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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】システム、及び機器
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20240726BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240726BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240726BHJP
【FI】
G07G1/00 331Z
G07G1/00 311D
H02J7/00 301B
H02J7/02 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018183408
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020052868
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-31
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】506359288
【氏名又は名称】株式会社アスタリスク
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規之
(72)【発明者】
【氏名】永井 春一
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】村松 貴士
【審判官】北元 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177725(JP,A)
【文献】特開2016-192091(JP,A)
【文献】特許第6355060(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/204130(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/129655(WO,A1)
【文献】特開2012-166108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G1/00-5/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に関する情報を読み取る読取部と、
前記読み取った情報を送信する送信部と、
カゴとは別体であり、当該カゴに設けられた一対の取っ手の各々の間に外付けされ、上に重ねられた他の機器に対して給電するための給電端子をその上面に有し、下に重ねられた他の機器から受電するための受電端子をその下面に有する一対のケースと、
を備え、
前記ケースの一方は、前記読取部と前記送信部を収納し、その給電端子及び受電端子が、カゴの中心に対して前記ケースの他方の給電端子及び受電端子と対称的に配置されている、ことを特徴とする、後付用機器。
【請求項2】
前記読取部はカメラを含み、
前記カメラは、前記カゴの内方を撮像するように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の後付用機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗において用いられるシステム、及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアには買い物カゴが置かれており、顧客は手に取った商品を買い物カゴに入れてゆく。これらの商品はレジ端末において買い物カゴから取り出され、バーコードリーダでスキャンされる。レジ端末は、バーコードリーダから商品の識別情報を取得し、当該識別情報に基づいて会計処理を実行する。
【0003】
ここで特許文献1には、給電ユニットと複数の買い物カゴを備えた充電システムが記載されている。当該買い物カゴは、スキャナ用回路や情報の送受信回路を含む電子回路と、当該電子回路の電力供給源である二次電池と、を備えた構成となっている。スキャナによって読み取られた情報は、送受信回路を介して、レジ端末へと送信される。このような特許文献1に係る発明によると、レジ端末において商品をスキャンする作業が省かれるので、会計処理が迅速に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6355060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スーパーマーケットやコンビニエンスストアには、多数の買い物カゴが備えられており、これらの買い物カゴに代えて特許文献1に記載の買い物カゴを導入することとなれば、導入費用が膨大なものとなってしまう。
【0006】
本願発明は、上記の課題に鑑み、現在使用されているカゴを利用することのできるシステム、及び機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本願発明のシステムは、物品に付された情報を読み取る読取機器を有する複数のカゴと、前記読取機器から取得した前記情報に基づいて処理を行う処理端末と、を備え、前記読取機器は、前記情報を読み取る読取部と、前記読み取った情報を前記処理端末へと送信する送信部と、を有し、前記読取部と前記送信部を収納したケースが前記カゴに取り付けられることを特徴とする。
【0008】
また、前記ケースは、前記カゴの縁部に取り付けられることを特徴とする。
【0009】
また、前記カゴは、カゴ本体と、当該カゴ本体に接続された一対の持ち手と、を有し、前記ケースは、前記持ち手の一方が接続された箇所と前記持ち手の他方が接続された箇所の間に配置されることを特徴とする。
【0010】
また、前記読取部はカメラを含み、前記カメラは、前記カゴの内方を撮像するように設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、前記複数のカゴが載置されるカゴ置きを備え、前記読取機器は二次電池を有し、前記カゴ置きは、前記二次電池を充電する電力を供給する給電部を有する。
【0012】
また、前記読取機器は、前記カゴ置き上に載置されたことを検出する検出部と、前記載置されたことを検出したときに、前記読み取った情報をリセットするリセット部と、を有する。
【0013】
また、前記カゴは、その上に他の前記カゴが重ねられた場合に、前記給電部から供給された電力を当該他のカゴの読取機器に対して供給するように切り替わる切替部を有する。
【0014】
また、前記カゴは、当該カゴが有する一の縁部に配置される第1端子部と、前記一の縁部に相対する他の端部に配置される第2端子部と、を備え、前記第1端子部と前記第2端子部の一方または両方が、他のカゴの読取機器に前記電力を供給すべく、当該他のカゴの読取機器に電気的に接続されることを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明の機器は、物品に関する情報を読み取る読取部と、前記読み取った情報を送信する送信部と、を備え、前記読取部と前記送信部を収納したケースがカゴに取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、読取機器(機器)のケースがカゴに取り付けられるよう構成されている。このため、現在使用されているカゴを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)実施形態に係る会計システムのレジ端末を示す斜視図、(b)会計システムにおいて用いられるカゴ置きに複数の買い物カゴがストックされた状態を示す側面図。
図2】(a)上記会計システムの買い物カゴの側面図、(b)買い物カゴの平面図
図3】読取機器の回路構成図
図4】上記読取機器の機能ブロック図
図5】読取機器の斜視図
図6】第2実施形態に係る読取機器の回路構成図
図7】第2実施形態に係る読取機器の充電制御フロー図
図8】第2実施形態に係る読取機器の機能ブロック図
図9】第3実施形態に係る読取機器の回路構成図
図10】(a)変形例1に係る読取機器の接続態様を示す側面図、(b)変形例2に係る読取機器の回路構成図
図11】変形例3に係る読取機器の回路構成図
図12】変形例5に係る買い物カゴの平面図
図13】(a)変形例5に係る切替機器の回路構成図、(b)変形例5に係る読取機器の回路構成図
図14】複数の買い物カゴにおける読取機器および切替機器の接続態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗に用いられる会計システムを例にして、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1に示すように、会計システム2は、会計処理端末であるレジ端末4と、複数の買い物カゴ6と、当該複数の買い物カゴ6が載置されるカゴ置き8と、を備えている。
【0020】
レジ端末4は、顧客が購入しようとする商品の商品識別情報に基づいて、メモリ(不図示)に記憶させておいた商品の情報(商品の名称や商品の価格)を抽出し、抽出した商品の情報や商品の合計金額を顧客に提示して会計処理を実行する点において従来のレジ端末と同様の構成を備えているが、商品識別情報を読み取り、取得する構成が従来のレジ端末とは異なっている。本実施形態では、買い物カゴ6が各商品の商品識別情報を読み取り、レジ端末4が当該買い物カゴ6と通信することで商品識別情報を取得することとしている。なお、レジ端末4は、例えば、キャッシュレス決済に対応した会計処理端末であってもよいし、会計処理機能が組み込まれたスマートフォンを用いて顧客が個々に会計を行うものであっても構わない。
【0021】
買い物カゴ6は、図2に示すように、商品を収容するカゴ本体10と、当該カゴ本体10に接続された一対の持ち手12と、を備えている。カゴ本体10は、店舗において従来から使用されているものであり、複数のカゴ本体10を重ねられるよう(図1)に構成されている。一対の持ち手12も、従来から使用されているものと同様にコの字状に形成されており、カゴ本体10の縁部14に設けられた接続部16に接続されている。当該接続部16は、カゴ本体10の開口を形成している一対の長縁部14aと一対の短縁部14bのうち、一対の長縁部14aに形成されており、長縁部14aの中央部分を間にして2箇所ずつ形成されている。これにより、一対の持ち手12が、図2(b)に示す平面視において所定の間隔を隔てて左右対称に接続されている。
【0022】
本実施形態では、各長縁部14aの中央部分(接続部16aと16bの間)に読取機器18が取り付けられている。読取機器18は、商品から商品識別情報を読み取り、読み取った商品識別情報をレジ端末4(図1)へと送信する機器であり、図3に示すように、リーダモジュール20及びNFCモジュール22がCPU24と通信可能に電気的に接続された構成となっている。CPU24は、また、メモリ26と接続されており、メモリ26に記憶されたプログラムを実行することで、リーダモジュール20及びNFCモジュール22を制御する。
【0023】
読取機器18のリーダモジュール20は、商品に付されたバーコードから商品識別情報を読み取るモジュールであって、カメラ(不図示)と、当該カメラを制御し、カメラによって生成された画像を解析してバーコードを検出し、検出したバーコードから商品識別情報を読み取るMCU(不図示)と、から構成されている。当該MCUは、商品識別情報を読み取る度に、読み取った商品識別情報をCPU24へと送信する。このように、リーダモジュール20のカメラは、商品のバーコードを撮像する撮像部28(図4)として機能する。また、リーダモジュール20のMCUは撮像して生成した画像を解析して商品識別情報を読み取る読取部30(図4)として機能する。なお、リーダモジュール20は、QRコードなどの二次元コードや商品に付された文字から情報を読み取るモジュール、又は、商品に付されたIDタグから情報を読み取るRFIDリーダモジュールであっても構わない。すなわち、店舗にある商品を互いに識別する商品識別情報を読み取るモジュールであれば良い。
【0024】
読取機器18のNFCモジュール22は、近距離にある他のNFCモジュールと無線通信を行うモジュールである。本実施形態では、レジ端末4にもNFCモジュール32(図1)が内蔵されており、互いのNFCモジュール22,32によって近距離無線通信が実現されている。NFCモジュール22は、レジ端末4との通信が確立すると、CPU24から受信した商品識別情報をレジ端末4へと送信する。このようにNFCモジュール22は商品識別情報を送信する送信部34(図4)として機能する。なお、読取機器18とレジ端末4の通信手段はNFCモジュール22に限られず、Bluetooth(登録商標)や赤外線を用いた無線通信、又は、ケーブルを用いた有線通信であっても構わない。
【0025】
読取機器18のCPU24は、メモリ26に記憶されたプログラムを実行することで、リーダモジュール20から商品識別情報を取得し、取得した商品識別情報をメモリ26に設けられた記憶領域に一時的に記憶させ、NFCモジュール22を介して記憶された商品識別情報をレジ端末4へと送信する。このように、CPU24は商品識別情報を取得する取得部36(図4)として機能する。また、メモリ26は、商品識別情報を記憶する記憶部38(図4)として機能する。
【0026】
上記したリーダモジュール20、NFCモジュール22、CPU24、及びメモリ26を含む電子回路は、二次電池40から供給される電力によって駆動する。これらの電子回路及び二次電池40などの部品は、図2に示すケース42内に収納されている。ここで、上記のように読取機器18は長縁部14aの中央部分に取り付けられるので、読取機器18のケース42は、接続部16a,16bの間に納まるような長さに形成されると共に、カゴ本体10の縁部14に取り付けられるための構成を備えている。本実施形態では、取り付けるための構成として、図5に示すように、ケース42に嵌込溝44が形成されている。当該嵌込溝44は、断面がL字状に形成された縁部14に合わせた形状に形成されており、嵌め込み易いように縁部14よりも若干幅広く形成されている。これにより、樹脂製のカゴ本体10が有する弾性変形を利用して、嵌込溝44に縁部14を嵌め込むことが可能となっている。
【0027】
上記の読取機器18を備える買い物カゴ6が顧客によって使用される。顧客は、店内の商品を買い物カゴ6に入れる際に読取機器18のカメラに商品のバーコードをかざす。すると、リーダモジュール20によってバーコードから商品識別情報が読み取られ、読み取られた商品識別情報がCPU24によって一旦メモリ26へと記憶される。そして、会計を行う場合には、顧客は、買い物カゴ6に取り付けられた読取機器18をレジ端末4に近づける。これにより、レジ端末4と読取機器18の各NFCモジュール22,32によって互いの通信が確立される。そして、読取機器18のCPU24によって、メモリ26から商品識別情報が読み出され、NFCモジュール22を介して商品識別情報がレジ端末4へと送信される。レジ端末4では、NFCモジュール32を介して受信した商品識別情報に基づいて会計処理が実行される。
【0028】
このように、本実施形態の読取機器18は、従来から使用されている買い物カゴ6に取り付けて使用することができる。また、読取機器18は、カゴ本体10の中央部分(接続部16の間)に取り付けられるように構成されているので、持ち手12の取り扱いを阻害することがない。
【0029】
また、本実施形態の読取機器18において、カメラの光軸はカゴ本体10の内方に向くように取り付けられるのが好ましい。これにより、顧客が店内を移動する際に、陳列されている商品のバーコードを誤って撮像してしまうことを防止することができる。
【0030】
図3に戻り、本実施形態の読取機器18は、二次電池40の電池電圧を監視しながら二次電池40に対する充電を制御する充電制御モジュール46(充電制御部64(図4))を備えている。二次電池40に対する充電方式は特に限定されず、例えば定電流充電方式や定電圧充電方式など公知の充電方式を採用することができる。当該充電制御モジュール46への電力は、ケース42の下部に露出して設けられた下部端子群48を通じて供給される。また、ケース42の上部には上部端子群50が露出して設けられている。下部端子群48と上部端子群50の各々は、電源用端子48a,50a及びグランド用端子48b,50bを有している。電源用端子48a,50aは、ケース42内に設けられた電力供給ライン52を介して互いに接続されており、グランド用端子48b,50bも同様にグランド用ライン54を介して接続されている。また、一の買い物カゴ6の上に他の買い物カゴ6が重ねられた場合、一の買い物カゴ6の上部端子群50と他の買い物カゴ6の下部端子群48が互いに接触するように上部端子群50と下部端子群48の配置位置が定められている。したがって、複数の買い物カゴ6が重ねられた場合には、各読取機器18の充電制御モジュール46は各読取機器18の上部端子群50および下部端子群48を介して並列接続された態様となる。
【0031】
図1に示すように、重ねられた複数の買い物カゴ6はカゴ置き8に下支えされる。カゴ置き8はカゴ本体10の一対の長縁部14aと同じ間隔で設けられた一対の水平フレーム56を備えている。一対の水平フレーム56の中央部分には給電ユニット58が設けてあり、当該給電ユニット58は、最下方に位置する買い物カゴ6の読取機器18と当接している。図3に示すように、この給電ユニット58の上部には、読取機器18の下部端子群48と導通する給電端子群60が露出して設けられている。この給電端子群は給電用端子60aおよびグランド用端子60bを含み、これらの端子60a,60bはカゴ置き8に設けられたスイッチング電源回路62の出力に接続されている。したがって、複数の買い物カゴ6がカゴ置き8に重ね置かれると、カゴ置き8から供給される電力が、各買い物カゴ6の上部端子群50および下部端子群48を通じて、各読取機器18内の電力供給ライン52に供給され、充電制御モジュール46によって二次電池40が充電されることとなる。
【0032】
このように給電ユニット58は、複数の買い物カゴ6の読取機器18に対して、各々の二次電池40を充電すべく電力を供給する給電部66として機能する。そして、本実施形態では、カゴ置き8に対して買い物カゴ6を重ね置くことで、自動的に読取機器18の二次電池40を充電することが可能となる。
【0033】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る会計システムは、レジ端末4、複数の買い物カゴ6、及びカゴ置き8を備える点において、上記第1実施形態と共通しているが、図6に示すように、読取機器68の回路構成が第1実施形態と異なっている。従って、第1実施形態と共通している構成については同一の符号を付して説明を適宜省略することとし、異なる回路構成を中心に説明する。
【0034】
本実施形態の読取機器68は、カゴ本体10がカゴ置き8上に収容されたこと(カゴ置き8に直接的に載置されたこと、及び他の買い物カゴ6を介在させて間接的にカゴ置き8に載置されたこと)を検出する検出部70(図8)と、検出部70が当該収容状態を検出したときに、メモリ26に一時的に記憶させておいた商品識別情報をクリアするリセット部72(図8)と、を備えている。
【0035】
検出部70は、電力供給ライン52とCPU24の入力端子P1の間に直列的に設けられた抵抗器R1と、当該抵抗器R1とCPU24の入力端子P1の間に設けられたプルダウン抵抗器R2と、当該入力端子P1の状態を監視するCPU24と、から構成される。カゴ本体10が収容されていない状態では、電源用端子には電力が供給されていないため、入力端子P1の入力電圧がLOWレベルとなり、CPU24は当該LOWレベルを取得すると、カゴ本体10がカゴ置き8上に収容されていない状態、すなわち、顧客によって買い物カゴ6が使用されている状態であるとして、上述した読取処理や通信処理を実行する。一方、カゴ本体10がカゴ置き8上に収容された場合には、上述したように電源用端子に電力が供給される。すると、入力端子P1には抵抗器R1と抵抗器R2によって分圧されたHIGHレベルの信号が入力される(分圧された電圧値がHIGHレベルになるように抵抗器R1,R2の値が定められている)。CPU24は、当該HIGHレベルの信号を取得すると、カゴ本体10がカゴ置き8に収容された状態として、CPU24はメモリ26に記憶させたおいた商品識別情報を消去する。このようにCPU24がリセット部72として機能している。これにより、顧客による買い物が終わった場合や、買い物が途中で止められた場合などに買い物カゴ6がカゴ置き8に置かれると、自動的にメモリ26内の商品識別情報がリセットされることとなる。
【0036】
また、本実施形態の複数の買い物カゴ6は、カゴ置き8上に積み重ねられたときに、最も上方にある買い物カゴ6の二次電池40から順に充電されるよう構成されている。
【0037】
具体的には、各読取機器68は、上部端子群50および下部端子群48の各々に信号用端子50c,48cを含んでおり、上部の信号用端子50cはプルダウン抵抗器R3を経てCPU24の入力端子P2へと接続されている。また、下部端子群48の信号用端子48cはCPU24の出力端子P3へと接続されている。また、充電制御モジュール46とCPU24は通信可能に接続されており、CPU24は入出力端子P4を介して充電制御モジュール46から二次電池40の電池電圧を取得したり、二次電池40に対する充電の開始および停止を制御する。
【0038】
このように構成された電気回路においてCPU24は、買い物カゴ6がカゴ置き8上に収容された場合に、自己充電モード、下方カゴ充電モード、および上方カゴ充電モードのいずれかを選択し、選択したモードに対応した制御を行う処理部74(図8)として機能する。
【0039】
自己充電モードは、当該買い物カゴ6の読取機器68に内蔵されている二次電池40を充電するモードであって、図7に示すように、CPU24の入力端子P1にHIGHレベル(s01)、入力端子P2にLOWレベルの信号が入力され(s02)、入出力端子P4を通じて取得した電池電圧が低いとき(満充電でないとき)(s03:NO)に選択され実行される。当該自己充電モードでは、CPU24は出力端子P3からHIGHレベルの信号を出力し、入出力端子P4を制御して二次電池40に対する充電を行わせる状態にする。
【0040】
下方カゴ充電モードは、当該買い物カゴ6の下方に重ねられた下方買い物カゴ6に対して、二次電池40を充電させるモードであって、CPU24の入力端子P1にHIGHレベル(s01)、入力端子P2にLOWレベルの信号が入力され(s02)、入出力端子P4を通じて取得した二次電池40の電池電圧が十分高い(満充電)とき(s03:YES)に選択され実行される。当該下方カゴ充電モードでは、CPU24は出力端子P3からLOW信号を出力し、入出力端子P4を制御して二次電池40に対する充電を停止させる状態にする。
【0041】
上方カゴ充電モードは、当該買い物カゴ6の上方に重ねられた上方買い物カゴ6に対して、二次電池40を充電させるモードであって、CPU24の入力端子P1にHIGHレベル(s01)、入力端子P2にHIGHレベルの信号が入力されたとき(s02)に選択され実行される。当該上方カゴ充電モードでは、CPU24は出力端子P3からHIGH信号を出力し、入出力端子P4を制御して二次電池40に対する充電を停止させる状態にする。
【0042】
上記のような充電モードの選択および制御が、カゴ置き8上に収容された各買い物カゴ6の読取機器68におけるCPU24にて実行される。ここで、入力端子P2は、上方に重ねられた買い物カゴ6からの充電の可否を指標する信号が入力される入力部76(図8)として機能している。また、出力端子P3は下方に重ねられた買い物カゴ6に対して充電の可否を指標する信号を出力する出力部78(図8)として機能している。そして、入出力端子P4は、充電制御モジュールから二次電池40の電池電圧を取得するための通信、および充電制御モジュールに対して二次電池40への充電を開始または停止させるための通信を行う通信部80(図8)として機能している。
【0043】
本実施形態によれば、複数の買い物カゴ6が重ね置かれた場合、各読取機器68のCPU24が自己充電モード、下方カゴ充電モード、及び上方カゴ充電モードのいずれかを適宜を選択し、所定の処理を実行することで、利用頻度の高い上方に置かれた買い物カゴ6の読取機器68に対して優先的に給電することができる。
【0044】
[第3実施形態]
上記第2実施形態では、カゴ置き8上に積み重ねられた複数の買い物カゴ6において、各読取機器18のCPU24がモードを選択して所定の処理を選択していたが、第3実施形態では、図9に示すように、CPU80及びメモリ81を給電ユニット84に備え、当該CPU80が複数の読取機器82の二次電池40に対する充電を一括して管理することとしている。
【0045】
具体的には、読取機器82は、上部端子群50と下部端子群48の各々に通信用端子50d,50e,48d,48eを含んでいる。通信用端子50d,50e,48d,48eは、読取機器82のCPU24が、他のCPU24(その上下に重ねられた他の買い物カゴ6の読取機器82のCPU24)と通信するために用いられる端子であって、CPU24に電気的に接続されている。また、給電ユニット84は、給電端子群60に通信用端子60d,60eを含んでおり、当該通信用端子60d,60eは、カゴ置き8上に載置された買い物カゴの下部端子群48の通信用端子48d,48eと接触するよう設けられている。この通信用端子60d,60eは給電ユニット84内のCPU80に電気的に接続されている。従って、CPU80は通信用端子60d,60eを介して、読取機器82のCPU24と通信可能となっている。
【0046】
上記のように構成された各読取機器82のメモリ26には、シリアル番号やアドレスなどの固有情報が格納されている。読取機器82のCPU24は、下方の買い物カゴ6が有する読取機器82のCPU24と通信が確立されると、当該固有情報をメモリ26から読み出すとともに、充電制御モジュール46から二次電池40の電池電圧を取得する。そして、読み出した固有情報と電池電圧を給電ユニット84のCPU80に対して送信する。
【0047】
ここで、本実施形態では上述したように上下に隣接する読取機器82のCPU24が互いに通信可能となっている。従って、新たに買い物カゴ6が積み重ねられた場合(ストックされた場合)には、当該ストックされた買い物カゴ6の読取機器82が、その下方の買い物カゴ6の読取機器82に対して固有情報と電池電圧を送信する。当該固有情報と電池電圧を受信した読取機器82は、受信した情報をさらに下方の読取機器82に対して送信する。このように、上から下に向かって順番に情報が伝達されて、最終的に給電ユニット84へと伝達される。なお、読取機器82のCPU24は下方の読取機器82に情報を送信する際、自己の固有情報及び電池電圧を付加する。
【0048】
給電ユニット84のCPU80は、受信した各読取機器82の固有情報と電池電圧を対応づけて記憶し、受信した電池電圧を比較する。比較した結果、最も低い電池電圧を抽出するとともに、抽出した電池電圧に対応する固有情報を抽出する。そして、CPU80は、充電を開始させるための開始情報に抽出した固有情報を対応づけて読取機器82に送信する。当該情報を受信した読取機器82のCPU24は、メモリ26に記憶している固有情報と受信した固有情報が一致するかを確認し、一致する場合には、開始情報に基づき、二次電池40に対する充電を充電制御モジュール46に開始させる。一方、受信した固有情報が一致しない場合には、受信した固有情報と開始情報を上方の読取機器82に対して送信する。
【0049】
本実施形態において、読取機器82のメモリ26は固有情報を記憶する記憶部として機能している。また、読取機器82のCPU24はメモリ26から読み出した固有情報及び二次電池40の電池電圧を給電ユニット84のCPU80へと送信する送信部として機能する。CPU24は、他の読取機器82の固有情報及び電池電圧を受信し、受信した固有情報及び電池電圧を更に他の読取機器82に送信する転送部として機能する。また、給電ユニット84のCPU80は、受信した電池電圧から最も電圧の低いものを抽出し、当該抽出した電池電圧に対応する固有情報を抽出する抽出部として機能する。また、固有情報と開始情報を対応付けて送信する送信部として機能している。本実施形態によれば、カゴ置き8上に積み重ねられた買い物カゴ6の中で最も充電が必要な買い物カゴ6に対して充電を行わせることができる。
【0050】
第1実施形態から第3実施形態に基づいて本願発明を説明したが、本願発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に記載するような態様であっても構わない。
【0051】
<変形例1>
例えば、上記の各実施形態における上部端子群50および下部端子群48は、図10に示すような態様で設けられても構わない。図10(a)に示す読取機器18は、ケース42の下面に形成された2つの凸部86と、ケース42の上面に形成された2つの凹部88と、を備えている。各凸部86は、読取機器18が上下に重なったとき(買い物カゴ6が上下に重ねられたとき)に凹部88に嵌まり込むように形成されている。この凸部86は、その外周面の一部(図においては互いに対抗する面の一部)に電源用端子48aとグランド用端子48bが設けられている。また、凹部88は、その内周面の一部であって、凸部86の電源用端子48aとグランド用端子48bに対応する位置に電源用端子50aとグランド用端子50bが設けられている。このような態様においては、読取機器18の上部端子群50は常に露出している状態ではあるが、凹部88の内周面に形成されているため、不意に電源用端子50aとグランド用端子50bが導通することを防止することができる。なお、電源用端子48a,50aやグランド用端子48b,50bは凸部86や凹部88の周面ではなく、凸部86の先端部や凹部88の底部に配置されても構わない。
【0052】
<変形例2>
上記の変形例1では、ケース42に凹凸を設けることで、露出した上部端子群50が不意に導通することを防止したが、図10(b)に示すように電力供給ライン52がプッシュスイッチ90を介して電源用端子50aに接続される態様であっても構わない。当該プッシュスイッチ90は、キートップがケース42から突出するように設けられており、当該読取機器18の上に他の読取機器18が重ねられた場合に導通するように設けられている。このような態様においては、読取機器18の上部端子群50は常に露出している状態ではあるが、他の読取機器18が重ねられない限り(他の買い物カゴ6が重ねられない限り)電源用端子50aに電力は供給されない。従って、不意に電源用端子50aとグランド用端子50bが導通することを防止することができる。なお、本変形例で採用した構成を給電ユニット58にも設けることが好ましい。
【0053】
<変形例3>
また、上記の変形例2では、他の買い物カゴ6が上に重ねられたときに読取機器18のプッシュスイッチ90が押し下げられる態様、すなわち物理的にスイッチが切り替えられる態様であったが、電気的にスイッチを切り替える態様であっても構わない。例えば、図11に示すように、上部端子群50に信号用端子50cを設け、また、下部端子群48に信号用端子48cを設ける。信号用端子50cはスイッチ回路92の入力に接続されている。当該スイッチ回路92は、入力にLOWレベルの信号が入力された時にON状態となる。当該入力には不図示のプルアップ抵抗が接続されており、信号用端子50cに何も接続されていない状態ではHIGHレベルの信号が入力されている。下部端子群48の信号用端子48cはグランドに接続されている。従って、図11に示すように、買い物カゴ6が上下に重ねられたときには、下側の読取機器18の上部端子群50と上側の読取機器18の下部端子群48とが接続され、信号用端子50c,48cを介してスイッチ回路92にLOWレベルの信号が入力される。これにより、スイッチがON状態となり、電源用端子50aに電力が供給されることとなる。なお、本変形例で採用した構成を給電ユニット58にも設けることが好ましい。
【0054】
<変形例4>
上記の各実施形態では、一対の持ち手12の接続部16の間に読取機器18を取り付けたが、読取機器18の取り付け箇所は接続部16の間に限られず、他の縁部14であっても構わない。例えば、カゴ本体10の短縁部14bに取り付けても良い。また、読取機器18は、予め取り付けられたものに限定されず、顧客が来店した際に顧客によって任意の縁部14に取り付けられても良い。さらに、読取機器18の取り付け箇所はカゴ本体10の縁部14に限られない。例えば、リーダモジュールとしてRFIDリーダを用いる場合には、カゴ本体10の底に取り付けても構わない。
【0055】
<変形例5>
本発明は、図12に示すように、長縁部14aの一方に読取機器94が取り付けられ、長縁部14aの他方に切替機器96が取り付けられても構わない。
【0056】
読取機器94は、図13(b)に示すように、上記第3実施形態に記載した構成と、変形例3に記載した構成を兼ね備えたものである。すなわち、複数の買い物カゴ6が重ねられたとき、各買い物カゴ6の読取機器94は、各々のCPU24が通信用端子48d,48e,50d,50eを介して通信可能となっている。さらに、信号用端子50cを介して入力された信号に基づいて、上に重ねられた買い物カゴ6に対する電力の遮断または通電が切り替えられるスイッチ回路92を備えている。
【0057】
当該切替機器96は、図13(a)に示すように、信号用端子50cを介して入力された信号に基づいて、上に重ねられた買い物カゴ6に対する電力の遮断または通電が切り替えられるスイッチ回路92を備えている点で読取機器94と共通の構成を備えているが、リーダモジュール20、NFCモジュール22、及びCPU24など、商品の情報を読み取り、通信するための構成を備えていない点で読取機器94とは構成が異なっている。なお、切替機器96の上部端子群50及び下部端子群48には信号用端子50c,48c、電源用端子50a,48a、グランド用端子50b,48bに加えて通信用端子50d,50e,48d,48eを備えている。これら通信用端子50d,50e,48d,48eは電気的に接続されている。また、切替機器96及び読取機器94のケースは同じ形状となっている。
【0058】
ここで、本変形例では、カゴ置き8上に買い物カゴ6を収容する際に、当該買い物カゴ6の向きを合わせる必要なく収容可能としている。すなわち、図14に示すように、読取機器94同士を上下に接続する態様に加えて、読取機器94と切替機器96を上下に接続する態様も可能となっている。
【0059】
上記のような接続態様において、読取機器94及び切替機器96はスイッチ回路92を備えているので、上方に置かれた他の買い物カゴ6から信号用端子50cを介して入力された信号によって、スイッチ回路92が通電状態に切り替わり、当該他の買い物カゴ6に対して電力を供給する状態となっている。なお、当該スイッチ回路92は、給電ユニット58に設けられても構わない。
【0060】
また、読取機器94及び切替機器96は通信用端子50d,50e,48d,48eを介して接続されているので、第3実施形態で記載したように、読取機器94は給電ユニット58との間で、各種情報の伝達が可能となっている。
【0061】
本変形例によれば、買い物カゴ6をカゴ置き8に収容する際に、その向きを合わせることなく収容可能となっている。また、読取機能や通信機能のない切替機器96と読取機器94を一つずつ用いるため、一つの買い物カゴに対して読取機器96を2つ取り付ける場合に比べて、導入コストを抑えることができる。
【0062】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、または変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【0063】
本願発明は、店舗における会計システムや買い物カゴに用いられる読取機器に限られず、物流におけるピッキングに用いることができる。具体的には、ピッキング作業において物品を収集するカゴに上記の読取機器を取り付けても良い。また、読取機器は読み取った情報を入出荷管理端末に送信しても良い。
【符号の説明】
【0064】
2 … 会計システム(システム)
4 … レジ端末(処理端末)
8 … カゴ置き
12 … 持ち手
14 … 縁部
18 … 読取機器(機器)
30 … 読取部
34 … 送信部
40 … 二次電池
42 … ケース
66 … 給電部
70 … 検出部
72 … リセット部

図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12
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図14