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特許7527018超薄紫外線透過窓を有する集積型マイクロ光イオン化検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】超薄紫外線透過窓を有する集積型マイクロ光イオン化検出器
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/74 20060101AFI20240726BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G01N30/74 E
G01N30/88 G
G01N30/88 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021518585
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019054292
(87)【国際公開番号】W WO2020072644
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】62/740,583
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511000957
【氏名又は名称】ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF MICHIGAN
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、シュドン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ホンボー
(72)【発明者】
【氏名】倉林 活夫
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-515773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0003674(US,A1)
【文献】特表2005-509142(JP,A)
【文献】特表2004-502136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0038850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/74
G01N 30/88
G01N 30/62
G01N 27/62
G01N 27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)であって、
マイクロ流体イオン化チャンバであって、流体試料を受け入れる入口、及び前記流体試料が前記マイクロ流体イオン化チャンバを出る出口を有する、マイクロ流体イオン化チャンバと、
前記マイクロ流体イオン化チャンバと電気的に連通している、第1の電極及び別個の第2の電極と、
紫外線光子を生成するように構成されている、集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバと、
前記マイクロ流体イオン化チャンバ及び前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバの間に配置されている透過窓であって、前記透過窓は、前記紫外線光子が前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバから前記マイクロ流体イオン化チャンバ内に通過することを可能にする、500nm以下の厚さを有する1つ以上の超薄透過領域を画定している、透過窓と、を備える、集積型マイクロ流体光イオン化検出器。
【請求項2】
前記透過窓が、シリカ、溶融シリカ、シリコン、石英、サファイア、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項3】
前記1つ以上の超薄透過領域が、プレート上の1つ以上のセレクト領域として画定されている、請求項1から2のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項4】
前記透過窓が、支持プレート上に配置されており、かつ前記1つ以上の超薄透過領域が、前記支持プレートのセレクト領域内に画定されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項5】
前記透過窓が、第1の層及び第2の層を含む層のスタックをさらに備え、前記1つ以上の超薄透過領域が、前記第2の層が存在しない前記第1の層内に画定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項6】
前記透過窓が、20μm以下の厚さを有し、かつ5%以上の前記紫外線光子を透過させるように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項7】
前記1つ以上の超薄透過領域が、シリカおよび溶融シリカからなる群から選択される材料を含み、250nm以上~500nm以下の厚さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項8】
前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバが、紫外線発生流体を受け入れる入口を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項9】
前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバが、クリプトン、アルゴン、ヘリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される紫外線発生流体を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項10】
前記マイクロ流体イオン化チャンバが、1つ以上のマイクロ流体チャネルであり、前記集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバの上に配置されており、前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバと電気的に連通する層に形成された第3の電極と別個の第4の電極をさらに備え、前記第3の電極と前記第4の電極は、前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバの下に配置された前記マイクロ流体イオン化チャンバの1つ以上のマイクロ流体チャネルの第1のパターンに対応する第2のパターンを画定している、請求項1から9のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項11】
前記マイクロ流体イオン化チャンバが10μL以下の総容積を有し、前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバが10μL未満の総容積を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項12】
前記マイクロ流体イオン化チャンバが、1つ以上のマイクロ流体チャネルであり、前記第1の電極及び前記別個の第2の電極が、導電性材料の層内に形成されており、前記1つ以上のマイクロ流体チャネルが、前記層内に配置されて前記第1の電極を前記別個の第2の電極から電気的に絶縁する、請求項1から11のいずれか一項に記載の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)。
【請求項13】
1つ以上のVOC分析物のための検出システムであって、
(i)少なくとも1つのガス・クロマトグラフィ・カラムを含むガスクロマトグラフィ(GC)ユニットと、
(ii)前記ガスクロマトグラフィ(GC)ユニットの下流に配置された集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)であって、
マイクロ流体イオン化チャンバであって、流体試料を受け入れる入口、及び前記流体試料が前記マイクロ流体イオン化チャンバを出る出口を有する、マイクロ流体イオン化チャンバと、
前記マイクロ流体イオン化チャンバと電気的に連通している、第1の電極及び別個の第2の電極と、
紫外線光子を生成するように構成されている、集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバと、
前記マイクロ流体イオン化チャンバ及び前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバの間に配置されている透過窓であって、前記透過窓は、前記紫外線光子が前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバから前記マイクロ流体イオン化チャンバ内に通過することを可能にする、500nm以下の厚さを有する1つ以上の超薄透過領域を画定している、透過窓と、を含み、前記集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、前記ガスクロマトグラフィ(GC)ユニットで処理された試料を分析する、集積型マイクロ流体光イオン化検出器と、
を備える、検出システム。
【請求項14】
前記透過窓が、シリカ、溶融シリカ、石英、シリコン、サファイア、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項13に記載の検出システム。
【請求項15】
前記1つ以上の超薄透過領域が、プレート上に画定されている、請求項13または14に記載の検出システム。
【請求項16】
前記透過窓が、支持プレート上に配置されており、かつ前記1つ以上の超薄透過領域が、前記支持プレートのセレクト領域内に画定されている、請求項13から15のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項17】
前記集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)の前記透過窓が、第1の層及び第2の層を含む層のスタックをさらに含み、前記1つ以上の超薄透過領域が、前記第2の層が存在しない前記第1の層内に画定されている、請求項13から16のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項18】
前記透過窓は、20μm以下の厚さを有し、かつ5%以上の前記紫外線光子を透過させるように構成されている、請求項13から17のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項19】
前記マイクロ流体イオン化チャンバが、1つ以上のマイクロ流体チャネルであり、前記集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバの上に配置されており、前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバと電気的に連通する層に形成された第3の電極と別個の第4の電極をさらに備え、前記第3の電極と前記第4の電極は、前記集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバの下に配置された前記マイクロ流体イオン化チャンバの1つ以上のマイクロ流体チャネルの第1のパターンに対応する第2のパターンを画定している、請求項13から18のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項20】
前記第1の電極及び前記別個の第2の電極が、導電性材料の層内に形成されており、前記1つ以上のマイクロ流体チャネルが、前記層内に配置されて前記第1の電極を前記別個の第2の電極から電気的に絶縁する、請求項19に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超薄UV透過窓を有する集積型マイクロ光イオン化検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、必ずしも従来技術ではない、本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
ガスクロマトグラフィ(gas chromatography:GC)は、揮発性有機化合物(volatile organic compound:VOC)及び他の分析物化合物の分析のために広く使用される。分析のために使用される場合、GCシステムは、典型的には、分析物検出器も含む。水素炎イオン化検出器(flame ionization detector:FID)は、ベンチトップ型GC機器のために一般的に使用される蒸気検出器である。しかしながら、FID及びμFID(マイクロFID)は、破壊的であり、したがって使用が限定される。例えば、FID及びμFIDは、多次元GC分離を監視するために蒸気流路の半ばに置くことができない。代わりに、それらは、GC機器の末端終端でのみ使用することができる。さらに、FIDは、水素の使用を必要とし、このことは、μGCデバイスにおけるそれらの広範な受入れを妨げる。熱伝導率検出器(thermal conductivity detector:TCD)及びμTCD(マイクロTCD)も、GCと組み合わせて蒸気検出器として使用されてきた。それらは、非破壊的であり、かつ貫流設計を有する。しかしながら、TCDは、感度が低い(ナノグラム)という難点があり、かつヘリウムを必要とする。電子捕獲検出器(electron capture detector:ECD)は、別のタイプの非破壊的な蒸気検出器である。それらは、非常に感度が良いが、ダイナミックレンジが限られておりかつ分析物イオン化のために放射性物質を使用する必要がある。
【0004】
光イオン化検出器(photoionization detector:PID)は、さらに別のタイプの蒸気検出器である。PIDは、感度が良く(ピコグラム)、非破壊的であり、幅広い範囲の蒸気に適用可能である。PIDでは、蒸気分子が、UVランプによって発生させた紫外線(ultra-violet:UV)放射によって、イオン化チャンバ内部でイオン化される。次いで、イオン化チャンバ内で生成されたイオンは、電極へと動かされて、電流を生成する。UVランプは、典型的には、低圧アルゴン、クリプトン、又は他のガスで満たされ、外部からの電気励起を受けてUV光を生じさせる。UVランプでは、封止窓(すなわち、UV透過窓)が、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、又はフッ化リチウムなどの特化された材料で形成されている。そのような材料は、関心のあるUV放射の波長範囲内で、比較的高い透過係数を有する。しかしながら、そのような材料は、比較的高価であり、水エッチング、結晶のソラリゼーション、及びUVダメージによる黄変効果を受けやすく、これらはすべて、UVランプ(及びしたがってPID)の性能を低下させ、その寿命を短くする。さらに、そのような従来のUVランプは、マイクロ加工プロセスに適合しない。したがって、そのような従来のUVランプを使用してPIDをマイクロ加工することは、困難である。
【発明の概要】
【0005】
このセクションは、本開示の全体的な概要を提供し、本開示の全範囲又は本開示の特徴のすべての、包括的な開示ではない。
【0006】
特定の態様では、本開示は、マイクロ流体イオン化チャンバであって、流体試料を受け入れる入口と、当該流体試料が当該マイクロ流体イオン化チャンバを出る出口と、を有するマイクロ流体イオン化チャンバを備える、集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)を提供する。当該集積型マイクロ流体PIDは、当該マイクロ流体イオン化チャンバと電気的に連通している、第1の電極及び別個の第2の電極も備える。マイクロ流体紫外線照射チャンバは、紫外線光子を生成するように構成されている。当該集積型マイクロ流体PIDは、当該マイクロ流体イオン化チャンバ及び当該マイクロ流体紫外線照射チャンバの間に配置されており、当該紫外線光子が当該マイクロ流体紫外線照射チャンバから当該マイクロ流体イオン化チャンバ内に通過することを可能にする、超薄透過窓も備える。特定の変形例では、当該超薄透過窓は、約5%以上の当該紫外線光子が通過することを可能にする。
【0007】
一態様では、当該透過超薄窓は、シリカ、溶融シリカ、石英、サファイア、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0008】
一態様では、当該透過超薄窓は、プレート上の1つ以上のセレクト領域として画定されている。
【0009】
一態様では、当該透過超薄窓は、支持プレート上に配置されており、かつ当該透過超薄窓は、当該支持プレートのセレクト領域内に画定されている。
【0010】
一態様では、当該集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、第1の層及び第2の層を含む層のスタックをさらに備える。当該透過超薄窓は、当該第1の層内に画定されており、当該透過超薄窓に対応する当該第2の層の1つ以上の領域は、欠けている。
【0011】
一態様では、当該透過超薄窓は、約20μm以下の厚さを有し、かつ約5%以上の当該紫外線光子を透過させるように構成されている。
【0012】
一態様では、当該透過超薄窓は、約250nm以上~約500nm以下の厚さを有する。
【0013】
一態様では、当該マイクロ流体紫外線照射チャンバは、紫外線発生流体を受け入れる入口を有する。
【0014】
一態様では、当該マイクロ流体紫外線照射チャンバは、クリプトン、アルゴン、ヘリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される紫外線発生流体を含む。
【0015】
一態様では、当該マイクロ流体イオン化チャンバは、1つ以上のマイクロ流体チャネルである。
【0016】
一態様では、当該1つ以上のマイクロ流体チャネルは、約10μL未満の総容積を有する。
【0017】
一態様では、当該第1の電極及び当該別個の第2の電極は、導電性材料の層内に形成されており、当該1つ以上のマイクロ流体チャネルは、当該層内に配置されて当該第1の電極を当該第2の別個の電極から電気的に絶縁する。
【0018】
特定の他の態様では、本開示は、1つ以上のVOC分析物のための検出システムであって、少なくとも1つのガス・クロマトグラフィ・カラムを含むガスクロマトグラフィ(GC)ユニットと、当該ガスクロマトグラフィ(GC)ユニットの下流に配置された集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)と、を備える検出システムを提供する。当該集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、マイクロ流体イオン化チャンバであって、流体試料を受け入れる入口と、当該流体試料が当該マイクロ流体イオン化チャンバを出る出口と、を有するマイクロ流体イオン化チャンバを含む。当該集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、当該マイクロ流体イオン化チャンバと電気的に連通している、第1の電極及び別個の第2の電極も含む。当該集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、紫外線光子を生成するように構成された、マイクロ流体紫外線照射チャンバをさらに含む。当該集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、当該マイクロ流体イオン化チャンバ及び当該マイクロ流体紫外線照射チャンバの間に配置されており、約5%以上の当該紫外線光子当該紫外線光子が当該マイクロ流体紫外線照射チャンバから当該マイクロ流体イオン化チャンバ内に通過することを可能にする、透過超薄窓も含む。当該マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、当該ガスクロマトグラフィ(GC)ユニットで処理された試料を分析する。
【0019】
一態様では、当該透過超薄窓は、シリカ、溶融シリカ、石英、サファイア、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0020】
一態様では、当該透過超薄窓は、プレート上の1つ以上のセレクト領域として画定されている。
【0021】
一態様では、当該透過超薄窓は、支持プレート上に配置されており、かつ当該透過超薄窓は、当該支持プレートのセレクト領域内に画定されている。
【0022】
一態様では、当該集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)は、第1の層及び第2の層を含む層のスタックをさらに備える。当該透過超薄窓は、当該第1の層内に画定されており、当該透過超薄窓に対応する当該第2の層の1つ以上の領域は、欠けている。
【0023】
一態様では、当該透過超薄窓は、約20μm以下の厚さを有し、かつ約5%以上の当該紫外線光子を透過させるように構成されている。
【0024】
一態様では、当該マイクロ流体イオン化チャンバは、1つ以上のマイクロ流体チャネルである。
【0025】
一態様では、当該第1の電極及び当該別個の第2の電極は、導電性材料の層内に形成されており、当該1つ以上のマイクロ流体チャネルは、当該層内に配置されて当該第1の電極を当該第2の別個の電極から電気的に絶縁する。
【0026】
さらなる適用可能領域は、本明細書で提供される説明によって明らかになるであろう。この概要における説明及び特定の例は、例示の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0027】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態のみの例示を目的としており、すべての可能な実現の例示を目的としているのでなく、かつ、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】少なくとも1つのガス・クロマトグラフィ・カラムを含むガスクロマトグラフィ(GC)ユニットと、ガスクロマトグラフィ(GC)ユニットの下流に配置された集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)と、を含む検出システムの一例の概略図である。
図2】本開示の特定の態様による、超薄透過窓を有する集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)の図である。
図3図2の集積型マイクロ流体光イオン化検出器(PID)の3-3線に沿った断面図である。
図4】熱酸化物コーティングされたシリコンウェハ上にパターニングされた超薄紫外線(UV)透過窓の写真である。
図5】空気窓と比較した、本開示の特定の態様に従って調製された超薄紫外線(UV)透過窓の、UV透過能力を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
対応する参照数字は、図面のうちのいくつかの図の全体を通して、対応する部分を示す。
【0030】
例示的な実施形態は、本開示が徹底的であり、当業者に範囲を完全に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の組成物、構成要素、デバイス、及び方法の例などの、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細を採用する必要はないということ、例示的な実施形態は多くの異なる形態で具体化されてもよいこと、及びいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきでないことは、当業者に明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術は、詳細には説明されない。
【0031】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明する目的のためのものであり、限定的であることは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数形も含むことが意図され得る。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であり、したがって記載された特徴、要素、組成物、ステップ、整数、動作、及び/又は構成要素の存在を特定するが、しかし1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しない。「備える(comprising)」というオープンエンドの用語は、本明細書に記載される様々な実施形態を説明し、特許請求の範囲に記載するために使用される非制限的な用語として理解されるべきであるが、特定の態様では、代替的に、この用語は、代わりに「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」などのより限定的かつ制限的な用語であると理解されてもよい。したがって、組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又はプロセスステップを記載する任意の所与の実施形態について、本開示は、そのような記載された組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又はプロセスステップからなる、又は本質的になる実施形態も具体的に含む。「からなる(consisting of)」の場合、代替的な実施形態は、あらゆる追加の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又はプロセスステップを除外し、一方、「から本質的になる(consisting essentially of)」の場合、基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼすあらゆる追加の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又はプロセスステップは、そのような実施形態から除外されるが、しかし基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさない任意の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、及び/又はプロセスステップが、その実施形態に含まれ得る。
【0032】
本明細書に記載されるあらゆる方法ステップ、プロセス、及び動作は、実行の順序として具体的に特定されているのでない限り、説明又は図示された特定の順序でのそれらの実行を必ずしも必要とすると解釈されるべきではない。別のことを示していない限り、追加の又は代替のステップが使用されてもよいことも、理解されるべきである。
【0033】
構成要素、要素、又は層が、別の要素又は層「の上にある(on)」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」、又は「に結合される(coupled to)」と呼ばれる場合、それは直接、他の構成要素、要素、若しくは層の上にある、それらに係合される、接続される、若しくは結合されるのであってもよく、又は介在する要素若しくは層が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素又は層「の直接上にある(directly on)」、「に直接係合される(directly engaged to)」、「に直接接続される(directly connected to)」、又は「に直接結合される(directly coupled to)」と呼ばれる場合、介在する要素又は層は、存在してはならない。要素間の関係を説明するために使用される、他の語は、同様に解釈されるべきである(例えば、「間に(between)」対「間に直接(directly between)」、「隣接する(adjacent)」対「直接隣接する(directly adjacent)」など)。本明細書で使用される場合、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連する列挙された事項のうちの1つ以上の、ありとあらゆる組み合わせを含む。
【0034】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々なステップ、要素、構成要素、領域、層及び/又は部分を説明することができるが、別のことを示していない限り、これらのステップ、要素、構成要素、領域、層及び/又は部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つのステップ、要素、構成要素、領域、層又は部分を、別のステップ、要素、構成要素、領域、層又は部分と区別するためにのみ使用され得る。「第1」、「第2」、及び他の数に関する用語などの用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明らかに示されない限り、シーケンス又は順序を含意しない。したがって、以下に説明する第1のステップ、要素、構成要素、領域、層又は部分は、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2のステップ、要素、構成要素、領域、層又は部分と呼ばれ得る。
【0035】
「前(before)」、「後(after)」、「内側(inner)」、「外側(outer)」、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下の(lower)」、「上方(above)」、「上の(upper)」などの空間的又は時間的に相対的な用語は、本明細書では、1つの要素又は特徴の、別の要素又は特徴に対する関係を図に示す通りに説明するために、説明の容易さのために使用され得る。空間的又は時間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用中又は動作中のデバイス又はシステムの異なる向きを包含することが意図され得る。
【0036】
本開示全体を通して、数値は、所与の値からの小さなずれを包含する範囲、及び言及された値近くを有する実施形態とともに、言及された値を正確に有するものに対する、近似的な尺度又は限界を表す。詳細な説明の最後に提供される実施例以外では、添付の特許請求の範囲を含む本明細書におけるパラメータの(例えば、量又は条件の)すべての数値は、「約(about)」が実際に数値の前に現れるか否かにかかわらず、すべての場合において「約(about)」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。「約(about)」は、記載された数値がいくらかのわずかな不正確さを許容することを示す(値の正確さに対する何らかのアプローチで。その値に近似的又は合理的に近い。ほとんど)。「約(about)」によって与えられる不正確さが、当技術分野においてこの通常の意味で別段理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、そのようなパラメータを測定及び使用する通常の方法から生じ得るばらつきを少なくとも示す。例えば、「約(about)」は、5%以下、任意的に4%以下、任意的に3%以下、任意的に2%以下、任意的に1%以下、任意的に0.5%以下、及び特定の態様では任意的に0.1%以下のばらつきを含んでもよい。
【0037】
さらに、範囲の開示は、その範囲に関して与えられた端点及び下位範囲を含む、全範囲内のすべての値及びさらに分割された範囲の開示を含む。
【0038】
ここで、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0039】
ガスクロマトグラフィを使用する検出システムを使用して、VOC又は他の化合物などの特定の分析物化合物の存在を検出することができる。そのようなシステムでは、本教示の特定の態様に従って準備されたもののような、マイクロ流体PIDの形態の蒸気検出器が、ガスクロマトグラフィ(GC)カラムと組み合わせて使用される。最初に、分析されることとなる蒸気試料をGCカラムに導入する。特定の態様では、GCカラムは、マイクロGC(μGC)として小型化されていてもよい。次いでカラムを通して不活性ガス担体によって試料を輸送して、試料中の各化合物(分析物)の物理的特性に従ってGCカラム内で試料を分離する。溶出した各化合物は、GCカラムから出て、蒸気検出器ユニットに入る。ここで、この蒸気検出器ユニットは、以下で説明するように、光イオン化検出器(PID)又はマイクロ流体PID(μPID)であり得る。他の設計では、PID又はμPID蒸気検出器ユニットは、分析物の検出のためにGCカラム内の中間位置で使用されてもよい。本明細書で説明するように、別のことを示していない限り、PIDとμPIDは、交換可能に使用される。
【0040】
PIDは、典型的には、(例えば、紫外(UV)波長の範囲内の)高エネルギー光子を使用して、溶出した分析物分子を正に帯電したイオンに解離させる。多くの場合、PIDは、放電ランプチャンバ内でイオン化される、(クリプトン及びアルゴンなどの)不活性ガスなどの放電ガスを使用する。(RFエネルギーなどの)外部エネルギーは、放電ガス中の原子が退出状態に遷移するように、放電ガスによって吸収され得る。UVランプの放電チャンバでは、各イオンは、別の原子と結合することができて、1つ以上の光子を放出することができる。溶出した化合物は、イオン化チャンバ内のPIDデバイスに入る。イオン化チャンバと放電ランプチャンバは、典型的には、高エネルギー光子がイオン化チャンバ内に通過することを可能にする光学的に透明な窓を介して、互いに分離されている。典型的な透過窓は、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、又はフッ化リチウムのような材料で形成され、約0.1mm(約100μm)~約10mmの厚さを有する。次いで、溶出された化合物を含むイオン化チャンバは、放電ランプチャンバからのイオン化された放電ガスによって生成された光子によって、衝撃される。
【0041】
次いで、光子/エネルギーは、分析物分子によって吸収される。ここで、この分析物分子は、励起状態に遷移し、別個のイオン化チャンバ内でイオン化し、最終的に正に帯電したイオンを形成する。したがって、GCカラム内の相対保持時間に基づいて、試料中の異なる分析物分子が分離され、異なる時間に溶出し、次いでチャンバに入り、そこで、それら異なる分析物分子は、イオン化された放電ガスから放出された光子によってイオン化される。
【0042】
したがって、ガスは、帯電し、イオンは、電流を生じさせる。この電流は、イオン化された分析物分子の濃度に関連する出力となる。イオン化された各化合物が、イオン化チャンバに隣接する1つ以上の収集電極を通過するとき、電流が、生成される。このようにして、分析物化合物は、それらの保持時間に基づいて特定されることができ、かつPID信号(又はPIDが生成する電流)によって定量されることができる。
【0043】
様々な態様において、本開示は、以下でさらに説明するように、特定の変形例ではマイクロ流体PID(μPID)であり得る、集積型光イオン化検出器(PID)を企図する。μPIDは、流体試料を受け入れて処理するためのマイクロ流体イオン化チャンバを含む。第1の電極及び別個の第2の電極は、マイクロ流体イオン化チャンバと電気的に連通している。μPIDは、紫外線光子を生成するように構成された、集積型マイクロ流体紫外線照射チャンバも含む。透過超薄窓が、マイクロ流体イオン化チャンバとマイクロ流体紫外線照射チャンバとの間に配置されており、これにより、紫外線光子が、マイクロ流体紫外線照射チャンバからマイクロ流体イオン化チャンバ内に通過することが可能になる。
【0044】
本開示は、特定の態様では、図1に示すもののような、1つ以上の揮発性有機化合物(VOC)又は他の標的分析物のための検出システム20を提供する。検出システム10において、ガスクロマトグラフィ(GC)ユニット20は、少なくとも1つのガス・クロマトグラフィ・カラム22を含む。「カラム」という用語の使用は、1つ以上の基板に画定されたマイクロ特徴によるパターニングされた流れ場、又は当業者によって認識される他の流体流路などの、流体が通って流れ得る様々な流路を広く含むことを意図している。集積型マイクロ流体光イオン化検出器(μPID)30は、ガスクロマトグラフィ(GC)ユニット20の下流に配置されている。
【0045】
特定の態様では、GCユニット20は、マイクロ流体GC(μGC)であり、PID30は、マイクロ流体PID(μPID)である。様々な態様において、本開示は、マイクロスケールであり、したがってマイクロ流体の、特徴又はチャネルを形成する方法、及び特徴又はチャネルを有するデバイスを提供する。いくつかの態様では、チャネル又はチャンバなどの特徴は、任意的に、ナノスケール構造など、マイクロスケールよりも小さい。本明細書で使用される場合、「マイクロスケール」は、約500μm未満、任意的に約400μm未満、任意的に約300μm未満、任意的に約200μm未満、任意的に約150μm未満、特定の変形例では任意的に約100μm未満の、少なくとも1つの寸法を有する構造を指す。「ナノスケール」構造は、約50μm以下、任意的に約10μm(10,000nm)以下、任意的に約1μm(1,000nm)以下、任意的に約0.1μm(100nm)以下、任意的に約50nm未満、及び任意的に約10nm未満である、少なくとも1つの寸法を有する。本明細書で使用される場合、マイクロスケール、マイクロチャネル、マイクロ流体チャネル、又はマイクロ構造への言及は、対応するナノスケール構造などのより小さい構造を包含する。
【0046】
マイクロ流体チャネルは、流体を含む材料をマイクロ流体チャネルが受入れ、移送、及び/又は貯蔵することを可能にするのに十分な断面積及び体積を有する、基板内又は基板上に形成されたマイクロチャネルである。流体としては、ガス、蒸気、液体などが挙げられる。したがって、マイクロ流体チャネルは、概して、構造の長さが最も大きな寸法を形成するような寸法を有し、例えば、溝(開いた形状)又はチャネル(構造的に閉じた形状)である。特定の変形例では、マイクロ流体チャネルは、本明細書でさらに説明するように、空洞領域を画定する完全に閉鎖された構造であってもよい。ここで、この空洞領域は、それを通る流体連通を可能にする。マイクロ流体チャネルは、円形状、丸い形状、又は(管又は円筒形状を形成する)楕円形状、長方形などを含む様々な断面形状を有してもよい。
【0047】
ガスクロマトグラフィに基づく検出システム20は、典型的には、少なくとも5つの構成要素、すなわち(1)担体ガス供給源24、(2)試料流体注入システム26、(3)1つ以上のガス・クロマトグラフィ・カラム22、(4)マイクロ流体PID30などの検出器、及び(5)データ処理システム(図示せず)を有する。(移動相とも呼ばれる)担体ガスは、ヘリウム、水素、窒素、アルゴン、又は空気などの高純度かつ比較的不活性なガスである。担体ガスは、試験されることとなる試料流体と同時にGCカラム22を通って(分離プロセス全体を通して)流れ得る。試料流体注入システム26は、(例えば、ガス形態の)試験されることとなる1つ以上の標的分析物を含む、所定の体積の試料混合物を、それを担体ガス供給源からの流れている担体ガスと組み合わせることによって、カラムに導入する。典型的には、分離は、クロマトグラフィカラム22内で達成される。これは、固定相としての役割を果たす材料で、カラムの内面がコーティングされている(又はカラムの内部が満たされている)からである。固定相は、試料混合物中の異なる標的分析物を異なる程度で吸着する。吸着の差は、異なる化学種について、それらがカラムを下って移動するときに、異なる遅延、したがって移動速度を引き起こし、それによって試料混合物中の標的分析物の物理的分離をもたらす。特に、単一のGCカラム22としてのみ示されているが、ガスクロマトグラフィ(GC)ユニット20は、試料流体が通過し得る複数のカラムを含んでもよい。さらに、そのような検出システムは、モジュレータなどの様々な他の構成要素を含んでもよい。
【0048】
マイクロ流体PID30のような検出器は、1つ以上のGCカラム22の出口32からの下流に配置される。μPID30は、ガスクロマトグラフィ(GC)ユニット20と統合されており、異なる時間にカラム22から出るか又は溶出する試料中の、様々な化学物質又は標的分析物を検出する役割を果たす。μPID30は、マイクロ流体イオン化チャンバ40であって、流体試料を受け入れる入口42と、流体試料が当該マイクロ流体イオン化チャンバ40を出る出口44と、を有するマイクロ流体イオン化チャンバを含む。第1の電極及び別個の第2の電極(図示せず)も、マイクロ流体イオン化チャンバ40と電気的に連通している。マイクロ流体紫外線照射チャンバ50は、紫外線光子を生成するように構成されている。透過窓60が、マイクロ流体イオン化チャンバ40とマイクロ流体紫外線照射チャンバ50との間に配置されており、これにより、紫外線光子が、マイクロ流体紫外線照射チャンバ40からマイクロ流体イオン化チャンバ50内に通過することが可能になる。このようにして、μPID30は、ガスクロマトグラフィ(GC)ユニット20で処理された試料を分析する。図示しないが、データ処理システムも、典型的には、分離試験結果を格納、処理、及び記録することができるように、μPID30と通信する。
【0049】
図2及び図3は、本開示の特定の態様に従って準備された代表的な集積型マイクロ流体光イオン化検出器(μPID)100の概略図及び断面図を示す。μPID100は、基板110を含む。基板110内又は基板110上に、1つ以上のマイクロ流体チャネル118を形成することができる。図2及び図3において、1つ以上のマイクロ流体チャネル118を画定するために、基板110上に壁構造112が形成されている。基板110は、無機材料又はポリマーで形成されていてもよい。特定の態様では、基板110は、ガラス(例えば、シリカ又はボロシリケイト)であってもよい。特定の変形例では、基板110は、複数の層を含む。
【0050】
特定の変形例では、壁構造112は、基板110上に形成された導電性材料(例えば、導電性シリコン材料)の層又はセレクト領域であってもよい。このようにして、特定の変形例では、壁構造112が導電性である場合、壁構造112は、正極及び/又は負極としての役割を果たすことができる。したがって、壁構造112の少なくとも1つの層は、導電性材料を含んでもよい。導電性材料は、導電性材料又は(ドープされた半導体材料などの)半導体材料で形成されていてもよい。特定の態様では、導電性材料は、シリコン(Si)(例えば、ドープされたシリコン)、アルミニウム(Al)、インジウム-スズ-酸化物(ITO)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、ステンレス鋼(SS)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、それらの合金及び酸化物並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。複数の層のうちの少なくとも2つが、別個の組成を有してもよい。例えば、基板110上の第1の層は、ドープされたシリコンなどの、ドープされた半導体材料を含んでもよく、第1の層の上に重なっている第2の層は、導電性金属を含んでもよい。代替的に、導電性材料は、1つ以上のマイクロ流体チャネル118と接触する壁構造112内の電極として埋め込むことができる。
【0051】
壁構造112は、特定の領域において選択的に形成されることができ、又は代替的に、セレクト領域において、1つ以上のマイクロ流体チャネル118を形成するパターンで除去されることができる。特定の態様では、1つ以上のマイクロ流体チャネル118は、螺旋パターンを画定することができる。1つ以上のマイクロ流体チャネル118は、このようにして基板上にサーペンタインパターンを画定してもよい。「サーペンタイン」とは、流体チャネルが、貫流設計であることを意味する。ここで、この貫流設計は、螺旋状に進み、かつ流体経路の道順を通して少なくとも2回の180°の方向の変化を有する。したがって、1つ以上のマイクロ流体チャネル118によって画定される流体経路は、湾曲しており、方向変化を回避し得る。ここで、この方向変化は、デッドゾーン、又は流体の流れの減少をもたらすものである。そのようなサーペンタイン経路は、螺旋構造又は互いにかみ合うタイプの構造を画定してもよい。一実施形態では、1つ以上のマイクロ流体チャネル118は、アルキメデスの螺旋を画定してもよい。1つ以上のマイクロ流体チャネル118は、導電性シリコンウェハ又は層内に、例えばそのような材料内に形成されたアルキメデスの螺旋チャネルとして、エッチング又は形成されてもよい。他の変形例では、1つ以上のマイクロ流体チャネルは、線状の直線的な流路を含む他の流路構成を有してもよい。
【0052】
特定の変形例では、1つ以上のマイクロ流体チャネル118(又はイオン化チャンバ)は、約10μL以下の総容積を有する。特定の好ましい態様では、約9μL以下、任意的に約8μL以下、任意的に約7μL以下、任意的に約6μL以下、任意的に約5μL以下、任意的に約4μL以下、任意的に約3μL以下、任意的に約2μL以下、及び特定の変形例では任意的に約1.5μL以下である。例えば、一変形例では、1つ以上のマイクロ流体チャネル118は、わずか約1.3μLのイオン化チャンバ容積を画定する。
【0053】
さらに、特定の態様では、μPID100デバイスは、マイクロ流体チャネル経路内で無視できる程度の総デッド容積を有する。1つ以上のマイクロ流体チャネル118の総デッド容積は、マイクロ流体チャネルの総容積の約1%以下であってもよく、例えば、1つ以上のマイクロ流体チャネルの総容積が5μLである場合、1%以下のデッド容積は、約0.05μL以下又は50nL以下のデッド容積である。特定の他の変形例では、1つ以上のマイクロ流体チャネル118の総デッド容積は、1つ以上のマイクロ流体チャネルの総容積の約0.9%以下、任意的に1つ以上のマイクロ流体チャネルの総容積の約0.7%以下、任意的に1つ以上のマイクロ流体チャネルの総容積の約0.6%以下、及び特定の変形例では1つ以上のマイクロ流体チャネルの総容積の約0.5%以下であってもよい。特定の他の変形例では、1つ以上のマイクロ流体チャネルのデッド容積は、約30nL以下、任意的に約25nL以下、任意的に約15nL以下、任意的に約10nL以下、任意的に約5nL以下、任意的に約4nL以下、任意的に約3nL以下、及び特定の変形例では任意的に約2nL以下であってもよい。
【0054】
マイクロ流体チャネルは、約50μm以上~約200μm以下、任意的に約100μm以上~約200μm以下、及び特定の態様では任意的に約125μm以上~約175μm以下の幅を有してもよい。特定の他の変形例では、マイクロ流体チャネルは、約100μm以上~約600μm以下、任意的に約200μm以上~約500μm以下、任意的に約300μm以上~約400μm以下、及び特定の態様では任意的に約350μm以上~約400μm以下の高さ又は深さを有する。マイクロ流体チャネルの全長は、約0.5cm以上~約10cm以下、任意的に約1cm以上~約5cm以下、及び特定の態様では任意的に約2cm以上~約3cm以下であってもよい。(例えば、マイクロ流体チャネル内の互いに隣接するそれぞれの流路の間の)壁の厚さは、約10μm以上~約100μm以下、任意的に約25μm以上~約75μm以下、及び特定の態様では任意的に約40μm以上~約60μm以下であってもよい。一実施形態では、マイクロ流体チャネルは、150μm(幅)×380μm(深さ)の断面、50μmの壁厚さ、及び2.3cmの長さを有する。
【0055】
上記のように、マイクロ流体光イオン化検出器(PID)100は、反対の極性の第1の電極と第2の電極をさらに含む。例えば、壁構造112は、第1の電極領域114及び別個の第2の電極領域116を画定してもよい。第1の電極領域114及び第2の電極領域116は、基板110上の壁構造112の1つ以上の層のセレクト領域に形成されてもよい。壁構造112は、1つ以上の非導電性領域108を有してもよい。特定の変形例では、基板110は、ドープされたシリコンの第1の層及び導電性金属の第2の層を有するセレクト領域を含み、ここでセレクト領域は、それぞれの第1の電極領域114及び第2の電極領域116に対応する、別個の領域である。第1の電極領域114は、1つ以上のマイクロ流体チャネル118によって第2の電極領域116から分離及び電気的に分離されてもよい。マイクロ流体チャネル118は、壁構造112内に形成されてもよく、そのようにして第1の電極領域114と第2の電極領域116を分離及び画定してもよい。特定の態様では、マイクロ流体チャネル118の床は、基板110であってもよく、又は代替的に、図示しないが、1つ以上のマイクロ流体チャネルは、側壁及び床/底部分が壁構造112内に画定されるように、完全に壁構造112内に形成されてもよい。
【0056】
第1の電極領域114及び第2の電極領域116は、電源(図示せず)の外部の正及び負のリードに接続されることができる。図示しないが、電源に接続された電力駆動回路は、第1の電極領域114に、及び第2の電極領域116に、反対の極性で接続されることができる。第1及び第2の電極領域114、116は、増幅器(図示せず)に接続されて閉回路を形成してもよい。特定の態様では、電源は、約20ボルト直流(VDC)以下の最大電圧を有する低電圧電源であってもよい。このようにして、第1の電極領域114及び第2の電極領域116によって画定される電極は、電気信号を測定する能力を提供する。ここで、この電気信号は、1つ以上のマイクロ流体チャネル118内のイオン化された分析物によって、それらが光子によって衝撃されて励起されるときに、生成される。
【0057】
μPID100デバイスは、マイクロ流体イオン化チャンバとしての役割を果たす1つ以上のマイクロ流体チャネル118への入口122も含む。1つ以上のマイクロ流体チャネル118への出口124もある。したがって、1つ以上の標的分析物を含む担体ガスは、GCカラムを出て入口122に入ることができ、そこで、その担体ガスは、1つ以上のマイクロ流体チャネル118を通って移動する。以下で説明するように、マイクロ流体イオン化チャンバ(1つ以上のマイクロ流体チャネル118)を通って流れる流体中の分析物は、イオン化されることができ、電荷が、測定されることができる。第1の電極領域114及び第2の電極領域116は、UVイオン化のときに標的分析物によって生成される電流を検出することができる。それから、流体は、出口124を通ってマイクロ流体イオン化チャンバ(1つ以上のマイクロ流体チャネル118)を出てもよい。
【0058】
μPID100デバイスは、電磁放射又は光の源も含み、この源は、紫外線光子を生成するように構成された、マイクロ流体紫外線照射チャンバ又はマイクロ流体放電チャンバ130であってもよい。マイクロ流体放電チャンバ130は、入口132を有してもよく、クリプトン、アルゴン、ヘリウム、及びUV光を発生させるための当該技術分野で知られているその他の純ガス又は混合ガスなどの、紫外線発生流体で満たされていてもよい。一態様では、紫外線発生流体は、クリプトン、アルゴン、ヘリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。入口132は、紫外線発生流体を充填した後に、封止されてもよい。代替的に、マイクロ流体放電チャンバ130は、紫外線発生流体が入口132に流入し得、かつ出口134を介してマイクロ流体放電チャンバ130を出得るように、出口134を有してもよい。マイクロ流体放電チャンバ130は、開いたチャンバの末端縁部に配置された、非導電性キャップ136も有してもよい。
【0059】
集積型マイクロ流体放電チャンバ130は、集積型ランプ内で光又は電磁放射を発生させ、したがって光子を生成し、その光子は、1つ以上のマイクロ流体チャネル118の内容物に向けられる。示されるように、第1の励起電極140及び反対の極性の第2の励起電極142は、下方の1つ以上のマイクロ流体チャネル118のパターンに略対応する、被覆層144内のパターンで配置される。したがって、第1の励起電極140及び第2の励起電極142に電流又は電位が印加されると、紫外線発生流体は、励起されて、1つ以上のマイクロ流体チャネル118に対応する領域で光子を生成する。
【0060】
特に好適な光は、紫外線電磁放射スペクトルに含まれる。特定の変形例では、光は、約10nm以上~約400nm以下の波長を有する、(紫外線A、紫外線B、紫外線C、近紫外線、中紫外線、遠紫外線、極端紫外線、及び真空紫外線を含む)紫外線放射(UV)であってもよい。さらに他の変形例では、光は、(紫外線A、紫外線B、紫外線Cを含む)約100nm以上~約400nm以下の範囲の紫外線放射であってもよい。特に、光は、フィルタリングされた光、集束された光、偏光された光であってもよく、又はスペクトル外若しくは異なる波長の混合であってもよい。
【0061】
特定の変形例では、以下でさらに説明するように、UV透過窓は、超薄であってもよく、したがって特定の実施形態では、サブミクロンの厚さを有してもよい。したがって、超薄透過窓150が、1つ以上のマイクロ流体チャネル118の形態のマイクロ流体イオン化チャンバと、マイクロ流体放電チャンバ130の形態のマイクロ流体紫外線照射チャンバとの間に配置される。超薄透過窓150は、十分な量の紫外線光子が、マイクロ流体放電チャンバ130から、マイクロ流体イオン化チャンバとしての役割を果たす1つ以上のマイクロ流体チャネル118内に通過して、1つ以上の標的分析物を検出可能なレベルに励起することを可能にする。特定の態様では、透過とは、電磁エネルギーの波長の対象範囲について、例えば上述の紫外波長範囲で、超薄窓が透明であることを意味する。したがって、特定の態様では、透過窓は、所定の波長範囲の約5%以上の電磁エネルギーを透過させ、任意的に約10%以上の、任意的に約20%以上、任意的に約30%以上、任意的に約40%以上、任意的に約50%以上、任意的に約60%以上、任意的に約70%以上、任意的に約80%以上、任意的に約90%以上、及び特定の態様では任意的に約95%以上の、(例えば、紫外範囲のスペクトル中の)所定の波長範囲の電磁エネルギーを透過させる。特定の変形例では、透過超薄窓は、約20μm以下の厚さを有し、かつ約5%以上の紫外線光子又は上記で特定された透過レベルのうちいずれかの紫外線光子を透過させるように構成される。
【0062】
超薄透過窓150の厚さは、約20マイクロメートル(μm)以下、任意的に約10μm以下、任意的に約5μm以下、任意的に約4μm以下、任意的に約3μm以下、任意的に約2μm以下、及び特定の変形例では任意的に約1μm以下であってもよい。特定の選択変形例では、超薄透過窓150の厚さは、約500nm以下、任意的に約450nm以下、任意的に約400nm以下、任意的に約350nm以下、任意的に約300nm以下、任意的に約250nm以下、任意的に約200nm以下、任意的に約150nm以下、任意的に約100nm以下、及び特定の変形例では任意的に約50nm以下であってもよい。特定の変形例では、超薄透過窓150の厚さは、約50nm以上~約20μm以下、任意的に約50nm以上~約10μm以下、任意的に約50nm以上~約5μm以下、任意的に約50nm以上~約4μm以下、任意的に約50nm以上~約3μm以下、任意的に約50nm以上~約2μm以下、任意的に約50nm以上~約1μm以下、任意的に約50nm以上~約500nm以下、任意的に約50nm以上~約250nm以下、任意的に約50nm以上~約250nm以下、任意的に約50nm以上~約200nm以下、任意的に約50nm以上~約150nm以下、及び特定の変形例では任意的に約50nm以上~約100nm以下であってもよい。
【0063】
以下で説明するように、超薄透過窓150は、超薄プレートであってもよく、又は材料のより厚いプレート又は層に画定された、1つ以上のセレクト超薄領域又は層であってもよい。特定の態様では、超薄透過窓150は、1つ以上のマイクロ流体チャネル118の上に配置されてもよい。特定の変形例では、超薄透過窓150は、1つ以上のマイクロ流体チャネル118の少なくとも一部の上に置かれ、そのようにしてマイクロ流体チャネル118を囲むための上の壁又は上壁(例えば、3面チャネルの第4の面)を形成する。しかしながら、超薄透過窓150は、1つ以上のマイクロ流体チャネル118と接触する必要はなくて、代わりに、マイクロ流体チャネルの近くに位置付けられて小さなギャップを残してもよく、例えば1つ以上のマイクロ流体チャネル118から数ミリメートル未満~約10μm未満離れて位置付けられてもよい。したがって、マイクロ流体放電チャンバ130の形態のUV光の源は、1つ以上のマイクロ流体チャネル内に存在し得る試料流体に、光子を向けるように位置付け及び構成される。したがって、1つ以上のマイクロ流体チャネル118は、その中に存在して流れる分析物化合物のための、イオン化チャンバとしての役割を果たす。
【0064】
特に、特定の変形例では、透過超薄窓は、シリカのような材料からマイクロ加工されてもよい。ここで、シリカのような材料は、そのような材料がUV放射に対して不透明であると考えられているため、そのような用途に適していないと従来みなされていた。シリカは、関心のあるUVスペクトル(例えば、9eV~17.5eVのUV光子エネルギーに対応する、約140nm~約70nmの波長)において、極めて低い透過係数(又は極めて高い消衰係数)を有することが知られている。したがって、シリカは、従来、PIDデバイスのためのUV透過窓として使用することができる材料とは考えられていなかった。しかしながら、本明細書に記載される特定のマイクロ加工技術を使用する場合、シリカは、透過窓の一部として形成されることができ、それは、超薄の厚さを有し、したがって対象UVスペクトルにおいて透明となる。より具体的には、透過させられるUV光子束の割合は、(1-A×t)によって決定され、式中、Aはシリカ消衰係数であり、tは透過窓厚さである。Aが大きいにもかかわらず、A×tは、tが極めて薄い場合(例えば、tがサブミクロンの厚さである場合)、比較的小さくな(り、それがUV透明になることを意味す)る。しかしながら、本開示は、シリカ(例えば、二酸化シリコン)、溶融シリカ、シリコンのようなシリコン含有材料の超薄透過窓だけでなく、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)などの様々な他の材料の超薄透過窓を形成することを企図している。特定の変形例では、透過超薄窓は、シリカ、溶融シリカ、シリコン、石英、サファイア、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む。
【0065】
特定の変形例では、機械的完全性を維持するために、透過窓は、UV電磁放射/光子の透過を可能にするための超薄の厚さの1つ以上のセレクト領域を有するプレートとして設計されるが、1つ以上のセレクト領域の外側の、プレートの残りの領域は、不透明であるから、比較的厚いままであり得る。より厚い不透明領域は、超薄透過領域の厚さよりも大きい厚さを有する。特定の変形例では、超薄透過領域の平均の第1の厚さの、残りの不透明なより厚い領域の平均の第2の厚さに対する比は、約1:2以下、任意的に約1:3以下、任意的に約1:4以下、任意的に約1:5以下、及び特定の変形例では任意的に約1:5以下であってもよい。
【0066】
特定の変形例では、より厚い領域は、約500nmより大、任意的に約600nm以上、任意的に約700nm以上、任意的に約750nm以上、任意的に約800nm以上、任意的に約900nm以上、任意的に約1μm以上、任意的に約2μm以上、任意的に約3μm以上、任意的に約4μm以上、任意的に約5μm以上、任意的に約10μm以上、及び特定の変形例では任意的に約20μm以上の厚さを有する。
【0067】
他の態様では、透過窓は、複数の層を含むアセンブリであってもよく、例えば、1つの層は、超薄層であってもよく、一方、別の層は、1つ以上のより厚い層であってもよい。したがって、透過窓は、第1の層及び第2の層を含む、層のスタックで形成されてもよい。透過超薄窓は、第1の層内に画定され、透過超薄窓に対応する第2の層の1つ以上の領域は、欠けている。したがって、1つ以上のより厚い層のセレクト領域は、セレクト領域内の超薄層を通したUV放射の透過を可能にするために、除去され得る。除去は、ナノパターニング、エッチング、リソグラフィ又はフォトリソグラフィ技術によって達成されてもよい。特定の態様では、透過窓を形成する材料は、シリカ、シリコン、石英、溶融石英などの、そのようなリソグラフィ、フォトリソグラフィ、又はナノマニュファクチャリング技術によって処理されることができるものであってもよい。
【0068】
図4は、本開示の特定の態様に従って作製された超薄透過窓の写真を示す。サブミクロン(例えば、500nm)の厚さのシリカUV透過窓が、熱酸化物コーティングを有するシリコンウェハ上に形成される。シリコンウェハを酸化剤の組み合わせ(及び任意的に熱)に曝露した後に、熱酸化が起きて、二酸化シリコン(SiO)又はシリカを含む熱酸化物層を生成する。その機械的完全性を維持するために、シリカを含む透過窓は、いくつかの部分が極めて薄い(例えば、約500nm以下の厚さ)一方で残りの部分が比較的厚く残ることができるように、設計することができる。機械的強度を確保するために、周期的な小さな開いた領域パターンが、作成され、かつシリコン側(すなわち、反対側が熱酸化物のコーティングを有する、側)からエッチングされる。熱酸化物層(すなわち、シリカ層)は、エッチングストップ層としての役割を果たす。シリカ透過窓厚さは、シリコンウェハ上の熱酸化物層によって制御される。したがって、エッチングパターンは、UV放射/光子のための透過窓を画定する、シリカのセレクト領域のパターンを生成する。そのような透過窓は、非限定的な例として、クリーンルーム内で標準的なフォトリソグラフィ法で形成することができる。
【0069】
【0070】
超薄シリカ窓のUV透過能力の試験。この研究では、従来のPIDで使用されるUVランプは、Baseline-Moconから購入されてUV源として使用される(UV光子エネルギー10.6eV、波長約120nm)。ランプは、本開示の特定の態様に従って形成された超薄シリカUV透過窓の上に、直接置かれる。トルエンは、分析物として使用され、シリカ窓の下方のマイクロ流体イオン化チャンバを通して流される。約0.01V(図5の右側のバー)の信号が、得られる。比較のために、図5の左側のバーでは、シリカ窓は、シリカ窓と同じUV透過領域の空気窓を有する(シリコンウェハの一部分が完全にエッチングし通されていることを意味する)、シリコンウェハで置き換えられている。ほかの点ではシリカ窓の場合と同じ試験条件下で、0.05Vの信号が得られる。上記の比較は、超薄シリカ窓がUV光を効率的に透過させることができることを示している。
【0071】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提供されている。網羅的であること、又は本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般にその特定の実施形態に限定されるのではなくて、適用可能な場合には、交換可能であり、具体的に図示も説明もされていない場合でも、選択される実施形態で使用することができる。同じものはまた、多くの方法で変更されてもよい。そのような変形例は、本開示からの逸脱とみなされるべきではなく、すべてのそのような改変は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5