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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】注湯済み鋳型の冷却方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 30/00 20060101AFI20240726BHJP
   B22D 45/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B22D30/00
B22D45/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020050339
(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公開番号】P2021146380
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
(72)【発明者】
【氏名】中西 真希
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-167730(JP,A)
【文献】特開2018-065168(JP,A)
【文献】米国特許第05901774(US,A)
【文献】実開昭53-032818(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 27/04
B22D 30/00
B22D 45/00
B22D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の台車を並べた搬送路において、各前記台車に注湯済み鋳型を載置して搬送する搬送工程と、
前記搬送路に並行に設けられた冷却エリアにおいて、複数の前記注湯済み鋳型を、鋳型載置トレイに載置して搬入搬出可能な複数の所定の定位置に夫々位置決めし、位置決め後の冷却中において、前記注湯済み鋳型を移動させない鋳型冷却工程と、
前記搬送路と前記冷却エリアとの間に設けられた搬入準備装置によって、前記搬送路から前記冷却エリアへの前記注湯済み鋳型の連絡を行う搬入準備工程と、
前記搬入準備工程で準備された注湯後の冷却が必要な前記注湯済み鋳型を、前記冷却エリアの複数の前記所定の定位置のいずれかに鋳型搬入装置によって搬入する鋳型搬入工程と、
前記鋳型冷却工程で冷却された各前記注湯済み鋳型を、前記鋳型搬入装置により搬入された前記所定の定位置から鋳型搬出装置によって搬出する鋳型搬出工程と、
を備え、
前記搬入準備工程は、前記搬送路上から前記注湯済み鋳型を前記搬送路から交差する位置にある方向変換位置まで移送する方向変換位置への移送工程と、
前記方向変換位置で移送方向の変換をした前記注湯済み鋳型を、前記冷却エリアの手前にある冷却準備位置まで移送する冷却準備位置への移送工程と、を備え
前記注湯済み鋳型を、前記冷却エリアでの冷却を経ることなく、前記鋳型搬入工程に連続して前記鋳型搬出工程を行う工程をさらに備えた注湯済み鋳型の冷却方法。
【請求項2】
記搬入準備装置は、前記方向変換位置が設けられた搬送準備テーブルをさらに備え、
前記搬送準備テーブルは、前記搬送路上に設けられた鋳型載置面と同じ高さ位置に上面が設けられ請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記鋳型搬入装置と前記鋳型搬出装置とは、一つの鋳型搬入搬出装置が兼用している請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記鋳型搬入装置および前記鋳型搬出装置は、前記注湯済み鋳型を上方へ持ち上げて搬送する請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記冷却エリアにおいて、前記所定の定位置には、載置される複数の前記注湯済み鋳型が冷却が完了する順に並ぶように前記鋳型搬入装置により搬入する請求項1に記載の方法
【請求項6】
各前記注湯済み鋳型の必要な冷却が完了したことを検知する冷却完了検知工程をさらに備えた請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記注湯済み鋳型は、前記所定の定位置に位置決めされる際に、前記鋳型載置トレイに載置された状態で搬入され、前記所定の定位置から搬出される際に、前記鋳型載置トレイに載置された状態で搬出される請求項1に記載の方法
【請求項8】
前記冷却エリアの各前記所定の定位置には、前記鋳型載置トレイを上下方向に着脱可能に位置決めする位置決め装置が夫々設けられている請求項7に記載の方法
【請求項9】
各前記鋳型載置トレイには、複数の前記鋳型載置トレイが前記冷却エリアに並べられた際に、並べられた前後の端部に夫々立設され、前記注湯済み鋳型を構成する鋳物砂の前記鋳型載置トレイからの脱落を防止する脱落防止壁部が夫々設けられている請求項7に記載の方法
【請求項10】
一端部が基枠に固定され、他端部が前記鋳型搬出装置に対向すると共に前記鋳型搬出装置の搬送方向に沿って突出する突出し装置が設けられ、前記鋳型搬出装置により搬送される前記注湯済み鋳型を前記鋳型載置トレイから突き出して落下させる前記突出し装置による突出し工程をさらに備える請求項7に記載の方法
【請求項11】
前記鋳型搬入搬出装置には、前記鋳型搬入搬出装置の搬送方向に沿って前記鋳型搬入搬出装置に対して相対的に移動する付設突出し装置が付設され、前記所定の定位置より前記注湯済み鋳型を搬出する際に、搬送される前記注湯済み鋳型を前記鋳型載置トレイから突き出して落下させる前記付設突出し装置による突出し工程を備える請求項3に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造ラインにおいて、注湯された鋳型を冷却する装置および冷却する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳造ラインにおいて、注湯済みの鋳型の冷却は、鋳造品を鋳型から取り出す型バラシ装置まで、注湯済みの鋳型を順に移動させながら冷却するのが一般的であった。
特許文献1には、夫々搬送レールの敷かれた複数の冷却ライン、各冷却ライン上に並べられて載置された複数の注湯済み鋳型の一端を押圧することで移動させるプッシャー装置、プッシャー装置に押された複数の注湯済み鋳型の他端を支持するクッション装置、および各冷却ライン間を連絡するトラバーサ装置が記載されている。複数の注湯済み鋳型は、冷却ライン上に連続して並べられ、上流側のプッシャー装置および下流側のクッション装置から挟持された状態で、1つの鋳型の搬送方向の長さに相当する1ピッチずつ間欠的に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-198668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において、冷却ラインは注湯済み鋳型の搬送を兼ねており、レール上を転動する車輪のついた多数の搬送台車と多数の冷却ラインの設備(プッシャー装置・クッション装置を含む)とを必要とし、大きな設備コストと広い設置スペースとを必要とするという問題があった。
また、鋳造品には、鋳込み重量または材質等の違いで製品ごとに冷却時間を変更したい場合、少なくとも冷却ライン単位で実施しなければならず、注湯済み鋳型毎に異なる冷却時間を設定して最適な冷却を実施することが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するために、安価な設備コストで、冷却エリアの省スペースを図ることができ、注湯済み鋳型毎に最適な冷却を容易に実施することができる注湯済み鋳型の冷却装置および注湯済み鋳型の冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る注湯済み鋳型の冷却装置は、複数の注湯済み鋳型を、夫々搬入搬出可能な複数の所定の定位置に夫々位置決めして冷却する冷却エリアであって、位置決め後の冷却中において、前記注湯済み鋳型を移動させない前記冷却エリアを備えている。
注湯後の冷却が必要な前記注湯済み鋳型を、前記冷却エリアの複数の前記所定の定位置のいずれかに搬入する鋳型搬入装置と、前記冷却エリアにおいて冷却された各前記注湯済み鋳型を、前記冷却エリアにおいて、前記鋳型搬入装置により搬入された前記所定の定位置から搬出する鋳型搬出装置と、を備えている。
【0007】
これによると、冷却エリアに搬入された注湯済み鋳型は、所定の定位置に夫々位置決めされて移動することなく冷却される。そのため、冷却時に注湯済み鋳型が移動に起因する損傷することがない。また、移動の必要がないので車輪のついた台車や冷却ライン毎のプッシャー装置やクッション装置が不要となり安価な設備コストの冷却エリアとすることができる。
【0008】
注湯後の冷却が必要な注湯済み鋳型を、複数の所定の定位置のいずれかに搬入する鋳型搬入装置と、冷却された各注湯済み鋳型を、搬入された所定の定位置から搬出する鋳型搬出装置とによって、注湯済み鋳型毎に最適な冷却を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施した第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置の概要を示す平面図である。
図2】搬送準備テーブル、押圧スライド装置および鋳型押出装置を示す平面図である。
図3図1におけるIII-III断面図である。
図4】鋳型押出装置を拡大して示す側面図である。
図5】注湯済み鋳型の冷却装置の概要を一部断面図で示す側面図である。
図6】鋳型搬入搬出装置を示す正面図である。
図7】鋳型載置トレイを示す平面図である。
図8】注湯済み鋳型を載置した鋳型載置トレイが、位置決めガイドで位置決めされた状態を断面で示す側面図である。
図9】押圧スライド装置で、注湯済み鋳型を搬送路搬出位置から方向変換位置に移動した状態を示す図である。
図10】押圧スライド装置で、3つの注湯済み鋳型を搬送路搬出位置から方向変換位置に移動した状態を示す図である。
図11】鋳型押出装置で冷却準備位置に移された注湯済み鋳型を、鋳型搬入搬出装置で所定の定位置に搬入するために上昇させた状態を示す図である。
図12】鋳型搬入搬出装置で注湯済み鋳型が空いている所定の定位置に搬入され冷却を開始する状態を示す図である。
図13】鋳型搬入搬出装置で冷却の終了した注湯済み鋳型を、搬出のために上昇させた状態を示す図である。
図14】鋳型搬入搬出装置を型バラシ位置に移動させ、鋳型排出装置で注湯済み鋳型を振動コンベヤに落下させた状態を示す示す図である。
図15】空となった鋳型載置トレイを、冷却準備位置に戻す状態を示す図である。
図16】所定の定位置(13番)からの冷却搬出が終了した状態を示す図である。
図17】所定の定位置(13番)に新たな注湯済み鋳型が搬入され、冷却が開始された状態を示す図である。
図18】第一実施形態の別例1の制御装置のブロック図である。
図19】第一実施形態の別例2を示す側面図である。
図20】第一実施形態の別例3の付設突出し装置を示す側面図である。
図21】第一実施形態の別例3の付設突出し装置を示す平面図である。
図22】第一実施形態の別例3の付設突出し装置を示す正面図である。
図23】第一実施形態の別例3において、注湯済み鋳型が方向変換位置に配置された状態を示す図である。
図24】第一実施形態の別例3において、注湯済み鋳型が冷却準備位置から冷却エリアに搬入される状態を示す図である。
図25】第一実施形態の別例3において、付設突出し装置によって注湯済み鋳型が排出された状態を示す図である。
図26】第二実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置の概要を示す平面図である。
図27】第二実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置の概要を示す側面図である。
図28】方向変換位置に注湯済み鋳型が搬入され、型バラシ位置で注湯済み鋳型が搬出される状態を示す図である。
図29】鋳型移送装置と鋳型載置台移行装置とを示す正面図である。
図30】鋳型載置台移行装置を示す正面から見た拡大図である。
図31】鋳枠が取り外された注湯済み鋳型が、鋳型移送装置で方向変換位置に設けられた鋳型載置トレイに載せられる状態を示す図である。
図32】鋳型載置トレイを示す平面図である。
図33】位置決めガイドに位置決めされた鋳型載置トレイが鋳型搬入搬出装置の把持装置で把持される状態について一部を断面で表す正面図である。
図34】位置決めガイドに位置決めされた鋳型載置トレイについて一部を断面で表す側面図である。
図35】鋳型排出装置を示す正面図である。
図36】鋳型載置台移行装置によって、注湯済み鋳型を冷却準備位置に移した状態を示すとともに、型バラシ位置で注湯済み鋳型を排出した状態を示す図である。
図37】空の鋳型載置トレイを方向変換位置に移動させた状態を示す図である。
図38】方向変換位置に配置された鋳型載置台移行装置に空の鋳型載置トレイを受け渡す状態を示す図である。
図39】第三実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置の概要を示す側面図である。
図40】冷却準備位置に配置された注湯済み鋳型を鋳型搬入装置で上昇させた状態を示す図である。
図41】注湯済み鋳型を一番下流側の所定の定位置に搬入した状態を示す図である。
図42】鋳型搬入装置が上流側に移動するとともに、鋳型搬出装置が下流側二番目の所定の定位置の注湯済み鋳型を搬出のため上昇させた状態を示す図である。
図43】鋳型搬入装置が方向変換位置に移動するとともに、鋳型搬出装置が型バラシ位置で注湯済み鋳型を排出した状態を示す図である。
図44】鋳型搬入装置が方向変換位置において、鋳型押出装置から注湯済み鋳型を受け取ろうとする状態を示す図である。
図45】第四実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置の概要を示す平面図である。
図46】第四実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置について一部を断面で表す側面図である。
図47】鋳型搬入搬出装置を表す正面図である。
図48】第四実施形態の別例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一実施形態)
本発明に係る注湯済み鋳型の冷却装置を鋳造ラインに具体化した第一実施形態について、図1図17を参照して以下に説明する。
図1は、本発明に係る注湯済み鋳型の冷却装置1を含む鋳造ラインCLの全体の概要を示している。本明細書において、注湯済み鋳型PMが鋳造ラインCLの第一・第二搬送路TP1,TP2に沿って搬送される方向を「搬送方向」という。鋳型の搬送を水の流れに例えて、鋳造ラインCLにおいて搬送の始点となる側を「上流側」、搬送の終点となる側を「下流側」という。搬送方向において上流方向を「後方」といい、下流方向を「前方」というものとする。搬送路TP1,TP2の搬送方向に延在する中心線を想定した場合に、その中心線より遠い側を「外側」、近い側を「内側」というものとする。
【0011】
1.鋳造ライン
鋳造ラインCLは、造型装置ME、第一鋳型搬送装置MT1、注湯エリアPA、第一トラバーサT1、第二鋳型搬送装置MT2、第二トラバーサT2、ジャケット錘移し替え装置WT、搬入準備装置2、冷却エリア3、及び鋳型排出装置4を備えている。
鋳造ラインCLは、造型した鋳型に溶湯を注入し、注湯済み鋳型PMを搬送し、注湯済み鋳型PMを所定時間冷却し、型バラシして鋳造品を鋳型から取り出す鋳造工程を実行する。
【0012】
1-1.造型装置
造型装置MEは、水分、粘結材などが調整された鋳物砂を押圧することで上鋳型と下鋳型とを形成し、下鋳型に上鋳型を重ねて鋳型を造型する。造型装置MEは、公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0013】
1-2.第一鋳型搬送装置
第一鋳型搬送装置MT1は、第一搬送路TP1と第一プッシャー装置PD1と第一クッション装置CD1とを備えている。第一鋳型搬送装置MT1は、造型装置MEで造型された鋳型Mを台車Cに載せて注湯エリアPAまで搬送し、注湯エリアPAで注湯された注湯済み鋳型PMを、さらに第一トラバーサT1まで搬送する。
【0014】
台車Cは、鋳型Mを載置する矩形状の載置台と載置台の側面に搬送方向に直交する回転軸を有する4つの車輪(回転自在)とを備えている。台車は、鋳型を載せて搬送するものとして公知技術であるので、説明を省略する。
第一搬送路TP1は、搬送方向に沿って設けられ床面(図示せず)から立ち上がる架台(図示せず)と、架台上に設けられ搬送方向に沿って平行に対に延在する搬送レール(図示せず)とを備えている。搬送レールには、夫々鋳型Mが載置される複数の台車Cが一列に並べられる。
【0015】
第一プッシャー装置PD1は、第一搬送路TP1の上流側の端部に設けられ、第一搬送路TP1上に並べられた一番後方に位置する台車Cを搬送方向に1ストローク(1つの台車Cの搬送方向の長さ)だけ押圧する。
【0016】
第一クッション装置CD1は、第一搬送路TP1の下流側の端部に設けられ、第一搬送路TP1上に並べられた台車Cのうち一番前方に位置する台車Cを受けるように働く。第一鋳型搬送装置MT1では、複数の台車Cを自由に動くことないように第一クッション装置CD1と第一プッシャー装置PD1とで挟持した状態で、搬送方向に搬送する。第一プッシャー装置PD1および第一クッション装置CD1は、公知技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0017】
1-3.注湯エリア
注湯エリアPAは、金属を高温で溶かす溶解炉(図略)と溶けた金属の湯を鋳型に注入するトリベTRBと備えている。溶解炉およびトリベTRBは公知技術であるため説明を省略する。
【0018】
1-4.第一トラバーサ
第一トラバーサT1は、鋳型Mが載置された台車Cを載置する台車載置台T1aと搬送レールに直交する遷移レールT1bと台車載置台T1aを遷移レールT1b上で駆動させる駆動装置(図略)とを備えている。台車載置台T1aは、側面に搬送方向に沿って延在する回転軸を有する4つの車輪を備えている。第一トラバーサT1は、公知技術であるため説明を省略する。
【0019】
1-5.第二鋳型搬送装置
第二鋳型搬送装置MT2は、第二搬送路と第二プッシャー装置PD2と第二クッション装置CD2とを備えている。
第二鋳型搬送装置MT2は、第一鋳型搬送装置MT1とは逆方向に鋳型Mが載置された台車Cを搬送するもので、第二搬送路TP2、第二プッシャー装置PD2、および第二クッション装置CD2の構成は同様なので説明を省略する。第二搬送路TP2の下流側には、第二搬送路TP2から冷却エリア3に向けて注湯済み鋳型PMを搬出するための搬送路搬出位置TUPが設けられている。
【0020】
1-6.第二トラバーサ
第二トラバーサT2は、第一トラバーサT1とは逆方向に鋳型Mが取り除かれた台車Cを搬送するもので、その構成は第一トラバーサT1と同様なので、説明を省略する。
【0021】
1-7.ジャケット錘移し替え装置
ジャケット錘移し替え装置WTは、第一搬送路TP1の注湯エリアPAの上流側位置および第二搬送路TP2の前記上流側位置に対応する下流側の位置に設けられている。ジャケットおよび錘(図示せず)は、鋳型Mに上方から被せられ、注湯時の内圧による鋳型Mの損傷破壊を防止するものである。ジャケット錘移し替え装置WTは、公知技術であるので、説明を省略する。
【0022】
第一搬送路TP1、第一トラバーサT1、第二搬送路TP2および第二トラバーサT2に沿って台車Cを搬送することで、造型装置MEで造型された鋳型Mを、注湯工程を経て注湯済み鋳型PMとし、搬送路搬出位置TUPまで搬送する。また、台車Cを循環させることで同じ台車Cを繰り返し使用できるようになっている。
【0023】
1-8.搬入準備装置
搬送路搬出位置TUPと冷却エリア3との間には、搬入準備装置2が設けられている。
搬入準備装置2は、図2に示すように、搬送準備テーブル21と押圧スライド装置22と鋳型押出装置23とを備えている。
【0024】
1-8-1.搬送準備テーブル
搬送準備テーブル21は、第二搬送路TP2で搬送されてきた注湯済み鋳型PMを冷却エリア3に送るように連絡する。搬送準備テーブル21は、支持板211と平滑板212とを備えている。支持板211は、図3に示すように、例えば鉄製で矩形長板状に形成され、第二搬送路TP2を挟む支柱221a(後述)の一方と第二搬送路TP2とは反対側に離間した支柱221aとの間に横架されている。平滑板212は、例えば鉄製の略矩形薄板状に形成され、支持板211の上に固定されている。平滑板212は、注湯済み鋳型PMが滑らかに移動するように、表面粗さが小さく設定されている。
【0025】
平滑板212は、第二搬送路TP2の搬送路搬出位置TUPに連絡するために第二搬送路TP2に向かって水平に矩形状に突出する第一連絡橋部213と、冷却エリア3に連絡するために冷却エリア3の手前の冷却準備位置CPP(後述)に向かって水平に矩形状に突出する第二連絡橋部214と、第一連絡橋部213と第二連絡橋部214とを連結する連結本体部215とを備えている。平滑板212は、図3に示すように、第二搬送路TP2の搬送路搬出位置TUPに位置決めされる台車Cの鋳型載置面と同じ高さ位置となるよう、上面の位置が設定されている。
【0026】
1-8-2.押圧スライド装置
押圧スライド装置22は、搬送路搬出位置TUPに位置決めされる台車Cに載置された注湯済み鋳型PMを、搬送準備テーブル21の連結本体部215(方向変換位置DCP)までスライドさせる。押圧スライド装置22は、図3に示すように、支持フレーム221と移動台車222と押し板223と駆動装置224とを備えている。
【0027】
支持フレーム221は、支柱221aと支持桟221bとガイドレール221cとを備えている。支柱221aは、例えば、鉄製の断面矩形状の長尺板材より形成され、搬送方向に所定の間隔で対にして、床面BGより夫々垂直に立設されている。支柱221aは、図2に示すように、第二搬送路TP2を挟んだ両側と搬送準備テーブル21の第二搬送路TP2に対して反対側の計六個所に配設されている。
【0028】
支持桟221bは、例えば鉄製の断面正方形状の棒材により形成されている。支持桟221bは、前記支柱221aのうち第二搬送路TP2および搬送準備テーブル21を間に挟んで外側に設けられた支柱221aのうち、同じ外側に配された支柱221aの上部間に搬送方向に沿って一対横架されている。
【0029】
ガイドレール221cは、例えば鉄製の断面C形の長尺材により形成されている。ガイドレール221cは、図3に示すように、前記外側に設けられた支柱221aのうち搬送方向に直交する方向に対向する支柱221a間に横架されている。ガイドレール221cは、第二搬送路TP2および搬送準備テーブル21の上方であって、支持桟221bと同じ高さ位置に設けられている。ガイドレール221cは、図4に示すように、開口部側を対向させて水平方向に沿って配設され、開口部には後述する移動台車222の転動輪222bの回転軸が遊嵌される。ガイドレール221cの内壁底部には、転動輪222bの外周が転動するように接触する。
【0030】
移動台車222は、図3に示すように、例えば、鉄製の長尺材により矩形状に組付けられた台車本体部222aと、台車本体部222aに設けられた転動輪222bと、駆動装置224のローラーチェーン224d(後述)に連結される連結部222cとを備えている。
【0031】
移動台車222は、第二搬送路TP2上の搬送路搬出位置TUPと搬送準備テーブル21上の方向変換位置DCPとの間を往復する(図2参照)。方向変換位置DCPは、本実施形態では、三つの注湯済み鋳型PMが搬送方向に対して直交する方向に沿って並ぶように、搬送準備テーブル21の連結本体部215上に三カ所直線上に並べて設定されている。
【0032】
移動台車222には、搬送方向に沿って延在する回転軸を夫々有する四つの転動輪222bが設けられ、転動輪222bはガイドレール221cに沿って転動するようになっている。
連結部222cは、例えば鉄製で四角柱状に形成され、移動台車222の搬送準備テーブル21側の上部に、例えば、溶接等により固定されている。
【0033】
押し板223は、押し板支持フレーム223aおよび押し板本体223bを備えている。押し板支持フレームは、例えば、鉄製の長尺材で形成され、搬送方向に対向して移動台車222の第二搬送路TP2側の端部に溶接等で連結されて垂下されている。押し板本体223bは、例えば、鉄製の矩形状板材で形成され、押し板支持フレーム223aの搬送準備テーブル21側の側面に例えば溶接等で貼着されている。
【0034】
駆動装置224は、電動モータ224aと駆動側スプロケット224bと従動側スプロケット224cとローラーチェーン224dとを備えている。電動モータ224aは、搬送準備テーブル側の支持桟の上部中央に固定されている。電動モータ224aの駆動軸は、搬送方向に沿って延在し、駆動軸には駆動側スプロケット224bが駆動軸に対して相対回転不能に固定されている。第二搬送路TP2側の支持桟221bの上部中央には、従動側スプロケット224cの軸支持部が固定されている。
【0035】
従動側スプロケット224cは、駆動側スプロケット224bに対向して設けられ、従動側スプロケット224cと駆動側スプロケット224bとの間には、ローラーチェーン224dが循環するように掛装されている。ローラーチェーン224dの一端部は、移動台車222の連結部222cの一端側に、ローラーチェーン224dの他端部は、移動台車222の連結部222cの他端側に夫々連結されている。電動モータ224aの駆動により循環するローラーチェーン224dの動きは、連結部222cを介して移動台車222に伝わり、移動台車222をガイドレール221cに沿って往復するように移動させる。
【0036】
1-8-3.鋳型押出装置
鋳型押出装置23は、押圧スライド装置22により搬送準備テーブル21の連結本体部215(方向変換位置DCP)に載置された注湯済み鋳型PMを、冷却準備位置CPP(後述する)まで移送する。
鋳型押出装置23は、図4に示すように、搬送準備テーブル21を挟んで冷却エリア3の反対側に設けられた押出し台231の上に固定されている。鋳型押出装置23は、押出しシリンダ装置232および押出板233を備えている。
【0037】
図2に示すように、シリンダ部232aおよびピストン部232bは、第二搬送路TP2の搬送方向に平行に延在するように設けられている。シリンダ部232aは、押出し台231の上に固定されている。シリンダ部232aおよびピストン部232bの両側にはガイド部232cが設けられている。ガイド部232cは、ガイドロッド232C1とガイドロッド232C1が摺動可能に嵌装されるガイド筒232C2とを備えている。ガイド筒232C2は、押出し台231の上に固定されている。ピストン部232bおよびガイドロッド232C1は、搬送方向に向かって前進後退する。ピストン部232bおよびガイドロッド232C1の先端部には、押出板233が固定されている。
【0038】
押出板233は、例えば、鉄製で長方形状の板材で形成され、長辺が搬送方向に直角な方向にかつ押出板233全体が垂直に配置されている。押出板233の下端は、搬送準備テーブル21の上面に対して隙間を設けて配設され摺動可能となっている。押出板233は、注湯済み鋳型PMの端面に当接して、ピストン部232bの前進により注湯済み鋳型PMを冷却準備位置CPPまで移送する。
【0039】
シリンダ部232aは、送油管を介して油圧供給源232d(例えば油圧ポンプ)と連通されている。シリンダ部232aと油圧供給源232dとの間には、電磁切換弁232eが設けられ油圧の切替を行う。電磁切換弁232eの動作は、図略の制御装置によって制御される。
【0040】
1-9.冷却エリア
冷却エリア3は、注湯済み鋳型PMを一定時間貯留し、注湯された鋳物が、その後の型バラシの際に外気温で急冷されても鋳物の組織が状態変化しないところまで徐冷する。
冷却エリア3には、図5に示すように、上段下段に形成された基枠31と、基枠31の上段に吊下げられた鋳型搬入搬出装置33とが設けられている。また、基枠31の下段には、複数の「所定の定位置PDP1~PDP13」が設定配置されている。搬入搬出される注湯済み鋳型PMは、鋳型載置トレイ32に載置された状態で、搬入搬出および冷却が行われる。
【0041】
1-9-1.基枠
基枠31は、構成する各部材が、例えば鉄製の断面矩形状の中空管材で形成されている。基枠31は、図5に示すように、支柱311と下段横部材312と上段横部材313と下段支持部材314と上段支持部材315とを備えている。支柱311は、第二搬送路TP2の搬送方向に対して平行に五対配設されている。下段横部材312は、第二搬送路TP2の搬送方向に対して直交する方向に対向する支柱311間において、途中の高さ位置に横架されている。下段支持部材314は、下段横部材312と同じ高さ位置で搬送方向に沿って二本互いに平行に横架されている。下段支持部材314は、上流側の四本の支柱311間に水平に設けられている。上段支持部材315は、支柱311の先端部に搬送方向に沿って二本、水平にかつ互いに平行に横架されている。上段支持部材315は、五本の支柱311すべてに支持されるとともに、上流側において搬送準備テーブル21の連結本体部215の上方となる位置まで水平方向に突出するように形成されている。対向する上段支持部材315の両端部の間には、上段横部材313が設けられている。
【0042】
1-9-2.所定の定位置
所定の定位置PDPは、複数の位置(本実施形態では13カ所)PDP1~PDP13に設定されている。所定の定位置PDPは、下段支持部材314の上面に突設される位置決めガイド316で設定される。位置決めガイド316は、図5に示すように、例えば鋼鉄製の棒材で形成され中心が垂直方向に立設されている。位置決めガイド316の基端部が下段支持部材314に例えば溶接等によって固定され、先端部は面取り面が周設されている。位置決めガイド316は、例えば四つで一組となるように水平方向に矩形状に配置されている。具体的には、図1に示すように、位置決めガイド316を、対となった下段支持部材314の対向する位置(矩形の長辺を構成する)と、同一の下段支持部材314で鋳型載置トレイ32(後述する)の巾に対応する離間位置(矩形の短辺を構成する)と、の四カ所に配置することで矩形状とする。
【0043】
四つで一組となった位置決めガイド316を、搬送方向に平行する方向に13組配置する。配置する際に、位置決めされる鋳型載置トレイ32が隣同士で大きな隙間が生じないように設定する。所定の定位置PDP1~PDP13には、位置センサPSが設けられ、後述する鋳型搬入搬出装置33の移動位置を制御装置が把握できるようになっている。
【0044】
位置決めガイド316の設けられた冷却エリア3の端部と搬送準備テーブル21の第二連絡橋部214との間には、冷却準備位置CPPが設けられている。冷却準備位置CPPには、冷却エリア3の位置決めガイド316と同様な位置決めガイド316が一組配置されている。冷却準備位置CPPに鋳型載置トレイ32が位置決めされた場合に、搬送準備テーブル21の第二連絡橋部214の上面と、冷却準備位置CPPに位置決めされた鋳型載置トレイ32の上面とがわずかな隙間を介して連続するようになっている。すなわち搬送準備テーブル21の第二連絡橋部214の上面と、位置決めされた鋳型載置トレイ32の上面とは、同じ高さ位置となるように設定されている。
【0045】
1-9-3.鋳型載置トレイ
鋳型載置トレイ32は、図7、8および9に示すように、例えば鋼鉄製で長方形の板状に形成されている。鋳型載置トレイ32の長辺の両端の縁部下面には、下方に突出する長辺部リブ32aが長辺に沿って設けられている。対向する長辺の中央を結ぶ線上には、下方に突出するとともに長辺部リブ32aに対して直角な方向に延在する中央部リブ32bが設けられている。対向する短辺には、短辺の端より所定幅内側の位置に下方に突出するとともに長辺部リブ32aに対して直角な方向に延在する短辺部リブ32cが夫々設けられている。
【0046】
長辺部リブ32aと短辺部リブ32cとが交差する四つの角部の内側は、所定の定位置PDPを定める各位置決めガイド316に対向するようになっている。四つの角部の内側に4本の位置決めガイド316が夫々嵌まり込むことで、鋳型載置トレイ32は、各所定の定位置PDPに位置決めされる。
なお、「リブ」とは、板材などの要所に設ける突起状の補強部材をいう。
【0047】
1-9-4.鋳型搬入搬出装置
鋳型搬入搬出装置33は、鋳型載置トレイ32に載せられて冷却準備位置CPPに位置決めされた注湯済み鋳型PMを、いずれかの所定の定位置PDPに搬入する。そして、冷却された注湯済み鋳型PMを、鋳型排出装置4がある型バラシ位置MRPに搬出する。
鋳型搬入搬出装置33は、図6に示すように、搬入搬出台車331とレール332と昇降シリンダ装置333と昇降フレーム334と把持装置335とを備えている。
【0048】
搬入搬出台車331は、図5に示すように、例えば鉄製の矩形板状に形成された搬入搬出台車本体部331aと、搬入搬出台車本体部331aの対向する二辺に搬送方向に直交するように回転軸が設けられた四つの転動輪331bと、駆動装置331cとを備えている。駆動装置331cは、電動モータ331c1と、駆動スプロケット(図略)と、従動スプロケット(図略)と、回転駆動軸(図略)と、ローラーチェーン(図略)と、ピニオン331c6と、ラック331c7とを備えている。
【0049】
電動モータ331c1は、搬入搬出台車本体部331aの上流側端部に固定されている。電動モータ331c1の出力軸には、駆動スプロケットが相対回転不能に固定されている。出力軸の下方には、従動スプロケットが固定された回転駆動軸が搬入搬出台車本体部331aに設けられたベアリング(図略)により回転自在に支持されている。従動スプロケットと駆動スプロケットとには、無限循環するローラーチェーンが掛装され、両スプロケットを介して電動モータ331c1の回転トルクが回転駆動軸に伝達されるようになっている。
【0050】
回転駆動軸の両端部には、ピニオン331c6が相対回転不能に夫々周設されている。基枠31の各上段支持部材315の上面には搬送方向に直線状に延在するラック331c7が夫々敷設され、ラック331c7にピニオン331c6が噛合する。ピニオン331c6が回転すると、ラック331c7に沿う直進運動が生じて搬送方向に沿って搬入搬出台車本体部331aを移動させる。電動モータ331c1は、図略の変速装置により出力軸が正逆回転可能になっている。電動モータ331c1および変速装置は、図略の制御装置によって動作が制御される。
【0051】
基枠31の対となった上段支持部材315の上面には夫々レール332が敷設され、四つの転動輪331bはレール332上を転動する。対となったレール332は、ラック331c7よりも外側に離間させて配設されている。
【0052】
昇降シリンダ装置333は、図6に示すように、昇降シリンダ333aと昇降ピストン333bと昇降シリンダ333aの周りに矩形状に配置された昇降ガイド装置333cとを備えている。
昇降シリンダ333aは、搬入搬出台車本体部331aの中央に上下方向に嵌設されて固定され、下方に昇降シリンダ333aの開口部が開口するように設けられている。昇降シリンダ333aの開口部には、昇降ピストン333bが下方に向かって前進後退するように挿入されている。
【0053】
昇降ガイド装置333cは、昇降ガイド筒333c1と昇降ガイドロッド333c2とを備えている。昇降ガイド筒333c1は、搬入搬出台車本体部331aの昇降シリンダ333aの周り4か所に上下方向に嵌設されて固定されている。各昇降ガイド筒333c1には、昇降ガイドロッド333c2が上下方向に進退可能に夫々挿入されている。
昇降ガイドロッド333c2および昇降ピストン333bの下端に当たる先端部には、昇降フレーム334が例えばボルト締め等により固定されている。
【0054】
昇降フレーム334は、例えば鉄製の断面四角の筒状部材により形成されている。昇降フレーム334は、水平面上で長方形状に組付けられるとともに、対向する長辺の中央部間には短辺に対して平行な中央部材(図略)が横架されている。中央部材の中央には、昇降ピストン333bの先端部が例えばボルト締め等によって固定されている。長方形状の四隅には、昇降ガイドロッド333c2の先端部が同様に固定されている。
【0055】
昇降シリンダ333aは、図略の送油管を介して油圧供給源333d(例えば油圧ポンプ)と連通されている。昇降シリンダ333aと油圧供給源333dとの間には、電磁切換弁333eが設けられて油圧の切替を行う。電磁切換弁333eの動作は、図略の制御装置によって制御される。昇降フレーム334には、把持装置335が設けられている。
【0056】
把持装置335は、注湯済み鋳型PMが載置された鋳型載置トレイ32を把持する。
把持装置335は、軸承部335aと把持爪335bとを備えている。軸承部335aは、昇降フレーム334の四隅の下面に夫々設けられ、第二搬送路TP2の搬送方向に対して平行な方向に延在する回転軸を支持する。各軸承部335aには、基端部において回転軸に支持される把持爪335bが夫々設けられている(合計四つ)。把持爪335bは、搬送方向に直角な方向に対向する把持爪335bにおいて、夫々先端部が内側に屈曲して鈎状に形成されている。対向する把持爪335bは、搬送方向に直角な面内において先端部(下端)が開閉する。把持爪335bの開閉は、例えば油圧機構(図略)を利用して開閉するものでもよい。
【0057】
1-10.鋳型排出装置
鋳型排出装置4は、図1および図5に示すように、基枠31における一番下流側にある支柱311に取り付けられ、鋳型搬入搬出装置33により搬出されてきた注湯済み鋳型PMを振動コンベヤVC上に排出する。鋳型排出装置4は、基端支持部41と突出腕部42と突き出し板部43とを備えている。
【0058】
基端支持部41は、例えば鉄製の矩形筒状部材で形成され、一番下流側にある二本の支柱311の内側に立設された支持柱(図略)に設けられている。基端支持部41は、支柱311の上部の高さ位置において、搬送方向に対して直角となる水平方向に横架されて固定されている。
突出腕部42は、例えば鉄製の矩形筒状部材で形成され、基端部が基端支持部41に例えば溶接等によって固定されている。突出腕部42は、先端部が鋳型搬入搬出装置33に向かって一対突出するように配設されている。
【0059】
突き出し板部43は、注湯済み鋳型PMに直接当接する部分である。突き出し板部43は、支持板部43aと当接板43bとを備えている。支持板部43aおよび当接板43bは、例えば鉄製の長方形状板材で形成されている。当接板43bの鋳型搬入搬出装置33に対向する面は、垂直の平滑面で形成されている。支持板部43aは、当接板43bよりも一回り面積が小さい長方形状に形成され、当接板43bと重ねられて一体になっている。支持板部43aは、突出腕部42の先端に鋳型搬入搬出装置33に対向する側と反対側の面が固定されている。
【0060】
当接板43bの下端は、型バラシ位置MRPにおいて昇降フレーム334が上昇された状態にあるとき、鋳型搬入搬出装置33に搬送される鋳型載置トレイ32の上面より少し(例えば1~2cm)上方に位置するよう高さ位置が設定されている。当接板43bの上端は、型バラシ位置MRPにおいて昇降フレーム334が上昇された状態にあるとき、鋳型搬入搬出装置33が注湯済み鋳型PMを搬送する際の昇降フレーム334の高さよりも下方に位置するよう高さ位置が設定されている。搬送方向に直角な方向の当接板43bの長さは、鋳型搬入搬出装置33が注湯済み鋳型PMを搬送する際の搬送方向に対して直角な方向に対向する把持爪335bの離間長さよりも小さく設定されている。これにより、鋳型搬入搬出装置33に搬送される注湯済み鋳型PMが当接板43bに当接する際に、当接板43bは注湯済み鋳型PMのみに当接し、鋳型載置トレイ32から注湯済み鋳型PMを振動コンベヤVCに落下させる。
【0061】
1-11.制御装置
制御装置は、注湯済み鋳型PMを、冷却準備位置CPP、いずれかの所定の定位置PDPなどに位置センサPSからの信号に基づいて位置決めする鋳型搬入搬出装置33の位置制御を行う。
【0062】
なお、冷却エリア3、鋳型搬入搬出装置33、および鋳型載置トレイ32により主に注湯済み鋳型の冷却装置1が構成される。
また、本実施形態では、注湯済み鋳型PMの搬入搬出および冷却を鋳型載置トレイ32に載せて行うこととしたが、これに限定されない。例えば自硬性鋳型を使用する場合、鋳型載置トレイ32を使用することなく搬送することが可能となる。
【0063】
1-12.(作動)
次に、上記のように構成された第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置1の作動について、図5図9図10図11図17を参照して以下に説明する。
予め、図9に示すように、注湯済み鋳型PMは、第二搬送路TP2の搬送路搬出位置TUPに位置決めされ、移動台車222によって、搬送準備テーブル21の方向変換位置DCPに移される。本実施形態では、冷却エリア3において、3つの注湯済み鋳型PMを一つの組として取り扱うため、図10に示すように、搬送準備テーブル21に第二搬送路TP2の搬送方向に対して直角な方向に3つ並べる。
なお、本実施形態においては、冷却に必要な時間が同様な注湯済み鋳型PMが冷却される場合を想定している。
【0064】
図5は、搬送準備テーブル21の方向変換位置DCPに3つ並べられた注湯済み鋳型PMを示している。また、冷却エリア3では、既に所定の定位置PDP2~PDP13に注湯済み鋳型PMが配置されて冷却されている状態にある。また、鋳型搬入搬出装置33によって、注湯済み鋳型PMのない空の鋳型載置トレイ32が、冷却準備位置CPPに位置決めされた状態を示している。
【0065】
次に、制御装置は、電磁切換弁232eを切り替えて鋳型押出装置23の押出しシリンダ装置232を駆動させて、3つの注湯済み鋳型PMを方向変換位置DCPから冷却準備位置CPPに移動させる。3つの注湯済み鋳型PMは、冷却準備位置CPPに位置決めされている空の鋳型載置トレイ32に載置される。そして、制御装置は、図11に示すように、鋳型搬入搬出装置33の把持装置335に3つの注湯済み鋳型PMを、把持するとともに昇降シリンダ装置333を駆動させて上昇させる。
【0066】
この時の上昇位置は、鋳型載置トレイ32の下端が、所定の定位置PDPに並べられた他の注湯済み鋳型PMに接触しない位置である。接触を避けるために水平方向に逃げるよりも、上昇による移動距離は短い。
なお、工場のレイアウトにより水平方向のスペースが取れる場合には、他の注湯済み鋳型PMに接触を防止するため、水平方向に逃げる構造としてもよい。
【0067】
次に、制御装置は、鋳型搬入搬出装置33の搬入搬出台車331を駆動させて、所定の定位置PDP1の上方に移動する。そして、制御装置CDは、図12に示すように、電磁切換弁333eを切り替えることで昇降シリンダ装置333を駆動させて、3つの注湯済み鋳型PMを下降させて、所定の定位置PDP1に位置決めする(鋳型搬入工程)。
制御装置は、所定の定位置PDP1に位置決めされた注湯済み鋳型PMを必要な冷却時間だけ貯留して冷却を行う(鋳型冷却工程)。
【0068】
次に、制御装置は、冷却を終えた注湯済み鋳型PMが配置された所定の定位置(PDP2)の上方に鋳型搬入搬出装置33を移動させる。そして、制御装置は、図13に示すように、昇降シリンダ装置333を駆動させて、所定の定位置PDP2に配置されていた注湯済み鋳型PMを鋳型載置トレイ32とともに把持して上昇させる(鋳型搬出工程)。
【0069】
次に、制御装置は、鋳型搬入搬出装置33を型バラシ位置MRPまで移動させる。型バラシ位置MRPでは、図14に示すように、鋳型搬入搬出装置33に把持された3つの注湯済み鋳型PMを鋳型排出装置4の突き出し板部43に衝突させる。衝突の際、突き出し板部43は、鋳型載置トレイ32および把持爪335b等に接触することなく、3つの注湯済み鋳型PMのみに衝突する。そして、3つの注湯済み鋳型PMを振動コンベヤVCに落下させる。
次に、制御装置は、図15に示すように、空となった鋳型載置トレイ32を把持した鋳型搬入搬出装置33を冷却準備位置CPPに移動させ、方向変換位置DCPに位置決めされた注湯済み鋳型PMが移される準備を行う。以下同様の動作を順に繰り返す。
【0070】
図16は、第13番目の所定の定位置PDP13までの注湯済み鋳型PMが順に搬出された状態を示している。図17は、第13番目の所定の定位置PDP13に新たな注湯済み鋳型PMが搬入された状態を示している。この場合は、第1番目の所定の定位置PDP1が次に搬出される。
【0071】
上述したように、本実施形態に係る注湯済み鋳型の冷却装置1は、複数の注湯済み鋳型PMを、夫々搬入搬出可能な複数の所定の定位置PDP1~PDP13に夫々位置決めして冷却する冷却エリア3であって、位置決め後の冷却中において、注湯済み鋳型PMを移動させない冷却エリア3を備えている。
【0072】
そのため、冷却エリア3に搬入された注湯済み鋳型PMは、いずれかの所定の定位置PDP1~PDP13に夫々位置決めされて移動することなく冷却される。したがって、冷却時に注湯済み鋳型PMが移動に起因する損傷を生じることがない。また、冷却時に移動の必要がないので車輪のついた台車や冷却ライン毎のプッシャー装置やクッション装置等の設備が不要となり安価な設備コストの冷却エリア3を構築することができる。
【0073】
また、第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置1は、注湯後の冷却が必要な注湯済み鋳型PMを、冷却エリア3の複数の所定の定位置PDP1~PDP13のいずれかに搬入する鋳型搬入装置(鋳型搬入搬出装置33)と、冷却エリア3において冷却された各注湯済み鋳型PMを、冷却エリア3において、鋳型搬入装置(鋳型搬入搬出装置33)により搬入された所定の定位置PDP1~PDP13から搬出する鋳型搬出装置(鋳型搬入搬出装置33)と、を備えている。
【0074】
そのため、注湯後の冷却が必要な注湯済み鋳型PMを、複数の所定の定位置PDP1~PDP13のいずれかに搬入する鋳型搬入装置(鋳型搬入搬出装置33)と、冷却された各注湯済み鋳型PMを、搬入された所定の定位置PDP1~PDP13から搬出する鋳型搬出装置(鋳型搬入搬出装置33)とによって、注湯済み鋳型PM毎に最適な冷却を容易に実施することができる。
【0075】
また、第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置1において、鋳型搬入装置と鋳型搬出装置とは、一つの鋳型搬入搬出装置33が兼用している。
これによると、注湯済み鋳型PMの冷却エリア3の所定の定位置PDP1~PDP13への搬入、冷却された注湯済み鋳型PMの所定の定位置PDP1~PDP13からの搬出を一つの鋳型搬入搬出装置33で行うので、設備コストの低減と省スペース化を図ることができる。
【0076】
また、3つの注湯済み鋳型PMを1つの組として鋳型載置トレイ32に載せて、所定の定位置PDPへの搬入、所定の定位置PDPからの搬出等を高い作業効率で行うことができる。また、冷却エリア3において、隣接する所定の定位置PDPに配置される注湯済み鋳型PMは、冷却の際に台車で移動する必要がないので、隣接する注湯済み鋳型PM間にわずかな隙間を設けるだけで安定して配置できる。そのため、省スペースを図った冷却エリア3とすることができる。
【0077】
第一実施形態の鋳型搬入搬出装置33(鋳型搬入装置および鋳型搬出装置)は、注湯済み鋳型PMを昇降シリンダ装置333によって上方へ持ち上げて搬送する持ち上げ搬送装置である。
これによると、横方向(搬送方向に直角な水平方向)に比べて高さ方向の寸法が小さい注湯済み鋳型PMを上方へ持ち上げて搬送するので、最小の動きで他の注湯済み鋳型PMを超えて、搬送することができる。
【0078】
また、冷却エリア3において、所定の定位置PDP1~PDP13には、載置される複数の注湯済み鋳型PMがその冷却が完了する順に並ぶように鋳型搬入搬出装置33により搬入される。
これによると、鋳型搬入搬出装置33によって、所定の定位置PDP1~PDP13に載置され冷却が完了した注湯済み鋳型PMを並べられた順に搬出すればよい。そのため、注湯済み鋳型PMに必要な冷却をおこなう工程を容易かつ確実に実施することができる。
【0079】
また、第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置1は、注湯済み鋳型PMを載置する鋳型載置トレイ32をさらに備えている。
そして、注湯済み鋳型PMは、所定の定位置PDP1~PDP13に位置決めされる際に、鋳型載置トレイ32に載置された状態で搬入され、所定の定位置PDP1~PDP13から搬出される際に、鋳型載置トレイ32に載置された状態で搬出される。
【0080】
これによると、注湯済み鋳型PMは、鋳型載置トレイ32に載置されて所定の定位置PDP1~PDP13に搬入され、所定の定位置PDP1~PDP13から搬出されるので、搬入搬出時に注湯済み鋳型PMに曲げ荷重が負荷されて、注湯済み鋳型PMが裂けるような損傷を防止し、迅速かつ安全な搬入搬出を行うことができる。
【0081】
また、冷却エリア3の各所定の定位置PDP1~PDP13には、鋳型載置トレイ32を上下方向に着脱可能に位置決めする位置決めガイド316が夫々設けられている。
これによると、各所定の定位置PDP1~PDP13に設けられた簡易な構造の位置決めガイド316により、注湯済み鋳型PMが載置された鋳型載置トレイ32は上下方向から容易かつ確実に位置決めされる。
【0082】
また、一端部が基枠31に固定され、他端部が鋳型搬入搬出装置33に対向すると共に鋳型搬入搬出装置33の搬送方向に沿って突出し、鋳型搬入搬出装置33により搬送される注湯済み鋳型PMを鋳型載置トレイ32から突き出して落下させる突出し装置(鋳型排出装置4)を備えている。
【0083】
これによると、突出し装置(鋳型排出装置4)は、鋳型載置トレイ32上の注湯済み鋳型PMを突き出して落下させる。この突き出し動作は、鋳型搬入搬出装置33の搬出する方向への動きによるため、突出し装置(鋳型排出装置4)自体は、簡素な構造の低コストの装置とすることができる。
【0084】
なお、第一実施形態では、注湯済み鋳型PMを冷却エリア3に搬入する鋳型搬入工程と、一定時間冷却する鋳型冷却工程と、冷却が終了した注湯済み鋳型PMを冷却エリア3からから搬出する鋳型搬出工程とを行うものとしたが、これに限定されない。例えば、冷却エリアでの冷却工程を経ることなく、鋳型搬入工程に連続して鋳型搬出工程を行ってもよい。
必要な冷却時間が短い注湯済み鋳型PMの場合、冷却エリア3に入る前に搬送される工程や冷却エリア3を移動する工程で必要な冷却時間が経過する。このような冷却時間が短い注湯済み鋳型PMは、鋳型搬入工程に連続して鋳型搬出工程を行うことで、効率よく冷却工程を経過させ、注湯済み鋳型PMから作られる鋳物の生産効率を向上させることができる。
【0085】
1-13.第一実施形態の別例1
第一実施形態においては、必要な冷却時間が同様な注湯済み鋳型PMを、冷却エリア3に順番に並べて搬入し、搬入された順番に従って搬出したが、これに限定されない。
例えば、図18に示すように、各注湯済み鋳型PMの必要な冷却時間を制御装置CDの記憶部MDに記憶しておき、冷却エリア3に搬入された時点より必要な冷却時間経過まで演算部AUでカウントし、冷却時間が経過した注湯済み鋳型PMから搬出するようにしてもよい。
【0086】
この場合、注湯済み鋳型PM毎に必要な冷却時間が制御装置CDの冷却時間記憶部CTSに記憶されている。そして、各鋳型載置トレイ32には、識別コード(図略)が夫々設けられ、搬入工程、搬出工程、搬送工程および排出工程では、鋳型載置トレイ32と載置された注湯済み鋳型PMとが対応付けられて一体に取り扱われる。各所定の定位置PDP1~PDP13には、識別センサISで識別され識別データ記憶部IDSのデータと照合された鋳型載置トレイ32の搬入搬出をチェックする搬入搬出検知センサIODSが設けられている。
【0087】
また、方向変換位置DCP、冷却準備位置CPP、各所定の定位置PDP、型バラシ位置MRP毎に、鋳型搬入搬出装置33の位置を認識する位置センサPSが夫々設けられている。
【0088】
先ず、制御装置CDは、注湯済み鋳型PMが、いずれの鋳型載置トレイ32に載置されたかを記憶する。
次に、制御装置CDは、いずれの所定の定位置PDP1~PDP13にどの注湯済み鋳型PMが、鋳型搬入搬出装置33により搬入されたかを記憶し、搬入された時刻より注湯済み鋳型PMに必要な冷却時間(予め実験的・経験的に求められ冷却時間記憶部CTSに記憶されている)が経過する時間のカウントを経過時間演算部ETCで開始する。同様にして、複数の注湯済み鋳型PMを、夫々所定の定位置PDP1~PDP13に搬入し、必要な冷却時間が経過する時間のカウントを行う。
【0089】
次に、制御装置CDは、必要な冷却時間が経過した注湯済み鋳型PMを、必要な冷却時間が経過した順に鋳型搬入搬出装置33により搬出する。
必要な冷却時間が経過した注湯済み鋳型PMから搬出することが可能となるので、余分な冷却時間を取ることなく効率よく注湯済み鋳型PMを冷却して搬出することができる。
搬入搬出検知センサIODS、経過時間演算部ETCおよび冷却時間記憶部CTSにより、主に冷却完了検知装置が構成される。
【0090】
上記の記載で明らかなように、第一実施形態の別例1は、各注湯済み鋳型PMの必要な冷却が完了したことを検知する冷却完了検知装置をさらに備えている。
これによると、冷却完了検知装置によって、冷却エリア3に搬入された注湯済み鋳型PMのうち、必要な冷却が完了した注湯済み鋳型PMを任意の所定の定位置PDPから選択することができる。そして、必要な冷却が完了したと選択された注湯済み鋳型PMを直ちに搬出することができるので、無駄のない高効率の冷却を実施することができる。
【0091】
1-14.第一実施形態の別例2
第一実施形態においては、鋳型排出装置4を冷却エリア3の下流側の端部に配置したが、これに限定されない。例えば、図19に示すように、冷却エリア3の途中に鋳型排出装置4を設けてもよい。この鋳型排出装置4は、対向する下段支持部材314の途中の上面に横架された基端支持部41に突出腕部42が固定されている。
冷却エリア3の途中に鋳型排出装置4を設けることで、工場内に配置される注湯済み鋳型の冷却装置のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0092】
1
1-15.第一実施形態の別例3
第一実施形態では、基枠31に固定された突出し装置(鋳型排出装置4)を備え、これにより鋳型搬入搬出装置33により搬送される注湯済み鋳型PMを、型バラシ位置MRPにおいて鋳型載置トレイ32から突き出して落下させたが、これに限定されない。
【0093】
例えば、図20に示すように、鋳型搬入搬出装置93に突出し装置を組み付けた付設突出し装置94としてもよい。
この鋳型搬入搬出装置93には、鋳型搬入搬出装置93の搬入搬出台車本体部931aに対して搬送方向に沿って相対的に移動する付設突出し装置94が一体として組み合わされている。この付設突出し装置94によって、鋳型搬入搬出装置93により搬送される注湯済み鋳型PMを鋳型載置トレイ32から突き出して落下させる。
【0094】
第一実施形態の別例3は、基枠31に固定された突出し装置(鋳型排出装置4)がなく、付設突出し装置94が加えられたものであり、その他の構成は、第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置1と同様であるので、説明を省略する。
以下、主に付設突出し装置94について詳述する。
【0095】
付設突出し装置94は、支持フレーム941、支持フレーム941に保持された支持レール942、支持レール942に沿って搬送方向に移動する突出し部材943および突出し駆動機構944を備えている。搬入搬出台車本体部931aは、上流側に第一実施形態のものより長く延在させて形成されている。
【0096】
支持フレーム941は、搬入搬出台車本体部931aの後部下面の四か所に搬送方向に二つずつ並べて垂下された吊下支持部材941aと、搬送方向に直角な方向に対向する吊下支持部材941aの間に横架された横架部材941bとを備えている。各吊下支持部材941aは、例えば、鉄製の断面矩形状の長尺部材から夫々形成されている。
【0097】
横架部材941bは、例えば鉄製で断面矩形状の長尺部材で形成されている。横架部材941bは、上下方向に延在する吊下支持部材941aの中ほどにおいて、例えば溶接等によって連結固定され、搬送方向に直角な方向に水平に横架されている。
【0098】
支持レール942は、吊下支持部材941aの下端に固定され、搬送方向に沿って水平に延在している。支持レール942は、図22に示すように、例えば、断面C形の鋼材で形成され、C形の開口部が夫々対向するように内側に向けて配置されている。支持レール942の開口部には、図22に示すように、後述する転動輪943dの回転軸が嵌装される。支持レール942の内底壁部には、転動輪943dの外周が転動する。
【0099】
突出し部材943は、突出し台車943aと、押圧板943bと、押圧板支持部943cと、転動輪943dとを備えている。
突出し台車943aは、支持レール942に沿って搬入搬出台車本体部931aに対して相対的に移動する。突出し台車943aは、図21に示すように、例えば鉄製の長方形の板状に形成され、突出し台車943aの両側部の四か所には転動輪943dの回転軸が搬送方向に直角な方向に延在するように設けられている。回転軸には、夫々転動輪943dが回転自在に支承されている。
【0100】
突出し台車943aの下流側の端部には、押圧板支持部943cを介して押圧板943bが固定されている。押圧板支持部943cおよび押圧板943bは、例えば鉄製で平板状に形成されている。押圧板943bは、垂直の平滑面で形成されている。押圧板支持部943cは、押圧板943bよりも一回り面積が小さい長方形状に形成され、押圧板943bと重ねられて一体になっている。
【0101】
押圧板943bの下端は、型バラシ位置MRPにおいて昇降フレーム334が上昇された状態にあるとき、鋳型搬入搬出装置93に搬送される鋳型載置トレイ32の上面より少し(例えば1~2cm)上方に位置するよう高さ位置が設定されている。押圧板943bの上端は、型バラシ位置MRPにおいて昇降フレーム334が上昇された状態にあるとき、鋳型搬入搬出装置93が注湯済み鋳型PMを搬送する際の昇降フレーム334の高さよりも下方に位置するよう高さ位置が設定されている。
【0102】
搬送方向に直角な方向の押圧板943bの長さは、鋳型搬入搬出装置93が注湯済み鋳型PMを搬送する際の搬送方向に対して直角な方向に対向する把持爪335bの離間長さよりも小さく設定されている。これにより、付設突出し装置94の駆動によって、鋳型搬入搬出装置93に搬送される注湯済み鋳型PMが押圧板943bに当接する際に、押圧板943bは注湯済み鋳型PMのみに当接し、鋳型載置トレイ32から注湯済み鋳型PMを振動コンベヤVCに落下させる。
【0103】
突出し駆動機構944は、搬入搬出台車本体部931aに対して、突出し部材943を搬送方向に沿って相対移動させる。突出し駆動機構944は、突出しシリンダ944aと、突出しシリンダ944aに挿入される突出しピストン944bと、油圧供給源944c(例えば油圧ポンプ)と、電磁切換弁944dとを備えている(図21参照)。突出しシリンダ944aは、二本の横架部材941bの下面中央に例えばボルト止めされ、搬送方向に沿って延在するように配置されている。突出しピストン944bは、下流側に向かって前進後退するように突出しシリンダ944aに嵌装されている。
【0104】
突出しピストン944bの先端部は、突出し台車943aの前部上面に上方に向かって突設された連結部943a1に固定されている。突出しシリンダ944aは、油送管を介して油圧供給源944cに連通している。突出しシリンダ944aと油圧供給源944cとの間には、油圧の供給遮断を行う電磁切換弁944dが設けられている。電磁切換弁944dは制御装置により作動が制御される。
【0105】
第一実施形態の別例3の鋳型搬入搬出装置93によると、搬送動作を行う機構(駆動装置331c)と別の機構(付設突出し装置94)で注湯済み鋳型PMの突出しを行う。そのため、搬送動作として鋳型搬入搬出装置93が搬送方向に沿って移動するための動力は、注湯済み鋳型PMを搬送する動力だけでよく、振動コンベヤVCに落下させる注湯済み鋳型PMを突き出すための動力は必要がない。これによって、鋳型搬入搬出装置93が搬送方向に沿って移動するための動力に突き出すための動力を加えたものを必要とすることなく、余分なランニングコストがかかるのを防止することができる。
また、付設突出し装置94(鋳型排出装置)が鋳型搬入搬出装置93に一体に付設されているので、型バラシ位置MRPに固定された突出し装置(鋳型排出装置4)を設ける必要がない。そのため、工場内のレイアウトに応じて、冷却エリア3内の任意の位置に型バラシ位置MRPを設定することを容易に行うことができる。
【0106】
(作動)
次に、上記のように構成された第一実施形態の別例3について、鋳型搬入搬出装置93の付設突出し装置94の主な作動について、図23図25を参照して以下に説明する。
図23は、3つの注湯済み鋳型PMが方向変換位置DCPに配置され、鋳型搬入搬出装置93が空の鋳型載置トレイ32を冷却準備位置CPPに搬入した状態を示している。この場合、付設突出し装置94の押圧板943bは、昇降フレーム334に接触しない上流端に配置されている。
【0107】
図24は、制御装置が昇降シリンダ装置333により昇降フレーム334を上昇させて、把持装置335で把持した注湯済み鋳型PM(鋳型載置トレイ532とともに)を搬送可能な位置(他の注湯済み鋳型PMに接触しない位置)まで上昇させた状態を示している。この場合、図示はしないが、次の工程で注湯済み鋳型PMは、第1番目の所定の定位置PDP1に搬入される。
【0108】
図25は、第2番目の所定の定位置PDP2で冷却されていた注湯済み鋳型PMを、型バラシ位置MRPにおいて、鋳型搬入搬出装置93から振動コンベヤVCに落下させる状態を示している。この場合、制御装置は、突出し駆動機構944を駆動させ、突出しピストン944bを前進させて突出し部材943を下流側に移動させる。これによって、把持装置335で把持していた注湯済み鋳型PMに突出し部材943の押圧板943bを衝突させ、注湯済み鋳型PMを鋳型載置トレイ32から振動コンベヤVC上に落下させる。
その他の作動は、第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置と同様であるので、説明を省略する。
【0109】
(第二実施形態)
次に、本発明に係る注湯済み鋳型の冷却装置を造型ラインに具体化した第二実施形態について、図26図38を参照して以下に説明する。
第二実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置51を実施した鋳造ラインCL2は、基枠531の上流部側、搬入準備装置52、鋳型載置トレイ532及び鋳型排出装置54が第一実施形態と相違する。さらに、注湯済み鋳型は、注湯時に鋳枠が取り外されていない鋳枠付き鋳型である点が第一実施例と相違する。
【0110】
2-1.基枠
基枠531は、図26に示すように、上流側において上段支持部材315および下段支持部材314が上流側に搬入準備装置52を超える位置まで延長されている。上流側の支柱311は、上段支持部材315および下段支持部材314の上流側の端部を支持するように構成されている。下段支持部材314の「方向変換位置DCP」には、位置決めガイド316が所定の定位置PDPと同様に四つのカ所に配置され、鋳型載置トレイ532を位置決めできるように構成される。
【0111】
2-2.搬入準備装置
第一実施形態において搬入準備装置2は、搬送準備テーブル21と押圧スライド装置22と鋳型押出装置23とを備えていたが、第二実施形態の搬入準備装置52では、搬送準備テーブル21がなく、押圧スライド装置22に代わって鋳型移送装置521が設けられ、鋳型押出装置23に代わって鋳型載置台移行装置522が設けられている。第一実施形態で連結本体部215に設定されていた「方向変換位置DCP」は、説明上の容易性を考慮して第二実施形態においても同様の位置に同じ名称を使用する。以下、主に相違点について説明する。
【0112】
2-2-1.鋳型移送装置
鋳型移送装置521は、搬送路搬出位置TUPに位置決めされる台車Cに載置された注湯済み鋳型PMを、鋳型載置台移行装置522までスライドさせる。鋳型移送装置521は、図29に示すように、搬入フレーム521a、移載装置521c、鋳枠取外し装置521d、搬入当接部521e、および搬入押圧機構521fを備えている。鋳型移送装置521は、公知技術であるため説明を省略する。公知技術として、例えば「特開2018-111125号公報」に記載された鋳型搬入装置を挙げることができる。本実施形態において、図31に示すように、鋳枠取外し装置521dによって鋳枠付きの注湯済み鋳型から鋳枠が取り外され、冷却エリア3に搬入される前には、鋳枠のない注湯済み鋳型PMとなっている。
【0113】
2-2-2.鋳型載置台移行装置
鋳型載置台移行装置522は、鋳型移送装置521より「方向変換位置DCP」に搬送された注湯済み鋳型PMを90度搬送方向を変えて冷却準備位置CPPに搬送する。
鋳型載置台移行装置522は、図27に示すように、移行レール522a、移行台車522b、移行移動機構522c、昇降機構522dおよび移行昇降台522eを備えている。
【0114】
移行レール522aは、下段支持部材314の下方に、対となった下段支持部材314の間隔より狭い間隔で設けられている。移行レール522aは、搬送方向に沿って延在するように床面BGに固定された一対の床面支持部材522a1に設けられている。移行レール522aは、方向変換位置DCPを上流側に超える位置から冷却準備位置CPPを下流側に超える位置まで延在する。床面支持部材522a1は、例えば鉄製の断面矩形状の長尺材で矩形枠状に形成され、長辺部の上面に移行レール522aが固定されている。
【0115】
移行台車522bは、例えば鉄製の矩形板材で形成され、移行レール522aに対応する両側の側面には、搬送方向に直角な回転軸を有する四つの転動輪522b1が回転自在に設けられている。移行台車522bは、転動輪522b1によって、移行レール522aの上を走行する。移行台車522bの下流側の端部には、移行移動機構522cが設けられている。
【0116】
移行移動機構522cは、移行方向シリンダ機構522c1を備えている。移行方向シリンダ機構522c1は、シリンダ522c2とピストン522c3とを備えている。シリンダ522c2は、搬送方向に沿って横に寝かされた状態で、床面支持部材522a1の冷却準備位置CPP側の短辺部の上面中央に固定されている。ピストン522c3は、搬送方向の逆方向に前進後退するようにシリンダ522c2に嵌装されている。
【0117】
ピストン522c3の先端には、移行台車522bの前端部が、連結軸を有し垂直平面上を回動可能な連結部材を介して連結されている。シリンダ522c2は、油送パイプを介して油圧供給源55d(例えば油圧ポンプ)に連通している。シリンダ522c2と油圧供給源55dとの間には、電磁切換弁55eが設けられている。制御装置は、電磁切換弁55eの作動を制御する。
【0118】
昇降機構522dは、移行台車522bの中央に設けられ、鋳型載置トレイ532を載せた移行昇降台522eは、昇降機構522dによって昇降される。昇降機構522dは、図30に示すように、昇降シリンダ機構522d1と昇降ガイド機構522d5とを備えている。昇降シリンダ機構522d1は、移行台車522bの中央に上下に貫いてシリンダ部522d3が固定され、シリンダ部522d3から上方に前進後退するピストン部522d4が設けられている。シリンダ部522d3は、輸送パイプを介して油圧供給源としての油圧ポンプ56dに連通している。油圧ポンプ56dとシリンダ部522d3との間には、電磁切換弁56eが設けられている。電磁切換弁56eの切替動作は、制御装置によって制御されている。
【0119】
昇降ガイド機構522d5は、昇降シリンダ機構522d1を挟んで搬送方向に対して直角な方向に沿って両側に対に設けられている。昇降ガイド機構522d5は、ガイド筒部522d6とガイドロッド部522d7とを備えている。ガイド筒部522d6は、移行台車522bに上下方向に貫いて固定されている。ガイド筒部522d6には、ガイドロッド部522d7が上方に向かって前進後退するように挿入されている。
【0120】
ガイドロッド部522d7およびピストン部522d4の先端部には、移行昇降台522eが設けられている。
移行昇降台522eは、例えば鉄製で矩形状の板状に形成されている。移行昇降台522eの搬送方向に沿った辺の長さは、搬送方向に沿って並んだ一対の位置決めガイド316の配置位置の巾より少し長く形成されている。移行昇降台522eの搬送方向に直角な方向に沿った辺の長さは、対向する下段支持部材314の間の長さよりも短く形成されている。移行昇降台522eの上面には、四か所に昇降ガイド522e1が突設されている。
【0121】
昇降ガイド522e1は、例えば鉄製で円柱状に形成され、上端面において、鋳型載置トレイ532の裏面を当接して支持する。昇降ガイド522e1は、搬送方向の配置が鋳型載置トレイ532の対向する長辺部リブ32aのすぐ内側に位置するようになっている。昇降ガイド522e1は、搬送方向の直角な方向の配置が鋳型載置トレイ532の対向する短辺部リブ32cの内側に位置するようになっている(図32参照)。
【0122】
昇降機構522dのピストン部522d4が、図30に示すように、上昇端にあるとき、鋳型載置トレイ532の長辺部リブ32aの下端部が位置決めガイド316の先端よりも高い位置に鋳型載置トレイ532が保持される。また、昇降機構522dのピストン部522d4が、図28に示すように、下降端にあるとき、位置決めガイド316上に載置された鋳型載置トレイ532の長辺部リブ32aの下端部よりも低い位置に昇降ガイド522e1の先端が位置するようになっている。
【0123】
2-3.鋳型載置トレイ
鋳型載置トレイ532には、図32図33および図34に示すように、鋳物砂の脱落を防止する脱落防止壁部532aが設けられている。脱落防止壁部532aは、鋳型載置トレイ532が冷却エリア3に並べられた際に、並べられた前後の端部に垂直方向に立設されている。脱落防止壁部532aは、鋳型載置トレイ532の長辺部リブ32aに沿って搬送方向に直角な方向に延在している。その他の構成は、第一実施形態における鋳型載置トレイ32と同様であるので、説明を省略する。
【0124】
2-4.鋳型排出装置
鋳型排出装置54は、冷却エリア3の下流端に設けられ、搬送方向に直角な方向から鋳型載置トレイ532に載せられた注湯済み鋳型PMに衝突して、注湯済み鋳型PMを鋳型載置トレイ532から振動コンベヤVCに落下させる。
鋳型排出装置54は、冷却エリア3の下流端の一方の脇に固定された架台TSに設けられている。鋳型排出装置54は、図35に示すように、排出シリンダ541と排出シリンダ541より前進後退するように突出する排出ピストン542とを備えている。
【0125】
排出シリンダ541は、冷却エリア3の搬送方向に対して直角な方向に延在するように設けられ、排出ピストン542は、先端部が冷却エリア3の搬送路(鋳型搬入搬出装置33に搬送される鋳型載置トレイ532の軌道)に交差するように設定されている。先端部には、矩形状の排出板542aが設けられ、排出板542aは対向する二つの脱落防止壁部532aの間に入り込むよう形状・寸法および高さ位置が設定されている。排出シリンダ541は、油送パイプを介して図略の油圧供給源(例えば油圧ポンプ)に連通している。排出シリンダ541と油圧供給源の間には図略の電磁切換弁が設けられている。電磁切換弁は、制御装置によって作動が制御される。
【0126】
2-5.(作動)
次に、上記のように構成された第二実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置51の作動について、図28図30図33図38を参照して以下に説明する。
(方向変換位置DCPから冷却準備位置CPPまでの作動)
3つの注湯済み鋳型PMは、図28に示すように、方向変換位置DCPに位置決めされた鋳型載置台移行装置522に配置された鋳型載置トレイ532に載置された状態にある。そして、注湯済み鋳型PMが載置された鋳型載置トレイ532は、鋳型載置台移行装置522の移行昇降台522eの上方であって、方向変換位置DCPの位置決めガイド316の先端に載置されている。
【0127】
制御装置は、図36に示すように、注湯済み鋳型PMが載置された鋳型載置トレイ532を、方向変換位置DCPから冷却準備位置CPPに移動させる。その際に、制御装置は、図30に示すように、昇降機構522dを駆動させて移行昇降台522eを上昇端にまで上昇させる。鋳型載置トレイ532は、位置決めガイド316より昇降ガイド522e1に受け渡されて、鋳型載置トレイ532の長辺部リブ32aの下端が位置決めガイド316の先端を超える高さ位置まで上昇する。次に、制御装置は、移行方向シリンダ機構522c1を駆動させて、注湯済み鋳型PMが載置された鋳型載置トレイ532を冷却準備位置CPPまで移動させる。
【0128】
次に、制御装置は、昇降機構522dを駆動させて移行昇降台522eを下降端にまで下降させる。鋳型載置トレイ532は、図29に示すように、昇降ガイド522e1より冷却準備位置CPPにある位置決めガイド316に受け渡される。
その後の所定の定位置PDO1~PDO13への搬入は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0129】
(必要な冷却が終了した注湯済み鋳型PMの排出時の作動)
制御装置は、図28に示すように、注湯済み鋳型PMを支持した鋳型搬入搬出装置33を、型バラシ位置MRPで停止させる。
制御装置は、図35に示すように、鋳型排出装置54の排出シリンダ541を駆動させ、排出ピストン542を前進させる。これにより排出板542aが注湯済み鋳型PMを鋳型載置トレイ532から押し出して、注湯済み鋳型PMを振動コンベヤVCに落下させる。
【0130】
次に、制御装置は、図37に示すように、注湯済み鋳型PMが排出されて空となった鋳型載置トレイ532を方向変換位置DCPの上方まで搬送する。そして、図38に示すように、鋳型載置台移行装置522が配置された方向変換位置DCPの位置決めガイド316に鋳型載置トレイ532を位置決めする。
その他の作動は、第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0131】
第二実施形態の各鋳型載置トレイ532には、複数の鋳型載置トレイ532が冷却エリア3に並べられた際に、並べられた前後の端部に夫々立設され、注湯済み鋳型PMを構成する鋳物砂の鋳型載置トレイ532からの脱落を防止する脱落防止壁部532aが夫々設けられている。
これによると、注湯済み鋳型PMに崩れが生じた場合にも、脱落防止壁部532aにより鋳物砂が鋳型載置トレイ532から外部へ飛散することを防止することができる。
注湯時に鋳枠があり(有枠鋳型)、注湯後かつ冷却前に鋳枠が鋳型から取り外される注湯済み鋳型の場合には、鋳型が崩れ易くなる場合があるので、脱落防止壁部532aは、特に有効である。
【0132】
(第三実施形態)
次に、本発明に係る注湯済み鋳型の冷却装置を鋳造ラインに具体化した第三実施形態について、図39図44を参照して以下に説明する。
第三実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置61は、鋳型搬入搬出装置が、鋳型の搬入と搬出とを兼用して行うものではなく、冷却エリア3へ注湯済み鋳型PMの搬入を行う鋳型搬入装置63aと、冷却エリア3から注湯済み鋳型PMを搬出する鋳型搬出装置63bとが、それぞれ専用の装置として設けられている点において第一実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置1と相違する。
【0133】
3-1.鋳型搬入装置
鋳型搬入装置63aは、第一実施形態における鋳型搬入搬出装置33と基本構造は同じであるが、昇降シリンダ装置333および昇降フレーム334が、第一実施形態における搬入搬出台車331に相当する搬入台車631aの中央に設けられておらず、下流側へ偏心した位置に設けられている(図39参照)。
【0134】
3-2.鋳型搬出装置
鋳型搬出装置63bは、第一実施形態における搬入搬出台車331に相当する搬出台車631bにおいて鋳型搬入装置63aと対称となる位置に駆動装置331c、昇降シリンダ装置333および昇降フレーム334が設けられている。すなわち、鋳型搬出装置63bは、昇降シリンダ装置333および昇降フレーム334が、搬出台車631bの中央に設けられておらず、上流側へ偏心した位置に設けられている(図39参照)。
【0135】
このように、鋳型搬入装置63aの昇降シリンダ装置333および昇降フレーム334を下流側へ偏心した位置に設け、鋳型搬出装置63bの昇降シリンダ装置333および昇降フレーム334が、上流側へ偏心した位置に設けている。これによって、鋳型搬入装置63aと鋳型搬出装置63bが接近した状態で、注湯済み鋳型PMの搬入・搬出作業を並行してできるようになっている。
【0136】
鋳型搬入装置63aと鋳型搬出装置63bとは、移動位置が干渉しない状態において、並行して注湯済み鋳型PMの搬入・搬出作業を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
その他の構成および作用は第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0137】
3-3.(作動)
次に、上記のように構成された第三実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置61の作動について、図39図44を参照して以下に説明する。
図39に示すように、鋳型搬入装置63aは、空の鋳型載置トレイ32を支持した状態で、冷却準備位置CPPに位置決めされている。注湯済み鋳型PMが方向変換位置DCPに配置され、鋳型押出装置23によって、冷却準備位置CPPに押し出されようとしている。
【0138】
鋳型搬出装置63bは、空の鋳型載置トレイ32を所定の定位置PDP2に配置し(鋳型搬入装置63aに受け渡しのため)、把持装置335を上昇させた状態にある。
制御装置は、鋳型押出装置23を駆動させて、注湯済み鋳型PMを冷却準備位置CPPに押し出し、鋳型搬入装置63aの鋳型載置トレイ32上に注湯済み鋳型PMを載置させる。
【0139】
次に、制御装置は、図40に示すように、鋳型搬入装置63aに昇降シリンダ装置333を駆動させて、所定の定位置PDPに並べられた他の注湯済み鋳型PMに接触しない位置まで、注湯済み鋳型PM、鋳型載置トレイ32および把持爪335bを上昇させる。
次に、制御装置は、図41に示すように、鋳型搬入装置63aを所定の定位置PDP1まで移動させ、注湯済み鋳型PMを所定の定位置PDP1に搬入する。
次に、制御装置は、図42に示すように、PDP2に置かれていた空の鋳型載置トレイ32を鋳型搬入装置63aによって、上流側に搬送する。同時に、制御装置CDは、所定の定位置PDP3に置かれていた注湯済み鋳型PMを下流側に向かって搬送する。
【0140】
次に、制御装置は、図43に示すように、鋳型搬入装置63aによって、冷却準備位置CPPまで、空の鋳型載置トレイ32を搬送する。同時に、制御装置は、鋳型搬出装置63bによって、型バラシ位置MRPまで注湯済み鋳型PMを搬送し、鋳型排出装置4によって、注湯済み鋳型PMを振動コンベヤVCに落下させる。
【0141】
次に、制御装置は、図44に示すように、鋳型搬入装置63aの昇降シリンダ装置333を駆動させて、空の鋳型載置トレイ32を冷却準備位置CPPの位置決めガイド316に位置決めする。同時に、鋳型搬出装置63bによって、鋳型の排出によって空となった鋳型載置トレイ32を所定の定位置PDP3に配置する。
以下、同様に作動を実施する。
【0142】
(第四実施形態)
次に、本発明に係る注湯済み鋳型の冷却装置を鋳造ラインに具体化した第四実施形態について、図45図47を参照して以下に説明する。
第四実施形態の注湯済み鋳型の冷却装置71は、図45に示すように、搬送方向に平行に延在する二つの冷却エリア(第一冷却エリア731および第二冷却エリア732)が設けられている点において第一実施形態と相違する。また、二つの冷却エリア731,732で注湯済み鋳型PMを搬入搬出するための鋳型搬入搬出装置733は、二つの冷却エリア731,732に跨る搬入搬出台車7331を有している。
【0143】
鋳型搬入搬出装置733は、図47に示すように、第一冷却エリア731において第二冷却エリア732と反対側の外側に設けられた第一冷却エリアレール7341と、第二冷却エリア732において第一冷却エリア731と反対側の外側に設けられた第二冷却エリアレール7342とを備えている。
【0144】
第一冷却エリアレール7341と第二冷却エリアレール7342とにより一対のレールが構成されている。搬入搬出台車7331は、第一冷却エリア731および第二冷却エリア732の両方に跨る長さで矩形板状に形成された搬入搬出台車本体7331aを備えている。搬入搬出台車本体7331aには、図46および図47に示すように、搬入搬出台車本体7331a上を搬送方向に対して直角な方向に移動する直角方向移動台車7331bを備えている。そして、昇降シリンダ装置333と昇降ガイド装置333cは、直角方向移動台車7331bに設けられている。そして、搬送準備テーブル21は、第一冷却エリア731に対応し、鋳型押出装置23も第一冷却エリア731に対応している。
【0145】
すなわち、鋳型搬入搬出装置733は、第一冷却エリア731および第二冷却エリア732のいずれかに注湯済み鋳型PMを搬入可能であり、かつ第一冷却エリア731および第二冷却エリア732のいずれかから注湯済み鋳型PMを搬出可能になっている。
その他の構成は第一実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0146】
なお、第四実施形態では、搬送準備テーブル21は、第一冷却エリア731に対応し、鋳型押出装置23も第一冷却エリア731に対応するものとしたが、これに限定されない。
例えば、図48に示すように、搬送準備テーブル821を第一冷却エリア731および第二冷却エリア732に対応するように第二搬送路TP2の搬送方向に直角に延在させてもよい。そして、鋳型押出装置23を第一冷却エリア731および第二冷却エリア732に対応させて一つずつ設けてもよい。
【0147】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0148】
1:注湯済み鋳型の冷却装置、3:冷却エリア、32:鋳型載置トレイ、33:鋳型搬入搬出装置(鋳型搬入装置・鋳型搬出装置)、333:昇降シリンダ装置(持ち上げ搬送装置)、4:鋳型排出装置(突出し装置)、51:注湯済み鋳型の冷却装置、532:鋳型載置トレイ、532a:脱落防止壁部、61:注湯済み鋳型の冷却装置、63a:鋳型搬入装置、63b:鋳型搬出装置、71:注湯済み鋳型の冷却装置、73:鋳型搬入搬出装置、93:鋳型搬入搬出装置、94:付設突出し装置、CTS:冷却時間記憶部(冷却完了検知装置)、ETC:経過時間演算部(冷却完了検知装置)、IODS:搬入搬出検知センサ(冷却完了検知装置)、PM:注湯済み鋳型、PDP:所定の定位置。
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