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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/60 20060101AFI20240726BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20240726BHJP
   F04D 29/40 20060101ALI20240726BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20240726BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
F04D29/60 H
F04D29/66 N
F04D29/40
F04B39/12 G
F04B39/00 101Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019202249
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021076046
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-317651(JP,A)
【文献】実開昭48-056162(JP,U)
【文献】実開昭51-108026(JP,U)
【文献】特開平09-101083(JP,A)
【文献】特開2016-142244(JP,A)
【文献】実開昭61-060033(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/60
F04D 29/66
F04D 29/40
F04B 39/12
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を送るポンプと、
前記ポンプが内部に収容され、複数の分割体によって構成されたケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記分割体を合わせた際に合わせられる合わせ面を具備して前記ケースの内面から内側に突出する板状の合わせ部と、
互いに合わせられる一組の前記合わせ部のうち一方の合わせ部から他方の合わせ部を貫通して前記合わせ面の合わせ方向に沿う方向に突出し、前記他方の合わせ部に向いた第1面を有する突出部と、
前記第1面と、前記他方の合わせ部のうち前記合わせ面とは反対側を向いた第2面との間に配置され、前記第1面及び前記第2面に当接して前記第2面を前記合わせ方向に押圧するくさび部と、
を有し
前記くさび部は、ネジによって前記突出部に固定されるものであり、
前記くさび部には、前記ネジが挿通される挿通孔が形成され、
前記突出部には、前記挿通孔を挿通した前記ネジが締め付けられるネジ孔が形成されているポンプ装置。
【請求項2】
流体を送るポンプと、
前記ポンプが内部に収容され、複数の分割体によって構成されたケースと、
を備え、
前記ケースは、
前記分割体を合わせた際に合わせられる合わせ面を具備して前記ケースから突出する合わせ部と、
互いに合わせられる一組の前記合わせ部のうち一方の合わせ部から他方の合わせ部を貫通して前記合わせ面の合わせ方向に沿う方向に突出し、前記他方の合わせ部に向いた第1面を有する突出部と、
前記第1面と、前記他方の合わせ部のうち前記合わせ面とは反対側を向いた第2面との間に配置され、前記第1面及び前記第2面に当接して前記第2面を前記合わせ方向に押圧するくさび部と、
を有し、
前記くさび部は、ネジによって前記突出部に固定されるものであり、
前記くさび部には、前記ネジが挿通される挿通孔が形成され、
前記突出部には、前記挿通孔を挿通した前記ネジが締め付けられるネジ孔が形成され、
前記挿通孔及び前記ネジ孔は、前記ケースの内側から外側に向かって前記ネジを挿入するように傾いているポンプ装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記一方の合わせ部とは別に形成されている請求項1又は請求項2に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を送り出すポンプ装置が知られている。例えば下記特許文献1に記載されたポンプ装置は、複数の袋体を有したエアマットに接続されている。ポンプ装置は、袋体の内圧を調整する。ポンプ装置は、エアポンプをケースの内部に収容してなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-166694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製造上の理由などから、上記のようなポンプ装置のケースを、複数の分割体によって構成したいという要望がある。この場合、ケースを構成する分割体の合わせ面の間に隙間があると、ポンプの振動で合わせ面が接触し、ガタ音が発生する虞がある。このため、ケースを分割体で構成したものは、静音性をよくすることが難しかった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ケースを分割体で構成し、静音性を高めることができるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のポンプ装置は、流体を送るポンプと、前記ポンプが内部に収容され、複数の分割体によって構成されたケースと、を備え、前記ケースは、前記分割体を合わせた際に合わせられる合わせ面を具備して前記ケースから突出する合わせ部と、互いに合わせられる一組の前記合わせ部のうち一方の合わせ部から他方の合わせ部を貫通して前記合わせ面の合わせ方向に沿う方向に突出し、前記他方の合わせ部に向いた第1面を有する突出部と、前記第1面と、前記他方の合わせ部のうち前記合わせ面とは反対側を向いた第2面との間に配置され、前記第1面及び前記第2面に当接して前記第2面を前記合わせ方向に押圧するくさび部と、を有しているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、分割体の合わせ面の隙間で生じるガタ音を低減できるから、ケースを分割体で構成し、静音性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例におけるポンプ装置であって、エアマットレスに接続された状態を示す斜視図
図2】ポンプ装置を示す斜視図
図3】ポンプボックスを示す断面図
図4】ポンプユニットを示す分解斜視図
図5】脚部がベース貫通孔に係止した状態を示す一部拡大断面図
図6】ポンプボックスを示す分解斜視図
図7】ポンプボックスの上部を示す一部拡大断面図
図8】第1分割体及び第2分割体を示す斜視図
図9】突出部及びくさび部を示す斜視図
図10】部材貫通孔に突出部を通す様子を示す斜視図
図11】楔配置空間にくさび部を配置する様子を示す斜視図
図12】楔配置空間にくさび部を配置した状態を示す斜視図
図13】楔配置空間にくさび部を配置した状態を示す断面図であって、図12のA-A位置における断面に相当する断面図
図14】楔配置空間にくさび部を配置した状態を示す断面図であって、図12のB-B位置における断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
本発明のエアバック用のポンプにおいて、前記突出部は、前記一方の合わせ部とは別に形成されているものとしてもよい。このような構成によれば、突出部を容易に製造できる。
【0010】
本発明のエアバック用のポンプにおいて、前記くさび部は、ネジによって前記突出部に固定されるものであり、前記くさび部には、前記ネジが挿通される挿通孔が形成され、前記突出部には、前記挿通孔を挿通した前記ネジが締め付けられるネジ孔が形成され、前記挿通孔及び前記ネジ孔は、前記ケースの内側から外側に向かって前記ネジを挿入するように傾いているものとしてもよい。このような構成によれば、ケースの内側から外側に向かって斜めにネジを挿入する作業は、ケースの内面に沿ってネジを挿入する作業と比べて容易である。したがって、分割体を組み付ける作業を容易にできる。
【0011】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1図14を参照しつつ詳細に説明する。本実施例におけるポンプ装置Pは、図1に示すように、寝室などで利用するためのエアマットレスMに接続される。ポンプ装置Pは、エアマットレスMに備えられた袋体Aの内圧を調整する。
【0012】
ポンプ装置Pは、図2に示すように、ポンプボックスB、コネクタC及びホースTを備えている。コネクタCは、エアマットレスMに接続される。ホースTは、コネクタCとポンプボックスBとを繋ぐ。ポンプボックスBは、図3に示すように、ポンプユニット10及びポンプユニット10を内部に収容するケース30を備えている。以下、各構成部材において、ポンプ装置Pを床面に設置した状態における上側(図3の上側)を上側、下側(図3の下側)を下側として説明する。
【0013】
ポンプユニット10は、図4に示すように、電源基板ベース11、電源ユニット12、ポンプベース13及びポンプ14を備えている。電源基板ベース11の上面に電源ユニット12が載置される。電源ユニット12の上面にポンプベース13が被せられる。ポンプベース13の上面にポンプ14が載置される。
【0014】
電源基板ベース11及びポンプベース13は鋼板で構成されている。ポンプ14は、エアマットレスMの袋体Aに空気を送る。電源基板ベース11と電源ユニット12とは、ネジS8により一体化される。電源基板ベース11とポンプベース13とは、ネジS1及びネジS7により一体化される。ネジS7は、ケース30の底体50に締め込まれる。ネジS1,S7,S8は、上側から下側に向かって締め込まれる。
【0015】
ポンプ14の下面には、4つの脚部15が設けられている。各脚部15は、ポンプ14の下面から垂下している。脚部15は、ゴム等の弾性材料からなる。脚部15は、ポンプベース13の上面に当接してポンプ14を支持する。ポンプ14が脚部15に支持されることによって、ポンプ14の振動音が緩和される。
【0016】
各脚部15は、図5に示すように、ポンプベース13に形成されたベース貫通孔16を上下方向に貫通している。各脚部15は、ベース貫通孔16の上縁に係止する上側係止部17、及びベース貫通孔16の下縁に係止する下側係止部18を備えている。上側係止部17及び下側係止部18の外径寸法は、ベース貫通孔16の径寸法よりも大きい。各脚部15のうち上側係止部17及び下側係止部18の間には、溝部19が形成されている。各脚部15の上端部には、ポンプ14の下面に接触するポンプ接触部21が設けられている。ポンプ接触部21と上側係止部17との間には、括れ部22が形成されている。括れ部22の外径寸法は、ポンプ接触部21及び上側係止部17の外径寸法よりも小さい。
【0017】
ケース30は、図3に示すように、筐体31、蓋体40及び底体50を備えている。筐体31は、上下両面が開口した円筒形状をなしている。筐体31の上端は、ケース30を床面に設置した状態で床面に対して傾斜している。筐体31の外周面は、図2に示すように、上下方向に延びた細い溝32によって装飾されている。細い溝32は、筐体31の外周面の全体に形成されている。細い溝32は、筐体31の上端から下端まで斜めに延びている。
【0018】
筐体31は、図2に示すように、2つの分割体(第1分割体31F及び第2分割体31Sと称する。)によって構成されている。筐体31を2つの分割体31F,31Sによって構成することにより、筐体31の内部にポンプユニット10を容易に収容できる。したがって、ポンプボックスBの組み立て性を向上できる。また、筐体31を2つの分割体31F,31Sによって構成することにより、筐体31の外周面の細い溝32を、型抜きによって形成できる。したがって、ポンプボックスBのデザイン性を向上できる。
【0019】
第1分割体31F及び第2分割体31Sは、筐体31を上下方向に延びた合わせ面39で分割した形態をなしている。第1分割体31Fは、筐体31のうち上下方向の寸法が大きい側を構成する。第2分割体31Sは、筐体31のうち上下方向の寸法が小さい側を構成する。第1分割体31F及び第2分割体31Sを上方から見ると、それぞれ半円形状をなしている。外周面の細い溝32は、第1分割体31F及び第2分割体31Sの合わせ面39を横切っている。合わせ面39については、後ほど詳しく説明する。
【0020】
筐体31は、図8に示すように、第1分割体31Fと第2分割体31Sとを合わせる位置を決める位置決め構造35を有している。位置決め構造35は、各合わせ面39に1ずつ備えられている。各位置決め構造35は、合わせ面39の合わせ方向に突出する凸側位置決め部35Aと、凸側位置決め部35Aが嵌合する凹側位置決め部35Bとを有している。凸側位置決め部35Aは、第2分割体31Sの内周面から片持ち状に突出している。凸側位置決め部35Aの先端は、第2合わせ面34Sよりも第1分割体31F側に位置する。凸側位置決め部35Aの先端には爪部36が設けられている。凹側位置決め部35Bは、位置決め板部37に形成された貫通孔である。凸側位置決め部35Aは凹側位置決め部35Bを貫通する(図10参照)。爪部36は、凹側位置決め部35Bの周縁に係止する。位置決め構造35によって、合わせ面39が合わさる位置に保持される。
【0021】
筐体31の上端開口には、図6及び図7に示すように、固定フレーム33が固定されている。固定フレーム33は、金属製である。固定フレーム33は、棒状をなしている。固定フレーム33は、2本備えられている。2本のうち一方の固定フレーム33は第1分割体31Fに、他方の固定フレーム33は第2分割体31Sに固定される。各固定フレーム33の両端部は、第1分割体31F及び第2分割体31SにネジS2によって固定される(図7参照)。固定フレーム33を第1分割体31F及び第2分割体31Sに固定することによって、第1分割体31F及び第2分割体31Sの変形を防止できる。
【0022】
蓋体40は、筐体31の上面開口を塞ぐ。蓋体40は、円形状をなしている。蓋体40は、筐体31の上端の傾斜に沿って取り付けられる。蓋体40は、底体50に対して斜めに配置される。
【0023】
蓋体40は、内蓋41と外蓋42とを有する二重構造である。蓋体40が二重構造であることによって、吸排気、放熱機能を備えながら、音を外に漏れにくくできる。内蓋41は、ケース30の内側に配置される。外蓋42は、ケース30の外側に配置される。内蓋41及び外蓋42は、ABS樹脂等によって構成されている。外蓋42には、クロムメッキが施されている。内蓋41と外蓋42とは、ネジS3によって固定される(図7参照)。内蓋41と外蓋42とが一体化された状態の蓋体40は、ネジS4によって固定フレーム33に固定される。ネジS3,S4は、下側から上側に向かって締め込まれる。
【0024】
内蓋41及び外蓋42は、図6に示すように、略円形の板状をなしている。内蓋41には、上部通気孔43が形成されている。上部通気孔43は、円形状をなしている。上部通気孔43は、内蓋41の中心に形成されている。上部通気孔43にはフィルタ(上部フィルタ44と称する。)が備えられている。上部フィルタ44は、発泡ウレタンなどの多孔質材料によって構成されている。上部フィルタ44の面積は、上部通気孔43の面積よりも大きい。上部フィルタ44は、方形状をなしている。上部フィルタ44によって、ポンプユニット10が防塵されるとともに音を外に漏れにくくできる。
【0025】
内蓋41の上面には、内壁45が立っている。内壁45は、上部通気孔43を包囲している。上部フィルタ44は、内壁45に囲まれた領域に配置される。内壁45は、上部通気孔43と同心の円環状をなしている。内壁45は、内蓋41が筐体31の上端に固定された状態において概ね鉛直に立つ(図7参照)。
【0026】
内蓋41の外周部には、径方向の外側に向かって上向きに傾斜した傾斜縁部46が形成されている。内蓋41の外縁は、内蓋41を水平面に載置した状態において内壁45の上端よりも高い位置に配置される。
【0027】
外蓋42の下面には、図7に示すように、外壁47が垂下している。外壁47は、外蓋42が内蓋41の上面に載せられた状態において内壁45と傾斜縁部46との間に位置する。外壁47は、内壁45と同心の円環状をなしている。外壁47は、外蓋42が筐体31の上面に取り付けられた状態で概ね鉛直に立つ(図7参照)。
【0028】
内蓋41と外蓋42との間には、ケース30の外部空間から上部通気孔43まで連なる通気路48が形成されている。通気路48は、内蓋41の傾斜縁部46と外蓋42の外縁部との間に形成された第1通路48F、外蓋42の外壁47の下方に形成された第2通路48S、及び内蓋41の内壁45の上方に形成された第3通路48Tを連通している。
【0029】
底体50は、図6に示すように、筐体31の下面開口を塞ぐ。底体50は、円形状をなしている。底体50は、床面に設置される。底体50の下面には、4つの足部51が設けられている。各足部51は、ゴム等の弾性材料によって構成されている。各足部51は、底体50と筐体31とを固定するネジS5の下側を覆う(図3参照)。
【0030】
底体50には、図6に示すように、下部通気孔52が形成されている。下部通気孔52は、複数の細長い開口によって構成されている。下部通気孔52にはフィルタ(下部フィルタ53と称する。)が備えられている。下部フィルタ53は、発泡ウレタンなどの多孔質材料によって構成されている。下部フィルタ53は、2つ備えられている。下部フィルタ53によって、ポンプユニット10が防塵される。
【0031】
底体50には、図示しない電源コードが接続されるインレット(インレットピン54及びインレットベース55)が備えられている。底体50には、ホースTを固定するカバー56が取り付けられている。
【0032】
さて、合わせ面39は、図8に示すように、ケース30の内面から内側に突出した部分(合わせ突出面34と称する。)と、ケース30の内面に沿って上下方向に続く部分(合わせ縦面39Aと称する。)とを備えている。合わせ突出面34は、第1分割体31Fの合わせ突出面(第1合わせ面34Fと称する。)と、第2分割体31Sの合わせ突出面(第2合わせ面34Sと称する。)とを有している。
【0033】
ケース30は、合わせ突出面34を有してケース30の内面から内側に突出した合わせ部61を備えている。合わせ部61は、第1分割体31Fの合わせ部(第1合わせ部61Fと称する。)と、第2分割体31Sの合わせ部(第2合わせ部61Sと称する。)とを有している。第1合わせ部61F及び第2合わせ部61Sは、板状をなしている。
【0034】
合わせ部61は、各合わせ面39に3箇所ずつ設けられている。合わせ部61は、各合わせ面39の上端部、上下方向における中間部、及び下端部に位置している。
【0035】
各合わせ部61には、図11に示すように、突出部70及びくさび部90が組み付けられる。突出部70は、互いに合わせられる一組の合わせ部61を貫通する。くさび部90は、合わせ部61を貫通した突出部70にネジS6によって取り付けられる。
【0036】
以下、合わせ部61、突出部70及びくさび部90について、突出部70が合わせ部61を貫通して突出する側(図11の左側)を左側、その反対側(図11の右側)を右側として説明する。また、くさび部90が位置する側(図11の下側)を下側、突出部70が位置する側(図11の上側)を上側として説明する。この場合の上側及び下側は、ポンプ装置Pを床面に設置した状態における上側及び下側と一致する。つまり、くさび部90は、突出部70よりも底体50側に位置する。
【0037】
合わせ部61には、図10に示すように、突出部70が左右方向に貫通する部材貫通孔62が形成されている。部材貫通孔62は、第1合わせ部61Fに形成された第1貫通孔62Fと、第2合わせ部61Sに形成された第2貫通孔62Sとを有する(図13参照)。第1貫通孔62F及び第2貫通孔62Sの貫通方向に直交する断面形状は同じである。第1貫通孔62F及び第2貫通孔62Sは、第1合わせ部61F及び第2合わせ部61Sが合わせられた状態において同軸上に連通する。
【0038】
部材貫通孔62の貫通方向に直交する断面形状は、図10に示すように、長方形状をなしている。部材貫通孔62は、長方形断面の長い方の辺を構成する一対の縁部(第1縁部63と称する。)、及び長方形断面の短い方の辺を構成する一対の縁部(第2縁部64と称する。)を備えている。第1縁部63は、上端が下端よりもケース30の径方向における中心側に位置するように傾いている。第2縁部64は、上端が下端よりもケース30の径方向における外側に位置するように傾いている。
【0039】
合わせ部61の左面は、第2合わせ面34Sとは反対側を向いた第2面65である。第2面65は、第2合わせ面34Sと平行である。第2面65から突出部70が左側に突出する。
【0040】
突出部70は、図11に示すように、第1合わせ部61F及び第2合わせ部61Sを貫通して左方に突出する。突出部70は、第1合わせ部61Fとは別に形成されている。突出部70は、ABS樹脂等によって構成されている。突出部70は、部材貫通孔62を貫通した状態において第2合わせ部61Sに向いた第1面71を有している。第1面71は、第2面65に対して傾斜している。第1面71は、下端から上端に向かって次第に第2面65との距離が小さくなるように傾いている。
【0041】
突出部70は、図9に示すように、基端部72と、突出本体部73と、先端部74とを有している。基端部72は、図11に示すように、突出部70が合わせ部61に組み付けられた状態において第1合わせ部61Fよりも右側に配される。基端部72は、部材貫通孔62の周縁部に係止する大きさを有している。基端部72は、第1合わせ部61Fの右面(第1合わせ面34Fとは反対側の面)に当接する。基端部72が部材貫通孔62の周縁部に係止することによって、突出部70は左側への抜け止めがなされる。
【0042】
突出本体部73は、図13に示すように、合わせ突出面34の合わせ方向に沿う方向(左右方向)に長い形状をなしている。突出本体部73の長さ方向と直交する断面形状は、略長方形である(図9参照)。突出本体部73の外周面は、長方形断面の長い方の辺を構成する一対の面(第1外面部75と称する。)と、長方形断面の短い方の辺を構成する一対の面(第2外面部76と称する。)とを備えている。一対の第1外面部75は平行である。一対の第2外面部76は平行である。
【0043】
突出本体部73は、部材貫通孔62に嵌合する嵌合部77を有している。嵌合部77は、基端部72と連なっている。嵌合部77は、第1外面部75において一段下側(図9では上側)に突出している。嵌合部77は、直方体状をなす2つのブロック部を有している。嵌合部77の側面は、突出本体部73の第2外面部76の一部を構成する。嵌合部77の下面(図9では上面)は、突出本体部73の第1外面部75の一部を構成する。
【0044】
嵌合部77は、図13に示すように、部材貫通孔62に嵌合する。嵌合部77の第1外面部75は部材貫通孔62の第1縁部63に沿う。嵌合部77の第2外面部76は第2縁部64に沿う。これによって、突出部70は、部材貫通孔62内に回り止めされる。
【0045】
突出本体部73には、図13に示すように、ネジS6が締め付けられるネジ孔79が形成されている。ネジ孔79は、突出本体部73を上下方向に貫通している。ネジ孔79は、一対の第1外面部75に開口している。ネジ孔79の軸線は、一対の第1外面部75に対して直交している。
【0046】
突出本体部73には、図13に示すように、くさび部90の突部92が挿入される楔挿入孔81が形成されている。楔挿入孔81は、突出本体部73を上下方向に貫通している。楔挿入孔81は、下方から見ると、図9に示すように、幅方向(突出本体部73の短手方向)に長い長方形状をなしている。楔挿入孔81の下側(突部92が挿入される方向の入口側)の開口面積は、上側(突部92が挿入される方向の奥側)の開口面積よりも大きい。楔挿入孔81の左面は、第1面71を構成する。
【0047】
先端部74は、図13に示すように、突出本体部73の第1外面部75から下方に突出している。先端部74は、突出本体部73の幅方向の全体にわたっている。先端部74の高さ寸法H1は、部材貫通孔62の第2縁部64の長さ寸法よりも大きい。先端部74は、突出部70を斜め姿勢にすることによって、部材貫通孔62を通り抜ける。先端部74の右面は、第1面71を構成する傾斜面78である。傾斜面78は、先端部74の幅全体に形成されている。傾斜面78の幅方向中央部は、楔挿入孔81の左面に連なっている。
【0048】
くさび部90は、ABS樹脂等によって構成されている。くさび部90は、図9に示すように、楔本体部91と、突部92とを有している。楔本体部91は、突出本体部73に重なる。突部92は、楔挿入孔81に挿入される。
【0049】
楔本体部91の軸線に直交する断面は、長方形状をなしている。楔本体部91の幅寸法は、突出本体部73の幅寸法と同等である。楔本体部91の外周面は、長方形断面の長い方向の辺を構成する一対の面(第1楔面部93と称する。)と、長方形断面の短い方向の辺を構成する一対の面(第2楔面部94と称する。)とを有する。一対の第1楔面部93は、突出部70に取り付けられた状態において第1外面部75と略平行をなす。
【0050】
楔本体部91には、一対の突片98が設けられている。一対の突片98は、楔本体部91の幅方向の両端部に設けられている。一対の突片98は、突部92の両側に位置する。一対の突片98は、第1楔面部93から突出部70への組み付け方向に突出している。一対の突片98の間に突出本体部73が嵌合する。
【0051】
楔本体部91には、ネジS6が挿通する挿通孔95が形成されている。挿通孔95は、楔本体部91を上下方向に貫通している。挿通孔95は、上下の第1楔面部93に開口している。挿通孔95の軸線は、上下の第1楔面部93に対して直交している。挿通孔95は、左右方向(突出部70の長さ方向)に長い形状をなしている。挿通孔95においてネジS6は左右方向に移動できる。
【0052】
楔本体部91の右端面は、図13に示すように、第2合わせ部61Sの第2面65に当接する第2当接面97である。第2当接面97は、楔本体部91の軸線に直交する面である。
【0053】
楔本体部91の左端面は、図13に示すように、突出部70の第1面71に当接する第1当接面96である。第1当接面96は、第1面71に沿うように傾斜する傾斜面である。第1当接面96は、突部92の突出端から突部92とは反対側の第1楔面部93までわたっている。第1当接面96は、第1面71よりも上下方向の寸法が大きい。
【0054】
突部92は、図9に示すように、楔本体部91の左端に設けられている。突部92は、楔本体部91の幅方向の中央部に位置している。突部92は、楔挿入孔81に整合した形状をなしている。突部92の左面は、突出部70の第1当接面96を構成する。
【0055】
次に、本実施例のポンプ装置Pを組み立てる作業の一例を説明する。
ポンプユニット10を組み立てて底体50に固定する作業を行う。図4に示すように、ポンプユニット10を、ネジS1,S8によって一体化する。底体50の上面に下部フィルタ53を載せ、その上にポンプユニット10を載せる。ネジS7を、ポンプベース13及び電源基板ベース11に挿通し、底体50にねじ込む。
【0056】
筐体31を組み合わせる作業を行う。第1分割体31F及び第2分割体31SにネジS2を用いて固定フレーム33を固定する。凸側位置決め部35Aを凹側位置決め部35Bに嵌合する。筐体31の合わせ面39が若干の隙間を有して対向する。第1合わせ部61F及び第2合わせ部61Sが向かい合う。第1貫通孔62Fと第2貫通孔62Sとが連通し、部材貫通孔62が形成される。
【0057】
部材貫通孔62に突出部70を挿入する。図10に示すように、突出部70の先端部74を左側に向けて、合わせ部61の右側から挿入する。突出部70を斜め姿勢にして、先端部74を部材貫通孔62に通す。図11に示すように、基端部72が第2合わせ部61Sの右面に当接するまで突出部70を押し込む。突出部70の嵌合部77が部材貫通孔62に嵌合する。突出本体部73は、筐体31の軸方向(上下方向)に対して傾いた姿勢で合わせ部61に固定される。突出部70のネジ孔79は、図14に示すように、下側の開口(ネジS6の入り口側の開口)が筐体31の内側を向き、上側の開口(ネジS6の出口側の開口)が筐体31の外側を向く。ネジ孔79の軸線は、下側が筐体31の径方向中心側に位置し、上側が筐体31の径方向外側に位置するように傾く。突出部70の第1面71と、第2合わせ部61Sの第2面65とが向かい合う。第1面71と第2面65との間に、くさび部90を配置する楔配置空間99が形成される(図13参照)。
【0058】
楔配置空間99にくさび部90を配置する(図11参照)。突部92を突出部70側に向ける。第1当接面96を第1面71側に、第2当接面97を第2面65側に向ける。一対の突片98を突出本体部73の両側に嵌合する。突部92を楔挿入孔81に嵌合する。突出本体部73と楔本体部91との間には隙間があいている。くさび部90の挿通孔95から突出部70のネジ孔79へネジS6を差し込む。図14に示すように、ネジS6は、筐体31の径方向内側から外側に向かって斜めに差し込む。ネジS6の締め付け作業用のスペースは、筐体310の中心側に確保される。よって、ネジS6の締め付け作業を容易に行うことができる。
【0059】
くさび部90の第1当接面96は、突出部70の第1面71に当接する。くさび部90の第2当接面97は、第2合わせ部61Sの第2面65に当接する。ネジS6の締め込みに伴って、楔本体部91と突出本体部73との間の隙間は小さくなる。第1当接面96及び第1面71の傾斜によって、くさび部90は合わせ部61側へ押される。くさび部90が第2面65を押圧する力が増す。第2合わせ部61Sは第1合わせ部61F側に押圧される。第1合わせ面34Fと第2合わせ面34Sとの間の隙間がなくなる。突出部70及びくさび部90の組み付け作業が完了する。
【0060】
すべての合わせ部61に、突出部70及びくさび部90を組み付ける作業を行う。合わせ縦面39Aの隙間がなくなり、ケース30の合わせ面39の全体において隙間がなくなる。
【0061】
筐体31に蓋体40を組み付ける。ネジS4によって、筐体31の固定フレーム33に蓋体40を固定する。ネジS4は、筐体31の内側(下側)から締め付ける。
【0062】
筐体31に底体50を組み付ける。筐体31を底体50の上側に配置する。ネジS5によって底体50と筐体31とを固定する。ネジS5は、底体50の下側(外側)から締め付ける。底体50の下面に足部51を取り付ける。以上により、ポンプ装置Pの組み立て作業が完了する。
【0063】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
ポンプ装置Pは、ポンプ14と、ケース30とを備えている。ポンプ14は、エアマットレスMの袋体Aに空気を送る。ケース30は、ポンプ14が内部に収容されている。ケース30は、第1分割体31F及び第2分割体31Sによって構成されている。ケース30は、合わせ部61と突出部70とくさび部90とを有している。合わせ部61は、第1分割体31F及び第2分割体31Sをあわせた際に合わせられる合わせ突出面34を具備してケース30の内面から内側に突出する。突出部70は、互いに合わせられる一組の第1合わせ部61F及び第2合わせ部61Sのうち第1合わせ部61Fから第2合わせ部61Sを貫通して合わせ突出面34の合わせ方向に沿う方向に突出する。突出部70は、第2合わせ部61Fに向いた第1面71を有する。くさび部90は、第1面71と、第2合わせ部61Sの第2合わせ面34Sとは反対側を向いた第2面65との間に配置される。くさび部90は、第1面71及び第2面65に当接して第2面65を合わせ方向に押圧する。この構成によれば、第1分割体31F及び第2分割体31Sの合わせ面39の隙間で生じるガタ音を低減できる。したがって、ケース30を第1分割体31F及び第2分割体31Sで構成し、静音性を高めることができる。エアマットレスMは、ポンプの音が大きいと入眠、睡眠の妨げになる。しかしながら、ポンプ装置Pは静音性が高いから入眠、睡眠の妨げになることを防止できる。
【0064】
突出部70は、第1合わせ部61Fとは別に形成されている。この構成によれば、突出部70を容易に製造できる。
【0065】
くさび部90は、ネジS6によって突出部70に固定される。くさび部90には、ネジS6が挿通される挿通孔95が形成されている。突出部70には、挿通孔95を挿通したネジS6が締め付けられるネジ孔79が形成されている。挿通孔95及びネジ孔79は、筐体31の内側から外側に向かってネジS6を挿入するように傾いている。筐体31の内側から外側に向かって斜めにネジS6を挿入し、締め付ける作業は、筐体の内面に沿ってネジS6を挿入し、締め付ける作業と比べて容易である。したがって、第1分割体31Fと第2分割体31Sとを組み付ける作業を容易にできる。
【0066】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、ポンプ装置PはエアマットレスMに接続される。これに限らず、ポンプ装置は、マッサージチェアなど各種の器具に接続するものであってもよい。
(2)上記実施例では、筐体31が第1分割体31F及び第2分割体31Sによって構成されている。これに限らず、筐体は、3以上の分割体によって構成してもよい。
(3)上記実施例では、合わせ面39がケース30の内面から内側に突出した合わせ突出面34と、ケース30の内面に沿って上下方向に続く合わせ縦面39Aとを備えている。これに限らず、合わせ面は、筐体の内面から内側に突出した合わせ突出面のみで形成されていてもよい。
(4)上記実施例では、合わせ部61は、各合わせ面39に3箇所ずつ設けられている。これに限らず、合わせ部の箇所数や位置は変更できる。
(5)上記実施例では、第1合わせ部61F及び第2合わせ部61Sは、板状をなしている。これに限らず、合わせ部は、合わせ方向に厚い形状であってもよい。
(6)上記実施例では、突出部70が第1合わせ部61F側から部材貫通孔62に挿入されて第2合わせ部61S側に突出する。これに限らず、突出部は、第2合わせ部側から部材貫通孔に挿入されて第1合わせ部側に突出してもよい。
(7)上記実施例では、突出部70に先端部74が設けられている。これに限らず、突出部に先端部を設けなくてもよい。
(8)上記実施例では、第1面71及び第1当接面96の両方が傾斜面である。これに限らず、第1面及び第1当接面のいずれか一方のみが傾斜面であってもよい。
(9)上記実施例では、くさび部90がネジS6によって突出部70に固定される。これに限らず、くさび部は圧入や任意のロック構造によって突出部に固定してもよい。
(10)上記実施例では、突出部70が第1合わせ部61Fとは別に設けられている。これに限らず、突出部は第1合わせ部と一体に形成してもよい。
(11)上記実施例では、ネジS6の差し込み方向が筐体31の軸線に対して傾いている。これに限らず、ネジの差し込み方向は、筐体の軸線に対して平行な方向又は直交する方向であってもよい。
(12)上記実施例では、ネジS6は下側から上側に向かって差し込まれる。これに限らず、ネジは上側から下側に向かって差し込むようにしてもよい。
(13)上記実施例では、くさび部90は、突出部70よりも底体50側に取り付けられる。これに限らず、くさび部は、突出部よりも蓋体側に取り付けても良い。
(14)上記実施例では、ケース30は、互いに組み付けられる筐体31、蓋体40及び底体50を有している。これに限らず、ケースの構成は適宜変更できる。
(15)上記実施例では、筐体31に合わせ面39が形成されている。これに限らず、ケースを構成する他の構成部、例えば蓋体や底体などに合わせ面が形成されてもよい。
(16)上記実施例では、ポンプ装置Pは、空気を送るものである。これに限らず、ポンプ装置は、液体、ガス、ゲルなど各種の流体を送り出すものであってもよい。
(17)上記実施例では、合わせ部61は、ケース30の内面から内側に突出している。これに限らず、合わせ部は、ケースの外面から外側に突出するものであってもよい。
(18)上記実施例において、ケース30の合わせ面39にシリコン液を流し込んでもよい。これによって、ケースの外周面に合わせ面の凹凸をなくし、見た目をよくすることができる。
(19)上記実施例において、筐体31と底体50との間にエラストマーを設置してもよい。これによって、静音性をより高めることができる。
(20)上記実施例において、筐体31は円筒形状である。これに限らず、筐体の形状は変更できる。例えば筐体の形状は、多面形状であってもよい。
(21)上記実施例は、筐体31の外周面に細い溝32の装飾が施されている。これに限らず、ケースの装飾は変更できる。例えばケースの装飾は、分割体毎に異なる模様を付すなどして様々なデザインにすることができる。
【符号の説明】
【0067】
P…ポンプ装置
S6…ネジ
14…ポンプ
30…ケース
31F…第1分割体(分割体)
31S…第2分割体(分割体)
34…合わせ突出面(合わせ面)
61…合わせ部
61F…第1合わせ部(一方の合わせ部)
61S…第2合わせ部(他方の合わせ部)
65…第2面
70…突出部
71…第1面
79…ネジ孔
90…くさび部
95…挿通孔
図1
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