(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】寸法可変の押出口を備える3D印刷装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/209 20170101AFI20240726BHJP
B29C 48/345 20190101ALI20240726BHJP
B29C 48/255 20190101ALI20240726BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240726BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20240726BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240726BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240726BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240726BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C48/345
B29C48/255
B29C64/118
B29C64/106
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/393
(21)【出願番号】P 2023521431
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2020120405
(87)【国際公開番号】W WO2022077163
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】522384905
【氏名又は名称】蘇州美梦機器有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU MEAMAN MACHINES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 2, No. 36, East Dalian Road, Taicang City Suzhou, Jiangsu 215400, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 衛東
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106945264(CN,A)
【文献】国際公開第2020/087359(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0182701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00 - 48/96
B29C 64/00 - 64/40
B22F 10/00 - 12/90
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寸法可変の押出口を備える3D印刷装置であって、
材料輸送部、材料吐出部及び制御部を備え、
前記材料輸送部は材料の入口及び出口を有し、
前記材料吐出部は1つの押出口を備え、前記押出口は前記材料を押し出すように前記材料輸送部の出口と流体連通可能であり、前記押出口は複数の孔道に分割されており、
前記制御部は、前記押出口を用いて1つの独立した連通領域に対して充填を行うときに、前記材料輸送部と前記材料吐出部とが相対的に運動するように制御することによって、前記複数の孔道のうちの、前記材料輸送部の出口に連通する孔道の数を変え、ひいては
充填される領域の輪郭線の変化に従って前記押出口の長さが変化するように前記押出口の寸法を変え
て、前記領域全体に対する充填を一度で完了するように構成される
ことを特徴とする3D印刷装置。
【請求項2】
前記材料輸送部は1つの内筒であり、前記材料吐出部は前記内筒のスリーブであり、
前記制御部は、前記内筒及び前記スリーブが前記内筒の軸線方向に沿って移動するように制御することによって前記押出口の長さを変えるように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の3D印刷装置。
【請求項3】
前記材料輸送部は1つの内筒であり、前記材料吐出部は前記内筒のスリーブであり、
前記複数の孔道は複数行の孔道を含み、
前記制御部は、前記内筒と前記スリーブが前記内筒の軸線に関して回転するように制御することによって、前記複数行の孔道のうちの、連通状態にある孔道の行数を変え、ひいては前記押出口の幅を変えるように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の3D印刷装置。
【請求項4】
前記材料吐出部は、前記材料輸送部の出口の外側にある1つの遮蔽板であり、
前記制御部は、前記材料輸送部と前記遮蔽板が前記押出口の長さ方向及び/又は幅方向に沿って相対的に移動するように制御するように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の3D印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の孔道を前記材料輸送部の出口の所在領域の外部まで移動することによって、前記複数の孔道を同時に遮断するように構成される
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の3D印刷装置。
【請求項6】
前記複数の孔道により押し出される材料は、前記独立した連通領域において一体になるように融合可能である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の3D印刷装置。
【請求項7】
前記複数の孔道は下部行孔道を構成し、前記材料輸送部の出口の中には前記下部行孔道に対向する上部行孔道が設けられる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の3D印刷装置。
【請求項8】
前記材料輸送部の内部には凹溝が設けられており、前記上部行孔道は前記凹溝を介して前記入口と流体連通する
ことを特徴とする請求項
7に記載の3D印刷装置。
【請求項9】
3D印刷装置であって、
1行の孔道及び制御部を備え、
前記制御部は、前記1行の孔道が1行の材料を同時に押し出すように制御することによって1つの領域を充填するとともに、前記1行の孔道の連通及び遮断を制御することによって前記1行の材料の長さを変えるように構成され、
前記1行の孔道は、前記1行の孔道のうちの隣接する孔道により押し出される材料が前記領域において互いに融合可能にするように配列される
ことを特徴とする3D印刷装置。
【請求項10】
前記1行の孔道は第1孔道アレイに含まれ、
前記3D印刷装置は第2孔道アレイを更に含み、
前記第2孔道アレイは、前記第2孔道アレイ中のそれぞれの孔道により押し出される材料が印刷プラットフォームにおいて互いに離隔するようになる、ように配列される
ことを特徴とする請求項
9に記載の3D印刷装置。
【請求項11】
寸法可変の押出口を備える3D印刷装置の制御方法であって、
前記3D印刷装置は材料輸送部及び材料吐出部を備え、
前記材料輸送部は材料の入口及び出口を有し、
前記材料吐出部は1つの押出口を有し、前記押出口は材料を押し出すように前記材料輸送部の出口と流体連通可能であり、前記押出口は複数の孔道に分割され、
前記制御方法は、
前記押出口が1つの独立した連通領域に対して充填を行うように制御するステップと、
前記押出口を用いて1つの独立した連通領域に対して充填を行うとき、前記材料輸送部と前記材料吐出部が相対的に運動するように制御することによって、前記複数の孔道のうちの、前記材料輸送部の出口に連通する孔道の数を変え、ひいては前記押出口の寸法を変えるステップと、を含
み、
前記した、前記押出口が1つの独立した連通領域に対して充填を行うように制御するステップは、
前記押出口の長さが前記領域の輪郭線の変化に従って変化するように前記押出口の長さを制御することによって、前記領域全体に対する充填を一度で完了することを含む
ことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
前記材料輸送部は1つの内筒であり、前記材料吐出部は前記内筒のスリーブであり、
前記した、前記材料輸送部と前記材料吐出部が相対的に運動するように制御することは、
前記内筒及び前記スリーブが前記内筒の軸線方向に沿って移動するように制御することによって前記押出口の長さを変えることを含む
ことを特徴とする請求項
11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記材料輸送部は1つの内筒であり、前記材料吐出部は前記内筒のスリーブであり、
前記複数の孔道は複数行の孔道を含み、
前記した、前記材料輸送部と前記材料吐出部が相対的に運動するように制御することは、
前記内筒と前記スリーブが前記内筒の軸線に関して回転するように制御することによって、前記複数行の孔道のうちの、連通状態にある孔道の行数を変え、ひいては前記押出口の幅を変えることを含む
ことを特徴とする請求項
11に記載の制御方法。
【請求項14】
前記材料吐出部は、前記材料輸送部の出口の外側にある1つの遮蔽板であり、
前記した、前記材料輸送部と前記材料吐出部が相対的に運動するように制御することは、
前記材料輸送部と前記遮蔽板が前記押出口の長さ方向及び/又は幅方向に沿って相対的に移動するように制御することを含む
ことを特徴とする請求項
11に記載の制御方法。
【請求項15】
前記複数の孔道を前記材料輸送部の出口の所在領域の外部まで移動することによって前記複数の孔道を同時に遮断するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項
11ないし
14のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項16】
前記複数の孔道により押し出される材料は、前記独立した連通領域において一体になるように融合可能である
ことを特徴とする請求項
11ないし
14のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項17】
前記複数の孔道は下部行孔道を構成し、前記材料輸送部の出口の中には前記下部行孔道に対向する上部行孔道が設けられる
ことを特徴とする請求項
11ないし
14のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項18】
前記材料輸送部の内部には凹溝が設けられており、前記上部行孔道は前記凹溝を介して前記入口と流体連通する
ことを特徴とする請求項
17に記載の制御方法。
【請求項19】
3D印刷装置の制御方法であって、
前記3D印刷装置は1行の孔道を備え、
前記制御方法は、
前記1行の孔道が1行の材料を同時に押し出すように制御することによって1つの領域を充填するステップと、
前記1行の孔道の連通及び遮断を制御することによって前記1行の材料の長さを変えるステップと、を含み、
前記1行の孔道は、前記1行の孔道のうちの隣接する孔道により押し出される材料が前記領域において互いに融合可能にするように配列される
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3D印刷の分野に関し、より具体的には、寸法可変の押出口を備える3D印刷装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3D印刷装置は一般に、押出口の口径が一定である。
【0003】
3D印刷技術の成長に伴って、新型の押出口が現れてきた。このような押出口は、実際の必要に応じて押出口の寸法がダイナミックに調節されることが可能である。このような押出口を備える3D印刷装置は、印刷精度及び印刷効率を兼備する面において顕著な強みを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような3D印刷装置には、より一層進化する見込みがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、寸法可変の押出口を備える3D印刷装置を提供する。該3D印刷装置は材料輸送部、材料吐出部及び制御部を備え、前記材料輸送部は材料の入口及び出口を有し、前記材料吐出部は1つの押出口を備え、前記押出口は前記材料を押し出すように前記材料輸送部の出口と流体連通可能であり、前記押出口は複数の孔道に分割されており、前記制御部は、前記押出口を用いて1つの独立した連通領域に対して充填を行うときに、前記材料輸送部と前記材料吐出部とが相対的に運動するように制御することによって、前記複数の孔道のうちの、前記材料輸送部の出口に連通する孔道の数を変え、ひいては前記押出口の寸法を変えるように構成される。
【0006】
第2の態様では、3D印刷装置を提供する。該3D印刷装置は1行の孔道及び制御部を備え、前記制御部は、前記1行の孔道が1行の材料を同時に押し出して1つの領域を充填するように制御するとともに、前記1行の孔道の連通及び遮断を制御して前記1行の材料の長さを変えるように構成され、前記1行の孔道は、前記1行の孔道のうちの隣接する孔道により押し出される材料が前記領域において互いに融合可能にするように配列される。
【0007】
第3の態様では、寸法可変の押出口を備える3D印刷装置の制御方法を提供する。前記3D印刷装置は材料輸送部及び材料吐出部を備え、前記材料輸送部は材料の入口及び出口を有し、前記材料吐出部は1つの押出口を備え、前記押出口は前記材料を押し出すように前記材料輸送部の出口と流体連通可能であり、前記押出口は複数の孔道に分割され、前記制御方法は、前記押出口が1つの独立した連通領域に対して充填を行うように制御することを含み、前記押出口により1つの独立した連通領域に対して充填を行うときに、前記材料輸送部と前記材料吐出部とが相対的に運動するように制御することによって、前記複数の孔道のうちの、前記材料輸送部の出口に連通する孔道の数を変え、ひいては前記押出口の寸法を変える。
【0008】
第4の態様では、3D印刷装置の制御方法を提供する。前記3D印刷装置は1行の孔道を備え、前記制御方法は、前記1行の孔道が1行の材料を同時に押し出して1つの領域を充填するように制御することと、前記1行の孔道の連通及び遮断を制御して前記1行の材料の長さを変えることと、を含み、前記1行の孔道は、前記1行の孔道のうちの隣接する孔道により押し出される材料が前記領域において互いに融合可能にするように配列される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施例に係る3D印刷装置の構造模式図である。
【
図2】
図1による3D印刷装置の局部拡大図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係るもう1つの3D印刷装置の構造模式図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係る複数行の孔道の1つの配列形態の模式図である。
【
図5】本発明の第1実施例に係る複数行の孔道のもう1つの配列形態の模式図である。
【
図6】本発明の第1実施例に係る、間隔がそれぞれ相違する複数種類の孔道アレイの模式図である。
【
図7】
図6による複数種類の孔道アレイにより印刷された中実構造及びグリッド構造の例示図である。
【
図8】本発明の第1実施例に係る3D印刷装置により印刷されたグリッド構造の例示図である。
【
図9】本発明の第2実施例に係る3D印刷装置の構造模式図である。
【
図10】本発明の第2実施例に係るもう1つの3D印刷装置の構造模式図である。
【
図11】本発明の第2実施例に係る、スリーブ及び内筒の係合構造を備える3D印刷装置の側面図である。
【
図12】本発明の第2実施例に係る複数行の孔道の配列形態を示す模式図である。
【
図13】本発明の第2実施例に係る複数行の孔道の配列形態を示す模式図である。
【
図14】本発明の第2実施例に係るもう1つの3D印刷装置の構造模式図である。
【
図15】本発明の第2実施例に係る、肉厚構造を有するスリーブの構造模式図である。
【
図16】本発明の第3実施例に係る3D印刷装置の制御方法の模式的フローチャートである。
【
図17】本発明の第3実施例に係るもう1つの3D印刷装置の制御方法の模式的フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来の3D印刷装置は一般に、押出口の口径が一定である。3D印刷技術の成長に伴って、新型の押出口が現れてきた。このような押出口は、実際の必要に応じて押出口の寸法がダイナミックに調節されることが可能である。このような押出口を備える3D印刷装置は、印刷精度及び印刷効率を兼備する面において顕著な強みを有する。
【0011】
寸法が異なる押出口を形成するために、関連技術においては一般に、3D印刷装置の底部に2つの可動ブロック(2つの可動ブロックの間にある隙間が押出口になる)を設ける。このような関連技術は、2つの可動ブロックが相対的に滑動するように制御することによって2つの可動ブロックの間の隙間を変化させ、ひいては寸法が異なる押出口を形成する。該関連技術に関する詳しい記載は例えばPCT/CN2017/083647及びPCT/CN2018/113069を参照できる。
【0012】
しかしながら、これらの提案によれば、押出口の寸法が変化するとき、材料が押出口で圧迫されるようになる。それにより、材料の流れ率が不均一になって印刷品質が低下してしまう。例えば、押出口の長さが縮小される場合、2つの可動ブロックは押出口の長さ方向に沿って対向移動する。2つの可動ブロックが対向移動すると、押出口の長さ方向において材料を圧迫するようになり、それによって圧力が押出口の長さ方向において伝播して、押出口の長さ方向において材料の流れ率が不均一になってしまう。
【0013】
(第1実施例)
上述した課題を解決するために、
図1に示すように、本発明は3D印刷装置を提供する。該3D印刷装置は流動可能状態の材料(又は溶融状態の材料)を用いて3D印刷を行うことができる。該3D印刷装置の押出口は寸法が可変である。
【0014】
該3D印刷装置は材料輸送部10及び材料吐出部20を備えることができる。3D印刷装置中の材料は材料輸送部10を通じて材料吐出部20まで輸送されることができ、さらに材料吐出部20により材料を押し出す。
【0015】
材料輸送部10は材料の入口11及び出口12を備えることができる。入口11と出口12の間には材料輸送チャンネル13が設けられることができる。材料は入口11から進入し、材料輸送チャンネル13を通過し、出口12から流出する。材料の出口12は1つの凹溝であってもよく、本発明の実施例は凹溝の断面形状について特に限定せず、例えば1つの細長い矩形溝であってもよく、台形や他の形状であってもよい。
【0016】
材料吐出部20は1つの押出口21を備える。押出口21は、材料を押し出すように、材料輸送部10の出口12内の流体に連通可能である。例示的に、押出口21を出口12の外側に配置することができる。
【0017】
押出口21は1つの領域を充填するように用いられることができる。該領域は独立した連通領域であり得る。押出口21は、該独立した連通領域を面充填の方式で充填することができる。すなわち、該独立した連通領域を充填するとき、該押出口21の長さは該独立した連通領域の輪郭線の変化に従って変化することができ、それによって該独立した連通領域の全域を一度で完全に充填することができる。
【0018】
押出口21は複数の孔道211を備えるか、又は複数の孔道211(各孔道は方形孔であってもよく、円形孔であってもよい)に分割されることができる。例えば、押出口21は、少なくとも1行の孔道を含む孔道アレイに分割されてもよい。孔道211同士の間は孔壁(或いはセパレータ)により離隔される。該複数の孔道211は、隣接する孔道により押し出される材料が、充填される領域において互いに融合(又は互いに連続)できるように、緊密に配列されることができる。又は、言い換えると、複数の孔道211は、該複数の孔道211のうちの隣接する孔道により押し出される材料が印刷プラットフォーム(或いは成型プラットフォームと称する)において互いに融合できるように、配列される。例えば、複数の孔道211のそれぞれにより押し出される材料が印刷プラットフォームに塗布されるとき、隣接する孔道により押し出される材料は、互いの距離が近いため、自重によって流れて互いに連続する塗布層(或いは印刷層と称する)を形成する。もちろん、一部の実施例においては、該複数の孔道211により押し出される材料の融合効果を保証するために、補助的手段(例えば機械的プレス手段)を更に採用してもよい。
【0019】
なお、本発明の実施例は複数の孔道211中の孔道の壁厚さ、孔道間の距離又は孔道の配列の緊密さに対して詳しく限定せず、これらは材料の材質及び流動性に応じて設定されることができる。
【0020】
孔道は、孔径が異なると、それにより形成される印刷層の厚さも異なる。例えば、精密印刷の場合、印刷厚さが0.1mm未満の超薄印刷層を形成するために、孔道は0.1mm以下の孔径を採用することができる。もう1つの例として、高効率印刷の場合、印刷厚さが1mm以上の超厚印刷層を形成するために、孔道は1mm以上の孔径を採用することができる。
【0021】
図1に示すように、3D印刷装置は制御部30を更に備えてもよい。制御部30は、押出口21により1つの独立した連通領域を充填するときに、材料輸送部10と材料吐出部20が相対的に運動するように制御することによって、複数の孔道211のうちの、材料輸送部10の出口12に連通する孔道211の数を変えて、ひいては押出口21の寸法を変えるように構成される。
【0022】
1つの例として、
図1及び
図2に示すように、材料輸送部10は1つの内筒であり、材料吐出部20は該内筒のスリーブである。制御部30は、内筒及びスリーブが内筒の軸線方向に沿って移動するように制御することによって押出口
21の長さを変えるように構成されることができる。例えば、内筒及びスリーブが
図1(a)に示す位置(
図2(a)は
図1(a)に示される状態にある押出口21の周辺領域の局部拡大図である)にあるとき、押出口21中のすべての孔道211がいずれも出口12に連通するようになって、押出口21の長さは最大になる。制御部30が内筒及びスリーブを制御してそれらが内筒の軸線に沿って
図1(b)に示す位置(
図2(b)は
図1(b)に示される状態にある押出口21の周辺領域の局部拡大図である)まで滑動させたとき、押出口21中の一部の孔道211は遮蔽されて材料を押し出せず、それによって押出口21の長さは短くなる。
【0023】
もう1つの例として、
図3に示すように、材料輸送部10は立方体、円柱体又は他の任意の形状であってもよい。材料吐出部20は、材料輸送部10の出口12の外側にある1つの遮蔽板であってもよい。制御部30は、材料輸送部10と遮蔽板20が押出口21の長さ方向に沿って相対的に移動するように制御するように構成されることができる。例えば、材料輸送部10と遮蔽板20が
図3(a)に示す位置にあるとき、押出口21中のすべての孔道211がいずれも出口12に連通するようになり、それによって押出口21の長さは最大になる。制御部30が遮蔽板を制御して
押出口21の長さ方向に沿って
図3(b)に示す位置まで滑動させたとき、押出口21中の一部の孔道211が遮蔽されて、押出口21の長さは短くなる。
【0024】
以上の2つの例においては押出口21の長さに対する変更を例として説明しているが、一部の実施例においては、材料輸送部10と材料吐出部20の相対的運動を制御することによって押出口21の幅を変えてもよい。
【0025】
1つの例として、
図4に示すように、複数の孔道211は複数行の孔道(
図4には2つの孔道を示している)をなしてもよい。制御部30は、材料輸送部10と材料吐出部20が相対的に運動するように制御することによって、導通状態にある孔道の行数を変え、ひいては押出口21の幅を変える。制御部30が材料輸送部10と材料吐出部20の相対的運動を制御することによって材料輸送部10の出口12及び複数行の孔道が
図4(b)に示す位置にあるようにした場合、複数行の孔道のうちの1行の孔道が出口12と流体連通するようになって、押出口21の幅hは比較的狭くなって1つの孔道の直径に相当する。制御部30が材料輸送部10と材料吐出部20の相対的運動を制御することによって材料輸送部10の出口12及び複数行の孔道が
図4(c)に示す位置にあるようにした場合、押出口21の幅hは広くなって2つの孔道の直径和に相当する。
【0026】
3D印刷を行うときには、押出口の幅を変更することによって単層の印刷厚さを変えることができ、それによって3D印刷装置は様々な印刷効率及び印刷精度を達成することができる。例えば、印刷精度への要求が低い場合には、単層の印刷厚さを増やして印刷効率を上げることができ、高精度印刷が必要とされる場合には、単層の印刷厚さを減らして印刷精度を向上させることができる。
【0027】
本発明の実施例は複数行の孔道の配列形態について詳しく限定せず、
図4に示す矩形配列形態以外にも、
図5に示す千鳥配列形態を採用してもよい。このような配列形態は緊密度がより高く、
図4による配列形態に比べると、
図5による複数行の孔道により印刷された輪郭縁部にも差異がある。
【0028】
3D印刷を行うとき、時々印刷を一時停止する必要がある。例えば、1つの断面又は領域の輪郭縁部まで印刷したら、印刷を一時停止して3D印刷装置を新しい印刷開始位置に移動してから印刷を再開する必要がある。3D印刷技術に用いられる材料(例えば、高分子材料)は一般に粘弾性を有するため、材料の輸送が中断されるとき、材料の流動は一般に直ちに止まらない。このとき、材料は印刷される断面又は領域の輪郭縁部の外で続いて堆積して印刷断面又は領域の輪郭形状を破壊してしまい、印刷部品の幾何的精度が低下してしまう。
【0029】
この課題を解決するために、一部の実施例において、制御部30は、複数の孔道211を材料輸送部10の出口12の所在領域の外部まで移動させる(すなわち、複数の孔道211と出口12をずらして該複数の孔道211を遮蔽する)ことにより、速やかに複数の孔道211を同時に遮断するように構成される。
【0030】
例えば、
図1による実施例において、材料輸送部10の出口12は幅が非常に狭い1つの細溝のように設計されることができる。制御部30は、内筒又はスリーブを制御して内筒の軸線に関して1つの非常に小さい角度さえ回転させれば、複数の孔道211が出口の所在領域から離れるようにすることができ、それによって材料の押し出しを迅速に止めることができる。
【0031】
もう1つの例として、
図3による実施例において、制御部30が遮蔽板を制御して
押出口21の長さ方向に沿って
図3(c)に示す位置まで滑動させたとき、押出口21中のすべての孔道211がいずれも遮蔽されて、押出口21の長さは0になる。このとき、該3D印刷装置は材料の押し出しを停止する。
【0032】
複数の孔道211が、
図4に示すような複数行の孔道を含む場合、制御部30は材料輸送部10と材料吐出部20を制御して
図4(a)に示す位置まで運動させることができる。こうすると、出口12と複数行の孔道は完全にずれて、押出口の寸法は0になり、3D印刷装置は材料の押し出しを停止する。
【0033】
上述した、3D印刷装置の材料押出を停止させる案のうち、内筒とスリーブの係合を設計した案は制御が容易であって、3D印刷装置が制御システムによる印刷停止命令を迅速に応答するようにより寄与して、システムが印刷停止命令を発送した後に材料が続いて流れ出ることを避ける。
【0034】
なお、押出口21の幅を変えるとき、制御部30は材料輸送部10と材料吐出部20が相対的に移動するように制御してもよく、材料輸送部10と材料吐出部20が相対的に回転するように制御してもよく、これは材料輸送部10及び材料吐出部20の構造に関わり、本発明の実施例はこれについて限定しない。例えば、材料輸送部10及び材料吐出部20が
図1に示すような内筒とスリーブの係合構造を採用した場合、複数行の孔道のうちの各行の孔道は内筒の軸線方向に沿って配列するように配置されることができ、異なる行は内筒の周方向において分布する。この場合、制御部30は内筒とスリーブが内筒の軸線に関して相対的に回転するように制御することによって、出口12と連通状態になる孔道の行数を変えて、押出口の幅を変えることができる。他の例として、材料輸送部10及び材料吐出部20が
図3に示すような、材料輸送部10の底部に遮蔽板20が設けられる構造を採用した場合、制御部30は、遮蔽板20が押出口21の幅方向に沿って移動するように制御することによって、押出口21の幅を変えることができる。
【0035】
孔道の開放・閉鎖を制御するとき、押出口の長さ方向又は幅方向において材料が圧迫されることはないため、材料の流れ率が不均一になる問題を避けて、印刷品質を向上させることができる。
【0036】
なお、一部の実施例において、押出口21の長さに対する制御と幅に対する制御は組み合わせられることができ、それによって実際の需要に応じて押出口21の各次元での寸法を柔軟に変更することができる。
【0037】
複数の孔道211からなる第1孔道アレイは、中実構造の印刷に適合する(
図6(a)は第1孔道アレイの1つの例であり、それにより印刷された中実構造は
図7(a)に示すようである)。グリッド印刷を兼備するために、一部の実施例においては、第1孔道アレイに加えて、
図6(b)又は6(c)に示すような第2孔道アレイを3D印刷装置に更に設けることができる。第1孔道アレイに比べて、第2孔道アレイは孔道の分布がより分散的であり、それによって該第2孔道アレイ中のそれぞれの孔道により押し出される材料は印刷プラットフォームにおいて互いに離隔するようになる。そのため、第2孔道アレイ中のいずれの孔道も1つの独立した押出口と見なされることができる。
図7(b)と
図7(c)はそれぞれ、
図6(b)と6(c)に示される第2孔道アレイにより印刷されたグリッド構造の例である。
【0038】
3D印刷装置が印刷できるグリッド構造は上述した形態に限られない。外観や構造に対する様々な需要に応じて、3D印刷装置が様々な態様のグリッド部品を印刷するように制御することができ、具体的には、3D印刷装置の運動方式を変えることによって実現できる。例えば、異なる層を印刷するとき、3D印刷装置はある程度の角度そらすことができる。そらす角度は任意の角度であってもよく、限定されない。例えば、
図7(b)又は
図7(c)に示すグリッド構造の印刷は、層間印刷を行うときに3D印刷装置の運動方向を90°偏向させることによって実現される。他の例として、
図8(a)に示すグリッド構造の印刷は、層間印刷を行うときに3D印刷装置の運動方向を45°偏向させることによって実現される。
【0039】
さらに、一部の実施例において、3D印刷装置と印刷プラットフォームは他の相対運動モードを採用してもよい。例えば、
図8(a)に示す構造を印刷する場合、3D印刷装置と印刷プラットフォームの間の相対運動モードは直線運動モードであり、
図8(b)に示す構造を印刷する場合、3D印刷装置と印刷プラットフォームの間の相対運動モードは直線運動モードと曲線運動モードの組み合わせであり、
図8(c)に示す構造を印刷する場合、3D印刷装置と印刷プラットフォームの間の相対運動モードは完全に曲線運動モードである。本発明の実施例は3D印刷装置と印刷プラットフォームの間の相対運動モードについて詳しく限定せず、異なる運動モードは自由に組み合わせられて様々な構造のグリッド部品を形成することができる。
【0040】
制御部30は、第1孔道アレイと材料輸送部10の出口12とが流体連通するように制御してもよく、第2孔道アレイと材料輸送部10の出口12とが流体連通するように制御してもよい。言い換えると、制御部30は、第1孔道アレイと第2孔道アレイのうちから、材料輸送部10の出口12に流体連通する孔道アレイを選定することができる。例えば、
図1による内筒とスリーブの係合案を例とすると、第1孔道アレイと第2孔道アレイはスリーブの周方向における異なる位置にそれぞれ位置する。制御部30は、内筒とスリーブが相対的に回転するように制御することによって、第1孔道アレイと第2孔道アレイのうちから選択することができる。
【0041】
なお、制御部30が材料輸送部10と材料吐出部20の相対的運動を制御することは、様々な方式により実現されることができる。例えば、材料輸送部10を動かさずに材料吐出部20を動かすことができ、又は、材料吐出部20を動かさずに材料輸送部10を動かすことができ、又は、両者を同時に動かすこともできる。
【0042】
該3D印刷装置を、PCT/CN2017/083647やPCT/CN2018/113069に記載されたような面成形シーンに適用しようとすると、印刷するとき、制御部30は押出口21の長さが、充填される領域の輪郭線の変化に伴って変化するように制御することができ、それによって該領域に対する充填を一度で完了する。
【0043】
本発明に係る3D印刷装置は3Dプリントヘッドを指してもよく、3D印刷システムの全体を指してもよい。該3D印刷装置の制御部はソフトウェア、ハードウェア、或いはソフトウェア及びハードウェアの組み合わせの形で実現されることができる。
【0044】
本発明において、印刷、充填、塗布との用語は場合によって互いに入れ替えてもよい。例えば、1つの領域を印刷するとは、1つの領域を塗布するか又は該領域に材料を充填することを指すことができる。
【0045】
(第2実施例)
第2実施例の、第1実施例に対する主な差異として、第2実施例においては、材料輸送部10の出口12の内部にも複数の孔道が設けられており、該複数の孔道は第2実施例において上部行孔道と称される。第1実施例における材料吐出部20中の複数の孔道211は、第2実施例においては下部行孔道と称される。つまり、第2実施例における制御部30は主に、上部及び下部の2行の孔道の相対的位置を制御することによって押出口21の長さ及び/又は幅の寸法調整を実現する。第2実施例の他の構造は第1実施例に類似しており、例えば、第2実施例における材料吐出部20は
図1に示すスリーブ構造又は
図3に示す遮蔽板構造を採用してもよい。そこで、第2実施例において詳しく記述されていない構成については第1実施例を参照することができる。
【0046】
図9及び
図10に示すように、材料輸送部10の出口12は上部行孔道121を備えるか又は上部行孔道121に分割され、押出口21の内部には下部行孔道211が設けられる。上部行孔道121と下部行孔道211は孔径が同一であってもよく、異なってもよい。下部行孔道211において上部行孔道121に連通する1行の孔道は、1行の材料(例えば、1行の糸状の材料)を押し出すことができる。
【0047】
制御部30は、上部行孔道121と下部行孔道211が上部行孔道121又は下部行孔道211の配列方向(又は延在方向)に沿って相対的に移動する(例えば相対的滑動)ように制御することによって、下部行孔道211において上部行孔道121に連通する孔道の数を変え、ひいては下部行孔道211により押し出される材料の長さを変える。
【0048】
3D印刷を行うとき、時々印刷を一時停止する必要がある。例えば、1つの断面又は領域の輪郭縁部まで印刷したら、印刷を一時停止して3D印刷装置を新しい印刷開始位置に移動してから後続の印刷工程を再開する必要がある。3D印刷技術に用いられる材料(例えば、高分子材料)は一般に粘弾性を有するため、材料の輸送が中断されるとき、材料の流動は一般に直ちに止まらない。このとき、材料は印刷される断面又は領域の輪郭縁部の外で続いて堆積して印刷断面又は領域の輪郭形状を破壊してしまい、印刷部品の幾何的精度が低下してしまう。
【0049】
この課題を解決するために、一部の実施例において、制御部30は上部行孔道121と下部行孔道211の相対的運動を制御して上部行孔道121と下部行孔道211が同時にずれるようにすることによって、下部行孔道211を迅速に遮断して、下部行孔道211に材料の押し出しを同時に停止させる。
【0050】
例えば、
図9に示す実施例において、制御部30は、内筒10又はスリーブ20を制御して内筒10の軸線に関して1つの非常に小さい角度さえ回転させれば、上部行孔道
121と下部行孔道
211が同時にずれるようにすることができ、それによって材料の押し出しを速やかに停止する。上部行孔道121と下部行孔道211のいずれも1行の孔道を含む場合、下部行孔道211の快速遮断方式は
図11(a)から
図11(b)までのプロセスを参照すればよい。また、上部行孔道121と下部行孔道211のいずれも複数行の孔道を含む場合、下部行孔道211の快速遮断方式は
図11(c)から
図11(d)までのプロセスを参照すればよい。このような内筒とスリーブが係合するように設計した案は、制御が容易であって、3D印刷装置が制御部による印刷停止命令を迅速に応答するようにより寄与して、システムが印刷停止命令を発送した後に材料が続いて流れ出ることを避ける。
【0051】
3D印刷を行うとき、単層の印刷厚さを変えることによって様々な印刷効率及び印刷精度を達成することができる。例えば、印刷精度への要求が低い場合には、単層の印刷厚さを増やして印刷効率を上げることができ、高精度印刷が必要とされる場合には、単層の印刷厚さを減らして印刷精度を向上させることができる。
【0052】
印刷厚さを調節することを可能にするために、上部行孔道121と下部行孔道211はいずれも複数行の孔道を含むことができる。
図12を例とすると、上部行孔道(
図12において黒い丸で示される)と下部行孔道(
図12において白い丸で示される)はいずれも2行の孔道となる。
図12(a)による状態において、すべての上部行孔道121と下部行孔道211はいずれも重なっておらず、すべての孔道が遮断状態にあって材料は流出できない。
図12(b)による状態において、上部行孔道121と下部行孔道211は1行の孔道が重なっており、このとき、1層の印刷厚さは1行の孔道の幅となる。
図12(c)による状態において、上部行孔道121と下部行孔道211は2行の孔道が重なっており、このとき、1層の印刷厚さは2行の孔道の幅となる。制御部30は、上部行孔道121及び下部行孔道211が上部行孔道121の幅方向に沿って移動するように制御することによって、下部行孔道のうちの、材料を押出可能の孔道の行数を変えることができる。
【0053】
本発明においては孔道アレイの配列形態について詳しく限定せず、
図12に示す矩形配列形態以外にも、
図13に示す千鳥配列形態を採用してもよい。
図13に示す孔道アレイの配列形態によれば、孔道の分布はより緊密になり、
図12に示す孔道アレイに比べると、
図13に示す孔道アレイにより印刷された輪郭縁部にも差異がある。
【0054】
上部及び下部の2行の孔道は孔道の深さが積み重なるため、材料が2行の孔道を通過するときに受ける抵抗は大きくなる。この場合、3D印刷装置は、材料を2行の孔道から押し出すために、高い圧力を提供する必要がある。高精細印刷の場合にはこの問題がより目立つようになる。その原因として、高精細印刷の場合には、2行の孔道における孔の直径が非常に小さく、例えば0.1mm又はより小さいかもしれない。印刷を行うとき、材料が直径が小さい2行の孔道を急速に通過するとき、非常に大きな抵抗を受ける可能性がある。そのため、所望のスピードで材料を孔道から押し出すためには、非常に高い押出圧力を提供しなければならない。2行の孔道の場合、押出圧力が高く要求されるため、材料押出機関全体の寸法及びエネルギー消費量が大きくなって、3D印刷装置のコストが高騰してしまう。
【0055】
以上の問題を解決するために、
図14に示すように、一部の実施例においては、材料輸送部10の内壁に1つの凹溝50(凹溝50の形状は
図6に示す矩形凹溝に限られず、例えば、凹溝50の形状を円弧状に設計してもよい)を凹設することができる。こうすると、孔道の深さは、1つの凹溝の深さ減少する。材料が孔道を通過する際の抵抗は孔道の深さに正比例するため、該実施例は3D印刷装置の材料押出抵抗を低減することができる。
【0056】
また、他の一部の実施例においては、スリーブの所在位置の壁を薄く削ることによって孔道の深さを減らすことができる。例えば、
図14の最も左側の図面に示すように、下部行孔道付近の一部の壁を、ある程度の円弧状で削り取ることができる。
【0057】
該3D印刷装置を、PCT/CN2017/083647やPCT/CN2018/113069に記載されたような面成形シーンに適用しようとすると、印刷するとき、制御部30は押出口21の長さが、充填される領域の輪郭線の変化に伴って変化するように制御することができ、それによって該領域に対する充填を一度で完了する。
【0058】
第1実施例又は第2実施例において、スリーブ20の形状は円筒形であってもよく、他の形状であってもよい。例えば、
図15に示すように、スリーブ20の上部は厚くて大きく設計されることができ、それによってその中にヒータ60を容易に装着することができる。
【0059】
第1実施例と第2実施例はいずれも、材料輸送部と材料吐出部の相対的運動を制御することによって複数の孔道の連通・閉鎖を制御しているが、本発明はこれに限られない。一部の実施例においては、各孔道の連通・閉鎖をそれぞれ直接制御することができ、相対的運動する2つの部分(すなわち、前述した材料輸送部及び材料吐出部)を設ける必要がない。例えば、各孔道のために1つの独立したスイッチを設けて各孔道の導通及び遮断を単独に制御することができる。
【0060】
(第3実施例)
第3実施例は方法の実施例であり、方法の実施例の記述は装置の実施例の記述と互いに対応するため、ここで詳しく記述されていない部分は前述した装置の実施例を参照すればよい。
【0061】
図16は本発明の第3実施例に係る、寸法可変の押出口を備える3D印刷装置の制御方法の模式的フローチャートである。該3D印刷装置は、材料輸送部及び材料吐出部を備えることができる。材料輸送部は材料の入口及び出口を有し、材料吐出部は1つの押出口を有する。押出口は、材料を押し出すように、材料輸送部の出口と流体連通可能である。押出口は複数の孔道に分割される。
【0062】
図16による制御方法はステップS1610及びステップS1620を含むことができる。
【0063】
ステップS1610において、押出口が1つの独立した連通領域に対して充填を行うように制御する。
【0064】
ステップS1620において、押出口を用いて1つの独立した連通領域に対して充填を行うとき、材料輸送部と材料吐出部が相対的に運動するように制御することによって、複数の孔道のうちの、材料輸送部の出口に連通する孔道の数を変え、ひいては押出口の寸法を変える。
【0065】
選択的に、材料輸送部は1つの内筒であり、材料吐出部は内筒のスリーブである。ステップS1620は、内筒とスリーブが内筒の軸線方向に沿って移動するように制御することによって、押出口の長さを変えることを含むことができる。
【0066】
選択的に、材料輸送部は1つの内筒であり、材料輸送部は内筒のスリーブである。複数の孔道は複数行の孔道を含む。ステップS1620は、内筒とスリーブが内筒の軸線に関して回転するように制御することによって、複数行の孔道のうちの、連通状態にある孔道の行数を変え、ひいては押出口の幅を変えることを含むことができる。
【0067】
選択的に、材料吐出部は、材料輸送部の出口の外側に位置する1つの遮蔽板である。ステップS1620は、材料輸送部と遮蔽板が押出口の長さ方向及び/又は幅方向に沿って相対的に移動するように制御することを含むことができる。
【0068】
選択的に、
図16に係る方法は、複数の孔道を材料輸送部の出口の所在領域の外部まで移動することによって複数の孔道を同時に遮断することを更に含むことができる。
【0069】
選択的に、複数の孔道により押し出される材料は、独立した連通領域において一体になるように融合できる。
【0070】
選択的に、ステップS1610は、領域の輪郭線の変化に伴って押出口の長さが変化するように押出口の長さを制御することによって、領域全体に対する充填を一度で完了することを含むことができる。
【0071】
選択的に、複数の孔道は下部行孔道を構成し、材料輸送部の出口の中には下部行孔道に対向する上部行孔道が設けられる。
【0072】
選択的に、材料輸送部の内部には凹溝が設けられており、上部行孔道は凹溝を介して入口と流体連通する。
【0073】
図17は本発明の第3実施例に係るもう1つの3D印刷装置の制御方法の模式的フローチャートである。該3D印刷装置は1行の孔道を備えることができ、1行の孔道は、1行の孔道のうちの隣接する孔道により押し出される材料が領域において互いに融合可能にするように配列される。
【0074】
図17による制御方法はステップS1710及びステップS1720を含むことができる。
【0075】
ステップS1710において、1行の孔道が1行の材料を同時に押し出すように制御することによって、1つの領域を充填する。
【0076】
ステップS1720において、1行の孔道の連通・閉鎖を制御することによって、1行の材料の長さを変える。