(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】車両遠隔運転サービスシステム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240726BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240726BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240726BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/123 A
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2020045181
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 公基
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-162081(JP,A)
【文献】特開2017-174208(JP,A)
【文献】特開2000-087582(JP,A)
【文献】特開2019-194801(JP,A)
【文献】特開2019-168893(JP,A)
【文献】特開2019-160068(JP,A)
【文献】特開2002-024878(JP,A)
【文献】国際公開第2019/023626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作自在な車両と、
利用者からの乗車場所と目的地とを含む配車予約を受け付けるオペレーションセンターと、
前記オペレーションセンターで受け付けられた配車予約に基づき遠隔ドライバーが車両を遠隔操作する遠隔運転センターと、
前記目的地で利用者を降ろした車両が遠隔ドライバーにより遠隔操作されて駐車される
駐車場所と
を備え、
前記駐車場所は、機械式駐車設備であり、
前記乗車場所から前記目的地までの間、遠隔ドライバーが前記車両の遠隔操作を行
い、さらに前記機械式駐車設備の操作を遠隔ドライバーが行うよう構成された車両遠隔運転サービスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両遠隔運転サービスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の自動運転技術の開発が進められているものの、一般公道での自動運転の普及には、まだ時間が掛かる見込みであり、ドライバーが車両から離れた地点で該車両を遠隔操作する、いわゆる遠隔運転への期待が高まっている。
【0003】
尚、車両の遠隔運転と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両の遠隔運転に関しては、具体的なサービスを提供するものとなっていないのが現状である。
【0006】
特に、タクシーやバスのドライバー不足が深刻化している地域では、自家用車を持たない高齢者、子供、障碍者等の交通弱者を含む利用者への遠隔運転サービスの創出が急務となっている。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、利用者の移動に寄与し得、利便性の高いまちづくりに役立つ車両遠隔運転サービスシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、遠隔操作自在な車両と、
利用者からの乗車場所と目的地とを含む配車予約を受け付けるオペレーションセンターと、
前記オペレーションセンターで受け付けられた配車予約に基づき遠隔ドライバーが車両を遠隔操作する遠隔運転センターと、
前記目的地で利用者を降ろした車両が遠隔ドライバーにより遠隔操作されて駐車される
駐車場所と
を備え、
前記駐車場所は、機械式駐車設備であり、
前記乗車場所から前記目的地までの間、遠隔ドライバーが前記車両の遠隔操作を行い、さらに前記機械式駐車設備の操作を遠隔ドライバーが行うよう構成された車両遠隔運転サービスシステムに係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の車両遠隔運転サービスシステムによれば、利用者の移動に寄与し得、利便性の高いまちづくりに役立つという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の車両遠隔運転サービスシステムの実施例を示す全体概要構成図である。
【
図2】本発明の車両遠隔運転サービスシステムの実施例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の車両遠隔運転サービスシステムの他の実施例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の車両遠隔運転サービスシステムの更に他の実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1及び
図2は本発明の車両遠隔運転サービスシステムの実施例である。
【0021】
本実施例の場合、車両遠隔運転サービスシステムは、車両10と、オペレーションセンター20と、遠隔運転センター30とを備えている。
【0022】
前記車両10は、遠隔操作自在な車両である。前記車両10は、
図1に示す如く、利用者Uの認証機能を備えている。認証方法としては、例えば、近距離無線(ICやBluetooth(登録商標)等)による認証、画像認証(QRコード(登録商標)、生体認証等)、利用者Uのコード入力による認証が挙げられる。前記車両10には、遠隔運転機器が搭載され、操作履歴管理(運転操作、利用者Uの操作等)が行われるようになっている。前記車両10は、利用者Uによる利用操作機能を備えている。利用操作機能としては、例えば、カーナビゲーションシステムを用いることができ、利用者Uは、後述の如く、各種操作を基本的にスマートフォンで行うが、カーナビゲーションシステムを操作することでスマートフォンを操作しなくても使えるようになっている。
【0023】
前記オペレーションセンター20は、
図1に示す如く、利用者Uからの乗車場所と目的地Dとを含む配車予約を受け付ける受付機能を備えている。前記受付機能は、利用者Uからの直接予約は勿論のこと、公共交通等MaaS(Mobility as a Service)からの予約も受け付けるようになっている。因みに、MaaSとは、情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を活用して交通をクラウド化し、その運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を一つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である。前記オペレーションセンター20は、遠隔ドライバー31(
図2参照)を車両10に割り当てる遠隔ドライバーアサイン機能を備えている。前記オペレーションセンター20は、車両10の運行管理を行うようになっている。前記車両10の運行管理には、所有される車両10の全体の情報を管理し、運行可不可の情報を把握することが含まれる。前記オペレーションセンター20は、需要予測機能を備え、車両10の配置を決定するようになっている。前記オペレーションセンター20は、情報連携機能を備え、利用者Uの目的地Dへの通知や他システムとの連携を行うようになっている。
【0024】
前記遠隔運転センター30は、前記オペレーションセンター20で受け付けられた配車予約に基づき遠隔ドライバー31が車両10を遠隔操作するようになっている。前記遠隔運転センター30は、車両10の管理を行い、車両10の走行ログ、メンテナンス状況を把握するようになっている。前記遠隔運転センター30は、遠隔ドライバー31の管理を行い、遠隔ドライバー31の資格情報、勤務時間、健康管理、割当状況等を把握するようになっている。前記遠隔運転センター30は、遠隔運転機能を備え、遠隔ドライバー31が車両10を遠隔操作できる設備に着座した状態で、車両10の走行状態表示が行われ、走行に必要な車両10の周辺の画像、音等が流されるようになっている。前記遠隔運転センター30は、遠隔ドライバー31による運転中、車両10の監視を行うと共に、遠隔ドライバー31の監視を行うようになっている。前記遠隔運転センター30は、遠隔ドライバー31の自宅に設定することも可能である。又、前記遠隔運転センター30とは別に、遠隔ドライバー31の自宅に遠隔運転機能のみを備えた設備を設け、遠隔ドライバー31が在宅で車両10の遠隔操作を行うことも可能である。
【0025】
更に、本実施例の場合、車両遠隔運転サービスシステムは、前記目的地Dで利用者Uを降ろした車両10が遠隔ドライバー31により遠隔操作されて駐車される駐車場所40を備えている。前記駐車場所40においては、駐車場所管理が行われ、エリアの需要予測等がなされる。又、前記駐車場所40においては、駐車状況管理が行われると共に、車両メンテナンス駐車場所管理が行われる。前記車両メンテナンス駐車場所管理とは、例えば、バッテリーの充電、その他、車両10の各種メンテナンスが駐車場所40においていつ行われたかといった情報を記録し、管理することである。前記駐車場所40は、専用の駐車場(機械式駐車設備、立体駐車場等)とすることができる。但し、前記駐車場所40は、前記利用者Uの乗車場所又は前記車両10の一時待機位置として路上に設定されるスポットとしても良い。前記一時待機位置は、路上に限らず路外(例えば、ホテル・マンションの車寄せ等)に設定されるスポットとすることも可能である。
【0026】
前記利用者Uは、所有するスマートフォンに専用のアプリケーションをインストールし、予約機能により配車予約を行うようになっている。前記予約機能としては、スマートフォンのアプリケーションからの予約に限らず、電話で直接オペレーションセンター20に予約することも含まれる。前記アプリケーションには、利用操作機能が含まれ、頻繁に利用する乗車場所や目的地Dの設定等が行えるようになっている。又、利用者Uの目的地Dがホテルやショッピングモール等の施設や公共交通機関駅である場合、情報通知機能により目的地Dへの通知(例えば、介助が必要等の通知)が行われるようになっている。
【0027】
前記目的地D(施設、公共交通機関駅等)は、情報通知受信機能を備えている。
【0028】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0029】
先ず、利用者Uは、
図2に示す如く、スマートフォンのアプリケーションから配車予約を行う。該配車予約には、乗車場所と目的地Dとが含まれる。但し、前記スマートフォンのアプリケーションの代わりに、電話で直接オペレーションセンター20のオペレーター21に配車予約しても良い。
【0030】
オペレーションセンター20においては、利用者Uからの配車予約を受け付けると、オペレーター21が利用者Uの乗車場所に近い車両10を検索し、該当する車両10の割り付けを行う。
【0031】
前記車両10の割り付け完了後、遠隔ドライバー31のアサインが行われ、遠隔ドライバー31が決定される。遠隔ドライバー31の決定基準としては、
・運転時間が規定値を超えていないこと
・運転可能な状態にあること(ex.飲酒していない)
・運転可能な資格を持っていること
が挙げられる。尚、前記遠隔ドライバー31のアサインが直ぐにできない場合は、利用者Uに予想時刻が通知される。又、前記遠隔ドライバー31のアサインが直ぐにできない場合、利用者Uに他の移動手段を勧めることも可能である。
【0032】
前記遠隔ドライバー31のアサインによって遠隔ドライバー31が決定されると、オペレーションセンター20のオペレーター21から利用者Uへ通知が行われ、通知を受信した利用者Uは、乗車場所で待機する。車両10が利用者Uの近くにある場合、利用者Uは車内で待っていても良い。
【0033】
前記利用者Uの介助が必要となるような場合、前記利用者Uへの通知と同時に、オペレーションセンター20のオペレーター21から目的地D側へ車両10の到着予定時刻が通知される。
【0034】
前記遠隔ドライバー31の決定後、車両10の運転が開始され、駐車場所40が機械式駐車設備等の場合、車両10の入出庫口への呼び出しといった駐車場所側設備操作が遠隔ドライバー31によって行われ、駐車場所40から車両10が出庫され、乗車場所への車両10の走行が開始される。前記駐車場所40が、前記車両10の一時待機位置として設定されるスポットである場合、前記駐車場所側設備操作は特に行われず、そのまま乗車場所への車両10の走行が開始される。
【0035】
前記車両10が乗車場所に到着すると、利用者Uに到着通知が送信され、利用者Uは車両10に乗車し、利用者Uと割り付けられた車両10との認証が行われる。
【0036】
前記利用者Uと割り付けられた車両10との認証が成立すると、サービスの利用が開始され、遠隔ドライバー31による目的地Dへの車両10の運転が開始される。乗車中は各種コンテンツが提供され、利用者Uは、音楽や映像、AI又はオペレーター21との会話等を自由に選択して楽しむことができる。
【0037】
車両10が目的地Dに到着すると、利用者Uは、降車し、サービス利用終了となる。
【0038】
前記利用者Uの介助が必要となるような場合、目的地Dに近づいた時点でオペレーションセンター20のオペレーター21から目的地Dへ到着予告通知が行われる。
【0039】
利用者Uが降車してサービス利用終了となると、オペレーションセンター20で駐車場所40の検索が行われ、空いている駐車場所40が確保される。
【0040】
オペレーションセンター20のオペレーター21から遠隔ドライバー31へ駐車場所40が指示され、再度、車両10の運転が開始される。
【0041】
車両10が駐車場所40に到着すると、駐車場所40が機械式駐車設備等の場合、車両10を載置するパレットの入出庫口への呼び出しといった駐車場所側設備操作が遠隔ドライバー31によって行われ、駐車場所40へ車両10が入庫されて駐車される。前記駐車場所40が、前記車両10の一時待機位置として設定されるスポットである場合、前記駐車場所側設備操作は特に行われず、そのままスポットへの車両10の駐車が行われる。
【0042】
前記車両10が駐車されると、車両操作終了となって車両10は駐車場所40で待機し、遠隔ドライバー31の解除が行われる。
【0043】
この結果、車両10の遠隔運転に関して、具体的で有益なサービスを提供することが可能となる。
【0044】
又、遠隔ドライバー31がタクシーやバスのドライバー不足を補えるようになり、自家用車を持たない高齢者、子供、障碍者等の交通弱者を含む利用者Uを救済することにもつながる。
【0045】
こうして、利用者Uの移動に寄与し得、利便性の高いまちづくりに役立つ。
【0046】
そして、本実施例の場合、前記目的地Dで利用者Uを降ろした車両10が遠隔ドライバー31により遠隔操作されて駐車される駐車場所40を備えている。このように構成すると、車両10を駐車場所40に待機させることができ、利用者Uからの配車予約に迅速に対応する上で有効となる。
【0047】
又、本実施例の場合、前記駐車場所40は、専用の駐車場とすることができる。このように構成すると、専用の駐車場に待機させた車両10のメンテナンスを行いやすくなる。
【0048】
更に又、本実施例の場合、前記駐車場所40は、前記利用者Uの乗車場所又は前記車両10の一時待機位置として設定されるスポットとすることができる。このように構成すると、多大な設備投資をすることなく、スポットを多数点在させることで、利用者Uからの配車予約により迅速に対応することができる。
【0049】
図3は本発明の車両遠隔運転サービスシステムの他の実施例であって、図中、
図1及び
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。基本的な構成は
図1及び
図2に示す実施例と同様であるが、他の実施例の特徴とするところは、
図3に示す如く、前記乗車場所と目的地Dとの間は利用者Uが車両10を運転する点にある。
【0050】
次に、上記他の実施例の作用を説明する。
【0051】
先ず、利用者Uは、
図3に示す如く、スマートフォンのアプリケーションから配車予約を行う。該配車予約に、乗車場所と目的地Dとが含まれる点は、
図2に示す実施例と同様であるが、利用者Uは、配車予約時に、前記乗車場所と目的地Dとの間は自身が車両10を運転する旨、伝えるようにする。但し、前記スマートフォンのアプリケーションの代わりに、電話で直接オペレーションセンター20のオペレーター21に配車予約し、前記乗車場所と目的地Dとの間は自身が車両10を運転する旨、伝えても良い。
【0052】
オペレーションセンター20においては、利用者Uからの配車予約を受け付けると、オペレーター21が利用者Uの乗車場所に近い車両10を検索し、該当する車両10の割り付けを行う。
【0053】
前記車両10の割り付け完了後、遠隔ドライバー31のアサインが行われ、遠隔ドライバー31が決定される。遠隔ドライバー31の決定基準としては、
・運転時間が規定値を超えていないこと
・運転可能な状態にあること(ex.飲酒していない)
・運転可能な資格を持っていること
が挙げられる。尚、前記遠隔ドライバー31のアサインが直ぐにできない場合は、利用者Uに予想時刻が通知される。又、前記遠隔ドライバー31のアサインが直ぐにできない場合、利用者Uに他の移動手段を勧めることも可能である。
【0054】
前記遠隔ドライバー31のアサインによって遠隔ドライバー31が決定されると、オペレーションセンター20のオペレーター21から利用者Uへ通知が行われ、通知を受信した利用者Uは、乗車場所で待機する。車両10が利用者Uの近くにある場合、利用者Uは車内で待っていても良い。
【0055】
前記利用者Uが乗車場所から目的地Dまで運転する場合、介助は必要とならないため、前記利用者Uへの通知と同時に、オペレーションセンター20のオペレーター21から目的地D側への車両10の到着予定時刻の通知は省略される。
【0056】
前記遠隔ドライバー31の決定後、車両10の運転が開始され、駐車場所40が機械式駐車設備等の場合、車両10の入出庫口への呼び出しといった駐車場所側設備操作が遠隔ドライバー31によって行われ、駐車場所40から車両10が出庫され、乗車場所への車両10の走行が開始される。前記駐車場所40が、前記車両10の一時待機位置として設定されるスポットである場合、前記駐車場所側設備操作は特に行われず、そのまま乗車場所への車両10の走行が開始される。
【0057】
前記車両10が乗車場所に到着すると、利用者Uに到着通知が送信され、遠隔ドライバー31による車両操作終了となって、遠隔ドライバー31の解除が行われる。
【0058】
前記利用者Uは車両10に乗車し、利用者Uと割り付けられた車両10との認証が行われる。
【0059】
前記利用者Uと割り付けられた車両10との認証が成立すると、利用者Uによる運転が開始され、車両10は目的地Dへ向かう。
【0060】
車両10が目的地Dに到着すると、利用者Uは、降車場所において利用終了通知をオペレーションセンター20へ送り、降車する。
【0061】
前記オペレーションセンター20において、利用終了通知が受け付けられると、オペレーター21が、再度、該当する車両10の割り付けと、遠隔ドライバー31のアサインとを行い、遠隔ドライバー31が決定される。この時、即座に遠隔ドライバー31のアサインができるよう配車予約時に併せて人員の確保をしておいても良い。
【0062】
前記遠隔ドライバー31のアサイン後、オペレーションセンター20で駐車場所40の検索が行われ、空いている駐車場所40が確保される。この時、即座に駐車場所40が確保できるよう、配車予約時に併せて駐車場所40を押さえておいても良い。
【0063】
前記駐車場所40が確保されると、オペレーションセンター20のオペレーター21から遠隔ドライバー31へ駐車場所40が指示され、再度、遠隔ドライバー31による車両10の運転が開始される。
【0064】
車両10が駐車場所40に到着すると、駐車場所40が機械式駐車設備等の場合、車両10を載置するパレットの入出庫口への呼び出しといった駐車場所側設備操作が遠隔ドライバー31によって行われ、駐車場所40へ車両10が入庫されて駐車される。前記駐車場所40が、前記車両10の一時待機位置として設定されるスポットである場合、前記駐車場所側設備操作は特に行われず、そのままスポットへの車両10の駐車が行われる。
【0065】
前記車両10が駐車されると、車両操作終了となって車両10は駐車場所40で待機し、遠隔ドライバー31の解除が行われる。
【0066】
この結果、車両10を保有していないが運転を好む利用者Uに対しても、車両10の遠隔運転と組み合わせて、具体的で有益なサービスを提供することが可能となる。
【0067】
こうして、交通弱者を含むさまざまな利用者Uの移動に寄与し得、利便性の高いまちづくりに役立つ。
【0068】
図4は本発明の車両遠隔運転サービスシステムの更に他の実施例であって、図中、
図1及び
図2、
図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。基本的な構成は
図1及び
図2に示す実施例、並びに
図3に示す他の実施例と同様であるが、更に他の実施例の特徴とするところは、
図4に示す如く、オペレーションセンター20において、移動対象となる駐車場所40と駐車場所40との間で車両10を再配置する指示を行い、遠隔運転センター30において、前記オペレーションセンター20からの指示に基づき遠隔ドライバー31が車両10を遠隔操作するよう構成した点にある。
【0069】
次に、上記更に他の実施例の作用を説明する。
【0070】
先ず、
図4に示す如く、オペレーションセンター20においては、移動対象となる駐車場所40の車両10の割り付けを行う。
【0071】
前記車両10の割り付け完了後、遠隔ドライバー31のアサインが行われ、遠隔ドライバー31が決定される。遠隔ドライバー31の決定基準としては、
・運転時間が規定値を超えていないこと
・運転可能な状態にあること(ex.飲酒していない)
・運転可能な資格を持っていること
が挙げられる。
【0072】
前記遠隔ドライバー31のアサインによって遠隔ドライバー31が決定されると、オペレーションセンター20のオペレーター21から遠隔ドライバー31へ移動元の駐車場所40の指示が行われ、指示を受けた遠隔ドライバー31は、移動先となる駐車場所40を確認する。
【0073】
前記遠隔ドライバー31が移動先となる駐車場所40を確認すると、該遠隔ドライバー31による車両10の運転が開始され、移動元の駐車場所40が機械式駐車設備等の場合、車両10の入出庫口への呼び出しといった駐車場所側設備操作が遠隔ドライバー31によって行われ、移動元の駐車場所40から車両10が出庫され、移動先となる駐車場所40への車両10の走行が開始される。前記移動元の駐車場所40が平置きの駐車場等である場合、前記駐車場所側設備操作は特に行われず、そのまま移動先となる駐車場所40への車両10の走行が開始される。
【0074】
前記車両10が移動先となる駐車場所40に到着すると、移動先となる駐車場所40が機械式駐車設備等の場合、車両10を載置するパレットの入出庫口への呼び出しといった駐車場所側設備操作が遠隔ドライバー31によって行われ、移動先となる駐車場所40へ車両10が入庫されて駐車される。前記駐車場所40が、平置きの駐車場等である場合、前記駐車場所側設備操作は特に行われず、そのまま移動先となる駐車場所40への車両10の駐車が行われる。
【0075】
前記車両10が駐車されると、車両操作終了となって車両10は駐車場所40で待機し、遠隔ドライバー31の解除が行われる。
【0076】
図4に示す更に他の実施例の場合、前記車両10は、カーシェアリングに用いられる車両とすることができる。カーシェアリングにおいては、点在する複数の駐車場所40に車両10が偏って配備されることがある。しかし、
図4に示す更に他の実施例の車両遠隔運転サービスシステムを用いれば、車両10が偏って多く配備された移動元の駐車場所40から、車両10の少ない移動先となる駐車場所40へ車両10を移送することで、点在するカーシェアリングの複数の駐車場所40に車両10を均等に配備することが可能となる。
【0077】
又、
図4に示す更に他の実施例の場合、前記車両10は、シェアサイクルに用いられる自転車を移送する車両とし、前記駐車場所40は、前記自転車が駐輪されるポートを含むようにすることができる。シェアサイクルにおいても、点在する複数のポートに自転車が偏って配備されることがある。しかし、
図4に示す更に他の実施例の車両遠隔運転サービスシステムを用いれば、自転車が偏って多く配備された移動元の駐車場所40に含まれるポートから、自転車の少ない移動先となる駐車場所40に含まれるポートへ自転車を車両10により移送することで、点在するシェアサイクルの複数のポートに自転車を均等に配備することが可能となる。
【0078】
更に又、
図4に示す更に他の実施例の場合、前記車両10は、物流に用いられる車両とし、前記駐車場所40は、物流センターを含むようにすることができる。物流業界においては、ドライバー不足が深刻化している。しかし、
図4に示す更に他の実施例の車両遠隔運転サービスシステムを用いれば、移動元の駐車場所40に含まれる物流センターから、移動先となる駐車場所40に含まれる物流センターへ車両10を移送することで、ドライバー不足を解消しつつ荷物輸送を円滑に行うことが可能となる。
【0079】
尚、本発明の車両遠隔運転サービスシステムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
10 車両
20 オペレーションセンター
21 オペレーター
30 遠隔運転センター
31 遠隔ドライバー
40 駐車場所
U 利用者
D 目的地