(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】光学測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20240726BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G01B11/00 H
(21)【出願番号】P 2020193522
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】桝口 陽平
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-032224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが配置される測定領域に投射される平行光を生成する投光側テレセントリックレンズが取り付けられ、投光窓を有する投光用筐体と、測定領域を通過した平行光が入射する受光側テレセントリックレンズ及び前記受光側テレセントリックレンズを通過した光を受光する二次元撮像素子が取り付けられ、受光窓を有する受光用筐体とを、前記投光窓と前記受光窓とが対向するように設置した状態で、測定領域を通過するワークの異なる部位に対する寸法測定を行う光学測定装置において、
ワークに応じた基準画像及びワークの端面における前記平行光の反射を抑制するか否かを示すパラメータを記憶する記憶部と、
測定領域に入ったワークを前記二次元撮像素子により撮像させて、当該ワークの測定画像を取得する画像取得部と、
前記記憶部に記憶された基準画像及び前記パラメータに基づいて、前記画像取得部により取得された測定画像のエッジを抽出するエッジ抽出部と、
前記エッジ抽出部で抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する実行部とを備えている光学測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学測定装置において、
前記光学測定装置の設定時に、ユーザによる操作に基づいて前記パラメータの内容を設定可能な設定部を備え、
前記記憶部は、前記設定部で設定された前記パラメータと基準画像とを関連付けて記憶する光学測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学測定装置において、
前記エッジ抽出部は、測定画像の暗部から明部に向かってエッジ抽出し、
前記実行部は、前記エッジ抽出部で最初に抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する光学測定装置。
【請求項4】
請求項
1または2に記載の光学測定装置において、
前記エッジ抽出部は、ワークの端面における前記平行光の反射を抑制しないパラメータの場合、測定画像の明部から暗部に向かってエッジ抽出し、
前記実行部は、前記エッジ抽出部で最初に抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する光学測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学測定装置において、
前記エッジ抽出部は、測定画像の明部から暗部に向かってエッジ抽出する第1の抽出処理と、測定画像の暗部から明部に向かってエッジ抽出する第2の抽出処理とを選択的に実行可能に構成されるとともに、ワークの端面における前記平行光の反射を抑制するパラメータの場合には、第2の抽出処理を自動的に選択する光学測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記記憶部は、基準画像と関連付けられた寸法測定領域を記憶し、
前記エッジ抽出部は、前記画像取得部により取得された測定画像のうち、前記記憶部に記憶された寸法測定領域に対応する領域内のエッジを抽出する光学測定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の光学測定装置において、
前記画像取得部により取得された測定画像に平滑化処理を行うフィルタ処理部を備え、
前記エッジ抽出部は、前記フィルタ処理部による平滑化処理がなされた測定画像のエッジを抽出し、
前記フィルタ処理部は、ワークの端面における前記平行光の反射を抑制しないパラメータの場合、前記平行光の反射を抑制するパラメータの場合よりも弱い平滑化処理を測定画像に対して行うように構成されている光学測定装置。
【請求項8】
請求項6に記載の光学測定装置において、
前記記憶部は、1つの基準画像に設定された複数の寸法測定領域を記憶し、
前記エッジ抽出部は、前記画像取得部により取得された測定画像のうち、前記記憶部に記憶された複数の寸法測定領域に対応する複数の領域内のエッジをそれぞれ抽出し、
前記パラメータは、複数の寸法測定領域の各々で独立して設定可能である光学測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定領域に測定光を投射して測定対象物を測定する光学測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、光源から照射された光を貼り合わせ基板の外周縁越しに画像センサに向けて照射し、基板のエッジの影像を画像センサに投影することで、2枚の基板の位置ずれを検出することが開示されている。画像センサ側には、テレセントリックレンズが設けられており、基板のエッジの影像はテレセントリックレンズを介して画像センサに投影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような光学測定装置では、光源及び投光側テレセントリックレンズを有する投光用筐体と、受光用テレセントリックレンズ及び撮像素子を有する受光用筐体との間の測定領域にワークを配置して測定を行う。ワークが例えば直方体のワークであったと仮定したとき、6つの面のうち、一の面を投光側テレセントリックレンズの光軸と直交する位置に配置していれば、撮像素子の撮像面にはワークのエッジがきれいな四角形状として結像することになり、これにより、高い測定精度が得られる。
【0005】
ここで、テレセントリック光学系を用いているため、平行光しか投光されないように考えがちであるが、実際には有限の角度を持った光が投光されて有限の角度範囲(N/A)で受光されることになる。
【0006】
このような光学系において、上記直方体のワークの一の面が投光側テレセントリックレンズの光軸と直交する位置から僅かに回転した状態であると、例えばワークの上端面に反射した測定光が撮像素子の受光面で強度の低い光として受光されることがある。こうなると、ワークの影像が黒として表示される部分と、ワークの上端面が灰色として表示される部分とができ、黒のエッジと灰色のエッジとが生成されてしまう。
【0007】
特許文献1のような光学測定装置では、黒色の部分のエッジで測定を行うため、灰色の部分を消す工夫、例えば、投光側の投射角度を広くとってワークの上端面の映り込みを消して灰色の部分が検出されないようにしたり、受光側の光学系のピントを浅くして灰色の部分をよりボケやすくする工夫がなされる。
【0008】
ところが、円柱状ワークの周面の一部を接線方向にカットした、いわゆるDカットのあるワークの場合に、そのDカット面が投光側テレセントリックレンズの光軸方向に沿っているか否かを検出したいケースがある。このとき、ワークの端面であるDカット面が投光側テレセントリックレンズの光軸方向に沿った方向から僅かに回転していると、上述したようにDカット面で反射した弱い光が受光されてDカット面が灰色の部分として表示されることになる。この場合に灰色の部分を消す工夫がなされていると、Dカット面が画像から消されるので、Dカット面の向きが分からなくなる。
【0009】
つまり、ワークからの反射光による灰色の部分を光学系の工夫で消すことは可能であるが、そうしてしまうと、ワークの端面が光軸方向に沿っているか否かの検出ができなくなり、測定精度の低下を招く。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ワークの端面からの反射光の影響によってエッジが複数できる場合に、必要に応じてエッジの選択が行えるようにして様々なワークを高い精度で測定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の開示では、ワークが配置される測定領域に投射される平行光を生成する投光側テレセントリックレンズが取り付けられ、投光窓を有する投光用筐体と、測定領域を通過した平行光が入射する受光側テレセントリックレンズ及び前記受光側テレセントリックレンズを通過した光を受光する二次元撮像素子が取り付けられ、受光窓を有する受光用筐体とを、前記投光窓と前記受光窓とが対向するように設置した状態で、測定領域を通過するワークの異なる部位に対する寸法測定を行う光学測定装置を前提とする。
【0012】
光学測定装置は、ワークに応じた基準画像及びワークの端面における前記平行光の反射を抑制するか否かを示すパラメータを記憶する記憶部と、測定領域に入ったワークを前記二次元撮像素子により撮像させて、当該ワークの測定画像を取得する画像取得部と、前記記憶部に記憶された基準画像及び前記パラメータに基づいて、前記画像取得部により取得された測定画像のエッジを抽出するエッジ抽出部と、前記エッジ抽出部で抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する実行部とを備えている。
【0013】
この構成によれば、投光窓と受光窓とが対向するように投光用筐体と受光用筐体とを設置すると、投光側テレセントリックレンズによって生成された平行光が測定領域に投射され、測定領域を通過した平行光が受光側テレセントリックレンズを通過して二次元撮像素子で受光され、ワークの測定画像が取得される。尚、テレセントリック光学系で平行光を生成するといっても、厳密な平行光ではなく、実際には有限の角度を持った光が投光されることになる。
【0014】
測定画像が取得されると、記憶部に予め記憶されている基準画像及びワークの端面における平行光の反射を抑制するか否かを示すパラメータに基づいて、測定画像のエッジが抽出され、抽出されたエッジを用いて寸法測定が実行される。エッジの抽出時、ワークの端面における平行光の反射を抑制しないパラメータであれば、ワークの端面で反射して受光された光も測定に利用されるので、黒の部分だけでなく、灰色の部分も測定に利用されることになり、例えばDカット面の向きを測定することが可能になる。一方、エッジの抽出時、ワークの端面における平行光の反射を抑制するパラメータであれば、ワークの端面で反射して受光された光が測定に利用されないので、黒の部分のエッジを用いて正確な寸法測定をすることが可能になる。
【0015】
第2の開示では、前記光学測定装置は、前記光学測定装置の設定時に、ユーザによる操作に基づいて前記パラメータの内容を設定可能な設定部を備え、前記記憶部は、前記設定部で設定された前記パラメータと基準画像とを関連付けて記憶することができる。これにより、ワークの端面における平行光の反射を抑制する場合と、抑制しない場合とをユーザ側で必要に応じて設定し、光学測定装置の運用時に反映させることができる。
【0016】
第3の開示では、前記エッジ抽出部は、測定画像の暗部から明部に向かってエッジ抽出し、前記実行部は、前記エッジ抽出部で最初に抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。
【0017】
第4の開示では、前記エッジ抽出部は、ワークの端面における前記平行光の反射を抑制しないパラメータの場合、測定画像の明部から暗部に向かってエッジ抽出するものである。前記実行部は、前記エッジ抽出部で最初に抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行することができる。
【0018】
第5の開示では、前記エッジ抽出部は、測定画像の明部から暗部に向かってエッジ抽出する第1の抽出処理と、測定画像の暗部から明部に向かってエッジ抽出する第2の抽出処理とを選択的に実行可能に構成される。ワークの端面における前記平行光の反射を抑制するパラメータの場合には、第2の抽出処理を自動的に選択して、測定画像の暗部から明部に向かってエッジ抽出することができる。
【0019】
第6の開示では、前記記憶部は、基準画像と関連付けられた寸法測定領域を記憶し、前記エッジ抽出部は、前記画像取得部により取得された測定画像のうち、前記記憶部に記憶された寸法測定領域に対応する領域内のエッジを抽出することができるので、限られた寸法測定領域内についてのみ、パラメータに基づくエッジ抽出を行うことができる。
【0020】
第7の開示では、前記光学測定装置が、前記画像取得部により取得された測定画像に平滑化処理を行うフィルタ処理部を備えている。前記エッジ抽出部は、前記フィルタ処理部による平滑化処理がなされた測定画像のエッジを抽出するものであり、前記フィルタ処理部は、ワークの端面における前記平行光の反射を抑制しないパラメータの場合、前記平行光の反射を抑制するパラメータの場合よりも弱い平滑化処理を測定画像に対して行うように構成されている。
【0021】
すなわち、測定画像はできるだけシャープなことが求められるが、シャープすぎると、画素単位の離散的な情報しか得られないため、フィルタ処理部で測定画像に対して平滑化処理を行ってエッジをなまらせた上でエッジを抽出することで、画素単位以下でエッジ情報を取得することが可能になり、測定精度を高めることができる。
【0022】
一方、ワークの端面における平行光の反射により、黒の部分のエッジと、灰色の部分のエッジとが近接している場合があり、その場合には、測定画像に対する平滑化処理を弱めることで2つのエッジを明瞭に区別して処理することが可能になる。「平滑化処理を弱める」には、平滑化処理を無くすことも含まれる。
【0023】
第8の開示では、前記記憶部は、1つの基準画像に設定された複数の寸法測定領域を記憶し、前記エッジ抽出部は、前記画像取得部により取得された測定画像のうち、前記記憶部に記憶された複数の寸法測定領域に対応する複数の領域内のエッジをそれぞれ抽出し、前記パラメータは、複数の寸法測定領域の各々で独立して設定可能である。したがって、寸法測定領域が複数存在していて、ワークの端面における平行光の反射を抑制したい寸法測定領域と、ワークの端面における平行光の反射を抑制したくない寸法抑制領域とがある場合に、それぞれに異なる内容のパラメータを設定することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、ワークの端面における平行光の反射を抑制するか否かを示すパラメータに基づいて、測定画像のうち、寸法測定領域に対応する領域内のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行することができる。これにより、ワークの端面からの反射光の影響によってエッジが複数できる場合に、必要に応じて測定に用いるエッジを選択することができ、様々なワークを高い精度で測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る光学測定装置の模式図である。
【
図2】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する形態を示す斜視図である。
【
図3】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する形態を示す側面図である。
【
図4】固定部材を使用せずに投光用ユニット及び受光用ユニットを設置する形態を示す斜視図である。
【
図5】固定部材を使用せずに投光用ユニット及び受光用ユニットを設置する形態を示す側面図である。
【
図6】投光用ユニット及び受光用ユニットを固定部材に固定して使用する場合の光軸に沿った縦断面図である。
【
図8】テレセントリックレンズ及び受光側反射体を外した状態を示す
図7相当図である。
【
図9】光学測定装置の設定時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】設定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図11】詳細設定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図12】測定条件指定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図13】公差指定用ユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図14】光学測定装置の運用時の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】運用時のユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図16A】現在選択している処理パターンの結果のみ表示したユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図16B】現在有効な処理パターンの結果を強調表示したユーザーインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図17】端面反射が起こる場合を説明する
図3相当図である。
【
図18】端面反射が起こった場合の測定画像の例を示す図である。
【
図19】Dカットのある円柱状ワークを端面から見た図である。
【
図20】平滑化処理前後のエッジ抽出手法を説明する図である。
【
図21】ワークの影像と端面反射による灰色の部分とが生成された測定画像を用いてエッジ抽出の手法を説明する図であり、灰色の部分が広い場合を示す。
【
図22】ワークの影像と端面反射による灰色の部分とが生成された測定画像を用いてエッジ抽出の手法を説明する図であり、灰色の部分が狭い場合を示す。
【
図23】Dカット面を有する円柱状ワークの幅を測定する要領を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る光学測定装置1の概略構成を模式的に示すものである。光学測定装置1は、測定領域Sに測定光を投射して測定対象物であるワークWを測定する装置であり、投光用ユニット10と、受光用ユニット30と、制御装置70と、キーボード80及びマウス81と、表示装置82と、記憶装置83とを備えている。また、制御装置70にはプログラマブルコントローラ90が接続されている。キーボード80及びマウス81は、操作手段の一例であり、例えばタッチパネル式の操作手段等であってもよい。表示装置82は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されている。記憶装置83は、例えばハードディスクドライブやSSD(ソリッドステートドライブ)等で構成されている。プログラマブルコントローラ90は、外部制御機器の一例であり、制御装置70から出力される所定の制御信号を受信し、外部に接続された各種機器を制御する。
【0028】
投光用ユニット10は、ワークWが配置される測定領域Sに投射する測定光を生成する光源11と、光源11を保持する光源ホルダ12と、拡散手段13と、投光側反射体14と、投光側テレセントリックレンズ15と、投光用筐体20とを備えている。
【0029】
受光用ユニット30は、二次元撮像素子31と、二次元撮像素子31を保持する撮像素子ホルダ37と、受光レンズ33と、絞り34と、受光側反射体35と、受光側テレセントリックレンズ36と、撮像制御部39と、受光用筐体40とを備えている。撮像制御部39は、受光用ユニット30に設けることができるが、投光用ユニット10に設けられていてもよい。
【0030】
投光用筐体20及び受光用筐体40は高剛性な金属材からなる単一部材で構成されており、各種位置決めの基準となる面や、各部材の取り付けの基準となる面、各部材が接触する面等は切削加工されていて高い精度が確保されている。各種位置決めの基準となる面や、各部材が取り付けの基準となる面、各部材が接触する面等は成型によって形成されてもよい。
【0031】
また、制御装置70は、画像取得部71と、DSP72と、CPU73と、メモリ74と、入出力回路75とを備えている。制御装置70は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成することができる。画像取得部71で取得された測定画像のデータは、DSP72で信号処理された後、CPU73に出力される。CPU73では、測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。測定画像のエッジ抽出処理は従来から周知の手法を用いることができる。寸法測定としては、例えば2つのエッジ間の距離等である。メモリ74には、RAM及びROMが含まれており、CPU73に所定の機能を実行させるプログラムの記憶や、測定画像、測定結果の一時的な記憶のために利用される部分である。入出力回路75は、測定画像や測定結果、制御信号を外部へ出力するとともに、キーボード80やマウス81の操作状態の入力を受け付ける回路である。測定画像や測定結果は、入出力回路75から記憶装置83に出力することができる。また、制御信号は、入出力回路75からプログラマブルコントローラ90に出力することができる。さらに、測定画像や測定結果は、所定のユーザーインターフェース画面を示すデータとともに表示装置82に出力して表示させることができる。ユーザーインターフェース画面は、CPU73で生成することができる。
【0032】
(光学測定装置1の使用形態)
図2及び
図3は、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を共通の固定部材60に固定して使用する形態である。固定部材60は、光学測定装置1の一部を構成する部材であり、所定方向に長い金属製の板材で構成され、高い剛性を持っている。固定部材60の長手方向一側に投光用ユニット10を取り付け、固定部材60の長手方向他側に受光用ユニット30を取り付けて使用する。固定部材60の形状は、図示した形状に限られるものではなく、例えば中空状の部材であってもよい。
【0033】
一方、
図3及び
図5は、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を固定部材60に固定せずに使用する形態である。この形態では、投光用ユニット10及び受光用ユニット30を、測定を行う現場にある各種部材(図示せず)に固定して使用する。
【0034】
どちらの使用形態も、投光用ユニット10と受光用ユニット30との間に測定領域Sが形成される。また、投光用ユニット10と受光用ユニット30との距離(ワーキングディスタンス)は予め設定された距離以内とされている。
【0035】
また、この実施形態の説明では、
図3や
図5に示すように、投光用ユニット10と受光用ユニット30とが水平方向に離れていて、両ユニット10、30の光軸が水平方向に延び、かつ互いに一致する場合について説明するが、光軸が斜めに延びるように両ユニット10、30を配置してもよいし、光軸が上下方向に延びるように両ユニット10、30を配置してもよい。つまり、両ユニット10、30を互いに向き合わせたとき斜め方向や上下方向となるように配置してもよい。
【0036】
(投光用ユニット10の構成)
図6にも示すように、投光用ユニット10の光源11は、例えばInGaNグリーンLED等の発光ダイオード等で構成されており、基板11aに実装されている。基板11aにはマイクロコンピュータ等からなる撮像制御部39(
図1に示す)が接続されており、この撮像制御部39により、光源11が制御される。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が1ミリ秒以下である場合、撮像の間隔や露光時間に応じて、撮像制御部39により、光源11がパルス点灯制御される。各撮像における露光時間を例えば100マイクロ秒とすることで、光学測定装置1は高速搬送ワークも止めずに測定可能となり、撮像の間隔や露光時間に応じて光源11がパルス点灯制御されることで、光源11における発熱を抑制することができる。
【0037】
基板11aは、光源ホルダ12に固定されている。基板11aを光源ホルダ12に固定することで、光源11を光源ホルダ12に保持することができる。基板11aは、光源ホルダ12の下部に固定されており、その上に光源11が配置され、光源11は上方へ向けて光を投射する姿勢となっている。基板11aは、光源ホルダ12に対して位置調整可能に取り付けられている。
【0038】
光源ホルダ12には、平行光が得られるように収差補正されたコリメートレンズ12aと、光拡散ユニット12bと、2つの投光レンズ12cとが設けられている。投光レンズ12cは1つであってもよい。コリメートレンズ12aは、光源11の上方に位置しており、光源11の光がコリメートレンズ12aに直接入射するようになっている。コリメートレンズ12aに入射した光は、平行光に変換されて上方へ出射する。コリメートレンズ12aの光出射面の上方には、光拡散ユニット12bが位置している。光拡散ユニット12bは入射した光を拡散させるための部材であり、光拡散ユニット12bに入射した光は、光拡散ユニット12bを通過することで、拡散されて上方へ出射する。コリメートレンズ12aから入射した平行光は、光拡散ユニット12bにおいて円形の光像を形成する。光拡散ユニット12bを通過した平行光は、光像の各点において平行成分をピークとする角度特性の拡散光として光拡散ユニット12bから出射される。2つの投光レンズ12cは、光拡散ユニット12bの光出射面の上方に位置している。光拡散ユニット12bから出射した光は、2つの投光レンズ12cを通過して上方へ出射する。2つの投光レンズ12cは、光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を調整する。光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を狭い角度に調整することで、投光側テレセントリックレンズ15を通過する光の光密度を高めることができる。また、投光レンズ12cを通過した光は、スリット12dを通過するが、スリット12d近傍の各位置において、光量の総和や角度分布が全て均質になる。これにより、影像の境界の状態が場所によって変わらず、測定精度を高めることができる。
【0039】
光源11、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cは、光源ホルダ12に固定されて相対変位が不能になっている。この状態で、光源11の中心を通って当該光源11の光放射面に垂直な線上に、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cの光軸が位置するように、コリメートレンズ12a、光拡散ユニット12b及び2つの投光レンズ12cが配置されている。
【0040】
光源ホルダ12は、投光用筐体20の内部に収容された状態で当該投光用筐体20に取り付けられている。光源ホルダ12を投光用筐体20に取り付ける際には、ネジ16による締結構造を用いることができる。光源ホルダ12には、ネジ16が挿通する挿通孔(図示せず)が形成されており、この挿通孔を長穴に形成することで、光源ホルダ12の位置調整を行うことが可能になる。
【0041】
投光用筐体20は、受光用筐体40と対向する面が前面であり、前面は上下方向にのびている。投光用筐体20の後面は、受光用筐体40と対向する面と反対に位置する面であり、この後面は、上端に近づくほど前に位置するように傾斜しており、この傾斜角度は、後述する投光側反射体14の設置角度と対応している。後面の下側からは受光用ユニット30と接続される信号ケーブルC(
図2等に示す)が外部へ出ている。また、投光用筐体20の両側面は互いに平行に上下方向に延びている。投光用筐体20の下面は、固定部材60への取付面となっている。
【0042】
投光用筐体20の内部には、投光レンズ12cから出射した光を反射する投光側反射体14が収容されている。この投光側反射体14は、例えば平板状のミラー等で構成されている。投光用筐体20の内部における上側部分には、投光側反射体14を取り付けるための複数の反射体取付部21が互いに間隔をあけて設けられている。反射体取付部21は、投光用筐体20の内面から突出しており、突出方向先端部には、反射体取付部21の裏面が当接する当接面21aが形成されている。各当接面21aに投光側反射体14の裏面を当接させた状態で、投光側反射体14を投光用筐体20に対して高精度に位置決めすることができる。すなわち、投光用筐体20に一体成形された反射体取付部21の当接面21aに投光側反射体14を直接当接させることで、投光用筐体20と反射体取付部21との間に別部材が介在しないので、投光用筐体20の成形精度と同程度の高い精度で投光側反射体14を位置決めできる。投光側反射体14は、反射体取付部21に対して接着剤によって接着してもよいし、ネジ等の締結部材で締結してもよい。
【0043】
投光側反射体14は、光源ホルダ12の投光レンズ12cから出射した光が当該投光側反射体14の中央部に向けて入射するように配置されている。投光側反射体14の角度は、投光レンズ12cから入射した光を水平方向に出射するように設定されている。投光側反射体14は、光路を折りたたむことで投光用筐体20のサイズを小型化するものであり、投光用筐体20のサイズを許容するのであれば必ずしも必要ではない。
【0044】
投光側テレセントリックレンズ15は、投光用筐体20における受光側筐体40と対向する側に取り付けられている。投光用筐体20における受光側筐体40と対向する側の壁部には、投光側テレセントリックレンズ15が嵌め込まれる投光側レンズ取付孔22が当該壁部を貫通するように形成されている。投光側レンズ取付孔22の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された投光側レンズ取付座22aが一体成形されている。この投光側レンズ取付座22aに投光側テレセントリックレンズ15の奥側(光入射側)の端面の周縁部が当接することにより、投光側テレセントリックレンズ15が投光用筐体20に対して位置決めされる。投光側テレセントリックレンズ15も投光側レンズ取付座22aに直接当接させることで、投光用筐体20と投光側テレセントリックレンズ15との間に別部材が介在しないので、投光用筐体20の成形精度と同程度の高い精度で投光側テレセントリックレンズ15を位置決めできる。
【0045】
投光側テレセントリックレンズ15は、光軸が水平となるように配置されている。投光側反射体14から出射した光は、投光側テレセントリックレンズ15に入射すると、投光側テレセントリックレンズ15が測定領域Sに向けた平行光に変換して出射する。測定領域Sにおいて投光側テレセントリックレンズ15により形成される光像は、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿ってその大きさが一定となる。投光側テレセントリックレンズ15は、投光用筐体20内に形成された光像を測定領域S内にピントのあった光像として結像させる。測定領域Sのいずれの位置においてもピントのあった光像が形成されることが好ましい。ピントのあった光像は、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿って所定の範囲に形成されるが、これは投光用筐体20内に形成された光像から投光側テレセントリックレンズ15までの光路長に応じており、光路長が長いほど光像のピントのあう範囲は広くなる。例えば高精度な測定をするための測定領域が大きい光学測定装置1の場合、投光用筐体20内に形成された光像から投光側テレセントリックレンズ15までの光路長は長いため、投光側反射体14により光路を折りたたむことで投光用筐体20のサイズを小型化するようにしてもよい。
【0046】
コリメートレンズ12aから平行光が入射されて光拡散ユニット12bにおいて円形の光像を形成する場合、光拡散ユニット12bを通過した平行光は、光像の各点において平行成分をピークとする角度特性の拡散光として光拡散ユニット12bから出射される。このような角度特性を有する光像を、投光側テレセントリックレンズ15を介して測定領域Sに照射することで、場所や角度によらず光が略均一な照明光を実現することができる。また、2つの投光レンズ12cにより、光拡散ユニット12bから出射した光の広がり角を狭い角度に調整することで、投光側テレセントリックレンズ15を通過する光の光密度を高めるようにしてもよい。
【0047】
投光用筐体20には、投光側テレセントリックレンズ15から出射された平行光を測定領域Sへ投射するための投光窓23が設けられている。投光窓23は、投光側テレセントリックレンズ15の光出射面を覆うように形成された略円形の投光側カバーガラス23aと、投光側カバーガラス23aが取り付けられた投光側枠体23bとを有している。投光側枠体23bは、投光側レンズ取付孔22における投光側テレセントリックレンズ15の光出射面側に嵌め込まれて投光用筐体20に固定されている。投光側テレセントリックレンズ15の光出射面と、投光側枠体23bとの間には、投光側弾性材23cが配設されている。投光側弾性材23cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されている。投光側弾性材23cにより、投光側テレセントリックレンズ15が投光側レンズ取付座22aに常時押し付けられるように付勢されている。
【0048】
(受光用ユニット30の構成)
受光用ユニット30の二次元撮像素子31は、例えばCMOSイメージセンサー等で構成されていて、画素がX方向とY方向の二次元に配列されている。二次元撮像素子31は、基板31aに実装されている。基板31aには、撮像制御部39(
図1に示す)が設けられている。撮像制御部39によって二次元撮像素子31が制御される。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が100マイクロ秒となるように撮像制御部39によって二次元撮像素子31が制御される。露光時間が1ミリ秒以下、例えば100マイクロ秒とすることで、光学測定装置1は高速搬送ワークも止めずに測定可能となる。露光時間は、光源11のパルス点灯制御と二次元撮像素子31のシャッター制御とを同期制御して実現されてもよい。基板31aは、撮像素子ホルダ37に固定されている。基板31aを撮像素子ホルダ37に固定することで、二次元撮像素子31を撮像素子ホルダ37に保持することができる。
【0049】
撮像素子ホルダ37には、受光側レンズユニット38が固定されている。
図7に示すように、受光側レンズユニット38には、全体として筒状をなしており、その内部に複数の受光レンズ(結像レンズ)33が設けられている。受光レンズ33の光軸は斜め方向に延びており、その受光レンズ33の光軸の延長線が二次元撮像素子31の中央部に対して垂直に交わるように、受光側レンズユニット38と二次元撮像素子31との相対的な位置関係が設定されている。受光側レンズユニット38の上部には、絞り34が設けられている。
【0050】
絞り34は、受光側テレセントリックレンズ36介して受光した平行な光を通過させ、平行な光以外の外乱光を阻止する。これにより外乱光の影響を低減することができる。受光レンズ33は、像側テレセントリックレンズであってもよい。像側テレセントリックレンズにより、受光レンズ33と二次元撮像素子31との間の距離が変化しても、二次元撮像素子31上に結像される像の大きさは変化しない。例えば撮像素子ホルダ37が熱膨張することで受光レンズ33と二次元撮像素子31との間の距離が変化しても、二次元撮像素子31上に結像される像の大きさは変化しないため温度変化の影響を低減することができる。投光側テレセントリックレンズ15を物体側テレセントリックレンズとし、受光レンズ33を像側テレセントリックレンズとすることで、両側テレセントリックの光学系とすることができる。
【0051】
受光用筐体40は、投光用筐体20と対向する面が前面であり、前面は上下方向にのびている。受光用筐体40の後面は、投光用筐体20と対向する面と反対に位置する面であり、この後面は、上端に近づくほど前に位置するように傾斜しており、この傾斜角度は、後述する受光側反射体35の設置角度と対応している。後面の下側からは投光用ユニット10と接続される信号ケーブルC及び制御装置70と接続される接続ケーブルD(
図2等に示す)が外部へ出ている。また、受光用筐体40の両側面は互いに平行に上下方向に延びている。受光用筐体40の下面は、固定部材60への取付面となっている。
【0052】
図6に示すように、受光側テレセントリックレンズ36は、受光用筐体40における投光側筐体20と対向する側に取り付けられており、その光軸が投光側テレセントリックレンズ15と同じ光軸上に位置するように配置されている。
図7及び
図8に示すように、受光用筐体40における投光側筐体20と対向する側の壁部には、受光側テレセントリックレンズ36が嵌め込まれる受光側レンズ取付孔42が当該壁部を貫通するように形成されている。受光側レンズ取付孔42の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された受光側レンズ取付座42aが一体成形されている。この受光側レンズ取付座42aに受光側テレセントリックレンズ36の奥側(光出射側)の端面の周縁部が当接することにより、受光側テレセントリックレンズ36が受光用筐体40に対して位置決めされる。受光側テレセントリックレンズ36を受光側レンズ取付座42aに直接当接させることで、受光用筐体40と受光側テレセントリックレンズ36との間に別部材が介在しないので、受光用筐体40の成形精度と同程度の高い精度で受光側テレセントリックレンズ36を位置決めできる。
【0053】
受光用筐体40には、投光側テレセントリックレンズ15から出射されて測定領域Sを通過した平行光を受光側テレセントリックレンズ36へ入射させるための受光窓43が設けられている。受光窓43は、受光側テレセントリックレンズ36の光入射面を覆うように形成された略円形の受光側カバーガラス43aと、受光側カバーガラス43aが取り付けられた受光側枠体43bとを有している。受光側枠体43bは、受光側レンズ取付孔42における受光側テレセントリックレンズ36の光入射面側に嵌め込まれて受光用筐体40に固定されている。受光側テレセントリックレンズ36の光入射面と、受光側枠体43bとの間には、受光側弾性材(レンズ付勢部材)43cが配設されている。受光側弾性材43cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されており、受光側テレセントリックレンズ36を受光側レンズ取付座42aに押し付ける方向に常時付勢するための部材である。受光側弾性材43cにより、受光側テレセントリックレンズ36が受光側レンズ取付座42aに常時押し付けられた状態で取り付けられる。
【0054】
受光用筐体40における導入用開口41が形成された面とは異なる面、即ち投光用ユニット10と反対側に位置する面には、受光側反射体35が嵌め込まれる受光側反射体取付孔44が開口している。受光側反射体取付孔44の奥側の内周面には、径方向内方へ突出するとともに、周方向に延びる突出部で構成された受光側反射体取付座44aが一体成形されている。この受光側反射体取付座44aに受光側反射体35の奥側の端面の周縁部が当接することにより、受光側反射体35が受光用筐体40に対して位置決めされる。受光側反射体35を受光側反射体取付座44aに直接当接させることで、受光用筐体40と受光側反射体35との間に別部材が介在しないので、受光用筐体40の成形精度と同程度の高い精度で受光側反射体35を位置決めできる。
【0055】
受光側反射体35は、例えば平板状のミラー等で構成されている。受光側反射体35は、受光側テレセントリックレンズ36の光出射面から出射した光が当該受光側反射体35の中央部に向けて入射するように配置されている。受光側反射体35の角度は、受光側テレセントリックレンズ36を通過した光を反射して折り返し、受光レンズ33へ向けて出射するように設定されている。受光側反射体35によって光を折り返すようにしているので、発熱源である二次元撮像素子31と受光側テレセントリックレンズ36とを離すことができる。
【0056】
受光用筐体40には、反射体取付孔44を受光用筐体40の外から覆うカバー44dが取り付けられている。カバー44dは、受光用筐体40に対して着脱可能に取り付けられている。カバー44dの内面と、受光側反射体35との間には、反射体側弾性材(反射体付勢部材)44cが配設されている。反射体弾性材44cは、例えばゴムや弾性を有する金属材等で構成されており、受光側反射体35を受光側反射体取付座44aに押し付ける方向に常時付勢するための部材である。反射体側弾性材44cにより、受光側反射体35が受光側反射体取付座44aに常時押し付けられた状態で取り付けられる。
【0057】
図12に示すように、受光用筐体40の側面(外面)には、当該受光用筐体40を設置する時の基準となる複数の側方基準面40aが設けられている。側方基準面40aは、平面で構成されており、互いに同一平面上に位置する高精度な面である。受光用筐体40を設置する部材に側方基準面40aを当接させることで、受光用筐体40を高精度に位置決めすることができる。この実施形態では、側方基準面40aの中央部に貫通孔40bが形成されている。
【0058】
また、受光用筐体40の底面(外面)には、当該受光用筐体40を設置する時の基準となる複数の底部基準面40cが設けられている。底部基準面40cは、平面で構成されており、互いに同一平面上に位置する高精度な面である。受光用筐体40を設置する部材に底部基準面40cを当接させることで、受光用筐体40を高精度に位置決めすることができる。受光用筐体40を設置する際には、側方基準面40aと底部基準面40cのどちらを基準にしてもよい。
【0059】
また、
図3に示すように、受光用筐体40の前面である投光側ユニット10と対向する面には、ワーキングディスタンス基準面40dが設けられている。
【0060】
図7における符号55は、二次元撮像素子31の位置調整の際に使用するねじであり、また、符号46は工具200を挿入するため開口である。また、
図8に示す符号48はシール材、符号49は閉塞部材である。
【0061】
(制御装置70の構成)
図1に示すように、受光用ユニット30に設けられている撮像制御部39は、接続ケーブルDを介して制御装置70の画像取得部71によって制御されて、所定のタイミングで光源11に光を照射させるとともに、二次元撮像素子31により撮像させる。受光用ユニット30を駆動する電力は、接続ケーブルDを介して制御装置70から供給される。接続ケーブルDには、耐屈曲ケーブルを用いることができ、受光用ユニット30及び投光用ユニット10をロボットアーム等の可動部に設置し、制御装置70を非可動に設置する等分離して配置することができる。光源11と二次元撮像素子31との同期は、信号ケーブルCによってとることができる。例えば撮像の間隔が数ミリ秒~数十ミリ秒であって各撮像における露光時間が100マイクロ秒となるように撮像制御部39によって二次元撮像素子31に撮像タイミング及び露光タイミングを定義するタイミング信号が供給され、撮像制御部39によって光源11に信号ケーブルCを介して発光タイミングを定義するタイミング信号が供給される。光源11を駆動する電力は信号ケーブルCを介して受光用ユニット30から供給される。光源11により生成された測定光は、拡散手段13によって拡散された後、投光側反射体14で反射して折り返されてから投光側テレセントリックレンズ15に入射する。投光側テレセントリックレンズ15は、入射した測定光を平行光に変換して測定領域Sに向けて出射する。つまり、投光側テレセントリックレンズ15は、測定光による拡散手段13上の光像を、投光側テレセントリックレンズ15の光軸に沿ってサイズが一定となるような光像が測定領域Sに形成されるように測定光を出射する。このとき、平行光は受光窓23を通過して測定領域Sに達する。測定領域SにワークWが配置されていると、平行光の一部がワークWによって遮られる。
【0062】
測定領域Sを通過した平行光は、受光窓43を通過して受光側テレセントリックレンズ36に入射した後、受光側反射体35で反射して折り返されてから絞り34、受光レンズ33を通過する。そして、ワークWの影像が二次元撮像素子31の撮像面で結像する。制御装置70の画像取得部71は、二次元撮像素子31を制御して当該二次元撮像素子31により撮像させてワークWの測定画像を取得する。取得されたワークWの測定画像は略円形の画像である。DSP72は、画像取得部71により取得された測定画像にフィルタ処理等の画像処理を実行する。CPU73は、DSP72から出力された測定画像のエッジを抽出し、抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。測定画像や測定結果等は一時的にメモリ74に記憶することができる。測定画像や測定結果等は入出力回路75から記憶装置83、プログラマブルコントローラ90及び表示装置82に出力される。
【0063】
(光学測定装置の設定時)
光学測定装置1は、当該光学測定装置1の運用前に各種設定を行うことができる。以下、
図9に示すフローチャートに基づいて光学測定装置1の設定時の処理手順の一例を説明する。
図9に示すフローチャートは、ユーザによる設定処理開始の操作が行われたことを検出するとスタートする。例えば、設定開始ボタン等をユーザが操作すると、ステップSA1に進み、測定設定の元になる基準画像を設定する。このステップSA1では、制御装置70が
図10に示すような設定用ユーザーインターフェース画面300を生成して表示装置82に表示させる。設定用ユーザーインターフェース画面300には、基準画像301が表示される基準画像表示領域302と、各種設定操作領域303とが設けられている。基準画像301は、基準となるワークWを測定領域Sに配置して二次元撮像素子31で撮像し、画像取得部71により取得された画像である。ワークWは影像として基準画像表示領域302に表示される。また、基準画像301は円形である。ユーザは、基準画像301が所望の画像であるか否かを確認し、所望の画像であれば、
図9に示すフローチャートの次のステップSA2に進む。
【0064】
ステップSA2では、ユーザが測定方法を選択する。測定方法の選択は、測定ツールの選択のことであり、
図10に示す設定用ユーザーインターフェース画面300の各種設定操作領域303に表示されている測定ツールの中から選択可能になっている。測定ツールは、例えば線と線との距離を測定する「線-線」ツール、線と点との距離を測定する「線-点」ツール、点と点との距離を測定する「点-点」ツール、円と円との距離を測定する「円-円」ツール、円の直径を測定する「円径」ツール等があり、これら以外の測定ツールがあってもよい。
図10に示す例では、「線-線」ツールが選択されている。
【0065】
測定方法の選択が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA3に進む。ステップSA3ではユーザが画像測定要素の設定を行う。具体的には、基準画像表示領域302に表示されている基準画像301内で、ステップSA2で選択した測定方法に応じた測定エリアの設定を行う。
図10に示す例では、「線-線」ツールに応じた測定エリアを表示する形態として、2つの枠線304、304を表示させており、この枠線304、304で囲まれた領域が測定エリアである。
【0066】
画像測定要素の設定後に、測定エリア(枠線304内)を例えばダブルクックすると、制御装置70が
図11に示すような詳細設定用ユーザーインターフェース画面310を生成して表示装置82に表示させる。詳細設定用ユーザーインターフェース画面310では、エッジの検出方向(明→暗・暗→明)、異常点除去有無、エッジ処理の際のフィルタ幅(強度)などの設定、測定エリアの詳細な座標の指定、マスクの指定等が行える。
【0067】
画像測定要素の設定が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA4に進む。ステップSA4ではユーザが測定条件を指定する。制御装置70が
図12に示すような測定条件指定用ユーザーインターフェース画面320を生成して表示装置82に表示させる。測定条件指定用ユーザーインターフェース画面320では、平均回数などの設定が受け付けられる。
【0068】
測定条件の指定が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA5に進む。ステップSA5ではユーザが公差を指定する。制御装置70が
図13に示すような公差指定用ユーザーインターフェース画面330を生成して表示装置82に表示させる。具体的には、公差の数値を選択すると、数値設定ウインドウ331が表示され、この数値設定ウインドウ331内のボタン等をクリックすることで、数値を設定することができる。
【0069】
公差の指定が終わると、
図9に示すフローチャートの次のステップSA6に進む。ステップSA6では、画像測定要素の詳細設定の有無を判定する。画像測定要素の詳細設定があればステップSA7に進む一方、画像測定要素の詳細設定がなければステップSA7を飛ばしてステップSA8に進む。ステップSA7では、画像測定要素の詳細設定を行うことができる。その後、ステップSA8に進むと、測定要素が他にもあるか否かを判定する。測定要素が他にもある場合には、ステップSA2に戻り、当該他の測定要素について測定方法を選択する。測定要素が他にもない場合には、ステップSA9に進み、特徴量情報を登録する。特徴量情報の登録とは、位置補正の登録のことである。
【0070】
特徴量情報の登録が終了すると、ステップSA10に進み、測定設定の情報がすべて記憶装置83に保存される。測定設定の情報には、基準画像301、測定ツールの情報が含まれる。測定ツールの情報には、エリアの座標とサイズ、オフセット、エッジの検出方向、平均回数、ゼロ基準、エッジの算出方法(最小二乗近似・最大・最小など)、公差、小数点桁数、マスクの座標情報、スケーリング情報、表示単位等が含まれる。
【0071】
以上が設定光学測定装置1の設定時の処理手順の流れである。
【0072】
(光学測定装置の運用時)
次に、設定後、光学測定装置1を実際の測定現場で運用する手順について
図14に示すフローチャートに基づいて説明する。このフローチャートは、制御装置70がトリガ信号を発行するとスタートする(ステップSB1)。トリガ信号は、外部からの入力信号であってもよいし、制御装置70が所定のタイミングで発行するものであってもよい。ステップSB2では、撮像制御部39が投光用ユニット10の光源11を発光させる。光源11が発光したタイミングに合わせて撮像制御部39が二次元撮像素子31に撮像処理を実行させる。
【0073】
その後、ステップSB3に進み、二次元撮像素子31で撮像された測定画像を画像取得部71によって取得する。測定画像を取得した後、ステップSB4に進む。ステップSB4では、ビニング、即ち取得した測定画像の4画素を1画素に結合して、画像サイズを1/4にするとともに、画像フィルタ処理として測定画像の平均化処理を行う。例えば、複数枚の画像を重ねることで平均化する等の方法を挙げることができる。
【0074】
次いで、ステップSB5に進んで測定画像をDSP72に転送する。その後、ステップSB6に進んで測定エリア部画像抽出を行う。設定情報の測定エリアの情報(エリアの座標とサイズ)をもとに、測定画像からエッジ処理を行う範囲を切り出す。
【0075】
しかる後、ステップSB7に進んでエッジ処理を行う。ステップSB7では、抽出された画像のエッジを求める。測定エリアの向き(X方向、Y方向)に対してエッジ処理を行うことができる。エッジ処理では例えばガウシアンフィルタと微分処理とが用いられ、微分波形のピークを算出することでエッジが抽出される。また、画素単位からmm単位への変換も行うことができる。
【0076】
エッジ処理の後、ステップSB8に進む。ステップSB8では、後処理、即ち、設定情報の平均回数、オフセット、ゼロ基準、スケーリング情報をもとに、数値の後処理が行われる。
【0077】
後処理の後、ステップSB9に進む。ステップSB9では、判定処理、即ち、設定情報の公差設定値を元にして、測定された数値が良品を示すものであるか、不良品を示すものであるか判定(良否判定)が行われる。
図15は、運用時に制御装置70が生成して表示装置82に表示されるユーザーインターフェース画面340の一例を示すものである。ユーザーインターフェース画面340には、測定画像341を表示する測定画像表示領域342と、測定結果表示領域343と、総合判定結果表示領域344とが設けられている。測定結果表示領域343には、測定要素の測定結果と、良否判定の結果とが表示され、また、総合判定結果表示領域344には、測定要素が複数ある場合にそれらを総合した良否判定結果が表示される。
【0078】
結果表示画面の例としては、例えば
図16Aに示すように現在選択している処理パターンの結果のみ表示する形態であってもよいし、
図16Bに示すようにすべての処理パターンの表示が同時になされたうえで、現在有効な処理パターンを強調表示する形態であってもよい。
図16Bに示す形態では、上の1~7が現在有効な処理パターンであり、下の1~3が現在非選択の処理パターンに対応した結果である。
【0079】
(端面反射抑制機能)
本実施形態では、光学測定装置1がテレセントリック光学系を用いているため、平行光を測定領域Sに投光することができる。ところが、平行光といっても、実際には有限の角度を持った光が投光されて有限の角度範囲(N/A)で受光されることになる。
【0080】
このような光学系において、例えば
図17に示すように、直方体のワークWのある面が投光側テレセントリックレンズ15の光軸600と直交する位置から僅かに回転した状態であると、例えばワークWの上端面W1に反射した測定光が二次元撮像素子31の受光面で強度の低い光として受光されることがある。こうなると、
図18に示すように、ワークWの影像が黒として表示される部分650と、ワークWの上端面W1を示す灰色として表示される部分651とができ、黒のエッジ650aと灰色のエッジ651aとが生成されることになる。
【0081】
光学測定装置1では、黒色の部分のエッジ650aで寸法測定を行うため、灰色の部分651を消す工夫、例えば、投光側の投射角度を広くとってワークWの上端面W1の映り込みを消して灰色の部分651が検出されないようにしたり、受光側の光学系のピントを浅くして灰色の部分651をよりボケやすくする工夫がなされる。
【0082】
ところが、
図19に示すように、円柱状部材の周面の一部を接線方向にカットした、いわゆるDカットのあるワークWの場合に、そのDカット面W2が投光側テレセントリックレンズ15の光軸600の方向に沿っているか否かを検出したいケースがある。このとき、ワークWのDカット面W2が投光側テレセントリックレンズ15の光軸600の方向に沿った方向から僅かに回転していると、上述したようにDカット面W2で反射した弱い光が受光されてDカット面W2が灰色の部分(
図18における符号651で示す部分)として表示されることになる。この場合に灰色の部分651を消す工夫がなされていると、Dカット面W2が測定画像から消されるので、Dカット面W2の向きが分からなくなる。
【0083】
つまり、ワークWからの反射光による灰色の部分651を光学系の工夫で消すことは可能であるが、そうしてしまうと、Dカット面W2が光軸600の方向に沿っているか否かの検出ができなくなり、測定精度の低下を招くおそれがあった。
【0084】
このワークWの端面反射の影響を抑制する端面反射抑制機能が光学測定装置1に搭載されている。上述したように、ワークWの端面反射が悪影響を与える場合には、端面反射抑制機能を実行した方がよいが、ワークWの端面反射が測定精度上、特に問題とならない場合には、端面反射抑制機能を実行しなくてもよいので、端面反射抑制機能を実行するか否かを例えばユーザが選択することができるようになっている。
【0085】
すなわち、
図1に示す記憶装置83には、
図9に示すフローチャートのステップSA1で設定可能となっているようにワークWに応じた基準画像を記憶することができるだけでなく、当該ワークWの端面における平行光の反射を抑制するか否かを示すパラメータも一緒に記憶可能となっている。パラメータの内容は、
図1に示す光学測定装置1が備えている設定部73aによって可能である。具体的には、
図9に示すフローチャートのステップSA3で、
図11に示す詳細設定用ユーザーインターフェース画面310を生成して表示装置82に表示させた時、この詳細設定用ユーザーインターフェース画面310には、「端面反射の影響を抑制する」のチェックボックス316が設けられている。ユーザが「端面反射の影響を抑制する」のチェックボックス316にチェックすると、上記パラメータの内容が、ワークWの端面における平行光の反射を抑制するという内容になり、一方、ユーザが「端面反射の影響を抑制する」のチェックボックス316をチェックしなければ、上記パラメータの内容が、ワークWの端面における平行光の反射を抑制しないという内容になる。
【0086】
このパラメータの内容は、基準画像毎に設定可能である。設定部73aで設定されたパラメータの内容と基準画像とは関連付けられて記憶装置83に記憶される。記憶装置83には、基準画像と、寸法測定領域、寸法測定項目、及び判定閾値とが関連付けられて記憶される。寸法測定領域は、
図9に示すフローチャートのステップSA3で設定する測定エリアである。寸法測定項目は、
図9に示すフローチャートのステップSA2で設定する測定ツールである。判定閾値は、
図9に示すフローチャートのステップSA5で設定する公差である。寸法測定項目には、
図9に示すフローチャートのステップSA4で設定する測定条件等が含まれていてもよい。1つの基準画像に対して、複数の寸法測定領域を設定することもできる。この場合、複数の寸法測定領域の各々で独立して上記パラメータを設定することができ、寸法測定領域と上記パラメータとを関連付けて記憶装置83に記憶させることができる。
【0087】
図1に示すように、光学測定装置1は、フィルタ処理部73bを備えている。フィルタ処理部73bは、画像取得部71により取得された測定画像に平滑化処理を行う部分である。平滑化処理の一例としては、ガウシアンフィルタによる処理を挙げることができるが、これに限られるものではない。フィルタ処理部73bは、ワークWの端面における平行光の反射を抑制しないパラメータの場合、平行光の反射を抑制するパラメータの場合よりも弱い平滑化処理を測定画像に対して行うように構成されている。
【0088】
光学測定装置1は、エッジ抽出部73cを備えている。エッジ抽出部73cは、記憶装置83に記憶された基準画像及び上記パラメータに基づいて、画像取得部71により取得された測定画像のエッジを抽出する部分である。エッジ抽出部73cは、フィルタ処理部73bによる平滑化処理がなされた測定画像のエッジを抽出する。すなわち、測定画像はシャープなことが求められるが、シャープすぎると、画素単位の離散的な情報しか得られないため、平滑化処理によってエッジをなまらせた上で、エッジを抽出すると、ピクセル以下の単位でエッジ情報を得ることができる。エッジを抽出する際には、
図20に示すようなエッジ波形を微分処理してピークを求め、そのピークが位置する部分にエッジが存在すると推定する抽出法を用いることができる。
【0089】
エッジ抽出部73cは、測定画像の明部から暗部に向かってエッジ抽出する第1の抽出処理と、測定画像の暗部から明部に向かってエッジ抽出する第2の抽出処理とを選択的に実行可能に構成されている。暗部は黒であってもよく、また明部は白であってもよい。
【0090】
エッジ抽出部73cは、ワークWの端面における平行光の反射を抑制するパラメータの場合には、第2の抽出処理を自動的に選択する一方、ワークWの端面における平行光の反射を抑制しないパラメータの場合、第1の抽出処理を自動的に選択する。また、エッジ抽出部73cは、画像取得部71により取得された測定画像のうち、記憶装置83に記憶された寸法測定領域に対応する領域内のエッジを抽出し、寸法測定領域外についてはエッジ抽出を実行しない。1つの測定画像に寸法測定領域が複数存在していれば、エッジ抽出部73cは複数の寸法測定領域の各々について上記パラメータに応じたエッジを抽出する。
【0091】
以下、測定画像の具体例を挙げてエッジ抽出処理について説明する。
図21は、ワークWの影像が黒として表示される部分650と、ワークWの上端面W1を示す灰色として表示される部分651とができ、黒のエッジ650aと灰色のエッジ651aとが生成された場合について示しており、灰色として表示される部分651の上下方向の寸法が比較的長いものである。このような測定画像が取得された場合、ワークWの端面における平行光の反射を抑制するパラメータであれば、エッジ抽出部73cが平滑化処理後の測定画像において暗部から明部に向かってエッジ抽出する。平滑化処理でエッジをなまらせていても、灰色として表示される部分651の上下方向の寸法が比較的長いので、黒のエッジ650aと灰色のエッジ651aとを微分波形上で区別可能である。
【0092】
一方、
図22に示す例では、灰色として表示される部分651の上下方向の寸法が比較的短く、黒のエッジ650aと灰色のエッジ651aとが互いに接近している。このような測定画像が取得された場合、平滑化処理後の測定画像でエッジを抽出すると、微分波形上で黒のエッジ650aと灰色のエッジ651aとが接近して区別にしにくくなる。よって、
図21に示す例に比べて平滑化処理を弱くするか、平滑化処理を無くしてシャープな測定画像に対してエッジ抽出を行うことで、微分波形上で黒のエッジ650aと灰色のエッジ651aとを離すことができ、明瞭に区別可能になる。
【0093】
実際の測定現場においては、ワークWが設置の誤差によってわずかに傾いているという状況が多く、そのため、黒のエッジ650aと灰色のエッジ651aとが接近していることが多い。
図11に示す詳細設定用ユーザーインターフェース画面310の「端面反射の影響を抑制する」のチェックボックス316がチェックされていると、平滑化処理を無くすもしくは弱めることと、暗部から明部に向かってエッジ抽出することとがユーザに意識させるなく、光学測定装置1の内部で自動的に設定される。尚、平滑化処理を無くすもしくは弱めることと、暗部から明部に向かってエッジ抽出することとをユーザが個別に設定可能にしてもよい。
【0094】
図1に示すように、光学測定装置1は、エッジ抽出部73cで抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する実行部73dを備えている。実行部73dは、エッジ抽出部73cで最初に抽出されたエッジを用いて寸法測定を実行する。すなわち、エッジ抽出部73cが暗部から明部に向かってエッジ抽出する場合と、明部から暗部に向かってエッジ抽出する場合とがあるが、いずれの場合であっても、実行部73dが寸法測定に使用するエッジは、最初に抽出されたエッジである。
【0095】
設定部73a、フィルタ処理部73b、エッジ抽出部73c及び実行部73dは、CPU73が所定のプログラムに基づいて信号処理を実行することによって構成することや、物理的な処理装置で構成することができ、また、これらを組み合わせて構成することができる。
【0096】
(Dカット面を有するワークの測定)
図23は、Dカット面W2を有する円柱状ワークWのA幅を測定する要領を説明する図である。図の左側が投光側であり、右側が受光側である。ワークWの「A幅」とは、Dカット面W2と、周面上における当該Dカット面W2から周方向に180゜離れた部分との距離である。符号600は光軸を示している。ワークWを中心線W3回りにθ方向へ回転させる場合を想定すると、Dカット面W2が左から真上を向いた後、右へ向くことになる。エッジとしては、第1エッジE1と第2エッジE2とが存在するが、Dカット面W2が左に向いている時には、第2エッジE2が抽出されることになる。第2エッジE2のみしか抽出できない場合には、グラフに実線で示すように、θ方向の回転に伴ってA幅が次第に狭くなる検出結果となる。よって、A幅を正確に測定することが困難である。
【0097】
一方、Dカット面W2が左に向いている状態からグラフの0点までは第2エッジE2しか抽出できないので、第2エッジE2の位置の変化によって0点まで右下がりのグラフになるが、本光学測定装置1では、0点を超えてDカット面W2が右に向いた状態になると、第1エッジE1を抽出することができる。よって、0点から右側のグラフは破線で示すように右上がりになる。つまり、Dカット面W2を有する円柱状ワークWを回転させながら連続的に寸法測定を実行し、測定値をボトムホールドすることで、A幅を精度よく測定することができる。
【0098】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、投光用筐体20と受光用筐体40とを設置した後、測定画像が取得されると、基準画像及びワークWの端面における平行光の反射を抑制するか否かを示すパラメータに基づいて、測定画像のエッジが抽出され、抽出されたエッジを用いて寸法測定が実行される。エッジの抽出時、ワークWの端面における平行光の反射を抑制しないパラメータであれば、ワークWの端面で反射して受光された光も測定に利用されるので、暗部の部分だけでなく、灰色の部分も測定に利用されることになり、例えばDカット面W2の向きを測定することが可能になる。一方、エッジの抽出時、ワークWの端面における平行光の反射を抑制するパラメータであれば、ワークWの端面で反射して受光された光が測定に利用されないので、暗部の部分のエッジを用いて正確な寸法測定をすることが可能になる。
【0099】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本発明に係る光学測定装置は、投光用筐体と受光用筐体との間に配置したワークの寸法等を測定する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 光学測定装置
10 投光用ユニット
11 光源
12 光源ホルダ
15 投光側テレセントリックレンズ
20 投光用筐体
23 投光窓
30 受光用ユニット
31 二次元撮像素子
35 受光側反射体
36 受光側テレセントリックレンズ
38 受光側レンズユニット
40 受光用筐体
43 受光窓
73a 設定部
73b フィルタ処理部
73c エッジ抽出部
73d 実行部
S 測定領域
W ワーク