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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】試料充填装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 24/00 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
G01N24/00 510D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020181130
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022071971
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-06-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度国立研究開発法人科学技術振興機構「未来社会創造事業」「次世代NMR計測系の構築」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 由宇生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏
(72)【発明者】
【氏名】馬場 栄二郎
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298469(JP,A)
【文献】特開2001-031001(JP,A)
【文献】特開2008-267889(JP,A)
【文献】特開平10-332707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N24/00-G01N24/14
G01R33/00-G01R33/64
G01N 1/00-G01N 1/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の試料を充填する試料管を固定する試料管固定ユニットと、
前記試料管にボトムキャップ及びスピニングキャップを装着するキャップ装着ユニットと、
前記測定対象の試料をボトムキャップ装着後の試料管に充填する試料充填ユニットと、
前記試料管固定ユニット、前記キャップ装着ユニット、及び前記試料充填ユニットが搭載され、当該各ユニットを共通の作業位置である観察可能位置に移動させる移動機構と、
を備え
前記共通の作業位置で少なくとも行われる作業とは、上記試料管固定ユニットによる試料管を固定すること、上記キャップ装着ユニットによる試験管にキャップを装着すること、及び、上記試料充填ユニットによる試料管に試料を充填することであるNMR測定用の試料充填装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記各ユニットを回転移動により前記作業位置に移動させる回転移動機構および/または前記各ユニットを平行移動により前記作業位置に移動させる平行移動機構である、請求項1に記載の試料充填装置。
【請求項3】
前記試料管固定ユニットは、前記試料管を固定して保持する保持部を着脱自在に備えている、請求項1又は2に記載の試料充填装置。
【請求項4】
前記各ユニットで行われる作業を観察する観察部をさらに備え、
前記作業位置は、前記観察部の観察可能位置である、請求項1から3のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【請求項5】
前記観察部は、前記キャップを前記試料管に装着する装着位置を定めるマーカを視野内に表示する表示部を有する、請求項4に記載の試料充填装置。
【請求項6】
前記観察部は、前記試料管の前記試料を挿入する開口面に垂直な方向または傾斜方向から観察可能な実体顕微鏡またはカメラである、請求項4または5に記載の試料充填装置。
【請求項7】
前記作業位置で行う前記各ユニットの作業を支援するマニピュレータをさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【請求項8】
前記キャップ装着ユニットは、前記試料管を載置する第1載置部を有し、
前記第1載置部を水平方向に移動させて前記キャップの装着位置を定める構成である、請求項1から7のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【請求項9】
前記キャップ装着ユニットは、先端に前記キャップを吸着させて前記試料管に装着する吸着手段を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【請求項10】
前記キャップ装着ユニットは、前記キャップを前記試料管の開口部に挿入させるガイドを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【請求項11】
前記試料充填ユニットは、前記試料を前記試料管の開口部へ誘導する漏斗と、前記漏斗の最底部に設けられた孔に向けて昇降動作可能な棒状部材と、前記棒状部材の位置決め機構と、を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【請求項12】
前記試料充填ユニットは、載置した面に垂直な軸に対して傾斜可能に構成されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【請求項13】
前記試料は、固体NMR用の試料である、請求項1から12のいずれか一項に記載の試料充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料充填装置に関する。より詳細には、本発明は、測定対象の試料を試料管に充填し、その試料管にキャップを装着するユニットを備える、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)測定用の試料充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療等の様々な分野において、静磁場中におかれた原子核が固有の周波数を持った電磁波と相互作用する現象を利用して原子レベルで試料の測定を行うNMR測定が活用されている。例えば、固体の試料に対するNMRにおいては、測定試料を充填した試料管を静磁場に対してマジック角(54.74°)だけ傾けて高速回転することにより、化学結合の磁場に対する向きのばらつきを平均化するマジック角回転(MAS:Magic-Angle Spinning)法が用いられている。
【0003】
このとき用いられる試料管は、一般的に、スリーブとスリーブの両端をそれぞれ封止する2つのキャップとを有し、その寸法はかなり小さいため、作業者が直接手で把持することが難しいものがある。このように、かなり小さな寸法の試料管に測定試料を充填する作業は、作業者の手作業では困難であるため、従来から装置等により試料管に測定試料を精度よく充填する手法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、試料容器本体を保持する試料容器ホルダと、試料容器本体の開口上方に位置する粉末試料供給用の漏斗と、該漏斗を保持する漏斗保持部と、該漏斗保持部を昇降させる漏斗昇降機構と、その昇降量を測定する昇降量測定器と、前記漏斗の上方から漏斗の細管部内に挿入可能な押込みロッドと、該押込みロッドの上下動を案内するロッドガイド部を具備し、試料容器本体内のシール部下方まで漏斗の細管部下端を挿入し、漏斗の拡開部に供給した粉末試料を、前記押込みロッドの上下動作により試料容器本体内に充填するようにしたことを特徴とする密封式試料容器への粉末試料充填装置が開示されている。
【0005】
一方、特許文献2には、試料の固体NMR測定用の管状容器からなるロータに前記試料を充填する試料充填治具であって、前記ロータの固定部と、該固定部に固定されたロータの試料供給口との対向位置に設けたネジ孔を有するセット治具本体と、前記ロータの試料供給口から内部に挿入すると共に挿入状態で試料供給口から突出する押し込み棒と、前記ネジ孔を通して先端を前記押し込み棒に当接させるネジ棒とを備え、前記ネジ棒はネジ孔内を回転しながら前記押し込み棒を前記ロータ内部に押し込み、該押し込み棒でロータ内に供給されている前記試料を圧縮することを特徴とする固体NMR測定用ロータへの試料充填治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-031001号公報
【文献】特開2008-298469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2の技術は、試料容器等に試料を充填する手法について提案しているが、試料を充填した後の試料管等にキャップを装着する手法については提案されていない。したがって、特許文献1または特許文献2の技術を用いたとしても、試料充填後の試料管等にキャップを装着する際には、試料を充填する装置の他に、別途キャップを装着する装置が必要となり、各装置の基準がずれてしまうため、精密な操作を行うことが困難であるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、試料管等への試料の充填およびキャップ装着の操作を精密に行うことができる試料充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るNMR測定用の試料充填装置は、測定対象の試料を試料管に充填する試料充填ユニットと、前記試料管にキャップを装着するキャップ装着ユニットと、各ユニットを共通の作業位置に移動させる移動機構と、を備える。本発明に係るNMR測定用の試料充填装置は、測定対象の試料を充填する試料管を固定する試料管固定ユニットと、前記試料管にボトムキャップ及びスピニングキャップを装着するキャップ装着ユニットと、前記測定対象の試料をボトムキャップ装着後の試料管に充填する試料充填ユニットと、前記試料管固定ユニット、前記キャップ装着ユニット、及び前記試料充填ユニットが搭載され、当該各ユニットを共通の作業位置である観察可能位置に移動させる移動機構と、を備え、前記共通の作業位置で少なくとも行われる作業とは、上記試料管固定ユニットによる試料管を固定すること、上記キャップ装着ユニットによる試験管にキャップを装着すること、及び、上記試料充填ユニットによる試料管に試料を充填することでもよい。本発明に係る試料充填装置の前記移動機構は、前記各ユニットを回転移動により前記作業位置に移動させる回転移動機構および/または前記各ユニットを平行移動により前記作業位置に移動させる平行移動機構であってよい。また、本発明に係る試料充填装置は、前記試料管を固定する試料管固定ユニットをさらに備え、前記試料管固定ユニットが前記移動機構に搭載される構成を備えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、試料管等への試料の充填およびキャップ装着の操作を精密に行うことができる試料充填装置を提供することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る試料充填装置の構成例を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る試料管の構成例を示す模式図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るマニピュレータの構成例を示す模式図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るキャップ装着例を説明するための模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るキャップ装着例を説明するための模式図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る試料充填例を説明するための模式図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る試料充填用漏斗の例を示す拡大模式図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る試料充填後のキャップ装着例を説明するための模式図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着後のキャップ取り外し作業例を説明するための模式図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図11】本発明の第1実施形態に係るスリーブ固定用ホルダの構成例を示す模式図である。
図12】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図13】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図14】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図15】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図16】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図17】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図18】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図19】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図20】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図21】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図22】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図23】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図24】本発明の第1実施形態に係る試料管への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。
図25】本発明の第1実施形態に係るキャップ取り外し動作例を説明するための模式図である。
図26】本発明の第1実施形態に係るキャップ取り外し動作例を説明するための模式図である。
図27】本発明の第1実施形態の変形例に係るキャップ装着ユニットの動作例を示す模式図である。
図28】本発明の第2実施形態に係る試料充填装置の構成例を示す模式図である。
図29】本発明の第2実施形態に係る実体顕微鏡を傾斜させた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されることはない。また、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。
【0013】
<第1実施形態>
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る試料充填装置の構成例について説明する。図1は、本実施形態に係る試料充填装置100の構成例を示す模式図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る試料充填装置100は、例えば、固体NMR測定用の試料充填装置であり、試料管固定ユニット101と、キャップ装着ユニット102と、試料充填ユニット103と、移動機構であるインデックステーブル104と、観察部である実体顕微鏡105と、マニピュレータ106と、を本体107に搭載して備えている。実体顕微鏡105は、細かい作業を容易にするための接眼レンズまたはモニタ表示部を有している。なお、観察部は、実体顕微鏡105に限らずCCDカメラ等の作業位置を観察可能な構成であればよい。
【0015】
試料管固定ユニット101は、測定対象の試料を封入する試料管を固定するユニットである。試料管固定ユニット101は、試料管を固定して保持する保持部を着脱自在に備えている。また、試料管固定ユニット101は、作業時の試料管破損を防ぐため、試料管の高さを位置決めするピンを設けることができる。さらに、試料管固定ユニット101は、試料管破損を防ぐため、試料管の材質より柔らかい材質のホルダまたはホルダよりも柔らかい固定ねじ用緩衝材を設けることができる。
【0016】
キャップ装着ユニット102は、後述する試料管200のスリーブ201に、ボトムキャップ202およびスピニングキャップ203を装着するユニットである。また、キャップ装着ユニット102は、試料管200を載置する第1載置部507を有し、第1載置部507をX方向およびY方向の水平方向に移動させて各キャップの装着位置を定める構成である。第1載置部507を有することにより、作業性を向上させることができる。また、キャップ装着ユニット102は、先端に各キャップを吸着させて試料管200に装着する吸着手段を有する。吸着手段としては、例えば、後述する吸着ノズル511などがある。
【0017】
試料充填ユニット103は、測定対象の試料を試料管200に充填するユニットである。試料充填ユニット103は、傾斜中心が光学顕微鏡の光学軸となっている。このため、視野ずれを起こさないので、作業性を向上させることができる。また、試料充填ユニット103は、静電気による粉の飛びをなくすため、導電性のすり鉢部材で形成することができる。
【0018】
インデックステーブル104は、試料管固定ユニット101、キャップ装着ユニット102および試料充填ユニット103を搭載し、各ユニットを回転移動により共通の作業位置に移動させる回転移動機構である。インデックステーブル104の側面には、各ユニットを作業位置に移動させるための移動レバー108が備えられている。また、インデックステーブル104は、作業台としての役割も有している。なお、本技術に係る移動機構は、回転移動機構のみに限らず、各ユニットを平行移動により共通の作業位置に移動させる平行移動機構であってもよく、回転移動機構および平行移動機構の複合であってもよい。
【0019】
実体顕微鏡105は、各ユニットの作業位置である観察可能位置で行われる作業を観察する観察部である。実体顕微鏡105は、キャップを試料管に装着する装着位置を定めるマーカを視野内に表示する表示部を有している。また、実体顕微鏡105は、試料管の試料を挿入する開口面に垂直な方向または傾斜方向から観察可能である。なお、観察部は、実体顕微鏡105に限らずカメラ等の観察可能な構成であってもよい。
【0020】
マニピュレータ106は、作業位置である観察可能位置で行う各ユニットの作業を支援する。マニピュレータ106の構成は、後述の図3を用いて説明する。
【0021】
次に、図2を用いて、本実施形態に係る試料管の構成例について説明する。図2は、本実施形態に係る試料管200の構成例を示す模式図である。
【0022】
図2に示すように、試料管200は、スリーブ201と、ボトムキャップ202と、スピニングキャップ203と、を備えている。試料管200は、視認可能であるが、作業者が指で把持するには困難な大きさである。
【0023】
スリーブ201は、試料管の本体を構成する部材であり、円筒形状に形成され、試料を充填する部材である。なお、スリーブ201は、開口径(直径)が約0.4mmの小さな部材である。ボトムキャップ202は、スリーブ201に試料を充填する前に、スリーブ201の一端に嵌め込まれてその一端を塞ぐ部材である。スピニングキャップ203は、スリーブ201に試料を充填後前に、スリーブ201の他端に嵌め込まれてその他端を塞ぐと共に、試料管回転機構から出るエアアジェットを受けて試料管200を回転させる機能を有する部材である。
【0024】
次に、図3を用いて、本実施形態に係るマニピュレータの構成例について説明する。図3は、本実施形態に係るマニピュレータ106の構成例を示す模式図である。
【0025】
図3に示すように、マニピュレータ106は、基部301と、第1関節302を介して基部301に連結された第1アーム303と、第2関節304を介して第1アーム302に連結されている第2アーム305と、を備えている。
【0026】
第2アーム305の先端には、取り外し可能なピンセット306が取り付けられている。また、第2アーム305の後方側には、ワイヤ307を介してピンセット306の開閉を操作する開閉ハンドル308が接続されている。ワイヤ307および開閉ハンドル308で、レリーフ機構を構成している。これにより、マニピュレータ106は、細かい作業を容易にすることができる。
【0027】
さらに、基部301には、第1アーム303および第2アーム305が、X方向、Y方向およびZ方向の各方向への移動を調整する、X方向移動ノブ311、Y方向移動ノブ312およびZ方向移動ノブ313が備えられている。
【0028】
次に、図4および図5を用いて、本実施形態に係るキャップの装着手法の例について説明する。図4Aは、スリーブ201に装着するボトムキャップ202をホルダに固定する様子を示す模式図である。図4Bは、図4Aのボトムキャップ202固定部分の拡大模式図である。図5Aは、ボトムキャップ202をスリーブ201に装着する様子を示す模式図である。図5Bは、図5Aのボトムキャップ202固定部分の拡大模式図である。図5Cは、実体顕微鏡105による観察可能位置での位置合わせ画像を示す模式図である。
【0029】
図4Aおよび図4Bに示すように、ホルダ401の中央付近には、表面および裏面を貫通し、ボトムキャップ202をホルダ401表面に吸着させる吸着ガスのガス流路402が形成されている。
【0030】
ボトムキャップ202をスリーブ201の一端に装着する際には、ホルダ401表面のガス流路402開口部にボトムキャップ202を載せて、ホルダ401表面からホルダ401裏面に向けて、ガス流路402内を負圧吸引する。これにより、ボトムキャップ202をホルダ401表面に固定する。
【0031】
図5Aおよび図5Bに示すように、ボトムキャップ202をホルダ401表面に固定した後で、スリーブ固定用ホルダ403に固定されたスリーブ201の一端をボトムキャップ202に近づけて、ボトムキャップ202を装着する。
【0032】
このとき、図5Cに示すように、実体顕微鏡105により観察可能位置において、一例として、十字マーカMによりボトムキャップ202の中央部とスリーブ201の中央部との位置合わせを行い、両者の中央部が一致したところで、スリーブ201の一端をボトムキャップ202に装着する。
【0033】
次に、図6および図7を用いて、本実施形態に係る試料充填の手法の例について説明する。図6は、スリーブ201に測定試料を充填する様子を示す模式図である。図7は、スリーブ201の測定試料を挿入する開口部付近の拡大模式図である。
【0034】
図6に示すように、スリーブ201に測定試料を充填する際には、ホルダ401の中央付近に、ボトムキャップ202を装着した一端を下方に向けたスリーブ201を固定し、スリーブ201上方の開口部に漏斗(ファンネル)404を設置する。
【0035】
漏斗404を設置したら、漏斗404に試料(サンプル)を流し込み、例えばマニピュレータ106に把持させた試料挿入棒405をスリーブ201上方の開口部に向けて上下方向に可動させる。これにより、スリーブ201内に試料を充填させる。試料挿入棒405は、試料挿入棒405自体の破損を軽減させるため、粘りのある部材で形成することが望ましい。
【0036】
このとき、図7に示すように、漏斗404の内側の傾斜部406は、下方がスリーブ201の開口部位置に向かうように設置することが望ましい。これにより、試料を漏斗404に流し込んだ時に、試料がスリーブ201に挿入されやすくなる。
【0037】
次に、図8を用いて、本実施形態に係る試料充填後のスリーブ201にスピニングキャップ203を装着する手法の例について説明する。図8は、試料充填後のスピニングキャップ203装着例を説明するための模式図である。
【0038】
図8に示すように、測定試料を充填した後のスリーブ201の他端にスピニングキャップ203を装着する際には、ホルダ401の中央付近に固定されたスリーブ201上方の開口部付近に、例えば、キャップ装着ガイド407を設置する。キャップ装着ユニット102は、このようにスピニングキャップ203を試料管200のスリーブ201の開口部に挿入させるキャップ装着ガイド407を有することができる。
【0039】
キャップ装着ガイド407を設置したら、キャップ挿入ツールの一例であるマニピュレータ106に取り付けられたピンセット306でスピニングキャップ203を把持し、キャップ装着ガイド407を介してスリーブ201上方の他端開口部にスピニングキャップ203を近づける。場合によっては、実体顕微鏡105により、スピニングキャップ203とスリーブ201の中央部の位置合わせを調整し、位置合わせができた後にスピニングキャップ203をスリーブ201の他端に装着する。
【0040】
次に、図9を用いて、本実施形態に係る試料管200への測定試料充填およびキャップ装着後のキャップ取り外し作業例について説明する。図9は、試料管200への測定試料充填およびキャップ装着後のキャップ取り外し作業例を説明するための模式図である。
【0041】
スピニングキャップ203を装着してNMR測定を終えた後で試料を回収する場合、例えばスピニングキャップ203をスリーブ201から取り外す場合に、マニピュレータ106にキャップ取り外し用のピンセット316を取り付け、そのピンセット316でスピニングキャップ203をスリーブ201から取り外す。
【0042】
具体的には、試料管200が固定または保持された状態で、まずマニピュレータ106のピンセット316をスピニングキャップ203に近づけて閉じ、スピニングキャップ203をはさむ。次に、スピニングキャップ203をはさんだ状態のピンセット316をマニピュレータ106で引っ張り抜く。これにより、スピニングキャップ203をスリーブ201から取り外すことができる。
【0043】
次に、図10から図24を用いて、本実施形態に係る試料管200への測定試料充填およびキャップ装着の動作例について説明する。
【0044】
まず、図10から図13を用いて、スリーブ201の固定動作について説明する。図10は、本実施形態に係る試料管200への測定試料充填およびキャップ装着の動作例を説明するための模式図である。図11は、本実施形態に係るスリーブ固定用ホルダの構成例を示す模式図である。
【0045】
図10に示すように、スリーブ201を固定するときには、最初に本体側面に形成されたインデックステーブル固定ねじ501を緩め、移動レバー108を用いて実体顕微鏡105で試料管固定ユニット101が観察できる観察可能位置にインデックステーブル104を回転させる。移動後に、インデックステーブル固定ねじ501を締めてインデックステーブル104を固定する。
【0046】
試料管固定ユニット101を観察可能位置に移動させたら、図11に示すように、ホルダ固定台502の上部にスリーブ固定用ホルダ503を置き、台固定ノブ504でホルダ固定台502の位置を固定し、ホルダ固定ノブ505でスリーブ固定用ホルダ503の位置を固定する。スリーブ固定用ホルダ503は、試料管200のスリーブ201を固定して保持する保持部である。
【0047】
図12Aは、スリーブ固定用ホルダ503にスリーブ201を固定する様子を示す模式図である。図12Bは、図12Aに示すスリーブ固定用ホルダ503表面のスリーブ201固定位置を拡大した模式図である。図12Aおよび図12Bに示すように、スリーブ固定用ホルダ503の位置を固定したら、実体顕微鏡105で観察しながら、マニピュレータ106のピンセット306でスリーブ201をスリーブ固定用ホルダ503の穴に挿入する。
【0048】
スリーブ201をスリーブ固定用ホルダ503の穴に挿入したら、図13に示すように、スリーブ固定用ホルダ503のスリーブ固定ねじ506を締め付けて、スリーブ201をスリーブ固定用ホルダ503に固定する。
【0049】
次に、図14から図19を用いて、ボトムキャップ202をスリーブ201に装着する動作について説明する。
【0050】
図14に示すように、ボトムキャップ202をスリーブ201に装着するときには、インデックステーブル固定ねじ501を緩め、移動レバー108を用いて実体顕微鏡105でキャップ装着ユニット102が観察できる観察可能位置にインデックステーブル104を回転させる。移動後に、インデックステーブル固定ねじ501を締めてインデックステーブル104を固定する。
【0051】
図15Aは、キャップ装着ユニット102の上面部を示す模式図である。図15Bは、図15Aのキャップ吸着部を拡大した模式図である。図15Aに示すように、キャップ装着ユニット102の上面部には、空洞が形成され、その空洞内の中央付近に吸着ノズル511が先端を上方に向けて配置されている。吸着ノズル511により、キャップ装着作業時に、スリーブ201が破損するのを防ぐことができる。
【0052】
キャップ装着ユニット102の位置を固定させたら、実体顕微鏡105で観察しながら、マニピュレータ106のピンセット306でボトムキャップ202を吸着ノズル511の先端に載せる。吸着ノズル511の先端に載せた後に、負圧吸引等により、ボトムキャップ202を吸着ノズル511の先端に固定する。
【0053】
図16Aは、キャップ装着ユニット102の上面部を移動させて吸着ノズル511の位置を調整する様子を示す模式図である。図16Bは、図16Aの上方から見た吸着ノズル511にボトムキャップ202が固定された様子を拡大した模式図である。図16Aに示すように、キャップ装着ユニット102の側面には、吸着ノズル511のX方向、Y方向およびZ方向のそれぞれの位置を調整する、ツマミAx、ツマミAyおよびツマミAzが取り付けられている。
【0054】
ボトムキャップ202を固定したら、図16Aに示すように、ツマミAzで吸着ノズル511を上限まで上げた状態で、ツマミAxおよびツマミAyを動かして、ボトムキャップ202の位置を調整する。このとき、図16Bに示すように、実体顕微鏡105の十字マーカMの中心とボトムキャップ202の中心を合わせるように位置を調整する。このとき、実体顕微鏡105の画面に映し出される十字マーカMの中心を対象物のスリーブ201またはボトムキャップ202に合わせると中心を合わせることができる。
【0055】
ボトムキャップ202の位置を調整したら、図17に示すように、ツマミAzで吸着ノズル511を下方に移動させてから、スリーブ201を固定したスリーブ固定用ホルダ503をキャップ装着ユニット102上面の第1載置部507に置き、ホルダ固定ノブ505でスリーブ固定用ホルダ503を固定する。
【0056】
図18Aは、キャップ装着ユニット102の上面部を移動させてスリーブ201の位置を調整する様子を示す模式図である。図18Bは、図18Aの上方から見たスリーブ固定用ホルダ503に固定されたスリーブ201を拡大した模式図である。図18Aに示すように、キャップ装着ユニット102の側面には、スリーブ固定用ホルダ503のX方向およびY方向のそれぞれの位置を調整する、ツマミBxおよびツマミByが取り付けられている。
【0057】
スリーブ固定用ホルダ503を固定したら、図18Aに示すように、ツマミBxおよびツマミByを動かして、スリーブ201の位置を調整する。このとき、図18Bに示すように、実体顕微鏡105の十字マーカMの中心とスリーブ201の中心を合わせるように位置を調整する。
【0058】
スリーブ201の位置を調整したら、図19に示すように、ツマミAzで吸着ノズル511を上限まで移動させて、スリーブ201にボトムキャップ202を装着する。なお、ボトムキャップ202の位置決めとスリーブ201の位置決めの倍率は、等しくすることが望ましい。
【0059】
次に、図20から図24を用いて、ボトムキャップ202を装着したスリーブ201に測定試料を充填する動作について説明する。
【0060】
図20に示すように、ボトムキャップ202を装着したスリーブ201に測定試料を充填するときには、インデックステーブル固定ねじ501を緩め、移動レバー108を用いて実体顕微鏡105で試料充填ユニット103が観察できる観察可能位置にインデックステーブル104を回転させる。移動後に、インデックステーブル固定ねじ501を締めてインデックステーブル104を固定する。
【0061】
図21は、試料充填ユニット103の構成例を示す模式図である。図21に示すように、試料充填ユニット103は、試料を試料管200のスリーブ201の開口部へ誘導する後述の漏斗404と、漏斗404の最底部に設けられた孔に向けて昇降動作可能な棒状部材である試料挿入棒405と、試料挿入棒405の位置決め機構512と、を有する。また、試料充填ユニット103は、スリーブ固定用ホルダ503を載置する第2載置部513を有する。さらに、試料充填ユニット103は、側面部にホルダ固定ねじ525が取り付けられ、上面部の上方に試料挿入棒405が配置されている。なお、ツマミCxは、実体顕微鏡105で観察する試料等の位置合わせを行う際に、ステージをX方向に移動させるために用いられる。
【0062】
試料充填ユニット103を観察可能位置に移動させたら、図21に示すように、試料充填ユニット103上部の第2載置部513にスリーブ固定用ホルダ503を置き、ホルダ固定ねじ525でスリーブ固定用ホルダ503の位置を固定する。
【0063】
図22Aは、試料充填ユニット103の上面部を実体顕微鏡105に向けて傾けた状態を示す模式図である。試料充填ユニット103の上面部に固定されたスリーブ固定用ホルダ503中央にあるスリーブ201の開口部には漏斗404が挿入されている。また、試料充填ユニット103の側面部下方には、試料充填ユニット103を傾けられるツマミCgが取り付けられている。図22Bは、図22Aの漏斗404を実体顕微鏡105で観察した拡大模式図である。このように、試料充填ユニット103は、試料充填ユニット103を載置した面に垂直な軸に対して傾斜可能に構成されている。これにより、実体顕微鏡105で試料が挿入される部分を視認しながら作業を行うことができる。
【0064】
スリーブ固定用ホルダ503を固定したら、図22Aに示すように、スリーブ固定用ホルダ503のスリーブ201に漏斗404を挿入し、その後でツマミCgを動かして、試料充填ユニット103の上面部を実体顕微鏡105に向けて傾ける。このとき、図22Bに示すように、実体顕微鏡105で漏斗404の試料挿入穴が見える位置に傾斜させて調整する。傾斜角度は、鉛直方向に対して約20度が望ましい。
【0065】
図23Aは、試料充填ユニット103の上面部に固定されたスリーブ201の開口部に試料挿入棒405の先端を挿入する状態を示す模式図である。試料充填ユニット103には、試料充填ユニット103の上面部に対して、試料挿入棒405の先端を前後左右に移動させることが可能なツマミDxおよびツマミDyが取り付けられている。また、試料充填ユニット103には、試料充填ユニット103の上面部に対して、試料挿入棒405の先端を上下に移動させることが可能なツマミDzも取り付けられている。さらに、試料充填ユニット103には、位置決め機構512に試料挿入棒405の後端を固定するツマミEzも取り付けられている。図23Bは、図23Aの漏斗404の試料挿入穴に試料挿入棒405を挿入した状態を実体顕微鏡105で観察した拡大模式図である。
【0066】
試料充填ユニット103を傾斜させて位置を調整したら、図23Aに示すように、位置決め機構512のツマミDxおよびツマミDyを動かして、スリーブ固定用ホルダ503のスリーブ201に漏斗404の先端を挿入できるように、漏斗404の先端位置を調整する。
【0067】
図24は、試料充填ユニット103の上面部に固定されたスリーブ201に試料挿入棒405の先端で試料を挿入する状態を示す模式図である。
【0068】
漏斗404の先端位置を調整したら、図24に示すように、漏斗404に測定試料を入れた後に、位置決め機構512のツマミDzを動かして試料挿入棒405をスリーブ201の開口部に向けて下げ、スリーブ201内に測定試料を押し込んで充填する。
【0069】
スリーブ201内に測定試料を充填したら、スリーブ201の開口部から漏斗404を取り外し、ホルダ固定ねじ525を緩めて試料充填ユニット103からスリーブ固定用ホルダ503を取り外す。
【0070】
そして、スリーブ201の開口端にスピニングキャップ203を装着する。スリーブ201の開口端にスピニングキャップ203を装着する手順は、上述の図14から図19を用いて、ボトムキャップ202をスリーブ201に装着する動作と同様である。スリーブ201の開口端にスピニングキャップ203を装着した試料管200は、NMR測定に用いられる。
【0071】
次に、図25および図26を用いて、NMR測定後の試料管200からスピニングキャップ203を取り外す動作について説明する。図25は、本実施形態に係るキャップ取り外し動作例を説明するための試料充填装置100の模式図である。このとき、試料充填装置100のマニピュレータ106の先端には、キャップを取り外すカッティングピンセット316が取り付けられている。図26は、本実施形態に係るマニピュレータ106でキャップ取り外す様子を示す模式図である。
【0072】
図25に示すように、NMR測定後の試料管200からスピニングキャップ203を取り外すときには、試料管固定ユニット101を観察可能位置に移動させ、マニピュレータ106の先端にピンセット開閉ツールとしてカッティングピンセット316を取り付ける。
【0073】
カッティングピンセット316を取り付けたら、上述の図10から図13を用いて説明したスリーブ201の固定動作と同様に、試料管固定ユニット101にスリーブ固定用ホルダ503を取り付ける。その後、スリーブ固定用ホルダ503にスピニングキャップ203が装着されたスリーブ201を固定する。
【0074】
そして、固定されたスリーブ201に装着されたスピニングキャップ203をカッティングピンセット316挟み込み、その状態のままマニピュレータ106でカッティングピンセット316を上方へ移動させてスピニングキャップ203を取り外す。
【0075】
ここで、従来は、非常に小さな試料管200等を取り扱うNMR測定用の装置として、別々に分離して存在するユニットやツールを手作業で使用していたため、精密かつ一定の試料管充填作業を行うことが困難であり、扱う人の器用さによって試料管200へのサンプリングが難しい場合があった。このように、試料管200の径が小さくなると、手で試料管200やツール等を用いるような操作ではサンプリングができなくなる。例えば、直径1mmや0.75mmの試料管では、試料管にキャップが入るよう案内がないと、まっすぐ両者を合体させることはできない。また、サンプルを入れるときも専用の漏斗がないと、試料を試料管に入れることは困難である。
【0076】
これに対し、本実施形態に係る試料充填装置100は、試料管固定ユニット101、キャップ装着ユニット102および試料充填ユニット103を、共通の作業位置である観察可能位置に移動させるインデックステーブル104に搭載させているため、各ユニットでの作業時に設定した基準位置等がずれることないので、扱う人の器用さに関係なく、安定したサンプリングを行うことができる。
【0077】
したがって、試料充填装置100は、作業の基準位置等を一致させた状態で作業を進めることができるため、試料管200等への測定試料の充填およびキャップ装着の操作を精密に行うことができる。これにより、試料充填装置100によれば、専用のツール群を用いて作業し、安定して作業できる環境を提供できるので、1mmや0.75mmなどの小さな試料管を使うことが容易になり、NMR測定用装置全体としても使い勝手をよくすることができる。
【0078】
さらに、試料充填装置100は、インデックステーブル104、実体顕微鏡105およびマニピュレータ106を共通の本体107に設置しているため、各ユニットと実体顕微鏡105およびマニピュレータ106との基準も一致させることができる。これにより、試料充填装置100は、マニピュレータ106による精密な作業支援を行うことができ、試料管200への試料充填作業を容易にする環境を提供することができる。
【0079】
(変形例)
次に、図27を用いて、本実施形態に係る試料充填装置600の変形例について説明する。図27は、本変形例に係るキャップ装着ユニットの動作例を示す模式図である。図27Aは、スリーブ201の一端とボトムキャップ202との位置合わせ前の状態を示す模式図であり、図27Bは、スリーブ201の一端とボトムキャップ202との位置合わせを行ってキャップ装着動作を行う様子を示す模式図である。
【0080】
本変形例は、キャップ装着ユニット102のキャップを固定する吸着ノズル511等のキャップ固定位置が自動で動作する例である。まず、例えば、スリーブ201またはスリーブ固定用ホルダ503の幾何中心P1とボトムキャップ202の幾何中心P2とが合うように原点登録を済ませておく。
【0081】
次に、図27Aおよび図27Bに示すように、制御用PCなどから位置合わせ司令を出すことで自動的に幾何中心P1および幾何中心P2のX方向およびY方向の中心合わせを行う。
【0082】
中心合わせを行った後に、図27Bに示すように、キャップ固定位置がZ方向にも決められた移動量を移動し、ボトムキャップ202をスリーブ201の一端に装着することができる。
【0083】
本変形例に係る試料充填装置によれば、試料充填装置100と同様の効果に加えて、スリーブ201またはスリーブ固定用ホルダ503と、ボトムキャップ202またはスピニングキャップ203と、の幾何学中心の位置合わせが容易になるため、作業効率をより高めることができる。
【0084】
<第2実施形態>
次に、図28および図29を用いて、本発明の第2実施形態に係る試料充填装置について説明する。図28は、本実施形態に係る試料充填装置600の構成例を示す模式図である。図29は、本実施形態に係る実体顕微鏡601を傾斜させた状態を示す模式図である。
【0085】
試料充填装置600が第1実施形態に係る試料充填装置100と異なる点は、実体顕微鏡601を観察可能位置に応じて傾斜させることができ、インデックステーブル104に試料管固定ユニット101がされていない点である。試料充填装置600のその他の構成は、試料充填装置100の構成と同様であるため、説明は省略する。
【0086】
図28に示すように、試料充填装置600は、インデックステーブル104にキャップ装着ユニット102および試料充填ユニット103のみを搭載している。これにより、試料充填装置600によれば、第1実施形態に係る試料充填装置100と同様の効果に加えて、試料管のスリーブが事前にスリーブ固定用ホルダ等に固定されている場合に、キャップ装着ユニット102および試料充填ユニット103のみを移動させて、効率よくキャップ装着作業および試料の充填作業を行うことができる。
【0087】
また、図29に示すように、試料充填装置600は、各ユニットの作業位置である観察可能位置に向けて、実体顕微鏡601を傾斜させることができる。これにより、試料充填装置600は、作業時に作業位置を視認できるように各ユニットを傾斜させる必要がなく、各ユニットを傾斜させるよりも手順および手間が低減され、容易に作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
100、600 試料充填装置
101 試料管固定ユニット
102 キャップ装着ユニット
103 試料充填ユニット
104 インデックステーブル(移動機構)
105、601 実体顕微鏡(観察部)
106 マニピュレータ
107 本体
108 移動レバー
200 試料管
201 スリーブ
202 ボトムキャップ
203 スピニングキャップ
301 基部
302 第1アーム
303 第1関節
304 第2アーム
305 第2関節
306 ピンセット
307 ワイヤ
308 開閉ハンドル
311 X方向移動ノブ
312 Y方向移動ノブ
313 Z方向移動ノブ
316 カッティングピンセット
401 ホルダ
402 ガス流路
403、503 スリーブ固定用ホルダ
404 漏斗
405 試料挿入棒
406 傾斜部
407 キャップ装着ガイド
501 固定ねじ
502 ホルダ固定台
504 台固定ノブ
505 ホルダ固定ノブ
506 スリーブ固定ねじ
507 第1載置部
511 吸着ノズル
512 位置決め機構
513 第2載置部
525 ホルダ固定ねじ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
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図21
図22
図23
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図29