(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】起こり得るバルブ振動を低減するために高耐久性の機械式の手段を有する、液圧流の可変の絞りをするためのバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 47/02 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
F16K47/02 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020099010
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】10 2019 209 003.6
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】レヒラー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ガルト,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】アイゼレ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】クルツ,エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ショルン,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】クロイツァー,ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】ビーアラー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】クロース,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュルネガー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】シュタール,ヴォルフ
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-039157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ(2)と、前記プランジャ(2)がストローク方向(4)へ運動をするために中で案内される案内部材(3)とを含む、液圧流の可変の絞りをするためのバルブ(1)において、起こり得るバルブ振動を低減するために前記プランジャ(2)の径方向のクリアランス(6)を局所的に低減する少なくとも1つ
の機械式の手段(5)を有
し、
前記機械式の手段(5)は、前記案内部材(3)と一体的に構成されたばねであることを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記機械式の手段(5)は前記プランジャ(2)のストローク運動中に横方向力を前記プランジャ(2)に対して及ぼす、請求項1に記載のバルブ(1)。
【請求項3】
前記機械式の手段(5)は金属製である、請求項1または2に記載のバルブ(1)。
【請求項4】
前記機械式の手段(5)は曲げばねである、請求項1から
3までのいずれか1項に記載のバルブ(1)。
【請求項5】
前記曲げばねはストローク方向(4)またはストローク方向(4)に対して横向きにアライメントされる、請求項
4に記載のバルブ(1)。
【請求項6】
円周に沿って前記プランジャ(2)の周りに配分されて配置された少なくとも2つの機械式の手段(5)が設けられる、請求項1から
5までのいずれか1項に記載のバルブ(1)。
【請求項7】
前記案内部材(3)はスリーブである、請求項1から
6までのいずれか1項に記載のバルブ(1)。
【請求項8】
前記案内部材(3)は、前記プランジャ(2)にストローク方向(4)で初期応力をかける初期応力部材(7)が支持されるばねスリーブである、請求項1から
7までのいずれか1項に記載のバルブ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧流の可変の絞りをするためのバルブに関する。さらに、これに相当するバルブを有する自動車のための液圧システムも記載される。特に、このようなバルブのコンポーネントを製造するための種々の方法も記載される。
【背景技術】
【0002】
現代のABS/ESPシステムは、たとえば先行車両との距離遵守にあたって運転者をサポートする追加機能を提供する。このことは、運転者が自分でブレーキペダルを操作することなくホイールブレーキキャリパで圧力が生成されることによって、システムの能動的な介入により行われる。邪魔な騒音が運転者に聞こえないようにするために、システムの圧送ユニットからの圧力脈動を和らげる液圧式の緩衝方策が適用される。この緩衝方策は、液圧的な抵抗と容量とが組み合わされてなる。液圧式の緩衝の有効性のために、通常、大きな絞りが抵抗によって具体化される。その際の欠点は、高い抵抗(大きい圧力降下)に伴ってモータに対する負荷が増大し、回転数が低下し、それに伴って圧送出力ないし圧力生成ダイナミクスが低下することにある。
【0003】
対応策として、貫流される可変の面を流量依存的に体現する抵抗を利用することができる。すなわち、容積流量が多いときには貫流される面が広くなり、それに伴って、圧力降下のそれ以上の進行が抑えられる。可変の絞りが、流量依存的なストロークを有するバルブ(閉止体とばね)の形態で構成される場合、閉止体の振動(並進的および回転的)につながる流動力が作用する。それによって圧力振動が生成され、これが液圧系の中で伝搬して、ボディへの配管の連結によって車室内の騒音をもたらし得る。このような背景のもとで、このように生成されるバルブの振動を少なくとも低減し、もしくはさらに防止する尽力が為されている。
【発明の概要】
【0004】
そこで請求項1に基づき、プランジャと、プランジャがストローク方向へ運動をするために中で案内される案内部材とを含む、液圧流の可変の絞りをするためのバルブが提案され、起こり得るバルブ振動を低減するためにプランジャの径方向のクリアランスを局所的に低減する少なくとも1つの高耐久性の機械式の手段を有することを特徴とする。
【0005】
このバルブは、たとえば電磁弁および/または連続バルブであってよい。連続バルブとしてのバルブは(切換弁とは一線を画して)、さまざまに異なる閉止体位置の間での連続的な移行を可能にする。それに伴い、バルブを通る容積流量をストロークに依存して調整可能である。
【0006】
このバルブはバルブハウジングを含むことができ、その中に、通常、バルブ取込部をバルブ吐出部と接続する長手方向通路が設けられる。プランジャはこの関連では、たとえば長手方向通路に挿入されていてよい。プランジャは1つの端部に閉止体を有するように構成され、またはこれと結合されていてよい。案内部材は、たとえば長手方向通路の中に配置されていてよく、またはこれを少なくとも区域的に取り囲むことができる。
【0007】
プランジャは案内部材の中で、通常、(通常はストローク方向に相当する)バルブの長手方向へ可動である。さらに、通常、機械式の手段はプランジャのストローク運動中にプランジャに対して相対運動を行うことが意図される。このとき機械式の手段の少なくとも1つの部分は、プランジャの外側表面に沿ってプランジャに対して相対的に動くことができる。このことは別の表現では、特に、機械式の手段の少なくとも1つの部分が(プランジャのストローク運動中にも、特に連続的ないし継続的に)プランジャの外側表面と接触していてよいことを意味する。
【0008】
機械式の手段は、起こり得るバルブ振動ないしバイブレーションを低減するための役目を果たす。そのために、この手段はプランジャの径方向のクリアランスを、特に、プランジャと案内部材との間の径方向のクリアランスを、局所的に(のみ)低減させる。「局所的に」とは、この関連では特に、径方向のクリアランスがプランジャの円周全体にわたってではなく、および/または案内部材の長さ全体にわたってではなく、低減されることを意味する。径方向のクリアランスの局所的な低減は、換言すると、プランジャと案内部材の間の(普通であれば存在する、特に普通であればゼロとは異なる)径方向の間隔が局所的に低減され、ないしは他の個所よりも局所的に小さくなると表現することもできる。特に、機械式の手段は機械式の初期応力手段である。
【0009】
機械式の(初期応力)手段は、別案である液圧流そのものによる横方向力生成に比べて、特に、流速や流体特性の作用に依存しないという利点を可能にする。このような液圧流そのものによる横方向力生成のためには、通常、周囲流を生じる物体が非対称に構成され、そのようにして、互いに向かい合う表面領域で異なる圧力状況が生じることが必要である(主翼に類似)。さらに、液圧流による横方向力生成にあたっての効果(振動低減)は、特定の温度領域と容積流量についてしか実現することができない。他の流体への転換がされれば、また別の挙動が帰結されることになる。
【0010】
「高耐久性の」とは、ここでは特に機械式の手段が、外側の輪郭および/または(断面)ジオメトリーを(非常に長いあいだ、理想的には無限の期間にわたって)維持することであると理解される。このことは、機械式の手段によってプランジャの径方向のクリアランスないしその局所的な低減を恒久的に(ないし一定に)厳密に設定することができ、および/または定義された初期応力をプランジャに対して恒久的に及ぼすことができ、そのようにして、望ましくないバルブ振動を恒久的に低減できることを可能にするという利点がある。
【0011】
機械式の手段の耐久性により、この手段は、通常はゴムからなる少なくとも1つのOリングを有するように製作されるシール材からも区別される。このようなシール材は比較的すぐに摩耗ないし脆化して材料を失い、そのために外側の輪郭および/または(断面)ジオメトリーを、比較的短期間の後ですでに変化させる(維持しない)からである。
【0012】
機械式の(初期応力)手段は、たとえば別案としての弾性的なOリングシール材によるプランジャの案内に比べて、プランジャの径方向のクリアランスないしその局所的な低減を恒久的に(ないし一定に)厳密に設定できるという利点を可能にする。さらに機械式の(初期応力)手段により、(事前)定義された初期応力を的確かつ恒久的に調整することができる。このとき機械的な初期応力手段により、一定の、および/または機械的に調整可能ないし設定可能な(事前定義された)横方向力をプランジャに対して及ぼすことができる。それに対して、定義された初期応力は弾性的なOリングシール材によっては調整することができず、特に、恒久的ないし一定に維持することができない。Oリングシール材の(断面)ジオメトリーは、一方では摩減によって、および他方では流体吸収(膨潤)によって変化するからである。換言すると、Oリングシール材は耐久性が高くない。Oリングの材料剥離が、追加的に粒子の形態で、システム全体に対するマイナスの影響を及ぼしかねない。
【0013】
好ましい実施形態では、機械式の手段がプランジャのストローク運動中に横方向力(ストローク方向に対して横向き)をプランジャに対して及ぼすことが提案される。このことは換言すると、特に、機械式の手段がプランジャのストローク運動中に横方向力をプランジャに対して及ぼすようにセットアップされることを意味する。
【0014】
このような横方向力は、たとえばストロークの一部の間だけ、またはストローク全体の間に、プランジャに対して及ぼすことができる。このとき横方向力は、案内部材の中で、および/または案内部材に対して相対的に、プランジャの的確な偏向および/または傾動をもたらすように、プランジャに対して作用することができる。
【0015】
高耐久性の機械式の手段のための材料として、たとえば高耐久性のプラスチック(すなわちゴムではない)や合金を使用することができる。別の好ましい実施形態では、機械式の手段が金属製であることが提案される。
【0016】
別の好ましい実施形態では、機械式の(初期応力)手段がばねであることが提案される。これは基本的に曲げばね、圧縮ばね、引張ばね、またはトーションばねであってよい。
【0017】
別の好ましい実施形態では、機械式の(初期応力)手段が曲げばねであることが提案される。曲げばねを有する実施態様は、起こり得るバルブ振動を定義された初期応力により恒久的に、それにもかかわらず簡易な組立可能性のもとで低減するために特別に好ましい。
【0018】
別の好ましい実施形態では、曲げばねはストローク方向に、またはストローク方向に対して横向きにアライメントされることが提案される。そのために曲げばねは、案内部材の長手方向に沿って、または案内部材の径方向ないし円周方向に沿ってアライメントされていてよい。
【0019】
別の好ましい実施形態では、プランジャの周りで円周に沿って配分されて配置される少なくとも2つの機械式の手段が設けられることが提案される。2つ、3つ、または4つの機械式の手段が設けられるのが好ましい。このとき、少なくとも2つの機械式の手段が均等に(ないし等間隔に)配分されて配置されるのが特別に好ましい。
【0020】
別の好ましい実施形態では、機械式の手段が案内部材に統合されて、および/またはこれと一体的に構成されることが提案される。特に、機械式の手段と案内部材とが互いに固定的に結合され、および/または互いに一体的に製作される。たとえば機械式の手段が案内部材の材料から製作されていてよく、特に機械式の手段は、特に案内部材の2つの端面を互いにつなぐ案内部材の壁部(外套面)から製作される。
【0021】
それにより、振動低減のための曲げばね案内を、バルブで特別に好ましい仕方で具体化することができる。曲げばねは、たとえば周囲に位置するスリーブの曲げ・成形部品として具体化することができる。このことは、曲げばねとスリーブの結合のための別途の組立ステップが必要ないという利点をさらに可能にする。
【0022】
別の好ましい実施形態では、案内部材がスリーブであることが提案される。このときスリーブは、バルブ取込部をバルブ吐出部と接続する長手方向通路を(円周側で)区切り、および/または形成する。
【0023】
別の好ましい実施形態では、案内部材が、プランジャにストローク方向で初期応力をかける初期応力部材が支持されるばねスリーブであることが提案される。この初期応力部材は、たとえばプランジャに配置される閉止体に、弁座に対して初期応力をかける(圧縮)ばねであってよい。
【0024】
さらに別の態様では、ここに記載されたバルブを含む、自動車のための液圧システムも記載される。液圧システムはこの関連では、たとえばABSシステムやESPシステムなどの運転者アシストシステムおよび/または安全性システムの構成要素であってよく、またはこれと協同作用することができる。
【0025】
このバルブとの関連で記述される詳細、構成要件、および好ましい実施形態は、ここで提案される液圧システムにおいても相応に具現することができ、その逆も当てはまる。その限りにおいて、同個所の記述を構成要件の詳細な特徴づけのために全面的に援用する。
【0026】
次に、ここで提案される解決法ならびにその技術的な周辺分野について、図面を参照しながら詳しく説明する。指摘しておくと、本発明は図示した実施例だけに限定されるものではない。特に、明文をもって別段の断りがない限り、各図面で説明する事実関係の部分的側面を抽出して、他の図面および/またはこの発明の詳細な説明に由来する他の構成要件および/または知見と組み合わせることも可能である。図面は模式的に次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ここで提案される断面で表されたバルブを示す側面図である。
【
図2】
図1のバルブの案内部材を示す斜視図である。
【
図3】
図2の案内部材の別案の実施形態を示す斜視図である。
【
図4】
図2の案内部材のさらなる別案の実施形態を示す斜視図である。
【
図5】プランジャ、案内部材、および機械式の手段の相互の考えられる配置を示す平面図である。
【
図6】プランジャ、案内部材、および機械式の手段の相互の考えられる別の配置を示す平面図である。
【
図7】プランジャ、案内部材、および機械式の手段の相互の考えられる別の配置を示す平面図である。
【
図8】
図7の案内部材の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】ここに記載されているバルブのための案内部材と機械式の手段を一緒に製作するための一例の方法の進行を示す図である。
【
図10】
図2の案内部材のさらなる別案の実施形態を示す斜視図である。
【
図11】ここに記載されているバルブのための案内部材と機械式の手段を一緒に製作するための別の一例の方法の進行を示す図である。
【
図12】ここで提案される断面で表された別のバルブを示す側面図である。
【
図13】ここで提案される断面で表された別のバルブを示す側面図である。
【
図14】ここで提案される断面で表された別のバルブを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、ここで提案される断面で表されたバルブ1を側面図で示している。バルブ1は、液圧流の可変の絞りをするためにセットアップされている。このバルブは、プランジャ2と、プランジャ2がストローク方向4へ運動するために中で案内される案内部材3とを含んでいる。バルブ1は、起こり得るバルブ振動を低減するためにプランジャ2の径方向のクリアランス6を局所的に低減する、少なくとも1つの高耐久性の機械式の(初期応力)手段5を有している。そのために機械式の(初期応力)手段5は、プランジャ2のストローク運動中に横方向力をプランジャ2に対して及ぼすためにセットアップされる。
【0029】
機械式の(初期応力)手段5は、ここでは一例として曲げばねである。さらに機械式の手段5は、ここでは一例として案内部材3に統合されて、これと一体的に構成されている(これに関しては
図2の図面も参照)。さらに案内部材3はここでは一例として、プランジャ2にストローク方向4で初期応力をかける初期応力部材7が支持される、さらに一例としてばねスリーブとして製作されたスリーブである
【0030】
初期応力部材7と向かい合うプランジャ2の端部に、プランジャ2により弁座10に近づくように、およびこれから再び離れるように動くことができるバルブ閉止体9が配置されている。弁座10から離れていくバルブ閉止体9のストローク運動により、2つのバルブ開口部11を互いに接続する流動経路が解放される。
【0031】
図2は、
図1のバルブ1の案内部材3を模式的に斜視図として示している。
図1に示す断面図に対する切断線が
図2に描き込まれて、矢印でマーキングされている。
【0032】
図1および
図2はこの関連において、バルブ2の1つの考えられる実施形態を示している。スリーブ3は、第1に、渦巻ばね7に特定の長さになるまで初期応力をかけ、それによって所望の開放圧力が実現されるようにする機能を有し、第2に、バルブプランジャ2を案内する機能を有する。公差と組立可能性に基づき、スリーブ3とプランジャ2の間に最低隙間6が存在するのがよい。
【0033】
スリーブ3から、1つまたは複数の個所で機械式の(初期応力)手段5を構成するために、プランジャ2とスリーブ3の間の径方向の運動自由空間を(局所的に)さらに制約する輪郭が作り出される。機械式の(初期応力)手段5は、ここでは一例として、一種の曲げばねとして示されている。この輪郭は1つまたは複数の個所でプランジャ2に接触し、そのようにして的確な偏向および/または傾動のために作用する。径方向の遊び空間6を、このようにして0μm[ゼロマイクロメートル]まで(局所的に)任意の大きさで低減することができ、それによって径方向の振動を明らかに低減することができる。これに加えて、接触点で生じる摩擦によって軸方向の振動も低減することができる。
【0034】
図3は、
図2の案内部材の別案の実施形態を斜視図として模式的に示している。一例として、この曲げばねは円周方向に製作されている。任意の位置が可能である。これは、曲げばねがストローク方向4に対して横向きにアライメントされ得ること、およびどのようにされ得るかを示す例である。
【0035】
図4は、
図2の案内部材のさらなる別案の実施形態を斜視図として模式的に示している。
図4の図面は、曲げばねがストローク方向4にアライメントされ得ること、およびどのようにされ得るかを示す例である。これに加えて
図4には、負荷のもとでの材料応力の低減のために寄与し得る輪郭の形状変化が追加的に示唆されている。
【0036】
図5は、プランジャ2、案内部材3、および機械式の手段5の相互の考えられる配置の平面図を模式的に示している。
【0037】
図6は、プランジャ2、案内部材3、および機械式の手段5の相互の考えられる別の配置の平面図を模式的に示している。この関連において
図6は、円周に沿ってプランジャ2の周りに配分されて配置された少なくとも2つ(すなわち本例では4つ)の機械式の(初期応力)手段5が設けられ得ること、およびどのように設けられ得るかを示す例を明示している。
【0038】
この関連において
図5および
図6、
図3は、別の曲げばねを平面図で示している。曲げばねの個数は任意に選択することができる。
【0039】
図7は、プランジャ2、案内部材3、および機械式の手段5の相互の考えられる別の配置の平面図を模式的に示している。
【0040】
図8は、
図7の案内部材3の実施形態を模式的に斜視図として示している。
【0041】
図7および
図8に示す一例としての別の実施形態では、曲げばね5が追加的に幅に関して湾曲している。このことは換言すると、ストローク方向4(
図1参照)にアライメントされた曲げばね5が少なくとも1つの(長手方向)区域で、特に頭部区域で、径方向および/または円周方向に湾曲を有し得ると記述することもできる。これに加えてどのような形状でも考えられる。
【0042】
図7および
図8のばねホルダ3は、たとえば薄板を材料として打抜きと成形によって製作することができる。これについて、次に
図9を参照しながら詳しく説明する。
【0043】
図9は、ここで説明しているバルブ1のための案内部材3と機械式の手段5を一緒に製作するための一例の方法の進行を模式的に示している。この方法は、ここで説明しているバルブ1のための案内部材3と少なくとも1つの機械式の初期応力手段5とを一緒に製作するための役目を果たす。この関連において、方法ステップa),b)およびc)、ならびにその一例としての順序が、ブロック110,120,および130を用いて明示されている。
【0044】
ブロック110で、ステップa)に基づき薄板8の準備が行われる。ブロック120で、ステップb)に基づき薄板8の打抜きが行われる。ブロック130で、ステップc)に基づき薄板8の成形が行われる。
【0045】
この関連において、考えられる低コストな製造原理が例示として示されている。平坦な薄板8から、曲げばね5の周りの輪郭が打ち抜かれ、模式的に示されている底面セグメント12も同様に打ち抜かれる。次のステップで、曲げばね5が型押によって所望の輪郭を与えられる。これに続く成形プロセスで、この部分がスリーブ3をなすように成形され、底面セグメント12が折り返される。
【0046】
その別案として、本体3をまず深絞り部品として製作し、その後に(曲げばね5の)打抜きをすることができる。
【0047】
さらなる別案として、打抜きに代えて、ばねスリーブ3の成形のみによって曲げばね5を具体化することもできる。このような製造方法の1つの考えられる結果が、一例として
図10に示されている。
【0048】
図10は、
図2の案内部材3のさらなる別案の実施形態を模式的に斜視図として示している。
【0049】
図11は、ここで説明しているバルブ1のための案内部材3と機械式の手段5を一緒に製作するための別の一例の方法の進行を模式的に示している。
【0050】
図11では曲げばね5は、曲げられた薄板8が各端部のところで結合されず、そのようにして、(スリーブ3をなすように曲げられた)薄板8の円周にわたってある程度のばね作用が存在するように具体化される。
【0051】
図12は、ここで提案される断面図で表されたさらに別のバルブ1を模式的に側面図として示している。
図12は、バルブでの曲げばね5の作用が最初から(すなわちすでにバルブが閉じているときに)存在していなくてよいことを明示している。
【0052】
図13は、ここで提案される断面図で表されたさらに別のバルブ1を模式的に側面図として示している。
図13では、プランジャ2の最大の直径部ではなくそれ以外の任意の個所での、曲げばね5の作用点が示唆されている。ここでは曲げばね5は、(
図13に示すように)ばねスリーブ3から成形することができ、または(
図14に示すように)追加のコンポーネントによって成形することができる。
【0053】
図14は、ここで提案される断面図で表されたさらに別のバルブ1を模式的に側面図として示している。
図14では、曲げばね5は、ばねスリーブ3に追加される(ただしばねスリーブ3と特に取外し可能に結合される)コンポーネントによって構成される。
【符号の説明】
【0054】
1 バルブ
2 プランジャ
3 案内部材
4 ストローク方向
5 機械式の手段
6 径方向のクリアランス
7 初期応力部材