(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】湿潤集塵装置
(51)【国際特許分類】
B24B 55/06 20060101AFI20240726BHJP
B24B 55/02 20060101ALI20240726BHJP
E04G 23/02 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
B24B55/06
B24B55/02 D
E04G23/02 Z
(21)【出願番号】P 2023043874
(22)【出願日】2023-03-20
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】523101660
【氏名又は名称】株式会社ノンアス
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直樹
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-094673(JP,A)
【文献】特表2004-528210(JP,A)
【文献】実開平07-000635(JP,U)
【文献】実開昭54-045491(JP,U)
【文献】特開2018-059394(JP,A)
【文献】特開2019-072793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/00 - 55/10
B24B 23/00 - 23/08
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧を負圧管路に供給する負圧供給手段と、
施工面からの粉塵と水との混合物である粉塵水を前記負圧管路の吸引口から吸引させる研磨機と、
前記負圧管路を経て吸引搬送されてくる粉塵水が供給されて粉塵成分と水成分とを分離する分離器と、
前記分離器にて分離される水を前記研磨機に供給する水循環路とを備え
、
前記研磨機は、供給される水を施工面に噴射する第1の水管路と、前記粉塵水に水を加える第2の水管路とを備え、
前記第1の水管路の水の供給量と、前記第2の水管路への水の供給量とをそれぞれ変更可能であることを特徴とする湿潤集塵装置。
【請求項2】
前記負圧管路の途中の経路に水を供給可能であることを特徴とする請求項1に記載の湿潤集塵装置。
【請求項3】
前記研磨機は、施工面に対面して回転する剥離刃を備え、剥離刃の側面の外側から前記施工面に対して水を噴射することを特徴とする請求項1に記載の湿潤集塵装置。
【請求項4】
前記研磨機は、施工面に対面して回転する剥離刃を備え、回転面を通過するように前記施工面に対して水を噴射することを特徴とする請求項1に記載の湿潤集塵装置。
【請求項5】
前記研磨機は、サンダーであることを特徴とする請求項1に記載の湿潤集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿潤集塵装置に関し、特に、集塵時に水を使用する湿潤集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の外壁における石綿を除去するため、掃除機のような集塵装置(集塵バッグに粉塵等を排出することができる集塵装置)が連結されているサンダーを用いて、吸引しながら外壁の石綿や石綿塗膜等を削って除去する方法が用いられている。
また、特許文献1に示すように、ホースを通して石綿を集塵する時にホース内で水を混合した粉塵水として吸引する湿潤集塵装置も知られている。同文献によれば、運ばれてきた石綿は、吸入された水と混合され、粉塵水(あるいは濁水とも呼ぶ)となって粉塵水吸引ホースを通って強力吸引車に運ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す湿潤集塵装置は、以下のような課題があった。
湿潤用サンダー等(複数台含む)に使う使用水が多いため、産業廃棄物が大量に出ることとなり、水不足時など環境的に好ましくない。
排気フィルタの粉塵による根詰まりが発生する。
吸引した汚泥が吸引ホース内に蓄積され、ホース内の根詰まりによる吸引低下が発生する。
【0005】
本発明は、湿潤用使用水を削減し、産業廃棄物量を減らす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、負圧を負圧管路に供給する負圧供給手段と、施工面からの粉塵と水との混合物である粉塵水を前記負圧管路の吸引口から吸引させる研磨機と、前記負圧管路を経て吸引搬送されてくる粉塵水が供給されて塵芥と水とを分離する分離器と、分離器にて分離される水を前記研磨機に供給する水循環路とを備え、前記研磨機は、供給される水を施工面に噴射する第1の水管路と、前記粉塵水に水を加える第2の水管路とを備え、前記第1の水管路の水の供給量と、前記第2の水管路への水の供給量とをそれぞれ変更可能とした構成としてある。
上記構成において、負圧供給手段は負圧管路に負圧を供給しており、研磨機は施工面からの粉塵と水との混合物である粉塵水を前記負圧管路の吸引口から吸引させる。分離器には、前記負圧管路を経て吸引搬送されてくる粉塵水が供給され、粉塵成分と水成分とを分離する。水循環路は前記分離器にて分離される水を前記研磨機に供給する。
このように、水成分は、粉塵と共に回収された後で分離されて、再度、研磨機に供給されて再利用される。
【0012】
また、前記研磨機は、供給される水を施工面に噴射する第1の水管路と、前記粉塵水に水を加える第2の水管路とを備える構成としてある。
上記構成において、前記研磨機は、供給される水を第1の水管路によって施工面に噴射することで、前記負圧管路に対して粉塵水を排出する。さらに、第2の水管路は排出される前記粉塵水に水を加える。研磨に適した水量と、排出して搬送される際に適した水量をそれぞれ与える。
【0014】
さらに、前記第1の水管路の水の供給量と、前記第2の水管路への水の供給量とをそれぞれ変更可能とした構成としてある。
上記構成において、前記第1の水管路の水の供給量と、前記第2の水管路への水の供給量とをそれぞれ変更することで、研磨に適した水量と、排出して搬送される際に適した水量をそれぞれ与える。
【0015】
他の実施態様においては、前記研磨機は、施工面に対面して回転する剥離刃を備え、剥離刃の側面の外側から前記施工面に対して水を噴射する構成としてある。
また、他の実施態様においては、前記研磨機は、施工面に対面して回転する剥離刃を備え、回転面を通過するように前記施工面に対して水を噴射する構成としてある。
さらに、他の実施態様においては、前記研磨機は、サンダーで構成してある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、現場で作業に必要な水の使用量を減らすことができ、経済的にも環境的にも良いという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の湿潤集塵装置で実現するサンダー自動濾過水循環工法の概略図である。
【
図2】第1の濾過機構の上面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の湿潤集塵装置で実現するサンダー自動濾過水循環工法を概略図により示している。
同図において、負圧供給源10は、フィルタ11を介して吸引する吸引口12と、排気口13とを有しており、吸引口12を介して外部の負圧管路20に対して負圧を供給することができる。負圧供給源10は、空気のみを吸引して排気することで負圧を発生させる機構であっても良いし、バキューム車のように気液混合物を吸引する既存の設備を使用することもできる。
【0019】
図2は、第1の濾過機構の上面から見た斜視図である。
負圧管路20は、負圧供給源10の吸引口12から、作業端末30へ接続される管路全体を呼ぶ。本実施例では、負圧管路20には、第1の濾過機構40における4つのトルネード分離器(トルネード機構)41が介在されている。すなわち、負圧管路20の排出口には、気体成分と、固液成分とを分離するトルネード分離器41と、分離された固液成分を濾過する第1の濾過機構40とを備えている。
【0020】
負圧供給源10の吸引口12は4本の吸引管21に分岐され、それぞれがトルネード分離器41の排気口41aに接続されている。4個のトルネード分離器41は、排気口41aに加えて分離器本体41bと吸引口41cとを有しており、4個の吸引口41cは結合されて負圧管路20に接続されている。負圧管路20の他端には1台または数台の作業端末30に接続されており、作業端末30から吸引される気体と液体と固体の混合物は、負圧管路20に介在されたトルネード分離器41にて気体とそれ以外に分離され、気体は排気口41aを介して負圧供給源10の吸引口12にて吸引され、排気される。なお、トルネード分離器41の数は4個に限らず、1個であっても良いし、適宜必要な数を利用することができる。
【0021】
トルネード分離器41は、気体以外の固液成分は下方の排出口41dから下方に落下するようになっている。第1の濾過機構40は、トルネード分離器41に加えて、外側ケース42と、外側ケース42の内部に置かれたすのこ43と、このすのこ43の上に水切り用網目状袋44を配置して構成されている。水切り用網目状袋44はすのこ43の上にカゴ44aを置き、水切り用網目状袋44の開口部をカゴ44aの上端に巻き付けるようにして支持している。トルネード分離器41の排出口41dは水切り用網目状袋44内に面しており、トルネード分離器41で分離された液体と固体の混合物が水切り用網目状袋44内に排出されると、水切り用網目状袋44の編み目を通して概ね固形分は濾過され、濁水がすのこ43上に滲出し、さらに外側ケース42内にて溜まっていく。水切り用網目状袋44は、固形分をできるだけ残し、水分をできるだけ早く濾過できるようなものが好ましい。各種の繊維で編み込まれた丈夫な生地が代表的であるが、細かな目のざる状のものでもよい
【0022】
本実施例においては、第1の濾過機構40が、トルネード分離器41とほぼ一体として構成しているが、トルネード分離器41と、濾過機構とを分離させることも可能である。
負圧管路20は、作業端末30に至る経路の複数箇所にて外部から供給される水を噴射する噴射器22が介在されている。この噴射器22は、負圧管路20の途中の経路に水を供給する。負圧管路20内には、作業端末30の側から粉塵と水が混ざった粉塵水が吸引搬送されてくる。この粉塵水(汚泥)の大半は、負圧管路20である吸引ホース内を移動されるものの、一部が吸引ホース内で蓄積され、根詰まりが発生する可能性がある。これに対して噴射器22が吸引ホースのところどころで流動性のある水を噴射し、固形分が多い汚泥に加えられることで流動性が増す。このように、水を吸引ホースに追加放流を行なうことで、流量を維持し、根詰まりを防止することができる。
【0023】
作業端末30は、一般的にはサンダーと呼ばれる研磨機であり、主要な機能として、施工面と平行に対面して回転する剥離刃で施工面の表面を削り取るとともに、接続される負圧管路にて粉塵を吸引させる機能を有している。これに加えて、本実施例の作業端末30は、供給される水を施工面に噴射することで、施工面からの粉塵と水との混合物である粉塵水を負圧管路20の吸引口へと吸引させる。施工面への水の噴射は、剥離刃の側面の外側から施工面に対して噴射してもよいし、回転面を通過するように施工面に対して噴射するようにしてもよい。
【0024】
図3は作業端末であるサンダーの外観を斜視図により示しており、
図4は側面図により示しており、
図5は平面図により示している。
作業端末30は、本体グリップ31とカバー部32とを有しており、本体グリップ31に圧縮空気が供給されると内部のモータが回転し、剥離刃の回転軸を回転駆動する。剥離刃はカバー部32に収容されつつ施工面に対面して露出しており、カバー部32を施工面とほぼ平行に維持して押し付けると、施工面の表面に当接して切削する。
【0025】
切削することで粉塵が発生するが、カバー部32には第1の水管路33が接続されており、供給される水を施工面に噴射することができる。
カバー部32は施工面に対面するとほぼ密封された空間を形成するが、カバー部32の一部の壁面には負圧管路20の吸引口に接続する管路34が形成されているため、負圧管路20と管路34とを介してカバー部32内部に負圧が供給され、切削して生じる粉塵と水の混合物である粉塵水は管路34を介して負圧管路20へと吸引されている。
【0026】
第1の水管路33に加えて、作業端末30は、第2の水管路35を備えており、第2の水管路35は、管路34または負圧管路20に接続されている。すなわち、負圧管路20は、粉塵水を吸引して搬送するが、第2の水管路35はこの粉塵水に水を加える。なお、第1の水管路33と第2の水管路35は個別のバルブ33a,35aを備えており、それぞれにおける水の供給量を個別に調整できるようになっている。水の供給量を調整することで、第1の水管路33と第2の水管路35への水の供給割合も変更可能である。
【0027】
研磨時に、施工面に噴霧することで粉塵の発生を抑制するための水の量だけでは、負圧管路20内で汚泥が詰まりやすいということがあった。しかし、研磨時に噴霧する水に加えて、第2の水管路35から負圧管路20内に水を噴霧して加えることで、粉塵水の水の量が増え、固形分と水分との割合を調整し、負圧管路20内で搬送しやすい状態にすることができる。
【0028】
本実施例では、第1の水管路33と第2の水管路35が個別のバルブ33a,35aを備えているが、一つのバルブで二つの水管路への割合だけを調整するようことも可能である。第2の水管路35が負圧管路20に噴霧する位置は、適宜変更可能である。カバー部32からの出口近くに取り付けても良いし、この出口を基準としてより遠い位置に取り付けても良い。
【0029】
このように、負圧供給源10は、負圧を負圧管路20に供給する負圧供給手段を構成しており、作業端末30は、施工面からの粉塵と水との混合物である粉塵水を負圧管路20の吸引口から吸引させる研磨機を構成し、第1の濾過機構40と後述する第2の濾過機構は、負圧管路20を経て吸引搬送されてくる粉塵水が供給されて粉塵成分と水成分とを分離する分離器を構成している。
【0030】
図6は、第2の濾過機構を斜視図により示しており、
図7は、要部を斜視図により示している。
第1の濾過機構40の外側ケース42に溜まってくる濁水は、水中ポンプ45によって第2の濾過機構50へとくみ出される。
本実施例の第2の濾過機構50は、下方の水タンク51と、その上に載置される水切りタンク52と、水切りタンク52上に載置される水切り容器53と、水切り容器53内に支持される濾過バッグ54とを備えており、水中ポンプ45によってくみ上げられた濁水は、水切り容器53内の濾過バッグ54内に排出される。濾過バッグ54は編み目を有しており、水切り容器53には水切りのための穴を形成してあるため、濾過バッグ54内に排出された濁水は、バッグの編み目で固形分と水分とが分離され、編み目を通過する水分だけが水切り容器53から浸出し、水切りタンク52上へと排出され、さらに、水切りタンク52から水タンク51へと落下して溜まる。
【0031】
水切りタンク52は、概略的には「すのこ」のような構造であり、水切り容器53を載置しつつ、浸み出す水分を下方に落下させる。このとき、水切りタンク52上に直に水切り容器53を載置してもよいし、布状のものなどを敷いた上に水切りタンク52を載置すると、フィルタを追加したのと同じで濾過機能を向上させることができる。また、フィルタの交換も容易である。
【0032】
水タンク51には、濾過された水が溜まっていく。水タンク51には、送水ポンプ55が備えられており、送水ポンプ55からくみ出された水は送水管路56を介して前述した研磨機である作業端末30の第2の水管路35に供給されている。すなわち、分離器である第1の濾過機構40と第2の濾過機構50とで分離された水を研磨機である作業端末30に供給する水循環路を形成している。
【0033】
このように、第1の濾過機構40を通過した液体成分をさらに濾過する第2の濾過機構50を備え、水循環路は第2の濾過機構50で濾過された水を研磨機である作業端末30に供給する。また、第2の濾過機構50は、水切り容器53と、水切り容器53に載置された濾過バッグ54とを備え、第1の濾過機構40で濾過された液体成分を濾過バッグ54に供給し、濾過バッグ54を通過して水切り容器53に浸出する水を研磨機である作業端末30に供給する。
【0034】
本実施例によれば、以下の効果を奏する。
回収した湿潤使用水を循環させることにより、産業廃棄物を減らす事ができ環境問題に対応できる。
現場での使用水量を減らす事ができ、経済的にも環境的にも良い効果が得られる。
通常、1000平米程度の除去工事の場合、サンダーを6台稼働し、1日あたり1.2立方メートルの水を使用することになり、25日稼働した場合は、30立方メートルの廃水が発生する。しかし、回収した湿潤使用水を循環させることにより、約25立方メートルを減らす事ができた。
【0035】
吸引した汚泥が、吸引ホース内にて蓄積され、ホースの根詰まりが発生する為、循環水をホースの吸引口・各ホースの中間・ホースの出口付近にて追加放流を行い、流量を維持し、根詰まりを防止することができる。
トルネード分離器41や第2の濾過機構50は、一般的にある5立方メートルや6立方メートルの水槽の上に簡単に設置できる。
吸引ホース内に水を放流する事により粉塵発生を抑制でき、排気フィルタの目詰まりを抑制できる。フィルタ交換作業が減り業務負担が減る。フィルタ消耗期間の延命に繋がる。
吸引した汚泥の根詰まりを防止できた事により、根詰まりによる吸引力低下がなくなり、作業効率が上がり飛散抑制効果も上がった。
【0036】
次に、
図8は、水流軽減板を採用した工法を概略図により示している。
この実施例では、サンダーなどの作業端末30は負圧管路20を介してバキューム車60に接続してあり、研磨して発生する粉塵水は、負圧管路20の所々で噴射器22にて水を追加放流されてバキューム車60内に収容される。バキューム車60内には汚泥濁水が蓄積されていくが、固形分である汚泥を水と分離して水切り用網目状袋に袋詰めする作業が発生する。
【0037】
この濾過機構は、5~6立方メートルの水槽46内に水切り用網目状袋47が吊り下げて支持されており、水切り用網目状袋47の開口に向けてバキューム車60から圧送される汚泥濁水が投入されると、殆どの汚泥分は水切り用網目状袋47内に濾過されて残り、水切り用網目状袋47を通過した水が濁水となって水槽46に溜まっていく。
【0038】
ここで、バキューム車60が汚泥濁水を圧送する管路61は、水槽46の上部に載置された水流軽減装置70に接続されており、汚泥濁水は水流軽減装置70を通過してから水切り用網目状袋47に排出される。
水流軽減装置70は、概ね流入口71と排出口72とを有する一連の管路であるが、管路は所々で水流軽減板73に対面しており、流路の方向が変わっている。粉塵水を含む汚泥濁水は、バキューム車60から管路61を介して水流軽減装置70の流入口71から圧送されてくるが、管路の所々で水流軽減板73に当接することで圧送の勢いが弱められる。最後に排出口72から水切り用網目状袋47に排出される際には、圧送の勢いはかなり弱められて水切り用網目状袋47に投入され、汚泥分は水切り用網目状袋47内で早く沈殿し、水は水切り用網目状袋47で濾過されて水槽46内へと出てきて溜まる。
【0039】
このように、負圧管路としての管路61は水流軽減装置70に接続されており、水流軽減装置70の内部では粉塵水の供給経路に水流軽減板73を設置してあるため、粉塵水はこの水流軽減板73に当接するごとにその圧送の勢いが減っていく。
【0040】
本実施例は、以下のような効果を奏する。
バキューム車から圧送された汚泥を汚泥分離システムを通し、水と固形物を自動分別することができる。
バキューム車から圧送された汚泥が汚泥分離システム内の水流軽減板に当たり、飛び散りを防止できる。
バキューム車から圧送された汚泥の勢いによる、飛散を分離システム内にて抑えることができる。
バキューム車から圧送された汚泥を市販の水切り用網目状袋に流し、水と固形物を分別することができる。
バキューム車のタンクから排出された汚泥の分別を人力から自動にすることができる。
【0041】
この分別作業を人力で行う際に作業員が汚れてしまうことを防止できる。
従来であれば、分別する専用タンク等を購入したり、作成することが必須であったが、水流軽減板を備えることで通常の水槽を利用して濾過機構を実現できるようになった。
コンクリート表面を削って回収した汚泥のPH値が 12.5を超えると、特別産業廃棄物に該当することがあるが、水循環システム内にて、例えば硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、炭酸ガス、希硫酸などの薬剤等を追加放流して中性化することにより、通常産廃・通常下水廃水が可能となる。
アスベスト外壁に限られず、塗床研磨工事や重金属含有塗膜研磨工事にも適応できる。
【0042】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0043】
10…負圧供給源、11…フィルタ、12…吸引口、13…排気口、20…負圧管路、21…吸引管、22…噴射器、30…作業端末、31…本体グリップ、32…カバー部、33…第1の水管路、33a…バルブ、34…管路、35…第2の水管路、35a…バルブ、40…濾過機構、41…トルネード分離器、41a…排気口、41b…分離器本体、41c…吸引口、41d…排出口、42…外側ケース、43…すのこ、44…水切り用網目状袋、45…水中ポンプ、46…水槽、47…水切り用網目状袋、50…濾過機構、51…水タンク、52…タンク、53…容器、54…濾過バッグ、55…送水ポンプ、56…送水管路、60…バキューム車、61…管路、70…水流軽減装置、71…流入口、72…排出口、73…水流軽減板。
【要約】
【課題】 湿潤用使用水を削減し、産業廃棄物量を減らす。
【解決手段】 負圧供給手段である負圧供給源10は負圧管路20に負圧を供給しており、研磨機である作業端末30は施工面からの粉塵と水との混合物である粉塵水を負圧管路20の吸引口から吸引させる。第1の濾過機構40と第2の濾過機構50を含む分離器には、負圧管路20を経て吸引搬送されてくる粉塵水が供給され、粉塵成分と水成分とを分離する。水循環路は分離器にて分離される水を研磨機である作業端末30に供給する。水成分は、粉塵と共に回収された後で分離されて、再度、研磨機に供給されて再利用される。
【選択図】
図1