(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】氷嚢保冷具及び氷嚢セット
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
B65D77/04 B
(21)【出願番号】P 2020191901
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000112233
【氏名又は名称】ピーコック魔法瓶工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】芝 健太郎
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-190154(JP,A)
【文献】登録実用新案第3071081(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0158637(US,A1)
【文献】登録実用新案第3072400(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
A61F 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋部の上端に着脱可能な蓋部材を備える口金部材が設けられた氷嚢を保冷する氷嚢保冷具であって、
断熱性を有する有底筒状に形成され、上端部の内周面に前記口金部材を取り付けて前記上端部の開口を塞ぐ取付け部が形成され、
前記取付け部よりも下方の本体部が、前記取付け部よりも小径であ
り、
前記本体部の内周面に沿って収納可能で、前記氷嚢における袋部を囲む補助部材が出し入れ可能に備えられた
氷嚢保冷具。
【請求項2】
前記取付け部が、前記口金部材に備えられたパッキンにおける前記取付け部に嵌る部位の外周面から突出するフィンを当接させる壁内面部と、前記パッキンにおける前記取付け部に嵌る部位より上で外周に張り出す張り出し部を上から当接させる上端面部のうち少なくともいずれか一方を有する
請求項1に記載の氷嚢保冷具。
【請求項3】
前記補助部材が筒形である
請求項1または請求項2に記載の氷嚢保冷具。
【請求項4】
前記補助部材が下端側ほど小径となるテーパ状の内周面を有する
請求項
1から請求項3のうちいずれか一項に記載の氷嚢保冷具。
【請求項5】
前記補助部材の下端部にそれよりも上方の部位よりも高剛性の保形縁部が形成された
請求項
1から請求項
4のうちいずれか一項に記載の氷嚢保冷具。
【請求項6】
前記保形縁部がそれよりも上方の部位よりも周方向に厚く形成されるとともに、
前記補助部材における前記保形縁部の外面位置と、前記補助部材の上端の外面位置が周方向において同一である
請求項
5に記載の氷嚢保冷具。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のうちいずれか一項に記載の氷嚢保冷具と、袋部の上端に着脱可能な蓋部材を備える口金部材が設けられた氷嚢を備え、
前記氷嚢の前記口金部材に、前記氷嚢保冷具の前記取付け部に密着するパッキンが設けられた
氷嚢セット。
【請求項8】
袋部の上端に着脱可能な蓋部材を備える口金部材が設けられた氷嚢
と、
前記氷嚢を保冷する断熱性を有
した有底筒状に形成され、上端部の内周面に前記口金部材を取り付けて前記上端部の開口を塞ぐ取付け部が形成され
るとともに、前記取付け部よりも下方の本体部が、前記取付け部よりも小径である氷嚢保冷具を備え、
前記氷嚢の前記口金部材に、前記氷嚢保冷具の前記取付け部に密着するパッキンが設けられた
氷嚢セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アイシングに用いられる氷嚢を保冷状態で携帯できるようにする氷嚢保冷具に関する。
【背景技術】
【0002】
氷嚢として、変形可能な袋部の上端に氷や水を出し入れするための開口を有した口金部材を備えたものがある。口金部材の開口は着脱可能な蓋部材で閉塞される。
【0003】
この氷嚢は、アイシングに際して細かくした氷と少しの水を入れて使用されるが、長時間にわたって使用することはできない。つまり、例えばゴルフのプレーに携帯してプレーの合間に繰り返し使用するのには適さない。
【0004】
このため、氷嚢を予め用意して持ち運ぶ場合にはクーラーボックスが利用されることがあった。
【0005】
しかし、1個の氷嚢を持ち運ぶのにクーラーボックスを用いるのは、取扱い性の点で現実的ではない。
【0006】
そこで、氷嚢を単体で持ち運び可能に保冷するには、下記特許文献1に開示されているように専用の断熱容器に入れることが考えられる。特許文献1の携帯断熱容器は、冷やした缶容器を入れる断熱容体と、断熱容体の開口部に着脱自在の断熱蓋部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、冷たく保ちたい缶容器を取り出すには、まず断熱蓋部を取り外す必要がある。このあと、取り外した断熱蓋部はどこかにおいてから、別の作業として缶容器を取り出すことになる。保冷する対象が一度しか取り出さない缶容器である場合にはそれでもよいが、繰り返して使いたい氷嚢の場合には、断熱蓋部を外したり嵌めたりすることが必要になり、煩雑であり作業性が悪い。
【0009】
また、保冷対象が缶容器のような定形のものである場合には、断熱容器内の空間を小さくすることができるが、氷嚢の場合には断熱容器内の余分な空間が大きくなってしまいがちである。内部の空気が多いと保冷性能が悪くなる。
【0010】
そこで、この発明は、携帯して必要に応じて出し入れすることが容易に行えて氷嚢を便利に使用できるとともに、保冷性能を良好にすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのための手段は、袋部の上端に着脱可能な蓋部材を備える口金部材が設けられた氷嚢を保冷する氷嚢保冷具であって、断熱性を有する有底筒状に形成され、上端部の内周面に前記口金部材を取り付けて前記上端部の開口を塞ぐ取付け部が形成され、前記取付け部よりも下方の本体部が、前記取付け部よりも小径である、氷嚢保冷具である。
【0012】
この構成では、嵌合や螺合などにより取付け部に取り付けられた氷嚢の口金部材が氷嚢保冷具の蓋として機能する。使用に際しては、氷嚢の口金部材を氷嚢保冷具から外せば持ち替えたりすることなくそのまま氷嚢を使用できる。また、取付け部よりも小径の本体部は、氷嚢保冷具内の余分な空間を低減する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、保冷対象である氷嚢の口金部材を蓋として機能させる構成であるので、1個の氷嚢を携帯することがコンパクトで取扱い性よく行える。しかも、氷嚢の出し入れに際しては口金部材を保持すればよいので、操作性がよく、氷嚢を簡便に使用できる。また、取付け部よりも本体部の方を小径にしたので、内部の余分な空間を小さくして、氷嚢のような定形物でないものであっても保冷性能を良好に携帯できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、氷嚢保冷具11に氷嚢31を組み合わせた状態の斜視図を示す。氷嚢保冷具11と氷嚢31は、氷嚢31を保冷しながら携帯するための氷嚢セット10の構成部材である。氷嚢保冷具11と氷嚢31の相互間には、組み合わせたときには両者のその結合状態を維持する結合構造が設けられている。
【0017】
氷嚢31は、
図2に示したように柔軟な袋部32の上端に口金部材33を有する構成である。口金部材33には、着脱可能な蓋部材34が備えられる。
【0018】
袋部32は防水性の布帛やシリコーンゴムなどからなり、口金部材33を固定することによってできる複数の襞部32aを周面に有している。
【0019】
口金部材33は平面視円形であり、中央には
図3に示したように平面視円形の開口33aを有している。この開口33aを形成する短円筒部35の内周面には、蓋部材34を螺合するための雌ねじ35aが形成され、短円筒部35の上端面には蓋部材34の外周側部分における下面に設けられたパッキン36に対して下から当接する凸条37が形成されている。
【0020】
口金部材33の開口33aを閉塞する蓋部材34は、円板状の本体部38の下面に、開口33aに嵌る円筒状の挿入部39が形成され、挿入部39の外周面には口金部材33の雌ねじ35aに螺合する雄ねじ39aが形成されている。前述した蓋部材34のパッキン36は、本体部38の下面であって挿入部39より外周側に設けられる。
【0021】
本体部38の上面における外周縁には、上に膨出する円環状の凸部40が形成され、凸部40の外周面には蓋部材34を回転操作する際に手に対する引っかかりとなる2枚の突片41が形成されている(
図2参照)。
【0022】
また口金部材33の短円筒部35の上端には、
図3に一部を拡大して示したように、外周に張り出す鍔部42が形成され、鍔部42の外周縁には、厚肉の縁部42aが形成されている。この縁部42aと短円筒部35との間に袋部32の上端が保持される。図中、43は押さえ金具であり、押さえ金具43の上下方向の長さは、短円筒部35より下に突出しない範囲で適宜の長さに形成されている。
【0023】
口金部材33における縁部42aの外周側にはパッキン44が固定されている。パッキン44は、前述の結合構造として機能するものであり、縁部42aに嵌る嵌着部45と、嵌着部45の内周下端位置から押さえ金具43に沿って下方に延びる垂下部46を有する構造である。垂下部46の外周面における上下方向の中間部には、外周に突出するフィン46aが全周にわたって形成されている。
【0024】
図1と、氷嚢31を氷嚢保冷具11に組み合わせた状態の断面図である
図4に示したように、氷嚢31の口金部材33におけるパッキン44の嵌着部45よりも下方の部分が氷嚢保冷具11の内部に収納される。
【0025】
このため、パッキン44の垂下部46におけるフィン46aは、氷嚢保冷具11の内周面に内側から当接することになり、嵌着部45の下面であり垂下部46の上端より外周に張り出す張り出し部45aは氷嚢保冷具11の上端部に上から当接することになる。
【0026】
氷嚢保冷具11は断熱性を有する構造であり、この例では
図5に示したように、金属製の真空二重瓶で有底円筒状に形成されている。氷嚢保冷具11の平面視の大きさは氷嚢31の口金部材33が嵌る大きさであり、氷嚢保冷具11の上端部の内周面に、前述した氷嚢31の口金部材33を取り付けて上端部の開口を塞ぐ取付け部として、口金部材33を内嵌合する嵌合部12が形成されている。この嵌合部12よりも下方の本体部13は、真空空間14を有する部分であり、嵌合部12よりも小径である。
【0027】
すなわち、氷嚢保冷具11は上端が互いに接合された外瓶15と内瓶16で構成され、外瓶15と内瓶16は共に壁部15a,16aと底面部15b,16bを有している。外瓶15の壁部15aは上端から下端までまっすぐ垂直に形成されるのに対して、内瓶16の壁部16aは、前述の嵌合部12を構成する垂直な部分と、それよりも下方の垂直な部分との間に傾斜段差部16cが形成されている。
【0028】
嵌合部12における内周面は、口金部材33のパッキン44におけるフィン46aが当接する壁内面部12aであり、嵌合部12の上端面部12bは、口金部材33のパッキン44における張り出し部45aが当接する部分である。
【0029】
このため、氷嚢保冷具11の嵌合部12に氷嚢31の口金部材33を嵌めると、氷嚢31、具体的には口金部材33によって氷嚢保冷具11の開口が気密状態で閉塞されることになる。氷嚢保冷具11の開口が閉塞時、袋部32が本体部13の内側に位置し、口金部材33におけるパッキン44の嵌着部45から上方の部分が氷嚢保冷具11の上端から突出する(
図4参照)。
【0030】
氷嚢保冷具11は、前述した構成のみでその機能を発揮し得るが、この例では、
図2、
図4に示したように、本体部13の内周面に沿って収納可能で、氷嚢31における袋部32を囲む補助部材51が出し入れ可能に備えられている。すなわち、前述した氷嚢セット10は、氷嚢31と氷嚢保冷具11と補助部材51で構成されている。
【0031】
補助部材51は筒形であり、具体的には周方向において閉じた円筒形である。平面視における大きさは、氷嚢保冷具11の本体部13の内周面に嵌合対応する大きさである。
【0032】
補助部材51の高さH1は、
図4に示したように氷嚢保冷具11の本体部13における内周面の高さH2よりも若干低い。また補助部材51は、
図6に示しように下端側ほど小径となるテーパ状の内周面52を有している。内周面52の傾斜角度αは小さい方がよい。
【0033】
補助部材51は
図2に仮想線で示したように、その上部は変形可能であり、下端部は容易に変形しない剛性を有している。つまり、補助部材51の下端部にそれよりも上方の部位よりも高剛性の保形縁部54が形成されている。
【0034】
保形縁部54は、
図6に示したように厚肉とすることで形成される。具体的には、保形縁部54の周方向の厚さt1は、それよりも上方の部位の厚さt2よりも厚い。換言すれば、保形縁部54は外周方向に突出し円環状をなすリブ状である。
【0035】
保形縁部54の上面には上方に延びる複数のリブ55が形成されている。リブ55の形成は周方向に等間隔になされる。リブ55の個数は、図示例のように2個のほか、3個やそれ以上の数であってもよい。
【0036】
また、
図6に示したように補助部材51における保形縁部54の外面位置と上端の外面位置は、周方向において同一である。換言すれば、保形縁部54より上方の部分は、保形縁部54の厚さt1の範囲内で上方斜め外側に向けて延びている。このような構成であるので、補助部材51は氷嚢保冷具11の内部に収納すると、保形縁部54の外周面と上端の外周面が共に、氷嚢保冷具11の本体部13の内周面に対して同様に近接することになる。
【0037】
なお、補助部材51は氷嚢保冷具11の内部に収納されても氷嚢保冷具11に対する氷嚢31の取付けを阻害するものではないので、補助部材51を収納した場合でも収納しない場合でも、氷嚢保冷具11に氷嚢31を組み合わせると
図1に示したような外観となる。
【0038】
このような補助部材51を付属した氷嚢保冷具11、また氷嚢31と補助部材51と氷嚢保冷具11からなる氷嚢セット10は、次のようにして使用される。
【0039】
図7は、氷嚢セット10の使用における態様を示す説明図である。この図に示したように、氷嚢セット10の使用態様としては主に、氷嚢31と補助部材51の組合せでの使用(
図7の(a))と、氷嚢31と氷嚢保冷具11の組合せでの使用(
図7の(b))と、氷嚢31のみでの使用(
図7の(c))がある。
【0040】
氷嚢31と補助部材51の組合せでの使用は、氷嚢31に氷嚢としての機能を持たせるための一例である。つまり、氷嚢31の袋部32の内部に少なくとも氷Iを持たせるための使用であり、
図8に示したように、袋部32に水Wを入れた氷嚢31を補助部材51に保持させて、この状態で冷凍を行う。
【0041】
補助部材51に対する氷嚢31の保持は、氷嚢31の袋部32を補助部材51内に上から差し込む。特に係止手段などを有しないが、袋部32における口金部材33の下部が補助部材51の上端部に引っかかるので、補助部材51と氷嚢31の関係は安定する。氷嚢31に対する水Wの注入は、補助部材51に対して保持する前でも、そのあとでもよい。
【0042】
冷凍を行うと袋部32内にできる氷Iは膨張するが、このとき補助部材51が氷Iの形と大きさを定める。つまり、襞部32aを有する袋部32は外周に向けて不規則に膨らもうとするが、補助部材51が壁となって膨張を規制し、膨張を一定の範囲内に収める。
【0043】
補助部材51は氷嚢保冷具11に収まる大きさであるので、補助部材51に嵌めた状態で凍らせた氷嚢31の袋部32は氷嚢保冷具11に確実に収まることなる。
【0044】
前述のように、氷嚢31と氷嚢保冷具11との間には係止手段などはないが、もし間違って補助部材51を逆さに立てて氷嚢31を嵌めようとしても、倒立姿勢の補助部材51の上端は口径が小さいので、氷嚢31を載せた時点で間違いに気づくことになる。
【0045】
氷嚢31内の水Wが氷Iになったあと、氷嚢31の袋部32を取り囲む補助部材51を取り外す。補助部材51は上端ほど広い内周面52を有するうえに、下端部が剛性を有し上部側が柔軟であるので、袋部32と補助部材51が凍結によってくっついた状態であっても、補助部材51の下端部を持って容易に袋部32から取り外すことができる。
【0046】
取り外しには、保形縁部54と一体に形成したリブ55が役立つ。つまり、リブ55は回転力を付与しやすくする。
【0047】
補助部材51を取り外した氷嚢31は、
図7の(b)に示したように、氷嚢保冷具11に収納される。すなわち、袋部32を氷嚢保冷具11の内部に挿入し、口金部材33を嵌合部12に押し込むようにして嵌める。口金部材33のパッキン44のフィン46aと張り出し部45aは対向部(壁内面部12a、上端面部12b)に変形を伴って密着し、嵌合部12との間でシールするので、外れにくいうえに保冷性を保てる。
【0048】
口金部材33が蓋となって氷嚢保冷具11を塞ぐ氷嚢31の袋部32は、氷嚢保冷具11の断熱機能とパッキン44の密封性によって冷たい状態に維持される。
【0049】
氷嚢31を氷嚢保冷具11に収納する際には、補助部材51も収納することができる。この場合には、補助部材51が氷嚢31の袋部32と氷嚢保冷具11との間に介在して緩衝材の機能をする。つまり、携帯時の振動で袋部32が揺れても、補助部材51が袋部32の氷嚢保冷具11に対する衝突を阻止し、袋部32、特にその上端部にかかる負荷を緩和する。
【0050】
氷嚢31を使用する場合には、
図7の(c)に示したように、氷嚢31を氷嚢保冷具11から取り出す。
【0051】
使用後はすぐに氷嚢保冷具11内に収納して、
図7の(b)に示したようにする。氷嚢31を冷凍したり冷却したりする場合には、
図7の(a)に示したように補助部材51に保持させる。
【0052】
なお、氷嚢31内で氷Iを作るに際し、別の適宜の部材を用いて形を整えれば、補助部材51を使用せずに氷嚢保冷具11に収まる状態に凍結させることもできる。また、氷嚢31を使用するのに際して、前述のようにして氷嚢31内に直接氷Iを作るほか、適宜大の複数の氷を、必要に応じて水と共に入れてもよい。この場合には形の定まらない氷嚢31を支えるスタンドとして補助部材51を使用できる。
【0053】
氷嚢セット10はこのようにして使用されるので、例えばゴルフのプレーの合間に簡易なアイシングをしたり涼を感じたりするのに便利に使用できる。都度の使用後は速やかに氷嚢保冷具11内に収めることによって、氷嚢31は長時間にわたって使用可能である。
【0054】
しかも、氷嚢31の使用に際しては口金部材33を手で持って引っ張ればよく、持ち替える必要もないので簡単であり、氷嚢保冷具11内に収めるときでも、手に持った口金部材33を嵌合部12に押し込めばよく、極めて簡単で迅速に行える。
【0055】
嵌合部12は、口金部材33に備えられたパッキン44のフィン46aを当接させる壁内面部12aと、パッキン44の張り出し部45aを上から当接させる上端面部12bを有しているので、保冷性と抜け止め性が良好である。
【0056】
氷嚢セット10には補助部材51を備えているので、氷嚢31内で水Wを凍らせて使用する場合に、氷嚢保冷具11に氷嚢31を収容できないというような不測の事態の発生を確実に防止できる。補助部材51は冷凍を行う場合のほか、携帯時に氷嚢31と共に氷嚢保冷具11内に入れてもよく、また氷嚢31に氷と水を入れるときにも使用でき、便利である。
【0057】
補助部材51は筒形であるので、使用に際して特別の操作は不要であるため取り扱いが便利なうえ、氷の形を規制する効果が確実に得られる。
【0058】
また、氷嚢保冷具11の嵌合部12よりも本体部13を小径にしているので、氷嚢保冷具11内にできる空間を小さくできる。このため、良好な保冷性を保って携帯できる。
【0059】
そのうえ、補助部材51における保形縁部54の外面位置と、補助部材51の上端の外面位置を周方向において同一にしているので、氷嚢保冷具11内の余分な空間を小さくすることに寄与する。
【0060】
以上の構成は、この発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0061】
氷嚢セット10は、氷嚢31と氷嚢保冷具11のみで構成してもよい。
【0062】
氷嚢31の蓋部材34における挿入部39に断熱材を保持してもよい。
【0063】
氷嚢31には既存のものを使用してもよく、この場合には氷嚢の口金部材にパッキン44を取り付ける。
【0064】
前述の例において氷嚢保冷具11の取付け部は、口金部材33を単に嵌める嵌合部12で構成したが、口金部材33を螺合するねじで構成してもよい。取付け部をねじで構成すると、ねじが前述した結合構造として機能することになる。
【0065】
結合構造をねじで構成する場合には、氷嚢保冷具11の内周面にねじを備える内ねじ構造のほか、氷嚢保冷具11の外周面にねじを備える外ねじ構造であってもよい。
【0066】
補助部材51は、閉じた筒状ではなく、横断面C字状に開くことができる筒状であってもよい。この場合には開く部分を閉じるための手段が設けられる。このような補助部材51では、凍らせた氷嚢を取り出すときには、開くことで容易に取り出しができる。またこの場合には、保形縁部54を形成する必要がないので、補助部材51の周方向における厚みをより薄くすることができ、氷嚢保冷具11内の余分な空間を更に小さくできる。
【0067】
前述例の補助部材51では、円筒状の全面が閉塞されたものを示したが、例えば籠のように厚み方向に貫通した開口を有するものであってもよい。
【0068】
また補助部材51の内周面52には、氷嚢31の袋部32との接触面積を減らして凍結により結合した際の分離をしやすくするため、例えばしぼ加工からなる凹凸を形成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…氷嚢セット
11…氷嚢保冷具
12…嵌合部
12a…壁内面部
12b…上端面部
13…本体部
31…氷嚢
32…袋部
33…口金部材
34…蓋部材
44…パッキン
45a…張り出し部
46a…フィン
51…補助部材
52…内周面
54…保形縁部