(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20240726BHJP
【FI】
G06Q30/0242
(21)【出願番号】P 2023207950
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523465377
【氏名又は名称】株式会社BONNOU
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】横野 力
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-057189(JP,A)
【文献】特開2021-082086(JP,A)
【文献】特開2022-145665(JP,A)
【文献】特開2015-111382(JP,A)
【文献】特開2022-144204(JP,A)
【文献】特開2020-154488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告媒体を用いた広告を管理する管理部と、
前記広告のそれぞれに係る実績を取得する実績取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を実行する機械学習部と、
広告配信条件に求められる要件及び広告の実績の目標を取得する要件等取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を前記機械学習に基づいて予測する関係予測部と、
前記予測に基づいて、前記複数の広告媒体のうち前記要件の充足及び前記目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定する推定部と、
を備え、
前記機械学習部は、前記広告媒体、前記広告配信条件、及び前記実績との対応付けを学習データに含む機械学習を実行し、
前記推定部は、前記適正広告媒体において前記目標を実現することに適した広告配信条件である適正広告配信条件をさらに推定
し、
前記実績は、広告配信条件の変化の前後における実績の履歴を含み、
前記機械学習部は、前記履歴を学習データに含む機械学習を実行する、
ウェブ広告の管理装置。
【請求項2】
運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告媒体を用いた広告を管理する管理部と、
前記広告のそれぞれに係る実績を取得する実績取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を実行する機械学習部と、
広告配信条件に求められる要件及び広告の実績の目標を取得する要件等取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を前記機械学習に基づいて予測する関係予測部と、
前記予測に基づいて、前記複数の広告媒体のうち前記要件の充足及び前記目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定する推定部と、
を備え、
前記機械学習部は、前記広告媒体、前記広告配信条件、及び前記実績との対応付けを学習データに含む機械学習を実行し、
前記推定部は、前記適正広告媒体において前記目標を実現することに適した広告配信条件である適正広告配信条件をさらに推定し、
前記機械学習部は、前記関係予測部による予測と前記予測に対応する実績との対応付けを学習データに含む機械学習を実行する、
ウェブ広告の管理装置。
【請求項3】
運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告媒体を用いた広告を管理する管理部と、
前記広告のそれぞれに係る実績を取得する実績取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を実行する機械学習部と、
広告配信条件に求められる要件及び広告の実績の目標を取得する要件等取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を前記機械学習に基づいて予測する関係予測部と、
前記予測に基づいて、前記複数の広告媒体のうち前記要件の充足及び前記目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定する推定部と、
を備え、
前記機械学習部は、前記広告媒体、前記広告配信条件、及び前記実績との対応付けを学習データに含む機械学習を実行し、
前記推定部は、前記適正広告媒体において前記目標を実現することに適した広告配信条件である適正広告配信条件をさらに推定し、
前記管理部は、前記関係予測部における対応関係が前記要件の充足及び前記目標の実現を共に満たす対応関係を含まない場合に、当該予測に係る広告を停止する、
ウェブ広告の管理装置。
【請求項4】
運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告媒体を用いた広告を管理する管理部と、
前記広告のそれぞれに係る実績を取得する実績取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を実行する機械学習部と、
広告配信条件に求められる要件及び広告の実績の目標を取得する要件等取得部と、
前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を前記機械学習に基づいて予測する関係予測部と、
前記予測に基づいて、前記複数の広告媒体のうち前記要件の充足及び前記目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定する推定部と、
を備え、
前記機械学習部は、前記広告媒体、前記広告配信条件、及び前記実績との対応付けを学習データに含む機械学習を実行し、
前記推定部は、前記適正広告媒体において前記目標を実現することに適した広告配信条件である適正広告配信条件をさらに推定し、
前記広告の特徴を判別する特徴判別部と、
前記特徴を学習データに含む機械学習に基づいて、前記目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を予測する特徴予測部と、
前記適正特徴を有する広告を生成する広告生成部と、
をさらに備える、
ウェブ広告の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ広告の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広告手段として、いわゆるウェブ広告が広く利用されている。ウェブ広告では、各種広告媒体を介して、ウェブページに広告主の広告を掲載する。ウェブ広告を提供する各種広告媒体では、クリック回数、コンバージョン、表示回数等によって例示される実績当たりの単価を用いた入札により、ウェブ広告を表示することが行われている。なお、コンバージョンとは、商品の購入、サンプルの申込み、資料請求、問い合わせ等によって例示される、広告主が「成果」であると定めたアクションの回数を指す。
【0003】
このような入札は、指定された広告配信条件に基づいて、自動的に行われる。ウェブ広告における広告配信条件は、単価の算出に用いられる実績の種類(クリック回数、コンバージョン、表示回数等)、単価の上限値・目標値、広告が行われる期間、一定期間当たりの予算、広告に関連するキーワード、広告の内容等によって例示される各種条件を含む。しかしながら、ウェブ広告は、様々な広告媒体を介して配信されている。そのため、広告代理店及び広告主等は、所望の広告効果を得るための適切な広告配信条件を広告媒体に合わせて設定することに困難を覚え得る。このような事情のため、ウェブ広告において、広告代理店等が所望の広告効果を得ることを支援する手段が求められている。
【0004】
ウェブ広告において広告主が所望の広告効果を得ることを支援する手段に関し、特許文献1は、複数の広告媒体にわたる複数の広告枠から、複数の獲得希望広告枠を選択する広告枠選択システムであって、前記各広告枠を獲得するための獲得費用、及び、当該各広告枠に展開される広告の接触確率を示すデータが前記各広告媒体ごとに格納された広告枠データベースと、上限予算を入力させる入力手段と、前記各広告媒体につき、前記接触確率に基づいて前記複数の広告枠から前記獲得希望広告枠を順次選択する処理を1又は複数回行うことによって、前記獲得費用の合計が前記上限予算の所定割合以内となるような1又は複数組の獲得希望広告枠集団を導出する第1の選択処理手段と、導出された前記獲得希望広告枠集団を前記各広告媒体につき1つずつ選択することによって、前記獲得費用の合計が前記上限予算以内となるような前記獲得希望広告枠集団の組合せを導出する第2の選択処理手段と、導出された前記獲得希望広告枠集団の組合せに含まれる前記各獲得希望広告枠を出力する出力手段とを備えることを特徴とする広告枠選択システムを開示している。特許文献1に記載の技術は、複数の広告媒体にわたる複数の広告枠から、複数の獲得希望広告枠を効率的に選択することを可能とし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ウェブ広告の広告効果は、広告配信条件によって左右される。自らの管理下にある広告媒体であれば、広告代理店等は、広告配信条件と広告効果との対応関係を直接的に示す十分なデータを容易に入手できる。しかしながら、他の者が管理する広告媒体からそのようなデータを取得するのは、困難が伴い得る。加えて、広告配信条件と広告効果との対応関係は、日々変化する。よって、運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、そのようなデータを入手することは、容易ではない。
【0007】
特許文献1の技術は、複数の広告媒体にわたる複数の広告枠であって、所与の獲得費用で購入される広告枠から、複数の獲得希望広告枠を効率的に選択することを可能とし得るにとどまる。よって、特許文献1の技術は、広告配信条件と広告効果との対応関係が日々変化する今日のウェブ広告において、運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分けた広告活動を支援する点において、さらなる改良の余地がある。
【0008】
本発明は、係る事情にかんがみてなされたものである。本発明の目的は、ウェブ広告において、運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分けた広告活動を支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、実績に基づく予測を行い、当該予測に基づく適切な広告媒体との契約更新を行うことによって、上記の目的を達成できることを見いだした。そして、本発明者らは、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0010】
本発明は、運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告媒体を用いた広告を管理する管理部と、前記広告のそれぞれに係る実績を取得する実績取得部と、前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を実行する機械学習部と、広告配信条件に求められる要件及び広告の実績の目標を取得する要件等取得部と、前記複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を前記機械学習に基づいて予測する関係予測部と、前記予測に基づいて、前記複数の広告媒体のうち前記要件の充足及び前記目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定する推定部と、を備え、前記機械学習部は、前記広告媒体、前記広告配信条件、及び前記実績との対応付けを学習データに含む機械学習を実行し、前記推定部は、前記適正広告媒体において前記目標を実現することに適した広告配信条件である適正広告配信条件をさらに推定する、ウェブ広告の管理装置を提供する。
【0011】
運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分ける場合、当該複数の広告媒体のうち少なくとも1つは、当該選択を行う者の管理下にないと考えられる。本発明は、運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告を一元的に管理する。これにより、広告代理店等の利用者は、広告媒体によるユーザインタフェースの違い等を意識することなく、運営主体が異なる複数の広告媒体を利用できる。
【0012】
ところで、運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分ける者は、目標の達成に適した広告を行うために、自らと異なる運営主体が運営する少なくとも1つの広告媒体について、広告配信条件と広告の実績との関係を予測する必要がある。本発明は、運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告の実績を取得する。これにより、本発明は、運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告媒体、広告配信条件、及び実績との対応付けのデータを蓄積できる。そして、本発明は、広告媒体、広告配信条件、及び実績との対応付けを学習データに含む機械学習を行う。この機械学習により、本発明は、複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を予測できる。
【0013】
上述の対応付けを学習データに含む機械学習を行うため、本発明は、実績に基づく各種スコア算出式を用いる手法及び実績そのものを用いる手法より高い精度で、当該対応関係を予測できる。学習データが複数の広告媒体に関する、広告媒体、広告配信条件、及び実績との対応付けを含むため、本発明は、複数の広告媒体間の適切な比較に貢献する機械学習及び予測を行える。
【0014】
本発明は、上述の機械学習に基づき、複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を予測する。そのため、本発明は、この予測に基づいて、複数の広告媒体のうち広告主が目指す目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定できる。そして、本発明は、当該適正広告媒体及び当該適正広告媒体における適切な広告配信条件を提供できる。加えて、本発明は、当該適正広告媒体における実績の予測結果を提供できる。よって、本発明は、これらの情報を利用者に提供し、ウェブ広告において、運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分けた広告活動を支援できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ウェブ広告において、運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分けた広告活動を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、広告データベース131の一例である。
【
図3】
図3は、実績データベース132の一例である。
【
図4】
図4は、本実施形態の管理装置1で実行される管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明するものである。
【0018】
<システムS>
図1は、本実施形態のシステムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。以下は、本実施形態のシステムSにおけるハードウェア構成及びソフトウェア構成の好ましい態様の一例に係る、
図1を用いた説明である。システムSは、ネットワークNを介して互いに通信可能に構成された、ウェブ広告の管理装置1及び端末Tを含んで構成される。
【0019】
〔広告媒体〕
本実施形態における広告媒体は、ウェブ広告を配信する広告プラットフォームを指す。以下、「ウェブ広告」は、単に「広告」とも称される。本実施形態の広告媒体は、例えば、Google Adsense(登録商標)、Facebook広告(登録商標)、TikTok広告(登録商標)、X広告(登録商標)等の2以上を含む。本実施形態の広告媒体は、Facebook(登録商標)、TikTok(登録商標)、X(登録商標)等によって例示されるソーシャルネットワークサービス(SNS)にウェブ広告を配信する広告媒体を含むことが好ましい。これにより、管理装置1は、SNSへの投稿に付された「いいね!」の数、「共有」の数等によって例示されるエンゲージメントを含めた実績の予測を行える。
【0020】
〔管理装置1〕
管理装置1は、制御部11、記憶部13、及び通信部14等を備える。管理装置1の種類は、特に限定されない。該種類として、例えば、サーバ、クラウドサーバ等が挙げられる。利用者の金銭・労力等における負担を低減すべく、管理装置1が実行する管理処理は、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できる提供形態であるサーズ(Software as a Service、SaaS)として提供されることが好ましい。
【0021】
[制御部11]
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0022】
制御部11は、必要に応じて記憶部13及び/又は通信部14と協働する。そして、制御部11は、管理装置1で実行される本実施形態のプログラムのソフトウェア構成要素を実現する。当該ソフトウェア構成要素は、実績取得部111、第1機械学習部112、特徴判別部113、第2機械学習部114、要件等取得部115、関係予測部116、推定部117、特徴予測部118、広告生成部119、管理部120等を含む。これらのソフトウェア構成要素は、後に、本実施形態の管理装置1で実行される管理処理の好ましい流れと共に説明される。
【0023】
[記憶部13]
記憶部13は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によってデータを非一時的に格納するストレージ部を有する。
【0024】
記憶部13は、ネットワークNを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0025】
記憶部13には、広告データベース131、実績データベース132等が格納されている。また、記憶部13には、図示のほか、制御部11で実行されるプログラム、大規模言語モデル、認識モデル、生成ニューラルネットワーク、第1機械学習部112に係る学習データ、第2機械学習部114に係る学習データ等が格納されている。認識モデルは、例えば、大規模言語モデル、音声認識モデル及び画像認識モデル等を含む。生成ニューラルネットワークは、例えば、大規模言語モデルに係るニューラルネットワーク、音声生成ニューラルネットワーク及び画像生成ニューラルネットワーク等を含む。
【0026】
(広告データベース131)
広告データベース131には、広告媒体を用いたウェブ広告のデータが格納される。当該広告媒体は、運営主体が異なる複数の広告媒体を含む。当該データは、少なくとも、広告媒体を識別する情報と、広告配信条件とを含む。広告配信条件は、例えば、単価の算出に用いられる実績の種類(クリック回数、コンバージョン、表示回数等)、単価の上限値・目標値、広告が行われる期間、一定期間当たりの予算、広告全体での予算、広告に関連するキーワード、広告の内容等によって例示される各種条件を含む。広告の内容は、例えば、広告文、広告画像、広告音声、広告映像等を含む。なお、データの探索、取得、及び格納に係る便宜のため、広告のデータは、当該広告を識別する広告IDと関連付けて格納されることが好ましい。
【0027】
広告データベース131に運営主体が異なる複数の広告媒体を用いたウェブ広告のデータが格納されることにより、管理装置1は、複数の広告媒体のうち適切な広告媒体を用いた広告配信を管理できる。広告データベース131に広告配信条件を含むデータが格納されることにより、管理装置1は、複数の広告媒体のそれぞれについて広告配信条件を管理できる。広告データベース131に広告の内容を含むデータが格納されることにより、管理装置1は、複数の広告媒体のそれぞれについて広告の内容を管理できる。
【0028】
図2は、広告データベース131の一例である。
図2に示す例には、広告ID「C0001」で識別される第1広告のデータとして、広告媒体「検索サービス△△」、広告配信条件「実績の種類:クリック回数、単価の上限:1クリックごとに20円以下、広告期間:△△月△△日から△△月△△日までの20日間、1日当たりの予算:10,000円以内、キーワード:美容室・パーマ・カラーリング・都内・多摩・立川・八王子」、広告の内容「広告文:多摩エリアでカットするならヘアサロン△△、広告画像:ロゴ0001.png」が格納されている。また、
図2に示す例には、広告ID「C0002」で識別される第2広告のデータとして、広告媒体「実名SNS△△」、広告配信条件「実績の種類:表示回数、単価の上限:1,000インプレッションごとに200円以下、広告期間:△△月△△日から△△月△△日までの1週間、1日当たりの予算:30,000円以内、キーワード:性別不問、独身、30代~40代」、広告の内容「広告文:デブリを育てて地球を作れ!、広告動画:30秒動画0002.mp4」が格納されている。
【0029】
これらのデータが広告データベース131に格納されることにより、管理装置1は、第1広告及び第2広告について、配信される広告媒体、広告配信条件、及び広告の内容を管理できる。
【0030】
(実績データベース132)
実績データベース132には、広告媒体を識別するデータ及び広告配信条件と対応付けられた広告の実績を示すデータが格納される。広告の実績は、例えば、当該広告の表示回数(Imp)、コストパーミル(CPM)、クリック回数(Click)、コストパークリック(CPC)、クリックスルーレート(CTR)、コンバージョン数(CV)、コストパーアクション(CPA)、コンバージョン率(CVR)、獲得費用(Cost)等によって例示されるウェブ広告の各種指標の1以上を含む。
【0031】
なお、CPMは、実際の配信における表示回数1,000回当たりのウェブ広告の費用である。CPCは、実際の配信における1クリック当たりのウェブ広告の費用である。CTRは、表示回数に対するクリック数の割合である。CVは、ウェブ広告を見た者が、広告主のサイトにアクセスする、商品・役務に係る問い合わせをする、商品・役務を購入する等によって例示される具体的なアクションを起こした回数である。CPAは、コンバージョン数1当たりのウェブ広告の費用である。CVRは、表示回数に対するコンバージョン数の割合である。
【0032】
これらの各種実績を示すデータが広告媒体を識別するデータ及び広告配信条件と対応付けられて実績データベース132に格納されることにより、管理装置1は、広告媒体、広告配信条件、及びこれらの各種実績を示すデータとの対応付けを学習データに含む機械学習を実行できる。よって、管理装置1は、これらの各種実績と広告配信条件との対応関係を予測できる。よって、管理装置1は、各種実績の目標を実現するために適した適正広告媒体及び適正広告配信条件を推定できる。
【0033】
その他、広告の実績は、ソーシャルネットワークサービス(SNS)におけるエンゲージメントに係る各種指標を含んでもよい。エンゲージメントは、例えば、SNSへの投稿に付された「いいね!」の数、「共有」の数等である。これにより、管理装置1は、SNSである広告媒体において、各種実績の目標を実現するために適した適正広告媒体及び適正広告配信条件を推定できる。
【0034】
実績データベース132には、広告配信条件の変化の前後における実績の履歴が格納されることが好ましい。これにより、管理装置1は、当該履歴を学習データに含む機械学習を行える。実績データベース132には、後述する関係予測部116による予測と予測に対応する実績との対応付けが格納されることが好ましい。これにより、管理装置1は、予測モデルと実績モデルとの比較に基づく機械学習を行える。これらの機械学習がもたらす効果は、管理処理の説明と共に後述される。
【0035】
なお、データの探索、取得、及び格納に係る便宜のため、実績のデータは、当該実績を識別する実績IDと関連付けて格納されることが好ましい。また、広告データベース131に格納された広告との対応関係に基づいた機械学習を行うべく、実績のデータは、当該対応関係を示すデータと関連付けて格納されることが好ましい。
【0036】
図3は、実績データベース132の一例である。
図3に示す例には、実績ID「R0001」で識別される第1実績のデータとして、広告媒体「検索サービス△△」、対応する広告「C0001」、広告配信条件「実績の種類:クリック回数、単価の上限:1クリックごとに20円以下、広告期間:△△月△△日から△△月△△日までの10日間、1日当たりの予算:10,000円以内、キーワード:美容室・パーマ・カラーリング・都内・多摩・立川・八王子」、実績「Imp:100,000、CPM:980、Click:7,000、CPC:14、CTR:7%、CV:2,000、CPA:49、CVR:2%、Cost:98,000」が格納されている。また、
図3に示す例には、実績ID「R0002」で識別される第2実績のデータとして、広告媒体「検索サービス△△」、対応する広告「C0001」、広告配信条件「実績の種類:クリック回数、単価の上限:1クリックごとに30円以下、広告期間:△△月△△日から△△月△△日までの10日間、1日当たりの予算:10,000円以内、キーワード:美容室・パーマ・カラーリング・都内・多摩・立川・八王子」、実績「Imp:80,000、CPM:1,125、Click:4,000、CPC:14、CTR:5%、CV:2,400、CPA:37.5、CVR:3%、Cost:90,000」が格納されている。
【0037】
これらのデータが実績データベース132に格納されることにより、管理装置1は、第1実績、第2実績その他の実績を示すデータと、広告媒体及び広告配信条件との対応付けを学習データに含む機械学習を実行できる。また、
図3に示す例において、第2実績は、広告配信開始の10日後に、第1実績の単価の上限を「1クリックごとに20円以下」から「1クリックごとに30円以下」に変更したものになっている。よって、第1実績と第2実績とは、広告配信条件の変化の前後における実績の履歴を構成している。当該実績の履歴は、機械学習における説明変数である広告配信条件に共通又は類似する部分が多い。これにより、管理装置1は、関係予測部116がより高い精度で広告配信条件と実績との対応関係を予測できるような機械学習を行える。
【0038】
(大規模言語モデル)
本実施形態の大規模言語モデルは、入力されたプロンプトへの応答を生成する自然言語処理を実行する言語モデルであれば、特に限定されない。ここで言う「言語モデル」は、自然言語処理において用いられる確率モデルの一種であり、与えられた単語・文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測するためのモデルである。具体的には、言語モデルは、与えられた文章等の出現確率の計算、複数の文章の出現確率を比較すること等によって、次の文章を予測する。これにより、言語モデルは、与えられた文章等に係る文脈に基づいて最もありそうな文章を自動的に生成できる。
【0039】
本実施形態の大規模言語モデルは、OpenAI(登録商標)のChatGPT-3.5、ChatGPT-4、Meta AI(登録商標)のLLaMa等によって例示される、少なくとも500GB以上の大量のテキストで学習が行われ、少なくとも100億以上の多数のパラメータを有する大規模言語モデルであることが好ましい。これら大量のテキストには、広告文のテキスト、広告文とその目的・効果との関係に係るテキスト等が含まれる。よって、このような大規模言語モデルにより、管理装置1は、目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を有する広告文を生成できる。
【0040】
本実施形態の大規模言語モデルは、広告文と当該広告文の特徴との対応付けを学習データに含む事前訓練が行われていることが好ましい。これにより、本実施形態の大規模言語モデルは、適正特徴を入力とする処理において、当該適正特徴を有するテキストを生成できる。
【0041】
(音声認識モデル)
音声認識モデルは、音声を入力とし、当該音声の特徴を示すテキストを生成する処理に用いられるモデルである。本実施形態の音声認識モデルの種類は、特に限定されない。本実施形態の音声認識モデルは、計算量を抑えるため、隠れマルコフモデルを含むことが好ましい。
【0042】
本実施形態の音声認識モデルは、広告音声と当該広告音声の特徴との対応付けを学習データに含む事前訓練が行われていることが好ましい。これにより、本実施形態の音声認識モデルは、広告音声を入力とする処理において、当該広告音声の特徴を適切に示すテキストを生成できる。
【0043】
また、本実施形態の音声認識モデルは、音声の特徴に基づいた音声認識を行うべく、音声の特徴の認識に係る音響モデルを含むことが好ましい。
【0044】
(画像認識モデル)
画像認識モデルは、画像を入力とし、当該画像の特徴を示すテキストを生成する処理に用いられるモデルである。本実施形態の画像認識モデルの種類は、特に限定されない。当該種類は、例えば、k-近傍法、k-平均法、サポートベクターマシン、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional neural network、CNN)、回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent neural network、RNN)等に係るモデルで良い。
【0045】
本実施形態の画像認識モデルは、広告画像と当該広告画像の特徴との対応付けを学習データに含む事前訓練が行われていることが好ましい。これにより、本実施形態の画像認識モデルは、広告画像を入力とする処理において、当該広告画像の特徴を適切に示すテキストを生成できる。
【0046】
(音声生成ニューラルネットワーク)
音声生成ニューラルネットワークは、入力において与えられた特徴を有する音声を生成する処理で用いられるニューラルネットワークである。当該処理の種類は、特に限定されない。当該処理は、例えば、変分オートエンコーダー(Variational Auto-Encoder、VAE)、敵対的生成ネットワーク(Generative adversarial networks、GANs)等に係る処理で良い。
【0047】
本実施形態の音声生成ニューラルネットワークは、広告音声と当該広告音声の特徴との対応付けを学習データに含む事前訓練が行われていることが好ましい。これにより、本実施形態の音声生成ニューラルネットワークは、適正特徴を入力とする処理において、当該適正特徴を有する広告音声を生成できる。
【0048】
(画像生成ニューラルネットワーク)
画像生成ニューラルネットワークは、入力において与えられた特徴を有する画像を生成する処理で用いられるニューラルネットワークである。当該処理の種類は、特に限定されない。当該処理は、例えば、変分オートエンコーダー(Variational Auto-Encoder、VAE)、敵対的生成ネットワーク(Generative adversarial networks、GANs)、拡散モデル(diffusion model)等に係る処理で良い。
【0049】
なかでも、画像生成ニューラルネットワークに係る処理は、拡散モデルに係る処理であることが好ましい。拡散モデルは、データの各点が潜在空間上で拡散して行く振る舞いをモデル化することにより、データ集合のもつ潜在構造を学習できる。よって、拡散モデルは、入力として与えられた特徴に係る潜在構造を良く反映した画像を生成できる。
【0050】
本実施形態の画像生成ニューラルネットワークは、広告画像と当該広告画像の特徴との対応付けを学習データに含む事前訓練が行われていることが好ましい。これにより、本実施形態の画像生成ニューラルネットワークは、適正特徴を入力とする処理において、当該適正特徴を有する広告画像を生成できる。
【0051】
[通信部14]
図1に戻る。通信部14は、管理装置1をネットワークNに接続して端末T等と通信可能にするものであれば特に限定されない。通信部14として、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、無線LANに接続可能なデバイス、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0052】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、管理装置1と端末T等とを互いに通信可能にするものであれば特に限定されない。ネットワークNの種類は、例えば、インターネット、携帯電話ネットワーク、無線LAN等である。
【0053】
〔端末T〕
端末Tは、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。端末Tは、管理装置1から提供された情報を表示する処理、広告配信条件に求められる要件及び広告の実績の目標を管理装置1に提供する処理等を実行可能である。
【0054】
〔管理処理のメインフローチャート〕
図4は、本実施形態の管理装置1で実行される管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
図5は、
図4から続く図である。
図6は、
図5から続く図である。
図7は、
図6から続く図である。以下は、
図4から
図7を用いた、本実施形態の管理装置1で実行される管理処理の好ましい流れの一例である。
【0055】
適正広告配信条件及び適正広告媒体の推定に先駆けて、管理装置1は、管理処理に係る機械学習を行う。当該機械学習は、複数の広告媒体のそれぞれにおける、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を含む。広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習は、第1機械学習部112等により実行される。なお、第1機械学習部112は、単に「機械学習部」とも称される。ステップS1からステップS5は、機械学習に係る一連の処理の流れに係る一例である。
【0056】
[ステップS1:機械学習を行うか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、機械学習を行うか判別する処理を実行する(ステップS1、機械学習要否判別ステップ)。行うと判別された場合、制御部11は、処理をステップS2に移す。行うと判別されなかった場合、制御部11は、処理をステップS6に移す。
【0057】
利用者の任意による機械学習を可能とすべく、機械学習要否判別ステップは、端末T等から機械学習の実行を指示された場合に機械学習を行うと判別する手順を含むことが好ましい。また、実績の更新に応じた機械学習を可能とすべく、機械学習要否判別ステップは、実績データベース132において前回の機械学習以降にデータが更新されている場合に機械学習を行うと判別する手順を含むことが好ましい。このとき、機械学習による処理負荷の増大を抑えるべく、機械学習要否判別ステップは、前回の機械学習以降に更新されたデータが所与の条件を満たす場合に機械学習を行うと判別する手順を含むことが好ましい。所与の条件は、例えば、いずれかの広告の配信が完了しているとの条件、一定期間が経過しているとの条件、更新されたデータ量が所与の量を超えているとの条件等を含む。
【0058】
[ステップS2:複数の広告媒体について広告の実績を取得]
制御部11は、記憶部13と協働し、実績取得部111を実行する。そして、制御部11は、実績取得部111により、複数の広告媒体について広告の実績を取得する処理を実行する(ステップS2、実績取得ステップ)。制御部11は、実績を実績データベース132に格納し、処理をステップS3に移す。
【0059】
実績取得ステップは、広告配信条件と当該条件における実績との対応関係に係るデータを外部のデータベース等から取得する手順を含むことが好ましい。外部のデータベース等から取得されるデータは、例えば、管理装置1の管理者と異なる運営主体により運営されている広告媒体が当該広告媒体のAPIを介して提供しているデータ、管理装置1の管理者と異なる運営主体により運営されているデータベースにおいて収集されている市場データ等である。これにより、管理装置1は、例えば、自社データと市場データとを利用する精度の高い機械学習を行える。よって、管理装置1は、より高い精度でウェブ広告の実績を予測できる。したがって、管理装置1は、より高い精度で目標の実現に適した広告媒体及び広告配信条件を推定できる。
【0060】
[ステップS3:対応関係の予測に係る機械学習を実行]
制御部11は、記憶部13と協働し、第1機械学習部112を実行する。そして、制御部11は、第1機械学習部112により、対応関係の予測に係る機械学習を実行する処理を実行する(ステップS3、第1機械学習ステップ(機械学習ステップ))。制御部11は、処理をステップS4に移す。
【0061】
第1機械学習ステップ(機械学習ステップ)に係る機械学習は、複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を予測することに係るものであれば、特に限定されない。当該機械学習は、例えば、相関ルール学習、サポートベクターマシン(Support Vector Machine、SVM)、エクストリーム・ラーニング・マシン(Extreme Learning Machine、ELM)、ニューラルネットワークに係る誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)を用いた学習等を含む。当該機械学習は、特に、広告媒体及び実績を目的変数とし、広告配信条件を説明変数とする機械学習を含むことが好ましい。これにより、管理装置1は、広告媒体及び目標とする実績を入力とする機械学習を用いた処理によって、当該目標の実現に適した広告配信条件を予測できる。
【0062】
予測に係る労力を低減すべく、当該機械学習は、教師なし学習を含むことが好ましい。また、予測の精度をよりいっそう高めるべく、当該機械学習は、予測の妥当性に係る外部の評価等を用いた教師あり学習を含んでもよい。
【0063】
実績データベース132に広告配信条件の変化の前後における実績の履歴が含まれている場合、第1機械学習ステップにおける機械学習は、当該履歴を学習データに含む機械学習を実行することが好ましい。
【0064】
後述する関係予測部116は、広告配信条件に含まれる複数の条件を説明変数とし、CPM、CPA等の複数種類の指標が含まれる実績を目的変数とする対応関係を、第1機械学習部112における機械学習に基づいて予測する。このような多パラメータ対多パラメータの対応関係を予測する機械学習では、共通又は類似する部分が多い説明変数を含む学習データにより、予測の精度を高め得る。なぜならば、このような学習データは、説明変数の一部のみが異なるデータ間の関係をよく表しているからである。
【0065】
ところで、広告配信条件を変更するとき、しばしば、広告配信条件の一部のみを変更することが行われる。このような変更は、例えば、予算額のみ、単価のみを変更する等の変更である。よって、広告配信条件の変化の前後における実績の履歴は、説明変数である広告配信条件に共通又は類似する部分が多い学習データを含むことが期待される。よって、第1機械学習ステップにおいて、広告配信条件の変化の前後における実績の履歴を学習データに含む機械学習が行われることにより、関係予測部116は、より高い精度で広告配信条件と実績との対応関係を予測できる。
【0066】
また、第1機械学習ステップにおける機械学習は、後述する関係予測部116による予測と予測に対応する実績との対応付けを学習データに含む機械学習を実行することが好ましい。予測モデルと実績モデルとの比較に基づく機械学習は、予測モデルの精度を高めることが知られている。よって、第1機械学習ステップにおいて、関係予測部116による予測と予測に対応する実績との対応付けを学習データに含む機械学習が行われることにより、関係予測部116は、より高い精度で広告配信条件と実績との対応関係を予測できる。
【0067】
広告媒体ごとの違いを反映させるべく、第1機械学習ステップにおける機械学習は、広告媒体ごとに異なる機械学習モデルに、広告配信条件と実績との対応関係を予測することを機械学習させることが好ましい。
【0068】
機械学習に係る一連の処理は、目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴の予測に係る機械学習(第2機械学習)を実行する手順を含むことが好ましい。適正特徴の予測に係る機械学習(第2機械学習)は、第2機械学習部114等により実行される。ステップS4からステップS5は、第2機械学習に係る一連の処理の流れに係る一例である。
【0069】
[ステップS4:広告の特徴を判別]
制御部11は、記憶部13と協働し、特徴判別部113を実行する。そして、制御部11は、特徴判別部113により、広告データベース131に格納された広告の特徴を判別する処理を実行する(ステップS4、特徴判別ステップ)。制御部11は、処理をステップS5に移す。
【0070】
広告を構成する各種データの特徴を判別すべく、特徴判別ステップは、広告を構成する各種データに応じた処理により、広告の特徴を判別する手順を含むことが好ましい。当該処理は、例えば、音声認識モデルにより、広告を構成する音声の特徴を判別する手順を含む。当該処理は、例えば、画像認識モデルにより、広告を構成する画像及び/又は映像の特徴を判別する手順を含む。また、後述する第2機械学習ステップに係る入力データ量を抑えるべく、特徴判別ステップは、大規模言語モデルを用いた処理によって、広告の特徴を要約する手順を含むことが好ましい。テキスト以外のデータの特徴が要約に反映されるようにすべく、大規模言語モデルを用いた処理は、音声・画像等に係る手順により得られた特徴を示すテキストと、広告文とを入力データに含むことが好ましい。
【0071】
[ステップS5:適正特徴の予測に係る機械学習を実行]
制御部11は、記憶部13と協働し、第2機械学習部114を実行する。そして、制御部11は、第2機械学習部114により、適正特徴の予測に係る機械学習を実行する処理を実行する(ステップS5、第2機械学習ステップ)。制御部11は、処理をステップS6に移す。
【0072】
第2機械学習ステップに係る機械学習は、複数の広告媒体のそれぞれにおける目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を予測することに係るものであれば、特に限定されない。当該機械学習は、例えば、相関ルール学習、サポートベクターマシン(Support Vector Machine、SVM)、エクストリーム・ラーニング・マシン(Extreme Learning Machine、ELM)、ニューラルネットワークに係る誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)を用いた学習等を含む。当該機械学習は、特に、広告媒体及び実績を目的変数とし、適正特徴を説明変数とする機械学習を含むことが好ましい。これにより、管理装置1は、広告媒体及び目標とする実績を入力とする機械学習を用いた処理によって、当該目標の実現に適した適正特徴を予測できる。
【0073】
予測に係る労力を低減すべく、当該機械学習は、教師なし学習を含むことが好ましい。また、予測の精度をよりいっそう高めるべく、当該機械学習は、予測の妥当性に係る外部の評価等を用いた教師あり学習を含んでもよい。
【0074】
広告媒体ごとの違いを反映させるべく、第2機械学習ステップにおける機械学習は、広告媒体ごとに異なる機械学習モデルに、適正特徴の予測に係る機械学習を行わせることが好ましい。
【0075】
機械学習が行われた後に、管理装置1は、適正広告配信条件及び適正広告媒体の推定に係る一連の処理を実行する。ステップS6からステップS11は、適正広告配信条件及び適正広告媒体の推定に係る一連の処理の流れに係る一例である。
【0076】
[ステップS6:広告配信の要件等を取得するか判別]
制御部11は、記憶部13と協働し、要件等取得部115を実行する。そして、制御部11は、要件等取得部115により、広告配信の要件等を取得するか判別する処理を実行する(ステップS6、要件等取得要否判別ステップ)。取得すると判別された場合、制御部11は、要件等を取得し、処理をステップS7に移す。取得すると判別されなかった場合、制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS19の処理を繰り返す。
【0077】
要件等取得要否判別ステップにおいて広告配信の要件等を取得するか判別する手順は、特に限定されない。当該手順は、利用者の希望に基づいた適正広告媒体等の推定を可能とすべく、広告配信の要件等を端末Tから受信した場合に、広告配信の要件等を取得すると判別する手順を含むことが好ましい。
【0078】
要件等取得要否判別ステップにおいて取得される要件等は、広告配信条件に求められる要件及び広告の実績の目標を含む。
【0079】
ここで言う要件は、単価の種類・単価の上限値・単価の目標値、広告が行われる期間、一定期間当たりの予算、広告全体での予算、広告に関連するキーワード、広告の内容等の1以上を含む。
【0080】
要件が単価の種類と、単価の上限値及び/又は単価の目標値を含むことにより、管理装置1は、単価を所望の範囲に収めるとの要件に係る予測を行える。広告が行われる期間が要件に含まれることにより、管理装置1は、期間・時期に関する要件を踏まえた予測を行える。要件が一定期間当たりの予算及び/又は広告全体での予算を含むことにより、管理装置1は、費用を所望の範囲に収めるとの要件に係る予測を行える。要件が広告に関連するキーワード及び/又は広告の内容を含むことにより、管理装置1は、広告の内容・分野等を踏まえた予測を行える。
【0081】
また、ここで言う広告の実績の目標は、ウェブ広告の各種指標の1以上を特定の値より優れた値にしたいとの目標等を含む。ウェブ広告の各種指標は、例えば、広告の表示回数(Imp)、コストパーミル(CPM)、クリック回数(Click)、コストパークリック(CPC)、クリックスルーレート(CTR)、コンバージョン数(CV)、コストパーアクション(CPA)、コンバージョン率(CVR)、獲得費用(Cost)等である。
【0082】
目標がImp及び/又はCPMを特定の値より優れた値にしたいとの目標を含むことにより、管理装置1は、商品・役務等の知名度を高める認知拡大フェイズに適した予測を行える。目標がClick、CPC、CTR、CV、CPA、及び/又はCVRを特定の値より優れた値にしたいとの目標を含むことにより、管理装置1は、クリック、コンバージョン等の広告の成果を重視する予測を行える。目標がCPM、CPC、CPA、及び/又はCostを特定の値より優れた値にしたいとの目標を含むことにより、管理装置1は、費用対効果及び/又は費用を重視する予測を行える。
【0083】
[ステップS7:広告配信条件と実績との対応関係を予測]
制御部11は、記憶部13と協働し、関係予測部116を実行する。そして、制御部11は、関係予測部116により、第1機械学習ステップにおける機械学習に基づき、複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を予測する処理を実行する(ステップS7、関係予測ステップ)。制御部11は、処理をステップS8に移す。
【0084】
関係予測ステップは、要件等取得要否判別ステップにおいて取得された広告媒体及び実績の目標を入力とし、当該目標を達成するための広告配信条件を出力とする第1機械学習ステップにおける機械学習を用いた処理を含むことが好ましい。これにより、管理装置1は、当該出力に基づいて、上述の目標を達成するための広告配信条件である適正広告配信条件を推定できる。また、関係予測ステップは、上述の目標の近傍にある1以上の目標である近傍目標のそれぞれについて、当該近傍目標を達成するための広告配信条件を出力とする第1機械学習ステップにおける機械学習を用いた処理を含むことが好ましい。これにより、管理装置1は、目標そのものを達成する広告配信条件のみならず、目標の近傍にあるより好ましい実績又はより控えめな実績についても、広告配信条件を推定できる。
【0085】
管理処理は、関係予測ステップで予測された対応関係のうちに上述の要件の充足及び上述の目標の実現を共に満たす対応関係がない場合に、要件等の修正を要することを報知する一連の処理を含むことが好ましい。これにより、管理装置1は、実現が困難であると予測される要件等について、修正を促すことができる。ステップS8からステップS9は、当該報知に係る一連の処理の流れに係る一例である。
【0086】
[ステップS8:要件の充足及び目標の実現を共に満たす対応関係があるか判別]
制御部11は、記憶部13と協働し、関係予測ステップで予測された対応関係のうちに、要件等取得要否判別ステップにおいて取得された要件等に係る要件の充足及び目標の実現を共に満たす対応関係があるか判別する処理を実行する(ステップS8、対応関係存否判別ステップ)。あると判別された場合、制御部11は、処理をステップS10に移す。あると判別されなかった場合、制御部11は、処理をステップS9に移す。
【0087】
[ステップS9:要件等の修正を要することを報知]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、要件等の修正を要することを端末T等に報知する処理を実行する(ステップS9、要修正報知ステップ)。あると判別された場合、制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS19の処理を繰り返す。
【0088】
[ステップS10:適正広告配信条件を推定]
制御部11は、記憶部13と協働し、推定部117を実行する。そして、制御部11は、推定部117により、関係予測ステップにおける予測に基づいて、複数の広告媒体のそれぞれについて、要件の充足及び目標の実現に適した広告配信条件である適正広告配信条件を推定する処理を実行する(ステップS10、適正広告配信条件推定ステップ)。制御部11は、処理をステップS11に移す。
【0089】
適正広告配信条件推定ステップは、関係予測ステップにおける予測に基づく外挿、選択等によって、要件の充足及び目標の実現に最も適した広告配信条件を推定する。適正広告配信条件推定ステップは、例えば、複数の広告媒体のそれぞれについて、関係予測ステップにおける予測のうち、最も優れた実績に係る予測に対応する広告配信条件を適正広告配信条件であると推定する。
【0090】
適切な費用での広告を可能とすべく、適正広告配信条件推定ステップは、単価の算出に用いられる実績の種類(クリック回数、コンバージョン、表示回数等)、単価の上限値・目標値、一定期間当たりの予算、広告全体での予算等によって例示される広告の対価に係る各種条件を推定することが好ましい。また、適切なタイミングでの広告を可能とすべく、適正広告配信条件推定ステップは、広告が行われる期間等によって例示される、広告のタイミングに係る条件を推定することが好ましい。
【0091】
[ステップS11:適正広告媒体を推定]
制御部11は、記憶部13と協働し、推定部117を実行する。そして、制御部11は、推定部117により、関係予測ステップにおける予測及び適正広告配信条件推定ステップに係る推定に基づいて、複数の広告媒体のうち、要件の充足及び目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定する処理を実行する(ステップS11、適正広告媒体推定ステップ)。制御部11は、処理をステップS12に移す。
【0092】
適正広告媒体推定ステップは、関係予測ステップにおける予測及び適正広告配信条件推定ステップに係る推定に基づく外挿、選択等によって、要件の充足及び目標の実現に最も適した広告媒体を推定する。適正広告媒体ステップは、例えば、複数の広告媒体のうち、最も優れた適正広告配信条件に対応する広告媒体を適正広告媒体であると推定する。最も優れた適正広告配信条件は、例えば、目標に対応する条件のいずれかが最も優れている条件、目標に対応する複数の条件を用いた評価値が最も優れている条件等である。
【0093】
管理処理は、目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を予測し、当該適正特徴を有する広告を生成する一連の処理を含むことが好ましい。ステップS12からステップS14は、当該予測及び生成に係る一連の処理の流れに係る一例である。なお、当該処理の生成に係る広告は、一定の領域に表示される広告用の画像又は映像であるバナー、広告記事、SEO記事等によって例示される、各種の態様の広告を含む。
【0094】
[ステップS12:広告を生成するか判別]
制御部11は、記憶部13と協働し、広告を生成するか判別する処理を実行する(ステップS12、広告生成要否判別ステップ)。生成すると判別された場合、制御部11は、処理をステップS13に移す。生成すると判別されなかった場合、制御部11は、処理をステップS15に移す。
【0095】
利用者の要望に応じて広告を生成すべく、広告生成要否判別ステップは、端末Tから広告の生成を指令された場合に、広告を生成するか判別する手順を含むことが好ましい。
【0096】
[ステップS13:適正特徴を予測]
制御部11は、記憶部13と協働し、特徴予測部118を実行する。そして、制御部11は、特徴予測部118により、要件等取得要否判別ステップで取得された目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を予測する処理を実行する(ステップS13、特徴予測ステップ)。制御部11は、処理をステップS14に移す。
【0097】
特徴予測ステップは、第2機械学習ステップにおいて行われた機械学習に基づいて、適正特徴を予測する。当該機械学習は、特徴判別ステップにおいて特徴判別部113により判別された広告の特徴及び当該広告に係る実績を学習データに含む。これにより、管理装置1は、過去に行われた広告の特徴及び実績に基づく適正特徴を予測できる。
【0098】
具体的に、特徴予測ステップは、例えば、要件等取得要否判別ステップで取得された要件及び目標、適正広告媒体推定ステップにおいて推定された適正広告媒体を入力とする当該機械学習に基づいた処理により、当該適正広告媒体における当該目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を予測する。
【0099】
管理装置1は、特徴予測ステップにおいて、例えば、BGM、声のトーン、登場人物の有無、性別・年齢・容姿・服装・振る舞い等によって例示される登場人物の特徴、撮影地等によって例示される背景の種別、小道具の種類、言葉遣い、言い回し等の各種特徴について、目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を予測する。
【0100】
[ステップS14:適正特徴を有する広告を生成]
制御部11は、記憶部13と協働し、広告生成部119を実行する。そして、制御部11は、広告生成部119により、特徴予測ステップで予測された適正特徴を有する広告を生成する処理を実行する(ステップS14、広告生成ステップ)。制御部11は、処理をステップS15に移す。
【0101】
広告生成ステップは、生成ニューラルネットワークにより、適正特徴を有する広告を生成する。広告生成ステップは、広告の種類に応じた複数の構成要素を別の生成ニューラルネットワークで生成し、生成された複数の構成要素を連結する手順を含んでもよい。また、広告生成ステップは、特徴予測ステップで予測された適正特徴に基づいて、広告記事又はSEO記事を生成してもよい。SEO記事は、検索者の意図を解決することを目的とした文章で、検索結果のトップページに表示される確率が高くなるように、検索エンジンに最適化されたコンテンツである。これにより、広告記事及びSEO記事の作成に時間及び労力が費やされるとの課題が解決される。広告記事及びSEO記事の生成は、当該記事が上述の文章を含む点を除き、広告の生成と同様でよい。
【0102】
以下は、複数の構成要素それぞれを生成する手段の例示である。広告生成ステップは、例えば、大規模言語モデルにより、広告を構成する広告文を生成する。広告生成ステップは、例えば、音声生成ニューラルネットワークにより、広告を構成する音声を生成する。広告生成ステップは、例えば、画像生成ニューラルネットワークにより、広告を構成する画像又は動画素材等の映像を生成する。その他、広告生成ステップは、例えば、大規模言語モデルにより、広告に係るキーワード、テロップ等を生成してもよい。また、広告生成ステップは、エフェクトの生成に係るニューラルネットワークにより、広告の画像、映像、音声等に適用するエフェクトを生成してもよい。
【0103】
ウェブ広告においては、広告文、広告用音声、広告のレイアウト、広告用画像等によって例示される広告の各種要素に係る特徴が広告の実績に大きな影響を与え得る。しかしながら、特定の広告媒体におけるウェブ広告の管理に熟達していない広告主等は、当該広告媒体において所望の広告効果を得るために適切な広告の特徴を設定することに困難を覚え得る。
【0104】
適正特徴予測ステップにおいて、特徴予測部118は、第2機械学習ステップにおける機械学習に基づいて、目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を予測する。当該機械学習は、特徴判別ステップで特徴判別部113により判別された広告の特徴を学習データに含む機械学習である。そして、広告生成ステップにおいて、広告生成部119は、生成ニューラルネットワークにより、予測された適正特徴を有する広告を生成する。これにより、管理装置1は、所望の広告効果を得るために適切な広告の特徴の設定において、広告主を支援できる。
【0105】
管理装置1は、広告生成ステップにおいて、例えば、BGM、声のトーン、登場人物の有無、性別・年齢・容姿・服装・振る舞い等によって例示される登場人物の特徴、撮影地等によって例示される背景の種別、小道具の種類、言葉遣い、言い回し等によって例示される各種特徴について、目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴を有する広告を生成できる。なお、広告生成ステップは、いわゆるチャットボットを介した利用者との対話によって、広告等を構成する各種要素を改善する手順を含むことが好ましい。これにより、生成ニューラルネット等のAIを用いた自動生成において、当該自動生成に係るプロンプト等の生成パラメータの品質が利用者の習熟度に依存するとの課題を解決できる。当該手順は、各種要素の生成パラメータに係る質問を説明変数として含み、当該質問に対する適切な回答を目的変数として含む学習データを用いた機械学習が行われた大規模言語モデルにより実現される。すなわち、当該手順は、例えば、各種要素の生成パラメータに係る質問を端末Tから受信し、当該質問に対する回答を上述の機械学習が行われた大規模言語モデルに生成させ、当該回答を端末Tに送信し、端末Tから生成パラメータを含む各種要素の生成指示を受信した場合に、当該生成パラメータを用いて上述の各種要素の生成を行う一連の手順等によって実現される。
【0106】
[ステップS15:適正広告媒体及び適正広告配信条件に係る実績を予測]
制御部11は、記憶部13と協働し、関係予測部116を実行する。そして、制御部11は、関係予測部116により、第1機械学習ステップにおける機械学習に基づき、適正広告媒体及び適正広告配信条件に係る実績を予測する処理を実行する(ステップS15、実績予測ステップ)。制御部11は、処理をステップS16に移す。
【0107】
実績予測ステップに係る予測は、適正広告媒体及び適正広告配信条件に係る実績を予測を行う点を除き、関係予測ステップに係る予測と同様でよい。
【0108】
[ステップS16:適正広告媒体等の表示を指令]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、適正広告媒体等の表示を端末T等に指令する処理を実行する(ステップS16、表示指令ステップ)。制御部11は、処理をステップS17に移す。
【0109】
より具体的に、表示指令ステップは、適正広告媒体推定ステップにおいて推定された適正広告媒体、適正広告配信条件推定ステップにおいて推定された適正広告配信条件、及び実績予測ステップにおいて予測された実績の表示を指令する。これにより、管理装置1は、上述の処理で自動的に生成された、広告配信条件に係る所望の要件及び所望の実績に係る好ましい広告媒体及び広告配信条件を利用者にレコメンドできる。
【0110】
管理装置1によるレコメンドにより、管理装置1の利用者は、広告配信条件に係る所望の要件、所望の実績を満たす適正広告媒体及び当該媒体における適正広告配信条件を把握できる。また、利用者は、当該媒体及び当該条件において予測される実績を把握できる。これにより、利用者は、予測される実績等を踏まえて、広告の配信を開始するか否かを判断できる。
【0111】
表示指令ステップは、広告の表示回数(Imp)、コストパーミル(CPM)、クリック回数(Click)、コストパークリック(CPC)、クリックスルーレート(CTR)、コンバージョン数(CV)、コストパーアクション(CPA)、コンバージョン率(CVR)、獲得費用(Cost)等の各種の実績の予測値を見やすいユーザインタフェースで表示させることができる。これにより、管理装置1は、広告に係る実績の予測値を容易に把握できる。
【0112】
広告生成ステップにおいて広告が生成されている場合、表示指令ステップは、当該広告の表示をさらに指令することが好ましい。これにより、利用者は、生成された広告を踏まえて、広告の配信を開始するか否かを判断できる。また、利用者は、生成された広告を適宜修正して広告の配信を開始する判断を行える。
【0113】
[ステップS17:広告配信を開始せよとの指令があったか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、管理部120を実行する。そして、制御部11は、管理部120により、表示指令ステップに係る広告について、広告配信を開始せよとの指令があったか判別する処理を実行する(ステップS17、配信開始指令有無判別ステップ)。指令があったと判別されたならば、制御部11は、処理をステップS19に移す。指令があったと判別されなかったならば、制御部11は、処理をステップS18に移す。
【0114】
配信開始指令有無判別ステップに係る指令は、適正広告配信条件推定ステップにおいて推定された適正広告配信条件により広告配信を開始せよとの指令でよい。また、配信開始指令有無判別ステップに係る指令は、利用者に指定された広告配信条件により広告配信を開始せよとの指令でもよい。表示指令ステップにおいて適正広告配信条件が表示されているため、利用者は、適正広告配信条件を修正する比較的容易な手順で所望の広告配信条件を指定できる。
【0115】
[ステップS18:要件等を変更するとの指令があったか判別]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、管理部120を実行する。そして、制御部11は、管理部120により、表示指令ステップに係る広告について、要件等を変更するとの指令があったか判別する処理を実行する(ステップS18、要件等変更指令有無判別ステップ)。指令があったと判別されたならば、制御部11は、処理をステップS6に移す。指令があったと判別されなかったならば、制御部11は、処理をステップS17に移す。
【0116】
[ステップS19:適正広告媒体における広告を開始]
制御部11は、記憶部13及び通信部14と協働し、管理部120を実行する。そして、制御部11は、管理部120により、適正広告媒体推定ステップにおいて推定された適正広告媒体における広告を開始する処理を実行する(ステップS19、広告配信開始ステップ)。制御部11は、処理をステップS1に戻し、ステップS1からステップS19の処理を繰り返す。
【0117】
広告配信開始ステップは、適正広告配信条件推定ステップにおいて推定された適正広告配信条件又は利用者により修正された当該条件に基づいて、広告の配信を開始する。広告の配信を開始する手順は、例えば、適正広告媒体に係るサーバ等に、指定された広告配信条件で広告の配信を開始するよう指令するステップを含む。
【0118】
[広告停止ステップ]
管理処理は、管理部120に係る処理として、関係予測部116において予測された対応関係が要件等取得要否判別ステップにおいて取得された要件の充足及び目標の実現を共に満たす対応関係を含まない場合に、当該予測に係る広告を停止するステップ(広告停止ステップ)を含むことが好ましい。
【0119】
特定の広告媒体におけるウェブ広告の管理に熟達していない広告主は、当該広告媒体において所望の広告効果を得るために適切な広告配信条件の要件を設定することに困難を覚え得る。そのため、当初与えられた要件を満たす広告配信条件では、当初期待されていた実績の目標を達成が難しい場合があり得る。そのような場合に広告が自動的に続けられてしまうと、広告主は、期待と異なる広告に広告費を支払うことになり得る。
【0120】
広告停止ステップにおいて、管理部120は、関係予測ステップで予測された対応関係が要件等取得要否判別ステップにおいて取得された要件の充足及び当該要件に係る目標の実現を共に満たす対応関係を含まない場合に、当該予測に係る広告を停止する。これにより、管理装置1は、当初与えられた要件を満たす広告配信条件では当初期待されていた実績の目標を達成が難しい場合において、広告主が期待と異なる広告に広告費を支払うことを防ぐ。
【0121】
広告停止ステップが実行されるタイミングは、広告の開始後を含むことが好ましい。これにより、管理装置1は、当初与えられた要件を満たす広告配信条件では当初期待されていた実績の目標を達成が難しいと広告の開始後に予測できた場合において、広告主が期待と異なる広告に広告費を支払うことを防ぐ。
【0122】
[コンバージョン表示ステップ]
管理処理は、実績取得部111により配信中又は配信終了後の広告に係るコンバージョンの実績を広告主が管理する広告対象のオンライン取引を行うサーバ等から取得し、取得されたコンバージョンの実データを端末T等に表示させる一連の処理を含むことが好ましい。これにより、利用者は、CV等によって例示されるコンバージョンに係る実績の実データを容易に把握できる。
【0123】
[管理処理の効果]
ウェブ広告は、各種の広告媒体を介して行われている。これらの広告媒体は、広告媒体ごとに得意とする分野、単価帯等が異なり得る。よって、効果的なウェブ広告を行うためには、適切な広告媒体の選択が重要となる。
【0124】
上述の管理処理を実行することにより、本実施形態の管理装置1は、複数の広告媒体間の適切な比較に貢献する機械学習及び予測を行える。具体的に、管理装置1は、第1機械学習ステップ等において、複数の広告媒体間の適切な比較に貢献する機械学習を行う。また、管理装置1は、関係予測ステップ等において、複数の広告媒体間の適切な比較に貢献する予測を行う。
【0125】
上述の管理処理では、機械学習に基づき、複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係を予測する。そのため、管理装置1は、この予測に基づいて、複数の広告媒体のうち広告主が目指す目標の実現に適した広告媒体である適正広告媒体を推定できる。そして、管理装置1は、当該適正広告媒体及び当該適正広告媒体における適切な広告配信条件を提供できる。加えて、管理装置1は、表示指令ステップにおいて、当該適正広告媒体における実績の予測結果を提供できる。よって、管理装置1は、ウェブ広告において、適切な広告媒体の選択を含む広告の開始及びその管理を支援できる。
【0126】
管理装置1は、管理処理において、各種の実績について、実績の予測並びに適正広告配信条件及び適正広告媒体の推定を行う。これにより、管理装置1は、例えば、利益を最大化したいとの要望、コンバージョン数を最大化したいとの要望、獲得単価を下げたいとの要望等によって例示される各種要望に応じた目標について、適切な広告媒体の選択を含む広告の開始及びその管理を支援できる。
【0127】
ところで、広告を作成することは、広告対象となる商品及び役務等に係る知識だけでなく、広告に係る文章、音声、画像等に関する広範な知識を要する。そのため、広告を作成することは、容易ではない。上述の管理処理では、機械学習に基づき、適切な広告媒体において目標とする実績を実現することに適した広告を自動生成できる。よって、管理装置1は、ウェブ広告において、適切な広告媒体の選択のみならず、当該広告媒体において目標とする実績を実現することに適した広告の作成を支援できる。
【0128】
複数の広告媒体は、広告の管理に係るユーザインタフェースが互いに異なる。管理装置1は、管理部120により、複数の広告媒体における広告を一元管理できる。そして、管理装置1は、適正広告媒体及び適正広告配信条件を表示するユーザインタフェースにより、利用者が広告媒体の違いを意識することなく複数の広告媒体を利用して広告を入稿及び配信することを可能にする。
【0129】
したがって、上述の管理処理を実行する管理装置1は、ウェブ広告において、運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分けた広告活動を支援できる。
【0130】
<使用例>
以下は、管理装置1の使用例である。
【0131】
〔機械学習〕
管理装置1の管理者は、機械学習に係る手順を行う。
【0132】
[学習データの提供]
管理装置1の管理者は、広告配信条件及び当該条件における実績のデータを取得させる。当該データは、管理装置1で管理される広告の実績に係るデータを含む。また、予測及び推定の精度を高めるべく、当該データは、外部の広告媒体、外部のデータベース等から取得されたデータをさらに含むことが好ましい。
【0133】
[機械学習の実行]
管理者は、管理装置1に機械学習の実行を指令する。管理装置1は、実績データベース132に格納された実績等に基づいて、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を実行する。適切な広告を生成すべく、管理装置1は、目標の実現に適した広告の特徴である適正特徴の予測に係る機械学習をさらに実行することが好ましい。
【0134】
〔ウェブ広告の配信〕
管理装置1の利用者は、端末Tを介してウェブ広告の配信を開始させる。
【0135】
[要件等の指定]
管理装置1の利用者は、端末Tを介して、ウェブ広告の広告配信条件に係る要件及び実績の目標(要件等)を管理装置1に提供する。管理装置1は、提供された要件等を取得する。
【0136】
[適正広告媒体等の推定]
管理装置1は、機械学習に基づいて、提供された要件等を満たし、かつ、目標の実現に適した適正広告媒体及び当該媒体における目標の実現に適した適正広告配信条件を推定する。また、管理装置1は、当該条件において予測される実績を予測する。
【0137】
[広告等の生成]
利用者は、端末T等を介して、バナー、広告記事等の広告又はSEO記事等(広告等)の生成を管理装置1に指令してもよい。管理装置1は、推定された適正広告媒体における目標の実現に適した広告等を生成する。利用者は、テキスト広告、画像広告、動画広告等の任意の種類の広告等について、生成を指令できる。また、利用者は、生成された広告等を一部又は全部修正できる。これにより、利用者は、一から広告等を作成するより少ない労力で、所望の広告等を作成し、配信できる。加えて、利用者は、チャットボットを介して広告等の生成パラメータを改善できる。これにより、AIを用いた生成に習熟していない利用者であっても、所望の広告等を作成し、配信できる。
【0138】
[推定結果等の確認]
管理装置1は、推定された適正広告媒体及び適正広告配信条件、並びに、当該媒体及び当該条件において予測される実績を端末Tに表示させる。利用者は、端末Tに表示された適正広告媒体、適正広告配信条件、及び予測される実績を確認する。そして、利用者は、当該媒体及び条件で広告を配信するか検討する。
【0139】
[ウェブ広告の配信を開始]
利用者は、上述の表示に基づいて、広告の配信を開始するよう管理装置1に指令する。管理装置1は、適正広告媒体に広告の配信を開始させる。
【0140】
(適正広告配信条件での配信)
利用者は、表示された適正広告配信条件で広告の配信を開始するよう管理装置1に指令できる。管理装置1は、表示された適正広告配信条件で広告の配信を開始するよう適正広告媒体に指令する。
【0141】
(適正広告配信条件を修正した条件での配信)
利用者は、表示された適正広告配信条件を修正できる。そして、利用者は、修正された広告配信条件で広告の配信を開始するよう管理装置1に指令できる。管理装置1は、修正された広告配信条件で広告の配信を開始するよう適正広告媒体に指令する。
【0142】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0143】
S システム
1 管理装置
11 制御部
111 実績取得部
112 第1機械学習部
113 特徴判別部
114 第2機械学習部
115 要件等取得部
116 関係予測部
117 推定部
118 特徴予測部
119 広告生成部
120 管理部
13 記憶部
131 広告データベース
132 実績データベース
14 通信部
N ネットワーク
T 端末
【要約】
【課題】ウェブ広告において、運営主体が異なる複数の広告媒体を使い分けた広告活動を支援すること。
【解決手段】本発明のウェブ広告の管理装置1は、運営主体が異なる複数の広告媒体のそれぞれについて、広告媒体を用いた広告を管理する管理部120と、広告のそれぞれに係る実績を取得する実績取得部111と、複数の広告媒体のそれぞれについて、広告配信条件と実績との対応関係の予測に係る機械学習を実行する第1機械学習部112と、この機械学習に基づいて、複数の広告媒体のそれぞれについて広告配信条件と実績との対応関係を予測する関係予測部116と、この予測に基づいて、前述の要件及び目標に係る適正広告媒体及び適正広告配信条件を推定する推定部117と、を備える。
【選択図】
図1