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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】流路切換弁の組立方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/087 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
F16K11/087 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022007408
(22)【出願日】2022-01-20
(65)【公開番号】P2023106214
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】望月 健一
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210920215(CN,U)
【文献】特開2020-016330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/087
F16K 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が開放された弁室が内部に形成され、前記弁室の3方の側壁に流体が通る流路口が夫々形成されている弁本体と、
前記弁室に回転可能に配置されると共に空洞部が内部に形成され、球状の外表面を有し、平面部が前記弁室の底部と対向する部分に形成され、前記空洞部に流入又は前記空洞部から流出する流体が通る流通孔が前記外表面に形成されている弁体と、
環状で、前記流路口を囲むように夫々配置され、前記外表面と接触して前記外表面と前記側壁との間を封止する3個の封止部と、
前記弁室の開放口を閉じるカバーと、を備え、
前記弁体の前記平面部を前記弁本体の前記側壁に対向させた状態で、前記平面部と前記側壁の間に、前記封止部が挿入される隙間が形成される流路切換弁の組立方法であって、
前記開放口を通して、第一の前記流路口を囲むように第一の前記封止部を配置する工程と、
前記開放口を通して、第一の前記流路口が形成された前記側壁と前記平面部が対向するように前記弁体を配置する工程と、
前記平面部と第二の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、
前記開放口を通して、第二の前記流路口を囲むように第二の前記封止部を配置する工程と、
前記平面部と第三の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、
前記開放口を通して、第三の前記流路口を囲むように第三の前記封止部を配置する工程と、
前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、
前記カバーを用いて前記開放口を閉じる工程と、
を備える流路切換弁の組立方法。
【請求項2】
一端が開放された弁室が内部に形成され、前記弁室の底部に流体が通る流入口が形成され、前記弁室の3方の側壁に流体が通る流路口が夫々形成されている弁本体と、
前記弁室に回転可能に配置されると共に空洞部が内部に形成され、球状の外表面を有し、平面部が前記底部と対向する部分に形成され、前記空洞部に流入又は前記空洞部から流出する流体が通る流通孔が前記外表面に形成されている弁体と、
環状で、前記流路口を囲むように夫々配置され、前記外表面と接触して前記外表面と前記側壁との間を封止する3個の封止部と、
前記弁室の開放口を閉じるカバーと、を備え、
前記弁体の前記平面部を前記弁本体の前記側壁に対向させた状態で、前記平面部と前記側壁の間に、前記封止部が挿入される隙間が形成される流路切換弁の組立方法であって、
前記開放口を通して、第一の前記流路口を囲むように第一の前記封止部を配置する工程と、
前記開放口を通して、第一の前記流路口が形成された前記側壁と前記平面部が対向するように前記弁体を配置する工程と、
前記平面部と第二の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、
前記開放口を通して、第二の前記流路口を囲むように第二の前記封止部を配置する工程と、
前記平面部と第三の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、
前記開放口を通して、第三の前記流路口を囲むように第三の前記封止部を配置する工程と、
前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、
前記カバーを用いて前記開放口を閉じる工程と、
を備える流路切換弁の組立方法。
【請求項3】
前記開放口を通して、第三の前記流路口を囲むように第三の前記封止部を配置する工程と、前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程との間に、
前記弁体を回転させて前記弁体の前記流通孔と何れかの前記流路口を対向させる工程が設けられ、
前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程では、
棒状の治具を前記流路口から前記弁室へ挿入し、前記流路口を通じて前記治具の先端を前記弁体に係合させ、前記治具を回転させることで前記弁体を回転させる、
請求項1又は2に記載の流路切換弁の組立方法。
【請求項4】
前記第一の前記流路口を囲むように前記第一の前記封止部を配置する工程の後で、前記第一の前記流路口が形成された前記側壁と前記平面部が対向するように前記弁体を配置する工程を実施する、
請求項1~3の何れか1項に記載の流路切換弁の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流路切換弁の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の切換弁は、弁室を有し、この弁室から外部に通じる複数の開口穴が形成された弁ケースと、開口穴に選択的に繋がる流路を有し弁室に収容されるボール状の弁体と、開口穴に通じる流出入口を有し弁ケースに取り付けられる複数の弁カバーと、弁体を回転駆動させる駆動源と、弁軸と、弁体と弁カバーの間に配置されて弁体が回転駆動する際に弁体に摺接すると共に複数の開口穴の相互間を非連通にする滑り材と、滑り材を弁体に押し付ける弾性部材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-138626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流路切換弁は、内部に弁室が形成される弁本体と、弁室に配置される球状の弁体と、弁室に配置される環状の封止部とを備えている。具体的には、弁本体を構成する複数の側壁には、流体が通る流路口が夫々形成されており、環状の封止部は、流路口を囲むように配置されている。そして、環状の封止部は、弁体の外表面と接触し、弁体の外表面と弁本体の側壁との間を封止している。
【0005】
従来、弁体が弁室に配置された状態では、作業者は封止部を弁室に配置することができなかった。また、全ての封止部が弁室に配置された状態では、作業者は弁体を弁室に配置することができなかった。そこで、弁本体は、分割されていた。例えば、流路口が形成されている3個の側壁が、1個の側壁を含む一方部分と、2個の側壁を含む他方部分とに分割されていた。そして、弁室に弁体と全ての封止部を配置した状態で、弁本体において分割された一方部分と他方部分とが融着された。
【0006】
このような構成では、弁本体において一方部分と他方部分との間に相対的な位置ばらつきが生じることで、弁本体の側壁に形成された流路口と弁体の外表面との間隔もばらついた。
【0007】
そこで、流路口が形成されている側壁が分割されていない弁本体の弁室に、弁体及び封止部を配置することが望まれる。しかし、このような構成に対しては、予め封止部と弁体とを組み合させたユニットを弁室に配置しなければならなかった。このため、作業が困難となっていた。
【0008】
本開示の課題は、流路口が形成されている側壁が分割されていない弁本体の弁室に、弁体及び封止部を容易に配置することができる流路切換弁の組立方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様に係る流路切換弁の組立方法は、一端が開放された弁室が内部に形成され、前記弁室の3方の側壁に流体が通る流路口が夫々形成されている弁本体と、前記弁室に回転可能に配置されると共に空洞部が内部に形成され、球状の外表面を有し、平面部が前記弁室の底部と対向する部分に形成され、前記空洞部に流入又は前記空洞部から流出する流体が通る流通孔が前記外表面に形成されている弁体と、環状で、前記流路口を囲むように夫々配置され、前記外表面と接触して前記外表面と前記側壁との間を封止する3個の封止部と、前記弁室の開放口を閉じるカバーと、を備え、前記弁体の前記平面部を前記弁本体の前記側壁に対向させた状態で、前記平面部と前記側壁の間に、前記封止部が挿入される隙間が形成される流路切換弁の組立方法であって、前記開放口を通して、第一の前記流路口を囲むように第一の前記封止部を配置する工程と、前記開放口を通して、第一の前記流路口が形成された前記側壁と前記平面部が対向するように前記弁体を配置する工程と、前記平面部と第二の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、前記開放口を通して、第二の前記流路口を囲むように第二の前記封止部を配置する工程と、前記平面部と第三の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、前記開放口を通して、第三の前記流路口を囲むように第三の前記封止部を配置する工程と、前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、前記カバーを用いて前記開放口を閉じる工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
以上の態様によると、流路切換弁の組立方法によって組み立てられる流路切換弁の弁本体には、一端が開放された三角柱状の弁室が内部に形成されている。さらに、弁室からの流体が通る流路口が、弁室を構成する3個の側壁に夫々形成されている。
【0011】
そして、弁体の平面部を弁本体の側壁に対向させることで、平面部と側壁の間に封止部が挿入される隙間が形成される。これにより、弁体を回転させて弁体の平面部を3個の側壁に順番に対向させることで、封止部が弁室に挿入されて3個の流路口の周りに夫々配置される。封止部が夫々配置された状態で、弁体を回転させて弁体の平面部と弁室を構成する底部とを対向させる。
【0012】
このように、流路口が形成されている側壁が分割されていない弁本体の弁室に、弁体及び封止部を容易に配置することができる。
【0013】
本開示の第2態様に係る流路切換弁の組立方法は、一端が開放された弁室が内部に形成され、前記弁室の底部に流体が通る流入口が形成され、前記弁室の3方の側壁に流体が通る流路口が夫々形成されている弁本体と、前記弁室に回転可能に配置されると共に空洞部が内部に形成され、球状の外表面を有し、平面部が前記底部と対向する部分に形成され、前記空洞部に流入又は前記空洞部から流出する流体が通る流通孔が前記外表面に形成されている弁体と、環状で、前記流路口を囲むように夫々配置され、前記外表面と接触して前記外表面と前記側壁との間を封止する3個の封止部と、前記弁室の開放口を閉じるカバーと、を備え、前記弁体の前記平面部を前記弁本体の前記側壁に対向させた状態で、前記平面部と前記側壁の間に、前記封止部が挿入される隙間が形成される流路切換弁の組立方法であって、前記開放口を通して、第一の前記流路口を囲むように第一の前記封止部を配置する工程と、前記開放口を通して、第一の前記流路口が形成された前記側壁と前記平面部が対向するように前記弁体を配置する工程と、前記平面部と第二の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、前記開放口を通して、第二の前記流路口を囲むように第二の前記封止部を配置する工程と、前記平面部と第三の前記流路口が形成された前記側壁とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、前記開放口を通して、第三の前記流路口を囲むように第三の前記封止部を配置する工程と、前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程と、前記カバーを用いて前記開放口を閉じる工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
以上の態様によると、流路切換弁の組立方法によって組み立てられる流路切換弁の弁本体には、一端が開放された三角柱状の弁室が内部に形成されている。さらに、弁室からの流体が通る流路口が、弁室を構成する3個の側壁に夫々形成されている。
【0015】
そして、弁体の平面部を弁本体の側壁に対向させることで、平面部と側壁の間に封止部が挿入される隙間が形成される。これにより、弁体を回転させて弁体の平面部を3個の側壁に順番に対向させることで、封止部が弁室に挿入されて3個の流路口の周りに夫々配置される。封止部が夫々配置された状態で、弁体を回転させて弁体の平面部と弁室を構成する底部とを対向させる。
【0016】
このように、流路口が形成されている側壁が分割されていない弁本体の弁室に、弁体及び封止部を容易に配置することができる。
【0017】
本開示の第3態様に係る流路切換弁の組立方法は、第1又は第2態様に記載の流路切換弁の組立方法において、前記開放口を通して、第三の前記流路口を囲むように第三の前記封止部を配置する工程と、前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程との間に、前記弁体を回転させて前記弁体の前記流通孔と何れかの前記流路口を対向させる工程が設けられ、前記平面部と前記底部とが対向するように前記弁体を回転させる工程では、棒状の治具を前記流路口から前記弁室へ挿入し、前記流路口を通じて前記治具の先端を前記弁体に係合させ、前記治具を回転させることで前記弁体を回転させることを特徴とする。
【0018】
以上の態様によると、弁体を回転させて弁体の流通孔と何れかの流路口を対向させる。そして、棒状の治具を流路口から弁室へ挿入し、治具の先端を弁体に係合させ、治具を回転させることで弁を回転させる。
【0019】
このように、棒状の治具を用いることで、弁室に弁体及び3個の封止部が配置された状態でも、容易に弁体を回転させることができる。
【0020】
本開示の第4態様に係る流路切換弁の組立方法は、第1~3態様の何れか1態様に記載の流路切換弁の組立方法において、前記第一の前記流路口を囲むように前記第一の前記封止部を配置する工程の後で、前記第一の前記流路口が形成された前記側壁と前記平面部が対向するように前記弁体を配置する工程を実施することを特徴とする。
【0021】
以上の態様によると、第一の流路口を囲むように第一の封止部を配置する工程の後で、第一の流路口が形成された側壁と平面部が対向するように弁体を配置する。これにより、第一の流路口が形成された側壁と平面部との間に封止部が挿入される隙間を形成することを意識することなく、弁体を配置することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によると、流路口が形成されている側壁が分割されていない弁本体の弁室に、弁体及び封止部を容易に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法に用いられる流路切換弁を示した分解斜視図である。
図2】(A)(B)(C)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法に用いられる流路切換弁の弁本体を示した斜視図、断面斜視図、及び平断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法に用いられる流路切換弁の弁体を示した図面である。
図4】(A)(B)(C)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法に用いられる流路切換弁の封止部を示した斜視図、及び断面図である。
図5】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法に用いられる流路切換弁の弁本体、封止部、及び弁体を示した断面図である。
図6】本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法に用いられる流路切換弁の弁本体、封止部、及び弁体を示した断面図である。
図7】本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法に用いられる流路切換弁のカバー及び駆動部を示した断面図、及び拡大断面図である。
図8】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図9】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図10】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図11】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図12】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図13】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図14】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図15】(A)(B)本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の平面図、及び斜視図である。
図16】本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法を示し、組立途中の斜視図である。
図17】本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法によって組み立てられた流路切換弁の全体を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態に係る流路切換弁の組立方法の一例を図1図17に従って説明する。なお、各図に示す矢印Hは部品上下方向を示し、矢印Wは、部品幅方向を示し、矢印Dは、部品奥行き方向を示す。また、部品上下方向、部品幅方向、及び部品奥行き方向は、互いに直交する。なお、本開示における部品上下方向、部品幅方向、及び部品奥行き方向は、流路切換弁の使用状態の方向と異なる場合がある。
【0025】
先ず、流路切換弁の組立方法によって組み立てられる流路切換弁10の構成について説明し、次に、この流路切換弁10を組み立てる流路切換弁の組立方法について説明する。
【0026】
<流路切換弁10の構成>
流路切換弁10は、例えば自動車のエンジンルーム内を流れる流体の一例である液体の流路を多方向に切り換えるロータリー形の四方弁である。
【0027】
流路切換弁10は、図1に示されるように、弁本体20、弁体50、封止部70、カバー80、ステム84、及び駆動部86を備えている。なお、弁体50ついては、弁又はボール弁体と称されることもある。
【0028】
(弁本体20)
弁本体20は、樹脂材料を用いて一体的に形成されている。本実施形態では、弁本体20は、一例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いて形成されている。
【0029】
弁本体20は、図2(A)に示されるように、部品上下方向の上方が開放された箱状の基部22と、基部22から外側へ突出する3個の流出管36と、基部22から下側へ突出する1個の流入管38とを有している。
【0030】
〔基部22〕
箱状とされた基部22は、図2(A)(B)(C)に示されるように、上方から見て三角形状とされており、3個の側壁24と、底部28とを有している。そして、基部22には、弁体50が配置される弁室22aと、弁室22aを上方に開放する開放口22bとが形成されている。このように、基部22の内部には、一端が開放された三角柱状の弁室22aが形成されている。なお、側壁24ついては、側板と称されることもある。
【0031】
また、底部28の板厚方向は、部品上下方向とされており、3個の側壁24は、底部28と直交している。なお、底部28ついては、底板と称されることもある。
【0032】
-側壁24-
側壁24は、図2(A)(B)(C)に示されるように、3個設けられており、3個の側壁24のうち、1個の側壁24の板厚方向は、部品奥行き方向とされている。以下、説明の便宜上、板厚方向が部品奥行き方向を向いた側壁24を側壁24aと記載し、平面視で側壁24aに対して時計回り方向に位置する側壁24を側壁24bと記載し、残りの側壁24を側壁24cと記載することがある。本実施形態において、平面視とは、部品上下方向の上方から見た矢視のことである。
【0033】
一方、側壁24には、弁室22aから流出する液体が通る円状の流路口26が形成されている。以下、説明の便宜上、側壁24aに形成された流路口26を流路口26aと記載し、側壁24bに形成された流路口26を流路口26bと記載し、側壁24cに形成された流路口26を流路口26cと記載することがある。
【0034】
そして、3個の流路口26a、26b、26cは、平面状に配置されている。ここで、平面状に配置されるとは、3個の流路口26a、26b、26cの中心線L1が同一平面状に配置されていることである。
【0035】
また、図2(C)に示されるように、平面視において、隣り合う流路口26の中心線L1の挟み角(図中K1)は、全て同様とされて120〔度〕とされている。
【0036】
-底部28-
底部28は、図2(B)(C)に示されるように、平面視で三角形状とされており、底部28には、弁室22aへ流入する液体が通る円状の流入口30が形成されている。円状の流入口30の中心線L2は、部品上下方向に延びており、図2(C)に示されるように、平面視において、3個の中心線L1の交点と重なっている。なお、詳細は後述するが、弁体50(図1参照)は、中心線L2を回転中心(軸中心)として回転するようになっている。
【0037】
また、底部28には、弁室22aに配置される封止部70(図1参照)を位置決めするための板状の規制部32が複数形成されている。
【0038】
規制部32は、図2(C)に示されるように、平面視において、流路口26を間において一対形成されている。具体的には、規制部32は、底部28及び側壁24から弁室22aへ突出し、部品上下方向に延びている。そして、一対の規制部32は、封止部70を挟むことで、封止部70を位置決めしている。
【0039】
さらに、底部28には、図2(B)(C)に示されるように、弁室22aに配置される弁体50(図1参照)を下方から支持する板状の支持部34が複数形成されている。複数の支持部34は、三角形状とされた底部28の頂点部分に設けられている。具体的には、支持部34は、底部28から弁室22aへ突出し、支持部34には、上方を向いた支持面34aが形成されている。そして、この支持面34aは、湾曲面とされている。
【0040】
〔流出管36〕
流出管36は、筒状とされ、図2(A)(B)(C)に示されるように、基部22の側壁24から外部に突出して部品上下方向に対して直交する方向へ延びている。そして、流路口26を通って弁室22aから流出した液体が、流出管36を通るようになっている。
【0041】
以下、説明の便宜上、側壁24aから外部に突出した流出管36を流出管36aと記載し、側壁24bから外部に突出した流出管36を流出管36bと記載し、側壁24cから外部に突出した流出管36を流出管36cと記載することがある。
【0042】
〔流入管38〕
流入管38は、筒状とされ、図2(A)(B)に示されるように、基部22の底部28から外部に突出して部品上下方向の下方へ延びている。そして、流入管38を流れる流体が、流入口30を通って弁室22aへ流入するようになっている。
なお、本実施形態では、流体が、流入管38(の流入口30)から弁室22aに流入し、流出管36(36a,36b,36c)から流出するとして説明するが、 流体の流れ方向はこれに限定されず、例えば、流出管36a,36b,36cのいずれか1つ又は複数から流入した流体を他の流出管36や流入管38から流出させるように使用してもよいことはもちろんである。
【0043】
(弁体50)
弁体50は、樹脂材料を用いて一体的に形成されている。本実施形態では、弁体50は、一例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いて形成されている。なお、弁体50ついては、弁又はボール弁体と称されることもある。
【0044】
弁体50は、図3に示されるように、球状されており、内部に空洞部50aが形成されている。図3には、各方向から見た弁体50が示されている。以下、部品上下方向に対して直交する正面側から見た弁体50を弁体50-Aと記載し、部品上下方向の上方から見た弁体50を弁体50-Bと記載し、部品上下方向の下方から見た弁体50を弁体50-Cと記載する。さらに、部品上下方向に対して直交する側面側から見た弁体50を弁体50-Dと記載し、側面側から見た弁体50の断面を弁体50-Eと記載し、上方から見た弁体50の断面を弁体50-Fと記載する。また、弁体50の斜視図を弁体50-Gと記載する。
【0045】
弁体50-A、弁体50-B、弁体50-Cに示されるように、弁体50の上方部分には、上方を向いた平面状の上面部52が形成され、弁体50の下方部分には、下方を向いた平面状の下面部54が形成されている。下面部54は、平面部の一例である。なお、下面部54(平面部)は、必ずしも平面形状である必要はなく、例えば、弁体50を側方から見て凸部がない形状であればよいものとする。
【0046】
また、上面部52及び下面部54は、円形とされており、下面部54は、上面部52と比して大きくされている。そして、上面部52と下面部54との挟まれた弁体50の外表面50bは、球状とされている。前述した支持部34の支持面34a(図2(B)参照)は、弁体50の外表面に沿うように湾曲面とされている。なお、弁体50の外表面50bにおいて球状とされている部分については、全ての部分が球面でなくてもよく、他の部材と摺動する部分が、球状(球面)であればよい。
【0047】
さらに、上面部52には、上方から見て矩形状の凹部52aが形成されている。また、下面部54には、空洞部50aに通じると共に中心線L2(図2(C)参照)を中心とした円状の流入孔54aが形成されている。具体的には、流路切換弁10の使用状態で、流入孔54aは、中心線L2を中心とした円状とされている。そして、流入孔54aは、流路切換弁10の使用状態で、弁本体20の流入口30(図2(B)参照)と部品上下方向で対向するようになっている。換言すれば、流入孔54aが形成される下面部54は、流路切換弁10の使用状態で、弁本体20の流入口30が形成される底部28と部品上下方向で対向するようになっている。
【0048】
弁体50-A、弁体50-D、弁体50-E、弁体50-Fに示されるように、弁体50の外表面50bには、空洞部50aに流入又は空洞部50aから流出する液体が通る流通孔50cが形成されている。流通孔50cは、弁体50-Fに示されるように、上方から見て、弁体50の周方向に延びている。
【0049】
この構成において、支持部34に支持された弁体50は、流路切換弁10の使用状態で、中心線L2を中心に回転する。また、弁体50を回転させて、弁体50の下面部54と基部22の側壁24とを対向させると、下面部54と側壁24との間には、封止部70を挿入することができる隙間が形成される(図10(A)参照)。
【0050】
(封止部70)
封止部70は、図1に示されるように、円環状とされ、3個設けられている。そして、封止部70は、図4(A)(B)(C)に示されるように、シート72と、Oリング76とを夫々備えている。
【0051】
-シート72-
シート72は、樹脂材料を用いて一体的に形成されている。本実施形態では、シート72は、一例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いて形成されている。
【0052】
シート72は、図4(A)(B)に示されるように、円環状とされており、弁室22aに配置され状態で、流路口26を囲むようになっている(図8(A)(B)参照)。
【0053】
さらに、シート72には、図4(C)、図5(B)に示されるように、基部22の側壁24と対向する対向面72aと、対向面72aとは反対側で流路口26の中心線L1に対して傾斜したテーパー面72bとが形成されている。さらに、対向面72aには、円環状の凹部74が形成されている。
【0054】
-Oリング76-
Oリング76は、弾性部材を用いて形成されている。本実施形態では、Oリング76は、一例として、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を用いて形成されている。
【0055】
Oリング76は、図4(B)(C)、図5(B)に示されるように、シート72の凹部74に一部が挿入されている。そして、Oリング76は、シート72が弁室22aに配置された状態で、弁本体20の側壁24と接触して弾性変形するようになっている。
【0056】
この構成において、図5(A)(B)、図6に示されるように、中心線L2を中心に回転する弁体50がいかなる位置に配置されても弁体50の外表面50bの少なくとも一部が、3個のシート72のテーパー面72bに接触している。そして、シート72のテーパー面72bが弁体50の外表面50bと接触することで、シート72が側壁24側へ押され、Oリング76が圧縮される。そして、Oリング76が圧縮されることで、弁体50の外表面50bとシート72のテーパー面72bとの接触圧力は強くなる。
【0057】
これにより、シート72と側壁24との間における液体の流れが阻害される。さらに、テーパー面72bと弁体50の外表面50bとの間における液体の流れが阻害される。換言すれば、封止部70は、外表面50bと接触して外表面50bと側壁24との間を封止する。
【0058】
また、図5(A)に示されるように、回転する弁体50の外表面50bが流路口26bの全体を覆う。換言すれば、弁体50の外表面50bが、流路口26bを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72bの全周と接触する。
【0059】
これにより、流入口30から弁室22aに流入した液体が、流路口26bから流出することができなくなる。換言すれば、流路口26bが塞がれる。このように、回転する弁体50の外表面50bは、何れか1個の封止部70の全周と接触する位置に移動して配置される。
【0060】
さらに、図5(B)に示されるように、回転する弁体50の外表面50bが流路口26bの全体及び流路口26cの全体を覆う。換言すれば、弁体50の外表面50bが、流路口26bを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72bの全周、及び流路口26cを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72bの全周と接触する。
【0061】
これにより、流入口30から弁室22aに流入した液体が、流路口26b及び流路口26cから流出することができなくなる。換言すれば、流路口26b、及び流路口26cが塞がれる。このように、回転する弁体50の外表面50bは、何れか2個の封止部70の全周と接触する位置に移動して配置される。
【0062】
また、本実施形態では、一例として、弁体50の外表面50bの一方の縁から他方の縁までの中心角(図5に示す中心角K2)は、149〔度〕とされている。また、シート72の一方のテーパー面72bにおける一端の点から他方のテーパー面72bにおける一端の点までの中心角(図5に示す中心角K3)は、155〔度〕とされている。さらに、シート72の一方のテーパー面72bにおける他端の点から他方のテーパー面72bにおける他端の点までの中心角(図5に示す中心角K4)は、176〔度〕とされている。
【0063】
(カバー80、ステム84)
カバー80は、樹脂材料を用いて一体的に形成されている。本実施形態では、カバー80は、一例として、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いて形成されている。カバー80は、図1に示されるように、部品上下方向を板厚方向とする板状で、弁本体20の弁室22aの開放口22bを上方から閉じるようになっている。
【0064】
また、カバー80には、ステム84が通る貫通孔80aと、駆動部86をカバー80に取り付けるための3個の円筒部82とが形成されている。さらに、駆動部86をカバー80に取り付けるために用いるスクリュー90のネジ部が、円筒部82の内周面に噛合うようになっている。そして、図7(A)(B)に示されるように、円筒部82の上面82aは、突出した円錐状とされている。
【0065】
この構成において、カバー80が、弁本体20の開放口22bを閉じ、弁本体20に融着される。これにより、弁室22aが閉塞される。
【0066】
また、ステム84は、図1に示すように、部品上下方向に延びており、カバー80に形成された貫通孔80aを通っている(図6参照)。そして、ステム84において弁室22aに配置される部分には、弁体50の上面部52に形成された凹部52aに嵌る嵌合部84aが形成されている。一方、ステム84において、嵌合部84aとは反対側の部分には、駆動部86に備えられたモータの駆動力が伝達されるギヤ部84bが形成されている。
【0067】
さらに、ステム84には、カバー80の貫通孔80aとの間を封止するOリング85が取り付けられている。
【0068】
(駆動部86)
駆動部86は、内部にモータが設けられ、図1に示されるように、カバー80の上方からカバー80に取り付けられる。また、駆動部86には、駆動部86をカバー80に取り付けるための3個の円筒部88が形成されている。駆動部86をカバー80に取り付けるために用いるスクリュー90が、円筒部88に形成された円孔に挿入されるようになっている。そして、図7(A)(B)に示されるように、円筒部88の下面88aは、円筒部82の上面82aが嵌るように、凹んだ円錐状とされている。
【0069】
この構成において、3個のスクリュー90を円筒部88に通し、スクリュー90のネジ部を円筒部82に夫々締め込む。これにより、駆動部86がカバー80に取り付けられる。そして、この状態で、ステム84のギヤ部84b(図1参照)が、駆動部86の出力軸と噛み合うようになっている。
【0070】
<流路切換弁10の組立方法>
次に、流路切換弁10の組立方法について説明する。
先ず、図8(A)(B)に示されるように、弁本体20の開放口22bが上方を向くように、弁本体20が治具に載せられている。この状態で、封止部70が、開放口22bを通して、弁室22aに配置される。具体的には、封止部70は、規制部32によって位置決めされ、流路口26aを囲むように配置される。
【0071】
次に、図9(A)(B)に示されるように、弁体50が、開放口22bを通して、弁室22aに配置される。具体的には、弁体50は、支持部34(図2(B)参照)によって支持され、弁体50の下面部54が側壁24aと対向するように配置される。つまり、弁体50は、流路切換弁10の使用状態の弁体50の位置に対して、90〔度〕傾斜した状態で配置される。なお、この状態で、弁体50の流通孔50cは、部品幅方向の一方側(図9(A)に示す右側)を向いている。
【0072】
次に、図10(A)(B)に示されるように、弁体50が、中心線L2周りに回転される。具体的には、弁体50は、弁体50の下面部54が側壁24bと対向するように回転される。これにより、弁体50の下面部54と側壁24bとの間には、封止部70が挿入される隙間が形成される。一方、弁体50が回転されることで、弁体50の外表面50bは、流路口26aを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72b(図5(B)参照)に接触する。
【0073】
次に、図11(A)(B)に示されるように、封止部70が、開放口22bを通して。弁室22aに配置される。具体的には、封止部70は、規制部32によって位置決めされ、流路口26bを囲むように配置される。
【0074】
次に、図12(A)(B)に示されるように、弁体50が、中心線L2周りに回転される。具体的には、弁体50は、弁体50の下面部54が側壁24cと対向するように回転される。これにより、弁体50の下面部54と側壁24cとの間には、封止部70が挿入される隙間が形成される。一方、弁体50が回転されることで、弁体50の外表面50bは、流路口26bを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72b(図5(B)参照)に接触する。
【0075】
次に、図13(A)(B)に示されるように、封止部70が、開放口22bを通して、弁室22aに配置される。具体的には、封止部70は、規制部32によって位置決めされ、流路口26cを囲むように配置される。
【0076】
次に、図14(A)(B)に示されるように、弁体50が、中心線L2周りに回転される。具体的には、弁体50は、弁体50の流通孔50cが流路口26aと対向するように回転される。
【0077】
次に、図15(A)(B)に示されるように、弁体50が、回転される。具体的には、棒状の治具92が、流出管36a及び流路口26aを通して、弁体50の空洞部50aに挿入される。そして、空洞部50aを構成する壁面に形成された図示せぬ凹部に治具92の先端を挿入する。
【0078】
この状態で、治具92を回転させることで、弁体50が、弁体50の上面部52が上方を向くよう回転される。これにより、弁体50は、流路切換弁10の使用状態の位置に配置される。
【0079】
次に、図16に示されるように、ステム84の嵌合部84aが、弁体50の上面部52の凹部52aに嵌められる。さらに、ステム84が、カバー80の貫通孔80aに挿入される。そして、カバー80が、弁本体20の開放口22bを閉じ、弁本体20に融着される。これにより、弁室22aが閉塞される。
【0080】
さらに、駆動部86が、カバー80に取り付けられる。具体的には、図7(A)(B)に示されるように、3個のスクリュー90を円筒部88に通し、スクリュー90を円筒部82に夫々締め込む。これにより、駆動部86がカバー80に取り付けられる。そして、この状態で、ステム84のギヤ部84bが、駆動部86の出力軸と噛み合う。
【0081】
これにより、図17に示されるように、流路切換弁10が組み立てられる。
【0082】
<流路切換弁10の作用>
次に、流路切換弁10の作用について説明する。この流路切換弁10を用いることで、弁本体20の流入口30から弁室22aに流入した液体の流出先が切り替えられる。具体的には、駆動部86が、ステム84を介して弁室22aに配置された弁体50を中心線L2周りに回転させる。これにより、流入口30から弁室22aに流入した液体をどの流路口26から流出させるかが、切り替えられる。
【0083】
例えば、図5(A)に示されるように、回転する弁体50の外表面50bが流路口26bの全体を覆う。換言すれば、弁体50の外表面50bが、流路口26bを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72bの全周と接触する。さらに、換言すれば、弁体50の外表面50bが、流路口26bを囲むように配置された封止部70の全周(封止部70のテーパー面72bの全周)と接触する。
【0084】
これにより、流入口30から弁室22aに流入した液体が、流路口26bから流出することができなくなる。換言すれば、流路口26bが塞がれる。
【0085】
また、この状態では、弁体50の外表面50bは、流路口26aを囲むように配置された封止部70の全周、及び流路口26cを囲むように配置された封止部70の全周とは接触していない。そこで、流入口30から弁室22aに流入した液体は、流路口26a及び流路口26cから流出する。
【0086】
さらに、駆動部86が、ステム84を介して弁室22aに配置された弁体50を中心線L2周りに回転させることで、弁体50の外表面50bが流路口26aの全体を覆う。これにより、弁体50の外表面50bは、流路口26aを囲むように配置された封止部70の全周と接触する。そして、流路口26aが外表面50bによって塞がれる。
【0087】
また、この状態では、弁体50の外表面50bは、流路口26bを囲むように配置された封止部70の全周、及び流路口26cを囲むように配置された封止部70の全周とは接触していない。そこで、流入口30から弁室22aに流入した液体は、流路口26b及び流路口26cから流出する。
【0088】
さらに、駆動部86が、ステム84を介して弁室22aに配置された弁体50を中心線L2周りに回転させることで、弁体50の外表面50bが流路口26cの全体を覆う。これにより、弁体50の外表面50bは、流路口26cを囲むように配置された封止部70の全周と接触する。そして、流路口26cが外表面50bによって塞がれる。
【0089】
また、この状態では、弁体50の外表面50bは、流路口26aを囲むように配置された封止部70の全周、及び流路口26bを囲むように配置された封止部70の全周とは接触していない。そこで、流入口30から弁室22aに流入した液体は、流路口26a及び流路口26bから流出する。
【0090】
以上説明したように、回転する弁体50の外表面50bは、何れか1個の封止部70の全周と接触する位置に移動して配置される。
【0091】
一方、駆動部86が、ステム84を介して弁室22aに配置された弁体50を中心線L2周りに回転させることで、図5(B)に示されるように、弁体50の外表面50bが流路口26bの全体及び流路口26cの全体を覆う。換言すれば、弁体50の外表面50bが、流路口26bを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72bの全周、及び流路口26cを囲むように配置された封止部70におけるシート72のテーパー面72bの全周と接触する。
【0092】
これにより、流入口30から弁室22aに流入した液体が、流路口26b及び流路口26cから流出することができなくなる。換言すれば、流路口26b、及び流路口26cが塞がれる。
【0093】
また、この状態では、弁体50の外表面50bは、流路口26aを囲むように配置された封止部70とは接触していない。そこで、流入口30から弁室22aに流入した液体は、流路口26aから流出する。
【0094】
さらに、駆動部86が、ステム84を介して弁室22aに配置された弁体50を中心線L2周りに回転させることで、弁体50の外表面50bが流路口26aの全体、及び流路口26cの全体を覆う。これにより、弁体50の外表面50bは、流路口26aを囲むように配置された封止部70の全周、及び流路口26cを囲むように配置された封止部70の全周と接触する。そして、流路口26a及び流路口26cが外表面50bによって塞がれる。
【0095】
また、この状態では、弁体50の外表面50bは、流路口26bを囲むように配置された封止部70とは接触していない。そこで、流入口30から弁室22aに流入した液体は、流路口26bから流出する。
【0096】
さらに、駆動部86が、ステム84を介して弁室22aに配置された弁体50を中心線L2周りに回転させることで、弁体50の外表面50bが流路口26aの全体、及び流路口26bの全体を覆う。これにより、弁体50の外表面50bは、流路口26aを囲むように配置された封止部70の全周、及び流路口26bを囲むように配置された封止部70の全周と接触する。そして、流路口26a及び流路口26bが外表面50bによって塞がれる。
【0097】
また、この状態では、弁体50の外表面50bは、流路口26cを囲むように配置された封止部70とは接触していない。そこで、流入口30から弁室22aに流入した液体は、流路口26cから流出する。
【0098】
以上説明したように、回転する弁体50の外表面50bは、何れか2個の封止部70の全周と接触する位置に移動して配置される。
【0099】
<まとめ>
以上説明した流路切換弁10の組立方法においては、弁体50を使用状態に対して90〔度〕傾けて弁体50の下面部54を弁本体20の側壁24に対向させると、側壁24と下面部54との間に、封止部70を挿入することができる隙間が形成される。これにより、この隙間に封止部70が挿入される。そして、弁体50を順次他の側壁24に対向させることで、全ての封止部70が弁室22aに配置される。また、弁体50及び3個の封止部70が弁室22aに配置された状態で、弁体50を回転させることで、弁体50が使用状態に配置される。
【0100】
このように、本開示の流路切換弁10の組立方法によれば、流路口26が形成されている側壁24が分割されていない弁本体20の弁室22aに、弁体50及び封止部70を容易に配置することができる。
【0101】
また、流路切換弁10の組立方法においては、弁体50を使用状態の位置に配置する工程では、棒状の治具92が、流出管36a及び流路口26aを通して、弁体50の空洞部50aに挿入される。そして、空洞部50aの壁面に形成された図示せぬ凹部に治具92の先端を挿入し、治具92を回転させる。これにより、弁体50が、使用状態の位置に配置される(図15参照)。
【0102】
このように、本開示の流路切換弁10の組立方法によれば、棒状の治具92を用いることで、弁体50及び3個の封止部70が弁室22aに配置された状態でも、容易に弁体50を回転させることができる。
【0103】
また、流路切換弁10の組立方法においては、流路口26aを囲むように封止部70を配置する工程の後で、流路口26aが形成された側壁24aと弁体50の下面部54が対向するように弁体50を配置する。
【0104】
これにより、流路口26aが形成された側壁24aと下面部54との間に封止部70が挿入される隙間を形成することを意識することなく、弁体50を配置することができる。
【0105】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示は本開示の範囲にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、特に説明しなかったが、流路切換弁10は、流入管38及び流入口30を備えたが、流入管及び流入口を備えていなくてもよい。つまり、流路切換弁が、ロータリー形の三方弁であってもよい。その場合には、一の流路口26から液体が流入し、他の流路口26から液体が流出する。
【0106】
また、上記実施形態では、流路口26aを囲むように封止部70を配置する工程の後で、流路口26aが形成された側壁24aと弁体50の下面部54が対向するように弁体50を配置したが、その逆の順番であってもよい。しかし、その場合には、封止部70を配置する工程の後で弁体50を配置することによって奏する作用は奏しない。
【0107】
また、上記実施形態では、流体としての液体を用いて説明したが、気体であってもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 流路切換弁
20 弁本体
22a 弁室
22b 開放口
24 側壁
24a 側壁
24b 側壁
24c 側壁
26 流路口
26a 流路口
26b 流路口
26c 流路口
28 底部
30 流入口
50 弁体
50a 空洞部
50b 外表面
50c 流通孔
70 封止部
72 シート
72b テーパー面
76 Oリング
80 カバー
92 治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17