(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】棒状化粧料収納容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/06 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
A45D40/06 Z
(21)【出願番号】P 2020102441
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000210573
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平川 昌志
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-509631(JP,A)
【文献】実開平07-009212(JP,U)
【文献】実開平06-068619(JP,U)
【文献】実開昭61-006316(JP,U)
【文献】米国特許第06126351(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定され上部には軸心方向の切り割り溝が形成された筒状の内筒部材と、この内筒部材の切り割り溝の外周を回動可能に覆うラセン溝が形成されたラセン部材と、このラセン部材の外周を覆う外筒部材と、前記内筒部材内に上下移動可能に形成された皿部材と、この皿部材に形成された前記内筒部材の切り割り溝及び前記ラセン部材のラセン溝と係合する係合ピンとから構成される全部材がアルミ材で形成された棒状化粧料収納容器において、内筒部材の上部外面にラセン部材の抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブを形成し、抜け出し防止リブとラセン部材の間に軟質材のOリングを配置し、
このOリングが内筒部材外周面と外筒部材内周面の間で両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させる、あるいは抜け出し防止リブ下面とラセン部材の上端面の間
でこのOリングが両部材によって軸方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことを特徴とする棒状化粧料収納容器。
【請求項2】
ハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定され上部には軸心方向の切り割り溝が形成された筒状の内筒部材と、この内筒部材の切り割り溝の外周を回動可能に覆うラセン溝が形成されたラセン部材と、このラセン部材の外周を覆う外筒部材と、前記内筒部材内に上下移動可能に形成された皿部材と、この皿部材に形成された前記内筒部材の切り割り溝及び前記ラセン部材のラセン溝と係合する係合ピンとから構成される全部材がアルミ材で形成された棒状化粧料収納容器において、内筒部材の上部外面にラセン部材の抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブを形成し、抜け出し防止リブの上部に軟質材のOリングを配置し、
このOリングが内筒部材外周面と外筒部材内周面の間で両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことを特徴とする棒状化粧料収納容器。
【請求項3】
ハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定され上部には軸心方向の切り割り溝が形成された筒状の内筒部材と、この内筒部材の切り割り溝の外周を回動可能に覆うラセン溝が形成されたラセン部材と、このラセン部材の外周を覆う外筒部材と、前記内筒部材内に上下移動可能に形成された皿部材と、この皿部材に形成された前記内筒部材の切り割り溝及び前記ラセン部材のラセン溝と係合する係合ピンとから構成される全部材がアルミ材で形成された棒状化粧料収納容器において、内筒部材の上部外面にラセン部材の抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブを形成し、ラセン部材の下部に軟質材のOリングを配置し、
このOリングが内筒部材外周面と外筒部材内周面の間で両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことを特徴とする棒状化粧料収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は棒状化粧料を収納する棒状化粧料収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の棒状化粧料収納容器はハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定され上部には軸心方向の切り割り溝が形成された筒状の内筒部材と、この内筒部材の切り割り溝の外周を回動可能に覆うラセン溝が形成されたラセン部材と、このラセン部材の外周を覆う外筒部材と、前記内筒部材内に上下移動可能に形成された皿部材と、この皿部材に形成された前記内筒部材の切り割り溝及び前記ラセン部材のラセン溝と係合する係合ピンとから構成されていた。
【0003】
しかしながらこのように構成された従来の棒状化粧料収納容器ではその材質として内筒部材、ラセン部材、外筒部材、皿部材のいわゆる内部構造部品には比較的安価なプラスチック材が使用されていた。
【0004】
さらに昨今の環境問題として廃棄されたプラスチック材が環境に及ぼす影響が指摘され、棒状化粧料収納容器もプラスチックを使用しない構造が求められている。そのため使用する素材として金属材が見直されてきているが、金属材だけで棒状化粧料収納容器を構成した場合には繰り出しのための回転操作時に金属同士がこすれることによる耳障りな異音や不快な振動感が発生してしまうもので商品価値を下げてしまうものであった。
【0005】
この対策として出願人は実願平3-69728号で、軟質材のOリングを使用して回転荷重を安定させる方法を考案しているが、金属材で構成された棒状化粧料収納容器に対応できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は、金属材だけで棒状化粧料収納容器を構成した場合には繰り出しのための回転操作時に金属同士がこすれることによる耳障りな異音や不快な振動感が発生することのない棒状化粧料収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はハカマ部材と、このハカマ部材内に下端部が挿入固定され上部には軸心方向の切り割り溝が形成された筒状の内筒部材と、この内筒部材の切り割り溝の外周を回動可能に覆うラセン溝が形成されたラセン部材と、このラセン部材の外周を覆う外筒部材と、前記内筒部材内に上下移動可能に形成された皿部材と、この皿部材に形成された前記内筒部材の切り割り溝及び前記ラセン部材のラセン溝と係合する係合ピンとから構成される全部材がアルミ材で形成された棒状化粧料収納容器において、内筒部材の上部外面にラセン部材の抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブを形成し、抜け出し防止リブとラセン部材の間に軟質材のOリングを配置し、このOリングが内筒部材外周面と外筒部材内周面の間で両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させる、あるいは抜け出し防止リブ下面とラセン部材の上端面の間このOリングが両部材によって軸方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことを主要な特徴としている。
あるいは内筒部材の上部外面にラセン部材の抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブを形成し、抜け出し防止リブの上部に軟質材のOリングを配置し、このOリングが内筒部材外周面と外筒部材内周面の間で両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことを特徴としている。
あるいは内筒部材の上部外面にラセン部材の抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブを形成し、ラセン部材の下部に軟質材のOリングを配置し、このOリングが内筒部材外周面と外筒部材内周面の間で両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明はアルミ材だけで棒状化粧料収納容器を構成した場合でも繰り出しのための回転操作時に金属同士がこすれることによる耳障りな異音や不快な振動感が発生しやすくなってしまうことを防止するという効果がある。
さらに全部材がアルミ材で形成された棒状化粧料収納容器においては、素材を再利用する場合には従来の棒状化粧料収納容器のように収納容器を各部材まで分解し、それを材質ごとに分別をすることが必要、ということが無く、収納容器をそのまま加熱熔解することでアルミ材として再利用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】内筒部材、ラセン部材、Oリングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
金属材だけで棒状化粧料収納容器を構成した場合でも繰り出しのための回転操作時に金属同士がこすれることによる耳障りな異音や不快な振動感が発生しやすくなってしまうことを防止するという目的を、内筒部材、ラセン部材、外筒部材、皿部材はアルミ材で形成し、内筒部材の上部外面にラセン部材の抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブを形成し、内筒部材にOリングを配置し、このOリングが内筒部材外周面と外筒部材内周面の間で両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させる、あるいは抜け出し防止リブ下面とラセン部材の上端面の間でこのOリングが両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことで実現した。
【実施例】
【0012】
図1および
図2に示す発明の第1の実施例において、1は内筒部材で、この内筒部材1は上端が開口された筒状に形成され、さらに上部には軸心方向の切り割り溝2が内筒部材1の上端まで達するように形成されている。
【0013】
3はこの内筒部材1の切り割り溝2の外周を回転可能に覆うラセン部材で、このラセン部材3にはラセン溝4が形成されている。
【0014】
5は棒状化粧料収納容器6を保持して前記内筒部材1内に上下移動可能に形成された皿部材で、この皿部材5には前記内筒部材1の切り割り溝2及び前記ラセン部材3のラセン溝4と係合する係合ピン7が皿部材5と一体に形成され、内筒部材1とラセン部材3を回転させることによって皿部材5を内筒部材1内で上下移動させることができるように構成されている。
【0015】
8はラセン部材3の外周を一体的に覆う外筒部材である。
【0016】
9は内筒部材1の上部外周面に形成された抜け出し防止リブで、この抜け出し防止リブ9はラセン部材3の抜出しを防止するためのもので内筒部材1のほぼ全周に達するように構成されている。
【0017】
10はラセン部材3と抜け出し防止リブ9の間に配置された軟質材で形成されたOリングで、このOリング10は内筒部材1の外周面と外筒部材8の内周面の間の径方向圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材1と外筒部材8の間に回転荷重を発生させるように作用している。
あるいは抜け出し防止リブ9下面とラセン部材3の上端面の間でこのOリングが両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材1と外筒部材8の間に回転荷重を発生させるように作用している。
【0018】
11は内筒部材1の下部に固定されたハカマ部材で、このハカマ部材11の上部には、外筒部材8の上部を覆う蓋13と着脱自在に嵌合する嵌合用突起12が形成されている。
【0019】
このように構成された棒状化粧料収納容器14においては軟質材のOリング10を除くすべての部材が金属の板材を深絞り加工、インパクト成型加工あるいは丸め加工等の既存の加工技術によって所定形状に構成されているものであり、中でも金属の加工しやすさ等からアルミ材が主に使用される。
さらにこのようにアルミ材で加工された内筒部材1は切割溝2が上端部まで達することで内筒部材1の上端部は径方向に柔軟性が生じ、Oリング10を圧接する荷重もこの柔軟性がほどよく受け止めることで回転荷重のばらつきを吸収するように作用している。
【0020】
次に発明の異なる実施例について説明する。
図3に示す第2の実施例において、第1の実施例と主に異なる点はOリング10Aの配置位置で、このOリング10Aは抜け出し防止リブの上部に配置されたもので内筒部材1Aの外周面と外筒部材の8内周面の間で
両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材と外筒部材の間に回転荷重を発生させたことを特徴としている。このように構成した棒状化粧料収納容器14Aとしても良い。
【0021】
図4に示す第3の実施例において、第1の実施例と主に異なる点はOリング10Bの配置位置で、このOリング10Bは内筒部材1Cの上部外面にラセン部材3Bの抜出しを防止するほぼ全周に達する抜け出し防止リブ9を形成し、ラセン部材3Bの下部に軟質材のOリング10Bを配置し内筒部材1Cの外周面と外筒部材8の内周面の間で
このOリングが両部材によって径方向に圧縮されることによる反発力で両部材に圧接させることによって内筒部材1Cと外筒部材8の間に回転荷重を発生させたことを特徴としている。このように構成した棒状化粧料収納容器14Bとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は以上説明したように構成されているので多種の棒状化粧料、例えば口紅、スティックファンデーション、スティックアイシャドウなどの収納容器として利用できる。
【符号の説明】
【0023】
1、1A、1B、 内筒部材
2 切割溝
3、3A、3B ラセン部材
4 ラセン溝
5 皿部材
6 棒状化粧料
7 係合ピン
8 外筒部材
9 抜け出し防止リブ
10、10A、10B Oリング
11 ハカマ部材
12 嵌合用突起
13 蓋
14、14A、14B 棒状化粧料収納容器