(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】建築物の構築方法、及び、型枠
(51)【国際特許分類】
E04G 11/04 20060101AFI20240726BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240726BHJP
E04G 11/02 20060101ALI20240726BHJP
E04B 1/32 20060101ALI20240726BHJP
E04B 1/62 20060101ALI20240726BHJP
C08L 25/08 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
E04G11/04
C08G18/00 F
E04G11/02
E04B1/32 102D
E04B1/62 Z
C08L25/08
(21)【出願番号】P 2023139972
(22)【出願日】2023-08-30
【審査請求日】2023-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523330662
【氏名又は名称】山形化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 将毅
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-051129(JP,A)
【文献】特公昭46-025345(JP,B1)
【文献】欧州特許出願公開第03650614(EP,A1)
【文献】国際公開第96/033324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 9/00-19/00
E04G 25/00-25/08
C08G 18/00
E04B 1/32
E04B 1/62
C08L 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の構築方法であって、
柔軟なシート材を有し、前記シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられた型枠を設置する型枠設置ステップと、
前記躯体用空間にて発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、前記躯体用空間が膨張した状態で、前記躯体用空間にて発泡した前記樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる前記建築物の躯体を形成する躯体形成ステップとを行い、
前記型枠は、前記シート材として内膜及び外膜を備え、前記躯体用空間が前記内膜と前記外膜との間に設けられ、
前記型枠設置ステップの際に、前記内膜の内側空間にガスを充填することにより、前記型枠のうち前記内膜の建て込みが行われ、
前記内膜が建て込まれた状態で、前記躯体形成ステップを行い、
前記内膜には、通気性のシート材が用いられていない、建築物の構築方法。
【請求項2】
建築物の構築方法であって、
柔軟なシート材を有し、前記シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられた型枠を設置する型枠設置ステップと、
前記躯体用空間にて発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、前記躯体用空間が膨張した状態で、前記躯体用空間にて発泡した前記樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる前記建築物の躯体を形成する躯体形成ステップとを行い、
前記型枠は、前記シート材として内膜及び外膜を備え、前記躯体用空間が前記内膜と前記外膜との間に設けられ、
前記型枠設置ステップの際に、前記内膜の内側空間にガスを充填することにより、前記型枠のうち前記内膜の建て込みが行われ、
前記内膜が建て込まれた状態で、前記躯体形成ステップを行い、
前記躯体形成ステップでは、前記躯体用空間が縮んだ状態から前記樹脂組成物の発泡を開始させることで、前記躯体用空間を膨張させる、建築物の構築方法。
【請求項3】
前記型枠設置ステップの前又は後に、前記内膜を内側から支持するための支柱が設けられる、請求項2に記載の建築物の構築方法。
【請求項4】
建築物の構築方法であって、
柔軟なシート材を有し、前記シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられた型枠を設置する型枠設置ステップと、
前記躯体用空間にて発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、前記躯体用空間が膨張した状態で、前記躯体用空間にて発泡した前記樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる前記建築物の躯体を形成する躯体形成ステップとを行い、
前記型枠は、前記シート材として内膜及び外膜を備え、前記躯体用空間が前記内膜と前記外膜との間に設けられ、
前記型枠設置ステップの際に、前記内膜の内側空間にガスを充填することにより、前記型枠のうち前記内膜の建て込みが行われ、
前記内膜が建て込まれた状態で、前記躯体形成ステップを行い、
前記外膜に、前記躯体用空間の空気を逃がす通気部が設けられている、建築物の構築方法。
【請求項5】
前記通気部は、前記シート材におけるメッシュの隙間である、請求項4に記載の建築物の構築方法。
【請求項6】
建築物の構築方法であって、
柔軟なシート材を有し、前記シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられた型枠を設置する型枠設置ステップと、
前記躯体用空間にて発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、前記躯体用空間が膨張した状態で、前記躯体用空間にて発泡した前記樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる前記建築物の躯体を形成する躯体形成ステップとを行い、
前記型枠は、前記シート材として内膜及び外膜を備え、前記躯体用空間が前記内膜と前記外膜との間に設けられ、
前記型枠設置ステップの際に、前記内膜の内側空間にガスを充填することにより、前記型枠のうち前記内膜の建て込みが行われ、
前記内膜が建て込まれた状態で、前記躯体形成ステップを行い、
前記型枠には、ガス注入口及びガス排出口が設けられ
、
前記内膜が建て込まれた状態で、前記内膜の内側空間に前記ガス注入口からガスを送り続けて前記内膜が膨らんだ状態とし、この状態で前記内側空間から溢れるガスを前記ガス排出口から排出させる
、建築物の構築方法。
【請求項7】
建築物の構築方法であって、
柔軟なシート材を有し、前記シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられた型枠を設置する型枠設置ステップと、
前記躯体用空間にて発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、前記躯体用空間が膨張した状態で、前記躯体用空間にて発泡した前記樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる前記建築物の躯体を形成する躯体形成ステップとを行い、
前記型枠は、前記シート材として内膜及び外膜を備え、前記躯体用空間が前記内膜と前記外膜との間に設けられ、
前記型枠設置ステップの際に、前記内膜の内側空間にガスを充填することにより、前記型枠のうち前記内膜の建て込みが行われ、
前記内膜が建て込まれた状態で、前記躯体形成ステップを行い、
前記建築物は、居室空間を有するものであり、
前記躯体形成ステップでは、前記樹脂組成物が、前記型枠において前記居室空間の天井側に設けられた樹脂注入口から前記躯体用空間に注入される、建築物の構築方法。
【請求項8】
建築物の構築方法であって、
柔軟なシート材を有し、前記シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられた型枠を設置する型枠設置ステップと、
前記躯体用空間にて発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、前記躯体用空間が膨張した状態で、前記躯体用空間にて発泡した前記樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる前記建築物の躯体を形成する躯体形成ステップとを行い、
前記型枠は、前記シート材として内膜及び外膜を備え、前記躯体用空間が前記内膜と前記外膜との間に設けられ、
前記型枠設置ステップの際に、前記内膜の内側空間にガスを充填することにより、前記型枠のうち前記内膜の建て込みが行われ、
前記内膜が建て込まれた状態で、前記躯体形成ステップを行い、
前記躯体形成ステップでは、ポンプによって前記躯体用空間のガスを吸い出した後に、前記樹脂組成物
が樹脂注入口から前記躯体用空間に注入される、建築物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体の材料に発泡樹脂を用いる建築物の構築方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の材料としては、木材、石材、鋼材、コンクリート又は鉄筋コンクリートなどが一般的に用いられる。一方、非特許文献1には、特殊な材料を用いる建築物の構築方法として、発泡スチロールを用いる建築物の構築方法が記載されている。この構築方法では、発泡スチロール製の建築物部品が金型を用いて製作される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】関根 渉、外4名、“発泡ポリスチレンを用いたドームハウスの開発 その1 常時微動試験及び自由振動試験”、巻:2011、ページ:841-842、2011年7月20日、日本建築学会学術講演梗概集B-1構造1(日本建築学会学術講演梗概集B-1構造1荷重・信頼性応用力学・構造解析基礎構造シェル・空間構造)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1の建築物の構築方法では、発泡スチロール製の建築物部品の製作に用いる金型の準備に時間がかかる。また、工場にて、発泡スチロール製の建築物の部品が製作され、その建築物の部品の嵩が大きいために、建築物の構築場所までの運搬が容易ではない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、躯体の材料として樹脂組成物を用いる建築物の構築方法を容易化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、建築物の構築方法であって、柔軟なシート材を有し、シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられた型枠を設置する型枠設置ステップと、躯体用空間にて発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、躯体用空間が膨張した状態で、躯体用空間にて発泡した樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる建築物の躯体を形成する躯体形成ステップとを行う、建築物の構築方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、柔軟なシート材を有する型枠を用いて、建築物の構築が行われる。この型枠には、シート材により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物の躯体形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられている。躯体用空間にて、発泡剤を含む樹脂組成物を発泡させ、躯体用空間が膨張した状態で、躯体用空間にて発泡した樹脂組成物を硬化させることにより、発泡樹脂からなる建築物の躯体を形成する。そのため、従来のように金型の準備に時間がかかることはない。また発泡樹脂からなる建築物は、現場で形成されるため、運搬が不要である。本発明によれば、躯体の材料として樹脂組成物を用いる建築物の構築を容易化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る建築物の構築方法により、構築される建築物の外観を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る建築物の構築方法に用いる型枠の断面構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る建築物の構築方法における基礎構築ステップの完了時点の状態を示す概略図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る建築物の構築方法における型枠設置ステップにおいて、型枠の仮設置の完了時点の状態を示す概略図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る建築物の構築方法における型枠設置ステップにおいて、型枠の内膜の建て込みがなされた状態を示す概略図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る建築物の構築方法における樹脂注入ステップ時の状態を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る建築物の構築方法における樹脂注入ステップに用いるミキサーシステムの概略構成図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る建築物の構築方法における発泡硬化ステップ時の状態を示す概略図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る建築物の構築方法における仕上げステップの完了時点の状態を示す概略図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る建築物の構築方法における基礎構築ステップ完了時点の状態を示す概略図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る建築物の構築方法における型枠設置ステップ完了時点の状態を示す概略図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る建築物の構築方法における樹脂注入ステップ完了時点の状態を示す概略図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る建築物の構築方法における発泡硬化ステップ時の状態を示す概略図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る建築物の構築方法における発泡硬化ステップ完了時点の状態を示す概略図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る建築物の構築方法における仕上げステップ完了時点の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
<第1実施形態>
本実施形態は、建築物として、居室空間を有する建物11を構築する構築方法(以下、「本構築方法」と言う。)である。建物11の形状は、
図1に示すようにドーム型である。本構築方法では、柔軟なシート材1,2,7により構成された型枠(柔軟な型枠)10が用いられる。型枠10は、折り畳み可能であるため、運搬性が良好である。
【0011】
[1.型枠について]
まず型枠10について説明を行う。型枠10は、
図2に示すように、柔軟なシート材1,2として内膜1及び外膜2を備えている。型枠10には、シート材1,2により区画された空間6として、該空間6を膨張させると、構築予定の建物11の躯体12(
図9参照)の形状に対応する形状となる躯体用空間6が設けられている。躯体用空間6は、内膜1と外膜2との間に設けられている。躯体用空間6は、例えば、膨張しきった状態の容積が、0.5m
3以上である。
【0012】
型枠10には、内膜1の内側空間5が、空気などのガスが充填されるガス充填空間5として設けられている。ガス充填空間5は密閉空間である。ガス充填空間5は、内膜1と共に、底面シート7により区画される。底面シート7も柔軟なシート材により構成されている。内膜1は、底面シート7の外周部に接続されている。ガス充填空間5にガスが充填されると、内膜1はドーム状を呈する。
【0013】
外膜2は、内膜1と略同一形状で、一回り大きいシート材である。外膜2は、底面シート7の外周部において、内膜1の接続箇所よりも外側に接続されている。ガス充填空間5及び躯体用空間6が膨張しきった状態では、外膜2は、
図2に示すように、ドーム状を呈し、躯体12の壁厚に相当する距離を隔てて内膜1と対面する。躯体用空間6は、内膜1と外膜2と底面シート7により区画されている。
【0014】
なお、本実施形態では、底面シート7に、内膜1及び外膜2に一体化された柔軟なシート材を用いるが、硬質の板材を用いてもよい。前者の場合、例えば、工場などで、底面シート7が、予め内膜1及び外膜2に接合される。後者の場合、底面シート7は、工場などで、予め内膜1及び外膜2に接合してもよいが、建物11の施工現場で、内膜1及び外膜2に接合してもよい。
【0015】
型枠10には、ガス充填空間5を膨らませるためのガスを注入するためのガス注入口3と、発泡材を含む樹脂組成物(以下、「躯体用樹脂材料」と言う。)13を躯体用空間6に注入するための樹脂注入口4とが設けられている。
【0016】
ガス注入口3は、完成後の躯体12において外部空間と内側空間5とを連通させる開口部9(窓ガラス21又はドア23などが設置される開口部9)となる部位に設けることができる。この場合、ガス注入口3は、内膜1と外膜2を貫通するように設けられる。なお、ガス注入口3は、他の箇所(例えば底面シート7)に設けてもよい。
【0017】
型枠10では、樹脂注入口4が例えば底面側に設けられている。型枠10における樹脂注入口4の個数は、1つでもよいし、2つ以上であってもよい。例えば、建築物10のサイズが大きい場合に、複数の樹脂注入口4を設けることで、躯体用空間6において容易に躯体用樹脂材料13をゆき渡らせることができる。
【0018】
型枠10のシート材1,2うち躯体用空間5を区画する領域には、躯体用樹脂材料13の発泡に伴って、シート材1,2挟む躯体用空間6の隣の空間(外膜2の外側空間又は内側空間5)に、躯体用空間6の空気を逃がす通気部が設けられている。通気部は、シート材1,2(内膜1、外膜2)の全面におけるメッシュの隙間(又は織目)である。メッシュの隙間は、例えば、空気を通すが躯体用樹脂材料13を通さない程度の大きさに形成される。シート材1,2には、メッシュによる多数の隙間を有する通気性のシート材(例えば、クロスなど)が用いられる。例えば、内膜1と外膜2の一方又は両方に、通気性のシート材が用いられる。これにより、躯体用樹脂材料13の発泡硬化時にボイド(樹脂が充填されない部分)が生じることが抑制される。なお、シート材1,2として、躯体用樹脂材料13が僅かしか通らない小孔(通気部)を有するものを用いてもよい。
【0019】
[2.建築物の構築方法について]
続いて、本構築方法について説明を行う。本構築方法は、基礎構築ステップ、型枠設置ステップ、樹脂注入ステップ、及び、発泡硬化ステップを、この順番で行うものである。
【0020】
基礎構築ステップは、構築予定の躯体12の平面形状に基づいて基礎15を構築するステップである。基礎15の材料には、例えばコンクリート又は鉄筋コンクリートを用いることができる。
図3に示すように、少なくとも基礎15の下部が地面に埋設されるように、基礎15が構築される。基礎15の上面は、
図3では地面上に位置しているが、地面よりも下に位置していてもよい。基礎15は、平面視において構築予定の躯体12の外周に沿う壁状部を有する。
【0021】
なお、基礎15の材料に発泡樹脂を用いてもよい。この場合、型枠10と同様に、柔軟な型枠(図示省略)を用いることができる。この型枠は、柔軟なシート材を有し、シート材により区画された空間として、その空間を膨張させると、構築予定の基礎15の形状に対応する形状となる躯体用空間が設けられている。
【0022】
基礎15には、基礎15と躯体12とを繋ぐための部材として、繋ぎ部材16が一体化されている。繋ぎ部材16は、一部が基礎15に埋設され、残りが基礎15から露出している。繋ぎ部材16の露出部分は、躯体12の下部により占有される空間に配置される。
図3では、繋ぎ部材16が基礎15の上面から突出している。
【0023】
また、基礎15には、型枠10を下側から支えるための部材として、柱部材17が一体化されている。柱部材17は、下端部が基礎15に埋設され、残りが基礎15から上方に突出している。
図3では、柱部材17の上端が、型枠10の頂部を支持するように設けられている。なお、柱部材17は省略してもよい。
【0024】
型枠設置ステップは、基礎15に合わせて型枠10を設置するステップである。本実施形態の型枠設置ステップでは、型枠10の仮設置後に、ガス充填空間5にガスを充填することにより、型枠10のうち内膜1の建て込みが行われる。「建て込み」は、型枠10の全部又は一部について、躯体12の形状に対応した形状にすることを意味する。
【0025】
型枠10の仮設置は、
図4に示すように、ガス充填空間5及び躯体用空間6が縮んだ状態(ガス充填空間5及び躯体用空間6に空気がほとんどない状態)のまま、型枠10を設置する作業である。型枠10は、上から柱部材17に被せるように設置される。型枠10は、内膜1の下端が基礎15の内周面の上端近傍に位置し、外膜2の下端が基礎15の外周面の上端近傍に位置するように設置される。底面シート7の外周部は、基礎15の壁状部上に載置される。底面シート7は、基礎15の壁状部の内側空間を塞ぐように設けられる。
【0026】
内膜1の建て込みは、
図5に示すように、型枠10においてガス注入口3からガス充填空間5にガスを充填することによりなされる。例えば、エアーポンプ(図示省略)の出口から延びるホースをガス注入口3に接続し、エアーポンプからガスを吐出することで、ス注入口3を通じてガス充填空間5にガスが充填される。
【0027】
樹脂注入ステップは、型枠10において樹脂注入口4から躯体用空間6に躯体用樹脂材料13を注入するステップである。
図6に示すように、躯体用空間6にガスがほとんど存在しない状態から、躯体用樹脂材料13が躯体用空間6に注入される。これにより、建物11の躯体12にボイドができることが抑制することができる。
【0028】
例えば、建物11の施工現場で、互いに異なる複数の原料樹脂を配合して、躯体用樹脂材料13を得る場合に、建物11の施工現場に混合機(ミキサー)41,42(例えば
図7)を設置して、混合機42の出口を樹脂注入口4に接続する。
図7では、複数の混合機41,42を用いているが、混合機41,42の台数は1つであってもよい。そして、複数の原料樹脂をそれぞれ収容する複数の容器43から混合機41,42に、ポンプ44によって原料樹脂を供給することで、複数の原料樹脂が配合された躯体用樹脂材料13が樹脂注入口4から躯体用空間6に供給される。
【0029】
発泡硬化ステップは、躯体用空間6にて躯体用樹脂材料13を発泡させることにより躯体用空間6を膨張させ、躯体用空間6が膨張した状態で、躯体用空間6にて発泡した躯体用樹脂材料13を硬化させることにより、発泡樹脂からなる建物11の躯体12を形成するステップである。発泡硬化ステップでは、躯体用樹脂材料13が発泡することで、
図8に示すように、躯体用空間6が膨張状態となって外膜2の建て込みがなされ、外膜2がドーム状になる。そして、躯体用樹脂材料13が徐々に硬化していき、所定の時間が経過すると、建物11の躯体12が完成する。
【0030】
躯体12の完成後は、仕上げステップが行われる。仕上げステップでは、内膜1及び外膜2が除去された後に、外装工事、内装工事、床の設置工事、及び、窓の設置工事などを行ってもよい。
【0031】
外装工事では、躯体12の外面を覆うように、左官工事などにより最外層18が設けられる。内装工事では、躯体12の内面を覆うように、左官工事などにより最内層19が設けられる。床の設置工事では、基礎15などに支持されるように床板20が設けられる。窓の設置工事では、注入口3を設けた開口部9の箇所などに、窓ガラス21が設けられる。
図9は、これらの工事が完了した状態を表す。
図9では、建物11を補強するために、方づえ22が設けられている。
【0032】
本実施形態では、ドア23又は窓21などが設置される開口部9を躯体12に設けるために、型枠10に開口部9が設けられる。この場合に、型枠10の躯体用空間6に、開口部9を囲むように、プラスチック製又は金属製の枠材(ドア23又は窓21用の枠材)を予め取り付けてもよい。なお、躯体用樹脂材料13の発泡及び硬化後に、躯体12の切削により開口部9を設けてもよい。
【0033】
また、完成後の建物11の強度を強くするために、型枠設置ステップの際に、柱部材17に加えて、型枠10に合わせて、梁等の補強部材を予め取り付けてもよく、発泡後に発泡体を加工して設置してもよい。
【0034】
[3.材料等について]
<3-1.型枠の材料>
型枠10におけるシート材1,2,7の材料には、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンを含むポリスチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、AS樹脂、もしくはABS樹脂などの熱可塑性樹脂を用いた有機膜、アルミなどを用いた金属膜、または有機繊維(天然繊維、合成繊維、炭素繊維など)、無機繊維もしくは金属繊維などのクロスからなる群の1種類を用いることができるし、この群から選ばれる2種類以上を用いることができる。
【0035】
上述の有機膜の引張弾性率は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて限定されず、例えば、50GPa以下とすることができ、30GPa以下が好ましく、20GPa以下がより好ましい。また、上述の金属膜の引張弾性率は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて限定されず、例えば、150GPa以下とすることができ、100GPa以下が好ましく、80GPa以下がより好ましい。また、上述のクロスの弾性率は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて限定されない。
【0036】
また、型枠10に用いるシート材1,2,7の厚みは、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて限定されず、例えば10mm以下とすることができ、8mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。
【0037】
<3-2.樹脂組成物>
建築物(建物など)11の躯体12を構成する発泡樹脂(発泡体)は、イソシアネートを有するウレタン樹脂、ウレア樹脂や(メタ)アクリル樹脂やスチレン樹脂を含むビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂からなる群より少なくとも1種類以上の樹脂を用いることができ、上述の樹脂を2種類以上混合してもよい。発泡樹脂は、樹脂組成物を発泡及び硬化させる、又は、発泡剤となる溶剤を気化させることで得られる。発泡樹脂の材料となる樹脂組成物(躯体用樹脂材料)は、モノマー化合物(A)、硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B)、発泡剤を含み、好ましくは整泡剤、難燃剤を含む。
【0038】
それぞれの樹脂は1種類以上の樹脂であり複数の樹脂系が混合されていても問題ない。また1種の化合物に複数の樹脂系の官能基がついていることで複雑なネットワーク系の構築も可能となる。
【0039】
<3-3.樹脂組成物の原料>
<<3-3-1:ウレア、ウレタン樹脂組成物の原料>>
<<<3-3-1-1:モノマー化合物(A):ポリイソシアネート化合物>>>
本実施形態の樹脂組成物(躯体用樹脂材料)に用いるポリイソシアネート化合物(A)は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ポリイソシアネート化合物(A)としては、モノマー型ポリイソシアネートとポリマー型ポリイソシアネートとを挙げることができる。モノマー型ポリイソシアネートとは、モノマー構造の末端に複数のイソシアネート基が存在する化合物である。ポリマー型ポリイソシアネートとは、ポリマー構造の末端に複数のイソシアネート基が存在する化合物である。これらのポリイソシアネート化合物(A)は、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0040】
モノマー型ポリイソシアネートは、例えば、2官能のポリイソシアネート化合物として、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジアネート(2,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、などの芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのアルキレン系のもの;3官能以上のポリイソシアネートとして、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、ポリメリックMDI、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナトメチルオクタン等;を挙げることができ、また、これらの変性体、誘導体等;を含むことができる。これらの変性体、誘導体としては、例えば、ジイソシアネート化合物のイソシアヌレート化合物、ジイソシアネート化合物のアダクト化合物、ジイソシアネート化合物のビュレット化合物、ジイソシアネート化合物のアロファネート化合物、ジイソシアネート化合物のカルボジイミド変性化合物を挙げることができる。なお、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。モノマー型ポリイソシアネート化合物はポリウレア発泡体のウレア骨格を形成するため、所望するポリウレア発泡体の特性を考慮して自由に選択することができる。これらのモノマー型ポリイソシアネートのうち、反応性に優れる点で、芳香族イソシアネートが好ましく、MDI、又は、MDIの変性体若しくは誘導体がより好ましく、モノメリックMDI及びクルードMDIがさらに好ましい。これら好適な芳香族イソシアネートは、発泡体として用いた場合には、反応性に優れることから、作業環境の安全性の点で好ましい。
【0041】
ポリマー型ポリイソシアネート化合物としては、活性水素基を2以上有する活性水素化合物、例えば、ポリオール化合物、ポリアミン化合物に過剰量のポリイソシアネート化合物を反応させることにより、プレポリマー化したものが含まれる。なお、このポリオール、ポリアミン化合物及びポリイソシアネート化合物は、ポリマー型ポリイソシアネートを作製するための原料であり、本実施形態にかかるウレア樹脂組成物の原料であるポリオール、ポリアミン化合物(B)及びポリイソシアネート化合物(A)にはそれぞれ含まれない。ここで、ポリイソシアネート化合物(C)は、ポリイソシアネート化合物(A)と同一でも、異なっていてもよい。
【0042】
このような、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げることができる。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
【0043】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0044】
これらポリオール化合物と反応させるポリイソシアネート化合物(B)としては、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、脂肪族系又は芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、及びそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを挙げることができる。
【0045】
ポリアミン化合物としては、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ポリアミン化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミンのような脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミンのような芳香族ポリアミン、イソホロンジアミンのような脂環式ポリアミン等を挙げることができる。具体的には、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルー5,5’-ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンを挙げることができる。これは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。また、ポリアミン化合物は、後述するポリアミン化合物(B)と同一でも、異なっていてもよい。
【0046】
ポリイソシアネート化合物(A)のNCO%は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて限定されず、例えば、5~40%とすることができ、10~35%が好ましく、15~35%がより好ましい。ポリイソシアネート化合物(A)のNCO%が大きくなると、熱伝導性が低く、湿熱環境下における経時劣化を抑制できる発泡体を得ることができる。
【0047】
<<<3-3-1-2:硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B):ポリオール、ポリアミン化合物、三量化触媒(B)>>>
【0048】
ポリオール化合物は、イソシアネートと反応することでウレタン結合を形成する。ポリアミン化合物は、イソシアネートと反応することでウレア結合を形成する。三量化触媒は、イソシアネートと反応することでイソシアヌル環を形成する。
【0049】
ポリオール化合物としては、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ポリオール化合物(B)としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を挙げることができる。ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合反応により得られるものがある。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げることができる。多価カルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。さらに、カプロラクトン、メチルバレロラクトン等を開環縮合して得られるポリエステルポリオールを挙げることができる。
【0050】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のオキサイドを付加重合させたものを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0051】
ポリアミン化合物としては、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ポリアミン化合物(B)としては、例えば、トリエチレンテトラミンのような脂肪族ポリアミン、メタフェニレンジアミンのような芳香族ポリアミン、イソホロンジアミンのような脂環式ポリアミン等を挙げることができる。具体的には、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジクロロジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、2,2’,6,6’-テトラエチル-4,4’-メチレンジアニリン、4,4’-メチレンビス(2-イソプロピル-6-メチルアニリン)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジイソプロピルアニリン)、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンを挙げることができ、市販品の例としてクミアイ化学工業社製のイハラキュアミンMT、イハラキュアミンM液状品、CUA-4、キュアハードMED、エラスマー250P、エラスマー1000P;ロンザジャパン社製のLonzacure M-DEA、Lonzacure M-MIPA、Lonzacure M-DIPA、Lonzacure M-CDEA;アルベマール社製のエタキュア100、エタキュア300、エタキュア410、エタキュア420;Evonik Nutrition & Care社製のVERSALINK740;Evonik社製のANCAMINE2049を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0052】
三量化触媒としては、例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類;酢酸カリウム、オクチル酸カリウム、カプリル酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N’,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-s-トリアジン等の3級アミン類;エチレンイミンの誘導体;アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類;4級アンモニウム塩;ジアザビシクロウンデセン(DBU)等;を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。これらのうち、3級アミン類、有機金属塩類、ジアザビシクロウンデセンを使用することがより好ましく、3級アミン類、ジアザビシクロウンデセンを使用することがより好ましい。施工時の接着性に優れた発泡体を得ることができる。
【0053】
<<3-3-2:ラジカル反応性ビニル樹脂組成物の原料>>
<<<3-3-2-1:モノマー化合物(A):ラジカル反応性ビニル化合物>>>
ラジカル反応性ビニル化合物(A)は、外部刺激を受けてラジカル発生剤からラジカルが生じると、(A)成分の架橋反応等が生じて硬化する。(A)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0054】
ラジカル反応性ビニル化合物(A)成分としては、架橋反応を進行させることが可能な化合物を用いることができる。このような化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましく、さらにエチレン性不飽和結合を有し、エチレン性不飽和結合のα位の炭素原子の少なくとも一つがカルボニル基又は芳香族基と結合している化合物がより好ましい。エチレン性不飽和結合のα位の炭素原子とは、炭素-炭素二重結合で結合している炭素原子に隣接した1番目の炭素原子を示す。
【0055】
エチレン性不飽和基は、通常、1価の基であり、例えば、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基が挙げられ、ラジカル重合の反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基、フェニルエチニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基、アクリロイル基及びこれらの組み合わせを包含する。(A)成分は、エチレン性不飽和結合を含むため、ラジカル重合が可能であるが、一般的な条件下でラジカル重合を行う上では、エチレン性不飽和結合のα位の少なくとも一つにカルボニル基又は芳香族基を有する化合物が好ましい。(A)成分の1分子当たりのエチレン性不飽和結合の数は、好ましくは1つ以上である。また、(A)成分が1分子当たり2個以上のエチレン性不飽和基を含む場合、それらのエチレン性不飽和基は、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0056】
ラジカル反応性ビニル化合物(A)成分は、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、日鉄ケミカルアンドマテリアル社製のスチレンモノマー、ジビニルベンゼンや新中村化学社製のNKエステル-D-TMP、4G、9G、14G、23G、DCP等が挙げられる。
【0057】
<<<3-3-2-2:硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B):ラジカル発生剤>>>
ラジカル発生剤(B)成分は、熱もしくは活性光線の照射によるラジカルが発生し、このラジカルによって架橋反応が進行しうる。樹脂組成物において、ラジカルによる架橋反応が生じた部分は、硬化して硬化物となりうる。(B)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0058】
熱によるラジカル発生剤(B)成分としては、例えば2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジクミルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、tert-ブチルハイドロパーオキサイドなどが挙げられる。
【0059】
熱によるラジカル発生剤(B)としては、市販品を用いてもよく、例えば、日油社製の「パークミルD」等が挙げられる。
【0060】
活性光線の照射によるラジカルが発生剤(B)成分としては、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体;1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類;N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン類;ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類;芳香族ビイミダゾール類;チタノセン類;α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド;等が挙げられる。
【0061】
活性光線の照射によるラジカルが発生剤(B)としては、市販品を用いてもよく、例えば、例えば、BASF社製の「Omnirad-819」、「Irgacure-OXE02」、「Irgacure-OXE04」等が挙げられる。
【0062】
<<3-3-3:カチオン反応性ビニル樹脂組成物の原料>>
<<<3-3-3-1:モノマー化合物(A):カチオン反応性ビニル化合物>>>
カチオン反応性ビニル化合物(A)成分としては、架橋反応を進行させることが可能な化合物を用いることができる。このような化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましく、さらにエチレン性不飽和結合を有し、エチレン性不飽和結合のα位の炭素原子の少なくとも一つがエーテル基又は芳香族基と結合している化合物がより好ましい。エチレン性不飽和結合のα位の炭素原子とは、炭素-炭素二重結合で結合している炭素原子に隣接した1番目の炭素原子を示す。
【0063】
エチレン性不飽和基は、通常、1価の基であり、例えば、ビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、ビニルエーテル基などが挙げられ、カチオン重合の反応性の観点から、ビニルエーテル基、フェニルエチニル基が好ましい。(A)成分は、エチレン性不飽和結合を含むため、カチオン重合が可能であるが、一般的な条件下でカチオン重合を行う上では、エチレン性不飽和結合のα位の少なくとも一つにエーテル基又は芳香族基を有する化合物が好ましい。(A)成分の1分子当たりのエチレン性不飽和結合の数は、好ましくは1つ以上、より好ましくは2つ以上である。また、(A)成分が1分子当たり2個以上のエチレン性不飽和基を含む場合、それらのエチレン性不飽和基は、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0064】
ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2-クロロビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、n-ペンチルビニルエーテル、イソペンチルビニルエーテル、tert-ペンチルビニルエーテル、n-ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ヘプチルビニルエーテル、n-オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ヘキサンデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、エトキシメチルビニルエーテル、2-メトキシエチルビニルエーテル、2-エトキシエチルビニルエーテル、2-ブトキシエチルビニルエーテル、アセトキシメチルビニルエーテル、2-アセトキシエチルビニルエーテル、3-アセトキシプロピルビニルエーテル、4-アセトキシブチルビニルエーテル、4-エトキシブチルビニルエーテル、2-(2-メトキシエトキシ)エチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルジメタノールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロキシルメチルビニルエーテル、シクロヘキシルエチルビニルエーテル、メンチルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ノルボルネニルビニルエーテル、1-アダマンチルビニルエーテル、2-アダマンチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、1-ナフチルビニルエーテル、2-ナフチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ジエチレングリコールエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEGVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコール、ジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル(CHODVE)、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(CHDVE)、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル(TMPEOTVE)、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
<<<3-3-3-2:硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B):酸もしくは酸発生剤>>>
酸もしくは酸発生剤(B)成分は、そのものが酸もしくは熱や活性光線の照射による酸が発生し、この酸によって架橋反応が進行しうる。樹脂組成物において、酸による架橋反応が生じた部分は、硬化して硬化物となりうる。(B)成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0066】
酸としては硫酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメチル硫酸や塩化チタン、塩化アルミなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0067】
酸発生剤としては、光酸発生剤、熱酸発生剤の何れも用いることが可能である。光酸発生剤としては、例えば、日本曹達株式会社製のCI-1370、CI-2064、CI-2397、CI-2624、CI-2639、CI-2734、CI-2758、CI-2823、CI-2855及びCI-5102、アデカ社製のアデカオプトマーSP-150、アデカオプトマーSP-152、アデカオプトマーSP-170、アデカオプトマーSP-172及びアデカオプトマーSP-300、サンアプロ社製のCPI-100P、CPI-110P、CPI-101A、CPI-200K及びCPI-210S等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、上記熱酸発生剤としては、例えば、三新化学社製のサンエイドSI-60L、サンエイドSI-80L、サンエイドSI-100L及びサンエイドSI-150Lの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
<<3-3-4:エポキシ樹脂組成物の原料>>
<<<3-3-4-1:モノマー化合物(A):エポキシ化合物>>>
エポキシ化合物(A)成分としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールAF型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、トリスフェノール型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、tert-ブチル-カテコール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ナフトール型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、線状脂肪族エポキシ化合物、ブタジエン構造を有するエポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、スピロ環含有エポキシ化合物、シクロヘキサン型エポキシ化合物、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、トリメチロール型エポキシ化合物、テトラフェニルエタン型エポキシ化合物等が挙げられる。エポキシ化合物は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
エポキシ化合物であり固体のエポキシ化合物を用いてもよく、具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ化合物);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ化合物);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ化合物);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ化合物);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ化合物);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ化合物);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ化合物);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ化合物);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ化合物);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ化合物);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ化合物)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
液状エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールAF型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、エステル骨格を有する脂環式エポキシ化合物、シクロヘキサン型エポキシ化合物、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、及びブタジエン構造を有するエポキシ化合物が好ましく、ナフタレン型エポキシ化合物がより好ましい。
【0071】
液状エポキシ化合物の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ化合物);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ化合物);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ化合物とビスフェノールF型エポキシ化合物の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ化合物);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ化合物);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ化合物);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ化合物)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
<<<3-3-4-2:硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B):硬化剤(B)>>>
硬化剤(B)としてはフェノール系、カルボジイミド系、アミン系、チオール系、リン系などの硬化剤が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
フェノール系硬化剤としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する硬化剤が挙げられる。中でも、ベンゼン環に結合した水酸基を有する化合物が好ましい。また、耐熱性及び耐水性の観点からは、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。
【0074】
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-495V」、「SN-375」、「SN-395」;DIC社製の「TD-2090」、「TD-2090-60M」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」、「HPC-9500」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」;群栄化学社製の「GDP-6115L」、「GDP-6115H」、「ELPC75」等が挙げられる。
【0075】
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V-03」、「V-05」、「V-07」;ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P等が挙げられる。
【0076】
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、新日本理化社製の「MH-700」等が挙げられる。
【0077】
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本実施形態の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等が挙げられる。
【0078】
アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
【0079】
チオール系硬化剤としては1分子中に2個以上のメルカプト基を有する化合物である。
【0080】
チオール化合物としては、例えば、ポリオールとメルカプト有機酸との部分エステル、ポリオールとメルカプト有機酸との完全エステルが挙げられる。ここで、部分エステルとは、ポリオールとカルボン酸とのエステルであって、ポリオールのヒドロキシ基の一部がエステル結合を形成しているもの、完全エステルとは、ポリオールのヒドロキシ基が全てエステル結合を形成しているものを意味する。
【0081】
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0082】
メルカプト有機酸としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸(例:3-メルカプトプロピオン酸)、メルカプト酪酸(例:3-メルカプト酪酸、4-メルカプト酪酸)等のメルカプト脂肪族モノカルボン酸;ヒドロキシ酸とメルカプト有機酸とのエステル化反応によって得られるメルカプト基およびカルボキシ基を含有するエステル;メルカプトコハク酸、ジメルカプトコハク酸(例:2,3-ジメルカプトコハク酸)等のメルカプト脂肪族ジカルボン酸;メルカプト安息香酸(例:4-メルカプト安息香酸)等のメルカプト芳香族モノカルボン酸;等が挙げられる。前記メルカプト脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、好ましくは2~8、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~4、特に好ましくは3である。前記メルカプト有機酸の中で、炭素数が2~8のメルカプト脂肪族モノカルボン酸が好ましく、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト酪酸および4-メルカプト酪酸がより好ましく、3-メルカプトプロピオン酸がさらに好ましい。
【0083】
ポリオールとメルカプト有機酸との部分エステルの具体例としては、トリメチロールエタンビス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタンビス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールエタンビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタンビス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパンビス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールプロパンビス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパンビス(4-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(4-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
【0084】
ポリオールとメルカプト有機酸との完全エステルの具体例としては、エチレングリコールビス(メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオナート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(4-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(4-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオナート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
【0085】
また、チオール系硬化剤としては他にも1,4-ブタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,10-デカンジチオール等のアルカンポリチオール化合物;末端メルカプト基含有ポリエーテル;末端メルカプト基含有ポリチオエーテル;エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるポリチオール化合物;ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端メルカプト基を有するポリチオール化合物;等のように、その製造工程上の反応触媒として塩基性物質を使用して製造されたポリチオール化合物も使用することができる。
【0086】
さらにチオール系硬化剤としては、例えば、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、ビス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート、1,3,4,6-テトラキス(2-メルカプトエチル)グリコールウリル、および4,4’-イソプロピリデンジフェニル ビス(3-メルカプトプロピル)エーテル等を使用することができる。
【0087】
<<3-3-5:発泡剤>>
本実施形態にかかる発泡剤は、本実施形態の効果が阻害されない限りにおいて特に限定されない。発泡剤としては、例えば、水、炭化水素(好適にはC4~C6)、ハイドロフルオロオレフィン、炭酸ガス、窒素ガスを挙げることができる。具体的には、イソシアネートと水の反応により生じる炭酸ガス、シクロペンタン、HFO(1336mzz)、HFO(1233zd)、ジ-t-ブチルジカーボネートと酸の反応により生じる、炭酸ガスと2-メチルプロペン等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0088】
<<3-3-6:整泡剤>>
本実施形態にかかる整泡剤は、本実施形態の効果が阻害されない限りにおいて特に限定されない。整泡剤としては、例えば、ポリマー、シリコーン系化合物、非イオン系界面活性剤等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0089】
<<3-3-7:燃剤>>
本実施形態にかかる樹脂組成物(躯体用樹脂材料)は、難燃剤を含むことができる。難燃剤として本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、赤燐、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。これらのうち、赤燐又はリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましく、赤燐を含むことがより好ましく、赤燐に加え、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも一つを含む場合がさらに好ましく、赤燐とリン酸エステルを含み、さらに塩素含有リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物から選ばれる少なくとも一つを含む場合が特に好ましく、赤燐、リン酸エステル、臭素含有難燃剤を含む場合が特に好ましい。本実施形態にかかるウレア樹脂組成物がこれらの難燃剤を含む場合には、優れた難燃性と燃焼時の保形性を有し、湿熱環境下における経時劣化を抑制でき、塗工時の被着体への接着性に優れたポリウレア発泡体を得ることができる。また、これらの難燃剤以外のその他の難燃剤を含むことができる。
【0090】
本実施形態にかかるリン酸エステルは、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(t-ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(i-プロピル化フェニル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル;1,3-フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3-フェニレンビス(ジキシレニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族縮合リン酸エステル;トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類;2,2-ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2-クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート等の含ハロゲン縮合リン酸エステル類;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0091】
本実施形態にかかるリン酸塩含有難燃剤は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、モノリン酸塩としては、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩;リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩;リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩;リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩;リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩;リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩;リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩、第一リン酸アルミニウム、第二リン酸アルミニウム、第三リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム等のアルミニウム塩;等を挙げることができる。ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0092】
本実施形態にかかる臭素含有難燃剤は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。臭素含有難燃剤としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル;オクタブロモジフェニルエーテル;デカブロモジフェニルエーテル;テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA-エポキシオリゴマー、TBBA-ポリカーボネートオリゴマー、TBBA-ビス(ジブロモプロピールエーテル)、TBBA-ビス(アリールエーテル)等のTBBA化合物;ビスフェニルペンタメタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,6-ジブロモフェノール、2,4-ジブロモフェノール等の多ベンゼン環化合物;臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン等の臭素化スチレン化合物;エチレンビステトラブロモフタルイミド等のフタル酸化合物;ヘキサブロモシクロドデカン等の環状脂肪族化合物;ポリ(ペンタブロモフェニルアクリレート)等のポリアクリル酸臭素化芳香族エステル化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0093】
本実施形態にかかるホウ素含有難燃剤は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ホウ素含有難燃剤としては、例えば、ホウ砂;三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等の酸化ホウ素;ホウ酸、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等ホウ酸化合物等を挙げることができる。
【0094】
本実施形態にかかるアンチモン含有難燃剤は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。ホウ素含有難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン;アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等のアンチモン酸塩;ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等のピロアンチモン酸塩;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0095】
本実施形態にかかる金属水酸化物は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0096】
その他の難燃剤としては、公知の難燃剤を用いることができる。その他の難燃剤としては、例えば、塩素化パラフィン等の塩素化合物;ヒンダードアミン、メラミンシアヌレート等の窒素化合物;セルロース;等を挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0097】
<<3-3-8:その他添加物>>
本実施形態にかかる樹脂組成物(躯体用樹脂材料)は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて、上記の添加物に加え、さらにその他の添加物を添加することができる。その他の添加物としては、泡化触媒、バランス触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防虫剤、防蟻、分、散剤等、添加剤として公知のものを添加することができる。
【0098】
<3-4.発泡体の特性>
<<3-4-1:密度>>
発泡体の密度は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、10~500kg/m3とすることができ、20~400kg/m3が好ましく、25~300kg/m3がより好ましく、30~200kg/m3が更に好ましい。発泡体の密度がかかる範囲にある場合には、発泡による躯体12の建築作業性、躯体12の強度が充分な発泡体を得ることができる。発泡体の密度は、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に従って測定される。
【0099】
<<3-4-2:発泡倍率>>
発泡倍率は3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。なお、発泡倍率は以下の式1にて算出する。
[式1]
発泡倍率=発泡前の密度/発泡体の見かけ密度
【0100】
<<3-4-3:圧縮弾性率>>
ポリウレア発泡体の圧縮弾性率は、例えば、1MPa以上とすることができ、2MPa以上が好ましく、3MPa以上がより好ましく、4MPa以上がさらに好ましい。圧縮弾性率がかかる範囲にある場合には、本実施形態の効果を有するポリウレア発泡体を得ることができる。圧縮弾性率は、JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック-圧縮特性の求め方」に記載の方法で測定される。
【0101】
<3-5.発泡体の製造方法>
本実施形態の樹脂組成物(躯体用樹脂材料)は、モノマー化合物(A)、モノマー化合物(A)、硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B)、発泡剤、整泡剤、赤燐、その他の難燃剤、その他添加物をあらかじめ混合して作製する樹脂組成物の混合方法としては公知の方法を用いることができる。具体的には、以下に示す樹脂組成物において適当な方法により混合した。
【0102】
また、各混合液の粘度は、本実施形態の効果を阻害しない限りにおいて限定されず、例えば、50,000mPa以下が好ましく、40,000mPa以下がより好ましく、30,000mPa以下がさらに好ましく、20,000mPa以下がなお好ましい。
【0103】
<<3-5-1:ウレア、ウレタン樹脂組成物での発泡体製造>>
イソシアネート化合物(A)以外の原料を混合機(例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機)で混合し、ポリオール、ポリアミン混合物を調整する。続いて、イソシアネート化合物(A)と、ポリオール、ポリアミン混合液をそれぞれ所定の温度(例えば、10℃)に冷却する。その後、イソシアネート(A)と、ポリオール、ポリアミン混合物とを、混合機で混合し(例えば、前記攪拌機を用いて2000rpmで5秒間攪拌する)、発泡、硬化させて、ポリウレタン、ウレア発泡体を得ることができる。なお、本実施形態の構築方法(工法)に用いる場合には、イソシアネート化合物(A)を主剤とした混合液(I)とその他の原料を混合した混合液(II)を加熱(10℃から80℃)しポンプなどでそれぞれ供給し、スタティックミキサー41,42等で混合、型枠10への充填を行い、発泡体を得ることができる。例えば、予めポリイソシアネート以外の原料を混合したポリオール、ポリアミン混合液とポリイソシアネート化合物(A)の二液性のシステム液として取り扱うことができる。なお、ポリイソシアネート化合物(A)と反応しない難燃剤、整泡剤、発泡剤、分散剤、その他添加剤は、ポリイソシアネート化合物(A)と混合し、システム液として取り扱うこともできる。また、各化合物の相溶性によっては三液以上用いてもよい。
【0104】
<<3-5-2:ラジカル反応性ビニル樹脂組成物での発泡体製造>>
すべての固形化合物を溶剤もしくは液状化合物に加熱(50℃から100℃)を行い、溶かし、室温まで冷却を行う。その後、各液状の原料を混合機(例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機)で混合する。その後、加熱により発泡を行い、加熱もしくは光照射により硬化させて、発泡体を得ることができる。なお、本構築方法に用いる場合には、予めラジカル発生剤以外を混ぜた混合液(I)を加熱(30℃から100℃)し、ラジカル発生剤と添加剤などを混ぜた混合液(II)をポンプなどでそれぞれ供給し、スタティックミキサー41,42等で混合、型枠10への充填を行い、必要がある場合は光照射を行い、発泡体を得ることができる。また混合液は本実施形態の効果を阻害しなければ予めラジカル発生剤を混合して一液とし、加熱し、充填してもよく、また各化合物の相溶性によっては三液以上用いてもよい。
【0105】
<<3-5-3:カチオン反応性ビニル樹脂組成物での発泡体製造>>
すべての固形化合物を溶剤もしくは液状化合物に加熱(50℃から100℃)を行い、溶かし、室温まで冷却を行う。その後、各液状の原料を混合機(例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機)で混合する。その後、加熱により発泡を行い、加熱もしくは光照射により硬化させて、発泡体を得ることができる。なお、本構築方法に用いる場合には、予め酸もしくは酸発生剤以外を混ぜた混合液(I)を加熱(30℃から100℃)し、酸もしくは酸発生剤と添加剤などを混ぜた混合液(II)をポンプなどでそれぞれ供給し、スタティックミキサー41,42等で混合、型枠10への充填を行い、必要がある場合は光照射を行い、発泡体を得ることができる。また混合液は本実施形態の効果を阻害しなければ予め酸発生剤を混合して一液とし、加熱し、充填してもよく、また各化合物の相溶性によっては三液以上用いてもよい。
【0106】
<<3-5-4:エポキシ樹脂組成物での発泡体製造>>
エポキシ化合物(A)以外の原料を混合機(例えば、プロペラ式攪拌翼を取り付けた攪拌機)で混合し、硬化剤混合物を調整する。その後、エポキシ化合物(A)と、硬化剤混合物とを、混合し、加熱、硬化させて、発泡体を得ることができる。なお、本構築方法に用いる場合には、エポキシ化合物(A)を主剤とした混合液(I)とその他の原料を混合した混合液(II)を加熱(10℃から80℃)しポンプなどでそれぞれ供給し、スタティックミキサー41,42等で混合、型枠10への充填を行い、発泡体を得ることができる。例えば、予めエポキシ化合物以外の原料を混合した硬化剤混合液とエポキシ化合物(A)の二液性のシステム液として取り扱うことができる。なお、エポキシ化合物(A)と反応しない難燃剤、整泡剤、発泡剤、分散剤、その他添加剤は、エポキシ化合物(A)と混合し、システム液として取り扱うこともできる。また、各化合物の相溶性によっては三液以上用いてもよい。
【0107】
[4.本実施形態の効果等]
本実施形態では、柔軟なシート材1,2,7を有する型枠10を用いて、建築物11の構築が行われる。型枠10には、シート材1,2,7により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物11の躯体12の形状に対応する形状となる躯体用空間6が設けられている。躯体用空間6にて、発泡剤を含む樹脂組成物13を発泡させることにより躯体用空間6を膨張させ、躯体用空間6にて発泡した樹脂組成物13を硬化させることにより、発泡樹脂からなる建築物11の躯体12を形成する。そのため、従来のように金型の準備に時間がかかることない。また発泡樹脂からなる建築物11は、現場で形成されるため、運搬が不要である。また、型枠10は、柔軟なシート材1,2,7の折畳みが可能であり、運搬が容易である。本実施形態によれば、躯体の材料として樹脂組成物を用いる建築物の構築を容易化させることができる。
【0108】
なお、本実施形態では、型枠10を支持する支柱17を設けているため、樹脂組成物13の重量による内膜1の変形が抑制され、また発泡前後における躯体用空間6の容積の変化も抑制される。なお、本実施形態では、型枠設置ステップの前に支柱17を設けたが、型枠設置ステップの後に支柱17を設けてもよい。この場合、型枠10に比較的大きな開口(例えば
図1のドアを設けるための開口)を設け、この開口から型枠設置ステップの後に支柱17をガス充填空間5に搬入し、支柱17の設置が行われる。
【0109】
[5.第1実施形態の変形例]
上述の実施形態の型枠10において、ガス注入口3に加えて、ガス排出口を設けてもよい。この場合、型枠10の内膜1が建て込まれた状態で、ガス充填空間5は密閉空間とはならず、ガス注入口3からガス充填空間5にガスを送り続けて内膜1が膨らんだ状態とし、この状態でガス充填空間5から溢れるガスがガス排出口から排出される。
【0110】
上述の実施形態では、型枠10において樹脂注入口4を底面側に設けたが、樹脂注入口4を天井側に設けてもよい。この場合、重力により躯体用樹脂材料13を流下させて躯体用空間6において躯体用樹脂材料13を容易に広範囲に行き渡らせることができる。
【0111】
上述の実施形態では、仕上げステップの際に内膜1及び外膜2を除去したが、内膜1及び外膜2を残した状態で仕上げステップを行ってもよい。
【0112】
上述の実施形態では、躯体用空間6にガスがほとんど存在しない状態から、躯体用樹脂材料13が躯体用空間6に注入されたが、樹脂注入ステップの開始時に、躯体用空間6にガスが存在する場合は、ポンプによって躯体用空間6のガスを吸い出した後に、躯体用空間6に躯体用樹脂材料13を注入してもよい。
【0113】
<第2実施形態>
本実施形態は、建築物として、塀31(
図15参照)を構築する構築方法(以下、「本構築方法」と言う。)である。
【0114】
本実施形態の型枠31は、第1実施形態の型枠10と同様に、柔軟なシート材30を備えている。型枠10には、シート材30により区画された空間として、該空間を膨張させると、構築予定の建築物(塀)31の躯体32(
図14参照)の形状に対応する形状となる躯体用空間26が設けられている。躯体用空間26は、例えば、膨張しきった状態の容積が、0.5m
3以上である。型枠30は、第1実施形態の型枠10のガス充填空間5を有していない。
【0115】
構築方法は、基礎構築ステップ、型枠設置ステップ、樹脂注入ステップ、及び、発泡硬化ステップを、この順番で行うものである。
【0116】
図10は、基礎構築ステップが完了した状態を表す。本実施形態では、基礎35内に、空間36が形成されている。基礎構築ステップでは、型枠30を支持する支持部材33が設置される。
【0117】
基礎構築ステップが完了すると型枠設置ステップが行われる。型枠設置ステップでは、型枠30が、
図11に示すように、躯体用空間26が空間36に連通するように設置される。
【0118】
型枠設置ステップが完了すると樹脂注入ステップが行われる。樹脂注入ステップでは、型枠30の樹脂注入口4から、
図12に示すように、躯体用空間6に躯体用樹脂材料13が注入される。
【0119】
続いて、発泡硬化ステップでは、
図13に示すように、躯体用空間26の躯体用樹脂材料13が発泡することで、躯体用空間26(型枠30)が膨張していき、最終的に躯体用空間26が膨張しきると、躯体用空間26は、構築予定の塀31の躯体32の形状に対応する形状となる。本実施形態では、躯体用空間26において躯体用樹脂材料13を発泡させながら、型枠30全体の建て込みが行われる。また、躯体用樹脂材料13が発泡する過程では、支持部材33が、型枠30の形状を矯正する枠割を果たす。
【0120】
躯体用空間26が膨張しきった後は、躯体用樹脂材料13が徐々に硬化していき、所定の時間が経過すると、
図14に示すように、塀31の躯体32が完成する。これにより発泡硬化ステップが終了する。支持部材33は、発泡硬化ステップが終了すると取り除かれる。
【0121】
躯体32の完成後、塀31の表面を仕上げる仕上げステップが行われる。仕上げステップでは、型枠30が除去された後に、躯体32の表面を覆うように。左官工事などにより最外層37が設けられる。
【0122】
<本構築方法の用途>
本構築方法は、建築用途(壁、天井、屋根、床など)の建築物や、石油及びガス運搬用貯蔵用タンク、冷凍・冷蔵室、プラント施設、保温材、断熱材又は冷熱抵抗緩和材などとして機能する土留壁、地盤沈下防止工事や道路建設時に地下充填補強材として機能する基礎構造物(現場施工で構築する構造物)、トンネル、橋梁又は浮桟橋等の土木用途注入補修材として機能する構造物(現場施工で構築する構造物)、地下室などで構造部充填材として機能する構造物(現場施工で構築する構造物)、エネルギー吸収材、防水材、止水材又は浮力材等に用いられる建築物の構築方法(発泡材料の施工方法)として利用することができる。また、木造、鉄筋コンクリート造又は樹脂製などの構造物(例えば、柱など)を本構築方法と組み合わせて、建築物を構築してもよい。
【実施例】
【0123】
本発明の実施例について説明を行う。なお、本発明は、その主旨を超えない限り、実施例に限定されるものではない。
【0124】
<<樹脂組成物(躯体用樹脂材料)の作製>>
<原料>
樹脂組成物の原料として、次の化合物を用いる。
イソシアネート化合物:MR-200(東ソー社製)
ビニル化合物:スチレン、ジビニルベンゼン
メタクリル化合物:D-TMP(新中村社製)
ビニルエーテル化合物:TMPEOTVE(エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル)
エポキシ化合物:JER-630(三菱ケミカル社製)
ポリオール化合物:マキシモールRLK-505 (川崎化成工業社製)
ポリアミン化合物:エタキュア420(アルベマール社製)
熱ラジカル発生剤:AIBN(2,2-アゾビスイソブチロニトリル)
光ラジカル発生剤:IrgacureOxe02:(BASF社製)
酸:トリフルオロ酢酸
光酸発生剤:CPI-200K(サンアプロ社製)
フェノール系硬化剤:SN-495(日鉄ケミカル&マテリアル社製)
アミン系硬化剤:エピキュアW(三菱ケミカル社製)
酸無水物系硬化剤:リカシッド MH-700G(新日本理化社製)
アミン系触媒:DBU(ジアザビシクロウンデセン)
トリアゾール系触媒:1B2MZ(四国化成社製)
リン系触媒:トリフェニルホスフィン
シリコーン系化合物:VORASURF SZ1671(ダウ・東レ社製)
ポリスチレン:HP-520(DIC社製)
非イオン系界面活性剤:YP-1(山形化学社製)
リン酸エステル系難燃剤:CR-733S(大八化学社製)
【0125】
[製造例1]
自社製非イオン系界面活性剤 ポリウレア YP-1は、以下の方法で調整した。スタビオ PDI(三井化学社製)を5g、エタキュア420(アルベマール社製)を5g混合し、60℃に加熱し、1時間攪拌した。そこにJEFFAMINE D-2000(ハンツマンパフォーマンスプロダクツ社製)を32g加え、60℃に加熱し、1時間攪拌した。ポリウレア YP-1を42g得た。ポリウレアYP-1の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、200,000であった。
【0126】
<発泡体の作製>
(各評価のための発泡体の作製)
モノマー化合物(A)、一部の発泡剤、製法剤、難燃剤について、表1,2に示した各実施例の含有量を秤量し、30-80℃に加熱し、5-60分間攪拌し固形分を液状成分に溶かし、表3,4に示した各実施例の混合液(I)を得た。
【0127】
硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B)と一部の発泡剤について、表1,2に示した実施例5,8以外の各実施例の含有量を秤量し、20-50℃に加熱し、5-60分間攪拌し固形分を液状成分に溶かし、表3,4に示した実施例5,8以外の各実施例の混合液(II)を得た。
【0128】
実施例5.8では水を混合液(II)とし、硬化剤や触媒、ラジカル発生剤(B)と一部の発泡剤について、表1,2に示した実施例5,8の含有量を秤量し、20-50℃に加熱し、5-60分間攪拌し固形分を液状成分に溶かし、表3,4に示した実施例5,8の混合液(III)を得た。
【0129】
混合液(I)を20-80℃に加熱し、各混合液をポンプで送液しスタティックミキサーで混合した。混合液は混合液(II)、混合液(III)の順で混合液(I)と混合した。混合液を500mLのポリプロピレン製ディスポカップに受け取った。光照射が必要な実施例においては受け取りと同時に樹脂の効果が終わるまで光照射を行った。発泡、樹脂硬化後、各発泡体を室温で1週間放置し、各発泡体を得た。
【0130】
上記の方法で混合できなかった実施例4は、各混合液をプロペラ式攪拌翼の取り付けた攪拌機を用い、2000rpm、20秒間攪拌混合を行い、発泡、樹脂硬化後、各発泡体を室温で1週間放置し、各発泡体を得た。
【0131】
また、型枠への充填は、ポンプ、スタティックミキサーを用い混合し、ポンプにて充填した。
【0132】
<密度>
各実施例の発泡前の樹脂組成物は、温度0℃において密度をJIS Z8804:2012「液状の密度及び比重の測定方法」に記載の方法で測定した。イソシアネートと触媒が含有する組成物、イソシアネート化合物とアミン化合物の組成物では0℃において反応し得るため、触媒を抜いた組成物、アミン化合物の入っていないイソシアネート化合物を主剤とする混合物(I)の密度をそれぞれ測定した。測定した結果は表3,4に示す。
【0133】
各実施例の発泡体の見かけの密度をJIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム-見掛け密度の求め方」に記載の方法で測定した。測定した結果は表3,4に示す。
【0134】
<発泡倍率>
発泡倍率は、式1にて算出した。算出結果は表3,4に示す。
[式1]
発泡倍率=発泡前の密度/発泡体の見かけ密度
【0135】
<作業性評価>
作業性の評価は、樹脂が発泡と硬化することで建築設備の建造時に必要な組み立てなどの作業が型枠の設置と樹脂の充填のみになることから、発泡倍率が5倍以上を「〇」、それ未満を「△」と評価した。評価した結果は表3,4に示す。
【0136】
<圧縮弾性率>
各実施例の発泡体の圧縮弾性率を、JIS K7220:2006「硬質発泡プラスチック-圧縮特性の求め方」に記載の方法で測定した。測定した結果を表3,4に示す。
【0137】
<発泡体硬度評価>
発泡スチロールを躯体とする工法において20倍の発泡スチロールを使用していることから、建築設備の圧縮弾性率が、4MPa以上を「〇」、それ未満を「△」と評価した。評価した結果は表3,4に示す。
【0138】
<粘度>
各実施例の各混合液の粘度を、JIS K5600-2-2:1999「塗料一般試験方法-第二部:塗料の性状・安定性-第二節:粘度」に記載の方法で測定した。測定した結果を表3,4に示す。
【0139】
<混合性評価>
発泡体作成時に用いたスタティックミキサーでの各混合液の混合方法で混合し、混合液を60秒間静置したのちに分離しなかった液を「〇」、分離したものを「△」と評価した。
【0140】
<型枠への充填評価>
図1のようなドーム型の建築物を建築する試験として、直径4メートルとなる構造物を建造した。型枠としては厚み100ミクロンメートルのポリ塩化ビニルを用いて作成し、壁の厚みが20センチメートルとなるように、
図2に示すように樹脂の充填空間(躯体用空間6)を設けた。型枠を設置し、ガス充填空間にエアーコンプレッサーを用いて空気を充填した。樹脂の充填には
図7に示したポンプとスタティックミキサーでの混合充填を行った。また、発泡樹脂には表1に示した実施例5を用いた。樹脂充填後、2時間で樹脂の発泡が終わり、3日後に樹脂の硬化が完了し、外径が直径4メートルとなる
図1の構造物の建造が完了した。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、躯体の材料に発泡樹脂を用いる建築物の構築方法などに適用可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 内膜(シート材)
2 外膜(シート材)
3 ガス注入口
4 樹脂注入口
5 ガス充填空間、内側空間
6 躯体用空間
7 シート材
10 型枠
11 建物、建築物
12 躯体
13 躯体用樹脂材料、発泡剤を含む樹脂組成物
【要約】
【課題】躯体の材料として樹脂組成物を用いる建築物の構築方法を容易化させる。
【解決手段】建築物11の構築方法は、柔軟なシート材1,2を有し、シート材1,2により区画された空間として、その空間を膨張させると、構築予定の建築物11の躯体12の形状に対応する形状となる躯体用空間6が設けられた型枠10を設置する型枠設置ステップと、躯体用空間6にて発泡剤を含む樹脂組成物13を発泡させ、躯体用空間6が膨張した状態で、躯体用空間6にて発泡した樹脂組成物13を硬化させることにより、発泡樹脂からなる建築物11の躯体12を形成する躯体形成ステップとを行うものである。
【選択図】
図2