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特許7527101取外し可能な殺菌可能ボタンを備えた制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】取外し可能な殺菌可能ボタンを備えた制御システム
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20240726BHJP
   A61C 1/06 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A61C19/00 B
A61C1/06
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019142659
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2020032179
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】18188657.3
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515172120
【氏名又は名称】ビアン-エール・ホールディング・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】BIEN-AIR HOLDING SA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン・ブラゼー
(72)【発明者】
【氏名】コランタン・ジル
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ・サルキ
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-532159(JP,A)
【文献】中国実用新案第206867159(CN,U)
【文献】実開平06-031730(JP,U)
【文献】中国実用新案第207516864(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61C 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)であって、
回転軸(A-A)について回転可能に取り付けられる調節ノブ(2)を備えた制御ボックス(10)を含み、
前記調節ノブ(2)は、前記制御ボックス(10)内に統合されたエンコーダ(3)に統合された回転可能な制御サポート(20)と、前記回転可能な制御サポート(20)に取外し可能で連結された殺菌可能なボタン(21)とを有し、
前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)は、前記回転可能な制御サポート(20)の座面(24)と連結するための少なくとも1つの第1の内部接触面(23a)を備えた中央キャビティ(23)を有し、
且つ、軸方向保持手段ならびに回転駆動手段が、前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)および前記回転可能な制御サポート(20)の片側に配置された、
する、歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム。
【請求項2】
前記連結は、摩擦、スナップオン結合、又は磁力によって達成される、
請求項1に記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項3】
前記調節ノブ(2)は、前記制御ボックス(10)の制御スクリーン(11)に表示可能な機能を回転によって選択し、押圧することによって起動させるように設けられる、
請求項1または2に記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項4】
前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)は、その終端部に径方向外向きに延びるカラー(22)を有する、
請求項1-3のいずれか1つに記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項5】
前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)は、組み立てられた位置において、前記殺菌可能ボタンの下端部と前記制御ボックス(10)の外面(12)との間に軸方向に少なくとも0.2ミリメートルの遊び(E)があるように前記回転可能な制御サポート(20)と連結される、
請求項1-4のいずれか1つに記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項6】
前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)の前記中央キャビティ(23)は、内部円周ショルダ(28)内につながる、
請求項5に記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項7】
前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)は前記回転可能な制御サポート(20)に磁力で連結され、
能動的磁石(4)1つが前記回転可能な制御サポート(20)に統合され、
受動的磁石(5)1つが前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)に統合され、
出力される磁力の強さは5から15ニュートンの範囲内である、
請求項1-6のいずれか1つに記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項8】
請求項7が請求項5に従属するとき、前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)の中央キャビティ(23)が、前記調節ノブ(2)が組み立てられた位置で前記回転可能な制御サポート(20)の横向き連結面(25)に対してもたれかかる第2の円錐状内部接触面(23b)を含み、
前記内部接触面(23b)および前記横向き連結面(25)は前記調節ノブ(2)の前記回転軸(A-A)に対して15度の角度を有する
求項7に記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項9】
前記回転可能な制御サポート(20)に統合された前記能動的磁石(4)は、磁化の方向が前記調節ノブ(2)の前記回転軸(A-A)に直角な状態で配置された第1の永久磁石(4’)からなり、
第2の永久磁石(4”)は、磁化の方向が前記第1の永久磁石(4’)の磁化の方向の上に横たわる平行面に取り囲まれるように前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)内に統合される、
請求項7または8に記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項10】
前記回転可能な制御サポート(20)に統合された前記能動的磁石(4)は、磁化の方向が前記調節ノブ(2)の前記回転軸(A-A)に沿って配置された第1の永久磁石(4’)からなり、
第2の永久磁石(4”)は、磁化の方向が同様に前記調節ノブ(2)の前記回転軸(A-A)に沿うが、前記第1の永久磁石(4’)と極性が反対となるように前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)内に統合される、
請求項7または8に記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項11】
前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)が、横向きの連結凹部(29)に挿入されたO-リング型の密封部品(6)を使って前記回転可能な制御サポート(20)に摩擦によって連結される、
請求項1-10のいずれか1つに記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項12】
前記取外し可能な殺菌可能ボタン(21)が、引っ掛け溝(27)に挿入される突起(26a)を備えた弾性的に変形可能なスナップオンファスナまたはトング(26)を使って前記回転可能な制御サポート(20)に連結される、
請求項1-11のいずれか1つに記載の歯科又は手術用マイクロモータのための制御システム(1)。
【請求項13】
請求項1-12のいずれか1つに記載の制御システム(1)用の制御ボックス(10)。
【請求項14】
請求項1-12のいずれか1つに記載の制御システム(1)用の取外し可能な殺菌可能ボタン(21)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願発明は、歯科医や口腔外科医などの医療分野従事者向けの器具及び装置の分野に関する。より具体的には、そのような装置のモータ用の制御デバイスに関する。
【技術分野】
【0002】
歯科医、歯科衛生士、および口腔外科医、さらに歯内療法学、歯周病学(periodontology)及び口内手術、又はインプラントなどの分野従事者は、しばしば電気モータ(マイクロモータ)によって作動する回転ツールを備えた様々な器具やデバイスを使用できる。これらのモータは所定の出力を有し、実行される処置向けに適合される。したがって、例えば用途(クリーニング、研磨、歯根治療など)に応じてドリル作業又は研磨作業は、異なる速度又は、周辺の組織を痛め得るような過度の加熱がツールに発生することのないレベルの研磨及びドリルの力を効率よくツールに伝えるように適合された異なるカップリングの使用を必要とする。
【0003】
そのようなツールのマイクロモータを制御する様々な制御ユニットが市場で入手可能である。例えば、本願特許出願人の制御ステーション「Optima」は、例えば、予防又は回復処置の実行を、これらのタイプの処置に通常使われるが空気圧駆動によるツールの回転が超高速であるため(毎分10万回転以上)騒音が非常に大きいという欠点を有するタービンに代わって可能にする。この場合、速度はこの目的専用に特別に設計されたコンソール前面にある中央ホイール又はローラーにより制御される。
【0004】
インプラント及び顎顔面手術(maxillo-facial surgery)の分野では、制御スクリーン及び実質的に平面状のキーボード上に配置された制御キーを備えた本願特許出願人の「Chiropro」などの他のタイプの制御ユニットが知られている。異なる操作モードが矢印によりわかりやすく選択され、中央確認キー(central confirmation key)によって起動される。このタイプのコンソールの第1の短所は制御インターフェースが人間工学的にあまり良くない状態であり、プログラム変更のためにしばしば多くの異なるボタンを続けて押さなければならないことである。このタイプの制御ユニットの第2の短所は、医師による様々な操作の結果、毎回完全に汚染される惧れがあるコンソールキーボードの殺菌や汚染除去プロセスに関する。そのようなプロセスは、推奨される工程に従ってコンソール全体を摂氏135度に加熱して殺菌することが、重篤に損傷させることなくしては不可能であるため、比較的面倒であることが分かっている。したがって、化学物質によって手動のみで殺菌を実行することが必要であり、そのような物質はしばしばコンソールの材料を侵蝕し得て、中長期的に見栄えが悪くなる結果となる。
【0005】
したがって、制御インターフェースの上述のような短所への解決策の必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本願発明は、使いやすく、必要があれば殺菌が容易な単純なインターフェースを備えた制御システムを提供することを目的とする。
【0007】
本願発明によれば、この目的は、主要クレームに係る調節ノブを備えた制御ボックスを含む歯科又は手術用マイクロモータのための制御システムの手段によって達成され、調節ノブはボックスと統合されたエンコーダと統合された制御サポート、及び制御サポートと取外し可能に連結される殺菌可能なボタンからなる。調節ノブのこの構成によれば、医師が触れる部分を容易に組立および分解して、制御ボックスの残りの部分から独立して殺菌することが可能である。さらに、殺菌可能な部品は今後消耗部品として扱うことができ、残りの制御システムから独立してモジュールとして交換可能であり、したがってこの部品は、より侵蝕性が強くより効果的な化学物質を使って殺菌清浄することができる。
【0008】
連結は、摩擦、スナップオン結合、又は磁力によって達成されることが望ましく、それによれば取外し可能な殺菌可能ボタンを、補助ツールの助けなしで手動により組立又は分解することが可能となる。取外し可能な殺菌可能ボタンの組立や交換などの操作の使い勝手が著しく向上する。
【0009】
一実施形態によれば、調節ノブは、ボックスの制御スクリーンに表示可能な機能を回転によって選択する、及び押すことによって起動させる、の両方のために提供され、これによれば、これまでこれら2つの機能が別々の起動要素の操作によって達成されていた既存の製品と比べると、人間工学的レベルの向上が可能となる。
【0010】
一実施形態によれば、取外し可能な殺菌可能ボタンはその下端部において、外向きに径方向に延びるカラーが終端部にあり、これによれば、一方で、調節ノブの操作中にうっかりボックスを汚染してしまうことを防ぎ、他方で、直径を大きくして指でつまみやすくすることにより取外し可能な殺菌可能ボタンの分解を容易にする、という有利な点がある。さらに、ノブを押す必要がある場合の操作が、カラーの外面を指で押すことにより容易に実現可能となる。
【0011】
一実施形態によれば、取外し可能な殺菌可能ボタンは、組み立てられた位置において、押されていない普通の状態で殺菌可能ボタンとボックスの外面との間に軸方向に少なくとも0.2ミリメートルの遊びがあるように制御サポートと連結することが望ましい。これにより、指がボタン底面よりも少し下に届き、分解作業の際にボックスから容易に取り外せる。
【0012】
一実施形態によれば、取外し可能な殺菌可能ボタンは、座面(bearing surface)と連結するための少なくとも1つの第1の内部接触面、及び軸方向保持手段ならびに取外し可能な殺菌可能ボタンと制御サポートの片側に配置された回転駆動手段を備えた中央キャビティを有する。そのような構成によれば、組立時に取外し可能な殺菌可能ボタンを制御サポートに容易に当接させることが可能であり、同時にノブの機能的な高品質を保つことができ、起動トルクを効果的に容易に伝達でき、さらに同時に取外し可能な殺菌可能ボタンの意図しない抜け落ちを回避できる。さらに、連結機構はボタンのカバーの下に隠れ、操作性の向上が提供されるにもかかわらず制御装置の見栄えを保つことができる。
【0013】
取外し可能な殺菌可能ボタンの中央キャビティは、内部円周ショルダへつながることが望ましい。そのような構成は、取外し可能な殺菌可能ボタンと制御サポートの間の連結の品質を、組立誤差に依存してこれらの部品ごとに微かに変動し得る製造寸法に影響されずに確かに均一化することを目的とする。特に、この連結が高品質であればトルクをエンコーダに正しく伝達することが可能となる。
【0014】
特に例示的な実施形態によれば、取外し可能な殺菌可能ボタンは制御サポートに磁力で連結され、能動的磁石1つがサポートに統合され、受動的磁石1つが取外し可能な殺菌可能ボタンに統合され、出力される磁力の強さは5から15ニュートンの範囲内である。そのような構成により、サポートへのボタンの固定の品質と、組立・分解操作の容易さとの優れた折衷が得られる。
【0015】
そのような磁力連結モードに関連する変化例によれば、取外し可能な殺菌可能ボタンは上述の実施形態に係るもののような中央キャビティを含むが、キャビティはさらに、調節ノブが組み立てられた位置で制御サポートの横向き連結面に対してもたれかかる第2の円錐状内部接触面を含み、これらの面は調節ノブの回転軸(A-A)に対して15度の角度を有する。連結のそのような構成は、磁力線の方向によってトルクの最適な伝達が可能となるから、引っかけるための面又は要素、又は回転駆動の要素の機械加工を必要としない非常に単純な構造が可能となる。
【0016】
磁力連結モードに関連する別の変化例によれば、制御サポートに統合された能動的な磁石は磁化(magnetization)が調節ノブの回転軸に対して直角方向になるように設置された第1の永久磁石であり、第2の永久磁石は磁化が第1の永久磁石に平行になるように取外し可能な殺菌可能ボタンに統合される。そのような構成においては、ボタンとサポートの間に引力が生じるだけではなく、2つの永久磁石を介して出力されるボタンとサポートの間の磁性トルクが自然にボタンをサポートに位置合わせし、それによれば一方で、ボタンは所定の角度指示位置(indexed angular position)に配置され、他方で、2つの磁石の極の並びを保持しようとする自然な傾向によりボタンの手動回転の際、サポートをより効果的に駆動回転することが可能となる。
【0017】
磁力連結モードに関するまた別の変化例によれば、制御サポートに統合された能動的な磁石は、磁化がここでは調節ノブの回転軸(A-A)に沿った方向になるように設置された第1の永久磁石であり、第2の永久磁石は磁化が同様に調節ノブの回転軸(A-A)に沿った方向に、ただし第1の永久磁石とは反対方向になるように、取外し可能な殺菌可能ボタンに統合される。磁石の反対の極が互いに向き合うそのような構成においては、ボタンとサポートが互いに離れているとき、それらの間に排斥力を生じさせることが可能であり、同時に、ボタンがサポートの近くに置かれたときに強い引力を得ることもできる。これはボタンのカバーに統合された強磁性要素(すなわち受動的な磁石)が起こす磁力線の変化によるものである。これにより、ボタンを取り付ける段階において、使用者ははじめに抵抗力を感じ、次に、機械的なスナップオンの感触と似たようにボタンがサポートに勝手にスナップオン接続する効果を感じる。逆に、ボタンを取り外す段階において、使用者がボタンを少しだけはずす、又はサポートの軸から傾けるだけで排斥磁力を利用できて取外しが容易である。それにより汚染されたボタンと制御ボックスのスクリーンやその他の部分がうっかり接触することをさらに効果的に回避可能である。
【0018】
代わりの実施形態によれば、取外し可能な殺菌可能ボタンは、O-リングのタイプの密封部品を、取外し可能な殺菌可能ボタン又は調節ノブの制御サポートに作られた横向きの連結凹部に挿入することにより摩擦によって制御サポートに連結することができる。この方法の1つの有利な点は、同じ要素を軸方向保持と回転駆動、すなわちトルク伝達、に同時に使えるということである。しかし磁力連結モードと比較すると、耐用年数は大きく減少し、連結の品質を確かにするためにO-リングは頻繁に交換されなければならない。
【0019】
別の実施形態によれば、取外し可能な殺菌可能ボタンは、引っ掛け溝に挿入されるよう意図された突起(lug)を備えた弾性的に変形するスナップオンファスナによって制御サポートに連結することもできる。そのような構成も、同じ要素を軸方向保持と回転駆動とに同時に使うことを可能にするが、クリープ破壊の惧れがあり連結の品質を長期に保証することを可能としない。
【0020】
本願発明はさらに、制御ボックスおよび殺菌可能ボタンに関し、これらは提案される同じ制御システムに関係するが、別個に販売可能であるから互いに独立した発明である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
その他の有利な点や特徴は、限定的ではない例を用いて、および貼付の図面に示され、次に説明される本願発明の実施形態によってより明確となる。
【0022】
図1A図1Aは本願発明の実施形態に係る制御システムの概略斜視図であり、調節ノブが起動可能な構成を示す。
図1B図1Bは本願発明の実施形態に係る制御システムの概略斜視図であり、ノブの取外し可能な殺菌可能ボタンが制御ボックスから取り外された状態を示す。
図2図2は、制御サポートに対して磁力連結モードを使った実施形態に係る取外し可能な殺菌可能ボタンを下からみた斜視図である。
図3図3は、磁力連結モードを使った実施形態に係る調節ノブの断面図であり、取外し可能な殺菌可能ボタンがボックスの制御サポートに組み立てられた位置にある。
図4図4は、ボックスの制御サポート及び取外し可能な殺菌可能ボタンのそれぞれの側に配置された2つの永久磁石を使い、調節ノブの回転軸に直角な磁化方向による磁力連結を示すために別の実施形態を模式的に示す。
図5図5は、ボックスの制御サポート及び取外し可能な殺菌可能ボタンのそれぞれの側に配置された2つの永久磁石を使い、ここでは磁化方向が調節ノブの回転軸に沿って極が反対に置かれた場合の磁力連結を示すためにまた別の実施形態を模式的に示す。
図6図6は、本願発明の別の実施形態の断面図であり、取外し可能な殺菌可能ボタンとボックスの制御サポートの間が摩擦で連結するモードを示す。
図7図7は、本願発明の別の実施形態の断面図であり、取外し可能な殺菌可能ボタンがボックスの制御サポートにスナップオンされて連結するモードを示し、関連する殺菌可能ボタンの下からの斜視図では、ノブの回転駆動にも平行して機能するスナップオンファスナがハイライトされている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1A及び1Bは、本願発明の、磁力連結モードを使った実施形態に係る取外し可能な殺菌可能ボタン21を備えた制御システム1の斜視図である。制御システム1は、従来制御ボックス10の外面12に備えられる制御スクリーン11、およびエンコーダ付きであっていずれかの方向に回転させることで所定のモード又は機能を選択できる調節ノブ2を含む制御ボックス10を使い、エンコーダはこれらの図では見えないが図3において特に示される。そして、モード又は機能を確認又は起動するためにノブ2が軽く押される。これにより、専用のキーやその他の離れた要素を使ってモード又は機能の選択及び起動をする制御システムと比較して人間工学的なレベルが著しく向上する。
【0024】
組み立てられた位置の制御システムを示す図1Aにおいて、調節ノブ2は制御ボックス10に統合されて固定的に取り付けられたありふれたノブと差がないように見えるが、ボックスの横のノブ2、又はより正確には、その取外し可能な殺菌可能ボタン21、の終端部のカラー22にも気づくであろう。このカラー22は径方向外側へ延び、選択及び起動操作の際に摘み易くすると同時に、制御ボックス10の外面12を指先との望ましくない接触から保護することができる。さらに、直径が少し大きくなるから制御ボックス10から取り外す際に取外し可能な殺菌可能ボタン21が摘まみやすくなるから、調節ノブ2の取外し可能部分の取外し作業が容易となる。
【0025】
対照的に、図1Bは、取外し可能な殺菌可能ボタン21とボックス10と統合された制御サポート20との連結が取外し可能であることを示す。制御サポート20は、制御システム1の制御ボックスと向かい合って回転可能に取り付けられ、調節ノブ2の第1の部分を形成し、もう一方の部分は基部にカラー22が径方向外側に延びて形成される殺菌可能ボタン21によって形成される。これにより、この構成は、原理からして触る必要がある唯一の部分、したがって使用後毎回処理が必要となり得る唯一の部分をモジュールとして効果的に殺菌することを可能とする。
【0026】
図2は、制御システム1の残りの部分から孤立した状態の取外し可能な殺菌可能ボタン21を示し、これは単独で売られることもできる。殺菌可能ボタン21は、調節ノブ2の制御サポート20に配置された磁石などの能動的磁石4と協働することを意図する受動的磁石5を形成するために、少なくとも部分的には着磁性鋼などの強磁性材料で作られることが望ましい。取外し可能な殺菌可能ボタン21の形状は基部にカラー22が径方向外側に延びて形成される実質的にキャップに相当する形であり、制御サポート20が挿入可能な中央キャビティ23を有する。中央キャビティ23は、底が望ましくは平らであり、第1の内部接触面23aによって閉じられ、制御サポート20の座面24と連結することが意図され、さらに、望ましくは円錐形状であり、制御サポート20の横向き連結面25が当接する第2の内部接触面23bを有する。中央キャビティ23の入口に補足スペースとして内部円周ショルダ28が設けられる。
【0027】
図3は、本願発明の実施形態に係る制御サポート20と取外し可能な殺菌可能ボタン21との間の連結モードを説明するものであり、連結は磁力を利用し、同時に制御サポート20と取外し可能な殺菌可能ボタンの側面は、調節ノブ2の制御サポート20に統合された磁石が生成する磁力線に対する最適な方向となり、および磁化の方向が調節ノブ2の回転軸A-Aに直角になるように10度から20度、望ましくは15度、の円錐状である。この実施形態によれば、能動的磁石4は制御サポート20に統合された永久磁石であり、取外し可能な殺菌可能ボタン21全体が受動的磁石5にあたることは明らかである。ここで制御サポート20の断面は台形であり、円錐台を形成する。したがって台形の頂部は平らなサポートの座面24に相当し、取外し可能な殺菌可能ボタン21の第1の内部接触面23aと当接し、それがカバー210の内面を形成する。したがって磁性引力はそれ自身のみで軸方向の保持手段を構成し、これら2つの面の当接を継続させる。さらに、第2の内部接触面23bおよび側方連結面25の傾斜により、トルク伝達が最適ではない円筒面同士の協働と比較して使用者がボタンを回転させて起動するときの制御サポート20のエンコーダ3の駆動がより効果的となる。エンコーダ3は、制御ボックス10に対する調節ノブ2の回転軸A-Aに沿って回転可能なねじ山付きロッド31、および回転軸A-Aに直角に取り付けられるねじ32によって形成される。
【0028】
図3において、取外し可能な殺菌可能ボタン21の上部を形成するカバー210が明示され、軸スカート211の横方向厚みは、径方向外側に向くカラー22に到達するまで下がるとともに薄くなってゆく。取外し可能な殺菌可能ボタン21の外側側面211aは実質的に円筒形であり、回転させてトップダウンメニューを通常使って選択するために容易に掴むことができる。使用者が機能の認証やモード変更のために押す必要があるとき、カバー210aの上面、又はカラー22aの上面を押せばよく、それにより制御サポート20は、上向きのばね8の回復力Fに逆らって下に押され、電子制御回路9と抵抗型(resistive type)の電気的接触が達成される。そのような動作の直後、制御サポート20は、回復ばね8による回復力Fの作用により元の位置に戻る。
【0029】
調節ノブ2は、制御ボックス10の上面12を部分的に覆う上方ショルダ72を有し、気密シール(tightness seal)71に固定された、ボックスの挿入チューブ7に取り付けられる。しかし、そのような構成では制御ボックス10内については優れた気密性が得られるが、ボックスの上に余分な体積が生まれてしまい、制御サポート20に直接伝達されるボタンを制御回路9と電気接触するまで押す動作が妨害されないようにしなければならない。これは、内部円周ショルダ28(破線円の中のハッチングで表示)が中央キャビティ23の口に提供される理由の1つであり、ノブの挿入チューブの上方ショルダ72と衝突する可能性を排除するための追加凹部を提供する。
【0030】
図3の参照を続け、調節ノブ2は押し込まれた位置にあることは明らかであり、符号Eで示される矢印が通常位置での操作遊び、すなわちボックス12の外面とカラー22bの下面との距離、を画定する。この操作遊びは少なくとも0.2ミリメートルであることが望ましいとされ、取外し可能な殺菌可能ボタン21を摘み易くして、使用後に引き抜き易くするため1ミリメートルまで大きくなることが望ましい。
【0031】
取外し可能な殺菌可能ボタン21が制御サポート20に磁力で連結している前図に示された実施形態によれば、能動的磁石4が制御サポート20内に統合されるのみであり、取外し可能な殺菌可能ボタン21はその全体が受動的磁石5を構成し、磁力の強さは5から15ニュートンの範囲である。磁力の強さに関するこの範囲の値では、取外し作業は容易であり、取外し可能な殺菌可能ボタン21の取外しに急な強い動きを必要としない。しかし、磁力連結モードの範囲内において、たとえば取外し可能な殺菌可能ボタン21の一部のみが磁性材料で形成される、又は永久磁石を制御サポート20および取外し可能な殺菌可能ボタン21の片側に配置するなどの他の変化も可能であり、図4および5のダイヤグラムを参考に次に説明される。
【0032】
図4は、制御サポート20と取外し可能な殺菌可能ボタン21との磁力タイプの連結の変化例を模式的に示し、それによれば、第1の永久磁石4’が図3と似た状態、すなわち磁化の方向が調節ノブ2の回転軸A-Aに直角な状態で配置された能動的磁石片4を形成することに加えて、第2の永久磁石4”が取外し可能な殺菌可能ボタン21内に磁化の方向が第1の永久磁石4’の磁化の方向の上に横たわる平行面に取り囲まれるように配置される。したがって、制御サポート20の上に取外し可能な殺菌可能ボタン21が乗った位置において、2つの永久磁石4’および4”は、物理原理に基づく極の保存によってお互いに平行な磁化方向に自然に整列する傾向を有する。この方法によれば、2つの優位な技術的効果が達成され、1つめは、制御サポート20への取り付け後に毎回、取外し可能な殺菌可能ボタン21の同一の角度指示位置が得られることであり、2つめは、ノブ2の回転による起動時に取外し可能な殺菌可能ボタン21垂直から制御サポート20にトルク伝達がさらに好適に行われることが確かになることである(磁力線Lの方向および各磁石のN極ならびにS極も示す図4において時計方向の矢印によって示される)。この連結変化例は、取外し可能な殺菌可能ボタン21には少なくとも部分的に、しかし事実上完全にいかなる磁性材料も不要で、トルク伝達および制御サポート20への固定の質に関して望ましい効果が得られるという利点を有するが、さらに望ましいのは、受動的磁性材料の有無にかかわらず、前述の5~15ニュートンの引力値の範囲が得られるような永久磁石の配置である。
【0033】
図5は、2つの永久磁石が制御サポート20および取外し可能な殺菌可能ボタン21の片側にそれぞれ配置される磁力連結モードのさらに他の変化例を示す。しかし、前述の図4の配置と反対に、ここでは制御サポート20の第1の永久磁石4’および取外し可能な殺菌可能ボタンの第2の永久磁石4”は調節ノブの回転軸A-Aに直接沿って、極性反対で配置される(各磁石のN極が互いに向き合う)。したがって、図5の左側に示されるとおり、取外し可能な殺菌可能ボタン21が制御サポート20からある距離離れているとき、各磁石のお互いの間の磁力線Lは矢印のような排斥力が2つの部品間で発生するような方向を向く。しかし、図5の右側に示されるように、取外し可能な殺菌可能ボタン21が制御サポート20に十分に近づけられるとき、異なる要素間の磁力の流れを最大化する傾向にある磁力線Lの空間的再編成によって磁性排斥力は磁性引力に変わる。この変化例によれば、取り付け又は組立ての操作の際、取外し可能な殺菌可能ボタン21と制御サポート20の間の距離の閾値よりもいずれかが近づいた瞬間に、磁性排斥力が磁性引力に変わる一種の「クリック効果」が発生する。トルク伝達および指向性(制御サポート20に対する取外し可能な殺菌可能ボタン21の角度指示)に関して、前述の図4に示された変化例によって提供されるものと同じ有利点が得られるが、図5の変化例は、距離が遠いこと、及び/又は取外し可能な殺菌可能ボタン21を傾けて取外しに都合のよい磁性排斥力によって取外し操作を容易にするという付加的な有利点を有する。
【0034】
取外し可能な殺菌可能ボタン21と制御サポート20の間で磁力連結モードを使う全ての変化例において共通の有利点は、組立ておよび取外しの操作に道具が不要で特に簡単であることと、これらの操作が非常に大きい回数にわたって制御サポート20への取外し可能な殺菌可能ボタン21の固定や調節ノブ2のエンコーダ3に使用者がかけるトルクの伝達に悪影響なく繰り返し可能であることである。磁石が取外し可能な殺菌可能ボタン21に挿入された場合でも、たとえばサマリウムコバルト製の磁石を使うことにより、そのキュリー温度が摂氏300度を超えるから磁性を変化させることなくボタンを数百回サイクルにわたり繰り返し摂氏135度以上で殺菌することが可能である。
【0035】
図6の断面図で示される別の変化例によれば、取外し可能な殺菌可能ボタン21と制御サポート20の間の連結モードは、例えば連結凹部29に挿入された1つ又はそれ以上のO-リング型の連結ジョイント6を使って摩擦により達成可能である。図6において、第1の連結凹部29はカバー210のすぐ下に配置され、制御サポート20の十分に高い位置にあり、第2の連結凹部29は制御サポートの底部に配置され、摩擦力は2つのO-リングジョイント6に分配され、同時に取外し可能な殺菌可能ボタン21の第2の内部接触面23bのそれぞれの部分に対するO-リングジョイントの圧縮によりボタンの抜けの防止およびエンコーダ3へのトルク伝達が可能となる。しかし、耐用年数が優れた磁力連結モードと異なり、この解決策は連結の品質を確かにするためにジョイントを頻繁に交換する必要がある。図6の符号のうち、図3と共通のものは再び詳細に説明しないが、要点を簡単に述べると、外から見る限り磁力連結モードと比べて目立つ違いはなく、取外し可能な殺菌可能ボタン21の内部接触面の形状および制御サポート20の形状のみが異なり得て、ボタンの外形は同じであり連結に使われる要素は隠れたままである。
【0036】
図7に示されるさらにまた別の変化例によれば、連結は少なくとも1つの弾性変形可能なスナップオンファスナ又はトング26(図7中に6個識別できる)を使ったスナップオン接続により達成され得て、例えばプラスチック材料からなり得て端部に制御サポート20に配置された引っ掛け溝27に挿入されることを意図した突起26aを有する。引っ掛け溝27内の突起26aの協働により、取外し可能な殺菌可能ボタン21が制御サポート20に軸方向に確かに保持され抜けが防止されトルクも確かに伝達される。この目的で、スナップオン片として働く円筒形スカートの存在、およびそれが環状溝に挿入され制御サポート20の外周全体の周りに延びることにより軸方向保持の手段として働くことは確かであるが、反対に第2の機能であるトルク伝達を可能にするためには、スナップオンファスナ又はトングの数が多いほど、そして対応する引っ掛け溝が深いほどよい。図7に示される構成提案は軸方向保持および回転駆動の伝達に同じ要素を同時に使用するという利点を有するが、スナップオンファスナ又はトング26に使われるプラスチック要素のクリープ破壊の惧れがあるという短所を有するため、連結の品質を確かにするために頻繁な交換が必要である。ここで再び、図6の符号のうち、図3と共通のものは再び詳細に説明しないが外から見る限り他の連結モードと比べて識別可能な違いはなく、ボタンの外形は同じであり連結に関係する要素はカバー210および取外し可能な殺菌可能ボタン21の軸方向スカート211の下に隠れている。
【0037】
上記において、実施形態および変化例は例示のみのために提供され、本願発明において求める保護を限定することを意図していない。提案されている制御システム10が適切なあらゆる構成を採り得て、本願発明の構想から逸脱したり本願発明の範囲を縮小したりすることなく上述の説明と少し異なることはあり得ることを当業者は理解する。
【0038】
具体的には、磁力連結は、例えば制御サポートと取外し可能な殺菌可能ボタンの能動と受動の磁力部品の構成を反転して達成することも可能であり、または、いくつかの別の永久磁石を組み立てる2つの部品の間に分配配置することによっても達成可能である。同様に、制御サポート20に、および取外し可能な殺菌可能ボタン21に、異なる幾何学的形状を使うことも可能であり、具体的には軸受け面および横向き連結面に関連する形状である。同様に、引っ掛け結合および回転駆動のために提供される要素(すなわち、タブもしくはスナップオンファスナ又はトング26や、O-リング取り付け用の横向き連結凹部29など)の個数は、異なってもよく、またそれらの制御サポート20および取外し可能な殺菌可能ボタン21それぞれにおける配置も必要に応じて異なってもよいが、引き抜く際に必要な力は対応する磁力連結モードの数値に近い数値範囲内に留めたい。同様に、上述の異なる実施形態及び異なる変化例に関連する特徴を組み合わせることも、本願発明の範囲から逸脱することなく可能である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7