IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷却庫 図1
  • 特許-冷却庫 図2
  • 特許-冷却庫 図3
  • 特許-冷却庫 図4
  • 特許-冷却庫 図5
  • 特許-冷却庫 図6
  • 特許-冷却庫 図7
  • 特許-冷却庫 図8
  • 特許-冷却庫 図9
  • 特許-冷却庫 図10
  • 特許-冷却庫 図11
  • 特許-冷却庫 図12
  • 特許-冷却庫 図13
  • 特許-冷却庫 図14
  • 特許-冷却庫 図15
  • 特許-冷却庫 図16
  • 特許-冷却庫 図17
  • 特許-冷却庫 図18
  • 特許-冷却庫 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】冷却庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/04 20060101AFI20240726BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20240726BHJP
   F25D 23/00 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
F25D21/04 B
F25D17/08 314
F25D23/00 306Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020107015
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001814
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】林 祐治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-049398(JP,A)
【文献】特開2012-167855(JP,A)
【文献】特開平05-159152(JP,A)
【文献】特開平08-124012(JP,A)
【文献】特開2010-190492(JP,A)
【文献】実開昭53-144171(JP,U)
【文献】特開2012-042172(JP,A)
【文献】特開2005-249343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/04
F25D 17/08
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記開口を覆うように開閉可能に設けられた扉と、
前記扉を閉じたときに前記扉と前記開口の周縁部との間に介在され、前記扉と前記開口の周縁部とを密閉するためのパッキンと、
前記冷却庫本体の内気を冷却するための冷却装置と、
前記冷却庫本体の内部に備えられ、前記冷却装置により生成された冷気を前記冷却庫本体の内部で循環させるための庫内ファンと、
前記冷却装置、および前記庫内ファンの駆動を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記冷却庫本体の庫内温度を保冷するときは、前記庫内ファンを間欠運転させる構成を備えており、
前記冷却庫本体は側方に向けて開口し、
前記扉は前記冷却庫本体の前記開口を覆う表面が上下方向に沿うように配されるとともに、
前記パッキンは、前記扉の縁部に装着されており、
前記冷却装置は、冷凍サイクルを構成する蒸発器を含み、前記蒸発器は、前記冷却庫本体の内部において、互いに向かい合う一対の側壁のうちのいずれか一方の側壁の近傍であって、かつ、前記一方の側壁から離間した位置に配されており、
前記庫内ファンは、前記蒸発器に対して前記冷却庫本体の中心側から前記一方の側壁に向けて送風するように配されており、
前記扉は、前記縁部に囲まれてなる中央部分が、前記扉を閉じたときに前記縁部よりも前記冷却庫本体の内側に向かって突出しているとともに、前記中央部分の前記一方の側壁の側の端部には、前記一方の側壁に沿うように上下方向に延びる遮蔽板が備えられ、前記一方の側壁に沿って前記扉に向かう冷気の流れを遮蔽する構成を備えている、冷却庫。
【請求項2】
開口を有する箱状の冷却庫本体と、
前記開口を覆うように開閉可能に設けられた扉と、
前記扉を閉じたときに前記扉と前記開口の周縁部との間に介在され、前記扉と前記開口の周縁部とを密閉するためのパッキンと、
前記冷却庫本体の内気を冷却するための冷却装置と、
前記冷却庫本体の内部に備えられ、前記冷却装置により生成された冷気を前記冷却庫本体の内部で循環させるための庫内ファンと、
前記冷却装置、および前記庫内ファンの駆動を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記冷却庫本体の庫内温度を保冷するときは、前記庫内ファンを間欠運転させる構成を備えており、
前記冷却庫本体は側方に向けて開口しているとともに、
前記扉は前記冷却庫本体の前記開口を覆う表面が上下方向に沿うように配されており、
前記冷却装置は、冷凍サイクルを構成する蒸発器を含み、前記蒸発器は、前記冷却庫本体の内部において、互いに向かい合う一対の側壁のうちのいずれか一方の側壁の近傍であって、かつ、前記一方の側壁から離間した位置に配されており、
前記庫内ファンは、前記蒸発器に対して前記冷却庫本体の中心側から前記一方の側壁に向けて送風するように配されており、
前記一方の側壁の前記開口に沿う縁部には、前記扉を閉じたときに前記扉に沿うように突出する遮蔽板が備えられ、前記一方の側壁に沿って前記扉に向かう冷気の流れを遮蔽する構成を備えている、冷却庫。
【請求項3】
前記庫内ファンは、回転することで流体を送る回転ファンと、前記回転ファンを回転させるファンモータとを備えており、
前記間欠運転は、前記ファンモータの駆動を停止させたのち、前記回転ファンの慣性力による回転が停止する前に、前記ファンモータの駆動を再開するものである、請求項1または請求項2に記載の冷却庫。
【請求項4】
前記冷却庫本体は側方に向けて開口しているとともに、
前記扉は前記冷却庫本体の前記開口を覆う表面が上下方向に沿うように配されており、
前記冷却装置は、冷凍サイクルを構成する蒸発器を含み、前記蒸発器は、前記冷却庫本体の内部において、互いに向かい合う一対の側壁のうちのいずれか一方の側壁の近傍であって、かつ、前記一方の側壁から離間した位置に配されており、
前記庫内ファンは、前記蒸発器に対して前記冷却庫本体の中心側から前記一方の側壁に向けて送風するように配されており、
前記蒸発器の下方には、上方に開口した箱状をなし、前記蒸発器によって前記内気を冷却するときに発生した結露を受けるためのドレンパンが備えられ、
前記ドレンパンは、当該ドレンパンの開口の周縁部の少なくとも一部が前記扉に向けて延出された延出部を備えるとともに、前記延出部によって、前記扉に沿って上方から下方に向かう冷気の流れを遮蔽する構成を備えている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却庫。
【請求項5】
前記扉は、前記冷却庫本体に対して、前記開口の周縁部のうち前記一方の側壁の側を軸として揺動開閉可能に装着されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、冷却庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷却貯蔵庫の一つとして、高温の食品を短時間で急速に冷却する急速冷却庫(いわゆるブラストチラー)が知られている。急速冷却庫においては、細菌が繁殖しやすい温度帯や、食品中の水分が凍結する際の氷の結晶成長温度帯を短時間で通過させるために、冷凍サイクルによって生成した冷気を、庫内ファンによって高速で貯蔵庫内に循環させるようにしている。また、急速冷却庫は、庫内を衛生的に保つ目的で、自動的に又は手作業で、庫内を水洗できる構成となっている。例えば特許文献1の急速冷却庫では、貯蔵庫の底面が排水口に向けて下傾されており、庫内に残留する洗浄水を排水口に円滑に送ることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-49398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者らの検討によって、この種の急速冷却庫については、一般的な冷却貯蔵庫と比較して、貯蔵室の開口を閉じる扉のパッキンにおいて、庫外側の表面に結露が発生しやすいという課題が見出された。庫内で発生する結露については、ドレンパンを設けたり、排水口に流したりする等の対処が考えられるものの、庫外で発生する結露については対処法がなく、結露水が床面に滴下してしまう虞があるために改善が望まれる。
【0005】
ここに開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、貯蔵室を閉じる扉のパッキンの、庫外側における結露の発生が抑制された冷却庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
パッキンの庫外側表面における結露の発生原因について本発明者らが鋭意検討を行ったところ、以下の知見を得るに至った。すなわち、庫内ファンが冷却庫本体の内部で送る冷気は、冷却庫本体の壁面にぶつかったのち、壁面に沿って扉およびパッキンに向けて送られる。また、扉およびパッキンにぶつかった冷気は、扉およびパッキンに沿って庫内(冷却庫本体の内部)を循環する。ここで、急速冷却庫においては、庫内ファンによって送られる冷気の風量が多いためにパッキンが冷却され易く、その結果、パッキンの庫外側の表面までもが冷却されて、庫外側で表面結露が生じると考えられる。
【0007】
そこで上記課題を解決するため、ここに開示される冷却庫は、開口を有する箱状の冷却庫本体と、前記開口を覆うように開閉可能に設けられた扉と、前記扉を閉じたときに前記扉と前記開口の周縁部との間に介在され、前記扉と前記開口の周縁部とを密閉するためのパッキンと、前記冷却庫本体の内気を冷却するための冷却装置と、前記冷却庫本体の内部に備えられ、前記冷却装置により生成された冷気を前記冷却庫本体の内部で循環させるための庫内ファンと、前記冷却装置、および前記庫内ファンの駆動を制御する制御装置と、を備えている。そして前記制御装置は、前記冷却庫本体の庫内温度を保冷するときは、前記庫内ファンを間欠運転させる構成を備えている。上記構成によると、冷却庫が冷却運転を終えて保冷運転を行うときに、庫内を循環させる冷気の風量を低減することができる。これにより、保冷時の冷気によるパッキンの冷却を抑制し、パッキンの庫外側の表面温度の低下を抑制して、パッキンの庫外側で生じる表面結露を抑えることができる。
【0008】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記庫内ファンは、回転することで流体を送る回転ファンと、前記回転ファンを回転させるファンモータとを備えており、前記間欠運転は、前記ファンモータの駆動を停止させたのち、前記回転ファンの慣性力による回転が停止する前に、前記ファンモータの駆動を再開するものであるとよい。上記構成によると、庫内ファンが完全に停止する前にファンモータの駆動を再開するため、ファンモータの駆動再開時の負荷を低減することができる。延いては、ファンモータの劣化を抑制し、寿命を長大化することができる。
【0009】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記冷却庫本体は側方に向けて開口しているとともに、前記扉は前記冷却庫本体の前記開口を覆う表面が上下方向に沿うように配されており、前記冷却装置は、冷凍サイクルを構成する蒸発器を含み、前記蒸発器は、前記冷却庫本体の内部において、互いに向かい合う一対の側壁のうちのいずれか一方の側壁の近傍であって、かつ、前記一方の側壁から離間した位置に配されており、前記庫内ファンは、前記蒸発器に対して前記冷却庫本体の中心側から前記一方の側壁に向けて送風するように配されている。そして前記蒸発器の下方には、上方に開口した箱状をなし、前記蒸発器によって前記内気を冷却するときに発生した結露を受けるためのドレンパンが備えられ、前記ドレンパンは、当該ドレンパンの開口の周縁部の少なくとも一部が前記扉に向けて延出された延出部を備えるとともに、前記延出部によって、前記扉に沿って上方から下方に向かう冷気の流れを遮蔽する構成を備えている。
【0010】
パッキンは、冷却庫本体の開口の周縁部の全周に亘って介在するように配されるものの、庫外側の表面結露は、下方に配されるパッキンにおいてより顕著に発生し得る。例えば冷却庫本体の開口の上下左右の周縁部にそれぞれ当接するように、上部パッキン、下部パッキン、左部パッキン、および右部パッキンが設けられている場合は、左部パッキンの下側部分や下部パッキンの左側部分において結露がより顕著となり得る。本発明者らの検討によると、これは庫内の冷気の対流が冷却庫本体の壁面や扉の近傍では上方から下方に向かうことに起因すると考えられる。上記構成によると、ドレンパンを利用して、蒸発器から送り出されたばかりのより冷たい冷気が下方のパッキンに向けて流れることを抑制することができる。これにより、パッキンを冷却する冷気の流れを物理的に遮蔽することができ、庫外での表面結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0011】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記冷却庫本体は側方に向けて開口し、前記扉は前記冷却庫本体の前記開口を覆う表面が上下方向に沿うように配されるとともに、前記パッキンは、前記扉の縁部に装着されており、前記冷却装置は、冷凍サイクルを構成する蒸発器を含み、前記蒸発器は、前記冷却庫本体の内部において、互いに向かい合う一対の側壁のうちのいずれか一方の側壁の近傍であって、かつ、前記一方の側壁から離間した位置に配されており、前記庫内ファンは、前記蒸発器に対して前記冷却庫本体の中心側から前記一方の側壁に向けて送風するように配されている。そして前記扉は、前記縁部に囲まれてなる中央部分が、前記扉を閉じたときに前記縁部よりも前記冷却庫本体の内側に向かって突出しているとともに、前記中央部分の前記一方の側壁の側の端部には、前記一方の側壁に沿うように上下方向に延びる遮蔽板が備えられ、前記一方の側壁に沿って前記扉に向かう冷気の流れを遮蔽する構成を備えている。
【0012】
上記構成において、庫内ファンは庫内の中心側から蒸発器に対して送風し、蒸発器によって冷やされた冷気は、一方の側壁に突き当たってから四方に分かれて庫内を循環する。このとき、一方の側壁に突き当たり扉に向けて流れる冷気がパッキンをより顕著に冷却し得る。上記構成によると、一方の側壁に突き当たったのち扉に向かう冷気が、扉の内側に設けられた遮蔽板に突き当たり、扉およびパッキンに直接吹き付ける事態が回避される。これにより、パッキンを冷却する冷気の流れを物理的に遮蔽することができ、庫外での表面結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記冷却庫本体は側方に向けて開口しているとともに、前記扉は前記冷却庫本体の前記開口を覆う表面が上下方向に沿うように配されており、前記冷却装置は、冷凍サイクルを構成する蒸発器を含み、前記蒸発器は、前記冷却庫本体の内部において、互いに向かい合う一対の側壁のうちのいずれか一方の側壁の近傍であって、かつ、前記一方の側壁から離間した位置に配されており、前記庫内ファンは、前記蒸発器に対して前記冷却庫本体の中心側から前記一方の側壁に向けて送風するように配されている。そして前記一方の側壁の前記開口に沿う縁部には、前記扉を閉じたときに前記扉に沿うように突出する遮蔽板が備えられ、前記一方の側壁に沿って前記扉に向かう冷気の流れを遮蔽する構成を備えている。
【0014】
上記構成において、庫内ファンは庫内の中心側から蒸発器に対して送風し、蒸発器によって冷やされた冷気は、一方の側壁に突き当たってから四方に分かれて庫内を循環する。このとき、一方の側壁に突き当たり扉に向けて流れる冷気がパッキンをより顕著に冷却し得る。上記構成によると、一方の側壁に突き当たったのち扉に向かう冷気が、一方の側壁に設けられた遮蔽板に突き当たり、扉およびパッキンに直接吹き付ける事態が回避される。これにより、パッキンを冷却する冷気の流れを物理的に遮蔽することができ、庫外での表面結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0015】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記扉は、前記冷却庫本体に対して、前記開口の周縁部のうち前記一方の側壁の側を軸として揺動開閉可能に装着されている。上記構成によると、蒸発器が扉の揺動軸の側に配されるため、庫内に冷却対象物を出し入れしやすい構成が実現される。また、延出部や遮蔽板も揺動軸の側に配されるため、延出部や遮蔽板によって冷却対象物の出し入れが阻害されることがない点においても好ましい。
【発明の効果】
【0016】
ここに開示される技術によれば、貯蔵室を閉じる扉のパッキンの、庫外側における結露の発生が抑制された冷却庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る冷却庫の外観斜視図
図2】実施形態1に係る冷却庫の扉を開けたときの正面図
図3】実施形態1に係る冷却庫の縦断面図
図4】実施形態1に係る冷却庫の横断面図(図1のIV-IV断面図)
図5図4の要部拡大図
図6図4の冷却室の下部パッキン位置における要部断面図
図7図4の冷却室の隅角部を庫内側から見た斜視図
図8】実施形態1に係る冷却庫の保冷運転時の制御例を示す図
図9】実施形態1に係る冷却庫の運転制御例を示す図
図10】実施形態2に係る冷却庫のドレンパンを示す斜視図
図11】実施形態2に係る冷却庫の要部断面図(図5に対応する要部)
図12図11の冷却室の隅角部を庫内側から見た斜視図(図7に対応する斜視図)
図13】ドレンパンの変形例を示す斜視図
図14図13のドレンパンを用いた冷却庫の要部断面図(図5に対応する要部)
図15図14の冷却室の隅角部を庫内側から見た斜視図(図7に対応する斜視図)
図16】実施形態3に係る冷却庫の要部断面図(図5に対応する要部)
図17図16の冷却室の隅角部を庫内側から見た斜視図(図7に対応する斜視図)
図18】実施形態4に係る冷却庫の要部断面図(図5に対応する要部)
図19図18の冷却室の隅角部を庫内側から見た斜視図(図7に対応する斜視図)
【発明を実施するための形態】
【0018】
≪実施形態1≫
ここに開示される技術について、図1から図9を適宜参照しつつ説明する。なお、各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、冷却庫1の前後方向における前方,後方,正面から見たときの幅方向(左右方向)における左方,右方,鉛直方向の上方,下方を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0019】
本実施形態に係る冷却庫1は、例えば粗熱を取っていない調理後の高温の食品を、短時間で急速に冷却することができる急速冷却庫であり、例えば、細菌が繁殖しやすい温度帯や、食品中の水分が凍結する際の氷の結晶成長温度帯を短時間で通過させる急速冷却性能を有している。一例では、10℃~60℃の温度範囲を約30分以内で冷却することや、例えば、-1℃~-5℃の温度範囲を約30分以内で冷却することができる。この冷却庫1は、図1から図3に示すように、全体として略直方体形状をなしており、大まかには、冷却空間を構成する冷却室10(冷却庫本体の一例)および扉30が上方に配され、機械室5が下方に配され、これらを脚部7によって下方から支持している。以下、各構成要素について説明する。
【0020】
冷却室10は、図2に示すように、前面が開口された箱状をなし、内部に冷却対象である食品等を収容できるようになっている。扉30は、冷却室10の開口を開閉する要素であり、冷却室10の開口を扉30で覆うことによってその内部に冷却空間を構築することができる。冷却室10および扉30には、発泡ウレタン等の断熱材(図4の斜線部参照)が充填されており、冷却空間(以下、単に庫内という場合がある。)を外部から断熱できるようになっている。扉30には、図1に示すように、正面から見て右側に取手31が設けられており、扉30は、図2に示すように、その左側端部30Bを揺動軸として、冷却室10の開口縁部(開口の周縁部)のうち左側部11Bに揺動開閉できるように取り付けられている。
【0021】
扉30は、略矩形の板状をなしており、図2に示すように、扉30を閉じたときに庫内側を向く背面30A(開口を覆う表面)の外縁部(縁部)には、扉30を閉じたときに扉30と冷却室10の開口縁部との間に介在する位置に、磁性パッキン32が装着されている。磁性パッキン32は、磁性材料が混ぜられた弾性体からなるシール部材であり、冷却室10の開口縁部に埋設された磁気部材に吸着されて扉30と開口縁部とを密閉する。磁性パッキン32は、開口縁部の形状に対応して、上部パッキン32A、左部パッキン32B、下部パッキン32C、右部パッキン32Dの4つの部材により構成されており、扉30の背面30Aに設けられた溝部に嵌めることで、扉30に対して枠状に取り付けられている。
【0022】
また、扉30は、磁性パッキン32が設けられている外縁部よりも、その内側の中央部分の厚みが厚く、背面30Aの中央部分は、例えば図4に示すように、扉30を閉じたときに外縁部よりも庫内側に向かって突出した突面となっている。なお、図2に示すように、扉30の上縁にはマグネット34Bが備えられ、冷却室10の開口縁部のうち上側部11Aには磁気感応型の近接スイッチ34A(例えば、リードスイッチ)が備えられ、例えば、扉30が正常に閉じられたときに、扉30のマグネット34Bに感応して近接スイッチ34Aが閉じることにより、閉扉状態が検知されるようになっている。近接スイッチ34Aとマグネット34Bとは、扉センサ34の一例であり、扉センサ34は制御装置100に電気的に接続されている。
【0023】
機械室5は、図3に示すように、冷却室10を下方から支持するとともに、冷却庫1の内部(庫内)の空気(内気)を冷却するための冷却ユニット40(冷却装置の一例)の一部と制御装置100とを収容している。具体的には、機械室5は、前面パネル5A、側面パネル5B(図1参照)、および底面パネル5Cを備え、底面パネル5C上に冷却ユニット40の一部と制御装置100とが載置されるともに、前方および側方を前面パネル5A、側面パネル5Bによって覆われている。冷却ユニット40は、おおまかには、圧縮機41、凝縮器42、凝縮器ファン43、膨張弁(図示せず)、蒸発器45、蒸発器ファン46(庫内ファンの一例)、および、冷媒を収容してこれらの間を循環させる冷媒管47を含み、これらによって既知の冷凍サイクルを構成している。冷却ユニット40のうち、圧縮機41、凝縮器42、および凝縮器ファン43は機械室5に配されており、蒸発器45および蒸発器ファン46は、冷却室10の内部に配されている。そして、蒸発器45と庫内の空気との間で熱交換が行われることによって、庫内が冷却されるようになっている。圧縮機41、凝縮器ファン43、および蒸発器ファン46は、制御装置100に電気的に接続されている。
【0024】
冷却室10は、図2および図3に示すように、上壁12Aと、一対の左側壁12Bおよび右側壁12Cと、背壁12Dと、底壁12Eとを備え、冷却室10の内部の右方には冷却対象である食品等が収納されるスペースが確保され、左方に、冷却ユニット40のうちの蒸発器45および蒸発器ファン46が設置されている。蒸発器45および蒸発器ファン46は、冷却ケース14に収容されることで、扉30が取り付けられている側の左側壁12Bの近傍において、左側壁12B、背壁12D、閉扉時の扉30、上壁12A、および底壁12Eのそれぞれに対し、離間した位置に配されている。蒸発器45は、図示しない複数の板状の熱交換フィンと、この複数の熱交換フィンを蛇行状に貫通するように屈曲された冷媒管47とを含んで構成され、熱交換フィンが左右方向に沿うように配置されている。蒸発器ファン46は、回転することで流体を送るファン46A(回転ファン)と、このファンを回転させるファンモータ46Bとを備えている。蒸発器ファン46は、蒸発器45の右方(すなわち、庫内中心側)において、蒸発器45の側(すなわち、左側壁12Bの側)に向けて送風できるように配されている。
【0025】
冷却ケース14と右側壁12Cとには、左右一対のトレイ受け15が対向して配設され、食品等を載せたトレイが複数段にわたって出し入れ可能に収納できるようになっている。また、庫内には、庫内温度センサ16と芯温センサ17とが備えられ、庫内温度センサ16(例えば、サーミスタ)は庫内の後方(奥)に設置されて庫内の温度を検知するとともに、芯温センサ17(例えば、サーミスタ)は、トレイに載置した食品に差し込まれることで食品の芯部の温度を検知する。また、蒸発器45の庫内側(蒸発器ファン46の側)には、庫内ヒータ13が取り付けられている。庫内ヒータ13(例えば、電熱線)は、蒸発器ファン46との協働で、蒸発器45に付着した霜を加熱して溶かしたり、庫内の水分を乾燥除去するために用いられる。蒸発器ファン46は、庫内を冷却する冷却運転時のほか、乾燥運転時や霜取り運転時にも駆動され、庫内ファンとしての役割を担っている。庫内ヒータ13、庫内温度センサ16、および芯温センサ17は、制御装置100に電気的に接続されている。
【0026】
なお、蒸発器45の下方には、図2に示すように、蒸発器45の表面に発生して落下する結露水を受ける容器であるドレンパン18が備えられている。ドレンパン18は、上方に開口を有する箱状の容器であって、開口から前方に向けて延出する延出部18A(図6参照)と、開口から左右方向の外側にそれぞれ延出する支持部18Bとを備え、冷却ケース14に設けられた前後方向に延びる図示しないガイド溝に支持部18Bを嵌入させることで、前方から挿抜可能に支持されている。また、底壁12Eの概ね中央には排水口19が設けられており、底壁12Eの上面は、排水口19に向かって傾斜するテーパ面を形成している。排水口19は、庫内側から排水口キャップが着脱可能に取り付けられるようになっているとともに、機械室5の側でドレンホース19Aに接続されており、排水口キャップを外すことで庫内に発生した水分を冷却庫1の外部に排水できるようになっている。
【0027】
冷却室10の正面には、例えば図1に示すように、扉30よりも上方に、操作パネル150が備えらえている。操作パネル150には、冷却庫1に関する各種の情報を表示することができる表示部152や、冷却庫1に指示を送るための入力部154とが備えられている。表示部152は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等によって構成され、制御装置100からの指示に応じてテキスト、画像等を表示する。入力部154は、例えば、操作ボタン、キーボード、タッチパネル、音声受信機等から構成され、ユーザが制御装置100への指示を入力するために用いられるユーザインターフェイスである。操作パネル150は、冷却庫1に一体的備えられていてもよいし、携帯端末などとして着脱可能にあるいは別体として備えられていてもよい。
【0028】
以上の冷却庫1においては、制御装置100が各部の動作を制御する。制御装置100の構成は特に限定されず、例えば、各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、各種の情報を記憶する記憶部Mと、計時機能を有するタイマT等を有するマイクロコンピュータを主体として構成され、有線または無線を介して冷却庫1の各部と通信可能に接続されている。記憶部Mには、例えば、設定温度TA等が記憶されている。
【0029】
次に、冷却庫1の運転の一例について説明する。冷却庫1は、大まかには、庫内または冷却対象物の温度が設定温度TAとなるように冷却運転を行い、庫内または冷却対象物の温度が設定温度TAとなった後は、その設定温度TAを維持するように保冷運転を行う。ここで、冷却室10においては、冷却庫1が冷却運転を行うと、図4の矢線に示すように、冷却室10の空気が蒸発器ファン46によって蒸発器45に送り込まれ、送られた空気は熱交換フィンの間を通過する間に冷やされて冷気となる。生成された冷気は、蒸発器45から左側壁12Bに吹き出されたのち、左側壁12Bに打ち当たって四方に分散される。これらの冷気は、上壁12A、背壁12D、閉扉時の扉30、および底壁12Eの表面に沿って左方から右方に分かれて回り込んだのち、冷却室10の中心に向けて送り込まれるといった循環流を生じる。これにより、トレイに載置された食品等が冷却される。
【0030】
このとき、例えば図5から図7に矢印で示すように、蒸発器45から吹き出された直後のより冷たい冷気が、左側壁12Bの表面に沿って扉30に向かい、扉30の背面30Aおよび磁性パッキン32に直撃する。とりわけ、左部パッキン32Bと、上部パッキン32Aおよび下部パッキン32Cの左側部分に対して、さらには、左部パッキン32Bの下側部分と下部パッキン32Cの左側部分とに対して、より冷たい冷気が直撃する。また、扉30および磁性パッキン32に直撃した冷気は、扉30および下部パッキン32Cに沿って右方に流れる。急速冷却庫においては、このより冷たい冷気が一般の冷却庫と比較して、大風量で直撃する。このことにより、磁性パッキン32が庫内側から、庫外側の表面まで冷却されて、磁性パッキン32の庫外側の表面において結露が発生する事態が起こり得る。このような磁性パッキン32の冷却は、蒸発器ファン46が冷気を送る間、継続される。また、磁性パッキン32の冷却作用は、庫内の温度が下がりきっていない段階を含む冷却運転時よりも、庫内の温度が下がりきってより冷たい冷気を送り続ける保冷運転時のほうが顕著となり得る。そこで、ここに開示される冷却庫1は、この保冷運転のときに、蒸発器ファン46(庫内ファン)を間欠運転するようにしている。
【0031】
(制御例1)
具体的には、制御装置100は、例えば、冷却庫1の電源が入力(ON)されると、まずは冷却運転プログラムに従って冷却運転を行う。すなわち、冷却ユニット40を動作させ、庫内温度センサ16によって検知される庫内温度Tfが設定温度TAとなるように、圧縮機41と凝縮器ファン43と蒸発器ファン46との駆動を制御する。これにより、冷却庫1の庫内を設定温度TAにまで冷却することができる。なお、冷却庫1の始動時は、庫内に高温の冷却対象物が収容されていないため、庫内温度センサ16によって検知される庫内温度Tfと、芯温センサ17によって検知される芯温度Tcとは一致している。
【0032】
庫内温度Tfが設定温度TAとなった後は、制御装置100は、保冷運転プログラムに従って保冷運転を行う(図8参照)。すなわち、保冷運転において、制御装置100は、庫内温度Tfが設定温度TAに維持されるように、圧縮機41、凝縮器ファン43および蒸発器ファン46の運転を制御する。凝縮器ファン43については、保冷運転の間、連続して駆動する。圧縮機41については、例えば、庫内温度Tfが設定温度TAよりも所定温度(例えば1.7℃)高くなったときに駆動させ、設定温度TAよりも所定温度(例えば2.0℃)低くなった時に停止させる。そして、蒸発器ファン46については、連続して駆動させるのではなく、一定の時間をおいて駆動と停止とを繰り返す間欠運転を実施する。このことにより、庫内温度Tfを設定温度TAに維持しながら、磁性パッキン32を直撃する保冷運転時のより冷たい冷気の流量を低減することができ、パッキン32の庫外側の表面温度の低下を抑制することができる。延いては、パッキン32の庫外側で生じる表面結露を抑えることができる。
【0033】
なお、蒸発器ファン46は、圧縮機41が起動してから、遅れて(ここでは10秒遅れ)運転を開始するようになっている。これは、圧縮機41、蒸発器ファン46(庫内ファン)、および凝縮器ファン43が同時起動することで突入電流が大きくなり、圧縮機41の起動不良が起きてしまうことを防ぐためである。
【0034】
蒸発器ファン46の間欠運転の制御内容については特に限定されないが、一例として、以下の制御手法を採用するとよい。すなわち、ファンモータ46Bの駆動を停止させると、ファン46Aは直ちに回転を停止することなく、慣性力(惰性)によって回転速度を落としながらも回転を継続する。ここで、制御装置100は、ファン46Aの慣性力による回転が完全に停止する前に、ファンモータ46Bの駆動を再開して、ファン46Aを回転させるとよい。一例として、図8に示すように、制御装置100は、保冷運転のときは、ファンモータ46Bを16秒間駆動(ON)させたのち、60秒間停止(OFF)させることを、保冷運転が終了するまで繰り返すとよい。このような構成によると、ファン46Aが完全に停止する前にファンモータ46Bの駆動を再開するため、ファンモータ46Bの駆動再開時の負荷を低減することができる。延いては、ファンモータ46Bの劣化を抑制し、寿命を長大化することができる。
【0035】
(制御例2)
なお、図9に示すように、冷却室10に調理後の高温の食品が収納されるなどして扉30が開閉されると、庫内温度センサ16によって検知される庫内温度Tfと、芯温センサ17によって検知される芯温度Tcとが大きく乖離し、芯温度Tcよりも庫内温度Tfのほうが有意に低くなり得る。すると、制御装置100は、例えば、第2の冷却運転プログラムに従って冷却運転を行う。例えば、制御装置100は、図9のステップS1に示すように、まず、設定温度TAよりも低い温度に冷却時庫内温度TBを設定し、庫内温度Tfがこの冷却時庫内温度TBとなるように冷却ユニット40を動作させる。例えば、設定温度TAが3℃のときは、冷却時庫内温度TBは-1℃程度(設定温度TAよりも、3~5℃程度低い温度)に設定するとよい。
【0036】
庫内温度Tfが冷却時庫内温度TBに達すると、制御装置100は、ステップS2に示すように、芯温度Tcが、設定温度TAよりもやや高い温度(例えば、(TA+3)℃)に達するまで、庫内温度Tfを冷却時庫内温度TBに維持するように冷却ユニット40を動作させる。ただし、このとき、庫内温度Tf(換言すれば、見かけの庫内温度)が冷却時庫内温度TBであっても、芯温度Tc(延いては、真の庫内温度)は設定温度TAに到達しておらず、ステップS2は保冷運転とは言えないために、蒸発器ファン46は連続的に運転して芯温度Tcの低下を促す。
【0037】
そして、芯温度Tcが上述の設定温度TAよりもやや高い温度(例えば、(TA+3)℃)に達すると、制御装置100は、ステップS3に示すように、芯温度Tcが設定温度TAに達するまで、庫内温度Tfが、設定温度TAよりもやや低い温度(例えば、(TA-3)℃)となるように冷却ユニット40の動作を緩和させる。その後、芯温度Tcが設定温度TAに達すると、制御装置100は、上述のとおり、保冷運転プログラムに従って保冷運転を行う。すなわち、ステップS4に示すように、芯温度Tcおよび庫内温度Tfが設定温度TAに維持されるように、圧縮機41、凝縮器ファン43および蒸発器ファン46の運転を制御する。このとき蒸発器ファン46については、間欠運転を実施する。これにより、芯温度Tcおよび庫内温度Tfを設定温度TAに維持しながら、磁性パッキン32を直撃する保冷運転時のより冷たい冷気の流量を低減することができ、パッキン32の庫外側の表面温度の低下を抑制することができる。延いては、パッキン32の庫外側で生じる表面結露を抑えることができる。
【0038】
なお、上記の冷却庫1において、扉30は、冷却室10に対して、開口の周縁部のうち左側壁12B(一方の側壁)の側である左側端部30Bを軸として揺動開閉可能に装着されている。このような構成によると、扉30の揺動軸が蒸発器45の側に配されるため、開扉時には扉30が、冷却対象である食品等の収納スペースとは反対側に位置し、庫内に冷却対象物を出し入れしやすい構成が実現される。
【0039】
≪実施形態2≫
実施形態2の冷却庫201について図10から図12を参照しつつ説明する。実施形態1の冷却庫1のドレンパン18は、延出部18Aの前後方向の寸法が、例えば図3に示すように、冷却ケース14から前方に少し突出する程度に短いものとなっていた。これに対し、実施形態2の冷却庫201が備えるドレンパン118は、図10から図12に示すように、延出部118Aの前後方向の寸法が大きく、冷却ケース14のガイド溝に奥まで挿入したときに、扉30にわずかに接触しない程度に設計されている。なお、延出部118Aの左右方向の寸法は、延出部18Aの左右方向の寸法と同じである。延出部118Aの前端は下方に向けて屈曲され、ドレンパン118を冷却ケース14から前方に引き出す際の手掛かりとなっている。
【0040】
冷却庫201において、パッキン32は、冷却室10の開口縁部の全周に亘って介在するように配されるものの、庫外側の表面結露は、蒸発器45に近くかつ下方に位置するパッキン32においてより顕著に発生し得る。例えば冷却室10の開口の上下左右の周縁部にそれぞれ当接するように、上部パッキン32A、左部パッキン32B、下部パッキン32C、右部パッキン32Dが設けられている場合は、左部パッキン32Bの下側部分や下部パッキン32Cの左側部分において結露がより顕著となり得る。本発明者らの検討によると、これは庫内のより冷たい冷気の対流が、冷却室10の側壁や扉30の近傍では上方から下方に向かい易いことに起因すると考えられる。上記構成の冷却庫201には、ドレンパン118の延出部118Aによって、扉30に沿って上方から下方に向かう冷気の流れを遮蔽する構成が備えられている。これにより、延出部118Aを利用して、蒸発器45から送り出されたばかりのより冷たい冷気が下方のパッキン32に向けて流れることを抑制することができる。これにより、パッキン32を冷却する冷気の流れを物理的に遮蔽することができ、庫外での表面結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0041】
なお、ドレンパン118の延出部118Aの形状は、ここに開示される技術の本質を損ねない範囲において様々な態様であってよい。例えば、図13から図15に示すように、ドレンパン218は、延出部218Aの前後方向の寸法が大きく、冷却ケース14のガイド溝に奥まで挿入したときに、扉30にわずかに接触しない程度に設計されている。また、延出部218Aは、左右方向の寸法が延出部118Aよりも大きく、蒸発器45近傍の側壁である左側壁12Bにわずかに接触しない程度に設計されている。延出部218Aの前端は下方に向けて屈曲され、その屈曲部分の下端は底壁12Eにわずかに接触しない程度にまで長く設計されていてもよい。このような構成によると、庫内の冷気がパッキン32(特に、下部パッキン32C)に突き当たることがより確実に抑制され、上記のパッキン32の結露抑制効果をより一層確実に発揮することができる。
【0042】
≪実施形態3≫
実施形態3の冷却庫301について説明する。実施形態3の冷却庫301は、図16および図17に示すように、扉30の中央部分のうち、左側壁12B(一方の側壁)の側の端部に、左側壁12Bに沿うように上下方向に延びる遮蔽板50が備えられており、左側壁12Bに沿って扉30に向かう冷気の流れを遮蔽する構成を備えている。遮蔽板50は、これに限定されるものではないが、扉30の中央部分から、左側壁12Bにわずかに接触しない程度の寸法で左方に向けて突出している。また遮蔽板50の幅方向(左右方向)の寸法は、これに限定されるものではないが、左側壁12Bと冷却ケース14(蒸発器45)との隙間、換言すれば冷気の通路を左右方向で覆うように、左側壁12Bと冷却ケース14との離間距離よりも大きくなるように設計されている。遮蔽板50の上下方向の寸法は、これに限定されるものではないが、上壁12Aおよび底壁12Eのそれぞれにわずかに接触しない程度の寸法とされている。遮蔽板50は、任意の固定手段(例えば、リベット、ボルトネジ等の締結部材、スポット溶接等の各種溶接手段、接着剤等による固定)によって、中央部分に固定されている。このような構成によると、左側壁12Bに突き当たったのち扉30に向かうより冷たい冷気が、扉30に到達する前に遮蔽板50によってその流れを右方に変えることができ、冷風が扉30およびパッキン32(特に、左部パッキン32Bと、上部パッキン32Aおよび下部パッキン32Cの左側部分)に直撃する事態を回避することができる。また、冷風がパッキン32(特に、下部パッキン32C)に沿って右方に流れることを抑制することができる。その結果、パッキン32を冷却する冷気の流れを物理的に遮蔽することができ、庫外での表面結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0043】
≪実施形態4≫
実施形態4の冷却庫401について説明する。実施形態4の冷却庫401は、図17および図18に示すように、左側壁12B(一方の側壁)のうち冷却室10の開口に沿う縁部には、扉30を閉じたときに扉30に沿うように突出する遮蔽板52が備えられている。遮蔽板52は、これに限定されるものではないが、断面L字型をなす板状であって、L字の一方の辺に対応する部分が左側壁12Bに固定され、他方の辺に対応する部分が左側壁12Bから扉30に沿って突出している。遮蔽板52の扉30に沿う部分は、扉30の中央部分にわずかに接触しない程度の位置に配されており、遮蔽板52の突出方向(左右方向)の寸法は、これに限定されるものではないが、左側壁12Bと冷却ケース14(蒸発器45)との隙間、換言すれば冷気の通路を左右方向で覆うように、左側壁12Bと冷却ケース14との離間距離よりも大きくなるように設計されている。また、遮蔽板52の上下方向の寸法は、これに限定されるものではないが、上壁12Aおよび底壁12Eのそれぞれにわずかに接触しない程度の寸法とされている。遮蔽板52は、任意の固定手段(例えば、リベット、ボルトネジ等の締結部材、スポット溶接等の各種溶接手段、接着剤等による固定)によって、左側壁12Bに固定されている。このような構成によると、左側壁12Bに突き当たったのち扉30に向かうより冷たい冷気が、扉30に到達する前に遮蔽板52によってその流れを右方に変えることができ、冷風が扉30およびパッキン32(特に、左部パッキン32Bと、上部パッキン32Aおよび下部パッキン32Cの左側部分)に直撃する事態を回避することができる。また、冷風がパッキン32(特に、下部パッキン32C)に沿って右方に流れることを抑制することができる。その結果、パッキン32を冷却する冷気の流れを物理的に遮蔽することができ、庫外での表面結露の発生を効果的に抑制することができる。
【0044】
<他の実施形態>
ここに開示される技術は、上記の実施形態に開示されたものに限定されるものではなく、例えば、以下の態様もここに開示される技術範囲に含まれる。また、ここに開示される技術は、その本質から逸脱しない範囲において種々変更された態様で実施することができる。
【0045】
(1)上記実施形態において、冷却庫の扉30の揺動軸(取付部)と蒸発器45および蒸発器ファン46とは、冷却室10の開口に対して同じ側に配されていた。このような構成は、扉30やドレンパン118,218の延出部118A,218Aや遮蔽板50,52によって冷却対象物の出し入れが阻害されることがない点においても好ましい。しかしながら、扉30の揺動軸(取付部)と蒸発器45および蒸発器ファン46とは、開口に対して同じ側でなくてもよい。
(2)上記実施形態において、パッキン32は扉30の背面30Aの外縁部に取り付けられていたが、パッキン32は、扉30を閉じたときに扉30と冷却室10の開口縁部との間に介在されて両者を密閉できる構成であれば、その装着部位はこれに限定されない。パッキン32は、例えば、冷却室10の開口縁部に取り付けられていてもよいし、扉30の背面30Aの外縁部と冷却室10の開口縁部の両方に分けて取り付けられていてもよい。
(3)上記実施形態1において、冷却庫の冷却運転(急速冷却)における各部の制御例1,2は例示にすぎず、その他の様々な制御方法を採用することができる。また、設定温度TAについても上記例に限定されず、10℃未満(例えば、約-40℃~5℃)の任意の温度であってよい。
【符号の説明】
【0046】
1,201,301,401…冷却庫、10…冷却室(冷却庫本体)、11B…左側部(一方の側壁)、18,118,218…ドレンパン、18A,118A,218A…延出部、41…圧縮機、42…凝縮器、43…凝縮器ファン、45…蒸発器、46…蒸発器ファン、46A…ファン、46B…ファンモータ、47…冷媒管、50,52…遮蔽板、100…制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19