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特許7527036情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240726BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240726BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240726BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240726BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240726BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240726BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240726BHJP
   G09B 29/10 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 P
G08G1/005
G06F3/0481
G09B29/00 F
G16Y10/40
G16Y40/60
G09B29/10 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022502641
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2020007612
(87)【国際公開番号】W WO2021171400
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 祥生
(72)【発明者】
【氏名】榮井 優介
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-123277(JP,A)
【文献】特開2016-130874(JP,A)
【文献】特開2012-202796(JP,A)
【文献】特開2017-090062(JP,A)
【文献】特開2004-110377(JP,A)
【文献】特開2004-144531(JP,A)
【文献】特開2009-186219(JP,A)
【文献】特開2018-009904(JP,A)
【文献】特開2000-315293(JP,A)
【文献】特開2021-021590(JP,A)
【文献】特開2012-014606(JP,A)
【文献】米国特許第8423431(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G09B 29/00 - 29/10
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Y 10/00 - 40/60
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
センサ装置から取得する信号に基づき、人物の位置を特定する人物位置特定部と、
少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについて、前記人物の位置からサービスの提供位置までを線で結ぶ案内経路と、前記案内経路の目的地において提供されるサービスを特定する情報と、を示す案内画像を、前記人物が移動する面上に、画像表示装置に表示させる画像表示制御部と、
前記案内画像の表示中における前記人物の移動経路との類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する前記案内経路の目的地において提供されるサービスを、前記人物が選択したサービスである選択サービスとして設定する選択サービス設定部と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記選択サービスが設定されたことを含む第1の条件が満たされた場合に、前記選択サービスを提供する前記サービス提供装置に、前記選択サービスを提供するための事前動作を開始させる事前動作開始指示部を備える、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記第1の条件は、前記人物の現在の位置から前記選択サービスの提供位置までの前記案内経路に沿った距離が予め設定された第2の閾値以下であることを含む、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記第2の閾値は、各サービスについて個別に設定されている、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記画像表示制御部は、複数のサービスについての複数の前記案内画像を、前記画像表示装置に表示させる、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
複数の前記案内画像のそれぞれによって示される、複数のサービスのそれぞれの提供位置までの前記案内経路は、互いに重ならない、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記画像表示制御部は、前記選択サービスが設定されたことを含む第2の条件が満たされた場合に、前記選択サービスについての前記案内画像の表示態様と、前記選択サービス以外のサービスについての前記案内画像の表示態様とを、互いに異ならせる、
情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記画像表示制御部は、前記第2の条件が満たされた場合に、前記選択サービスについての前記案内画像の色と大きさと線種との少なくとも1つを、前記選択サービス以外のサービスについての前記案内画像と異ならせる、
情報処理装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の情報処理装置であって、
前記画像表示制御部は、前記第2の条件が満たされた場合に、前記選択サービス以外のサービスについての前記案内画像の表示を終了させる、
情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、さらに、
センサ装置から取得する信号に基づき、前記人物の特定の状態を検出する人物状態検出部を備え、
前記画像表示制御部は、前記少なくとも1つのサービスの中から、検出された前記人物の前記特定の状態に対応付けられたサービスを抽出し、抽出されたサービスについての前記案内画像を、前記画像表示装置に表示させる、
情報処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記人物位置特定部は、前記選択サービスが設定された後、前記人物の前記選択サービスの提供位置までの前記案内経路に沿った移動が途中で終了したか否かを判定し、
前記人物の前記選択サービスの提供位置までの前記案内経路に沿った移動が途中で終了したと判定された場合に、前記画像表示制御部は、更新された前記案内画像を前記画像表示装置に表示させる、
情報処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記人物位置特定部は、複数の人物のそれぞれについての位置を特定し、
前記画像表示制御部は、前記複数の人物のそれぞれについての前記案内画像を、互いに異なる表示態様で、前記画像表示装置に表示させる、
情報処理装置。
【請求項13】
情報処理システムであって、
人物の位置を特定するセンサ装置と、
人物が移動する面上に画像を表示する画像表示装置と、
情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記センサ装置から取得する信号に基づき、人物の位置を特定する人物位置特定部と、
少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについて、前記人物の位置からサービスの提供位置までを線で結ぶ案内経路と、前記案内経路の目的地において提供されるサービスを特定する情報と、を示す案内画像を、前記人物が移動する面上に、前記画像表示装置に表示させる画像表示制御部と、
前記案内画像の表示中における前記人物の移動経路との類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する前記案内経路の目的地において提供されるサービスを、前記人物が選択したサービスである選択サービスとして設定する選択サービス設定部と、
を有する、
情報処理システム。
【請求項14】
情報処理方法であって、
センサ装置から取得する信号に基づき、人物の位置を特定する工程と、
少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについて、前記人物の位置からサービスの提供位置までを線で結ぶ案内経路と、前記案内経路の目的地において提供されるサービスを特定する情報と、を示す案内画像を、前記人物が移動する面上に、画像表示装置に表示させる工程と、
前記案内画像の表示中における前記人物の移動経路との類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する前記案内経路の目的地において提供されるサービスを、前記人物が選択したサービスである選択サービスとして設定する工程と、
を備える、
情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
センサ装置から取得する信号に基づき、人物の位置を特定する処理と、
少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについて、前記人物の位置からサービスの提供位置までを線で結ぶ案内経路と、前記案内経路の目的地において提供されるサービスを特定する情報と、を示す案内画像を、前記人物が移動する面上に、画像表示装置に表示させる処理と、
前記案内画像の表示中における前記人物の移動経路との類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する前記案内経路の目的地において提供されるサービスを、前記人物が選択したサービスである選択サービスとして設定する処理と、
を実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、サービスの選択肢の提示およびサービスの選択実行のための情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、選択肢の提示および選択実行のためのインタラクション手法が種々提案されている。例えば、非特許文献1には、床に選択肢を示す画像を投影し、ユーザが希望する選択肢を足で踏む動作を行うことにより、選択を実行する手法(ステップ・オン・インターフェース)が提案されている。
【0003】
他方、床や壁に画像を投影することにより情報提示を行う手法が種々提案されている。例えば、非特許文献2には、移動ロボットが床や壁に画像を投影することにより、視覚的情報支援を行う手法(ユビキタス・ディスプレイ)が提案されており、非特許文献3には、ユーザに追従するドローンが画像を地面に投影することにより、道案内を行う手法が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】松丸 隆文(Takafumi Matsumaru)、外1名、「モバイルロボットによるステップ・オン・インターフェースの機能(Functions of Mobile-Robot Step-On Interface)」、ジャーナル・オブ・ロボティクス・アンド・メカトロニクス(Journal of Robotics and Mechatronics)、富士技術出版株式会社(Fuji Technology Press Ltd.)、2009年4月20日、第21巻、第2号、p.267-276
【文献】リー・ジェイ(Lee, J)、「インテリジェント・スペースにおける人間中心のユビキタス・ディスプレイ(Human Centered Ubiquitous Display in Intelligent Space)」、IECON 2007-IEEE産業用電子機器学会第33回年次会議予稿集(IECON2007 - 33rd Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society)、(米国)、2007年、p.22-27
【文献】クニエリム・ピー(Knierim, P)、外3名、「改良された位置把握のためのクワッドコプターの投写によるその場のナビゲーション指示(Quadcopter-Projected In-Situ Navigation Cues for Improved Location Awareness)」、2018年CHIコンピューティングシステムにおける人間要素に関する会議会報(Proceedings of the 2018 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems)、(米国)、2018年、p.433:1-433:6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
室内空間や外部空間において、サービス提供装置により、人物(ユーザ)に対して種々のサービスが提供されることがある。例えば、職場や自宅等の室内空間では、コーヒーメーカーによるコーヒーの提供サービス、冷蔵庫による冷たい飲み物の提供サービス、ゴミ箱によるゴミの回収サービス、コピー機による書類の複写サービス、シュレッダーによる書類の裁断サービス等が提供されることがある。また、例えば自動運転車両を用いたタクシーの乗り場等の外部空間では、自動運転車両の後席ドアを介した乗車サービスや、トランクを利用した荷物収容サービス等が提供されることがある。ユーザは、サービスの選択肢の中から受けたいサービスを選択し、選択したサービスの提供位置に移動してサービスの提供を受ける。
【0006】
このようなサービスの選択肢の提示およびサービスの選択実行の際には、ユーザがサービスの選択肢やその提供位置までの経路を直感的に理解でき、かつ、スムーズにサービスの選択を実行できることが好ましい。上記従来の選択肢の提示および選択実行のための技術では、ユーザが選択肢を一覧的に参照することができなかったり、ユーザが選択のみのための特別な行動を行う必要があったりするため、ユーザによるサービスの選択肢やその提供位置までの経路の直感的な理解、および、スムーズなサービスの選択実行が十分に実現されない、という課題がある。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される情報処理装置は、人物位置特定部と、画像表示制御部と、選択サービス設定部とを備える。人物位置特定部は、センサ装置から取得する信号に基づき、人物の位置を特定する。画像表示制御部は、少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについて、前記人物の位置からサービスの提供位置までの案内経路と、前記案内経路の目的地において提供されるサービスを特定する情報と、を示す案内画像を、前記人物が移動する面上に、画像表示装置に表示させる。選択サービス設定部は、前記案内画像の表示中における前記人物の移動経路との類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する前記案内経路の目的地において提供されるサービスを、前記人物が選択したサービスである選択サービスとして設定する。
【0010】
このように、本情報処理装置では、サービス提供装置により提供されるサービスについての案内画像が、人物が移動する面上に表示される。この案内画像は、人物の位置からサービスの提供位置までの案内経路と、案内経路の目的地において提供されるサービスを特定する情報とを示す画像である。そのため、本情報処理装置によれば、ユーザは、案内画像を参照することにより、サービス提供装置により提供されるサービスの選択肢やその提供位置までの経路を直感的に理解することができる。また、本情報処理装置では、案内画像の表示中における人物の移動経路との類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する案内経路の目的地において提供されるサービスが、人物が選択した選択サービスとして設定される。そのため、本情報処理装置によれば、ユーザがサービスの提供位置へ移動すること自体がサービスの選択行動となり、サービスの選択のみのための特別な行動を行う必要がないため、ユーザによるスムーズなサービスの選択実行を実現することができる。従って、本情報処理装置によれば、ユーザによるサービスの選択肢やその提供位置までの経路の直感的な理解を実現することができると共に、ユーザによるスムーズなサービスの選択実行を実現することができる。
【0011】
(2)上記情報処理装置において、さらに、前記選択サービスが設定されたことを含む第1の条件が満たされた場合に、前記選択サービスを提供する前記サービス提供装置に、前記選択サービスを提供するための事前動作を開始させる事前動作開始指示部を備える構成としてもよい。本情報処理装置によれば、人物が選択サービスの提供位置に到達する前に、選択サービスの提供装置が事前動作の一部または全部を完了させることができ、選択サービスの提供位置に到達した人物が選択サービスを受けるまでの待ち時間を短縮することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
(3)上記情報処理装置において、前記第1の条件は、前記人物の現在の位置から前記選択サービスの提供位置までの前記案内経路に沿った距離が予め設定された第2の閾値以下であることを含む構成としてもよい。本情報処理装置によれば、事前動作の開始タイミングが過度に早くなることを抑制することができ、事前動作が過度に早く完了して再度の動作が必要になったり、事前動作の開始後に人物の気が変わってサービスの選択が解除され、実行した事前動作が無駄になったりすることを抑制することができる。
【0013】
(4)上記情報処理装置において、前記第2の閾値は、各サービスについて個別に設定されている構成としてもよい。本情報処理装置によれば、各サービスの事前動作に要する時間に応じて各サービスの第2の閾値を個別に設定することにより、各サービスについてそれぞれ適切なタイミングで事前動作を開始させることができ、事前動作の開始タイミングが過度に早くなることを抑制しつつ、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0014】
(5)上記情報処理装置において、前記画像表示制御部は、複数のサービスについての複数の前記案内画像を、前記画像表示装置に表示させる構成としてもよい。本情報処理装置によれば、ユーザは複数のサービスについての複数の案内画像を一覧的に参照することができ、ユーザによる複数のサービスの選択肢やその提供位置までの経路の直感的な理解を実現することができる。
【0015】
(6)上記情報処理装置において、複数の前記案内画像のそれぞれによって示される、複数のサービスのそれぞれの提供位置までの前記案内経路は、互いに重ならない構成としてもよい。本情報処理装置によれば、ユーザが案内経路に沿って移動することにより選択した1つのサービスを確実に特定することができると共に、ユーザを選択サービスの提供位置まで確実に案内することができる。
【0016】
(7)上記情報処理装置において、前記画像表示制御部は、前記選択サービスが設定されたことを含む第2の条件が満たされた場合に、前記選択サービスについての前記案内画像の表示態様と、前記選択サービス以外のサービスについての前記案内画像の表示態様とを、互いに異ならせる構成としてもよい。本情報処理装置によれば、ユーザが、案内画像の表示態様を参照することにより、自らの移動によって1つのサービスが選択されたことを認識することができ、ユーザの利便性を効果的に向上させることができる。
【0017】
(8)上記情報処理装置において、前記画像表示制御部は、前記第2の条件が満たされた場合に、前記選択サービスについての前記案内画像の色と大きさと線種との少なくとも1つを、前記選択サービス以外のサービスについての前記案内画像と異ならせる構成としてもよい。本情報処理装置によれば、ユーザが、案内画像の色と大きさと線種との少なくとも1つを参照することにより、自らの移動によって1つのサービスが選択されたことを容易に認識することができ、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0018】
(9)上記情報処理装置において、前記画像表示制御部は、前記第2の条件が満たされた場合に、前記選択サービス以外のサービスについての前記案内画像の表示を終了させる構成としてもよい。本情報処理装置によれば、ユーザが、他のサービスについての案内画像が表示されなくなったことによって、自らの移動によって1つのサービスが選択されたことを容易に認識することができ、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0019】
(10)上記情報処理装置において、さらに、センサ装置から取得する信号に基づき、前記人物の特定の状態を検出する人物状態検出部を備え、前記画像表示制御部は、前記少なくとも1つのサービスの中から、検出された前記人物の前記特定の状態に対応付けられたサービスを抽出し、抽出されたサービスについての前記案内画像を、前記画像表示装置に表示させる構成としてもよい。本情報処理装置によれば、人物の特定の状態に対応付けられたサービスについての案内画像が選択的に表示され、特定の状態にある人物が提供を受けることを望むと予測されるサービスを選択的に提示することができるため、選択される可能性の高いサービスの選択肢やその案内経路の提示を維持しつつ、過度に多いサービスについての案内画像が表示されて表示が煩雑になることを抑制することができ、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0020】
(11)上記情報処理装置において、前記人物位置特定部は、前記選択サービスが設定された後、前記人物の前記選択サービスの提供位置までの前記案内経路に沿った移動が途中で終了したか否かを判定し、前記人物の前記選択サービスの提供位置までの前記案内経路に沿った移動が途中で終了したと判定された場合に、前記画像表示制御部は、更新された前記案内画像を前記画像表示装置に表示させる構成としてもよい。本情報処理装置によれば、選択サービスが設定された後にユーザの気が変わって他のサービスの提供を希望した場合に、更新された案内画像が表示され、その時点で選択可能なサービスの選択肢や各サービスへの案内経路を把握することができるため、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0021】
(12)上記情報処理装置において、前記人物位置特定部は、複数の人物のそれぞれについての位置を特定し、前記画像表示制御部は、前記複数の人物のそれぞれについての前記案内画像を、互いに異なる表示態様で、前記画像表示装置に表示させる構成としてもよい。本情報処理装置によれば、案内画像によって、サービスの選択肢やその提供位置までの経路を複数の人物に対して互いに容易に識別可能に提示することができ、複数の人物がサービスを利用する場合の利便性を効果的に向上させることができる。
【0022】
(13)本明細書に開示される情報処理システムは、人物の位置を特定するセンサ装置と、人物が移動する面上に画像を表示する画像表示装置と、情報処理装置とを備える。前記情報処理装置は、人物位置特定部と、画像表示制御部と、選択サービス設定部とを有する。人物位置特定部は、前記センサ装置から取得する信号に基づき、人物の位置を特定する。画像表示制御部は、少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについて、前記人物の位置からサービスの提供位置までの案内経路と、前記案内経路の目的地において提供されるサービスを特定する情報と、を示す案内画像を、前記人物が移動する面上に、前記画像表示装置に表示させる。選択サービス設定部は、前記案内画像の表示中における前記人物の移動経路との類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する前記案内経路の目的地において提供されるサービスを、前記人物が選択したサービスである選択サービスとして設定する。本情報処理システムによれば、ユーザによるサービスの選択肢やその提供位置までの経路の直感的な理解を実現することができると共に、ユーザによるスムーズなサービスの選択実行を実現することができる。
【0023】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、それらの方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態における情報処理システム10の構成を概略的に示す説明図
図2】サーバ装置100の構成を概略的に示す説明図
図3】サービス案内処理の内容を示すフローチャート
図4】対象サービスデータSDの一例を示す説明図
図5】サービス案内処理の各段階における室内空間ISの状態の一例を示す説明図
図6】サービス案内処理の各段階における室内空間ISの状態の一例を示す説明図
図7】サービス案内処理の各段階における室内空間ISの状態の一例を示す説明図
図8】サービス案内処理の各段階における室内空間ISの状態の一例を示す説明図
図9】サービス案内処理の各段階における室内空間ISの状態の一例を示す説明図
図10】第2実施形態における情報処理システム10aの構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
A.第1実施形態:
A-1.情報処理システム10の構成:
図1は、第1実施形態における情報処理システム10の構成を概略的に示す説明図である。本実施形態の情報処理システム10は、サービス提供装置によって人物PE(ユーザ)に対して提供されるサービスの選択肢を提示し、人物PEにサービスの選択を実行させ、人物PEをサービスの提供位置に案内するためのシステムである。本実施形態の情報処理システム10は、職場や自宅等の室内空間ISに適用されている。また、本実施形態では、室内空間ISにおいて、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービス、冷蔵庫REによる冷たい飲み物の提供サービス、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービス、コピー機CPによる書類の複写サービス、シュレッダーSHによる書類の裁断サービスが提供されている。
【0026】
図1に示すように、情報処理システム10は、画像表示装置200と、センサ装置300と、サーバ装置100とを備える。情報処理システム10を構成する各装置は、通信ネットワーク(不図示)を介して互いに通信可能に接続されている。また、各サービス提供装置は、通信インターフェース(不図示)を有しており、サーバ装置100との間で通信を行うことが可能である。
【0027】
画像表示装置200は、画像を表す画像光を投写することにより画像を表示するプロジェクタである。本実施形態では、画像表示装置200は、室内空間ISの天井に設置され、床面FL(すなわち、人物PEが移動する面)上に画像を表示する。
【0028】
センサ装置300は、人物PEの位置や状態(例えば、姿勢や持ち物等)を検知する装置である。センサ装置300としては、例えば、RGBカメラやデプスセンサ等が用いられる。
【0029】
サーバ装置100は、情報処理システム10を構成する各装置や、各サービス提供装置を制御するためのコンピュータである。図2は、サーバ装置100の構成を概略的に示す説明図である。図2に示すように、サーバ装置100は、制御部110と、記憶部130と、表示部152と、操作入力部156と、インターフェース部158とを備える。これらの各部は、バス190を介して互いに通信可能に接続されている。なお、サーバ装置100は、特許請求の範囲における情報処理装置の一例である。
【0030】
サーバ装置100の表示部152は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等により構成され、各種の画像や情報を表示する。また、操作入力部156は、例えばキーボードやマウス、ボタン、マイク等により構成され、管理者の操作や指示を受け付ける。また、インターフェース部158は、例えばLANインターフェースやUSBインターフェース等により構成され、有線または無線により他の装置との間で通信を行う。
【0031】
サーバ装置100の記憶部130は、例えばROMやRAM、ハードディスクドライブ(HDD)等により構成され、各種のプログラムやデータを記憶したり、各種のプログラムを実行する際の作業領域やデータの一時的な記憶領域として利用されたりする。例えば、記憶部130には、後述のサービス案内処理を実行するためのコンピュータプログラムであるサービス案内プログラムSPが格納されている。サービス案内プログラムSPは、例えば、CD-ROMやDVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(不図示)に格納された状態で提供され、あるいは外部装置から通信ネットワークを介してダウンロードされ、サーバ装置100にインストールすることにより記憶部130に格納される。
【0032】
また、サーバ装置100の記憶部130には、対象サービスデータSDと、案内画像データIDとが格納されている。これらの内容については、後述する。
【0033】
サーバ装置100の制御部110は、例えばCPU等により構成され、記憶部130から読み出したコンピュータプログラムを実行することにより、サーバ装置100の動作を制御する。例えば、制御部110は、記憶部130からサービス案内プログラムSPを読み出して実行することにより、後述するサービス案内処理を実行するサービス案内処理部112として機能する。なお、サービス案内処理部112は、人物位置特定部114と、人物状態検出部115と、画像表示制御部117と、選択サービス設定部118と、事前動作開始指示部119とを含む。これら各部の機能については、後述のサービス案内処理の説明に合わせて説明する。
【0034】
A-2.サービス案内処理:
次に、第1実施形態の情報処理システム10において実行されるサービス案内処理について説明する。サービス案内処理は、サービス提供装置(コーヒーメーカーCM等)によって人物PE(ユーザ)に対して提供されるサービスの選択肢を提示し、人物PEにサービスの選択を実行させ、人物PEをサービスの提供位置に案内する処理である。図3は、サービス案内処理の内容を示すフローチャートである。また、図4は、後述する対象サービスデータSDの一例を示す説明図である。また、図5-9は、サービス案内処理の各段階における室内空間ISの状態の一例を示す説明図である。サービス案内処理は、例えば、センサ装置300により人物PEが検出されたことをトリガーとして開始される。
【0035】
はじめに、サーバ装置100の人物位置特定部114(図2)が、人物PEの現在位置P(pe)を特定する(S110)。より詳細には、人物位置特定部114は、通信ネットワークおよびサーバ装置100のインターフェース部158を介して、センサ装置300から人物PEの現在位置P(pe)を示す信号を取得し、該信号に基づき、室内空間ISにおける人物PEの現在位置P(pe)を特定する。図1に示す例では、人物PEは、室内空間ISの隅に置かれた椅子上に位置している(該椅子に座っている)。
【0036】
次に、サーバ装置100の人物状態検出部115(図2)は、人物PEの特定の状態が検出されたか否かを判定する(S120)。本実施形態では、人物PEの特定の状態として、例えば、「コップを持って立っている」状態や「書類を持って立っている」状態が設定されている。人物状態検出部115は、通信ネットワークおよびサーバ装置100のインターフェース部158を介して、センサ装置300から人物PEの状態(例えば、姿勢や持ち物)を示す信号を取得し、該信号に基づき、人物PEの特定の状態が検出されたか否かを判定する。
【0037】
本実施形態では、図4に示すように、人物PEの特定の状態と、人物PEに対して提示するサービスの選択肢との対応関係が、予め設定されており、該対応関係を示す対象サービスデータSDが、サーバ装置100の記憶部130(図2)に格納されている。図4に示す例では、人物PEの特定の状態としての「コップを持って立っている」状態に対しては、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービス、冷蔵庫REによる冷たい飲み物の提供サービス、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスという3つのサービスが対応付けられている。また、人物PEの特定の状態としての「書類を持って立っている」状態に対しては、コピー機CPによる書類の複写サービス、シュレッダーSHによる書類の裁断サービス、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスという3つのサービスが対応付けられている。このように、本実施形態では、対象サービスデータSDにおいて、人物PEの特定の状態に対して、該特定の状態に基づき人物PEが提供を受けることを望むと予測されるサービスの選択肢が対応付けられている。なお、本実施形態では、人物PEの一の特定の状態に対応付けられたサービスの選択肢の少なくとも一部が、人物PEの他の特定の状態に対応付けられたサービスの選択肢の少なくとも一部と重複することが許容されている。例えば、図4に示す例では、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスが、「コップを持って立っている」状態および「書類を持って立っている」状態の両方に対応付けられている。
【0038】
S120(図3)の判定において、人物PEの特定の状態が検出されていないと判定された場合には(S120:NO)、S110の処理が再度実行される。一方、S120の判定において、人物PEの特定の状態が検出されたと判定された場合には(S120:YES)、サーバ装置100の画像表示制御部117は、サービスの選択肢の中から、検出された特定の状態に対応付けられたサービスを抽出し、抽出された各サービスの案内画像Iを、床面FL上に、画像表示装置200に表示させる(S130)。ここで、案内画像Iは、図5等に示すように、人物PEの初期位置P0(pe)(特定の状態が検出された時点における人物PEの現在位置P(pe))からサービスの提供位置までの案内経路GPと、該案内経路GPの目的地(すなわち、各サービスの提供位置)において提供されるサービスを特定する情報と、を示す画像である。本実施形態では、サービスを特定する情報として、サービスをピクトグラムで表現したアイコンICと、サービスの名称や内容等を示す文字TXと、が用いられる。
【0039】
図4に示すように、本実施形態では、対象サービスデータSDにおいて、人物PEの特定の状態としての「コップを持って立っている」状態に対し、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービス、冷蔵庫REによる冷たい飲み物の提供サービス、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスという3つのサービスが対応付けられている。そのため、図5に示すように、人物PEがコップCUを持って立っている状態が検出された場合には、それら3つのサービスの案内画像I(コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスの案内画像Icm、冷蔵庫REによる冷たい飲み物の提供サービスの案内画像Ire、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスの案内画像Itb)が、画像表示装置200によって床面FL上に表示される。各案内画像Iは、人物PEの初期位置P0(pe)からサービスの提供位置(コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスの提供位置P(cm)、冷蔵庫REによる冷たい飲み物の提供サービスの提供位置P(re)、または、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスの提供位置P(tb))までの案内経路GPと、案内経路GPの目的地において提供されるサービスを特定する情報としてのアイコンICおよび文字TXと、を示す画像である。なお、本実施形態では、案内経路GPは、所定の幅の実線により表現される。また、本実施形態では、人物PEの初期位置P0(pe)を示す初期位置画像Ipe(例えば、初期位置P0(pe)を中心とする円形の画像)が表示され、初期位置画像Ipeの外縁から各案内画像Iの案内経路GPが延び、各案内経路GP上の初期位置画像Ipeに近い位置にアイコンICおよび文字TXが重なって配置されるように、案内画像Iが構成される。
【0040】
また、図4に示すように、本実施形態では、対象サービスデータSDにおいて、人物PEの特定の状態としての「書類を持って立っている」状態に対し、コピー機CPによる書類の複写サービス、シュレッダーSHによる書類の裁断サービス、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスという3つのサービスが対応付けられている。そのため、図6に示すように、人物PEが書類PAを持って立っている状態が検出された場合には、それら3つのサービスの案内画像I(コピー機CPによる書類の複写サービスの案内画像Icp、シュレッダーSHによる書類の裁断サービスの案内画像Ish、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスの案内画像Itb)が、画像表示装置200によって床面FLに表示される。各案内画像Iは、人物PEの初期位置P0(pe)からサービスの提供位置(コピー機CPによる書類の複写サービスの提供位置P(cp)、シュレッダーSHによる書類の裁断サービスの提供位置P(sh)、または、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスの提供位置P(tb))までの案内経路GPと、案内経路GPの目的地において提供されるサービスを特定する情報としてのアイコンICおよび文字TXと、を示す画像である。
【0041】
このように、本実施形態の情報処理システム10によれば、案内画像Iが表示されることによって、サービス提供装置により提供可能なサービスの選択肢が人物PEに対して一覧的に提示される。
【0042】
サーバ装置100の画像表示制御部117は、人物PEの初期位置P0(pe)と各サービスの提供位置とに基づき、パスプランニングを行うことによって各案内経路GPを決定し、該案内経路GPを示す案内画像Iを表す案内画像データIDを生成して記憶部130に格納する(図2参照)。なお、案内画像Iを構成するアイコンICや文字TXのデータは、記憶部130に格納されており、画像表示制御部117は、該データを用いて案内画像Iを表す案内画像データIDを生成する。また、画像表示制御部117は、案内画像Iを表す案内画像データIDを、サーバ装置100のインターフェース部158および通信ネットワークを介して画像表示装置200に送信することにより、画像表示装置200に案内画像Iを表示させる。なお、本実施形態では、図5および図6に示すように、複数の案内画像Iのそれぞれによって示される、複数のサービスのそれぞれの提供位置までの案内経路GPは、互いに重ならないように設定される。ここで、本明細書において、2つの案内経路GPが互いに重なるとは、2つの案内経路GPにおける所定の長さを有する少なくとも一部分が互いに重なることを意味し、2つの案内経路GPが互いに交差することを含まない。
【0043】
上述した案内画像Iの表示(図3のS130)の後、サーバ装置100の人物位置特定部114(図2)は、センサ装置300から取得される人物PEの現在位置P(pe)を示す信号に基づき、人物PEの現在位置P(pe)を継続的に特定することによって、人物PEの初期位置P0(pe)(特定の状態が検出された時点における人物PEの現在位置P(pe))からの移動を監視する(S140)。そして、人物位置特定部114は、所定のタイミングで、各案内画像Iが示す案内経路GPの中に、人物PEの初期位置P0(pe)から現在位置P(pe)までの移動経路MPとの類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する案内経路GPが存在するか否かを判定する(S150)。この判定は、人物PEが、各案内画像Iが示す案内経路GPの内の1つをたどっているか(すなわち、1つの案内経路GPが導くサービス提供位置に向かって移動しているか)否かの判定である。なお、この判定は、人物PEが初期位置P0(pe)からの移動を開始してから比較的短い時間が経過したタイミングで(すなわち、人物PEがサービスの提供位置に到達していない蓋然性が高いタイミングで)、実行される。
【0044】
S150において、人物PEの初期位置P0(pe)から現在位置P(pe)までの移動経路MPとの類似度が第1の閾値以上である経路部分を有する案内経路GPが存在しないと判定された場合には(S150:NO)、サーバ装置100の画像表示制御部117(図2)は、案内画像Iの表示を終了する(S230)。人物PEの移動経路MPと類似する経路部分を有する案内経路GPが存在しないと判定された場合には、人物PEは、選択肢として示されたいずれのサービスの提供も希望していないと判断することができるため、そのような場合には、案内画像Iの表示が終了され、サービス案内処理が終了されるものとしている。
【0045】
一方、S150において、人物PEの初期位置P0(pe)から現在位置P(pe)までの移動経路MPとの類似度が第1の閾値以上である経路部分を有する案内経路GPが存在すると判定された場合には(S150:YES)、サーバ装置100の選択サービス設定部118(図2)は、該類似する経路部分を有する案内経路GPに対応するサービス(すなわち、該案内経路GPの目的地において提供されるサービス)が人物PEにより選択されたと判断し、このサービスを選択サービスとして設定する(S160)。なお、本実施形態では、選択サービスが設定されると、サーバ装置100の画像表示制御部117は、選択サービスについての案内画像Iの表示態様と、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示態様とを、互いに異ならせる。より具体的には、画像表示制御部117は、選択サービスについての案内画像Iの色を変更する。これにより、人物PEは、サービスの選択が実行されたことを認識することができる。
【0046】
図7には、図5に示す状態から、人物PEが、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスについての案内画像Icmが示す案内経路GPに沿って、途中まで移動した状態が示されている。図7に示す状態では、人物PEの初期位置P0(pe)から現在位置P(pe)までの移動経路MPが、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスの提供位置P(cm)までの案内経路GPの一部分と類似すると判定され、該サービスが選択サービスとして設定され、該サービスについての案内画像Icmの色が、他の案内画像I(案内画像Ire、Itb)と異なる色に変更されている。なお、図示の便宜上、図7では、この色の変化を、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスの提供位置P(cm)までの案内経路GPの線幅を太くすることにより表現している。
【0047】
上述した選択サービスの設定(図3のS160)の後、サーバ装置100の人物位置特定部114(図2)は、人物PEの現在位置P(pe)から選択サービスの提供位置までの案内経路GPに沿った距離(以下、「残距離」という。)が、予め設定された第2の閾値以下であるか否かを判定する(S170)。S170において残距離が第2の閾値以下であると判定された場合には(S170:YES)、サーバ装置100の事前動作開始指示部119は、選択サービスを提供するサービス提供装置に、選択サービスを提供するための事前動作を開始させる(S190)。ここで、事前動作とは、サービスを提供するためにサービス提供装置が実行する動作の内、サービスの提供を受ける人物が提供位置に到達する前に開始することができる動作である。例えば、図7に示す例のように、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスが選択サービスとして設定されている場合において、人物PEの現在位置P(pe)からコーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスの提供位置P(cm)までの残距離が第2の閾値以下であると判定された場合には、事前動作開始指示部119は、コーヒーメーカーCMに対し、事前動作として例えばお湯を沸かす動作の開始を指示する。これにより、人物PEがサービス提供位置P(cm)に到達する前に、コーヒーメーカーCMによるお湯を沸かす動作が開始される。
【0048】
なお、サービスを提供するための事前動作の他の例としては、例えば、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスにおける蓋を自動的に開ける動作や、コピー機CPによる書類の複写サービスにおけるウォームアップ動作等が挙げられる。また、本実施形態では、上記第2の閾値は、各サービスについて、事前動作に要する時間に応じて、個別に設定されている。例えば、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスについての事前動作であるお湯を沸かす動作に要する時間は比較的長いため、コーヒーの提供サービスについての第2の閾値は比較的大きな値に設定されている。一方、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスについての事前動作である蓋を自動的に開ける動作に要する時間は比較的短いため、ゴミ箱TBによるゴミの回収サービスについての第2の閾値は、比較的小さな値に設定されている。また、提供されるサービスの中には、事前動作が不要なサービスもある。そのようなサービスが選択サービスとして設定された場合には、S190の処理(および、それに関連するS170,S180,S220)の処理は省略される。
【0049】
上述した事前動作の開始(図3のS190)の後、サーバ装置100の人物位置特定部114(図2)は、センサ装置300から取得される人物PEの現在位置P(pe)を示す信号に基づき、人物PEが選択サービスの提供位置に到達したか否かを判定する(S200)。S200において人物PEが選択サービスの提供位置に到達したと判定された場合には(S200:YES)、サーバ装置100の画像表示制御部117は、案内画像Iの表示を終了する(S230)。この後、人物PEは、選択サービスの提供を受ける。
【0050】
例えば、図8に示す例のように、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスが選択サービスとして設定されている場合において、人物PEが該サービスの提供位置P(cm)に到達した場合には、これまで表示されていた各案内画像I(案内画像Icm,Ire,Itb)の表示が終了される。なお、図8に示す例では、上述したように、人物PEが該サービスの提供位置P(cm)までの案内経路GPに沿って移動しているときに、コーヒーメーカーCMによる事前動作としてのお湯を沸かす動作が開始されているため、人物PEが該サービスの提供位置P(cm)に到達した時点では、コーヒーメーカーCMの該事前動作の一部または全部が完了している。そのため、該サービスの提供位置P(cm)に到達した人物PEがコーヒーの提供サービスを受けるまでの待ち時間を短縮することができる。
【0051】
なお、上述したS170(図3)において、残距離が第2の閾値以下ではない(閾値より大きい)と判定された場合には(S170:NO)、サーバ装置100の人物位置特定部114(図2)は、センサ装置300から取得される人物PEの現在位置P(pe)を示す信号に基づき、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が途中で終了したか否かを判定する(S180)。この判定は、選択サービスが設定され、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が開始された後、人物PEが選択サービスの提供位置への移動を途中で取りやめたか否かの判定である。例えば、人物PEが選択サービスの案内経路GPから大きく離れた位置に移動した状態や、所定時間継続して移動を停止した状態が検知された場合には、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が途中で終了したと判定される。
【0052】
S180(図3)において、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が終了していないと判定された場合には(S180:NO)、S170の処理が再度実行される。一方、S180において、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が途中で終了したと判定された場合には(S180:YES)、S130に戻り、サーバ装置100の画像表示制御部117が、各サービスについて更新された案内画像Iを、床面FL上に、画像表示装置200に表示させる。このときには、人物PEの初期位置P0(pe)が、S180において選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が途中で終了したと判定された時点における人物PEの現在位置P(pe)に更新され、更新された初期位置P0(pe)から各サービスの提供位置までの案内経路GPを示す画像が、更新された案内画像Iとして表示される。図9には、図7に示す状態から、人物PEが、コーヒーメーカーCMによるコーヒーの提供サービスについての案内画像Icmが示す案内経路GPから大きく外れた位置に移動した状態が示されている。この状態では、これ以前に表示されていた各案内画像I(図7参照)の代わりに、図9に示すように、上記大きく外れた人物PEの現在位置P(pe)に基づき作成された各案内画像Iが表示される。その後は、S140以降の処理が、上記と同様に実行される。
【0053】
同様に、上述したS200(図3)において、人物PEが選択サービスの提供位置に到達していないと判定された場合には(S200:NO)、サーバ装置100の人物位置特定部114(図2)は、センサ装置300から取得される人物PEの現在位置P(pe)を示す信号に基づき、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が途中で終了したか否かを判定する(S210)。この判定は、上述したS180の判定と同様の判定である。S210において、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が終了していないと判定された場合には(S210:NO)、S200の処理が再度実行される。一方、S210において、選択サービスの案内経路GPに沿った人物PEの移動が途中で終了したと判定された場合には(S210:YES)、サーバ装置100の事前動作開始指示部119が、選択サービスを提供するサービス提供装置に、選択サービスを提供するための事前動作を中止させた後(S220)、S130に戻り、サーバ装置100の画像表示制御部117が、更新された各サービスの案内画像Iを、床面FL上に、画像表示装置200に表示させる。その後は、S140以降の処理が、上記と同様に実行される。
【0054】
A-3.第1実施形態の効果:
以上説明したように、第1実施形態の情報処理システム10を構成するサーバ装置100は、人物位置特定部114と、画像表示制御部117と、選択サービス設定部118とを備える。人物位置特定部114は、センサ装置300から取得する信号に基づき、人物PEの位置を特定する。画像表示制御部117は、少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについての案内画像Iを、人物PEが移動する面上に、画像表示装置200に表示させる。ここで、案内画像Iは、人物PEの位置からサービスの提供位置までの案内経路GPと、案内経路GPの目的地において提供されるサービスを特定する情報(例えば、アイコンICや文字TX)とを示す画像である。また、選択サービス設定部118は、案内画像Iの表示中における人物PEの移動経路MPとの類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する案内経路GPの目的地において提供されるサービスを、人物PEが選択したサービスである選択サービスとして設定する。
【0055】
このように、本実施形態のサーバ装置100では、サービス提供装置により提供されるサービスについての案内画像Iが、人物PEが移動する面上に表示される。この案内画像Iは、人物PEの位置からサービスの提供位置までの案内経路GPと、案内経路GPの目的地において提供されるサービスを特定する情報とを示す画像である。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、人物PE(ユーザ)は、案内画像Iを参照することにより、サービス提供装置により提供されるサービスの選択肢やその提供位置までの経路を直感的に理解することができる。特に、例えばユーザが不慣れな環境に来て、該環境において提供されるサービスの選択肢やその提供位置までの経路について把握していない場合においても、本実施形態のサーバ装置100によれば、提供されるサービスの選択肢やその提供位置までの経路を直感的に理解することができるため、有用である。
【0056】
また、本実施形態のサーバ装置100では、案内画像Iの表示中における人物PEの移動経路MPとの類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する案内経路GPの目的地において提供されるサービスが、人物PEが選択した選択サービスとして設定される。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、ユーザがサービスの提供位置へ移動すること自体がサービスの選択行動となり、サービスの選択のみのための特別な行動を行う必要がないため、ユーザによるスムーズなサービスの選択実行を実現することができる。
【0057】
このように、本実施形態のサーバ装置100によれば、ユーザによるサービスの選択肢やその提供位置までの経路の直感的な理解を実現することができると共に、ユーザによるスムーズなサービスの選択実行を実現することができる。
【0058】
また、本実施形態のサーバ装置100は、さらに、事前動作開始指示部119を備える。事前動作開始指示部119は、選択サービスが設定された場合に、選択サービスを提供するサービス提供装置に、選択サービスを提供するための事前動作を開始させる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、人物PEが選択サービスの提供位置に到達する前に、選択サービスの提供装置が事前動作の一部または全部を完了させることができ、選択サービスの提供位置に到達した人物PEが選択サービスを受けるまでの待ち時間を短縮することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0059】
なお、本実施形態のサーバ装置100では、事前動作開始指示部119は、選択サービスが設定され、かつ、人物PEの現在の位置から選択サービスの提供位置までの案内経路GPに沿った距離が予め設定された第2の閾値以下である場合に、選択サービスを提供するサービス提供装置に、選択サービスを提供するための事前動作を開始させる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、事前動作の開始タイミングが過度に早くなることを抑制することができ、事前動作が過度に早く完了して再度の動作が必要になったり(例えば、沸かしたお湯がさめてしまい、再度お湯を沸かすことが必要になったり)、事前動作の開始後に人物PEの気が変わってサービスの選択が解除され、実行した事前動作が無駄になったりすることを抑制することができる。また、本実施形態のサーバ装置100では、上記第2の閾値は、各サービスについて個別に設定されている。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、各サービスの事前動作に要する時間に応じて各サービスの第2の閾値を個別に設定することにより、各サービスについてそれぞれ適切なタイミングで事前動作を開始させることができ、事前動作の開始タイミングが過度に早くなることを抑制しつつ、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態のサーバ装置100では、画像表示制御部117は、複数のサービスについての複数の案内画像Iを画像表示装置200に表示させる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、ユーザは複数のサービスについての複数の案内画像Iを一覧的に参照することができ、ユーザによる複数のサービスの選択肢やその提供位置までの経路の直感的な理解を実現することができる。
【0061】
また、本実施形態のサーバ装置100では、複数の案内画像Iのそれぞれによって示される、複数のサービスのそれぞれの提供位置までの案内経路GPは、互いに重ならない。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、ユーザが案内経路GPに沿って移動することにより選択した1つのサービスを確実に特定することができると共に、ユーザを選択サービスの提供位置まで確実に案内することができる。
【0062】
また、本実施形態のサーバ装置100では、画像表示制御部117は、選択サービスが設定された場合に、選択サービスについての案内画像Iの表示態様と、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示態様とを、互いに異ならせる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、ユーザが、案内画像Iの表示態様を参照することにより、自らの移動によって1つのサービスが選択されたことを認識することができ、ユーザの利便性を効果的に向上させることができる。より具体的には、本実施形態のサーバ装置100では、画像表示制御部117は、選択サービスが設定された場合に、選択サービスについての案内画像Iの色を、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iと異ならせる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、ユーザが、案内画像Iの色を参照することにより、自らの移動によって1つのサービスが選択されたことを容易に認識することができ、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態のサーバ装置100は、さらに、人物状態検出部115を備える。人物状態検出部115は、センサ装置300から取得する信号に基づき、人物PEの特定の状態を検出する。画像表示制御部117は、少なくとも1つのサービスの中から、検出された人物PEの特定の状態に対応付けられたサービスを抽出し、抽出されたサービスについての案内画像Iを、画像表示装置200に表示させる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、人物PEの特定の状態に対応付けられたサービスについての案内画像Iが選択的に表示され、特定の状態にある人物PEが提供を受けることを望むと予測されるサービスを選択的に提示することができるため、選択される可能性の高いサービスの選択肢やその案内経路GPの提示を維持しつつ、過度に多いサービスについての案内画像Iが表示されて表示が煩雑になることを抑制することができ、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態のサーバ装置100では、人物位置特定部114は、選択サービスが設定された後、人物PEの選択サービスの提供位置までの案内経路GPに沿った移動が途中で終了したか否かを判定し、人物PEの選択サービスの提供位置までの案内経路GPに沿った移動が途中で終了したと判定された場合に、画像表示制御部117は、更新された案内画像Iを画像表示装置200に表示させる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、選択サービスが設定された後にユーザの気が変わって他のサービスの提供を希望した場合に、更新された案内画像Iが表示され、その時点で選択可能なサービスの選択肢や各サービスへの案内経路GPを把握することができるため、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態の情報処理システム10は、人物PEの位置を特定するセンサ装置300と、人物PEが移動する面上に画像を表示する画像表示装置200と、サーバ装置100とを備える。サーバ装置100は、人物位置特定部114と、画像表示制御部117と、選択サービス設定部118とを有する。人物位置特定部114は、センサ装置300から取得する信号に基づき、人物PEの位置を特定する。画像表示制御部117は、少なくとも1つのサービス提供装置により提供される少なくとも1つのサービスについての案内画像Iを、人物PEが移動する面上に、画像表示装置200に表示させる。ここで、案内画像Iは、人物PEの位置からサービスの提供位置までの案内経路GPと、案内経路GPの目的地において提供されるサービスを特定する情報(例えば、アイコンICや文字TX)とを示す画像である。また、選択サービス設定部118は、案内画像Iの表示中における人物PEの移動経路MPとの類似度が予め設定された第1の閾値以上である経路部分を有する案内経路GPの目的地において提供されるサービスを、人物PEが選択したサービスである選択サービスとして設定する。そのため、本実施形態の情報処理システム10によれば、人物PE(ユーザ)は、案内画像Iを参照することにより、サービス提供装置により提供されるサービスの選択肢やその提供位置までの経路を直感的に理解することができる。また、ユーザがサービスの提供位置へ移動する行動自体がサービスの選択行動となり、サービスの選択のみのための特別な動作を行う必要がないため、ユーザによるスムーズなサービスの選択実行を実現することができる。従って、本実施形態の情報処理システム10によれば、ユーザによるサービスの選択肢やその提供位置までの経路の直感的な理解を実現することができると共に、ユーザによるスムーズなサービスの選択実行を実現することができる。
【0066】
B.第2実施形態:
図10は、第2実施形態における情報処理システム10aの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第2実施形態の情報処理システム10aの構成、および、情報処理システム10aによる処理内容の内、上述した第1実施形態と同一の構成および処理内容については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0067】
図10に示すように、第2実施形態の情報処理システム10aは、外部空間OSである、自動運転車両VEを用いたタクシーの乗り場に適用される。第2実施形態の情報処理システム10aは、サーバ装置100と、画像表示装置200aと、センサ装置300とを備える。サーバ装置100およびセンサ装置300の構成は、上記第1実施形態と同様である。また、画像表示装置200aは、地面に埋め込まれた液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、画像表示面が床面FLの一部を構成している。
【0068】
第2実施形態では、外部空間OSにおいて、自動運転車両VEにより、後席ドアを介した乗車サービスと、トランクを利用した荷物収容サービスとが提供されている。また、第2実施形態では、人物PEの特定の状態として、例えば、「荷物を持って立っている」状態と、「荷物を持たずに立っている」状態とが設定されており、対象サービスデータSDにおいて、「荷物を持って立っている」状態に対して、後席ドアを介した乗車サービスおよびトランクを利用した荷物収容サービスという2つのサービスが対応付けられており、「荷物を持たずに立っている」状態に対して、後席ドアを介した乗車サービスという1つのサービスが対応付けられている。
【0069】
第2実施形態の情報処理システム10aは、第1実施形態のサービス案内処理(図3)と同様の処理を実行する。すなわち、サーバ装置100の人物位置特定部114(図2)が、人物PEの現在位置P(pe)を特定し(S110)、サーバ装置100の人物状態検出部115(図2)が、人物PEの特定の状態が検出されたか否かを判定する(S120)。S120の判定において、人物PEの特定の状態が検出されていないと判定された場合には(S120:NO)、S110の処理が再度実行される。一方、S120の判定において、人物PEの特定の状態が検出されたと判定された場合には(S120:YES)、サーバ装置100の画像表示制御部117が、提供されるサービスの中から、検出された特定の状態に対応付けられたサービスを抽出し、抽出された各サービスの案内画像Iを、床面FL上に、画像表示装置200aに表示させる(S130)。
【0070】
図10に示す例では、一方の人物PE1は、荷物BAを持って立っている。そのため、上述した人物PEの特定の状態としての「荷物を持って立っている」状態に対して対応付けられた2つのサービス(後席ドアを介した乗車サービスおよびトランクを利用した荷物収容サービス)の案内画像I(後席ドアを介した乗車サービスの案内画像Igi、トランクを利用した荷物収容サービスの案内画像Itr)が床面FL上に表示される。各案内画像Iは、人物PEの初期位置P0(pe)からサービスの提供位置(後席ドアを介した乗車サービスの提供位置P(gi)、または、トランクを利用した荷物収容サービスの提供位置P(tr))までの案内経路GPと、案内経路GPの目的地において提供されるサービスを特定する情報としてのアイコンICおよび文字TXと、を示す画像である。
【0071】
一方、他方の人物PE2は、荷物を持たずに立っている。そのため、上述した人物PEの特定の状態としての「荷物を持たずに立っている」状態に対して対応付けられた1つのサービス(後席ドアを介した乗車サービス)の案内画像I(後席ドアを介した乗車サービスの案内画像Igi)が床面FL上に表示される。
【0072】
なお、本実施形態では、サーバ装置100の画像表示制御部117は、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iを、互いに異なる表示態様で、画像表示装置200aに表示させる。より詳細には、画像表示制御部117は、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iを、互いに異なる色で表示させる。このように、第2実施形態の情報処理システム10aによれば、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iが互いに異なる色で表示されることによって、サービス提供装置により提供可能なサービスの選択肢が各人物PEに対して互いに識別可能に提示される。なお、本実施形態では、図10に示すように、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iによって示される、複数の人物PEのそれぞれの位置から1つのサービスの提供位置までの案内経路GPは、互いに重ならないように設定される。ただし、複数の案内経路GPが錯綜して煩雑になることを避ける観点から、複数の人物PEのそれぞれの位置から1つのサービスの提供位置までの案内経路GPは、その目的地に近い側の一部分において、互いに重なる(合流する)ものとしてもよい。
【0073】
上述した案内画像Iの表示(S130)の後の処理は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。なお、第2実施形態のサービス案内処理のS190において実行される事前動作の例としては、自動運転車両VEのトランクを利用した荷物収容サービスが選択サービスとして設定された場合については、トランクを開ける動作が例示され、自動運転車両VEの後席ドアを介した乗車サービスが選択サービスとして設定された場合については、後席ドアを開ける動作が例示される。
【0074】
以上説明したように、第2実施形態の情報処理システム10aおよびサーバ装置100の構成は、第1実施形態の情報処理システム10およびサーバ装置100の構成と同様であるため、第2実施形態の情報処理システム10aおよびサーバ装置100は、上述した第1実施形態の情報処理システム10およびサーバ装置100が奏する効果と同様の効果を奏する。
【0075】
また、第2実施形態のサーバ装置100では、人物位置特定部114は、複数の人物PEのそれぞれについての位置を特定し、画像表示制御部117は、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iを、互いに異なる表示態様で、画像表示装置200aに表示させる。そのため、本実施形態のサーバ装置100によれば、案内画像Iによって、サービスの選択肢やその提供位置までの経路を各人物PEに対して互いに容易に識別可能に提示することができ、複数の人物PE(ユーザ)がサービスを利用する場合の利便性を効果的に向上させることができる。
【0076】
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0077】
上記各実施形態における情報処理システム10(10a)の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記第1実施形態の情報処理システム10は、画像表示装置200としてのプロジェクタを備えているが、プロジェクタに代えて、情報処理システム10が他の種類の画像表示装置(例えば、床面FLに埋め込まれた液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等)を備えていてもよい。また、上記第2実施形態の情報処理システム10aは、画像表示装置200aとして、画像表示面が床面FLの一部を構成する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを備えているが、該ディスプレイに代えて、情報処理システム10aが他の種類の画像表示装置(例えば、プロジェクタ等)を備えていてもよい。また、上記各実施形態では、案内画像Iがフラットな床面FLに表示されるが、案内画像Iが、人物が移動する他の面(例えば、スロープ面、階段面、梯子等が設置されて昇降可能な壁面等)に表示されるとしてもよい。
【0078】
また、上記各実施形態では、情報処理システム10(10a)が1つのセンサ装置300を備えているが、情報処理システム10が複数のセンサ装置300(同種または異種のセンサ装置300)を備えていてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態の情報処理システム10(10a)において、サーバ装置100の複数の機能が、複数の装置に分かれて備わるように構成されていてもよい。例えば、少なくとも1つのサービス提供装置について、該サービス提供装置の動作を制御する(例えば、サービス提供のための事前動作を開始させる)ためのサーバ装置が、サーバ装置100とは別に設けられてもよい。また、上記各実施形態において、ハードウェアによって実現されている構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、反対に、ソフトウェアによって実現されている構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0080】
また、上記各実施形態において、情報処理システム10(10a)が適用される空間において提供されるサービスは、あくまで一例であり、提供されるサービスの種類や個数は種々変更可能である。また、本明細書に開示される技術は、少なくとも1つのサービス提供装置によって少なくとも1つのサービスが提供される空間に適用可能である。
【0081】
また、上記各実施形態におけるサービス案内処理の内容は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記各実施形態におけるサービス案内処理では、案内画像Iが示す案内経路GPが所定の幅の実線により表現されるが、案内経路GPが他の態様(破線、連続した複数の矢印、シーケンシャルに表示/非表示が切り替えられる複数の点または線等)により表現されてもよい。
【0082】
また、上記各実施形態におけるサービス案内処理では、選択サービスが設定されると(図3のS160)、選択サービスについての案内画像Iの色が変更され、その結果、選択サービスについての案内画像Iの表示態様と、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示態様とが、互いに異なるものとなるが、案内画像Iの表示態様の変更方法は、これに限られない。例えば、選択サービスについての案内画像Iの色と大きさ(例えば、案内経路GPの線幅)と線種(例えば、案内経路GPの線種)との少なくとも1つが変更されることにより、選択サービスについての案内画像Iの表示態様と、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示態様とが、互いに異なるものとされてもよい。反対に、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの色と大きさと線種との少なくとも1つが変更されることにより、選択サービスについての案内画像Iの表示態様と、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示態様とが、互いに異なるものとされてもよい。また、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示を終了させる(非表示とする)ことにより、選択サービスについての案内画像Iの表示態様と、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示態様とが、互いに異なるものとされてもよい。これらの変形例によっても、上記各実施形態と同様に、人物PEが、自らの移動によって1つのサービスが選択されたことを容易に認識することができ、ユーザの利便性をさらに効果的に向上させることができる。
【0083】
また、上記各実施形態におけるサービス案内処理では、選択サービスが設定されると(図3のS160)、選択サービスについての案内画像Iの表示態様と、選択サービス以外のサービスについての案内画像Iの表示態様とが、互いに異なるものとなるように表示が変更されるが、案内画像Iの表示変更が行われる条件はこれに限られない。例えば、選択サービスが設定され、かつ、他の条件(例えば、人物PEの現在位置P(pe)から選択サービスの提供位置までの案内経路GPに沿った距離(残距離)が所定の閾値以下であること)が満たされた場合に、案内画像Iの表示変更が行われるとしてもよい。なお、案内画像Iの表示変更が行われるための条件は、特許請求の範囲における第2の条件に相当する。
【0084】
また、上記各実施形態におけるサービス案内処理では、選択サービスが設定され(図3のS160)、かつ、人物PEの現在位置P(pe)から選択サービスの提供位置までの案内経路GPに沿った距離(残距離)が第2の閾値以下であると判定された場合に(S170:YES)、選択サービスを提供するための事前動作が開始されるが(S190)、選択サービスを提供するための事前動作が開始される条件はこれに限られない。例えば、選択サービスが設定されたら、他の条件を問わず、選択サービスを提供するための事前動作が開始されるとしてもよい。あるいは、選択サービスが設定され、残距離が第2の閾値以下であると判定され、かつ、他の条件が満たされた場合に、選択サービスを提供するための事前動作が開始されるとしてもよい。なお、選択サービスを提供するための事前動作が開始されるための条件は、特許請求の範囲における第1の条件に相当する。
【0085】
また、上記第2実施形態におけるサービス案内処理では、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iを、互いに異なる色で表示させることにより、互いに異なる表示態様で表示させているが、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iの表示態様を互いに異ならせる方法は、これに限られない。例えば、複数の人物PEのそれぞれについての案内画像Iの色と大きさと線種との少なくとも1つを異ならせることにより、互いに異なる表示態様で表示させるとしてもよい。
【0086】
また、上記各実施形態では、職場や自宅等の室内空間ISや、自動運転車両VEを用いたタクシーの乗り場等の外部空間OSに適用される情報処理システム10(10a)の例を説明したが、本明細書に開示される技術は、少なくとも1つのサービス提供装置により少なくとも1つのサービスが提供される任意の空間に適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10,10a:情報処理システム 100:サーバ装置 110:制御部 112:サービス案内処理部 114:人物位置特定部 115:人物状態検出部 117:画像表示制御部 118:選択サービス設定部 119:事前動作開始指示部 130:記憶部 152:表示部 156:操作入力部 158:インターフェース部 190:バス 200,200a:画像表示装置 300:センサ装置 CM:コーヒーメーカー CP:コピー機 CU:コップ FL:床面 GP:案内経路 I:案内画像 IC:アイコン ID:案内画像データ IS:室内空間 MP:移動経路 OS:外部空間 PA:書類 PE:人物 RE:冷蔵庫 SD:対象サービスデータ SH:シュレッダー SP:サービス案内プログラム TB:ゴミ箱 TX:文字 VE:自動運転車両
図1
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図10