(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20240726BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240726BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20240726BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
G03B17/02
H01M50/247
H05K5/03 D
(21)【出願番号】P 2020088972
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】金田 憲和
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正明
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-173497(JP,A)
【文献】特開2016-109727(JP,A)
【文献】特開2009-180883(JP,A)
【文献】特開2008-047424(JP,A)
【文献】特開2009-081775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/244
H01M 50/247
G03B 17/02
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収納する電池収納部、
前記電池収納部に収納された電池を電池保持位置に保持するための電池係止部、および
前記電池収納部を開閉する電池蓋、を備える電子機器であって、
前記電池蓋は、
リブを有する蓋プレートと、
前記蓋プレートに対して第1の位置と第2の位置とに移動可能に構成されたロックプレートと、を含み、
前記ロックプレートが前記第1の位置で前記電池蓋が閉じられた状態において、
前記電池蓋が前記電池からの押圧を受けた状態となり、前記ロックプレートが前記蓋プレートに対して、前記第1の位置から前記第2の位置への移動により、前記電池が前記電池係止部により係止されて前記電池収納部の所定の電池保持位置に収納保持され、前記電池蓋は収納保持された前記電池からの押圧が抑制される
状態に変化するように構成された、電子機器。
【請求項2】
前記ロックプレートは、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動させるための把手となるノブ部と、
前記第1の位置のとき前記蓋プレートの前記リブに支持されて移動が規制され、前記第2の位置のとき移動が自由となる押圧部と、
前記第2の位置のときにのみ前記電池収納部に係合するロック部と、を含み、
前記ロックプレートが前記第1の位置で前記電池蓋が閉じられるとき、前記押圧部が前記電池を前記電池収納部に対して前記電池保持位置、若しくは前記電池保持位置より押し込む電池押込み位置に配置するように構成された、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記ロックプレートは、前記蓋プレートに対して、前記第2の位置から前記第1の位置への移動により、前記電池収納部において、前記電池押込み位置に移動してから前記電池保持位置に移動し、前記電池が前記電池係止部により係止されるよう構成された、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ロックプレートの前記第2の位置から前記第1の位置への移動において、前記押圧部が前記蓋プレートの前記リブに乗り上げるように、前記リブとの接触面が斜面により構成された、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記ロックプレートにおける前記押圧部は、一方が固定され、他方が自由端で弾性変形可能な棒状の自由端側に設けられ、前記第1の位置において前記蓋プレートの前記リブに支持されて前記電池収納部の前記電池を押圧可能に構成され、前記第2の位置において前記蓋プレートの前記リブによる規制から解放されて前記電池収納部の前記電池への押圧を解除可能とするよう構成された、請求項2から4のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関し、特に、駆動電源として電池を用いる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器においては、駆動電源として電池が用いられているものがあり、特に、小型の電子機器としては、電池を収納して携帯し、屋外などで使用する構成がある。このような構成の電子機器においては、電池を収納保持するために各種の構成が提案されている。(例えば、特許文献1から4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-250882号公報
【文献】2001-223480号公報
【文献】2012-094387号公報
【文献】2014-182980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような小型の電子機器、例えば、カメラにおいては、駆動電源である電池を脱着できる構成のものがある。このような電池を脱着できる構成においては、脱着の容易性を担保することは勿論、電池が所定位置に確実に収納保持できる構成であることが要求される。もし電池が所定位置に収納保持されず、不安定な状態でカメラ内部に収納された場合には、駆動電源として電力供給が不安定になる可能性があるとともに、カメラにおける電池収納部分、特に、電池収納部分を閉鎖する蓋に対して電池からの押圧力により異常な荷重を常時受けることになり、場合によっては、大きな衝撃を受けて、その蓋が変形し、電池がカメラから抜け落ちるおそれがある。
【0005】
本開示は、駆動電源として電池を収納保持する電子機器において、ユーザが電池を電子機器に対して容易に、且つ確実に脱着できる構成を有し、電子機器に収納保持された電池が、その電池収納部分の蓋に対して異常な荷重や衝撃を与えることがない信頼性の高い電子機器の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様の電子機器は
電池を収納する電池収納部、
前記電池収納部に収納された電池を電池保持位置に保持するための電池係止部、および
前記電池収納部を開閉する電池蓋、を備える電子機器であって、
前記電池蓋は、
リブを有する蓋プレートと、
前記蓋プレートに対して第1の位置と第2の位置とに移動可能に構成されたロックプレートと、を含み、
前記ロックプレートが前記第1の位置で前記電池蓋が閉じられた状態において、前記ロックプレートが前記蓋プレートに対して、前記第1の位置から前記第2の位置への移動により、前記電池が前記電池係止部により係止されて前記電池収納部の所定の電池保持位置に収納保持され、前記電池蓋は収納保持された前記電池からの押圧が抑制されるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、駆動電源として電池を収納保持する電子機器が電池を容易に、且つ確実に脱着できる構成を有し、電池が収納保持された電池収納部分の蓋に対して異常な荷重や衝撃を与えることがない信頼性の高い電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本開示に係る実施の形態1のカメラの収納途中の状態を示す斜視図
【
図4】本開示に係る実施の形態1のカメラの収納途中の状態を示す斜視図
【
図5】本開示に係る実施の形態1のカメラの収納途中の状態を示す斜視図
【
図6】本開示に係る実施の形態1のカメラのロック動作を示す断面図
【
図7】本開示に係る実施の形態1のカメラにおける電池蓋および電池収納部などの構成を示す部分図
【
図8】本開示に係る実施の形態1のカメラにおける電池蓋の分解斜視図
【
図9】本開示に係る実施の形態1のカメラにおける電池蓋の分解斜視図
【
図10】本開示に係る実施の形態1のカメラの底面図
【
図11】本開示に係る実施の形態1のカメラにおけるロック機構およびロック動作を説明する断面図
【
図12】本開示に係る実施の形態1のカメラにおけるロック機構およびロック動作を説明する断面図
【
図13】本開示に係る実施の形態1のカメラにおけるロック機構およびロック動作を説明する断面図
【
図14】本開示に係る実施の形態1のカメラにおけるロック機構およびロック動作を説明する断面図
【
図15】本開示に係る実施の形態1のカメラにおけるロック機構およびロック動作を説明する断面図
【
図16】本開示に係る実施の形態1のカメラにおけるロック機構およびロック動作を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の電子機器の具体的な実施の形態として、カメラについて添付の図面を参照しながら説明する。なお、本開示の電子機器としては、以下の実施の形態に記載した携帯型のカメラの構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的特徴を有する技術的思想と同等の技術に基づく電子機器の構成を含むものである。
【0010】
また、以下の実施の形態において示す形状、構成、ステップ(動作)、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、発明を本開示の内容に限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、図面においては、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に記載する場合がある。
【0011】
先ず始めに、本開示の電子機器における各種態様を例示する。
本開示に係る第1の態様の電子機器は、
電池を収納する電池収納部、
前記電池収納部に収納された電池を電池保持位置に保持するための電池係止部、および
前記電池収納部を開閉する電池蓋、を備える電子機器であって、
前記電池蓋は、
リブを有する蓋プレートと、
前記蓋プレートに対して第1の位置と第2の位置とに移動可能に構成されたロックプレートと、を含み、
前記ロックプレートが前記第1の位置で前記電池蓋が閉じられた状態において、前記ロックプレートが前記蓋プレートに対して、前記第1の位置から前記第2の位置への移動により、前記電池が前記電池係止部により係止されて前記電池収納部の所定の電池保持位置に収納保持され、前記電池蓋は収納保持された前記電池からの押圧が抑制されるように構成されている。
【0012】
本開示に係る第2の態様の電子機器において、前記の第1の態様における前記ロックプレートは、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動させるための把手となるノブ部と、
前記第1の位置のとき前記蓋プレートの前記リブに支持されて移動が規制され、前記第2の位置のとき移動が自由となる押圧部と、
前記第2の位置のときにのみ前記電池収納部に係合するロック部と、を含み、
前記ロックプレートが前記第1の位置で前記電池蓋が閉じられるとき、前記押圧部が前記電池を前記電池収納部に対して前記電池保持位置、若しくは前記電池保持位置より押し込む電池押込み位置に配置するように構成されてもよい。
【0013】
本開示に係る第3の態様の電子機器において、前記の第2の態様における前記ロックプレートは、前記蓋プレートに対して、前記第2の位置から前記第1の位置への移動により、前記電池収納部において、前記電池押込み位置に移動してから前記電池保持位置に移動し、前記電池が前記電池係止部により係止されるよう構成されてもよい。
【0014】
本開示に係る第4の態様の電子機器は、前記の第2または第3の態様における前記ロックプレートの前記第2の位置から前記第1の位置への移動において、前記押圧部が前記蓋プレートの前記リブに乗り上げるように、前記リブとの接触面が斜面により構成されてもよい。
【0015】
本開示に係る第5の態様の電子機器において、前記の第2から第4の態様におけるいずれかの前記ロックプレートにおける前記押圧部は、一方が固定され、他方が自由端で弾性変形可能な棒状の自由端側に設けられ、前記第1の位置において前記蓋プレートのリブに支持されて電池収納部の電池を押圧可能に構成され、前記第2の位置において前記蓋プレートのリブによる規制から解放されて電池収納部の電池への押圧を解除可能とするよう構成されてもよい。
【0016】
(実施の形態1)
以下、本開示に係る実施の形態1の電子機器としての携帯型のカメラについて、図面を参照しながら説明する。
図1および
図2は、実施の形態1のカメラ1を示す斜視図である。
図1はカメラ1の右前方の斜め上から見た斜視図であり、
図2はカメラ1の左後方の斜め下から見た斜視図である。
【0017】
図1および
図2の斜視図においては、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を示しており、実施の形態1のカメラ1においては、前後方向(X軸方向)、左右方向(Y軸方向)、および上下方向(Z軸方向)として説明する。実施の形態1のカメラ1の説明においては、
図1に示すカメラ1におけるレンズが装着されるレンズ装着側(被写体側)を前側とし、カメラ1を前側から見て右側および左側と規定する。
図2に示すように、実施の形態1のカメラ1の裏面側には液晶ディスプレイデバイスまたは有機ELデバイスなどで構成される表示モニタ2が設けられている。
【0018】
実施の形態1のカメラ1においては、
図2の斜視図に示すように、左側の底面に電池蓋3が設けられている。
図3は、カメラ1を前方の下側から見た斜視図であり、カメラ1の底面側を主として見た図である。
図3に示すように、カメラ1の左側内部には駆動電源となる電池5を収納保持するための電池収納部(電池収納空間)4が形成されている。電池蓋3は、電池収納部4を閉じてロック状態とすることにより、電池収納部4の内部空間が防滴状態の密閉空間となる。
【0019】
図3に示すように、電池蓋3は電池収納部4の後方側に設けられたヒンジ部8でカメラ筐体9に対して開閉可能に接合されており、常時開放する方向に付勢されている。電池収納部4の前方側には電池係止部である電池保持爪6が配設されている。電池保持爪6は、電池収納部4の内部に配置された電池5の下端(
図3に示す電池5の底面端部)を係止して、電池5を電池収納部4の内部の所定位置(電池保持位置)に収納保持するものである。電池保持爪6は、電池5の収納時にその下端と確実に係合するように、電池5の側面が摺動するときカメラ1の内部に押し込まれ、電池5の側面摺動が終了し、電池5の下端が到達したとき、電池保持爪6が突出して電池5の下端に係合する弾性構造を有している。即ち、電池係止部である電池保持爪6は、電池収納部4の内部に突出する方向に付勢されており、電池5の収納動作の途中においてのみ、バッテリー5の側面に押圧されてカメラ1の内部に押し込まれる構成である。
【0020】
図4は、電池5の収納動作における収納途中の状態を示す斜視図である。
図5は、電池5の収納動作において、電池5が電池収納部4の内部の所定位置(電池保持位置)に配置され、電池保持爪6が電池5の下端である底面端部に係合した状態を示している。
図5に示すように、電池5は電池保持爪6により電池収納部4の内部に確実に保持される。
【0021】
図5に示す電池5が電池保持爪6により電池保持位置に保持された状態において、電池蓋3が閉じられてロックされ、電池5がカメラ1の内部に確実に収納保持された状態となる。
図6は、
図5に示す状態から電池蓋3が閉じられて、電池蓋3がカメラ筐体9にロックされるロック動作を示す断面図である。
図6の断面図においては、カメラ筐体9の電池収納部4の底面側を示しており、電池収納部4の底面側が上側となるように記載している。
【0022】
図6において、(a)は電池蓋3が閉まる直前の状態を示す断面図であり、(b)は電池蓋3が電池収納部4を閉じた直後のクローズ状態であり、(c)は電池蓋3がカメラ筐体9にロックされた状態を示している。
図6の(b)に示すクローズ状態は、電池蓋3がカメラ筐体9に未だロックされていない非ロック状態であり、後述するロックプレート7が「OPEN(オープン)」位置(第1の位置:非ロック位置)である。
図6の(c)に示す状態は、電池蓋3がカメラ筐体9にロックされたロック状態であり、ロックプレート7が「LOCK(ロック)」位置(第2の位置:ロック位置)である。
【0023】
図7は、カメラ筐体9にロックされる電池蓋3、および電池5が収納保持された電池収納部4などの構成を示す部分図である。
図7の(a)は、電池蓋3がカメラ筐体9にロックされた状態を示す底面図である。
図7の(a)において、破線で示す線分が、前述の
図6の断面図の断面位置を示している。
図7の(b)は、電池蓋3を取り外した状態を示しており、電池収納部4に収納保持された電池5の底面端部が電池保持爪6に係合した状態を示している。
図7の(c)は、電池蓋3の裏面構成を見やすくするために蓋裏プレート11を除いた電池蓋3を示しており、電池蓋3の内面側(裏面側)を示している。
図7の(c)における破線で示す線分が、
図7の(a)における破線の線分と同様に、
図6の断面図の断面位置を示している。
【0024】
図7の(a)に示すように、電池蓋3の裏面側にはロックプレート7のノブ部7aが表出している。ロックプレート7のノブ部7aは、把手としての機能を有し、ユーザが操作することにより、電池蓋3を非ロック状態またはロック状態に切り替える機能を有する。前述の
図6において、(a)に示した状態がオープン状態であり、(b)に示した状態がクローズ状態であり非ロック状態である。
図6における(a)および(b)に示した状態は、ロックプレート7のノブ部7aが第1の位置である「OPEN(オープン)」位置にあるときを示している。一方、
図6における(c)に示したロック状態においては、ノブ部7aが第2の位置である「LOCK(ロック)」位置にある。ロックプレート7のロック機構およびそのロック動作の詳細については、
図10から
図16を用いて後述する。
【0025】
図8および
図9は、ロックプレート7が設けられている電池蓋3の分解斜視図である。
図8は電池蓋3を斜め下側から見た分解斜視図であり、
図9は電池蓋3を斜め上側から見た分解斜視図である。
図8および
図9に示すように、電池蓋3の蓋プレート10の裏面側にはヒンジ部8が設けられている。ヒンジ部8は、カメラ筐体9に対して回動可能とする軸8aと、電池蓋3に対して常時開く方向に付勢力を与えるためのバネ8bを含んでいる。また、電池蓋3においては、蓋プレート10と蓋裏プレート11との間に挟まれてロックプレート7が設けられている。ロックプレート7は、蓋プレート10と蓋裏プレート11との間に挟まれて所定距離間を往復移動可能に構成されている。
【0026】
ロックプレート7には、前述のように、底面側に突出して、ユーザが操作可能なノブ部7aが設けられている。蓋プレート10において、ノブ部7aが表出している開口部の縁部には、「OPEN(オープン)」位置および「LOCK(ロック)」位置が表示されており、ノブ部7aの位置により、電池蓋3のオープン状態(非ロック状態)/ロック状態を表示する構成である。なお、ノブ部7aの突出部分が蓋プレート10よりとび出ることはなく、ノブ部7aの突出端部と、蓋プレート10で構成するカメラ1の底面とは少なくとも面一となるように構成されている。
【0027】
ロックプレート7には、弾性的に変形可能な押圧アーム部7bが形成されている。押圧アーム部7bは、一端がロックプレート7に接合されて一体的に形成されており、他端が自由端となる片持ちバネのような構成を有する。このように、押圧アーム部7bは、棒状であり、上下に移動可能な構成である。押圧アーム部7bの自由端側には、電池収納部側に突出する凸部形状の押圧部7cが形成されている。押圧アーム部7bの自由端側の押圧部7cは、後述するように、電池蓋3を閉じるときに収納保持された電池5の底面に接触可能に構成されている。実施の形態1におけるロックプレート7は、剛性を有する樹脂材により一体的に形成されており、棒状に延びる押圧アーム部7bが所望の弾性力を有するように構成される。また、ロックプレート7には、ノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置と「LOCK(ロック)」位置との間を移動操作されるときにクリック音が生じるように、凸部が形成されており、移動操作時にロックプレート7の凸部に対向して配設された蓋裏プレート11の凸部を乗り越えるときクリック音が生じる構成である。
【0028】
[ロックプレートのロック機構およびロック動作]
次に、ロックプレート7のロック機構について
図10から
図16を用いて詳述する。
図10は、実施の形態1のカメラ1の底面図であり、ロックプレート7のノブ部7aが「LOCK(ロック)」位置であることを示している。
図10において、A-Aの破線で示す位置が、
図11から
図13の断面図の切断位置であり、B-Bの破線で示す位置が、
図14から
図16の断面図の切断位置である。
図11から
図16においては、電池5を電池収納部4に装着するときの状態を想定して、カメラ1の底面側が上側となるよう記載している。なお、
図11,
図12、
図14および
図15においてはカメラ筐体9の一部を取り外した状態を示しており、
図13及び
図16においてはカメラ筐体の一部が取り付けられた使用状態を示している。
【0029】
カメラ1に電池5を装着するとき、電池収納部4に電池5を挿入して、前述のように、電池5の底面に電池係止部である電池保持爪6を係止させて電池収納部4に電池5を確実に収納保持させてから、電池蓋3を閉めるのがユーザの行う通常の蓋閉じ動作である。しかしながら、場合によっては、電池収納部4に挿入された電池5に対して、電池5の底面に電池保持爪6を係止させることなく、そのまま電池蓋3を電池5に直接押し付けて蓋閉じ動作を行う場合がある。もしこのように、電池5が所定の電池保持位置に保持されずに、従来の構成の蓋により強制的に閉じた場合には、前述したように、蓋は電池5からの押圧力を常時受けて、筐体から浮き上がり、カメラとしての所望の外観形状を保持することが困難であるばかりか、場合によっては蓋が外れ、破損してしまうというおそれがある。
【0030】
本開示の実施の形態1の構成においては、上記のように、ユーザが電池蓋3を電池5の底面に押し付けて蓋閉じ動作を行った場合であっても、電池5が所定の電池保持位置に確実に収納保持されるとともに、収納保持された電池5から電池蓋3に対して押圧力を常時受けることのない信頼性の高い構成となっている。
【0031】
図11から
図16を用いて詳述するロックプレート7のロック機構およびロック動作は、ユーザが電池蓋3を電池5の底面に押し付けて蓋閉じ動作を行った場合におけるロック動作を示している。
【0032】
図11に示す状態は、電池蓋3を閉じるときにおいて、ロックプレート7のノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置(第1の位置:非ロック位置)であり、押圧アーム部7bの自由端側の押圧部7cが電池収納部4に収納保持された電池5の底面に当接した状態を示している。
図11に示すように、ノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置にあるとき、押圧アーム部7bの自由端側の押圧部7cが蓋プレート10に形成されているリブ10aに乗り上げた状態である。即ち、この状態において、押圧部7cは自由端ではなく、
図11において押圧部7cの上側がリブ10aにより支持された状態であり、押圧部7cの上方(蓋側)への移動が規制された状態である。この結果、電池蓋3が閉じられて、押圧部7cが電池5の底面に当接したとき、押圧部7cは電池5の底面を押圧して、電池5を電池収納部4の内部に押し込む動作を行う。このとき、電池収納部4において電池5の底面が電池係止部である電池保持爪6に係止される電池保持位置、若しくは電池保持位置より更に押し込まれた位置(電池押込み位置)に移動する。なお、この電池押込み位置としては、電池保持位置と同じでもよく、少なくとも電池5の底面端部が電池保持爪6に確実に係止される状態となる位置であればよい。
【0033】
図11に示すように、電池収納部4において挿入された電池5が当接する奥壁(
図11における下端壁)には電池5を排出する方向に付勢する電池押圧バネ12、および収納保持された電池5に電気的に接続される電池用接続端子13が設けられている。このため、電池5が電池収納部4の電池保持位置または電池押込み位置にあるとき、電池5は排出する方向への力を受けるとともに、電池用接続端子13に電気的に接続される。
【0034】
図12は、電池蓋3が閉じられて、押圧部7cにより電池5の底面が押圧されて、電池5が電池押込み位置に移動したときの状態を示す断面図である。
図12に示す状態においては、ノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置にあり、押圧部7cが蓋プレート10のリブ10aにより後方が支持された状態である。この時、電池5の底面端部の位置は、電池収納部4の底部(開口部)の近傍に設けた電池保持爪6と係止可能な位置にある。若しくは、電池5の底面端部の位置は、電池保持爪6による係止位置より多少更に押し込まれた位置にある。
【0035】
図13は、
図12に示した状態からノブ部7aを「OPEN(オープン)」位置から「LOCK(ロック)」位置(第2の位置)に操作した状態を示している。
図13に示すように、押圧アーム部7bが移動して、押圧部7cが蓋プレート10のリブ10aから外れて自由端状態となっている。即ち、ノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置から「LOCK(ロック)」位置に移動することにより、蓋プレート10のリブ10aに乗り上げていた押圧部7cが、リブ10aから外れて、リブ10aの後方支持がない状態となる。この結果、電池収納部4に収納されている電池5は、少なくとも電池押込み位置から電池保持位置に移動することになる。このとき、ノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置から「LOCK(ロック)」位置に移動することにより、ロックプレート7に設けられたロック部7dがカメラ筐体側に突出して、ロック部7dがカメラ筐体9に設けられた筐体ロック部9aと係合し、電池蓋3はカメラ筐体9に確実にロックされた状態となる。この結果、電池5は、電池収納部4において電池押圧バネ12で押圧された状態で電池保持爪6により係止され、電池保持位置に確実に収納保持された状態となる。このとき、電池5の底面側においては、ロックプレート7の押圧部7cからの押圧力をほとんど受けない状態であり、単に押圧部7cと接触するか、若しくは押圧部7cとの間に隙間を有する状態となっている。
【0036】
一方、ロックプレート7のノブ部7aを「LOCK(ロック)」位置から「OPEN(オープン)」位置へ移動して、電池蓋3を開くときの動作は、電池蓋3を閉じるときの動作とは逆の動きとなる。即ち、ノブ部7aを「LOCK(ロック)」位置から「OPEN(オープン)」位置へ移動することにより、押圧部7cがリブ10aに乗り上がるため、電池5が電池保持位置から電池押込み位置に移行し、ロック部7dが筐体ロック部9aとの係合から外れる。なお、ロックプレート7が「LOCK(ロック)」位置から「OPEN(オープン)」位置への移動のとき、押圧部7cがリブ10aを容易に、且つスムーズに乗り上がるように、リブ10aにおける押圧部7cとの接触面がロックプレート7の移動方向に対して斜めとなる斜面で構成されている。
【0037】
その後、ロックプレート7が「OPEN(オープン)」位置において、電池蓋3が開かれることにより、電池5は電池押込み位置から電池保持位置に移行し、電池5は電池保持爪6により係止されて電池収納部4に収納保持された状態が維持される。電池5の取り出しは、電池係止部である電池保持爪6との係合状態を外すことにより可能となる。
【0038】
図10に示したB-Bの破線で切断した断面図を示す
図14から
図16を用いて、電池蓋3に設けられたロックプレート7と、電池収納部4に設けられた電池係止部である電池保持爪6との動作について説明する。
【0039】
図14に示す状態は、前述の
図11に示した状態と同じであり、電池蓋3を閉じるときにおいて、ロックプレート7のノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置であり、押圧アーム部7bの押圧部7cが電池5の底面に当接した状態を示している。
図14に示す状態においては、押圧部7cがリブ10aに乗り上げた状態であり、押圧部7cがその後方(
図14における上側)をリブ10aにより支持された状態である。この結果、電池蓋3が閉じられて、押圧部7cが電池5の底面に当接したとき、押圧部7cは電池5の底面を押圧して、電池5を押し込み、電池保持位置を通過して電池押込み位置に移動させる動作を行う。なお、前述のように、電池保持位置と電池押込み位置は同じ位置でもよく、少なくとも電池5の底面端部が電池保持爪6に確実に係止される状態となる位置であればよい。
【0040】
図15に示す状態は、前述の
図12に示した状態と同じであり、電池蓋3が閉じられて、押圧部7cにより電池5の底面が押圧されて、電池5が電池押込み位置に移動したときの状態である。
図15に示す状態においては、ノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置にあり、電池5の底面端部に電池保持爪6が係止可能な位置にある。若しくは、電池5の底面端部は、電池保持爪6による係止位置より多少更に押し込まれた電池押込み位置にあり、電池5の底面と電池保持爪6との間に多少隙間のある位置に配置される。
【0041】
図16に示す状態は、前述の
図13に示した状態と同じであり、ノブ部7aを「OPEN(オープン)」位置から「LOCK(ロック)」位置に操作した状態である。
図16に示すように、ノブ部7aが「OPEN(オープン)」位置から「LOCK(ロック)」位置に移動することにより、ロックプレート7に設けられたロック部7dがカメラ筐体側に突出して、ロック部7dがカメラ筐体9に設けられた筐体ロック部9aと係合し、電池蓋3はカメラ筐体9に確実にロックされた状態となる。この結果、電池5は、電池収納部4において電池押圧バネ12で押圧された状態で電池保持爪6により係止され、電池保持位置に確実に保持された状態となる。
【0042】
一方、ロックプレート7のノブ部7aを「LOCK(ロック)」位置から「OPEN(オープン)」位置へ移動して、電池蓋3を開くときの動作は、電池蓋3を閉じるときの動作とは逆の動きとなり、電池5の取り出しは、電池係止部である電池保持爪6との係合状態を外すことにより可能となる。
【0043】
実施の形態1の構成において、電池蓋3におけるロックプレート7の第1の位置である「OPEN(オープン)」位置と、第2の位置である「LOCK(ロック)」位置との間の移動をスライド動作で説明したが、本開示としてはスライド動作に限定するものではなく、例えば、回転動作により第1の位置と第2の位置との間の移動を行う構成でもよい。
【0044】
実施の形態1において説明したように、本開示の電子機器は、駆動電源として電池を収納保持する電子機器において、ユーザが電池を電子機器に対して容易に、且つ確実に脱着できる構成を有しており、電子機器に収納保持された電池が、その電池収納部分の蓋に対して異常な荷重や衝撃を与えることがない信頼性の高い電子機器である。
【0045】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明および添付の図面を開示した。よって、詳細な説明および添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が、詳細な説明および添付の図面に記載されているからといって、直ちに、それらの必須ではない構成要素に対して必須であると認定されるべきではない。
【0046】
上記の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置換、付加、省略などを行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示は、駆動電源として電池を収納保持する電子機器において、ユーザが電池を電子機器に対して容易に、且つ確実に脱着できる構成を有しており、市場価値の高い製品を提供するものである。
【符号の説明】
【0048】
1 カメラ
2 表示モニタ
3 電池蓋
4 電池収納部
5 電池
6 電池保持爪(電池係止部)
7 ロックプレート
7a ノブ部
7b 押圧アーム部
7c 押圧部
7d ロック部
8 ヒンジ部
9 カメラ筐体
9a 筐体ロック部
10 蓋プレート
10a リブ
11 蓋裏プレート