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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20240726BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20240726BHJP
   A01K 85/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 J
A01K85/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023220771
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2023-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723004314
【氏名又は名称】玉木 碧
(72)【発明者】
【氏名】玉木 碧
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-087410(JP,A)
【文献】特表2013-521817(JP,A)
【文献】特開2019-106892(JP,A)
【文献】特開2017-018069(JP,A)
【文献】特開2004-166521(JP,A)
【文献】特開2005-095067(JP,A)
【文献】特開平10-117637(JP,A)
【文献】特開2015-047137(JP,A)
【文献】特開2000-139276(JP,A)
【文献】特開2011-172500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 83/00-85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属線からなる釣針部と、前記釣針部を囲むように取り付けられた差し込み部と、によって構成される釣針と、
互いに平行ではない角度で交わる第1の溝部と第2の溝部とを有する前部ボディと、先頭に接続部を有する後部ボディと、からなるボディと、を備え、
前記釣針の前記差し込み部が前記第1の溝部に、前記後部ボディの前記接続部が前記第2の溝部にそれぞれ挿嵌され、前記後部ボディと前記釣針とが当接することによって、前記前部ボディに前記釣針が係止されることを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記第1の溝部は一方の端部が閉じられ、他方の端部が開かれ、前記第1の溝部の前記開かれた方の端部から前記釣針の前記差し込み部を前記第1の溝部に挿嵌し、
前記第2の溝部の端部の少なくとも一方は開かれ、前記第2の溝部の前記開かれた端部から前記後部ボディの前記接続部を挿嵌し、
前記釣針は、前記第1の溝部の閉じられた方の端部に当接することを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記第2の溝部の溝幅は一定ではなく溝幅が狭い部分と溝幅が広い部分とを有し、
前記第2の溝部の前記溝幅の広い部分が、前記第2の溝部の前記溝幅の狭い部分に対し前記第2の溝部の溝底側に位置することを特徴とする請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記第1の溝部の溝幅は一定ではなく溝幅が狭い部分と溝幅が広い部分とを有し、
前記第1の溝部の前記溝幅の広い部分が、前記第1の溝部の前記溝幅の狭い部分に対し前記第1の溝部の溝底側に位置し、
前記第1の溝部の前記溝幅が狭い部分の溝幅の大きさは、前記釣針部の線径以上であることを特徴とする請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
前記ボディは、魚を模した形状であり、頭を前、尾を後、背を上、腹を下として各方向を定めた場合に、
前記第1の溝部は、前後方向が長さ方向で、左右方向が幅方向で、上下方向が深さ方向で、下側を溝底、上側を開口とする溝で、
前記第2の溝部は、上下方向が長さ方向で、左右方向が幅方向で、前後方向が深さ方向で、前側を溝底、後側を開口とする溝であることを特徴とする請求項4に記載のルアー。
【請求項6】
前記第1の溝部及び前記第2の溝部は直線状であり、前記第1の溝部と前記第2の溝部とのなす角は、30°から150°であることを特徴とする請求項5に記載のルアー。
【請求項7】
前記釣針部は、屈折部と軸部と湾曲部とを備え、屈折部、軸部、湾曲部の順に連続し、
前記差し込み部は、前記釣針部の前記屈折部から前記湾曲部にかけての部分に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項8】
前記釣針の前記差し込み部が、前記第1の溝部の前記閉じられた方の端部と前記後部ボディとに当接することを特徴とする請求項2に記載のルアー。
【請求項9】
前記後部ボディは侵入部を備え素材は軟性素材であり、
前記侵入部は、前記第1の溝部と前記第2の溝部が交わる部分から前記第1の溝部へと侵入することを特徴とする請求項3に記載のルアー。
【請求項10】
前記第1の溝部と前記差し込み部の断面の形状は、略多角形又は略楕円形又は略半円形であることを特徴とする請求項4に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、釣り用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
コクチバス、オオクチバス、ナマズ、スズキ等の大型の魚は、ベイトとして魚やミミズ、エビ、ザリガニ、カエル、虫、ネズミ等の小動物を補食する。これら大型の魚を捕獲する手段としてルアーフィッシングが普及している。ルアーフィッシングではルアーが用いられる。ルアーには釣糸が連結される。ルアーは、キャストによって空中を飛行し、やがて着水する。ルアーは、釣糸が巻かれることによって水中や水面を泳ぐ。このルアーをベイトと勘違いした前記の魚は、ルアーに食いつく。ルアーに取り付けられた釣針が上記の魚に刺さり、前記の魚が釣り上げられる。
【0003】
従来、ルアーには、素材に硬質プラスチック、木、金属等の硬質な物質を用いたハードルアーと呼ばれるルアーがあり、前記ハードルアーは、ボディの外部にフックアイと呼ばれるリング状の部分を設け、前記フックアイにトレブルフックと呼ばれる3つ又の釣針を取り付けることが一般的である。(特許文献1図1
【0004】
しかし、トレブルフックは、フッキング率が高い一方で、一般に魚が潜んでいる可能性が高い水中の木、岩、水底等の障害物周辺で使う場合に障害物に引っかかりやすく、また、水の抵抗になることや意図しない錘となるため、ルアーを繊細に動かすことができない等の課題があった。
【0005】
前記課題を解決するためには、ソフトルアーと同様にシングルフックをルアーボディに挿着することが有効であるが、ハードルアーのボディに対してシングルフックを動くことなく強固に係止することと、釣針を着脱可能(交換可能)に係止することを両立させることはソフトルアーと比較して技術的に難しく、そういったルアーは普及していない。
【0006】
上記課題を解決しようとしたルアーとして、例えば、下記特許文献2には、溝を有するルアー本体と上記溝から上方向に抜けないように太い部分を有する釣針を備えるハードルアーが開示されている。
【0007】
その他にも、ルアー本体が釣針の一部を挟みこむスリットを有し、釣針をルアー本体に固定するハードルアー(特許文献3)や、止め部材により釣針の前後方向の動きを抑制し釣針をルアー本体に固定したハードルアー(特許文献4)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2022-176045
【文献】特開2016-042809
【文献】特開2021-016352
【文献】特許6251852
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし前記の(特許文献2)(特許文献3)(特許文献4)はいずれもルアー本体に釣針を動くことなく固定することに関して課題があった。
【0010】
(特許文献2)(特許文献3)は、ルアー本体の溝部に釣針を挿通する方向(取り付ける方向)と逆方向に釣針が動くことを抑えるために、ルアー本体にリング状の部分を設け、釣針の頭部(ラインアイ)と前記ルアー本体に設けられたリング状の部分とをスナップや釣糸で結合する構造であるが、この構造は結合の強度が十分でないことや、ルアーと釣糸との結合部、結合方法、はルアーのアクションを大きく左右する繊細で重要な要素であり2つのリングにスナップや釣糸を結合することは、良いルアーアクションを得るという観点から望ましくないことや、ルアー本体に対する釣針の回転の抑制が十分でない等の課題があった。
【0011】
また、(特許文献4)は、ルアー本体の溝部に釣針を挿通する方向(取り付ける方向)と逆方向に釣針が動くことを抑えるために、止め部材を釣針の曲がり部の付け根に設けているが、この釣針に止め部材を差し込み、釣針をルアーボディに対して固定する構造はルアーのキャスティングを繰り返すうちに、止め部材が釣針の曲がり部の方へ意図せず移動していき、ルアー本体に対する釣針の前後方向のずれや、釣針の前後方向のずれに伴いルアー本体に対する釣針の回転が十分に抑制されない等の課題があった。
【0012】
そこで、本発明は、シングルフックをボディに装着したルアーで釣針がルアーボディに対して意図した位置から回転やずれが起こらず、かつ釣針の取り付けと取り外しが容易に行えるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るルアーは、
金属線からなる釣針部と、前記釣針部を囲むように取り付けられた差し込み部と、によって構成される釣針と、
互いに平行ではない角度で交わる第1の溝部と第2の溝部とを有する前部ボディと、先頭に接続部を有する後部ボディと、からなるボディと、を備え、
前記釣針の前記差込み部が前記第1の溝部に、前記後部ボディの前記接続部が前記第2の溝部にそれぞれ挿嵌され、前記後部ボディと前記釣針とが当接することによって、前記前部ボディに前記釣針が係止されることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、
前記第1の溝部は一方の端部が閉じられ、他方の端部が開かれ、前記第1の溝部の開かれた方の端部から前記釣針の前記差し込み部を前記第1の溝部に挿嵌し、
前記第2の溝部の端部の少なくとも一方は開かれ、前記第2の溝部の開かれた端部から前記後部ボディの前記接続部を挿嵌し、
前記釣針は、前記第1の溝部の閉じられた方の端部に当接することを特徴とする。
【0015】
好ましくは、
前記第2の溝部の溝幅は一定ではなく溝幅が狭い部分と溝幅が広い部分有し、
前記第2の溝部の前記溝幅の広い部分が、前記第2の溝部の前記溝幅の狭い部分に対し溝底側に位置することを特徴とする。
【0016】
好ましくは、
前記第1の溝部の溝幅は一定ではなく溝幅が狭い部分と溝幅が広い部分有し、
前記第1の溝部の前記溝幅の広い部分が、前記第1の溝部の前記溝幅の狭い部分に対し溝底側に位置し、
前記第1の溝部の溝幅が最も狭い部分の溝幅の大きさは、前記釣針部の線径以上であることを特徴とする。
【0017】
好ましくは、
前記第1の溝部は、ルアーの前後方向が長さ方向であり、ルアーの左右方向が幅方向であり、ルアーの上下方向が深さ方向であり、下側を溝底、上側を開口とする溝で、
前記第2の溝部は、ルアーの上下方向が長さ方向であり、ルアーの左右方向が幅方向であり、ルアーの前後方向が深さ方向であり、前側を溝底、後側を開口とする溝であることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、
前記第1の溝部及び前記第2の溝部は直線状であり、前記第1の溝部と前記第2の溝部とのなす角は、30°から150°であることを特徴とする。
【0019】
好ましくは、
前記釣針部は、屈折部と軸部と湾曲部とを備え、屈折部、軸部、湾曲部の順に連続し、
前記差し込み部は、前記釣針部の前記屈折部から前記湾曲部にかけての部分に取り付けられることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、
前記釣針の前記差し込み部が、前記第1の溝部の前記閉じられた方の端部と前記後部ボディとに当接することを特徴とする。
【0021】
好ましくは、
前記後部ボディは侵入部を備え素材は軟性素材であり、
前記侵入部は、前記第1の溝部と前記第2の溝部が交わる部分から前記第1の溝部へと侵入することを特徴とする。
【0022】
好ましくは、
前記第1の溝部と上記差し込み部の断面の形状は、略多角形、略楕円形、略半円形、及び上記の形状に類する形状であることを特徴とする。
【0023】
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ハードルアーにもソフトルアーと同様にシングルフックをルアーボディに対して動くことなくかつ容易に着脱可能に装着することが可能となり、従来までは釣針の交換機能のあるハードルアーでは不可能であった釣法が釣針の交換機能のあるハードルアーで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本考案の第1実施形態に係る釣り用ルアーを分解して示す斜視図である。
図2図2は、図1のルアーを分解して示す断面図である。
図3図3は、図1のルアーの断面図である。
図4図4は、図1のルアーの一部を分解して示す後面図である。
図5図5は、図1のルアーの一部を示す後面図である。
図6図6は、図1のルアーを分解して示す上面図である。
図7図7は、図1のルアーの上面図である。
図8図8は、図1のルアーの一部を示す断面図である。
図9図9は、図1のルアーの側面図である。
図10図10は、図1のルアーの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態のルアー1Aについて説明する。
【0027】
本第1実施形態のルアー1Aは、図1に示すように、前部ボディ2と釣針3と後部ボディ4とを備える。又、図9に示されるように、本第1実施形態のルアー1Aは、魚を模した形状である。以下、ルアー1Aの頭に向かう方向を前方向、尾に向かう方向を後方向、背に向かう方向を上方向、腹に向かう方向を下方向とし、前後方向に対して左右方向を規定する。
【0028】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、前部ボディ2は硬質プラスチックで成形されているが、必ずしも前部ボディ2の素材は硬質プラスチックである必要はなく、例えば、木、金属、発泡ウレタン等の他の硬質素材でも良い。
【0029】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、後部ボディ4は、軟質ゴム、ゲル又は軟質樹脂で形成されている。
(1)軟質ゴム
軟質ゴムとしては例えばシリコーンゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブタジエン-アクリロニトリルゴム(NBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリクロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどの合成ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)として、スチレン系TPE、オレフィン系TPE、塩化ビニル系TPE、ウレタン系TPE、エステル系TPE、アミド系TPE、塩素化ポリエチレン系TPE、Syn-1,2-ポリブタジエン系TPE、Trans-1,4ポリイソプレン系TPE、フッ素系TPEなどが挙げられる。
(2)ゲル
ゲルとしてはシリコーンゲル、アクリル樹脂ゲルなどが挙げられる。
(3)軟質樹脂
軟質樹脂としては例えば塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン等が挙げられる。以下、本発明においては、前記(1)から(3)の総称として軟性素材という言葉を用いる。
【0030】
以下で、各部分の詳細な形状や構造、それらによって得られる効果を説明する。
【0031】
図10に示されるように、釣針3は、線径が大凡一定の金属線からなる釣針部3eと前記釣針部の軸部3dを囲む形で取り付けられた、差し込み部3aとによって構成される。加えて釣針部3eは、ラインアイ3c、屈折部3b、湾曲部3f、針先3gを有し、ラインアイ3c、屈折部3b、軸部3d、湾曲部3f、針先3gの順に各部が連続する。軸部3dは直線又は大凡直線であり、屈折部3bは金属線が90°又は90°に近い角度で折れ曲がった部分である。図4に示されるように前記釣針部に前記差し込み部を取り付けることによって、前記釣針は、前記釣針部の線径よりも左右方向に幅の広い部分を有する。前記差し込み部の素材は、樹脂や鉛、錫等でありルアーの用途によって素材を選択する。前記差し込み部は釣針部3eをインサートとするインサート成形により軸部3dを覆う形で取り付けられ、前記釣針部に前記差し込み部は固定され、前記釣針部と前記差し込み部は一体である。また、前記差し込み部がずれることなく前記釣針部に固定されるために前記差し込み部は、前記釣針部の屈折部3bから湾曲部3fまでにかけて取り付けられることが望ましい。
【0032】
図2に示されるように、前部ボディ2は溝部G1と溝部G2の2つの溝部を備え、図1図2に示されるように釣針3の差し込み部3aは、溝部G1に挿嵌P1することが可能であり、後部ボディ4の接続部4aは、溝部G2に挿嵌P2することが可能である。図3に示すものが、前部ボディ2に釣針3と後部ボディ4を取り付けた状態のルアー1Aである。挿嵌P1と挿嵌P2は嵌脱自在であり、釣針3が腐食した場合や破損した場合は釣針3を交換することが可能である。
【0033】
図2に示されるように溝部G1は、前部ボディ2の上部分に前後方向に設けられ上方向に開いた直線状の溝であり(換言すると溝部G1は、前部ボディ2に備えられ、ルアー1の前後方向を長さ方向とし、左右方向を幅方向とし、上下方向を深さ方向とし、下側を溝底、上側を開口とした溝である)、溝部G1は前部ボディ2の左右方向における中心に位置する。溝部G1は前側の端部G1-aが閉じられ、後側の端部G1-bが開かれている。溝部G1の後側の開かれた端部G1-bから釣針3の差し込み部3aを溝部G1へ挿嵌P1する。挿嵌P1された釣針3の位置は溝部G1の前側の閉じられた端部G1-aとの当接によって決定される。
【0034】
図4に示されるように溝部G1は、溝幅が狭くなっている部分G1-cと、G1-cよりも溝幅が広くなっている部分G1-dとを有し、G1-dがG1-cに対して溝底G1-e側に位置する。図4及び図5に示すように、釣針3の差し込み部3aがG1に挿嵌されG1-cの幅K1が釣針3の差し込み部3aの最も左右方向の幅が広い部分の幅K3よりも狭いため釣針3は、前部ボディ2から上方向(溝部G1の開口方向)に抜けることなく固定される。また、溝部G1の形状は図4に示す形状(蟻溝)に限られず、溝底方向と逆方向に溝幅の狭い部分を有し釣針3が、前部ボディ2から上方向(溝部G1の開口方向)に抜けることなく固定されればよく、例えばT溝等の形状でも良い。
【0035】
図4図5に示されるように挿嵌P1の際に釣針3が溝部G1に沿って移動する必要があるため、溝部G1の幅が最も狭い部分の幅K1は、釣針3の線径K2以上の大きさでなくてはならない。
【0036】
図5に示されるように溝部G1と釣針3の差し込み部3aの断面S(溝部G1の長さ方向に垂直な方向の断面)の形状が略三角形であり溝部G1と差し込み部3aとが互いに当接することによって釣針3は、軸部3dを軸とする前部ボディ2に対する回転(ローリング)が防がれる。
【0037】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、溝部G1及び釣針3の差し込み部3aの断面面Sの形状は略三角形であるが、上記の形状は必ずしも略三角形である必要はなく、釣針3が、軸部3dを軸として回転(ローリング)することが防がれる形状であれば良く、例えば、略三角形以外の略多角形や略楕円形、略半円形であれば良い。
【0038】
図6に示されるように、後部ボディ4は、溝部G2に挿嵌可能な部分である接続部4aとルアーのテールであるテール部4b、前記後部ボディ前部とテール部4bとを連結する部分である結合部4cによって構成される。
【0039】
図2に示されるように、溝部G2は前部ボディ2の後部分に上下方向に設けられ後方向に開いた直線状の溝であり(換言すると溝部G2は、前部ボディ2に備えられ、ルアー1の上下方向を長さ方向とし、左右方向を幅方向とし、前後方向を深さ方向とし、前側を溝底、後側を開口とした溝である)、溝部G2は前部ボディ2の左右方向における中心に位置する。溝部G1と溝部G2は、溝部G1の端部G1-b付近で交差する。溝部G2の両側の端部G2-d・G2-eは開かれており、上記のいずれかの開かれた端部から後部ボディ4の接続部4aを溝部G2へ挿嵌P2する。図3に示すように、挿嵌P1を行った後、挿嵌合P2を行うことで釣針3は、溝部G1の前側の端部G1-aと後部ボディ4とに当接し、前部ボディ2に対して溝部G1と平行な方向(図3における前後方向)に動くことなく固定される。前述のとおり、溝部G1と、軸差し込み部3aの断面Sの形状により釣針3は、前部ボディ2に対して上下方向にも動かずローリングも生じないため、挿P2により釣針3は前部ボディ2に完全に固定される。また、差し込み部3aが、釣針部3eの屈折部3bから湾曲部3fまでにかけて取り付けられることにより釣針部3eよりも面積の広い差込部3aがG1-a及び後部ボディ4に当接し、釣針3がより強固に前部ボディ2に固定される。上記の構造により釣針とボディとを釣り糸やスナップ等で連結せずとも釣針3を前部ボディ2に対して完全に固定すること(溝部1の長さ方向及び溝部1の深さ方向へのずれとローリングを完全に抑えること)ができるため、釣針のラインアイのみに釣糸等を連結することができ、優れたルアーアクションが得られる。
【0040】
図8に示されるように、溝部G1の後側の端部G1-bと、溝部G1の溝底G1-eと溝部G2の溝底G2-cとが交わる点Xとの距離lは、3から20mmであることが好ましい。
【0041】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、溝部G2の両側の端部が開かれているが、必ずしも両側の端部が開かれている必要はなく、接続部4aを溝部G2へ挿嵌P2することができれば一方の端部のみが開かれていれば良い。
【0042】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、ルアーのテールとしてテール部4bを設けているが、ルアーのアクション等の観点からテールを備える必要がない場合は、テール部4b及び結合部4cは設ける必要がなく、上記の場合、溝部G2は溝状ではなく空洞状でも良い。
【0043】
図6に示すように、溝部G2は、溝幅が狭くなっている部分G2-aと、G2-aよりも溝幅が広くなっている部分G2-bとを有し、G2-bがG2-aに対して溝底G2-c側に位置する。また、接続部4aは、左右方向に幅が広がっている部分4a-1を有し、4a-1はG2-bに挿嵌され、G2-a部分の溝幅K5が4a-1の左右方向の幅K6よりも狭いため、例えばキャスティング時等に釣針3から後部ボディ4に対して溝部G1と平行な方向(図7における後方向)に力が加わった場合でも、4a-1とG2-aとの当接によって後部ボディ4は、前部ボディ2から後方向(溝部G2の開口方向)に抜けることなく前部ボディ2に固定されたままである。
【0044】
溝部G2の形状は図6に示す形状(T溝)に限られず、溝底G2-cと逆方向に溝幅の狭い部分を有し後部ボディ4が、前部ボディ2から後方向(溝部G2の開口方向)に抜けることなく固定されればよく、例えば蟻溝状等の形状でも良い。
【0045】
図8に示す様に、キャスティング時の慣性等により釣針3から後部ボディ4に対して溝部G1と平行な方向(図7における後方向)に力が加わった場合でも、4a-1とG2-aとが十分に当接し後部ボディ4が前部ボディ2から後方向(溝部G2の開口方向)に抜けることのないように溝部G1と溝部G2とのなす角θは30°から150°の値が好ましいが、上記の条件を満たせばθの値は0°又は180°(溝部G1と溝部G2が平行な状態)以外の値であれば良い。
【0046】
図2図6に示すように、接続部4aは溝部G2と直行する方向(ルアーの前方向)へ突き出た侵入部4a-2を有する。図3に示すように、溝部G2に後部ボディ4を挿嵌した状態において、侵入部4a-2が溝部G1へ侵入することにより、後部ボディ4は、溝部G2の長さ方向(ルアーの上下方向)にずれることなく固定される。また、侵入部4a-2の体積は、挿嵌P2が可能であるために、挿嵌P2時に侵入部4a-2が十分に弾性変形し接続部4aが溝部G2を移動可能となるように適切に設定する。
【0047】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、侵入部4a-2は溝部G1へ侵入することにより、後部ボディ4は、溝部G2の長さ方向にずれることなく固定されるが、前記の形状に限らず、後部ボディ4が、溝部G2の長さ方向にずれることなく固定されるのであれば、溝部G2と直行する方向(溝部G2の深さ方向)に後部ボディ4と溝部G2が互いに嵌合となる凹部と凸部を凹設及び凸設しても良く、上記の凹部と凸部の数は2つ以上でも良い。
【0048】
図2図3に示されるように釣針3は90°又は90°に近い角度で軸が屈折した屈折部3bを備え、釣糸を係止するためのラインアイ3cがルアーの上方向に突出する。ラインアイ3cは釣針部3eの線径よりも幅が広く挿嵌P1の際に溝部G1を通過することができないが、ラインアイ3cがルアーの上方向に突出することで、挿嵌P1時にラインアイ3cがルアーの外部を通過し挿嵌P1は可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1A:ルアー
2:前部ボディ
3:釣針
3a:差し込み部
3b:屈折部
3c:ラインアイ
3d:軸部
3e:釣針部
3f:湾曲部
3g:針先
4:後部ボディ
4a:接続部
4a-2:侵入部
4b:テール部
4c:結合部
G1:2に設けられた3aを挿嵌するための溝部
G1-a:閉じられた前側の端部
G1-b:開かれた後側の端部
G1-c:溝幅が狭くなっている部分
G1-d:溝幅が広くなっている部分
G1-e:溝底
G2:2に設けられた4aを挿嵌するための溝部
G2-a:溝幅が狭くなっている部分
G2-b:溝幅が広くなっている部分
G2-c:溝底
G2-d:上側の端部
G2-e:下側の端部
P1:3aのG1への挿嵌
P2:4aのG2への挿嵌
【要約】
【課題】ハードルアーにもソフトルアーと同様にシングルフックをルアーボディに対して動くことなくかつ容易に着脱可能に装着することが可能なルアーを提供する。
【解決手段】本第1実施形態のルアー1Aは、前部ボディ2、釣針3、後部ボディ3を備える。前部ボディ2は、溝部G1及び溝部G2とを備え、釣針3は差し込み部3aを備え、後部ボディ4は接続部4aを備える。溝部G1に差し込み部3aが溝部G2に接続部4aがそれぞれ挿嵌されることにより釣針3は前部ボディ2に係止される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
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図8
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図10