IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許-蓋付き容器 図1
  • 特許-蓋付き容器 図2
  • 特許-蓋付き容器 図3
  • 特許-蓋付き容器 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
A45D40/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021011890
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2022115340
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰紀
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0088315(US,A1)
【文献】特開平11-180524(JP,A)
【文献】特開2005-348796(JP,A)
【文献】実開平05-021811(JP,U)
【文献】実開昭63-111821(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00
B65D 45/02-83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、
前記容器本体に着脱可能に装着された蓋体と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか一方に設けられた第1磁石と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか他方に設けられ、前記第1磁石と容器軸方向に対向して前記第1磁石に吸引される吸引部材と、を備え、
前記容器本体には、
前記蓋体の下端面に対向する環状の受け面と、
前記受け面に対する径方向の内側に設けられるとともに前記受け面に対して上方に突出し、前記蓋体の下端部によって径方向の外側から覆われる環状の突部と、が設けられ、
前記蓋体の下端部の内周面には、前記突部の外周面を容器軸方向に摺動可能なリブが設けられ
前記リブは、前記蓋体に設けられた前記第1磁石または前記吸引部材、よりも下方に位置している、蓋付き容器。
【請求項2】
内容物を収容する容器本体と、
前記容器本体に着脱可能に装着された蓋体と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか一方に設けられた第1磁石と、
前記容器本体および前記蓋体のいずれか他方に設けられ、前記第1磁石と容器軸方向に対向して前記第1磁石に吸引される吸引部材と、を備え、
前記容器本体には、
前記蓋体の下端面に対向する環状の受け面と、
前記受け面に対する径方向の内側に設けられるとともに前記受け面に対して上方に突出し、前記蓋体の下端部によって径方向の外側から覆われる環状の突部と、が設けられ、
前記蓋体の下端部の内周面には、前記突部の外周面を容器軸方向に摺動可能なリブが設けられ
前記リブは、容器軸方向に延びる縦リブであり、
前記リブの下端部における径方向の大きさは、下方に向かうに従い徐々に小さくなり、
前記リブの縦断面視において、前記リブの下端縁は、径方向の内側に向けて突となる曲線状である、蓋付き容器。
【請求項3】
前記容器本体の平面視において、前記突部の外周面は、4つの第1角部および4つの第1辺部を備える矩形状であり、
前記第1磁石および前記吸引部材のいずれか一方は、前記第1角部に対応する位置に配置され、
前記蓋体の平面視において、前記蓋体の下端部の内周面は、4つの第2角部および4つの第2辺部を備える矩形状であり、
前記第1磁石および前記吸引部材のいずれか他方は、前記第2角部に対応する位置に配置され、
前記リブは、4つの前記第2辺部のうち、少なくとも2つに設けられている、請求項1または2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記吸引部材は、前記第1磁石と互いに吸引し合う第2磁石である、請求項1から3のいずれか1項に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に記載の蓋付き容器が知られている。この蓋付き容器は、いわゆる繰出容器である。この蓋付き容器は、内容物を収容する容器本体と、容器本体に着脱可能に装着された蓋体と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4324936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の蓋付き容器において、磁石を用いる構成が知られている。この構成では、蓋付き容器が、容器本体に設けられた第1磁石と、蓋体に設けられ、第1磁石と容器軸方向に対向して第1磁石に吸引される吸引部材と、を更に備えている。この蓋付き容器では、吸引部材が第1磁石に吸引されることで、蓋体が容器本体に対して装着されている状態が保持されている。
しかしながら、前記蓋付き容器では、蓋体が容器本体に対して離脱されている状態で、蓋体を容器本体に装着させるときに、吸引部材に対する第1磁石の吸引力に起因して蓋体が容器本体に衝突し、大きな音が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、蓋体を容器本体に装着させるときに蓋体と容器本体との間に生じる衝撃を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る蓋付き容器は、内容物を収容する容器本体と、前記容器本体に着脱可能に装着された蓋体と、前記容器本体および前記蓋体のいずれか一方に設けられた第1磁石と、前記容器本体および前記蓋体のいずれか他方に設けられ、前記第1磁石と容器軸方向に対向して前記第1磁石に吸引される吸引部材と、を備え、前記容器本体には、前記蓋体の下端面に対向する環状の受け面と、前記受け面に対する径方向の内側に設けられるとともに前記受け面に対して上方に突出し、前記蓋体の下端部によって径方向の外側から覆われる環状の突部と、が設けられ、前記蓋体の下端部の内周面には、前記突部の外周面を容器軸方向に摺動可能なリブが設けられ、前記リブは、前記蓋体に設けられた前記第1磁石または前記吸引部材、よりも下方に位置している
【0007】
リブが、突部の外周面を容器軸方向に摺動可能である。したがって、蓋体が容器本体に対して離脱されている状態で蓋体を容器本体に装着させるため、容器本体の突部を蓋体の下端部内に配置するときに、リブが突部の外周面を容器軸方向に摺動する。よって、吸引部材が第1磁石に吸引されるときに、蓋体が容器本体に対して移動する速度を低下させることができる。その結果、蓋体が容器本体に接触するときに生じる衝撃を緩和し、発生する音を小さく抑えることができる。これにより、例えば、蓋付き容器の高級感を確保すること等ができる。
さらにリブが、突部の外周面ではなく、蓋体の下端部の内周面に設けられている。よって、リブを外部から視認させ難くすることができる。結果として、蓋付き容器の外観性を高めることができる。これにより、例えば、蓋付き容器の高級感を一層確保すること等ができる。
【0008】
<2>本発明の一態様に係る蓋付き容器は、内容物を収容する容器本体と、前記容器本体に着脱可能に装着された蓋体と、前記容器本体および前記蓋体のいずれか一方に設けられた第1磁石と、前記容器本体および前記蓋体のいずれか他方に設けられ、前記第1磁石と容器軸方向に対向して前記第1磁石に吸引される吸引部材と、を備え、前記容器本体には、前記蓋体の下端面に対向する環状の受け面と、前記受け面に対する径方向の内側に設けられるとともに前記受け面に対して上方に突出し、前記蓋体の下端部によって径方向の外側から覆われる環状の突部と、が設けられ、前記蓋体の下端部の内周面には、前記突部の外周面を容器軸方向に摺動可能なリブが設けられ、前記リブは、容器軸方向に延びる縦リブであり、前記リブの下端部における径方向の大きさは、下方に向かうに従い徐々に小さくなり、前記リブの縦断面視において、前記リブの下端縁は、径方向の内側に向けて突となる曲線状である。
【0009】
リブの縦断面視において、リブの下端縁が、径方向の内側に向けて突となる曲線状である。したがって、例えば、リブの縦断面視において、リブの下端縁が、径方向に延びる直線状である場合に比べて、リブ自身が容器本体に接触する面積を小さくすることができる。その結果、前述の衝撃をより緩和することができる。
【0010】
<3>上記<1>または<2>に係る蓋付き容器では、前記容器本体の平面視において、前記突部の外周面は、4つの第1角部および4つの第1辺部を備える矩形状であり、前記第1磁石および前記吸引部材のいずれか一方は、前記第1角部に対応する位置に配置され、前記蓋体の平面視において、前記蓋体の下端部の内周面は、4つの第2角部および4つの第2辺部を備える矩形状であり、前記第1磁石および前記吸引部材のいずれか他方は、前記第2角部に対応する位置に配置され、前記リブは、4つの前記第2辺部のうち、少なくとも2つに設けられている構成を採用してもよい。
【0011】
第1磁石および吸引部材のいずれか一方が、第1角部に対応する位置に配置されている。かつ、第1磁石および吸引部材のいずれか他方が、第2角部に対応する位置に配置されている。かつ、リブが、4つの第2辺部のうち、少なくとも2つに設けられている。したがって、蓋付き容器の平面視において、第1磁石および吸引部材と、リブと、の位置を異ならせることができる。これにより、リブを突部の外周面で効果的に摺動させることができる。
【0012】
<4>上記<1>から<3>のいずれか1項に係る蓋付き容器では、前記吸引部材は、前記第1磁石と互いに吸引し合う第2磁石である構成を採用してもよい。
【0013】
吸引部材が、第1磁石と互いに吸引し合う第2磁石である。言い換えると、吸引部材が、単に第1磁石に吸引されるだけの磁性体(例えば、鉄に代表される一部の金属など)ではない。よって、第1磁石と第2磁石とが強固に吸着し合い、蓋体が容器本体に強固に装着される。また、吸引部材としての第2磁石が第1磁石に吸引されるときに、第1磁石も第2磁石に吸引され、蓋体が容器本体に対して移動する速度が高められ易くなる。そのため、リブが蓋体の移動速度を低減するという効果が顕著に奏功される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蓋体を容器本体に装着させるときに蓋体と容器本体との間に生じる衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る蓋付き容器の縦断面図である。
図2図1に示す容器であって、蓋体を二点鎖線で示した平面図である。
図3図2に示すIII-III矢視断面図である。
図4図2に示すIV-IV矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1から図4を参照し、本発明の一実施形態に係る蓋付き容器10を説明する。
本実施形態では、蓋付き容器10は、いわゆる繰出容器である。繰出容器には、例えば化粧料(口紅、リップクリームもしくはスティックアイシャドーなど)、薬剤または糊などの棒状の内容物が収容される。ただし、蓋付き容器10は繰出容器でなくてもよく、例えば、蓋付き容器10がジャー容器やコンパクト容器などであってもよい。
【0017】
図1から図4に示すように、蓋付き容器10は、容器本体20と、蓋体40と、を備えている。
容器本体20は、内容物を収容する。蓋体40は、容器本体20に着脱可能に装着されている。蓋体40は、内容物を覆う。
ここで容器本体20および蓋体40の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下では、前記共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿った蓋体側を上側(一方側)といい、容器軸O方向に沿った容器本体側を下側(他方側)という。容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
容器本体20は、本体筒21と、収容筒22と、化粧筒23と、摺動リング24と、中皿25と、第1磁石26と、を備えている。
【0019】
本体筒21は、有底筒状である。本体筒21は、二重の筒状である。本体筒21は、第1外筒27と、第1内筒28と、を備えている。第1外筒27は、有底筒状である。第1内筒28は、第1外筒27内に配置されている。第1内筒28は、容器軸O方向の両側に開口する筒状である。第1外筒27に対する第1内筒28の回転は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。第1内筒28は、第1外筒27の周方向の回転に伴って回転する。第1外筒27に対する第1内筒28の上下動は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。
【0020】
収容筒22は、内容物を収容する。収容筒22は、本体筒21から上方に延びている。収容筒22の下端部は、本体筒21内に配置されている。収容筒22の上端は、本体筒21よりも上方に位置している。本体筒21に対する収容筒22の回転は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。収容筒22は、本体筒21の周方向の回転に伴って回転する。本体筒21に対する収容筒22の上下動は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。
【0021】
化粧筒23は、本体筒21を径方向の外側から覆っている。化粧筒23の下端部は、収容筒22の下端部と、本体筒21と、の間に挟まれている。化粧筒23の上端部は、収容筒22の上端部を径方向の外側から覆っている。化粧筒23は、二重の筒状である。本体筒21および収容筒22に対する化粧筒23の回転は、規制されていない。化粧筒23は、本体筒21および収容筒22に対して周方向に回転可能である。
【0022】
摺動リング24は、収容筒22と化粧筒23とが相対的にがたつくことを規制する。摺動リング24は、収容筒22の下端部と化粧筒23の下端部との間に配置されている。収容筒22に対する摺動リング24の回転は、例えば、両者が互いに係止することで規制されている。一方、化粧筒23に対する摺動リング24の回転は、規制されていない。本体筒21および収容筒22が回転するとき、摺動リング24は、化粧筒23の内周面を摺動しながら回転する。
【0023】
中皿25は、内容物を保持する。中皿25は、収容筒22に収容されている。収容筒22と化粧筒23とが相対的に回転することで、中皿25は収容筒22内を上下動する。この動作を実現させるための構成は、公知の繰出容器に採用される構成(例えば、突起、縦溝、螺旋溝を含む構成や、ねじ軸を含み中皿がねじ軸に対して螺着された構成など)によって実現することが可能である。
【0024】
図3に示すように、前記容器本体20では、本体筒21の第1外筒27の上端部に第1周溝29が設けられている。第1周溝29は、径方向の内側に向けて開口し、かつ、上方に向けて開口している。更に、本体筒21の第1内筒28の上端部に、第1鍔30が設けられている。第1鍔30は、第1内筒28の上端面よりも下方に位置している。第1鍔30は、第1周溝29に配置されている。第1鍔30の下面は、第1周溝29の下面に支持されている。第1鍔30の上面は、第1外筒27の上端面と面一である。
【0025】
前記容器本体20には、環状の受け面31と、環状の突部32と、が設けられている。受け面31および突部32は、いずれも本体筒21に設けられている。
受け面31は、蓋体40の下端面40bに対向する。受け面31は、蓋体40の下端面40bと接触していてもよく、離れていてもよい。受け面31は、第1外筒27の上端面と、第1鍔30の上端面と、によって形成されている。
突部32は、受け面31に対する径方向の内側に設けられている。突部32は、受け面31に対して上方に突出する。受け面31は、第1内筒28のうち、第1鍔30よりも上方に位置する部分によって形成されている。
【0026】
なお図2に示すように、容器本体20の平面視において、突部32の外周面は矩形状(以下、第1矩形状33という)である。第1矩形状33は、4つの第1角部34および4つの第1辺部35を備えている。また前記平面視において、収容筒22の内周面は円形状である。
【0027】
第1磁石26は、第1角部34に対応する位置に配置されている。ここで、第1角部34に対応する位置とは、前記平面視において、容器軸Oおよび第1角部34を通過する仮想の直線(以下、第1直線L1という)上の位置である。第1磁石26は、第1直線L1上に位置する。
【0028】
図4に示すように、第1磁石26は、第1内筒28に取り付けられている。第1内筒28には、第1凹部36が設けられている。第1凹部36は、上方に向けて窪んでいる。第1凹部36は、下方に向けて開口している。第1磁石26は、第1凹部36に嵌合されている。第1磁石26は、突部32に設けられている。本実施形態では、第1磁石26の上端部は、突部32内に配置されている。言い換えると、突部32の一部は、第1磁石26によって形成されている。
【0029】
図1に示すように、蓋体40は、容器本体20に着脱可能に装着されている。蓋体40は、有頂筒状である。蓋体40は、二重の筒状である。蓋体40は、第2外筒41と、第2内筒42と、第2磁石43(吸引部材)と、を備えている。第2外筒41および第2内筒42は、有頂筒状である。
【0030】
第2内筒42は、第2外筒41内に配置されている。第2外筒41に対する第2内筒42の回転は、規制されている。第2内筒42は、第2外筒41の周方向の回転に伴って回転する。第2外筒41に対する第2内筒42の上下動は、規制されている。
なお、第2外筒41に対して第2内筒42の回転を規制させる構成は、公知の構成を適宜採用可能である。また、第2外筒41に対して第2内筒42の上下動を規制させる構成は、公知の構成を適宜採用可能である。
【0031】
図3に示すように、前記蓋体40では、第2外筒41の下端部に第2周溝44が設けられている。第2周溝44は、径方向の内側に向けて開口し、かつ、下方に向けて開口している。更に、蓋体40の第2内筒42の下端部に、拡径部45と、第2鍔46と、が設けられている。拡径部45は、第2内筒42において拡径部45よりも上側に位置する部分よりも大径である。拡径部45は、第2内筒42の最下端に位置している。第2鍔46は、拡径部45の下端に位置している。第2鍔46の下面は、拡径部45の下端面と面一である。第2鍔46は、第2周溝44に配置されている。第2鍔46の下面は、第2外筒41の下端面と面一である。
【0032】
前記蓋体40では、蓋体40の下端部40aの内径は、蓋体40において下端部よりも上方に位置する部分の内径よりも大きい。蓋体40の下端部40aは、第2外筒41の下端部と、第2内筒42の下端部(拡径部45)と、によって形成されている。蓋体40の下端部40aの内周面は、拡径部45によって形成されている。蓋体40の下端面40bは、拡径部45の下端面、第2鍔46の下面、第2外筒41の下端面によって形成されている。
【0033】
蓋体40の下端部40aは、突部32を径方向の外側から覆っている。蓋体40の下端部40aの内周面は、蓋体40において下端部よりも上方に位置する部分の内周面に、段差50を介して連なっている。段差50と突部32の上端面とは、容器軸O方向に対向している。段差50と突部32の上端面とは、接触していてもよく、離れていてもよい。
【0034】
図2に示すように、蓋体40の平面視において、蓋体40の下端部40aの内周面は、矩形状(以下、第2矩形状47という)である。第2矩形状47は、第1矩形状33と相似形である。第2矩形状47は、第1矩形状33よりも大きい。第2矩形状47は、4つの第2角部48および4つの第2辺部49を備えている。
【0035】
図2および図4に示すように、第2磁石43は、第1磁石26と容器軸O方向に対向している。第2磁石43は、段差50の上方に配置されている。第2磁石43は、第1磁石26に吸引される吸引部材として機能する。ただし、第2磁石43は、単なる磁性体(例えば、鉄に代表される一部の金属)等とは異なり、第1磁石26と互いに吸引し合う。
本実施形態では、第2磁石43は、第2角部48に対応する位置に配置されている。ここで、第2角部48に対応する位置とは、前記平面視において、容器軸Oおよび第2角部48を通過する仮想の直線(以下、第2直線L2という)上の位置である。第2磁石43は、第2直線L2上に位置する。
【0036】
図4に示すように、第2磁石43は、第2内筒42に取り付けられている。第2内筒42には、第2凹部51が設けられている。第2凹部51は、下方に向けて窪んでいる。第2凹部51は、上方に向けて開口している。第2磁石43は、第2凹部51に嵌合されている。
【0037】
そして本実施形態では、図3に示すように、蓋体40の下端部40aの内周面には、リブ52が設けられている。リブ52は、突部32の外周面を容器軸O方向に摺動可能である。本実施形態では、リブ52は、容器軸O方向に延びる縦リブである。リブ52の上端縁は、前記段差50に接続されている。リブ52は、段差50から下方に延びている。
図2に示すように、リブ52は、4つの第2辺部49のうち、少なくとも2つに設けられている。本実施形態では、リブ52は、4つの第2辺部49全てに設けられている。リブ52は、各第2辺部49における中点に設けられている。各リブ52は、突部32における各第1辺部35の外周面を摺動する。
【0038】
リブ52の下端部における径方向の大きさは、下方に向かうに従い徐々に小さくなっている。本実施形態では、リブ52の縦断面視において、リブ52の下端縁52aは、径方向の内側に向けて突となる曲線状である。リブ52の下端縁52aにおける径方向の外側の端は、蓋体40の下端面40b(拡径部45の下端面)に連なっている。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る蓋付き容器10によれば、リブ52が、突部32の外周面を容器軸O方向に摺動可能である。したがって、蓋体40が容器本体20に対して離脱されている状態で蓋体40を容器本体20に装着させるため、容器本体20の突部32を蓋体40の下端部40a内に配置するときに、リブ52が突部32の外周面を容器軸O方向に摺動する。よって、第2磁石43が第1磁石26に吸引されるときに、蓋体40が容器本体20に対して移動する速度を低下させることができる。その結果、蓋体40が容器本体20に接触するときに生じる衝撃を緩和し、発生する音を小さく抑えることができる。これにより、例えば、蓋付き容器10の高級感を確保すること等ができる。
さらにリブ52が、突部32の外周面ではなく、蓋体40の下端部40aの内周面に設けられている。よって、リブ52を外部から視認させ難くすることができる。結果として、蓋付き容器10の外観性を高めることができる。これにより、例えば、蓋付き容器10の高級感を一層確保すること等ができる。
【0040】
リブ52の縦断面視において、リブ52の下端縁52aが、径方向の内側に向けて突となる曲線状である。したがって、例えば、リブ52の縦断面視において、リブ52の下端縁52aが、径方向に延びる直線状である場合に比べて、リブ52自身が容器本体20に接触する面積を小さくすることができる。その結果、前述の衝撃をより緩和することができる。
【0041】
第1磁石26が、第1角部34に対応する位置に配置されている。かつ、第2磁石43が、第2角部48に対応する位置に配置されている。かつ、リブ52が、4つの第2辺部49のうち、少なくとも2つに設けられている。したがって、蓋付き容器10の平面視において、第1磁石26および第2磁石43と、リブ52と、の位置を異ならせることができる。これにより、リブ52を突部32の外周面で効果的に摺動させることができる。
【0042】
本実施形態では、第1磁石26と第2磁石43とが、互いに吸引し合う。よって、吸引部材としての第2磁石43が第1磁石26に吸引されるときに、第1磁石26も第2磁石43に吸引される。そのため、例えば、吸引部材として、単に第1磁石26に吸引されるだけの磁性体が採用される場合に比べて、第1磁石26と第2磁石43とが強固に吸着し合い、蓋体40が容器本体20に強固に装着される。また、蓋体40が容器本体20に対して移動する速度が高められ易くなる。そのため、リブ52が蓋体40の移動速度を低減するという効果が顕著に奏功される。
【0043】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
突部32の平面視形状や蓋体40の下端部40aの平面視形状が、矩形状でなくてもよい。例えば、これらの各平面視形状が、円形状であってもよい。
リブ52の縦断面視において、リブ52の下端縁52aが曲線状でなくてもよい。例えば、リブ52の下端縁52aが、径方向に延びる直線状であってもよい。
第1磁石26に吸引される吸引部材として、第2磁石43を採用したが、本発明はこれに限られない。前記吸引部材として、第2磁石43に代えて、鉄などの磁性体を採用してもよい。この場合において、第1磁石26が、容器本体20および蓋体40のいずれか一方に設けられ、吸引部材としての磁性体が、容器本体20および蓋体40のいずれか他方に設けられた構成を適宜、採用することが可能である。
【0045】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 蓋付き容器
20 容器本体
26 第1磁石
31 受け面
32 突部
34 第1角部
35 第1辺部
40 蓋体
43 第2磁石(吸引部材)
48 第2角部
49 第2辺部
52 リブ
O 容器軸
図1
図2
図3
図4