(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】双方向ワイヤレスIoTセンサネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240726BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J13/00 301D
H02J3/38 160
(21)【出願番号】P 2020108231
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古屋 泰文
(72)【発明者】
【氏名】丹波 澄雄
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152642(JP,A)
【文献】特開2020-088703(JP,A)
【文献】特表2019-515380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0143085(US,A1)
【文献】国際公開第2014/041826(WO,A1)
【文献】余剰電力蓄電し活用へ スマート農業、災害時想定 アウラ社(青森)など3社開発,東奥日報,日本,2019年07月12日
【文献】再生エネ余剰 蓄電し活用、スマート農業・非常電源に、アウラなど実証成功,日本経済新聞,日本,2019年09月19日,地方経済面 東北
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地にある自然エネルギー発電機器やその周囲のインフラ機械構造物群の環境状況やその機器内部での動力稼働状況を監視するシステムであって、
自然エネルギー発電機器毎に設置され、低消費電力・広域LPWA通信ネットワークに接続されたセンサと、
インターネットに接続されたサーバと
を備え、
前記LPWA通信ネットワークはゲートウエイを経由してインターネットに接続され、前記サーバは、前記センサから前記自然エネルギー発電機器の稼働状況や故障予知の診
断に関する情報をリアルタイムに収集すること
を行い、
前記センサの計測信号の電圧強度又は電流強度を数段階信号にデジタル量子化処理を行った後に、予め設定した閾値に基づいて異常状態の度合を判定した結果(最小限のデータ量)を、その時刻情報を含めて、前記サーバに送信する手段を有することを特徴とする双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム。
【請求項2】
請求項
1記載の双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステムにおいて、
前記サーバから前記センサに対して、計測方法の変更や追加の計測データ取
得の指示を行うリモート制御手段を有することを特徴とする双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2記載の双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステムにおいて、
前記自然エネルギー発電機器が風車の場合に、風車のプロペラ回転部の動力伝達変換部に磁歪リング式トルクセンサを装着し、回転軸力変化や歯車劣化時の不規則な衝撃的応力を受けた際の磁歪材料内部の応力誘起型磁区移動に起因する電磁的なパルス状の電圧形状やその周波数解析により故障診断を行う手段を有すると共に、その診断情報として故障危険性の有無に関する判定情報(最小限のデータ量)を、前記サーバに送信する手段を有することを特徴とする双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2025年目標の国際的技術水準である、工場での製品化自動製造ラインや道路でのEV自動運転、先進医療福祉機器の高精細動作、社会インフラ構造物への遠隔的診断向けの、「インダストリー4.0(ドイツ)やSociety5.0(日本) 」向け “IoT対応可能な”自立分散型センシングデバイスの研究開発が内外で活発に推進されている。また、同時並行で、それらを活用した、次世代社会での課題解決に向けての、作業現場と情報収集・解析を行う、IoT管理・オペレーションセンターでの双方向ワイヤレス機器制御を可能とする、分散型、省電力でかつロバストのネットワークシステムの構築が不可欠となる。
【0002】
このIoTシステムを実現するには、インターネットとつながるための無線通信が不可欠になる。無線通信方式には、たくさんの選択肢が存在し、通常、WiFi、4G・5Gといったセルラー通信、Bluetooth、Zigbeeなどが一般的に知られている。WiFiやセルラー通信は、動画などの大容量のデータを遠距離・高速で送信するのに適しているが、消費電力が高くなってしまう。低消費電力なBluetoothやZigbeeでは、数メートルの距離でしか通信できない特徴や欠点がある。
【0003】
日本国内で無線通信を使用するIoTシステムを構築する場合、携帯電話キャリアの様に「無線局免許」を考慮しなければならなかった。しかし、総務省は、2011年、免許及び登録を要しない無線局として周波数920MHz帯が小電力無線システムとして制度化され、一般にも広く利用できるようになった(
図1参照のこと)。
【0004】
IoTシステムには、数キロ~数十キロメートルにおよぶ遠距離に、電池を利用する程度の低消費電力で対応できる通信方式が必要になり、LPWA / LPWAN(Low Power Wide Area Network)という無線通信技術が注目されている。米国半導体大手セムテックが開発し、“LoRa Alliance” (世界のIoT関連480社以上が加盟)で仕様化された“LoRaWAN”、Sigfox、Wi-sunなど数社が独自規格を提供している。なお、IoTデバイスとインターネットをつなぐ接続方法には、直接通信方式とデバイスゲートウェイ方式がある。最も一般的なのはデバイスゲートウェイ方式であり、そのセンサ数は多くなるので、分散自立型の小型電池やマイクロ環境発電付デバイスが有効である。
【0005】
一方、インターネット商用WiFi環境が整っていない、地方の遠隔僻地での、農林水産業や土木建設物等のインフラ診断をIoTシステムで行う場合は、次の二つの要素が要る。すなわち、マイクロ環境発電やボタン電池付き自立分散型センシングデバイスとともに、それらからのデータをワイヤレスで収集し。一旦、現地で粗い予備解析をおこなえる小型の局所的に設置する“エッジコンピューティング”用の安定した電源確保が不可欠となる。
【0006】
そのような商用電力が取れない場合は、SDGs関連技術の中で、各種自然エネルギーや環境発電としての、風力、バイオマス、太陽光、地熱等の電力エネルギーの利活用技術が有効となる。特に、電力会社への売電量を超える部分の電力を活用・蓄電して、IoTシステムに用いる、自然エネルギーの余剰電力の利活用が有効となるであろう。これらにより、IoTデータ管理・オペレーションセンターでの双方向ワイヤレス機器制御を可能とする、分散型、省電力でかつロバストのネットワークシステムの構築が可能となる(非特許文献1および非特許文献2参照)。
【背景技術】
【0007】
IoTシステムとは、人が操作しなくても自律的に機能するモノのことで、従来のハードウェアやソフトウェアの機能融合型デバイスを用いることで、インターネット上で他のネットワークや機械に繋がっていて、遠隔的に機器操作もできる。そのためには、電子・電気・IT・産業・生産技術など、多岐にわたる各分野のエンジニアの協力によって実現が可能となり、また、IoT通信情報は、我々の日々の社会生活・消費社会にも直結して、その運用ソフトウェアで大きな利益が見込める、新たなサービス事業分野を育成できるので経済界からも大いに期待されている。
【0008】
インターネット商用WiFi環境が整っていない、地方の遠隔僻地でIoTシステム構築する場合は、次の二つの要素が要る。すなわち、自補給電型・分散型センシングデバイスとともに、それらからのデータをワイヤレスで収集し。一旦、現地で予備解析をおこなえる “エッジコンピューティング”用の安定した電源確保が不可欠となる。それらのセンサ情報を発信するためのIoTシステム構築には、低消費電力で対応できる通信方式が必要になり、LPWA / LPWAN(Low Power Wide Area Network)という無線通信技術を用いるのが適している。
【0009】
LoRaは、Long Rangeの略であり、米国半導体大手セムテックが開発し、“LoRa Alliance” (世界のIoT関連480社以上が加盟)で仕様化された。Sigfoxと異なり、通信事業者に拠らず自身でネットワークを構築することも可能なオープンな通信規格である。その名の通り、都市部で2~5km、見通しの良い場合は、最大で数10km程度の1対1での通信を実現する無線技術である。デーや送信量は小さいが、IoTネットワーク構築での省電力、遠距離通信・僻地適用可能および無免許という特徴がある。IoTデバイスとインターネットをつなぐ接続方法には、直接通信方式とデバイスゲートウェイ方式があり、分散自立型の小型電池やマイクロ環境発電付センサデバイスからの信号を取り入れる出先の窓口(ゲート)を現地に作ることが有効である。
【0010】
なお、LoRaWANTMは、Long Range(LoRa)Wide Area Network(WAN)の略で、消費電力を抑えつつ、長距離での通信を可能にあする大規模ネットワーク構築を実現するプロトコルである。Wide Area Networkアプリケーションを ターゲットとし、IoTにおけるセキュアなローコストモバイル双方向通信、M2M、スマートシティ、産業アプリケーションなどをサポートするのに必要な機能を備えた低消費電力のWANを提供できるよう設計されている。低消費電力用に最適化されており、センサからの比較的小さなデータビット数の0.3kbpsから50kbpsのデータレートで数百万ものデバイスとつながった大きなネットワークを形成できる利点がある。
【0011】
次に、インターネット商用WiFi環境が整っていない、地方の遠隔僻地でのIoTシステムで行う場合は、自立分散型センシングデバイスとともに、それらからのデータをワイヤレスで収集し。一旦、現地で粗い予備解析をおこなえる小型の局所的な“エッジコンピューティング”用の安定した電源確保が不可欠となる。そのような商用電力が取れない場合は、SDGs関連技術の各種自然エネルギーや環境発電としての、風力、バイオマス、太陽光、地熱等の電力エネルギーの利活用技術が有効となる。特に、電力会社への売電量を超える部分の余剰電力を活用・蓄電して、IoTシステムへのネットワークへの利活用が非常に有効となる(
図2参照のこと)。
【0012】
なぜならば、自然エネルギー由来の電力は、大きな発電規模(≧数MW)では、既存の送電線が近くにあればそれに繋げて、電力会社に固定価格で、国が法律で定める“自然エネルギー電力の買取り制度”(Feed-in Tariff, FIT)で売電することができる。一般に、日時や季節に依存して変動する、各種自然エネルギーは、不安定さがあり、電力会社は、供給側電源の安定性を見込み、実質的には、発電最大容量の3分の2程度(70%)しか購入しない。
【0013】
また、多くの場合、自然エネルギー採取に適した地域は、人里離れた、山野に近い平坦地、海岸線、さらには、人が済まない地熱・温泉源地域に限定される特徴があり。そこから遠距離の送電線方式では電力抵抗ロスが大きくなり、売電には不向きな立地条件もある。この様な人里離れた、いわゆる人口低密度や僻地での、人工養殖、遠隔的なスマート管理型農業、寒冷地での昼夜運転のサーバ事業、緊急災害時のエネルギー確保や救援活動拠点等への、局所的な地域限定型の自然エネルギーの余剰電力を用いた、新規事業への構築可能性が有るわけである。
【0014】
その場合、自然エネルギーの非売電・余剰電力部分である約30%を占める、時間変動部分からなる余剰電力波形を、一旦整流・直流化し、バッテリーに蓄電し、かつ、利用側の電力消費状況に協調して、最適放電量を調整できる、「自然エネルギー余剰電力の蓄電協調型利活用システム(GEMCOS)」(
図3参照)を、限定地域に適合した形態で設計・開発することが要求される。
【0015】
すなわち、自然エネルギーの余剰部分の電力蓄電機器と2次的産業機器に用いる電力消費を適切に制御しながら長期の利用を可能とする、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせた、自律・協調型の蓄電エネルギー利活用システム機器の開発が不可欠となる。
【0016】
その様な、2次的産業機器を稼働する場合の電力は、ある特定の局所的地域での、自然エネルギー源の電力会社への定常的かつ規定される売電部分以外の、蓄電装置部分を用いる、自己完結的な余剰電力部分から抽出するので、利用機器や事業設計が、GEMCOS所有者の自由度が多く取れて、電気事業規制も少なくすみ、さらに、通常の電力会社から購入する電力料金よりも遥かに低価格に出来る産業利用上の利点がある。
【0017】
上記の技術的特徴を有する、「自然エネルギー余剰電力の蓄電協調型利活用システム」が実現できれば、大別して(1)低コストPCサーバ事業分野、例えば、データセンター用サーバ事業、仮想通貨マイニング事業の省エネギ―・低コスト型運用システム化また、(2)スマートアグリ関連応用分野、例えば、地域灌 灌漑用水くみ上げ、植物工場での温冷風、室内照明、農林業での電動農機具用の蓄電池配給、人工漁業・養殖事業での加温・循環水ポンプ、餌やり自動化事業の省エネギ―型運用システムが可能となる。さらに、防災減災機能を含む、安心安全・省エネ型の、いわゆる仮想発電所(バーチャルパワープラント)を基盤的機能に置く、スマートな社会インフラ・サービス運用システムが可能となる。
【0018】
以上、本技術分野は、商用電力がうまく取れない様な、遠隔僻地からのIoTセンサネットワーク構築と、その際の安定的な電力補給やバッテリー電池用に、自然エネルギーの余剰電力の有効利用を目的とするSDGs関連の新技術にも繋がっている(非特許文献3および非特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【文献】「IoT ガイド」:IoT向け無線通信技術 LPWA 解説(rs-online.com):https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/iot-internet-of-things
【文献】Gooddo(株)、gooddo, Inc. https://gooddo.jp/magazine/sdgs_2030/clean_energy_sdgs/8028/
【文献】新聞記事:東奥日報(2019年7月12日朝刊)「風力発電などで余った電力を蓄電 スマート農業や災害時に活用へ/アウラ社(青森市)など3社開発」および Yahoo News配信7/11(木) 23:13: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190711-00000009-webtoo-l02
【文献】新聞記事:日本経済新聞社(2019年9月19日)「再生エネ余剰 蓄電し活用、スマート農業・非常電源に、アウラなど実証成功」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
インターネット商用WiFi環境が整っていない、地方の遠隔僻地でIoT ネットワークシステム構築に関して、以下は必要技術基盤となる。すなわち、1)自補給電型・分散型センシングデバイスとともに、それらからのデータをワイヤレスで収集し、一旦、現地で予備解析をおこなえる。 2)“エッジコンピューティング”用の安定した電源確保が不可欠となる。さらには、3)低消費電力・長距離型LPWA通信ネットワーク方式、例えばLoRaWAN方式と無線LANのWiFi拠点を連携させた、遠隔地からの情報取集に向けた”ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム“の構築が不可欠である。
【0021】
上記の”ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム“において、上記GEMCOS設置の新エネルギー機器自体さらにはその周辺敷設の環境・状況把握のための各種センサ信号の中で、短周期時系列の大ビット数の重たい信号、例えば振動計測信号、画像診断等から情報をワイヤレスで送るのに適した、LPWA通信方式の選択、及び、IoTネットワーク上でのセンサ計測データ転送向けにビット数を減らすデータ処理用ソフトウェアが要る。
【0022】
上記の”ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム“において、さらなる、産業機器への応用性や社会生活への適合性を増すために、双方向LPWA通信方式-WiFiLANインターネット連携方式を選択し、遠隔僻地の自然エネルギー活用地域であるGEMCOS周囲の2次産業育成への動力制御機器方法、さらには、そのための、機器動作指示や周囲のインフラ診断用に設置した電子計測機器を、街中センターから直に操作指示できるようにするシステム開発が不可欠である。
【0023】
以上、本技術分野は、商用電力がうまく取れない様な、遠隔僻地からのIoTセンサネットワーク構築と双方向型の機器制御も可能とせしめ、その際の安定的な電力補給やバッテリー電池用に、自然エネルギーの余剰電力の有効利用を目的とするSDGs関連の新技術にも繋がっており、社会的意義が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0024】
第1発明の双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステムは、遠隔地にある自然エネルギー発電機器やその周囲のインフラ機械構造物群の環境状況やその機器内部での動力稼働状況を監視するシステムであって、
自然エネルギー発電機器毎に設置され、低消費電力・広域LPWA通信ネットワークに接続されたセンサと、
インターネットに接続されたサーバと
を備え、
前記LPWA通信ネットワークはゲートウエイを経由してインターネットに接続され、前記サーバは、前記センサから前記自然エネルギー発電機器の稼働状況や故障予知の診断等に関する情報をリアルタイムに収集することを特徴とする。
【0025】
第2発明の双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステムは、第1発明において、
前記センサの計測信号の電圧強度又は電流強度を数段階信号にデジタル量子化処理を行った後に、予め設定した閾値に基づいて異常状態の度合を判定した結果(最小限のデータ量)を、その時刻情報を含めて、前記サーバに送信する手段を有することを特徴とする。
【0026】
第3発明の双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステムは、第1~第2発明のいずれかにおいて、
前記サーバから前記センサに対して、計測方法の変更や追加の計測データ取得等の指示を行うリモート制御手段を有することを特徴とする。
【0027】
第4発明の双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステムは、第1~第3発明のいずれかにおいて、
前記自然エネルギー発電機器が風車の場合に、風車のプロペラ回転部の動力伝達変換部(回転軸力部等)に“磁歪リング式トルクセンサ”を装着し、回転軸力変化や歯車劣化時の不規則な衝撃的応力を受けた際の磁歪材料内部の応力誘起型磁区(ドメイン)移動に起因する電磁的なパルス状の電圧変化やその周波数解析により故障診断を行う手段を有すると共に、その診断情報として故障危険性の有無に関する判定情報(最小限のデータ量)を、前記サーバに送信する手段を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】LoRaWAN(分散僻地)多数風車経由~WiFi拠点(市街地)~インターネット~双方向性制御(GEMCOS-ACTIoTの適用事例)
【
図2】青森県津軽地域で構築した小型風車と低消費電力型IoTセンサネットワーク
【
図3】グリーンエネルギー余剰電力の自律制御・協調操業システム(GEMCOS)の原理と主な応用分野
【
図4】LoRaWAN通信到達距離と電波発信高さの関係
【
図5】LoRaWAN通信の到達距離地点の確認実験結果
【
図6】小型風車の支柱構造体の時系列振動(3軸方向の加速度)センサを装着したLoRaWAN子機写真
【
図7】風車支柱の振動を検知するための加速度センサからの計測データ
【
図9】LoRaWANの双方向通信によるLED点滅(制御)に用いた通信機器ユニット
【
図10】ユーザ指示により風車支柱の振動検知部位の異なるデータを送信させたデータ(
図a)と異常時刻を決定するためのアルゴリズムの結果
【
図11】逆磁歪(漏れ磁束)効果を用いた、磁歪リング式トルクセンサの原理、トルク計測方法およびそのワイヤレス計測システム図
【
図12】小型風車内部の増速歯車の回転軸に装着した磁歪式トルクセンサによる疲労損傷度計測の様子
【
図13】小型風車の変速ギア回転軸に設定した、磁歪式応力センサから得られた電磁的信号
【
図14】磁歪リングFeCo合金材料からの負荷に伴う時期的ノイズ信号の周波数解析
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明では、遠距離僻地にある自然エネルギー開発機器やその周囲のインフラ機械構造物群の環境状況やその機器内部での稼働状況や故障予知等の診断用に、自然エネルギー余剰電力の蓄電協調型利活用システム“GEMCOS”(商願2019-102192)を組み入れた、低消費電力・長距離型LPWA通信ネットワーク方式の採用と通信事業者向けの無線LANでのWiFi拠点を連携させた、”ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム“を構築する。
【0030】
そのための、LPWA通信ネットワーク方式としては、米国半導体大手セムテックが開発し、“LoRa Alliance” (世界のIoT関連480社以上が加盟)で仕様化された。LoRaWANを採用した。これは、総務省認可が不要で、大手通信事業者に拠らず自身でネットワークを構築することも可能な自由度の高いオープンな通信規格であるからである。
【0031】
LoRaWANの到達距離への性能実証につぃてのセンスウェイ株式会社報告では、見通しが良い2点間の富士山の五合目から千葉県柏市の柏の葉キャンパスの基地局まで 123.43km のデータ送信に成功している。それゆえに、LoRaWAN機器を高い風車頂上部に設置して、他の風車まで見通せるように工夫すれば、数10kmまでのはるか遠方までの送受信・連携データ集積を可能になる(
図4参照のこと)。
【0032】
LoRaWANの到達距離の実証試験は、弘前大学・丹波澄雄発明者チームが青森県津軽地方で2019年に実施した。
図5には、津軽平野でのLoRaWAN通信到達距離と電波発信高さの関係をプロットしている。高台から見通せる設置条件では、市街地でも20km程度は電波が到達することが判明した。この基礎データから、丹波(弘前大学)らは、WiFiを利用できない津軽半島先端部、山岳僻地等にある、新エネ機器、例えば事例として、中型(≧30KW)以上の風車群(高さ≧20m、見通し距離5~-20km)をLoRaWAN無線でつなぎ、街中基地局(鯵ヶ沢町)から商用WiFi-LANインターネット経由で、収集・解析できるとしている。
【0033】
この方式を採用すれば、青森県の西側域において、約20個程度の風車頂上部に設置のLoRaWANモジュールで連携させれば、この津軽地域をカバーできることが判った。これにより、新エネ採取地点での各種状況モニタリング用センサ情報から、分散多数の風車機器やインフラ異常、気象データの多パラメータを、受動的(Passive)に解析できる省電療型・双方向制禦が可能な”GEMCOS- IoTセンサネットワークシステム”が、比較的低コストで構築できるメリット判った。
【0034】
上記の様な、インターネット商用WiFi環境が整っていない、地方の遠隔僻地で”ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム“において、上記GEMCOS設置の新エネルギー機器自体さらにはその周辺敷設の環境・状況把握のための各種センサ信号の中で、短周期時系列の大ビット数の重たい信号、例えば振動計測信号、画像等の情報をワイヤレスで、かつリアルタイム送信することは、LoRaWANのデータ転送レートが小さいため不可能である。その際は、現場での各種センサ計測データを転送向けにビット数を減らすデータ処理用ソフトウェアが要ることになる。
【0035】
その場合、現場のセンサ電圧(電流)強度を、数段階信号(ON-OFF、または整数表示)にデジタル量子化処理を行い、かつ、予め設定した閾値に基付き、その異常状態の度合を判定し、その発生時刻情報を含めて、LPWA通信のLoRaWANで遠方まで省電力で送れる、知能型”GEMCOS- IoTセンサネットワークシステム”へと質的展開が起こり、商用価値がグレーアップできる。
【0036】
その実証試験では、
図6に示される様に、青森県西部日本海側の深浦町丘陵地に設置した小型風車の支柱振動を、時系列3軸加速度センサデータから風車構造体の異常振動を検知の可否を半別することを目的とした。すなわち、風車支柱の振動データ採取地点での発生側(現場)で、一旦は異常状態の判定を行い、異常と判定された場合のみ、少ないビット数にて異常検知情報を送信することで、LoRaWAN情報送信が可能になる。
【0037】
実験は、以下の手順で実施された。まず、風車支柱の振動を検知するための加速度センサからの時系列電圧データから異常状態の判定を行う。異常発生時刻を決定するためのアルゴリズムを以下に示す。
Step1:3軸方向の加速度時系列データを取得する。
Step2:3軸方向の加速度時系列データの時間差分値を求める。
Step3:差分値の絶対値を定めた分解能で量子化し、3軸方向の量子化値の和を求める。
Step4:時系列データの統計量より求めた閾値を用いて、正常・異常の判定を行い2値データを求める。
Step5:3秒間の異常データの個数をカウントし、0でない場合、カウント開始時刻を異常データ発生時刻(0時0分0秒からの積算秒数)とし、その値を3で割った値を送信する。
【0038】
時刻を0時0分0秒からの積算秒数で表すと17bit必要になるが、3秒間隔とすることで時刻情報が15bitデータで表現でき、データ転送の効率が改善される。また、異常が検知された場合のみ、発生時刻(積算秒数)/3が2byte(15bit)データとして送信されるので、通信負荷が軽減される。一連のデータ処理プロセスを
図7に示す。
【0039】
わが国(日本)の総務省の免許無しで、かつ、使用者側が比較的簡単に自由設計できる、双方向通信が可能な“LoRaWAN”の利点を活かし、さらに、これを商用WiFi-LANインターネット連携方式とすることで、離れた街中のIoT管理センターからその際の計測方法変更や、追加の計測データ取得数などを逆に指示できる、“双方向送受信による、先方の機器制御も可能なGEMCOS-ACTIVE IoTセンサネットワークシステム”の実証試験を行った。
【0040】
図8には、実測を用いたデータ処理プロセスの流れを示す“GEMCOS-ACTIVE IoTセンサネットワークシステムの構成図を示す。距離が離れた複数の風車間でのLoRAWAN通信リレーを経て、GEMCOSが付設の中型風車拠点やその近隣の街中で使えるWiFi経由のインターネットに接続することで、風車側での計測データはインターネットでサーバに転送され、利用者はクラウド型サーバのデータを、常時確認しながら逆方向への作動信号発信しながら、先方機器動作を指示・制御できる。
【0041】
図9は、開発したLoRaWANによる双方向通信によるLED点滅(制御)に用いた通信機器ユニット(丹波研究室(弘前大)、2019年12月)である。遠隔地のユーザ指示により、風車計測システム管理の出力機器(LED)をリモート制御するときの情報の流れを示している。現地の風車支柱に設置した、加速度センサデータから風車構造体の変調を認識した場合など、遠隔地の街中センターから風車計測システムに直接指示を出すことで、計測方法の変更や、追加の計測データ取得など風車構造体の詳細データを確認できる。また、ユーザ指示により通常計測とは異なる追加の計測データを送信させることができる。
【0042】
図10は風車体への設置位置の異なる時系列3軸加速度センサによる計測結果とアルゴリズムで異常状態の判定を行い、異常発生時刻を決定した結果である。
【0043】
図中の上図(a)は、設置位置の異なる3軸加速度センサの計測データ(人為的に3回衝撃を与えた)で、下図(b)は、設置位置の異なる複数個の3軸加速度センサの計測データの閾値処理化データ(閾値処理後)の結果とLoRaWANで送信する異常検知時刻の決定結果が示されている。
【0044】
この事例の様に、異常らしき現象を検知した後に、ユーザからの指示により、複数個の追加の計測情報を得ることができ、追加で計測した設置位置の異なる生データに対して異常検知アルゴリズムを適用することにより、異常発生が明確に把握できるようになった。
【0045】
さらに、“GEMCOS-ACTIVE IoTセンサネットワークシステム”を用いた、風車用の発電機器回転軸部やその周囲の2次的産業育成用機器を動かす際の、各種回転部の動力伝達変換機構部(回転軸、増速ギア)に組み込んだ、磁歪リング式軽量小型のトルクセンサからの信号解析による、エネルギー回収および2次産業用動力機器の遠隔的インフラ診断・メンテナンスへの応用可能性を検証した。
【0046】
実施例は、風車に組み込まれている、回転速度増速ギア付近の回転軸部の噛み合せ劣化、異常予知モニタリングである。回転軸に装着した磁歪リング式トルクセンサ一からの、トルク負荷に伴い発生する、逆磁歪効果、すなわち、回転力に伴い発生する磁歪リング表面からの“漏れ磁束”を利用する。
【0047】
図11には、逆磁歪(漏れ磁束)効果を用いた、磁歪リング式トルクセンサの原理、トルク計測法およびそのワイヤレス計測システムを示す。その計測原理は、以下の文献に示される。
【0048】
また、小型風車の増速器歯車付近の回転軸への磁歪リング式トルクセンサの装着写真は、
図12に示される。増速ギア付近の回転軸部の噛み合せ劣化、異常予知モニタリングに起因する電圧変化の実験データ、その磁気的ノイズ部分の時間軸電圧とその周波数(スペクトラム)の波形解析を通して、ギア部や回転軸自体の損傷判定する原理となっている。
《参考文献》
1.「磁歪力センサ用板部材の製造方法、磁歪力センサ用リング部材及び磁歪力センサ用リング状部材の製造方法」(特許 第5648958号(登録日:平成26年11月21日) 特願:2010-246051 特開:2012-98154
権利者:日産自動車、弘前大学、東北大学
発明者:島田宗勝、古屋 泰文、岡崎禎子 他5名
2.「FeGa(GALFENOL)系合金を用いた磁歪リング式トルクセンサ」、
長谷川雅信、橋本賢治、吉村航、岡崎禎子、古屋泰文、島田宗勝、
日本機械学会論文集(A編)73-735,(2007) 109-112
【0049】
しかしながら、風車回転軸や変速ギア部品の経年劣化等の原因から発生する、捩りトルク力に伴い発生する機械的および電磁的ノイズは、周波数藻高くミリ秒単位のデータ採取が不可欠で、センサデータビット数が甚大化して、単なるLoRaWANでは送れない。この場合は、風車に付設のGEMCOSに連結させた、小型PCや周波数解析機器で、いったんビッグデータ解析をおこない、その主要な異常(故障危険性)の有無に関する判定用データ(ビット数宇小さい)のみを、LoRaWAN無線で発信・受信できるようにすることで、健全性評価の目的が達成できるわけである。
【0050】
実験は、風車があるGEMCOS拠点に置いた、デジタルオシロスコープで検出され、時間軸波形とその高周波数側の周波数解析も実施した。
図13には、変速ギア回転軸の磁歪リング式トルクセンサからの電圧~時間軸の信号である。電磁的信号はギア噛み合わせ時にパルス的な波形となっていた。左図は損傷前の初期状態、右図は損傷後のデータ、各々の図面での上部は電圧~時間軸生データ、下部はバンドパスフィルター後の高周波数ノイズ部分電圧発生の形態変化を示す。風車軸の回転初期では、増速歯車近傍の回転に伴う、その軸表面から漏れ磁束によるノイズは殆どないが、過重負荷を繰り返し加えて、人工的に疲労損傷を与えた右側図面には、パルス状の信号が大きく現れた。その高周波成分のみをバンドパスフィルター処理後に抽出した場合の、細かいパルス信号を下側図面に示す。
【0051】
図14は、磁歪リングFeCo合金材料からの負荷に伴うパルス状の電圧信号(
図13の下側図)を、バンドパスフィルター(周波数幅=100~10000Hz) 処理後に抽出した電圧信号のFFT周波数解析した結果を示す。これは、磁歪リング式力センサ材料自体が、磁歪リングで覆った回転軸を通して、動力変化や歯車劣化時の衝撃的応力付加を受けた際に、磁歪材料内部の応力誘起型磁区(ドメイン)移動に起因するパルス状の細かい電磁的な信号、いわゆる、応力誘起型バルクハウゼンノイズ効果に起因する。その感度は、従来のホールIC型磁気センサよりも100倍以上高いと言われている。
【0052】
磁歪リングFeCo合金材料からの負荷に伴う磁気的ノイズの細かいパルス信号を周波数解析(
図14左図)とその規格化された波形形状パラメータ(
図14右側)と異常負荷により材料側に蓄積した歪み損傷度の相関性は、ほぼ線形であり、非破壊的な、風車回転軸部の健全性評価が可能なことが判明した。
【0053】
この場合は、現地の新エネGEMCOSか小型バッテリー設置の各々の拠点電力で解析し、FFT波形の特定する2点の電圧ピーク値とその比率を、予め組み込んであるデジタルオシロスコープ上のプログラムで解析し、デジタル量子化処理で整数化する。そして、ビット数の少ない、その強度比の値のみをLoRaWAN無線で発信・受信できるようにすることで、健全性評価や事故予防への風車回転停止処置が可能となり、目的が達成できるわけである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本技術分野は、商用電力がうまく取れない様な、遠隔僻地が多い、各種新エネルギー電力採取地点において、売電以外に不安定さゆえに捨てられて来た、約30%余りの余剰電力の蓄電協調型利活用システム“GEMCOS”(商願2019-102192)と“双方向型IoTセンサネットワーク”を構築する。これにより、人里離れた、いわゆる人口低密度や僻地での、人工養殖、遠隔的なスマート管理型農業、寒冷地での昼夜運転のサーバ事業、緊急災害時のエネルギー確保や救援活動拠点等の、局所的な地域限定型の自然エネルギーを起点とした、売電以外の余剰電力を利活用した2次的な新規産業育成が可能となる。
【0055】
そのための、“双方向型IoTセンサネットワーク”構築には、国の免許規制のない低消費電力・長距離型LPWA通信ネットワーク方式、例えばLoRaWAN方式と無線LAN・WiFi拠点を連携させる。これにより、遠隔地からの環境・機器稼働状態の把握のための、いわば、受動的(passive)なセンサ主体の情報取集・ビッグデータ解析・発信事業が可能となる。
【0056】
さらに、もう一段踏み込んで、双方向LoRaWAN-WiFi-LANインターネット連携方式も可能であり、街中にあるIoTデータセンターから、遠方のGEMCOS周辺2次産業用の動力制御機器やインフラ診断用電子機器への計測指令を直に操作指示できる。こうして、先方の生産現場でのセンサ計測条件変更や追加計測データ取得、さらには付設の産業動力機器の動作条件の変更指示を可能とする、能動的(active)な”ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム“が利用できることになる。
【0057】
上記の技術的特徴を有する、本発明「自然エネルギー余剰電力(GEMCOS)を活用した、双方向ワイヤレス IoTセンサネットワークシステム」が実用化されれば、大別して、以下の3大事業分野が開拓できることになる。
【0058】
すなわち、(1)低コストPCサーバ事業分野、例えば、データセンター用サーバ事業、仮想通貨マイニング事業の省エネギ―・低コスト型運用システム化。また、(2)スマートアグリ関連応用分野、例えば、地域灌 灌漑用水くみ上げ、植物工場での温冷風、室内照明、農林業での電動農機具用の蓄電池配給、人工漁業・養殖事業での加温・循環水ポンプ、餌やり自動化事業の省エネギ―型運用システムが可能となる。さらに、(3)防災減災機能を含む、安心安全・省エネ型の、いわゆる仮想発電所(バーチャルパワープラント)を基盤的機能に置く、スマートな社会インフラ・サービス運用システムが可能となる。
【0059】
例えば、産業応用の一例として、実施例部分で取り上げた、遠隔僻地にある分散型風車群のインフラ診断・故障予兆感知として、今は人力で大きな労力と費用を払って、定期的に実施されている、中~大型風車でのプロペラ回転部の動力伝達変換機構部(回転軸、増速ギア)の常時モニタリングと省力化メンテナンスに適用できる。その非破壊検査分野での経済効果は非常に大きい。なお、その際に必要な計測機器用の安定的な2次的産業用電力補給や通信用バッテリー電池として、自然エネルギーの余剰電力装置GEMCOSの有効利用に特徴があるので、国際的な“SDGs”関連の新技術にも大いに繋がっている。
【0060】
代表図(
図8)の構成図示される様に、国家免許・許認可手続が不要な、“GEMCOS-連携型のACTIVEな省電力型 IoTセンサネットワークシステム”を、ある特定地域に設置する必要性がある。距離が離れた複数の新エネルギー(風力等)採取地区間でのLoRAWAN通信リレーを経て、GEMCOSが付設の中型風車拠点やその近隣の街中で使えるWiFi経由のインターネットに接続する。こうして、遠隔僻地の風車群での計測データはインターネットでIoTセンターに転送され、利用者はクラウド型サーバのデータを、常時確認しながら逆方向への作動信号を発信して、先方機器動作を指示・制御できる。
【0061】
以上、詳しく説明したように、本発明技術では、商用電力がうまく取れない様な、遠隔僻地での各種新エネルギー電力採取地点において、売電以外の不安定さゆえに捨てられて来た、約30%の余剰電力の蓄電協調型利活用システム“GEMCOS”(商願2019-102192)5と“双方向型IoTセンサネットワーク”を構築する。そのための、“双方向型IoTセンサネットワーク”6構築する。そこでは、国の免許規制のない低消費電力・長距離型LPWA通信ネットワーク方式、例えばLoRaWAN方式1と街中の無線LAN・WiFi通信4の拠点を連携させる。
【0062】
しかし、LoRaWANでは伝送できるデータ量(ビット数)は小さく、かつ、大量データ伝送では、その通信速度は遅くなるため、現場での各種センサ計測データを転送向けにビット数を減らす“デジタル量子化処理”と“しきい値”設定用のソフトウェア開発を考慮した基本設計になっている。これにより、人里離れた、人口低密度や僻地でのGEMCOS関連の動力機器がユーザ側からも制御できる。そして、その限定域での人工養殖、遠隔的なスマート管理型農業、寒冷地での昼夜運転のサーバ事業、インフラ土木・建設構造物の遠隔的診断事業、緊急災害時のエネルギー確保や救援活動拠点等の、局所的な地域限定型の自然エネルギーを起点とした、売電以外の余剰電力を利活用した2次的新規産業育成が可能とならしめることを特徴とする。
【符号の説明】
【0063】
1 LoRaWAN 通信(電波)
2 センサへの接続用線
3 バッテリー電源接続
4 商用WiFi通信
5 GEMCOS(余剰電力の蓄電協調型利活用システム)
6 (a) ユーザ側からの双方向指令(コマンド)
7(b)LoRaWAN経由の指令(コマンド)
8 現地でのセンサ・アクチュエータ機器の制御