。また、カバー部材170は、紫外光及び青色光を透過する部材である。
【0085】
また、カバー部材170は、カバー部材本体部171と、散乱層172とを含む。
【0086】
カバー部材本体部171は、光透過性を有する部材であり、より具体的には、少なくとも紫外光及び青色光を透過する部材である。カバー部材本体部171の紫外光及び青色光の波長範囲における光透過率は、高いとよく、具体的には、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。このため、カバー部材本体部171に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、カバー部材本体部171を透過し、誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれる。
【0087】
カバー部材本体部171は、紫外光及び青色光を透過させる材料によって構成されており、ここでは、ホウケイ酸ガラスによって構成されている。なお、カバー部材本体部171は、紫外光及び青色光を透過させる材料であれば上記に限られず、ソーダガラス又は石英ガラスなどによって構成されていてもよい。カバー部材本体部171がこのように構成されることで、カバー部材170は、紫外光及び青色光を透過する。
【0088】
このため、例えば、誘虫光照射装置100の周囲に居る虫Pが誘虫光照射装置100を見た場合には、カバー部材170から誘虫光L1が照射されているように見える。つまり、虫Pにとっては、カバー部材170は、発光する部材(発光部材)のように見える。
【0089】
また、散乱層172は、青色光及び紫外光の少なくとも一方を散乱させる層である。ここでは、散乱層172は、青色光及び紫外光の両方を散乱させる層である。散乱層172は、カバー部材本体部171の下方(つまりz軸負側)に配置される。より具体的には、散乱層172は、カバー部材本体部171の下面全体に形成されている。
【0090】
ここでは、散乱層172は、例えば、上記のカバー部材本体部171を構成するホウケイ酸ガラスにケミカルエッチング処理が施されることで、形成される微細凹凸構造である。なお、散乱層172は、ケミカルエッチング処理に限らず、サンドブラスト処理など他の手法によって形成される微細凹凸構造であってもよい。
【0091】
なお、散乱層172はこれに限られない。例えば、この散乱層172は、例えば、紫外光及び青色光を散乱させる微粒子(例えば、シリカ微粒子など)が母材に分散された散乱膜であってもよい。また、カバー部材本体部171そのものが、紫外光及び青色光を散乱させる微粒子が分散されたホウケイ酸ガラスなどを用いて成形されてもよい。
【0092】
カバー部材170が散乱層172を含むことで、青色光及び紫外光が散乱される。このため、カバー部材170に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、散乱光となって、誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれる。つまりは、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0093】
また、散乱層172の拡散透過率は、10%以上100%以下であるが、これに限られず、高いとよい。例えば、散乱層172の拡散透過率は、50%以上100%以下であるとよく、80%以上100%以下であるとよりよい。
【0094】
なお、拡散透過率とは、散乱層172へ入光する光の量に対する、直進方向以外の方向に散乱層172を透過する光の量、すなわち拡散されて透過する光の量の割合である。拡散透過率は、例えば、ヘイズメーターなどによって測定される。
【0095】
散乱層172の拡散透過率が上記範囲にあることで、青色光及び紫外光が十分に散乱される。このため、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、さらにより広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、さらにより多くの虫Pを誘引することができる。
【0096】
また、散乱層172がカバー部材本体部171の下方に配置されることで、散乱層172が誘虫光照射装置100の外部の空間に露出されない。つまり、散乱層172は、カバー部材本体部171によって保護されている。このため、例えば、誘虫光照射装置100に飛来した鳥などによって、散乱層172が破壊されることが防がれる。
【0097】
さらに、散乱層172である微細凹凸構造は、一例として、モスアイ構造であり、周期的に形成された複数の凸部が形成されている構造である。ここで、複数の凸部のそれぞれの高さ及び隣接する凸部間の間隔は、200nm以上10μm以下であるとよい。複数の凸部のそれぞれの高さ及び隣接する凸部間の間隔を上記範囲内でより大きくすることで、青色光及び紫外光をより散乱させることができる。また、複数の凸部のそれぞれの高さ及び隣接する凸部間の間隔を上記範囲内でより小さくすることで、青色光及び紫外光の反射を抑制することができる。つまり、散乱層172が所謂モスアイ構造であることで、空気の屈折率からカバー部材本体部171の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで、青色光及び紫外光の反射を抑制することができる。
【0098】
これにより、散乱層172に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、カバー部材本体部171へ到達し易くなるため、カバー部材本体部171を透過して誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれ易くなる。つまりは、より多くの誘虫光L1が誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0099】
なお、上述の通り、散乱層172は、青色光及び紫外光の少なくとも一方を散乱させればよい。
【0100】
このため、カバー部材170に到達した誘虫光L1のうち青色光及び紫外光の少なくとも一方が散乱光となって、誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれる。つまりは、誘虫光L1のうち青色光及び紫外光の少なくとも一方が、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0101】
さらに、散乱層172が上記モスアイ構造であるときには、散乱層172は、上記一方の反射を抑制することができる。
【0102】
このため、カバー部材170に到達した誘虫光L1のうち青色光及び紫外光の少なくとも一方がカバー部材本体部171へ到達し易くなるため、カバー部材本体部171を透過して誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれ易くなる。つまりは、誘虫光L1のうち青色光及び紫外光の少なくとも一方が、誘虫光照射装置100から出射され易くなる。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0103】
なお、カバー部材170は、散乱層172を含まなくてもよい。この場合、カバー部材170は、カバー部材本体部171によって構成される。
【0104】
2個の取付部180は、筐体160と第1架台101とを接続するための部材である。なお、2個の取付部180は、一対の部材であり、筐体160を挟むように配置されている。2個の取付部180のそれぞれは、金属製又は樹脂製の、平板形状を有する部材である。
【0105】
また、筐体160は、2個の取付部180と回動可能に接続されている。例えば、
図1には筐体160の回転方向R1が矢印で示されており、
図2におけるx軸と平行な回動軸を中心に、筐体160は、回動される。なお、2個の取付部180と第1架台101とは、固定されているとよい。筐体160が回転方向R1に回転されることで、誘虫光L1の照射方向が制御される。
【0106】
[LED素子とカバー部材との関係]
ここで、複数の第1LED素子110と複数の第2LED素子120とカバー部材170との関係について説明する。
【0107】
まず、
図3には、平面視でのカバー部材170の輪郭が投影され、二点鎖線で図示されている。ここでは、平面視でのカバー部材170の面積をS1とし、具体的には、平面視でのカバー部材170のz軸正側の主面の面積をS1とし、より具体的には、投影されたカバー部材170の輪郭で囲まれた領域の面積をS1とする。なお、本実施の形態においては、カバー部材170の形状は、平板形状であるが、例えば、湾曲形状又はドーム型などの平板形状とは異なる形状であった場合でも、平面視でのカバー部材170の輪郭によって囲まれた領域の面積をS1とする。また、本実施の形態においては、カバー部材170の形状が平板形状であるため、平面視で投影されたカバー部材170の輪郭が矩形となる。カバー部材170の形状が円板形状である場合には、
図3が示す平面視で投影されたカバー部材170の輪郭は、円形となる。
【0108】
さらに、平面視で、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の外接矩形の領域Aの面積をS2とする。
【0109】
ここで、外接矩形についてより詳細に説明する。なお、
図3においては、外接矩形とは、二点鎖線で囲まれた矩形に相当する。また、
図3には外接矩形の領域Aが示されている。
【0110】
外接矩形とは、基板150の平面視で、配置された複数の第1LED素子110の全て及び複数の第2LED素子120の全てを囲う四角形である。外接矩形とは、基板150の平面視で、全ての第1LED素子110及び全ての第2LED素子120を内包する(つまりは取り囲む)矩形であって、平面視での面積が最小となる四角形を意味する。さらに外接矩形とは、複数の第1LED素子110の一部、及び、複数の第2LED素子120の一部、の少なくとも一方に接する四角形である。
【0111】
ここでは、
図3が示すように、外接矩形は、平面視で、配置された18個のLED素子の全てを囲っている。さらに外接矩形は、複数の第1LED素子110の一部、及び、複数の第2LED素子120の一部、の両方に接している。具体的には、3×6の行列状に配置された18個のLED素子のうち、1行目と3行目と1列目と6列目とに配置された14個のLED素子が、外接矩形と接している。さらに具体的には、外接矩形は、6個の第1LED素子110と、8個の第2LED素子120とに接している。
【0112】
なお、複数のLED素子がj×kの行列状に配置された場合には(j≧1、k≧1、j及びkは自然数)、1行目とj行目と1列目とk列目とに配置された複数のLED素子が、外接矩形と接する。
【0113】
また、基板150の上面151に配置された複数のLED素子の全ての個数がm個である場合には、外接矩形は、配置されたm個のLED素子の全てを囲うように複数のLED素子に接する外接矩形の領域を意味する。
【0114】
なお、ここで、誘虫光照射装置100が備える第1LED110素子の数が1個のみ、かつ、誘虫光照射装置100が備える第2LED素子120の数が1個のみの場合における外接矩形について説明する。
【0115】
このとき、第1LED素子及び第2LED素子の外接矩形とは、基板150の平面視で、配置された1個の第1LED素子110及び1個の第2LED素子120を囲う四角形である。さらに外接矩形とは、1個の第1LED素子110、及び、1個の第2LED素子120の両方に接する四角形である。
【0116】
また、外接矩形を構成する4個の辺のそれぞれは、平面視で投影されたカバー部材170の輪郭を示す矩形の4個の辺のそれぞれと、平行な辺であってもよい。ここでは、外接矩形を構成する4個の辺のそれぞれは、x軸又はy軸と平行な辺である。
【0117】
ここで再度、平面視でのカバー部材170の面積であるS1と、外接矩形の領域Aの面積であるS2とについて説明する。
【0118】
本実施の形態においては、S1及びS2は、1/3≦S2/S1≦1を満たす。また、S1及びS2は、1/2≦S2/S1≦1を満たすとよりよく、2/3≦S2/S1≦1を満たすとさらによい。
【0119】
S2/S1の値が1/3よりも大きいため、本実施の形態に係る複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、基板150の上面151に、分散して広い範囲に配置される。また、S2/S1の値が大きくなるほど、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、より広い範囲に配置される。
【0120】
複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、このように広い範囲に配置されて、青色光及び紫外光を放つ。このため、カバー部材170に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、カバー部材170のより広い範囲から、誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれる。つまりは、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、多くの虫Pを誘引することができる。
【0121】
さらに、本実施の形態においては、「誘虫光L1の明暗の強い領域」による効果も期待できる。この効果について以下に説明する。
【0122】
上述の通り、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、このように広い範囲に配置されて、青色光及び紫外光を放つ。このため、誘虫光照射装置100の周囲に居る虫Pにとっては、発光部材であるカバー部材170の広い範囲から誘虫光L1が照射されているように見え、つまりは、カバー部材170が明るく見える。
【0123】
ところで、上述のように、筐体160は、青色光及び紫外光を透過しない材料、つまりは、誘虫光L1を透過しない材料によって構成されている。このため、誘虫光照射装置100の周囲に居る虫Pにとっては、筐体160は、発光しておらず、暗く見える。
【0124】
さらに、虫Pが誘虫光照射装置100を見た場合について説明する。虫Pが、例えば、カバー部材170の端部と筐体160とを含む明暗領域B(
図2参照。二点鎖線の矩形が明暗領域Bに相当)を見た場合について説明する。この場合では、虫Pにとっては、明るく見えるカバー部材170と、暗く見える筐体160とが隣り合って配置されているように見える。つまり、虫Pにとっては、誘虫光L1の明暗の強い領域(つまりは明暗領域B)が生じる。誘虫光L1の明暗の強い領域は、コントラストが強い領域、又は、視覚的コントラストの急峻な領域とも言う。このような領域は、虫Pを強く誘引することができる。
【0125】
以上まとめると、本実施の形態においては、S1及びS2は、1/3≦S2/S1≦1を満たす。これにより、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、基板150の上面151に、分散して広い範囲に配置されて、青色光及び紫外光を放つ。このような青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、多くの虫Pを誘引することができる。つまりは、十分に誘虫することができる誘虫光照射装置100が実現される。
【0126】
さらに、本実施の形態においては、虫Pにとっては、明るく見えるカバー部材170と、暗く見える筐体160とが隣り合って配置されているように見える。虫Pにとっては、誘虫光L1の明暗の強い領域(つまりは明暗領域B)が生じ、虫Pがこのような領域により強く誘引される。つまりは、より十分に誘虫することができる誘虫光照射装置100が実現される。
【0127】
さらに、S1及びS2は、1/2≦S2/S1≦1を満たす場合には、第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、基板150の上面151に、分散してより広い範囲に配置される。この結果、虫Pにとっては、カバー部材170がより明るく見える。よって、虫Pにとって、誘虫光L1の明暗のより強い領域(つまりは明暗領域B)が生じ、虫Pがこのような領域により強く誘引される。このため、より十分に誘虫することができる誘虫光照射装置100が実現される。
【0128】
なお、誘虫光L1の明暗の強い領域は、明暗領域Bだけに限られない。上述のように、平面視で、発光部材であるカバー部材170の周囲は、筐体160に囲まれている。つまりは、筐体160に囲まれているカバー部材170の周囲の領域が、誘虫光L1の明暗の強い領域に相当する。
【0129】
さらに、本実施の形態においては、カバー部材170は、青色光及び紫外光を散乱させる散乱層172を含む。よって、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0130】
さらに、本実施の形態においては、青色光を拡散する複数の第1拡散レンズ111と、紫外光を拡散する複数の第2拡散レンズ121とが配置される。よって、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0131】
さらに、以下では、実施の形態1の変形例1~3について説明する。なお、実施の形態1に係る変形例1~3については、主に、複数の第1LED素子110と複数の第2LED素子120との配置が、実施の形態1とは異なる。
【0132】
(実施の形態1に係る変形例1)
実施の形態1に係る変形例1に係る誘虫光照射装置について、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態の変形例1に係る誘虫光照射装置が備える基板150の平面図である。
【0133】
本変形例に係る誘虫光照射装置は、主に、以下の1点を除いては、実施の形態1に係る誘虫光照射装置100と同じ構成を有する。具体的に1点とは、本変形例に係る誘虫光照射装置が1個の第1LED素子110と1個の第1拡散レンズ111とを備える点である。
【0134】
図5が示すように、本変形例においては、本実施の形態と同じく、誘虫光照射装置は、12個の第2LED素子120を有し、12個の第2LED素子120は、3×4の行列状に配置されている。なお、基板150の上面151に配置された全ての第2LED素子120の個数が12個である。
【0135】
さらに、誘虫光照射装置は1個の第1LED素子110を有し、1個の第1LED素子110は12個の第2LED素子120よりもx軸負側に配置されている。なお、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110の個数が1個である。
【0136】
つまり、本変形例においては、複数の第2LED素子120は、1個の第1LED素子110によって挟まれずに配置されている。
【0137】
また、本変形例に係る外接矩形とは、基板150の平面視で、配置された1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の全てを囲う四角形である。さらに、この外接矩形は、1個の第1LED素子110、及び、複数の第2LED素子120の一部の少なくとも一方に接する四角形である。具体的には、
図5が示すように、この外接矩形は、平面視で、配置された13個のLED素子の全てを囲っている。さらに外接矩形は、1個の第1LED素子110、及び、12個の第2LED素子120の一部(9個の第2LED素子120)の両方に接している。
【0138】
また、本変形例においても、実施の形態1と同じく、S1及びS2が1/3≦S2/S1≦1を満たす。このため、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、基板150の上面151に、分散して広い範囲に配置されて、青色光及び紫外光を放つ。これにより、十分に誘虫することができる誘虫光照射装置が実現される。
【0139】
(実施の形態1に係る変形例2)
実施の形態1に係る変形例2に係る誘虫光照射装置について、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態の変形例2に係る誘虫光照射装置が備える基板150の平面図である。
【0140】
本変形例に係る誘虫光照射装置は、主に、以下の1点を除いては、実施の形態1の変形例1に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。具体的に1点とは、本変形例に係る誘虫光照射装置が2個の第1LED素子110と2個の第1拡散レンズ111とを備える点である。
【0141】
図6が示すように、本変形例に係る誘虫光照射装置は2個の第1LED素子110を有し、2個の第1LED素子110は12個の第2LED素子120よりもx軸負側に配置されている。また、2個の第1LED素子110は、3×4の行列状に配置された12個の第2LED素子120の列と平行となるように直線形状に配置されている。なお、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110の個数が2個である。
【0142】
また、本変形例に係る外接矩形とは、基板150の平面視で、配置された2個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の全てを囲う四角形である。さらに、この外接矩形は、2個の第1LED素子110、及び、複数の第2LED素子120の一部の少なくとも一方に接する四角形である。具体的には、
図6が示すように、この外接矩形は、平面視で、配置された14個のLED素子の全てを囲っている。さらに外接矩形は、2個の第1LED素子110、及び、12個の第2LED素子120の一部(3個の第2LED素子120)の両方に接している。
【0143】
また、本変形例においても、実施の形態1と同じく、S1及びS2が1/3≦S2/S1≦1を満たす。このため、2個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、基板150の上面151に、分散して広い範囲に配置されて、青色光及び紫外光を放つ。これにより、十分に誘虫することができる誘虫光照射装置が実現される。
【0144】
(実施の形態1に係る変形例3)
実施の形態1に係る変形例3に係る誘虫光照射装置について、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態の変形例3に係る誘虫光照射装置が備える基板150の平面図である。
【0145】
本変形例に係る誘虫光照射装置は、主に、以下の1点を除いては、実施の形態1の変形例2に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。具体的に1点とは、2個の第1LED素子110が、複数の第2LED素子120によって挟まれている点である。
【0146】
図7が示すように、本変形例に係る誘虫光照射装置は、2個の第1LED素子110を有する。なお、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110の個数が2個である。また、12個の第2LED素子120は、x軸負側の6個の第2LED素子120と、x軸正側の6個の第2LED素子120とに区分されている。2個の第1LED素子110は、x軸負側の6個の第2LED素子120と、x軸正側の6個の第2LED素子120とによって挟まれている。
【0147】
また、本変形例に係る外接矩形とは、基板150の平面視で、配置された2個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の全てを囲う四角形である。さらに、この外接矩形は、2個の第1LED素子110、及び、複数の第2LED素子120の一部の少なくとも一方に接する四角形である。具体的には、
図7が示すように、この外接矩形は、平面視で、配置された14個のLED素子の全てを囲っている。さらに外接矩形は、12個の第2LED素子120の一部(10個の第2LED素子120)に接し、2個の第1LED素子110とは接していない。
【0148】
また、本変形例においても、実施の形態1と同じく、S1及びS2が1/3≦S2/S1≦1を満たす。このため、2個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、基板150の上面151に、分散して広い範囲に配置されて、青色光及び紫外光を放つ。これにより、十分に誘虫することができる誘虫光照射装置が実現される。
【0149】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る誘虫光照射装置100aについて、
図8を用いて説明する。
【0150】
図8は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100aの外観図である。
【0151】
本実施の形態に係る誘虫光照射装置100aは、主に、以下の2点を除いては、実施の形態1に係る誘虫光照射装置100と同じ構成を有する。具体的に2点とは、複数のLED素子の配置が実施の形態1と異なる点、及び、誘虫光照射装置100aが1個の第1LED素子110と第3拡散レンズ131とを有する点である。
【0152】
複数のLED素子の配置に関して、まず、複数の第2LED素子120について説明する。本実施の形態においては、誘虫光照射装置100aは、実施の形態1と同じく、3×4の行列状に配置された12個の第2LED素子120を有している。ただし、実施の形態1とは異なり、
図8が示すように、12個の第2LED素子120のそれぞれは、互いに接して配置されている。
【0153】
さらに、1個の第1LED素子110は、3×4の行列状に配置された複数の第2LED素子120から離れて配置されている。
【0154】
なお、本実施の形態においては、実施の形態1とは異なり、カバー部材170の面積であるS1と、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の外接矩形の領域の面積であるS2とは、1/3≦S2/S1≦1を満たす必要はない。例えば、本実施の形態においては、S1及びS2は、S2/S1<1/3を満たしている。つまり、本実施の形態においては、1個の第1LED素子110と複数の第2LED素子120とが基板150の中央に集められて配置されている。
【0155】
さらに、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100aは、実施の形態1とは異なり、第1拡散レンズ111及び第2拡散レンズ121を有さず、第3拡散レンズ131を有する。
【0156】
第3拡散レンズ131は、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の上方、かつ、カバー部材170の下方に配置され、青色光及び紫外光を拡散する光学部品である。つまり、
図8が示すように、大きな1個のレンズである第3拡散レンズ131によって、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120が覆われている。
【0157】
第3拡散レンズ131の形状は、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120が放つ青色光及び紫外光を拡散することができればどのような形状であってもよい。第3拡散レンズ131の形状の一例は、上記の複数の第1拡散レンズ111及び複数の第2拡散レンズ121と同じく、平凸レンズ形状である。つまり、第3拡散レンズ131と大気との界面で、青色光及び紫外光の屈折が起こるため、上記の通り青色光及び紫外光がより広角に放たれる。なお、第3拡散レンズ131の形状は上記に限られず、例えば、両凸レンズであってもよい。
【0158】
また、第3拡散レンズ131は、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120のそれぞれと直接接して配置されているが、これに限られない。例えば、第3拡散レンズ131と、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120のそれぞれとの間には、接着層又は空気層が設けられてもよい。
【0159】
また、第3拡散レンズ131を構成する材料は、上記のカバー部材本体部171を構成する材料と同じであるとよい。つまり、第3拡散レンズ131を構成する材料は、青色光及び紫外光を透過する材料であるとよく、例えば、ホウケイ酸ガラス又はソーダガラスなどが候補として挙げられるが、ここでは、ホウケイ酸ガラスである。これらの材料は、上記の通り、青色光及び紫外光の波長領域における光透過率が高い。
【0160】
このように、第3拡散レンズ131が、1個の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の上方に配置されることで、第3拡散レンズ131から放たれた青色光及び紫外光は、拡散されて放たれる。
【0161】
つまりは、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100aから出射される。これにより、誘虫光照射装置100aが出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0162】
また、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100aは、実施の形態1と同じく、カバー部材170を有する。つまり、カバー部材170が散乱層172を含むことで、青色光及び紫外光が散乱される。このため、カバー部材170に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、散乱光となって、誘虫光照射装置100aの外部の空間へと放たれる。つまりは、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100aから出射される。これにより、誘虫光照射装置100aが出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0163】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る誘虫光照射装置100bについて、
図9を用いて説明する。
【0164】
図9は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100bの外観図である。
【0165】
本実施の形態に係る誘虫光照射装置100bは、主に、以下の1点を除いては、実施の形態2に係る誘虫光照射装置100aと同じ構成を有する。具体的に1点とは、誘虫光照射装置100bが、第3拡散レンズ131を有さず、かつ、1個の第1拡散レンズ111を有する点である。
【0166】
つまり、本実施の形態においては、1個の第1拡散レンズ111は、誘虫光照射装置100bが有する1個の第1LED素子110の上方、かつ、カバー部材170の下方に配置され、青色光を拡散するレンズである。
【0167】
このように、1個の第1LED素子110の上方に、1個の第1拡散レンズ111が配置されることで、1個の第1拡散レンズ111から放たれた青色光は、拡散されて放たれる。つまりは、誘虫光L1が含む青色光が、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100bから出射される。これにより、誘虫光照射装置100bが出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0168】
なお、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100bが有する第1LED素子110と同じ数の第1拡散レンズ111が設けられていればよい。この場合は、実施の形態1と同じく、第1LED素子110と第1拡散レンズ111とが1対1で対応するように配置されている。
【0169】
また、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100bは、実施の形態1と同じく、カバー部材170を有する。つまり、カバー部材170が散乱層172を含むことで、青色光及び紫外光が散乱される。このため、カバー部材170に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、散乱光となって、誘虫光照射装置100bの外部の空間へと放たれる。つまりは、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100bから出射される。これにより、誘虫光照射装置100bが出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0170】
以上まとめると、誘虫光照射装置100bは、1個の第1LED素子110と、複数の第2LED素子120と、青色光及び紫外光を散乱させる散乱層172を含むカバー部材170と、1個の第1拡散レンズ111と、を備える。
【0171】
このため、1個の第1拡散レンズ111によって青色光が拡散されて放たれ、散乱層172によって青色光及び紫外光が散乱される。従って、誘虫光L1がより広い範囲に向けて誘虫光照射装置100bから出射される。これにより、誘虫光照射装置100bが出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0172】
(実施例など)
以下では、4個の実施例に係る誘虫光照射装置と、2個の検討例に係る誘虫光照射装置と、1個の比較例に係る誘虫光照射装置とに関して、それぞれの虫Pを誘引する性能(誘虫性能)について検討が行われた結果について説明する。
【0173】
まずは、4個の実施例に係る誘虫光照射装置(第1実施例~第4実施例に係る誘虫光照射装置)の構成について説明する。なお、第1実施例に係る誘虫光照射装置は上記の実施の形態1に係る誘虫光照射装置100と似た構成を有し、第2~第4実施例に係る誘虫光照射装置は第1実施例に係る誘虫光照射装置と似た構成を有しているため、差異点についてのみ記載する。
【0174】
まず、第1実施例に係る誘虫光照射装置について、
図10を用いて説明する。
図10は、第1実施例に係る誘虫光照射装置が備える基板150の平面図である。
図10は、実施の形態1で用いた
図3に相当する。
【0175】
第1実施例に係る誘虫光照射装置は、1個の第1LED素子110と、9個の第2LED素子120とを有し、第1拡散レンズ111と、第2拡散レンズ121とを有さない。
【0176】
また、第1実施例に係る誘虫光照射装置において、1個の第1LED素子110と9個の第2LED素子120との位置関係は、以下の通りである。9個の第2LED素子120は、3×3の行列状に配置されている。また、9個の第2LED素子120について、y軸負方向にむけて1行、2行、3行とし、x軸正方向に向けて、1列、2列、3列とする。この場合、1個の第1LED素子110は、2行2列の第2LED素子120と3行2列の第2LED素子120との間に配置されている。第1実施例に係る誘虫光照射装置では、外接矩形とは、基板150の平面視で、配置された1個の第1LED素子110及び9個の第2LED素子120の全てを囲う四角形である。さらに、この外接矩形は、9個の第2LED素子120の一部(8個の第2LED素子120)に接している。
【0177】
また、本実施例においては、カバー部材170は、カバー部材本体部171のみによって構成されており、散乱層172を含まない。そのため、このカバー部材170の拡散透過率は、1%以下である。また、第1実施例に係る誘虫光照射装置は、複数の第1拡散レンズ111及び複数の第2拡散レンズ121を有さない。また、第1実施例に係る誘虫光照射装置においては、S2/S1=1/2である。
【0178】
次に、第2実施例に係る誘虫光照射装置について説明する。
【0179】
第2実施例に係る誘虫光照射装置においては、S2/S1=1/3である点以外は、第1実施例に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。
【0180】
次に、第3実施例に係る誘虫光照射装置について説明する。
【0181】
第3実施例に係る誘虫光照射装置においては、カバー部材170がカバー部材本体部171と散乱層172とを含む点、及び、カバー部材170の拡散透過率が12%である点以外は、第1実施例に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。
【0182】
次に、第4実施例に係る誘虫光照射装置について説明する。
【0183】
第4実施例に係る誘虫光照射装置は、1個の第1LED素子110の上方に1個の第1拡散レンズ111を有する点以外は、第1実施例に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。
【0184】
さらに、第1及び第2検討例に係る誘虫光照射装置について説明する。主に、第1及び第2検討例に係る誘虫光照射装置と、第1実施例に係る誘虫光照射装置との差異点について記載する。
【0185】
まず、第1検討例に係る誘虫光照射装置について説明する。
【0186】
第1検討例に係る誘虫光照射装置は、主に、以下の3点を除いては、第1実施例に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。以下の3点とは、具体的には、カバー部材170がカバー部材本体部171と散乱層172とを含む点、カバー部材170の拡散透過率が12%である点、及び、S2/S1=1/6である点である。
【0187】
次に、第2検討例に係る誘虫光照射装置について説明する。
【0188】
第2検討例に係る誘虫光照射装置は、主に、以下の3点を除いては、第1実施例に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。以下の3点とは、具体的には、カバー部材170がカバー部材本体部171と散乱層172とを含む点、カバー部材170の拡散透過率が28%である点、及び、S2/S1=1/6である点である。
【0189】
最後に、比較例に係る誘虫光照射装置について説明する。主に、比較例に係る誘虫光照射装置と、第1実施例に係る誘虫光照射装置との差異点について記載する。
【0190】
比較例に係る誘虫光照射装置においては、S2/S1=1/6である点以外は、第1実施例に係る誘虫光照射装置と同じ構成を有する。
【0191】
また、ここでは、誘虫性能は誘虫率を算出する方法によって評価された。本方法について、説明する。
【0192】
まず、第1~第4実施例と、第1及び第2検討例と、比較例とに係る誘虫光照射装置が暗室に配置される。このとき、第1~第4実施例と、第1及び第2検討例と、比較例とに係る誘虫光照射装置が暗室の床から高さ1mとなるように配置される。また、この暗室の形状は、一辺の長さが3mである立方体形状である。
【0193】
次に、第1~第4実施例と、第1及び第2検討例と、比較例とに係る誘虫光照射装置が、誘虫光を照射する。
【0194】
さらに、この暗室に200匹のヒツジキンバエが放たれる。
【0195】
200匹のヒツジキンバエが放たれてから30分後に、第1~第4実施例と、第1及び第2検討例と、比較例とに係る誘虫光照射装置の30cm以内に居るヒツジキンバエの数が計測される。例えば、目視又は撮像装置によって撮像された写真によって、ヒツジキンバエの数が計測される。
【0196】
以上の試行を1サイクルとし、第1~第4実施例と、第1及び第2検討例と、比較例とに係る誘虫光照射装置について、5サイクルの試行が行われた。この5サイクルで計測されたヒツジキンバエの平均の数について、比較例に係る誘虫光照射装置での数を100%として規格化し、第1~第4実施例と第1及び第2検討例とに係る誘虫光照射装置での数が規格化された値を誘虫率とした。誘虫率が高いほど、虫Pを誘引する性能、つまりは誘虫性能が高いことが示されている。
【0197】
表1は、第1~第4実施例と、第1及び第2検討例と、比較例とに係る誘虫光照射装置のそれぞれの構成の特徴及び誘虫率が示されている。
【0198】
【0199】
第1及び第2実施例に係る誘虫光照射装置と比較例に係る誘虫光照射装置とを比べると、S2/S1の値が大きくなるほど、誘虫率が高まっていることがわかる。つまり、実施の形態1で示したように、S2/S1≧1/3となることで、十分に誘虫率が高まり、換言すると、十分に誘虫することができる誘虫光照射装置が実現される。
【0200】
また、第4実施例に係る誘虫光照射装置と比較例に係る誘虫光照射装置とを比べると、第1拡散レンズ111が配置されることで、誘虫率が高まっていることがわかる。つまり、実施の形態3で示したように、第1拡散レンズ111から放たれた青色光は、拡散されて放たれる。よって、誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0201】
さらに、第1及び第3実施例に係る誘虫光照射装置を比べると、カバー部材170が散乱層172を含むことで、誘虫率が高まっていることがわかる。実施の形態1で示したように、散乱層172によって青色光及び紫外光が散乱される。このため、誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0202】
さらに、第1及び第2検討例に係る誘虫光照射装置を比べると、拡散透過率が向上することで、誘虫率が高まっていることがわかる。つまり、拡散透過率が向上するほど、散乱層172によって青色光及び紫外光がより散乱される。このため、誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0203】
(その他の実施の形態)
以上、各実施の形態について説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0204】
なお、上記実施形態では、外接矩形は1つに定まるが、これに限られない。面積が最小となる外接矩形が複数存在する場合には、この複数の外接矩形のうちいずれの外接矩形においても、上記の位置関係が満たされるように配置される。
【0205】
また、以上のように構成された誘虫光照射装置は、上記の照明システム1に適用されることができる。また、誘虫光照射装置は、照明システム1に適用されるだけでなく、例えば、誘虫光照射装置単独で商業施設又は公共施設などの施設の出入り口に配置されてもよい。この場合においても、誘虫光照射装置が放つ誘虫光L1によって、虫Pを誘虫光照射装置の周囲に誘引し続け、つまりは、虫Pを誘虫光照射装置に留めておくことができる。
【0206】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0207】
100、100a、100b 誘虫光照射装置
110 第1LED素子
111 第1拡散レンズ
120 第2LED素子
121 第2拡散レンズ
150 基板
151 上面
170 カバー部材
172 散乱層
A 領域
B 明暗領域