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  • 特許-ピンチグリップ式ボトル型容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ピンチグリップ式ボトル型容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240726BHJP
   B65D 1/46 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/46
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020216848
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102231
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠和
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202796(JP,A)
【文献】特開2015-089827(JP,A)
【文献】特開2017-105547(JP,A)
【文献】特開2009-202907(JP,A)
【文献】特開2005-247393(JP,A)
【文献】国際公開第2007/128451(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0301991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部のうち、口部の中心軸線を径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、指当て用凹部が各別に形成されるとともに、前記一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および前記指当て用凹部がグリップ部とされたピンチグリップ式ボトル型容器であって
前記側面領域に、前記指当て用凹部の外周縁のうち、前記中心軸線に沿う前記ピンチグリップ式ボトル型容器の底部側の下端縁から下方に向かうに従い、径方向の外側に向けて延びる傾斜部が形成され、
前記指当て用凹部と前記傾斜部との接続部分に、前記指当て用凹部および前記傾斜部の双方に位置する補強溝が形成され、
前記補強溝は上下方向に延び、
上下方向に沿う縦断面視において、前記補強溝のうち、下部の前記中心軸線に対する傾斜角度が、上部の前記中心軸線に対する傾斜角度より大きくなっている、ピンチグリップ式ボトル型容器。
【請求項2】
前記縦断面視において、前記補強溝の下部は、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びている、請求項1に記載のピンチグリップ式ボトル型容器。
【請求項3】
前記縦断面視において、前記補強溝の下部の長さは、前記補強溝の上部の長さ以上となっている、請求項1または2に記載のピンチグリップ式ボトル型容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンチグリップ式ボトル型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、胴部のうち、口部の中心軸線を径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、指当て用凹部が各別に形成されるとともに、一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および指当て用凹部がグリップ部とされたピンチグリップ式ボトル型容器が知られている。
この種のピンチグリップ式ボトル型容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、側面領域に、指当て用凹部の外周縁のうち、前記中心軸線に沿うこの容器の底部側の下端縁から下方に向かうに従い、径方向の外側に向けて延びる傾斜部が形成された構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5177389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のピンチグリップ式ボトル型容器では、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに生ずる水撃作用によって、指当て用凹部の下端縁と傾斜部との接続部分が起点となって、指当て用凹部が反転変形するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに、指当て用凹部が反転変形するのを抑制することができるピンチグリップ式ボトル型容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明のピンチグリップ式ボトル型容器は、胴部のうち、口部の中心軸線を径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、指当て用凹部が各別に形成されるとともに、前記一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および前記指当て用凹部がグリップ部とされたピンチグリップ式ボトル型容器であって、前記側面領域に、前記指当て用凹部の外周縁のうち、前記中心軸線に沿う前記ピンチグリップ式ボトル型容器の底部側の下端縁から下方に向かうに従い、径方向の外側に向けて延びる傾斜部が形成され、前記指当て用凹部と前記傾斜部との接続部分に、前記指当て用凹部および前記傾斜部の双方に位置する補強溝が形成され、前記補強溝は上下方向に延び、上下方向に沿う縦断面視において、前記補強溝のうち、下部の前記中心軸線に対する傾斜角度が、上部の前記中心軸線に対する傾斜角度より大きくなっている。
【0007】
本発明では、指当て用凹部と傾斜部との接続部分に、指当て用凹部および傾斜部の双方に位置する補強溝が形成されているので、前記接続部分の剛性を高めることが可能になり、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに生ずる水撃作用によって、前記接続部分に局所的な大きな負荷が加えられても、前記接続部分が起点となって指当て用凹部が反転変形するのを抑制することができる。
補強溝が上下方向に延びているので、補強溝が周方向に延びている構成と比べて、水撃作用に対する前記接続部分の剛性を確実に高めることができるとともに、この容器のブロー成形時に補強溝を精度よく形成することができる。
前記縦断面視において、補強溝のうち、下部の前記中心軸線に対する傾斜角度が、上部の前記中心軸線に対する傾斜角度より大きくなっているので、前述の水撃作用が生じたときに、補強溝の下部がリブ効果を発揮することとなり、指当て用凹部の反転変形を確実に抑制することができる。
【0008】
前記縦断面視において、前記補強溝の下部は、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びてもよい。
【0009】
この場合、前記縦断面視において、補強溝の下部が、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びているので、前述の水撃作用が生じたときに、補強溝の内面に応力集中箇所が生ずるのを抑制しつつ、補強溝の下部にリブ効果を発揮させることができる。
【0010】
前記縦断面視において、前記補強溝の下部の長さは、前記補強溝の上部の長さ以上となってもよい。
【0011】
この場合、前記縦断面視において、補強溝の下部の長さが、補強溝の上部の長さ以上となっているので、前述の水撃作用が生じたときに、補強溝の内面に応力集中箇所が生ずるのを抑制しつつ、補強溝の下部にリブ効果を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、内容物が収容され、かつ口部が封止された状態で落下したときに、指当て用凹部が反転変形するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態として示したピンチグリップ式ボトル型容器の側面図である。
図2図1に示すピンチグリップ式ボトル型容器の、一部縦断面を含む背面図である。
図3図1および図2のIII-III線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、一実施形態に係るピンチグリップ式ボトル型容器を説明する。
本実施形態に係るピンチグリップ式ボトル型容器1は、図1および図2に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11~14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。ピンチグリップ式ボトル型容器1の内容積は、例えば200ml以上4000ml以下の内容物が充填される大きさとなっている。図示の例では、ピンチグリップ式ボトル型容器1は、約2700mlの内容物が充填されるのに用いられる大きさとなっている。
【0015】
以下、前記共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線O方向に沿って口部11側を上側、底部14側を下側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見て中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
なお、ピンチグリップ式ボトル型容器1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成され、合成樹脂材料で一体に形成されている。口部11には、図示しないキャップが装着される。口部11、肩部12、および底部14はそれぞれ、中心軸線Oに直交する横断面視形状が円形状となっている。
【0016】
胴部13のうち、中心軸線Oを径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域13aに、指当て用凹部15が各別に形成されている。胴部13のうち、一対の側面領域13a同士の間に位置する背面領域13b、および指当て用凹部15が、使用者がピンチグリップ式ボトル型容器1を持ち上げる際に把持するグリップ部Gとなっている。背面領域13bは、図3に示されるように、胴部13において、一対の側面領域13a同士の間に位置する一対の領域のうち、周方向の長さが短い方となっている。
【0017】
図1に示されるように、指当て用凹部15は、径方向の外側から見た正面視で、上下方向に長い長方形状を呈する。指当て用凹部15は、径方向の外側を向く底面15aと、底面15aの外周縁から径方向の外側に向けて立ち上がる複数の側壁面15b、15cと、により画成されている。
底面15aは、上下方向に沿う縦断面視で直線状に延びている。底面15aに、上下方向に間隔をあけて複数の突条部18が形成されている。突条部18は、周方向に長い直方体状に形成されている。
【0018】
複数の側壁面15b、15cは、底面15aの上端縁から径方向の外側に向けて延び、下方を向く上側壁面15bと、底面15aの下端縁から径方向の外側に向けて延び、上方を向く下側壁面15cと、を備えている。
【0019】
図2に示されるように、上側壁面15bは、径方向の外側に向かうに従い上方に向けて延びている。下側壁面15cは、径方向の外側に向かうに従い下方に向けて延びている。前記縦断面視において、上側壁面15bの長さは下側壁面15cの長さより長くなっている。下側壁面15cの径方向の内端縁、および底面15aの下端縁は、段差なく滑らかに連なっている。下側壁面15cは、前記縦断面視で、上方に向けて開口した凹曲線を呈する。下側壁面15cにおける径方向の外端縁が、指当て用凹部15の下端縁となっている。
【0020】
側面領域13aに、指当て用凹部15の下端縁から下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びる傾斜部16が形成されている。傾斜部16の中心軸線Oに対する傾斜角度は、指当て用凹部15の下側壁面15cの中心軸線Oに対する傾斜角度より小さくなっている。傾斜部16の上端縁と指当て用凹部15の下端縁との接続部分17は、径方向の外側に向けて尖る角部となっている。この接続部分17は、指当て用凹部15の前記正面視で周方向に真直ぐ延びている。この接続部分17は、上側壁面15bにおける径方向の外端縁より径方向の内側に位置している。
【0021】
指当て用凹部15と傾斜部16との接続部分17に、指当て用凹部15および傾斜部16の双方に位置する補強溝21が形成されている。補強溝21は、指当て用凹部15における周方向の中央部に位置している。補強溝21の上下方向の大きさは、補強溝21の周方向の大きさより大きく、補強溝21は上下方向に延びている。補強溝21は、指当て用凹部15における底面15aの下端縁より下方に位置し、下側壁面15cおよび傾斜部16の上部に一体に形成されている。補強溝21は、下側壁面15cにおいて径方向の内端部より径方向の外側に位置する部分に配置されている。
【0022】
補強溝21の上端縁の幅は、補強溝21の下端縁の幅より広くなっている。補強溝21の幅は、下方から上方に向かうに従い広くなっている。補強溝21は、径方向の外側から見た正面視で逆三角形状を呈する。
図3に示されるように、補強溝21の内面は、周方向に沿ってその中央部に向かうに従い径方向の内側に向けて延びる凹曲面状に形成されている。複数の突条部18のうち、最も下方に位置する突条部18と補強溝21との上下方向の間隔は、上下方向で互いに隣り合う突条部18同士の間隔と同等になっている。
【0023】
補強溝21の上下方向の大きさは、上下方向で互いに隣り合う突条部18同士の間の上下方向の隙間より大きくなっている。補強溝21の上下方向の大きさは、上下方向で互いに隣り合う突条部18のピッチ間隔より小さくなっている。補強溝21の上下方向の大きさは、傾斜部16の上下方向の大きさの約半分となっている。補強溝21の周方向の大きさは、指当て用凹部15の周方向の大きさの約3分の1となっている。
なお、補強溝21の大きさは、図示の形態に限らず適宜変更してもよい。
【0024】
そして、本実施形態では、前記縦断面視において、補強溝21のうち、下部21aの中心軸線Oに対する傾斜角度θ1が、上部21bの中心軸線Oに対する傾斜角度θ2より大きくなっている。
【0025】
前記縦断面視において、補強溝21の下部21aは、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びている。図示の例では、前記縦断面視において、補強溝21のうち、下部21aと上部21bとの接続部、並びに上部21bを含む全体が、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びている。前記縦断面視において、補強溝21の下部21aの長さは、補強溝21の上部21bの長さ以上となっている。前記縦断面視において、補強溝21のうち、下部21aと上部21bとの接続部は、径方向の内側に向けて窪む曲線状を呈する。
補強溝21の下部21aは、傾斜部16にのみ位置し、補強溝21の上部21bは、傾斜部16および指当て用凹部15の双方に位置し、補強溝21の前記接続部は、傾斜部16に位置している。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によるピンチグリップ式ボトル型容器1によれば、指当て用凹部15と傾斜部16との接続部分17に、指当て用凹部15および傾斜部16の双方に位置する補強溝21が形成されているので、前記接続部分17の剛性を高めることが可能になり、内容物が収容され、かつ口部11が封止された状態で落下したときに生ずる水撃作用によって、前記接続部分17に局所的な大きな負荷が加えられても、前記接続部分17が起点となって指当て用凹部15が径方向の外側に向けて反転変形するのを抑制することができる。
【0027】
補強溝21が上下方向に延びているので、補強溝21が周方向に延びている構成と比べて、水撃作用に対する前記接続部分17の剛性を確実に高めることができるとともに、この容器1のブロー成形時に補強溝21を精度よく形成することができる。
前記縦断面視において、補強溝21のうち、下部21aの中心軸線Oに対する傾斜角度θ1が、上部21bの中心軸線Oに対する傾斜角度θ2より大きくなっているので、前述の水撃作用が生じたときに、補強溝21の下部21aがリブ効果を発揮することとなり、指当て用凹部15の反転変形を確実に抑制することができる。
【0028】
前記縦断面視において、補強溝21の下部21aが、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びているので、前述の水撃作用が生じたときに、補強溝21の内面に応力集中箇所が生ずるのを抑制しつつ、補強溝21の下部21aにリブ効果を発揮させることができる。
【0029】
前記縦断面視において、補強溝21の下部21aの長さが、補強溝21の上部21bの長さ以上となっているので、前述の水撃作用が生じたときに、補強溝21の内面に応力集中箇所が生ずるのを抑制しつつ、補強溝21の下部21aにリブ効果を発揮させることができる。
【0030】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0031】
例えば、前記縦断面視において、補強溝21の下部21aは、径方向に真直ぐ延びてもよい。
前記縦断面視において、補強溝21の上部21bは、上下方向に真直ぐ延びてもよい。
前記縦断面視において、補強溝21の下部21aの長さを、補強溝21の上部21bの長さより短くしてもよい。
補強溝21の下部21aを、傾斜部16および指当て用凹部15の双方に位置させ、
補強溝21の上部21bを、指当て用凹部15にのみ位置させ、補強溝21の前記接続部を、指当て用凹部15に位置させてもよい。
【0032】
例えば、前記実施形態では、補強溝21の上端縁の幅を、補強溝21の下端縁の幅より広くしたが、補強溝21の幅を上下方向の全長にわたって同等にしてもよいし、補強溝21の下端縁の幅を、補強溝21の上端縁の幅より広くしてもよい。
補強溝21の上端縁は、指当て用凹部15の底面15aの下端縁より上方に位置してもよいし、底面15aの下端縁に位置してもよい。
傾斜部16の上端縁と指当て用凹部15の下端縁との接続部分17は、指当て用凹部15の前記正面視で上方若しくは下方に突の曲線状に延びてもよい。
【0033】
ピンチグリップ式ボトル型容器1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
ピンチグリップ式ボトル型容器1は、単層構造体に限らず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、若しくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
また、前記実施形態では、肩部12、および底部14のそれぞれの中心軸線Oに直交する横断面視形状を円形状としたが、これに限らず例えば、角形状にする等適宜変更してもよい。
【0034】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 ピンチグリップ式ボトル型容器
11 口部
13 胴部
13a 側面領域
13b 背面領域
14 底部
15 指当て用凹部
16 傾斜部
17 接続部分
21 補強溝
21a 下部
21b 上部
G グリップ部
O 中心軸線
θ1、θ2 傾斜角度
図1
図2
図3