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特許7527141エレベーターのロープマーキング装置およびエレベーターのロープマーキング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】エレベーターのロープマーキング装置およびエレベーターのロープマーキング方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20240726BHJP
   B66B 7/06 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B66B7/00 K
B66B7/06 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020113691
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012113
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】今野 竜二
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/138547(WO,A1)
【文献】特開2018-065695(JP,A)
【文献】特開平10-219887(JP,A)
【文献】特開2004-345827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0210494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設ロープと新設ロープとを互いに接続する際に用いられるエレベーターのロープマーキング装置であって、
一方向に延び、前記一方向の長さが第1設定長さである第1受部と、
前記第1受部に隣り合って設けられ、前記一方向に延び、前記一方向の長さが第2設定長さである第2受部と、
を備え、
前記第1設定長さは、ロープの端部から切断されるロープの芯鋼の位置までの長さであり、
前記第1設定長さと前記第2設定長さとの和は、ロープの端部からロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界までの長さであり、
前記第1受部および前記第2受部には、前記一方向に延びた前記ロープが前記第1受部および前記第2受部の両方に接触した状態で、前記ロープが支持されるエレベーターのロープマーキング装置。
【請求項2】
前記第1設定長さおよび前記第2設定長さは、互いに異なる請求項1に記載のエレベーターのロープマーキング装置。
【請求項3】
前記一方向に対して垂直な面における前記第1受部および前記第2受部の全体の断面形状は、L字形状となっている請求項1または請求項2に記載のエレベーターのロープマーキング装置。
【請求項4】
前記一方向の前記第1受部の一端部および前記一方向の前記第2受部の一端部は、互いに隣り合っており、
前記第1受部および前記第2受部におけるそれぞれの一端部から前記一方向に第3設定長さだけ離れたそれぞれの位置には、前記一方向に垂直な面に沿って延びた第1スリットが形成され、
前記第1受部および前記第2受部におけるそれぞれの一端部から前記一方向に第4設定長さだけ離れたそれぞれの位置には、前記一方向に垂直な面に沿って延びた第2スリットが形成されている請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のエレベーターのロープマーキング装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか一項に記載のエレベーターのロープマーキング装置を用いて、前記ロープにおける端部から前記ロープの長手方向に前記第1設定長さだけ離れた位置に第1マークを付け、前記第1マークから前記長手方向に前記第2設定長さだけ離れた位置に第2マークを付けるエレベーターのロープマーキング方法であって、
前記ロープの端部と前記第1受部の一端部とが重ねられ、前記第1受部および前記第2受部に前記ロープが支持された状態で、前記第1受部の他端部に重ねられた前記ロープの部分に前記第1マークを付ける第1マーク形成工程と、
前記第1マーク形成工程の後、前記第1マークと前記第2受部の一端部とが重ねられ、前記第1受部および前記第2受部に前記ロープが支持された状態で、前記第2受部の他端部に重ねられた前記ロープの部分に前記第2マークを付ける第2マーク形成工程と、
を備えているエレベーターのロープマーキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのロープマーキング装置およびエレベーターのロープマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かご、巻上機および釣り合いおもりに渡って設けられている既設ロープを新設ロープに交換するエレベーターのロープ交換方法が知られている。このエレベーターのロープ交換方法では、既設ロープの端部と新設ロープの端部とを互いに接続させた状態で、既設ロープおよび新設ロープを移動させて、既設ロープを新設ロープに交換する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-034475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設ロープの端部と新設ロープの端部とを互いに接続させる作業では、既設ロープの端部から切断用長さだけ離れた位置において、既設ロープの芯鋼が切断され、新設ロープの端部から切断用長さだけ離れた位置において、新設ロープの芯鋼が切断される。さらに、既設ロープの端部から撚り解き用長さだけ離れた位置まで、既設ロープのストランドの撚りが解かれ、新設ロープの端部から撚り解き用長さだけ離れた位置まで、新設ロープのストランドの撚りが解かれる。その後、既設ロープの芯鋼の端部と新設ロープの芯鋼とが突き合わされた状態で、既設ロープのストランドと新設ロープのストランドとが互いに編み込まれる。これにより、既設ロープの端部と新設ロープの端部とが互いに接続される。
【0005】
既設ロープの芯鋼を切断する作業では、既設ロープの端部から切断用長さだけ離れた位置に、既設ロープの芯鋼の切断位置を示す第1マークが付けられる。また、新設ロープの芯鋼を切断する作業では、新設ロープの端部から切断用長さだけ離れた位置に、新設ロープの芯鋼の切断位置を示す第1マークが付けられる。
【0006】
既設ロープのストランドの撚りを解く作業では、既設ロープの端部から撚り解き用長さだけ離れた位置に、既設ロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界を示す第2マークが付けられる。また、新設ロープのストランドの撚りを解く作業では、新設ロープの端部から撚り解き用長さだけ離れた位置に、新設ロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界を示す第2マークが付けられる。
【0007】
従来のエレベーターのロープ交換方法では、メジャーを用いて、ロープの端部から切断用長さだけ離れた位置を特定し、ロープの端部から撚り解き用長さだけ離れた位置を特定する。
【0008】
しかしながら、昇降路における作業スペースが狭い場合には、メジャーを用いて、ロープの端部から切断用長さだけ離れた位置を特定し、ロープの端部から撚り解き用長さだけ離れた位置を特定することが困難となる。したがって、この場合には、ロープの芯鋼の切断位置を特定することが困難となり、かつ、ロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界を特定することが困難となるという問題点があった。
【0009】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ロープの芯鋼の切断位置をより簡単に特定することができ、かつ、ロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界をより簡単に特定することができるエレベーターのロープマーキング装置およびエレベーターのロープマーキング方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係るエレベーターのロープマーキング装置は、既設ロープと新設ロープとを互いに接続する際に用いられるエレベーターのロープマーキング装置であって、一方向に延び、一方向の長さが第1設定長さである第1受部と、第1受部に隣り合って設けられ、一方向に延び、一方向の長さが第2設定長さである第2受部と、を備え、第1設定長さは、ロープの端部から切断されるロープの芯鋼の位置までの長さであり、第1設定長さと第2設定長さとの和は、ロープの端部からロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界までの長さであり、第1受部および第2受部には、一方向に延びたロープが第1受部および第2受部の両方に接触した状態で、ロープが支持される。
本開示に係るエレベーターのロープマーキング方法は、エレベーターのロープマーキング装置を用いて、ロープにおける端部からロープの長手方向に第1設定長さだけ離れた位置に第1マークを付け、第1マークから長手方向に第2設定長さだけ離れた位置に第2マークを付けるエレベーターのロープマーキング方法であって、ロープの端部と第1受部の一端部とが重ねられ、第1受部および第2受部にロープが支持された状態で、第1受部の他端部に重ねられたロープの部分に第1マークを付ける第1マーク形成工程と、第1マーク形成工程の後、第1マークと第2受部の一端部とが重ねられ、第1受部および第2受部にロープが支持された状態で、第2受部の他端部に重ねられたロープの部分に第2マークを付ける第2マーク形成工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係るエレベーターのロープマーキング装置およびエレベーターのロープマーキング方法によれば、ロープの芯鋼の切断位置をより簡単に特定することができ、かつ、ロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界をより簡単に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置を示す斜視図である。
図2図1のエレベーターのロープマーキング装置を示す平面図である。
図3図2のIII-IIIに沿った矢視断面図である。
図4図2のIV-IVに沿った矢視断面図である。
図5】実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング方法を示すフローチャートである。
図6図5の第1マーク形成工程におけるエレベーターのロープマーキング装置およびロープを示す平面図である。
図7図5の第2マーク形成工程におけるエレベーターのロープマーキング装置およびロープを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置を示す斜視図である。図2は、図1のエレベーターのロープマーキング装置を示す平面図である。実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置は、エレベーターのロープを交換する際であって、既設ロープと新設ロープとを互いに接続する際に用いられる。具体的には、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置は、ロープの芯鋼の切断位置を特定し、さらに、ロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界を特定する際に用いられる。
【0014】
実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置は、第1受部1と、第1受部に隣り合って設けられた第2受部2と、を備えている。第1受部1および第2受部2は、互いに一体に形成されている。
【0015】
第1受部1は、平板形状に形成されている。また、第1受部1は、一方向Aに延びるように形成されている。一方向Aの第1受部1の寸法は、第1設定長さとなっている。この例では、第1設定長さは、250mmとなっている。第1設定長さは、ロープの端部から切断されるロープの芯鋼の位置までの長さである。したがって、第1設定長さは、切断用長さである。第1受部1の幅方向に第2受部2が第1受部1に隣り合って設けられている。
【0016】
第2受部2は、平板形状に形成されている。第2受部2は、一方向Aに延びるように形成されている。一方向Aの第2受部2の寸法は、第2設定長さとなっている。第2設定長さは、第1設定長さと異なっている。第2設定長さは、第1設定長さよりも大きい。この例では、第2設定長さは、260mmとなっている。第1設定長さと第2設定長さとの和は、ロープの端部からロープのストランドの撚りが解かれる範囲の境界までの長さである。したがって、第1設定長さと第2設定長さとの和は、撚り解き用長さである。
【0017】
一方向Aの第1受部1の一端部および一方向Aの第2受部2の一端部は、互いに隣り合っている。言い換えれば、一方向Aの第1受部1の一端部における一方向Aを向く端面と、一方向Aの第2受部2の一端部における一方向Aを向く端面とは、互いに面一となっている。
【0018】
図示していないが、一方向Aの第1受部1の一端部から一方向Aの第1受部1の他端部に向かって、目盛りが付けられている。また、図示していないが、一方向Aの第2受部2の一端部から一方向Aの第2受部2の他端部に向かって、目盛りが付けられている。
【0019】
図3は、図2のIII-IIIに沿った矢視断面図である。図4は、図2のIV-IVに沿った矢視断面図である。一方向Aに対して垂直な面における第1受部1および第2受部2の全体の断面形状は、L字形状となっている。第1受部1の幅方向の長さおよび第2受部2の幅方向の長さは、互いに同一となっている。また、第1受部1の幅方向の長さおよび第2受部2の幅方向の長さのそれぞれは、ロープの直径よりも大きくなっている。ロープの直径としては、例えば、10mmおよび12mmが挙げられる。
【0020】
実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置は、ロープの端末加工を行う際にも用いられる。具体的には、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置は、ロープを構成するストランドの端部からストランドの長手方向について第3設定長さだけ離れたそれぞれの位置に第3マークを付ける際に用いられる。また、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置は、ストランドの端部からストランドの長手方向について第4設定長さだけ離れたそれぞれの位置に第4マークを付ける際に用いられる。第4設定長さは、第3設定長さよりも大きい。第3設定長さおよび第4設定長さのそれぞれは、第1設定長さおよび第2設定長さのそれぞれよりも小さい。具体的には、第3設定長さは、60mmとなっており、第4設定長さは、120mmとなっている。第3設定長さは、ストランドの端部から折り曲げられるストランドの位置までの長さである。第4設定長さは、ストランドの端部からストランドの撚りが解かれる範囲の境界までの長さである。
【0021】
第1受部1および第2受部2におけるそれぞれの一端部から一方向Aについて第3設定長さだけ離れたそれぞれの位置には、一方向Aに垂直な面に沿って配置された第1スリット3が形成されている。ストランドの端部と第1受部1および第2受部2におけるそれぞれの一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にストランドが支持された状態で、第1スリット3を介してストランドに第3マークを付ける。これにより、複数のストランドに対して同時に簡単に第3マークを付けることができる。第1スリット3の幅方向の寸法は、マーカーペンのペン先よりも大きくなっている。これにより、第1スリット3には、マーカーペンのペン先が挿入可能となっている。第3マークは、ロープの全周囲に付けられる。
【0022】
第1受部1および第2受部2におけるそれぞれの一端部から一方向Aについて第4設定長さだけ離れたそれぞれの位置には、一方向Aに垂直な面に沿って配置された第2スリット4が形成されている。ストランドの端部と第1受部1および第2受部2におけるそれぞれの一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にストランドが支持された状態で、第2スリット4を介してストランドに第4マークを付ける。これにより、複数のストランドに対して同時に簡単に第4マークを付けることができる。第2スリット4の幅方向の寸法は、マーカーペンのペン先よりも大きくなっている。これにより、第2スリット4には、マーカーペンのペン先が挿入可能となっている。第4マークは、ロープの全周囲に付けられる。
【0023】
次に、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置を用いて、ロープに第1マークおよび第2マークを付ける手順について説明する。具体的には、ロープにおける端部からロープの長手方向に第1設定長さだけ離れた位置に第1マークを付け、第1マークから長手方向に第2設定長さだけ離れた位置に第2マークを付ける手順について説明する。図5は、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング方法を示すフローチャートである。まず、ステップS101において、第1マーク形成工程を行う。図6は、図5の第1マーク形成工程におけるエレベーターのロープマーキング装置およびロープを示す平面図である。
【0024】
第1マーク形成工程では、まず、ロープ5の端部と第1受部1の一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持される。このとき、一方向Aに対して垂直な面についての第1受部1および第2受部2の全体の断面形状がL字形状となっていることによって、安定して、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持される。その後、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持された状態で、第1受部1の他端部に重ねられたロープ5の部分に作業者が第1マーク6を付ける。第1マーク6が付けられたロープの位置は、既設ロープと新設ロープとの接続作業において、ロープ5の芯鋼が切断される位置となる。
【0025】
その後、ステップS102において、第2マーク形成工程を行う。図7は、図5の第2マーク形成工程におけるエレベーターのロープマーキング装置およびロープを示す平面図である。
【0026】
第2マーク形成工程では、まず、第1マーク6と第2受部2の一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持される。このとき、一方向Aに対して垂直な面についての第1受部1および第2受部2の全体の断面形状がL字形状となっていることによって、安定して、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持される。その後、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持された状態で、第2受部2の他端部に重ねられたロープ5の部分に作業者が第2マーク7を付ける。第2マーク7が付けられたロープ5の位置は、既設ロープと新設ロープとの接続作業において、ロープ5のストランドの撚りが解かれる範囲の境界となる。
【0027】
以上により、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置を用いて、ロープ5に第1マーク6および第2マーク7を付ける手順が終了する。
【0028】
ロープ5に第1マーク6および第2マーク7が付けられた後、既設ロープの端部と新設ロープの端部とを互いに接続させる作業では、既設ロープにおける第1マーク6が付けられた位置において、既設ロープの芯鋼が切断される。さらに、新設ロープにおける第1マーク6が付けられた位置において、新設ロープの芯鋼が切断される。さらに、既設ロープの端部から第2マーク7が付けられた位置まで、既設ロープのストランドの撚りが解かれ、新設ロープの端部から第2マーク7が付けられた位置まで、新設ロープのストランドの撚りが解かれる。
【0029】
その後、既設ロープの芯鋼の端部と新設ロープの芯鋼とが突き合わされた状態で、既設ロープのストランドと新設ロープのストランドとが互いに編み込まれる。これにより、既設ロープの端部と新設ロープの端部とが互いに接続される。
【0030】
以上説明したように、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置は、一方向Aに延び、一方向Aの長さが第1設定長さである第1受部1と、一方向Aに延び、一方向Aの長さが第2設定長さである第2受部2と、を備えている。第2受部2は、第1受部に隣り合って設けられている。第1設定長さは、ロープ5の端部から切断されるロープ5の芯鋼の位置までの長さである。第1設定長さと第2設定長さとの和は、ロープ5の端部からロープ5のストランドの撚りが解かれる範囲の境界までの長さである。第1受部1および第2受部2には、一方向Aに延びたロープ5が第1受部1および第2受部2の両方に接触した状態で、ロープ5が支持される。この構成によれば、ロープ5の端部と第1受部1の一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持された状態で、第1受部1の他端部に重ねられたロープ5の部分に第1マーク6が付けられる。これにより、ロープ5の芯鋼の切断位置をより簡単に特定することができる。また、第1マーク6と第2受部2の一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持された状態で、第2受部2の他端部に重ねられたロープ5の部分に第2マーク7が付けられる。これにより、ロープ5のストランドの撚りが解かれる範囲の境界をより簡単に特定することができる。
【0031】
また、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置では、一方向Aに対して垂直な面についての第1受部1および第2受部2の全体の断面形状は、L字形状となっている。この構成によれば、互いに直径が異なる複数のロープ5について、第1受部1および第2受部2の両方にロープ5を容易に接触させることができる。これにより、互いに直径が異なる複数のロープ5を、安定して、第1受部1および第2受部2が支持することができる。
【0032】
また、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング装置では、一方向Aの第1受部1の一端部および一方向Aの第2受部2の一端部は、互いに隣り合っている。第1受部1および第2受部2におけるそれぞれの一端部から一方向Aに第3設定長さだけ離れたそれぞれの位置には、一方向Aに垂直な面に沿って配置された第1スリット3が形成されている。この構成によれば、ロープ5を構成するストランドにおける端部からストランドの長手方向について第3設定長さだけ離れたそれぞれの位置に第3マークを付けることができる。これにより、ロープの端末加工を行う場合に、ストランドの端部から折り曲げられるストランドの位置を簡単に特定することができる。また、第1受部1および第2受部2におけるそれぞれの一端部から一方向Aに第4設定長さだけ離れたそれぞれの位置には、一方向Aに垂直な面に沿って配置された第2スリット4が形成されている。この構成によれば、ロープ5を構成するストランドにおける端部からストランドの長手方向について第4設定長さだけ離れたそれぞれの位置に第4マークを付けることができる。これにより、ロープの端末加工を行う場合に、ストランドの端部からストランドの撚りが解かれる範囲の境界を簡単に特定することができる。
【0033】
また、実施の形態1に係るエレベーターのロープマーキング方法は、第1マーク形成工程と、第1マーク形成工程の後に行われる第2マーク形成工程と、を備えている。第1マーク形成工程では、ロープ5の端部と第1受部1の一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持された状態で、第1受部1の他端部に重ねられたロープ5の部分に第1マーク6を付ける。第2マーク形成工程では、第1マーク6と第2受部2の一端部とが重ねられ、第1受部1および第2受部2にロープ5が支持された状態で、第2受部2の他端部に重ねられたロープ5の部分に第2マークを付ける。この方法によれば、ロープ5の芯鋼の切断位置をより簡単に特定することができ、かつ、ロープ5のストランドの撚りが解かれる範囲の境界をより簡単に特定することができる。
【0034】
なお、実施の形態1では、第2受部2の第2設定長さが第1受部1の第1設定長さよりも大きい構成のエレベーターのロープマーキング装置について説明した。しかしながら、第1受部1の第1設定長さが第2受部2の第2設定長さよりも大きい構成のエレベーターのロープマーキング装置であってもよい。
【0035】
また、実施の形態1では、一方向Aに対して垂直な面における第1受部1および第2受部2の全体の断面形状は、L字形状となっているエレベーターのロープマーキング装置の構成について説明した。しかしながら、一方向Aに対して垂直な面における第1受部1および第2受部2の全体の断面形状は、V字形状となっているエレベーターのロープマーキング装置であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 第1受部、2 第2受部、3 第1スリット、4 第2スリット、5 ロープ、6 第1マーク、7 第2マーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7