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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ロボット用架台およびロボット設備
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240726BHJP
   B25J 5/02 20060101ALI20240726BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B25J19/00 F
B25J5/02 A
B25J19/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021011002
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114633
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝尾 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】西山 智之
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-221230(JP,A)
【文献】実開平05-074788(JP,U)
【文献】特開昭61-151710(JP,A)
【文献】特開昭61-236481(JP,A)
【文献】特開平05-050387(JP,A)
【文献】特開昭63-180699(JP,A)
【文献】特開平07-308877(JP,A)
【文献】特開2018-015835(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1928028(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0302744(US,A1)
【文献】国際公開第2016/059718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台本体と、
前記架台本体の周囲に配置される安全柵と、
前記架台本体に水平方向に沿って移動自在に支持されてロボットを設置可能なスライドベースと、
前記スライドベースを移動可能な駆動装置と、
を備え、
前記安全柵は、前記スライドベース上の前記ロボットの後方に配置される後部柵と、前記ロボットの側方に配置される側部柵とを有し、前記側部柵は、少なくとも一部が外側に開閉自在に支持され、
前記ロボットに電力を供給する電力ケーブルを前記スライドベースの移動方向に沿って移動自在に支持するケーブルハンガーが設けられ、
前記ケーブルハンガーは、電力ケーブルを支持すると共に、前記後部柵の下部に固定されるガイドレールに沿って移動自在に支持され、前記スライドベースの移動に伴って前記電力ケーブルにけん引されることで移動する、
ロボット用架台。
【請求項2】
前記架台本体に水平方向に沿ってガイドレールが固定されると共に前記ガイドレールに平行をなしてラックギアが固定され、前記スライドベースは、前記ガイドレールに沿って移動自在に支持され、前記駆動装置は、スライドベースに固定される駆動モータを有し、前記駆動モータの出力軸に固定されたピニオンギアが前記ラックギアに噛み合う、
請求項1に記載のロボット用架台。
【請求項3】
搬送機器が係止して持ち上げ可能な搬送用係止部が設けられる、
請求項1または請求項2に記載のロボット用架台。
【請求項4】
前記搬送用係止部は、前記架台本体に設けられて前記搬送機器としてのフォークリフトのフォークを挿入可能な差し込み口を有する、
請求項3に記載のロボット用架台。
【請求項5】
前記架台本体は、下部に前記架台本体の水平度を調整可能なる複数のレベリングブロックが配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロボット用架台。
【請求項6】
前記ロボットの作業範囲内への作業者の侵入を検出するエリアセンサが設けられる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のロボット用架台。
【請求項7】
前記ロボットの作業範囲を撮影可能な監視カメラが設けられる、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のロボット用架台。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のロボット用架台と、
前記ロボット用架台の前記スライドベースに設置されるロボットと、
を備えるロボット設備。
【請求項9】
少なくとも前記ロボットの制御装置と分電盤とを設置可能な設備用架台が設けられる、
請求項8に記載のロボット設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、各種のロボットを搭載するロボット用架台、ロボット用架台を備えるロボット設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボットを用いて各種の作業を実施するとき、作業の種類に応じて専用のロボットを使用する。例えば、部材の溶接作業を実施する場合、部材の形状、溶接位置、作業形態などに応じた専用の溶接作業用ロボットを設置している。このような作業用ロボットとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-82233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業の種類に応じて専用のロボットを使用すると、作業の種類が多くなるに伴って専用のロボットの台数が増加してしまい、設備コストが増加してしまうという課題がある。また、専用のロボットは、1種類の作業だけを実施するために作業範囲が狭く、作業性が良くないという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、設備コストの低減を図ると共に作業性の向上を図るロボット用架台およびロボット設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示のロボット用架台は、架台本体と、前記架台本体の周囲に配置される安全柵と、前記架台本体に水平方向に沿って移動自在に支持されてロボットを設置可能なスライドベースと、前記スライドベースを移動可能な駆動装置と、を備える。
【0007】
また、本開示のロボット設備は、前記ロボット用架台と、前記ロボット用架台の前記スライドベースに設置されるロボットと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示のロボット用架台およびロボット設備によれば、設備コストの低減を図ることができると共に、作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のロボット設備を表す概略斜視図である。
図2図2は、ロボット用架台を表す正面図である。
図3図3は、ロボット用架台を表す側面図である。
図4図4は、ロボット用架台を表す平面図である。
図5図5は、ロボット用架台を表す図4のV-V断面図である。
図6図6は、ケーブルハンガーを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<ロボット設備>
図1は、本実施形態のロボット設備を表す概略斜視図である。
【0012】
本実施形態において、図1に示すように、ロボット設備10は、ロボット用架台11と、ロボット12と、設備用架台13と、溶接機14(図4参照)と、バックワイヤ15と、分電盤16と、ロボット制御装置17と、PLC18とを備える。
【0013】
ロボット用架台11は、図示しないフォークリフトやクレーンなどにより搬送可能である。ロボット用架台11は、ロボット12を設置可能である。本実施形態にて、ロボット12は、溶接作業用のロボットである。そのため、図示しないが、ロボット12は、アームの先端部に溶接トーチやワイヤノズルなどの溶接機器が装着可能である。但し、ロボット12は、溶接作業用のロボットに限るものではなく、各種の作業用ロボットを適用可能である。
【0014】
設備用架台13は、図示しないフォークリフトやクレーンなどにより搬送可能である。設備用架台13は、溶接機14とバックワイヤ15と分電盤16とロボット制御装置17とPLC18を設置可能である。溶接機14は、ロボット12のアームの先端部に装着された溶接機器を作動する。バックワイヤ15は、所定量の溶接用ワイヤを巻き取り、ロボット12のアームの先端部に装着された溶接機器に溶接用ワイヤを供給する。分電盤16は、図示しない一次配線を介して電源に接続される。分電盤16は、電源から一次配線を介して供給された電力をロボット12、溶接機14、ロボット制御装置17などに分配して供給する。ロボット制御装置17は、ロボット12や溶接機14を制御する。PLC18は、ロボット制御装置17に接続される。
【0015】
<ロボット用架台>
図2は、ロボット用架台を表す正面図、図3は、ロボット用架台を表す側面図、図4は、ロボット用架台を表す平面図、図5は、ロボット用架台を表す図4のV-V断面図、図6は、ケーブルハンガーを表す概略図である。なお、図3は、安全柵の一部を省略している。また、以下の説明にて、ロボット用架台11の前後方向をX方向とし、ロボット用架台11の左右方向(長手方向)をY方向とし、ロボット用架台11の上下方向をZ方向として説明する。
【0016】
図2から図5に示すように、ロボット用架台11は、架台本体21と、安全柵22と、スライドベース23と、駆動装置24とを備える。
【0017】
架台本体21は、平面視(図4)がY方向に沿って長い長方形状をなす。架台本体21は、外周下部に枠体31が固定される。枠体31は、架台本体21の下部からZ方向の下方に垂下するように配置され、架台本体21の全周にわたって設けられる。枠体31は、下部に複数のレベリングブロック32が装着される。レベリングブロック32は、枠体31の周方向に所定間隔を空けて配置される。
【0018】
レベリングブロック32は、架台本体21の水平度を調整可能である。レベリングブロック32は、ねじ33と、設置板34と、ロックナット35により構成される。ねじ33は、枠体31の水平部をZ方向の上方から下方に貫通するように螺合する。設置板34は、ねじ33の下端部に固定され、床面Gに設置する。ロックナット35は、ねじ33に螺合し、枠体31の水平部に密着する。ロックナット35を弛緩し、ねじ33を回転することで、設置板34に対して枠体31を介して架台本体21がZ方向に移動する。複数のレベリングブロック32により架台本体21の水平度を調整する。なお、レベリングブロック32は、上述した構成に限定されるものではない。
【0019】
枠体31は、搬送機器が係止して持ち上げ可能な搬送用係止部が設けられる。搬送機器は、フォークリフトやクレーンである。搬送機器がフォークリフトの場合、搬送用係止部は、枠体31に設けられてフォークリフトのフォークを挿入可能な差し込み口36である。なお、搬送機器がクレーンの場合、図示しないが、搬送用係止部は、ロボット用架台11に設けられてクレーンのフックを係止可能な吊具である。
【0020】
安全柵22は、架台本体21の周囲に配置される。安全柵22は、後部柵41と、側部柵42,43とを有する。後部柵41は、X方向における後方側にY方向に沿って配置される。側部柵42,43は、Y方向における左側および右側にX方向に沿って配置される。後部柵41の左側に側部柵42が連結され、後部柵41の右側に側部柵43が連結される。
【0021】
側部柵42,43は、固定柵42a,43aと、開閉柵42b,43bとを有する。固定柵42a,43aは、X方向における後端部が後部柵41の左端部に連結され、X方向における前端部が開閉柵42b,43bにおける後端部に回動自在に連結される。固定柵42a,43aと開閉柵42b,43bは、図示しないヒンジにより連結される。固定柵42a,43aは、X方向における前端部に支持部44,45が設けられる。固定柵42a,43aは、支持部44,45を介して架台本体21両側の後端部に固定される。
【0022】
後部柵41は、架台本体21の後端部からX方向の後方側に所定長さだけ離間して配置される。また、後部柵41は、床面GからZ方向の上方側に所定高さだけ離間して配置される。側部柵42,43は、固定柵42a,43aが架台本体21の両側部に沿って配置され、開閉柵42b,43bが固定柵42a,43a対して外側に開閉自在に支持される。すなわち、開閉柵42b,43bは、架台本体21の両側部に沿って位置する閉止位置と、架台本体21の両側部から外側に開いた開放位置に移動可能である。
【0023】
安全柵22は、架台本体21の後方側に後部柵41が配置され、架台本体21の側方側に側部柵42,43がそれぞれ配置されて構成される。そのため、架台本体21は、安全柵22により後方側と側方側が囲われ、前方側が開放される。すなわち、ロボット用架台11にロボット12が設置されたとき、前方側がロボット12の作業範囲となる。また、ロボット用架台11は、開閉柵42b,43bが閉止位置にあるとき、フォークリフトにより搬送可能である。一方、ロボット用架台11上のロボット12の作業中、必要に応じて開閉柵42b,43bを開放位置にすると、ロボット12の作業範囲が拡大される。
【0024】
なお、側部柵42,43を固定柵42a,43aと開閉柵42b,43bとから構成し、側部柵42,43の一部である開閉柵42b,43bを開閉可能としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、側部柵42,43の全部を開閉可能としてもよい。
【0025】
スライドベース23は、架台本体21に水平方向であるY方向に沿って移動自在に支持され、ロボット12を設置可能である。駆動装置24は、スライドベース23をY方向に沿って移動可能である。
【0026】
架台本体21は、支持フレーム51,52と、連結フレーム53とを有する。支持フレーム51,52は、X方向の前後にY方向に沿って配置される。連結フレーム53は、X方向に沿って配置され、X方向の各端部が支持フレーム51,52に連結される。支持フレーム51,52は、Z方向の上部にY方向に沿って支持板54,55が固定される。支持板54,55は、Z方向の上部にY方向に沿ってガイドレール56,57が固定される。また、X方向の後部側の支持板54は、ガイドレール56に平行をなしてラックギア58が固定される。ラックギア58は、ギア面がガイドレール56側を向く。
【0027】
スライドベース23は、下面に支持板61が固定される。支持板61は、X方向の前後の下面にガイド部材62,63が固定される。ガイド部材62,63は、ガイドレール56,57に嵌合し、Y方向に沿って移動自在である。そのため、スライドベース23は、支持板61を介してガイド部材62,63およびガイドレール56,57により架台本体21に対してY方向に沿って移動自在に支持される。
【0028】
駆動装置24は、駆動モータ64を有する。駆動モータ64は、駆動軸がZ方向に沿って配置される。駆動モータ64は、下方に延出する駆動軸に減速機65が駆動連結される。駆動モータ64および減速機65は、支持板61に固定される。減速機65は、下方に延出する出力軸66にピニオンギア67が固定される。ピニオンギア67は、ラックギア58に噛み合う。駆動モータ64の回転は、減速機65で減速され、出力軸66を介してピニオンギア67に伝達され、ピニオンギア67が回転する。ピニオンギア67は、架台本体21側に固定されたラックギア58に噛み合うことから、ピニオンギア67がラックギア58に噛み合いながら回転するため、駆動モータ64および減速機65が固定された支持板61を介してスライドベース23がY方向に沿って移動する。
【0029】
また、ロボット用架台11は、エリアセンサ71と監視カメラ73が設けられる。エリアセンサ71は、架台本体21におけるX方向の前部に配置される。エリアセンサ71は、ロボット用架台11における安全柵22に囲われていない開放部分が検出範囲となる。エリアセンサ71は、ロボット12の作業範囲内への作業者の侵入を検出する。エリアセンサ71がロボット12の作業範囲内への作業者の侵入を検出すると、警告ランプを点灯させたり、警告音を発したりすることで、作業範囲内へ侵入した作業者を警告する。このとき、ロボット12の作動を停止してもよい。監視カメラ73は、ロボット12の作業範囲を撮影可能である。作業者は、遠隔で監視カメラ73の映像を視認し、作業状態を監視することができる。
【0030】
さらに、図4および図6に示すように、ロボット用架台11は、ケーブルハンガー74が設けられる。ケーブルハンガー74は、ロボット12に接続された二次配線としてのケーブル75をスライドベース23の移動方向であるY方向に沿って移動自在に支持する。ここで、ケーブル75は、ロボット12に電力を供給する電力ケーブル、ロボット12に制御信号を出力する制御ケーブル、エリアセンサ71や監視カメラ73の信号を送信する送信ケーブルなどの複数のケーブルである。
【0031】
安全柵22は、後部柵41の下部にY方向に沿ってガイドレール76が固定される。ケーブルハンガー74は、ケーブル75を支持可能な支持部としての複数の貫通孔77が設けられる。ケーブルハンガー74は、後部柵41のガイドレール76に沿って移動自在に支持される。ロボット12が各種の作業をするとき、スライドベース23によりY方向に沿って往復移動する。ケーブルハンガー74は、スライドベース23の移動に伴い、ケーブル75にけん引されることでガイドレール76に支持されて移動する。
【0032】
<ロボット用架台の作用>
図1から図4に示すように、ロボット用架台11は、スライドベース23にロボット12が設置される。設備用架台13は、溶接機14とバックワイヤ15と分電盤16とロボット制御装置17と、PLC18が設置される。ロボット用架台11は、例えば、フォークリフトにより搬送され、所定の作業位置に載置される。このとき、ロボット用架台11は、安全柵22の開閉柵42b,43bが閉止位置に固定される。また、ロボット用架台11に設置されたロボット12は、スライドベース23を移動することで、Y方向の中間位置に停止される。設備用架台13は、クレーンやフォークリフトにより搬送され、所定の作業位置に載置される。
【0033】
所定の位置に設置されたロボット用架台11は、下部に設けられた複数のレベリングブロック32により水平度が調整される。また、設備用架台13も同様に、下部に設けられた複数のレベリングブロック(図示略)により水平度が調整される。そのため、ロボット用架台11上のロボット12は、水平度が適切に調整される。また、ロボット用架台11は、複数のレベリングブロック32と床面Gとの摩擦によりロボット12の作動するときの抗力によるずれが防止される。設備用架台13に設置された分電盤16に電源装置が接続され、ロボット制御装置17とロボット用架台11に設置されたロボット12が接続される。また、ロボット用架台11は、安全柵22の開閉柵42b,43bが解放され、開放位置に固定される。
【0034】
この状態で、ロボット12が溶接作業を実施する。このとき、ロボット制御装置17は、ロボット用架台11上のロボット12の作動を制御すると共に、ロボット用架台11のスライドベース23の作動を制御する。
【0035】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るロボット用架台は、架台本体21と、架台本体21の周囲に配置される安全柵22と、架台本体21に水平方向に沿って移動自在に支持されてロボット12を設置可能なスライドベース23と、スライドベース23を移動可能な駆動装置24とを備える。
【0036】
第1の態様に係るロボット用架台によれば、架台本体21のスライドベース23に異なる種類のロボット12を設置可能となることから、ロボット用架台11を複数種類のロボット12に対して兼用して共通化することができ、設備コストの低減を図ることができる。また、ロボット12は、スライドベース23に設置されることで、スライドベース23と共にY方向に沿って往復移動することができ、作業範囲を広くすることで作業性の向上を図ることができる。
【0037】
第2の態様に係るロボット用架台は、架台本体21に水平方向に沿ってガイドレール56,57が固定されると共にガイドレール56,57に平行をなしてラックギア58が固定され、スライドベース23は、ガイドレール56,57に沿って移動自在に支持され、駆動装置24は、スライドベース23に固定される駆動モータ64を有し、駆動モータ64の出力軸66に固定されたピニオンギア67がラックギア58に噛み合う。これにより、駆動モータ64を駆動してピニオンギア67を駆動回転すると、ピニオンギア67がラックギア58に噛み合いながら転動し、スライドベース23がガイドレール56,57に沿って移動することとなり、簡単な構成でロボット12をY方向に往復移動させることができる。
【0038】
第3の態様に係るロボット用架台は、搬送機器が係止して持ち上げ可能な搬送用係止部が設けられる。これにより、ロボット用架台11を容易に搬送することができる。
【0039】
第4の態様に係るロボット用架台は、搬送用係止部は、架台本体21に設けられて搬送機器としてのフォークリフトのフォークを挿入可能な差し込み口36を有する。これにより、フォークリフトによりロボット12を搭載したロボット用架台11を容易に搬送することができる。
【0040】
第5の態様に係るロボット用架台は、架台本体21は、下部に架台本体の水平度を調整可能なる複数のレベリングブロック32が配置される。これにより、ロボット用架台11に設置されたロボット12の水平度を適切に調整することで、ロボット12により作業精度を向上することができる。
【0041】
第6の態様に係るロボット用架台は、ロボット12の作業範囲内への作業者の侵入を検出するエリアセンサ71が設けられる。これにより、エリアセンサ71がロボット12の作業範囲内への作業者の侵入を検出したとき、警報を発することで安全性を向上することができる。
【0042】
第7の態様に係るロボット用架台は、ロボット12の作業範囲を撮影可能な監視カメラ73が設けられる。これにより、監視カメラ73が撮影した映像を視認することで作業状況を遠隔で監視することができる。
【0043】
第8の態様に係るロボット用架台は、ロボット12に電力を供給するケーブル75をスライドベース23の移動方向に沿って移動自在に支持するケーブルハンガー74が設けられる。これにより、スライドベース23によりY方向に移動するロボット12に対して、ケーブルハンガー74に支持されたケーブル75を適切に追従して移動させることができる。
【0044】
第9の態様に係るロボット用架台は、安全柵22は、スライドベース23上のロボット12の後方に配置される後部柵41と、ロボット12の側方に配置される側部柵42,43とを有し、側部柵42,43は、少なくとも一部の開閉柵42b,43bが外側に開閉自在に支持される。これにより、ロボット用架台11の搬送時は、開閉柵42b,43bを閉止位置に固定することで搬送作業を容易に行うことができ、ロボット用架台11の稼働時は、開閉柵42b,43bを開放位置に固定することでロボット12の作業範囲を拡大することができる。
【0045】
第10の態様に係るロボット設備は、ロボット用架台11と、ロボット用架台11のスライドベース23に設置されるロボット12とを備える。これにより、設備コストの低減を図ることができると共に、作業性の向上を図ることができる。
【0046】
第11の態様に係るロボット設備は、ロボット制御装置17と分電盤16とを設置可能な設備用架台13が設けられる。これにより、ロボット12とロボット12の制御系および電源系を異なる架台11,13に搭載することで、一つの架台11,13の小型化して搬送性を向上することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 ロボット設備
11 ロボット用架台
12 ロボット
13 設備用架台
14 溶接機
15 バックワイヤ
16 分電盤
17 ロボット制御装置
18 PLC
21 架台本体
22 安全柵
23 スライドベース
24 駆動装置
31 枠体
32 レベリングブロック
33 ねじ
34 設置板
35 ロックナット
36 差し込み口(搬送用係止部)
41 後部柵
42,43 側部柵
42a,43a 固定柵
42b,43b 開閉柵
44,45 支持部
51,52 支持フレーム
53 連結フレーム
54,55 支持板
56,57 ガイドレール
58 ラックギア
61 支持板
62,63 ガイド部材
64 駆動モータ
65 減速機
66 出力軸
67 ピニオンギア
71 エリアセンサ
73 監視カメラ
74 ケーブルハンガー
75 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6