(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】とろみ飲料供給装置
(51)【国際特許分類】
B67D 1/08 20060101AFI20240726BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
A47J31/40 101
(21)【出願番号】P 2021019178
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】西村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真
(72)【発明者】
【氏名】松原 充寿
(72)【発明者】
【氏名】藤原 徹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢二
(72)【発明者】
【氏名】原 俊明
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-175955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0368611(US,A1)
【文献】特開2001-275838(JP,A)
【文献】特開2017-148326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
A47J 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を載置する載置台と、
飲料の原料となる原料水を供給する原料水供給部を有して、前記原料水供給部から供給される原料水を用いた飲料を前記容器内に供給する飲料供給部と、
前記容器内に供給される飲料にとろみを付与するために、とろみ粉体を前記容器内に供給するとろみ粉体供給部とを備え、
前記原料水供給部は、常温以下の原料水を供給する第1原料水供給路と、常温よりも高い温度に加温された原料水を供給する第2原料水供給路とを有し、
前記第1原料水供給路から供給される原料水と前記第2原料水供給路から供給される原料水とを用いることで温かい温度に調節された飲料と、前記とろみ粉体供給部から供給されるとろみ粉体とを含む温かいとろみ飲料を供給するとろみ飲料供給装置であって、
前記載置台に載置した容器に温かいとろみ飲料を供給するときには、前記第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を前記容器に供給開始し、この飲料を前記容器に供給開始と同時または供給開始後から前記とろみ粉体供給部から前記容器内にとろみ粉体を供給し、前記第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料の供給後に前記第2原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を前記容器に供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御したことを特徴とするとろみ飲料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のとろみ飲料供給装置において、
前記容器へのとろみ粉体の供給終了後に前記第2原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を前記容器に供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御したことを特徴とするとろみ飲料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料が多少の粘度を有するとろみ飲料を供給するとろみ飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはとろみ飲料を供給するとろみ飲料供給装置の発明が開示されている。このとろみ飲料供給装置は、容器を載置する載置台と、載置台に載置した容器に飲料を供給する飲料供給部と、載置台に載置した容器にとろみを付与するためにとろみ粉体を供給するとろみ粉体供給部とを備えている。飲料供給部は、飲料の原料粉体を貯える飲料原料容器と、飲料の原料水となる原料水を供給する原料水供給部と、原料粉体と原料水とを撹拌して混合する混合容器と、混合容器内で原料粉体と原料水を撹拌する撹拌装置とを備えている。また、原料水供給部は、給湯タンクから供給される湯よりなる原料水を供給する湯用の原料水供給路と、冷水タンクに設けた原料水冷却管から冷水よりなる原料水を供給する冷水用の原料水供給路とを備えている。
【0003】
このとろみ飲料供給装置で温かいとろみ飲料を供給するときには、飲料原料容器内のスクリューを回転させることにより飲料の原料粉体を混合容器内に搬出するとともに、湯用の原料水供給路から原料水の一部として湯よりなる原料水を混合容器内に供給する。混合容器内に供給された飲料の原料粉体と湯よりなる原料水は撹拌装置によって撹拌されて温度の高い飲料が生成される。生成された温度の高い飲料は飲料ガイドを通って載置台に載置した容器に注ぎ出される。また、載置台の容器に温度の高い飲料が注ぎ出されるタイミングとなるようにとろみ粉体容器内のスクリューが回転され、容器には温度の高い飲料とともにとろみ粉体が注出される。温度の高い飲料の注出が終了すると、冷水用の原料供給路から供給される冷水よりなる原料水が容器に注ぎ出されるようになり、容器には飲むのに適した温度に調節されたとろみ飲料が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のとろみ飲料供給装置においては、飲料の原料粉体を原料水に溶解させやすくするために、始めに、飲料の原料粉体を温度の高い湯よりなる原料水に溶解させ、その後、温度の低い冷水用の原料水を供給することにより、とろみ飲料を飲むのに適した温度に調節している。また、このとろみ飲料供給装置では、とろみ粉体を容器内で飲料の水流によって溶解させるために、飲料を容器内に注出開始させるのと同じタイミングまたは注出開始直後のタイミングでとろみ粉体を注出させるようにしている。しかし、とろみ粉体は、高温の液体に接触すると急激に局部的に糊化することで溶解しにくく、高温の液体に接触して所謂だまと呼ばれる塊となって溶け残りとなりやすい。このため、温度の高い湯よりなる原料水を用いた飲料の注出開始と同じタイミングまたは注出開始直後のタイミングでとろみ粉体を注出すると、生成されるとろみ飲料にとろみ粉体が溶けずにだまと呼ばれる溶け残りが生じることになっていた。本発明は、とろみ粉体が溶け残りにくいとろみ飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、容器を載置する載置台と、飲料の原料となる原料水を供給する原料水供給部を有して、原料水供給部から供給される原料水を用いた飲料を容器内に供給する飲料供給部と、容器内に供給される飲料にとろみを付与するために、容器内にとろみ粉体を供給するとろみ粉体供給部とを備え、原料水供給部は、常温以下の原料水を供給する第1原料水供給路と、常温よりも高い温度に加温された原料水を供給する第2原料水供給路とを有し、第1原料水供給路から供給される原料水と第2原料水供給路から供給される原料水とを用いることで温かい温度に調節された飲料と、とろみ粉体供給部から供給されるとろみ粉体とを含むようにした温かいとろみ飲料を供給するとろみ飲料供給装置であって、載置台に載置した容器に温かいとろみ飲料を供給するときには、第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を容器に供給開始し、この飲料を容器に供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部から容器内にとろみ粉体を供給し、第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料の供給後に第2原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を容器に供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御したことを特徴とするとろみ飲料供給装置を提供するものである。
【0007】
上記のように構成したとろみ飲料供給装置においては、載置台に載置した容器に温かいとろみ飲料を供給するときには、第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を容器に供給開始し、この飲料を容器に供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部から容器内にとろみ粉体を供給し、第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料の供給後に第2原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を容器に供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御している。とろみ粉体が供給開始されるときに容器内に供給されている飲料は主に第1原料水供給路から供給される常温以下の原料水を用いた飲料であり、この飲料は主に常温以下の原料水が用いられているので温度が高くない。とろみ粉体をこの温度の高くない飲料によって溶かすようにしているので、とろみ粉体は所謂だまと呼ばれる溶け残りが生じにくい。
【0008】
上記のように構成したとろみ飲料供給装置においては、容器へのとろみ粉体の供給終了後に第2原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を容器に供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御するのが好ましい。第2原料水供給路から供給される常温よりも高い温度に加温された原料水を供給して温かいとろみ飲料となるように温度調節するときに、とろみ粉体は常温以下の原料水を主に用いた飲料に予め溶解されているので、とろみ粉体が第2原料水供給路から供給される常温よりも高い温度に加温された原料水を用いた飲料を加えてもだまと呼ばれる溶け残りとなりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のとろみ飲料供給装置の斜視図である。
【
図2】
図1のフロントパネルを取り外した状態の斜視図である。
【
図3】飲料供給部が配置されている位置(A-A線)での前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図4】ベースに形成した原料水供給口に原料水供給部が接続された状態を示す概略図である。
【
図6】とろみ粉体供給部が配置されている位置(B-B線)での前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図7】飲料注出部ととろみ粉体注出部を斜め下方から見た斜視図である。
【
図9】茶等の飲料の原料粉体を含む温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムを実行したときの各構成部品の作動を示すタイムチャート(a)であり、飲料注出部から飲料と、とろみ粉体注出部からとろみ粉体が注出されるタイミングを示すタイムチャート(b)である。
【
図10】とろみ粘度が高いとろみ飲料を提供するときに、とろみ粉体搬出用モータの回転速度を容器内で推測される容器の温度に応じて変化させるときの
図9に相当するタイムチャートである。
【
図11】とろみ粘度が高いとろみ飲料を提供するときに、とろみ粉体の注出終了後に湯よりなる原料水を用いた飲料が注出されるように送湯ポンプを駆動するモータの回転速度変化させるときの
図9に相当するタイムチャートである。
【
図12】とろみ粘度が低いとろみ飲料を提供するときに、湯よりなる原料水を供給開始してからとろみ粉体を供給するようにした
図9に相当するタイムチャートである。
【
図13】給湯タンク内の湯の温度が低いときに、湯よりなる原料水を供給開始してからとろみ粉体を供給するようにした
図9に相当するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明によるとろみ飲料供給装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明のとろみ飲料供給装置10は、カップ等の容器C内に供給される飲料(原料水のみを含む)に容器C内でとろみ粉体を混合させてとろみ飲料(とろみ水またはとろみ湯を含む)を供給するものであり、カップ等の容器C内に飲料だけを供給してとろみを含まない飲料も供給可能としたものである。
図1~
図3に示したように、とろみ飲料供給装置10は、略直方体形状のハウジング11の前部にとろみ飲料生成室12と、ハウジング11の後部に機械室13とを備え、とろみ飲料生成室12は仕切板14によって機械室13と仕切られている。機械室13には後述する混合容器33または容器Cに供給する水を冷却するための冷水タンク34bや、混合容器33または容器Cに供給する湯を供給する給湯タンク34a等の原料水供給部34の一部が配設されている。
【0011】
図2及び
図3に示したように、とろみ飲料生成室12にはカップ等の容器Cを載置する載置台20と、飲料の原料となる原料水を供給する原料水供給部34から供給される原料水を用いた飲料を容器C内に供給する飲料供給部30と、容器C内に供給される飲料にとろみを付与するために、とろみ粉体を容器C内に供給するとろみ粉体供給部40とが設けられている。この実施形態では、とろみ飲料生成室12には2種類の飲料を供給するために2つの飲料供給部30が設けられており、2つの飲料供給部30はとろみ飲料生成室12の左右方向の中央部に配置されているとろみ粉体供給部40の左右両側に配置されている。左右の飲料供給部30は左右対象に配置されているだけで同一の構成となっているので、以後の説明では主として一方の飲料供給部30のみを説明する。
【0012】
図1及び
図2に示したように、載置台20はとろみ飲料生成室12の下部にて左右方向の中央部に配置されている。載置台20は、カップ等の容器Cを載置する受台部21と、受台部21の上側を覆うカバー部22とを備えている。受台部21は簀の子状に形成されており、カップ等の容器Cから溢出した飲料は下側に流すことができる。受台部21の前部にて左右方向の中央部で容器Cに飲料ととろみ粉体とを受けるようにするために、受台部21の前部で左右方向の中央部の上側には後述する飲料注出部37b(飲料注出口37c)ととろみ粉体注出部42cが配置されている(
図6及び
図7に示した)。カバー部22は受台部21の上側で前方を除く左右両側方、後方及び上方を覆っている。
【0013】
図2及び
図3に示したように、飲料供給部30は載置台20に載置した容器Cにとろみ飲料の原料となる飲料を供給するものである。飲料供給部30は、飲料を生成する飲料生成部31と、左右両側の各飲料生成部31で生成した飲料を中央部の載置台20の容器Cに案内する飲料案内経路36とを備えている。
【0014】
図2及び
図3に示したように、飲料生成部31は、飲料の原料粉体と水及び/または湯よりなる原料水とを混合して飲料を生成するものである。飲料生成部31は、飲料の原料粉体(原料粉末)を貯える飲料原料容器32と、飲料の原料粉体と原料水を混合する混合容器33と、混合容器33内で原料粉体と原料水とを撹拌する撹拌装置35とを備えている。飲料原料容器32は茶、紅茶等の粉末よりなる飲料の原料粉体を貯えるものであり、とろみ飲料生成室12に設けたベース15に着脱可能に取り付けられている。飲料原料容器32の底部には原料粉体の搬出口32aが設けられており、原料粉体は搬出口32aから混合容器33に搬出される。飲料原料容器32の下部には飲料原料搬出用スクリュー32bが設けられており、飲料原料搬出用スクリュー32bはカップリング部材32cを介して飲料原料搬出用モータ32dの駆動が伝達可能である。飲料原料搬出用モータ32dの回転によって飲料原料搬出用スクリュー32bが回転すると、飲料原料容器32内の原料粉体は搬出口32aから混合容器33内に搬出される。
【0015】
図3に示したように、混合容器33は原料粉体と原料水とを撹拌して混合させるものであり、とろみ飲料生成室12に設けたベース15に着脱可能に支持されている。混合容器33は飲料原料容器32の下側で開口しており、飲料原料容器32の搬出口32aから搬出される原料粉体は混合容器33内に流入する。混合容器33の底部には放出口33aが形成されており、混合容器33内で撹拌されて混合された飲料は放出口33aから放出される。
【0016】
図4に示したように、ベース15には混合容器33内に冷水(常温以下の水)及び/または湯(常温より高い温度に加温された水)よりなる原料水を供給するための原料水供給口15aが設けられており、原料水供給口15aには原料水を供給する原料水供給部34が接続されている。原料水供給部34は、常温以下として約5℃に冷却された原料水を供給する第1原料水供給路と、常温よりも高い温度として約90℃に加温された原料水を供給する第2原料水供給路とを有している。
【0017】
図5に示したように原料水供給部34は、湯を供給する給湯タンク34aと、冷水を供給する冷水タンク34bとを備えている。給湯タンク34aには第1及び第2原料水供給路を構成する第1給水管34cが接続されており、水道等の給水源の水は第1給水管34cを通って給湯タンク34aに供給される。第1給水管34cには第1及び第2給水弁34d,34eが介装されており、給水源の水は第1及び第2給水弁34d,34eを開放することによって給湯タンク34aに供給される。給湯タンク34a内には水位センサ34a1が設けられており、第1及び第2給水弁34d,34eは水位センサ34a1の検知水位に基づいて給湯タンク34a内の水位が所定の水位の範囲となるように開閉制御されている。給湯タンク34aにはヒータ34a2が設けられており、給水源の水は給湯タンク34a内でヒータ34a2によって加熱されて湯(温水)よりなる原料水となる。給湯タンク34aには水温センサ34a3が設けられており、水温センサ34a3は給湯タンク34a内の湯の温度を検出している。
【0018】
また、給湯タンク34aの下部には第2原料水供給路を構成する送湯管34fが接続されており、送湯管34fには送湯ポンプ34gが介装されている。給湯タンク34a内の湯は送湯ポンプ34gによって送湯管34fに送られる。また、送湯管34fには三方弁よりなる湯用の第1~第3原料水供給弁34h(34h1~34h3)が介装されており、湯用の第1~第3原料水供給弁34h(34h1~34h3)には第2原料水供給路を構成する湯用の第1~第3原料水供給管34i(34i1~34i3)が接続されている。第1原料水供給管34i1の導出端部は左側の飲料供給部30の原料水供給口15aに接続されており、第2原料水供給管34i2の導出端部は右側の飲料供給部30の原料水供給口15aに接続されており、第3原料水供給管34i3の導出端部は載置台20のカバー部22に配設されている。
【0019】
給湯タンク34a内の湯は、送湯ポンプ34gの作動とともに、湯用の第1原料水供給弁34h1または第2原料水供給弁34h2を開放させることで、送湯管34fと、第1原料水供給管34i1または第2原料水供給管34i2とを通って混合容器33内に供給される。また、給湯タンク34a内の湯は、送湯ポンプ34gの作動とともに、湯用の第3原料水供給弁34h3を開放させることで、送湯管34fと、第3原料水供給管34i3とを通って載置台20に載置したカップ等の容器Cに供給される。
【0020】
第1給水管34cには第1給水弁34dの直ぐ下流側(第1給水弁34dと第2給水弁34eの間)に第1原料水供給路を構成する第2給水管34jが接続されており、水道等の給水源の水は第1給水管34cの一部と第2給水管34jを通って冷水タンク34bに供給される。冷水タンク34b内には内部の冷却水を冷却する冷凍装置の蒸発管34b1と、第1原料水供給路を構成して原料水を冷却する原料水冷却管34b2が設けられている。冷水タンク34b内の冷却水は冷凍装置の蒸発管34b1を循環する冷媒により冷却され、給水源の水は原料水冷却管34b2を通過するときに冷却されて冷水よりなる原料水となる。
【0021】
冷水タンク34bの原料水冷却管34b2には第1原料水供給路を構成する送水管34kが接続されており、原料水冷却管34b2により冷却された冷水よりなる原料水は送水管34kに送出される。送水管34kには冷水を送り出す第1及び第2分岐部34k1,34k2が設けられており、第1及び第2分岐部34k1,34k2と送水管34kの先端部34k3には冷水用の第4~第6原料水供給弁34m(34m1~34m3)が設けられている。冷水用の第4~第6原料水供給弁34m1~34m3には第1原料水供給路を構成する冷水用の第4~第6原料水供給管34n(34n1~34n3)の導入端部が接続されており、冷水用の第4~第6原料水供給管34n(34n1~34n3)の導出端部は湯用の第1~第3原料水供給管34i(34i1~34i3)の中間部に接続されている。
【0022】
給水源の水は、第1給水弁34dと、冷水用の第4原料水供給弁34m1または第5原料水供給弁34m2を開放させることで、第1給水管34cの一部と第2給水管34jを通って冷水タンク34bの原料水冷却管34b2に送られて冷却されて冷水よりなる原料水となり、冷水よりなる原料水は送水管34kと、第4原料水供給管34n1または第5原料水供給管34n2と、第4原料水供給管34n1に接続された第1原料水供給管34i1または第5原料水供給管34n2に接続された第2原料水供給管34i2とを通って混合容器33内に供給される。また、給水源の水は、第1給水弁34dと、冷水用の第6原料水供給弁34m3を開放させることで、第1給水管34cの一部と第2給水管34jを通って冷水タンク34bの原料水冷却管34b2に送られて冷却されて冷水よりなる原料水となり、冷水よりなる原料水は送水管34kと、第6原料水供給管34n3と、第6原料水供給管34n3に接続された第3原料水供給管34i3とを通って載置台20に載置したカップ等の容器Cに供給される。
【0023】
原料水供給部34の第1給水管34cの一部、第2給水管34j、原料水冷却管34b2、送水管34k、第4~第6原料水供給管34n(34n1~34n3)及び第1~第3原料水供給管34i(34i1~34i3)の一部が本願請求の範囲に記載の常温以下の原料水を供給する第1原料水供給路を構成し、原料水供給部34の第1給水管34c、給湯タンク34a、送湯管34f及び第1~第3原料水供給管34i(34i1~34i3)が本願請求の範囲に記載の常温よりも高い温度に加温された原料水を供給する第2原料水供給路を構成している。
【0024】
図3に示したように、混合容器33には撹拌装置35が設けられており、撹拌装置35は、混合容器33の後側のベース15に設けた撹拌用モータ35aと、撹拌用モータ35aによって回転する回転軸35dと、回転軸35dの先端に設けられた円板部35eとを備えている。撹拌用モータ35aの出力軸にはカップリング用のマグネット35bが設けられ、回転軸35dの撹拌用モータ35a側となる基端にはカップリング用のマグネット35cが設けられている。回転軸35dはカップリング用のマグネット35b,35cによって撹拌用モータ35aに着脱可能に連結され、撹拌用モータ35aはカップリング用のマグネット35b,35cを介して回転軸35dを回転させる。回転軸35dは混合容器33の底部の放出口33aの上側に延出し、回転軸35dの先端には放出口33aの上側で円板部35eが設けられている。回転軸35dの先端の円板部35eの下面には撹拌羽根35fが設けられており、混合容器33内の原料粉体と原料水とは円板部35eの回転によって撹拌羽根35fにより撹拌混合されて飲料となる。
【0025】
図2に示したように、飲料案内経路36は左右両側の飲料生成部31で生成した飲料を左右方向の中央部の載置台20に載置した容器Cに案内するものである。飲料案内経路36は浅い箱形をした飲料ガイド37を備え、飲料ガイド37は飲料生成部31の下側から載置台20の前部で左右方向の中央部まで延びている。この実施形態では、左右両側に配置された飲料ガイド37はとろみ飲料生成室12の左右方向の中央部に配置される連結部37aによって互いに連結しており、左右両側の飲料ガイド37は左右方向の中央部の連結部37aで繋がった状態で一体的に形成されている。一体的に形成されている左右両側の飲料ガイド37は載置台20のカバー部22の上側に支持されている。
【0026】
図2、
図6及び
図7に示したように、飲料ガイド37には載置台20の前部にて左右方向の中央部の上側で下方に延びる円筒形をした飲料注出部37bが設けられており、飲料注出部37bの下端には飲料の飲料注出口37cが形成されている。また、左右両側の飲料ガイド37の飲料注出部37bは載置台20の前部にて左右方向の中央部で互いに左右方向に隣接する位置に配置されている。
図6及び
図7に示したように、これらの飲料注出部37bは後述するとろみ粉体注出部42c側となる後側に傾斜しており、飲料注出部37bの飲料注出口37cから注出される飲料は後側に傾斜して注出される。
【0027】
図2に示したように、カバー部22の上側には第3原料水供給管34i3の導出端部が配設されており、載置台20に載置した容器Cには第3原料水供給管34i3から冷水及び/または湯よりなる原料水が飲料として供給される。第3原料水供給管34i3から供給される冷水及び/または湯よりなる原料水は、主として、冷水及び/または湯よりなる原料水にとろみ粉体を加えたとろみ水またはとろみ湯を供給するときに用いられる。
【0028】
図2及び
図6に示したように、とろみ粉体供給部40は、とろみ粉体を貯えるとろみ粉体容器41と、とろみ粉体容器41から搬出されるとろみ粉体を載置台20の容器Cに案内するシュート42とを備えている。この実施形態で使用されるとろみ粉体は50℃以上の液体と接触すると急激に局部的に糊化されてだまと呼ばれる溶け残りが生じやすい。なお、とろみ粉体は50℃以上の液体と接触すると糊化されて溶け残りが生じやすいものに限られるものでなく、40℃~55℃以上の液体と接触すると糊化されて溶け残りが生じやすいとろみ粉体を用いたものであってもよい。
【0029】
図6に示したように、とろみ粉体容器41の底部にはとろみ粉体の搬出口41aが設けられており、とろみ粉体は搬出口41aからシュート42に搬出される。とろみ粉体容器41の下部にはとろみ粉体搬出用スクリュー41bが設けられており、とろみ粉体搬出用スクリュー41bはカップリング部材41cを介してとろみ粉体搬出用モータ41dの駆動が伝達可能である。とろみ粉体搬出用モータ41dの回転によってとろみ粉体搬出用スクリュー41bが回転すると、とろみ粉体容器41内のとろみ粉体は搬出口41aからシュート42内に搬出される。
図2及び
図6に示したように、シュート42はとろみ粉体容器41の搬出口41aの下側から載置台20に載置した容器Cの上側まで鉛直方向下向きに延びて、とろみ粉体容器41の搬出口41aから搬出されるとろみ粉体を載置台20に載置した容器Cに案内する通路42aを備えている。
【0030】
図6に示したように、シュート42の上端部にはとろみ粉体容器41の搬出口41aから搬出されるとろみ粉体を受け入れる受入口42bが設けられている。また、シュート42の下端部にはとろみ粉体を注ぎ出すとろみ粉体注出口42dを有する筒形をしたとろみ粉体注出部42cが設けられている。シュート42の内部に形成される通路42aは上端部の受入口42bから下端部のとろみ粉体注出口42dまで鉛直方向に直線的に延びている。シュート42は上下方向の中間部から下部にかけて左右方向の幅が徐々に狭くなっており、シュート42の通路42aは上下方向の中間部から下部にかけて下側に進むに従って徐々に狭くなっている。とろみ粉体はシュート42の通路42aの徐々に狭くなる部分を通過するときに乱流となり、乱流となったとろみ粉体はとろみ粉体注出口42dから載置台20にされた容器C内に拡散して放出されるようになる。
【0031】
図7に示したように、とろみ粉体注出部42cは飲料ガイド37の飲料注出部37bと前後に隣接する位置に配置されている。とろみ粉体注出部42cのとろみ粉体注出口42dは前後方向(飲料注出口37cと水平方向にて隣接する隣接方向)の長さを、左右方向(飲料注出口37cの隣接方向と水平方向にて直交する直交方向)の長さより短い扁平形状となる長円形をしている。とろみ粉体注出口42dを長円形としたことで、とろみ粉体注出口42dの開口面積は飲料注出口37cよりも大きく形成されている。とろみ粉体注出口42dの飲料注出口37cが配置される方向となる前後方向の長さを飲料注出口37cが配置されていない左右方向の長さより短くしていることで、とろみ粉体注出口42dと飲料注出口37cとを容器Cの中心部の上側で拡がらずに配置することができ、とろみ粉体注出口42dから注出されるとろみ粉体と飲料注出口37cから注出される飲料は容器Cの外側にこぼれ落ちないようになる。
【0032】
図8に示したように、とろみ飲料供給装置10は、載置台20に載置した容器Cにとろみ飲料の供給を制御する制御装置50を備えており、制御装置50は、フロントパネル16に設けた操作スイッチ17、飲料原料搬出用モータ32d、第1及び第2給水弁34d,34e、送湯ポンプ34g、第1~第3原料水供給弁34h(34h1~34h3)、第4~第6原料水供給弁34m(34m1~34m3)、撹拌用モータ35a及びとろみ粉体搬出用モータ41dに接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータはバスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50はROMにとろみ飲料を供給する第1及び第2とろみ飲料供給プログラムを備えており、第1とろみ飲料供給プログラムは茶等の飲料の原料粉体を含む温かいまたは冷たいとろみ飲料を供給するプログラムであり、第2とろみ飲料供給プログラムはとろみ水またはとろみ湯よりなるとろみ飲料を供給するプログラムである。
【0033】
茶等の飲料の原料粉体を含むとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムは、第1給水弁34dと冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)との開閉制御、及び/または、送湯ポンプ34gの作動制御と湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)の開閉制御をするとともに、飲料原料搬出用モータ32dと撹拌用モータ35aととろみ粉体搬出用モータ41dとの作動を制御することにより、載置台20に載置したカップ等の容器Cに茶等の飲料の原料粉体を含むとろみ飲料を供給するように制御している。
【0034】
第1とろみ飲料供給プログラムにおいては、容器Cに供給するとろみ飲料の量及び温度に応じて、第1給水弁34dと、冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)と、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)との少なくとも1つの開放時間と送湯ポンプ34gの作動時間が設定可能であり、とろみ飲料の飲料の濃さに応じて飲料原料搬出用モータ32dの作動時間が設定可能であり、とろみ飲料のとろみ粘度に応じてとろみ粉体搬出用モータ41dの作動時間が設定可能である。
【0035】
具体的には、とろみ飲料の量を多くするときには、第1給水弁34dと、冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)の開放時間を長くする、及び/または、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)の開放時間を長くし、送湯ポンプ34gの作動時間を長くする。とろみ飲料の温度を低くするときには、第1給水弁34dと、冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)の開放時間を長くし、とろみ飲料の温度を高くするときには、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)の開放時間を長くし、送湯ポンプ34gの作動時間を長くする。とろみ飲料の飲料を濃くしたいときには、飲料原料搬出用モータ32dの作動時間を長くし、とろみ飲料の飲料を薄くしたいときには、飲料原料搬出用モータ32dの作動時間を短くする。とろみ飲料のとろみ粘度を高くしたいときには、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動時間を長くし、とろみ飲料のとろみ粘度を低くしたいときには、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動時間を短くする。
【0036】
とろみ水またはとろみ湯よりなるとろみ飲料を供給する第2とろみ飲料供給プログラムは、第1給水弁34dと冷水用の第6原料水供給弁34m3との開閉制御、及び/または、送湯ポンプ34gの作動制御と湯用の第3原料水供給弁34h3の開閉制御をするとともに、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動を制御することにより、載置台20に載置したカップ等の容器Cにとろみ水またはとろみ湯よりなるとろみ飲料を供給するように制御している。
【0037】
第2とろみ飲料供給プログラムにおいては、容器Cに供給するとろみ水またはとろみ湯よりなるとろみ飲料の量及び温度に応じて、第1給水弁34dと、冷水用の第6原料水供給弁34m3と、湯用の第3原料水供給弁34h3との少なくとも1つの開放時間と送湯ポンプ34gの作動時間が設定可能であり、とろみ水またはとろみ湯よりなるとろみ飲料のとろみ粘度に応じてとろみ粉体搬出用モータ41dの作動時間が設定可能である。
【0038】
具体的には、とろみ水またはとろみ湯よりなるとろみ飲料の量を多くするときには、第1給水弁34dと、冷水用の第6原料水供給弁34m3の開放時間を長くする、及び/または、湯用の第3原料水供給弁34h3の開放時間を長くし、送湯ポンプ34gの作動時間を長くする。とろみ水またはとろみ湯よりなるとろみ飲料の温度を低くするときには、第1給水弁34dと、冷水用の第6原料水供給弁34m3の開放時間を長くし、とろみ飲料の温度を高くするときには、湯用の第3原料水供給弁34h3の開放時間を長くし、送湯ポンプ34gの作動時間を長くする。とろみ飲料のとろみ粘度を高くしたいときには、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動時間を長くし、とろみ飲料のとろみ粘度を低くしたいときには、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動時間を短くする。
【0039】
上記の第1及び第2とろみ飲料供給プログラムを実行してとろみ飲料を供給するときには、載置台20に載置した容器Cに飲料供給部30から飲料を供給開始させると同時または供給開始させた後で、とろみ粉体供給部40から容器Cにとろみ粉体を供給開始させている。とろみ粉体は、容器Cの底部に飲料が入っていて、容器C内に供給される飲料の水流が生じた状態で容器C内に注出されるので、容器C内でだまと呼ばれる塊となって溶けずに残る溶け残りが生じにくくなる。
【0040】
また、容器C内にとろみ湯を含めた温かいとろみ飲料を供給するときには、飲料供給部30は第1原料水供給路から供給される冷水よりなる原料水を主に含んだ飲料(とろみ湯の場合には冷水を主にした原料水)を容器Cに供給開始し、この飲料(原料水)を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給し、容器Cへのとろみ粉体の供給終了後に第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を主に含んだ飲料(とろみ湯の場合には湯を主にした原料水)を容器Cに供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御している。
【0041】
とろみ粉体が供給開始されるときに容器C内に供給されている飲料は主に第1原料水供給路から供給される冷水(常温以下)よりなる原料水を用いた飲料(とろみ湯の場合は冷水よりなる原料水のみ)であり、この飲料は冷水(常温以下)の原料水が用いられていて温度が高くない。とろみ粉体をこの温度の高くない飲料によって溶かすようにしているので、とろみ粉体は所謂だまと呼ばれる溶け残りが生じにくい。また、とろみ飲料を温かい温度に調節するために、とろみ粉体の供給終了後に第2原料水供給路から湯よりなる原料水(常温よりも高い温度に加温した原料水)を用いた飲料を供給するようにしても、とろみ粉体は冷水よりなる原料水を用いた飲料に溶けているので、とろみ粉体が第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水(常温よりも高い温度に加温した原料水)によってだまと呼ばれる溶け残りが生じにくくなる。
【0042】
また、第1とろみ飲料供給プログラムを実行したときに、第1給水弁34dと冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)とを開放、及び/または、送湯ポンプ34gの作動と湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を開放させ、飲料原料搬出用モータ32dを作動させても、直ちに容器C内に飲料が供給されるわけでなく、同様に、とろみ粉体搬出用モータ41dを作動させても直ちに容器Cにとろみ粉体が供給されるわけでない。
【0043】
すなわち、第1給水弁34dと冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)とを開放、及び/または、送湯ポンプ34gの作動と湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を開放させても、原料水を混合容器33内で飲料の原料粉体と混合して飲料を生成するときに、生成された飲料は撹拌羽根35fの回転によって付与される遠心力によって放出口33aから直ちに放出されず、撹拌羽根35fの回転停止後に放出口33aから放出される。また、生成された飲料が混合容器33と飲料ガイド37とを通過するのにも時間を要するので、混合容器33に原料水を供給してから飲料注出部37b(飲料注出口37c)から容器Cに注出されるまでに少しのタイムラグが生じる。また、とろみ粉体搬出用モータ41dを作動させてとろみ粉体容器41からとろみ粉体を搬出させても、とろみ粉体はシュート42を落下して容器Cに注出されるまでに時間を要するので、とろみ粉体搬出用モータ41dを作動開始させても容器Cにとろみ粉体が注出されるのに少しのタイムラグが生じている。
【0044】
このため、第1及び第2とろみ飲料供給プログラムは、容器Cの底部に飲料が入っていて、容器C内に供給される飲料の水流が生じた状態で容器C内にとろみ粉体を注出できるように、飲料が混合容器33から容器Cに注出されるまでのタイムラグと、とろみ粉体がシュート42を落下して容器Cに注出されるまでのタイムラグとを考慮して、各構成部品の作動タイミングが設定されている。
【0045】
以下に、温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料プログラムについて具体的に説明する。以下に説明する第1とろみ飲料プログラムは、左側の飲料供給部30から飲料を供給するときであり、括弧内には右側の飲料供給部30から飲料を供給するときの構成を記載する。とろみ飲料供給装置10で、茶等の飲料の原料粉体を溶解させた温かいとろみ飲料を供給するときには、載置台20の受台部21の前部で左右の中央部にカップ等の容器Cを載置し、操作スイッチ17により温かい茶等のとろみ飲料の供給スイッチをオン操作すると、制御装置50は温かいとろみ飲料用の第1とろみ飲料供給プログラムを実行する。
図9(a)が温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムを実行したときの各構成部品の作動を示すタイムチャートであり、
図9(b)が容器C内に飲料注出部37b(飲料注出口37c)から飲料と、とろみ粉体注出部42c(とろみ粉体注出口42d)からとろみ粉体とが注出されるタイミングを示すタイムチャートである。
図9を含めてこれから説明するタイムチャートにおいては、制御装置50が各構成部品の制御を実行している。
【0046】
図9のaのタイミングに示したよう、操作スイッチ17の温かい茶等のとろみ飲料の供給スイッチをオン操作した操作信号の入力があると、制御装置50は、
図9のaのタイミングで冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)を開放させ、
図9のbのタイミングで第1給水弁34dを開放させ、飲料原料搬出用モータ32dと撹拌用モータ35aとを作動させる。混合容器33内には冷水よりなる原料水と飲料の原料粉体が供給され、冷水よりなる原料水と飲料の原料粉体は撹拌用モータ35aにより回転する撹拌羽根35fにより撹拌されて混合される。制御装置50は、
図9のcのタイミングで第1給水弁34dを一旦閉止させ、飲料の原料粉体の搬出が終了する
図9のdのタイミングで飲料原料搬出用モータ32dの作動を停止させる。混合容器33には飲料の原料水の一部と飲料の原料粉体が供給され、飲料の原料水の一部と飲料粉体は混合容器33内にて回転する撹拌羽根35fにより撹拌されて混合される。このとき、飲料の原料水は回転する撹拌羽根35fによって付与される遠心力によって混合容器33の放出口33aから放出されずに混合容器33内に滞留している。
【0047】
飲料の原料粉体を冷水よりなる原料水に溶解させるために、撹拌用モータ35aの作動時間を飲料の原料粉体を湯よりなる原料水に溶解させるときよりも長くしており、制御装置50は、
図9のeのタイミングで撹拌用モータ35aの作動を停止させると、混合容器33内の飲料は撹拌羽根35fによって遠心力が付与されないようになって放出口33aから飲料ガイド37に放出される。混合容器33の放出口33aから放出された飲料は飲料ガイド37を通って飲料注出部37bの下端の飲料注出口37cから容器Cに注出される。
【0048】
撹拌用モータ35aの作動を停止させてから飲料が飲料注出口37cから注出されるまでに飲料ガイド37を通過するので少しの遅延時間を要することになり、撹拌用モータ35aの作動を停止させてからこの遅延時間が経過すると、制御装置50は、
図9のfのタイミングでとろみ粉体搬出用モータ41dをとろみ飲料の粘度に応じたとろみ粉体の搬出時間で回転させる。とろみ粉体は、冷水よりなる原料水を用いた飲料が容器Cに注出開始された後で容器Cに注出開始される。なお、冷水よりなる原料水を用いた飲料が容器Cに注出開始と同時にとろみ粉体を容器Cに注出開始させるタイミングとなるように、とろみ粉体搬出用モータ41dを作動開始させるように制御してもよい。
【0049】
とろみ粉体が容器Cに注出されている間に継続して飲料が注出されるようにするため、
図9のg~jのタイミングで第1給水弁34dを2回間欠的に開放させる。具体的には、制御装置50は、撹拌用モータ35aを停止させてから所定の間欠時間として2秒間経過後の
図9のgのタイミングで第1給水弁34dを開放させ、
図9のhのタイミングで第1給水弁34dを閉止させ、少しの遅延時間(この実施形態では0.5秒間)経過後の
図9のiのタイミングで第1給水弁34dを開放させ、
図9のjのタイミングで第1給水弁34dを閉止させる。混合容器33内に供給される冷水よりなる原料水は間欠的に供給され、混合容器33内に残る原料粉体は間欠的に供給される冷水よりなる原料水によって洗い流される。また、混合容器33内に間欠的に供給される冷水よりなる原料水は放出口33aから飲料ガイド37に送られるが、飲料ガイド37に送られた原料水は飲料注出口37cの径が混合容器33の放出口より小さいことによって容器Cに連続的に注出される。
【0050】
第1給水弁34dを閉止させるタイミングはとろみ粉体搬出用モータ41dの作動停止前のタイミングであるが、飲料が混合容器33内に供給されてから飲料ガイド37を通って容器Cに注出されるまでに時間を要するので、とろみ粉体は冷水よりなる原料水を用いた飲料の容器Cに注出終了するタイミングとほぼ同じタイミングで注出終了する。制御装置50は、
図9のjのタイミングで第1給水弁34dを閉止させた後で、
図9のkのタイミングでとろみ粉体搬出用モータ41dの作動を停止させる。このように、とろみ粉体が容器Cに注出されている間に冷水よりなる原料水を用いた飲料が注出されているので、とろみ粉体は温度の高くない飲料によって所謂だまと呼ばれる溶け残りが生じにくくなる。
【0051】
制御装置50は、
図9のjのタイミングで第1給水弁34dを閉止させてから所定の遅延時間として0.5秒経過すると、制御装置50は、
図9のlのタイミングで第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)を閉止させる。また、第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)を閉止させてから所定の遅延時間として0.5秒経過すると、制御装置50は、
図9のmのタイミングで送湯ポンプ34gを作動開始させ、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を開放開始させる。容器C内に注出されたとろみ粉体は冷水よりなる原料水を用いた飲料によって溶解しており、湯よりなる原料水を用いた飲料が容器Cに注出されても、とろみ粉体が粉体の状態で湯よりなる原料水を用いた飲料に触れないようになる。これによって、とろみ粉体が温度の高い原料水を用いた飲料に触れてだまと呼ばれる溶け残りが生じにくくなる。
【0052】
容器C内の温かいとろみ飲料が飲むのに適した温度となるように湯よりなる原料水を用いた飲料が注出されると、制御装置50は、
図9のnタイミングで送湯ポンプ34gを作動停止させ、送湯ポンプ34gを作動停止させてから所定の遅延時間として0.5秒経過して
図9のoのタイミングで湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を閉止させる。これによって、容器C内には飲むのに適した温度に調節された温かいとろみ飲料が供給される。
【0053】
このとろみ飲料供給装置10においては、載置台20に載置した容器Cに温かいとろみ飲料を供給するときには、第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を容器に供給開始し、この飲料を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給し、第1原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料の供給後に第2原料水供給路から供給される原料水を主に含んだ飲料を容器Cに供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御している。
【0054】
とろみ粉体が供給開始されるときに容器C内に供給されている飲料は、第1原料水供給路から供給される常温以下の原料水として冷水よりなる原料水を用いた飲料である。この飲料は常温以下の原料水として冷水よりなる原料水が用いられているので温度が高くない。とろみ粉体をこの温度の高くない飲料によって溶かすようにしているので、とろみ粉体は急激に局部的に糊化せずに所謂だまと呼ばれる溶け残りが生じにくい。
【0055】
また、容器Cへのとろみ粉体の供給終了後に第2原料水供給路から供給される常温よりも温度の高い原料水として湯よりなる原料水を用いた飲料を容器Cに供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御している。第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を用いた飲料水を容器Cに供給して温かいとろみ飲料となるように温度調節するときに、とろみ粉体は常温以下の原料水を用いた飲料に予め溶解されているので、とろみ粉体が第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を用いた飲料を加えてもだまと呼ばれる溶け残りとなりにくい。これにより、温かいとろみ飲料を供給しても、温かいとろみ飲料にだまと呼ばれるとろみ粉体の溶け残りが生じないようにすることができる。
【0056】
なお、本発明は、
図9を用いて説明した温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムによる制御に限られるものでなく、とろみ湯を供給する第2とろみ飲料供給プログラムによる制御にも適用されるものである。詳述すると、とろみ粉体が供給開始されるときに容器C内に供給されている飲料には、第1給水弁34dと第6原料水供給弁34m3を開放することにより第1原料水供給路から供給される常温以下の原料水として冷水よりなる原料水を用いた飲料が用いられる。この飲料は常温以下の原料水として冷水よりなる原料水が用いられているので、とろみ粉体はこの飲料に接触しても急激に局部的に糊化せずに所謂だまと呼ばれる溶け残りが生じにくい。また、第3原料水供給弁34h3を開放するとともに、送湯ポンプ34gを作動させることにより常温よりも温度の高い温度の原料水として湯よりなる原料水を容器Cに供給して温かいとろみ湯となるように温度調節したときに、とろみ粉体は常温以下の原料水を用いた飲料に予め溶解されているので、とろみ粉体は湯よりなる原料水を用いた飲料を加えてもだまと呼ばれる溶け残りとなりにくい。これにより、温かいとろみ湯を供給するようにしても、温かいとろみ湯にだまと呼ばれるとろみ粉体の溶け残りが生じないようにすることができる。
【0057】
この実施形態では、載置台20に載置した容器Cに温かいとろみ飲料を供給するときには、飲料供給部30は第1原料水供給路から供給される冷水よりなる原料水を含んだ飲料を容器Cに供給開始し、この飲料を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給し、容器Cへのとろみ粉体の供給終了後に飲料供給部30は第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を含んだ飲料を容器Cに供給することによって温かい温度に調節したとろみ飲料を供給するように制御している。本発明はこれに限られるものでなく、載置台20に載置した容器Cに温かいとろみ飲料を供給するときには、飲料供給部30は第1原料水供給路から供給される冷水よりなる原料水に、とろみ粉体が局部的に糊化しない程度の量で第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を加えたものであってもよい。また、容器Cへのとろみ粉体の供給終了後に飲料供給部30は第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を含んだ飲料を容器Cに供給することによって温かい温度に調節するときに、第1原料水供給路から供給される常温以下の原料水を加えたものであってもよい。
【0058】
この実施形態では、第1原料水供給路により供給される原料水は常温以下の原料水として、冷水タンク34bによって約5℃に冷却された原料水を用いるようにしているが、これに限られるものでなく、水道等の給水源の水を他の温度に冷却または冷却することなく使用したものであってもよい。また、第2原料水供給路により供給される原料水は常温よりも高い温度に加温された原料水として、給湯タンク34aによって約90℃に加温された原料水を用いているが、他の加熱手段等を用いて少なくともとろみ粉体が急激に局部的に糊化しやすい温度以上に加温した原料水を使用したものであってもよい。
【0059】
次に、とろみ粘度を高くしたときの温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムについて説明する。とろみ粉体の量を多くしてとろみ粘度を高くしたときには、とろみ粉体を容器Cに注出するタイミングが湯よりなる原料水を用いた飲料を容器Cに注出しているときと重なることがある。上述したように、とろみ粉体が湯よりなる原料水を用いた飲料に直接接触すると、とろみ粉体が急激に局部的に糊化して所謂だまと呼ばれる溶け残りとなりやすい。このため、とろみ粘度を高くしたときの温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムを実行するにあたって、とろみ粉体搬出用モータ41dを少なくとも2段階以上または連続的に回転速度を変更可能としたものを用いるようにする。この場合に、
図10に示したように、容器Cに注出される飲料の温度を予測し、とろみ粉体が溶解しにくくなる温度として設定された温度(
図10のα(一例としてとろみ粉体が溶解しにくくなる温度である50℃))となるまでは、とろみ粉体搬出用モータ41dを高速で回転させ、とろみ粉体が溶解しにくくなる温度として設定された温度(
図10のα)以上となると、とろみ粉体搬出用モータ41dを低速で回転させるように制御する。なお、
図10に示したタイムチャートは、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動以外については、上述した
図9で示したタイムチャートと同じとなっている。
【0060】
図10のタイムチャートに示したように、容器C内の飲料の温度がαよりも低いときには(
図10のm’のタイミングより前)、容器Cにとろみ粉体を多く注出しても、とろみ粉体が容器C内でだまと呼ばれる溶け残りが生じにくい。容器C内の飲料の温度がα以上となって、容器Cにとろみ粉体を多く注出すると、とろみ粉体が容器C内の高い温度の飲料によって溶け残りが生じやすくなる。このため、冷水よりなる飲料の注出量と湯よりなる飲料の注出量の各温度に基づいて、容器C内の飲料の温度がα以上と推定されるようになると(
図10のm’のタイミングより後)、とろみ粉体搬出用モータ41dを低速で回転させるようにして、温度がα以上の飲料にとろみ粉体を少量ずつ注出するようにしている。容器C内の飲料の温度が高くても、とろみ粉体は容器C内に少量ずつ注出されることによって飲料に溶けやすくなり、容器C内のとろみ飲料にはとろみ粉体の溶け残りが生じにくくなる。
【0061】
また、とろみ飲料のとろみ粘度を高くしたときには、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動時間が長くなるので、湯よりなる原料水を用いた飲料の注出終了後にとろみ粉体が容器Cに注出されるおそれがある。湯よりなる原料水を用いた飲料の注出後にとろみ粉体が容器Cに注出されると、とろみ粉体が容器C内で飲料に浮かんで溶け残るおそれがある。このため、とろみ粘度を高くしたときの温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムを実行するにあたって、送湯ポンプ34gを駆動するモータを少なくとも2段階以上または連続的に回転速度を変更可能としたものを用いるようにする。この場合に、
図11に示したように、とろみ粉体が容器Cに注出された後で湯よりなる原料水を用いた飲料の注出が終了するように、送湯ポンプ34gの作動を制御している。なお、
図11に示したタイムチャートは、とろみ粉体搬出用モータ41dの作動と送湯ポンプ34gの作動以外については、上述した
図9で示したタイムチャートと同じとなっている。
【0062】
図11のタイムチャートに示したように、とろみ粉体の量を多くしてとろみ粘度を高くしたときには、送湯ポンプ34gを駆動するモータを低速で回転させるように制御することにより、とろみ粉体が容器Cに注出終了してから、湯よりなる原料水を用いた飲料の注出が終了するように制御している。これにより、とろみ粉体の容器Cへの注出が完了した後でも、湯よりなる原料水を用いた飲料が容器Cに注出されるので、とろみ粉体が容器C内で飲料に浮かんで溶け残るのを防ぐことができる。なお、送湯ポンプ34gを低速で回転させるのに限られるものでなく、送湯ポンプ34gを断続的に作動させるようにし、湯よりなる原料水の注出時間を長くしてもよい。この場合に、送湯ポンプ34gを一時的に停止させたときには、給湯タンク34a内の湯は開放されている湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)から水頭圧によって混合容器33内にゆっくり供給され、湯よりなる原料水の注出時間を長くすることができる。
【0063】
次に、とろみ粘度を低くしたときの温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムについて説明する。とろみ粉体の量を少なくしてとろみ粘度を低くしたときには、とろみ粉体は湯よりなる原料水を用いた飲料に溶解させてもだまと呼ばれる溶け残りが生じにくい。上述したように、とろみ粉体の量が少なくないときには、飲料供給部30は第1原料水供給路から供給される冷水よりなる原料水を主に含んだ飲料を容器Cに供給開始し、この飲料を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給するようにしているが、とろみ粉体の量が所定量としてβg以下であるときには、飲料供給部30は第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を主に含んだ飲料を容器Cに供給開始し、この飲料を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給するようにしている。
【0064】
とろみ粘度を低くしたときの温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムを
図12のタイムチャートにより説明する。
図12のaのタイミングに示したよう、操作スイッチ17によりとろみ粉体の量を少なくする操作をしてから温かい茶等のとろみ飲料の供給スイッチをオン操作した操作信号の入力があると、制御装置50は、
図12のbのタイミングで飲料原料搬出用モータ32dと撹拌用モータ35aと送湯ポンプ34gとを作動開始させ、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を開放開始させる。混合容器33内には湯よりなる原料水と飲料の原料粉体が供給され、湯よりなる原料水と飲料の原料粉体は撹拌用モータ35aにより回転する撹拌羽根35fにより撹拌されて混合される。飲料の原料粉体は湯よりなる原料水に溶けやすいので、飲料の原料粉体は冷水よりなる原料水に溶解させるときよりも撹拌用モータ35aを作動させる時間が短くてもよい。このため、制御装置50は、撹拌用モータ35aを作動開始させてから所定時間として0.3秒後の
図12のcのタイミングで撹拌用モータ35aを作動を停止させると、混合容器33内の飲料は撹拌羽根35fによって遠心力が付与されないようになって放出口33aから飲料ガイド37へ放出される。
【0065】
撹拌用モータ35aを作動停止させてからも混合容器33には湯よりなる原料水と飲料の原料粉体が供給されており、飲料の原料粉体は混合容器33に供給される湯よりなる原料水の水流によって溶解されながら放出口33aから飲料ガイド37へ放出される。混合容器33の放出口33aから放出された飲料は飲料ガイド37を通って飲料注出部37bの下端の飲料注出口37cから容器Cに注出される。制御装置50は、飲料の原料粉体の搬出が終了する
図12のdのタイミングで飲料原料搬出用モータ32dの作動を停止させ、湯よりなる原料水の供給が終了する
図12のeのタイミングで送湯ポンプ34gを作動を停止させるとともに、冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)を開放させる。制御装置50は、
図12のeのタイミングで送湯ポンプ34gを作動を停止させるとともに、冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)を開放させた後の
図12のfのタイミングになると、とろみ粉体搬出用モータ41dを作動開始させる。とろみ粉体容器41内のとろみ粉体は搬出口41aから受入口42bを通ってシュート42内に搬出される。
【0066】
制御装置50は、
図12のeのタイミングで送湯ポンプ34gを作動を停止させるとともに、冷水用の第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)を開放させてから所定の遅延時間として0.5秒経過して
図12のgのタイミングとなると、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を閉止させるとともに、第1給水弁34dを開放させる。湯よりなる原料水が混合容器33内に供給されないようになり、冷水よりなる原料水が混合容器33内に供給されるようになる。また、とろみ粉体が容器Cに注出されている間に継続して飲料が注出されるようにするため、制御装置50は、
図12のg~mのタイミングで第1給水弁34dを3回間欠的に開放させる。
【0067】
具体的には、制御装置50は、
図12のgのタイミングで第1給水弁34dを開放させ、
図12のhのタイミングで第1給水弁34dを閉止させ、遅延時間(この実施形態では2秒間)経過後の
図12のiのタイミングで第1給水弁34dを開放させ、
図12のkのタイミングで第1給水弁34dを閉止させ、少しの遅延時間(この実施形態では0.5秒間)経過後の
図12のlのタイミングで第1給水弁34dを開放させ、
図12のmのタイミングで第1給水弁34dを閉止させる。混合容器33内に供給される冷水よりなる原料水は間欠的に供給され、混合容器33内に残る原料粉体は間欠的に供給される冷水よりなる原料水によって洗い流される。また、混合容器33内に間欠的に供給される冷水よりなる原料水は放出口33aから飲料ガイド37に送られるが、飲料ガイド37に送られた原料水は飲料注出口37cの径が混合容器33の放出口より小さいことによって少量ずつ容器Cに連続的に注出される。
【0068】
また、混合容器33内に冷水よりなる原料水を間欠的に供給するように制御し、冷水よりなる原料水を用いた飲料を容器Cに注出しているときに、制御装置50は、
図12のfのタイミングから作動させているとろみ粉体搬出用モータ41dのとろみ粘度に応じたとろみ粉体の搬出時間が経過すると、制御装置50は、
図12のjのタイミングでとろみ粉体搬出用モータ41dの作動を停止させる。とろみ粉体は冷水よりなる原料水を用いた飲料を容器Cに注出しているときに容器Cに注出されているので容器C内で飲料に浮かんで残りにくくなる。制御装置50は、
図12のmのタイミングで第1給水弁34dを閉止させた後で、少しの遅延時間(この実施形態では0.5秒間)経過後の
図12のnのタイミングで第4原料水供給弁34m1(第5原料水供給弁34m2)を閉止させる。
【0069】
このように、とろみ粉体の量を少なくしてとろみ粘度が低いとろみ飲料を供給するときには、湯よりなる原料水を用いた飲料を容器Cに供給開始し、この飲料を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給するようにしていることにより、飲料の原料粉体を原料水に撹拌するときの撹拌時間を短くすることができ、とろみ飲料を供給するときに要する時間を短くすることができるようになる。
【0070】
次に、給湯タンク34a内の湯の温度が低いときの温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムについて説明する。給湯タンク34a内の湯の温度が低ければ、とろみ粉体を湯よりなる原料水を用いた飲料に溶解させても、とろみ粉体がだまと呼ばれる溶け残りとなりにくい。上述したように、給湯タンク34a内の湯の温度が高いときには、飲料供給部30は第1原料水供給路から供給される冷水よりなる原料水を主に含んだ飲料を容器Cに供給開始し、この飲料を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給するようにしているが、給湯タンク34a内の湯の温度が所定温度として50℃より低いときには、飲料供給部30は第2原料水供給路から供給される湯よりなる原料水を主に含んだ飲料を容器Cに供給開始し、この飲料を容器Cに供給開始と同時または供給開始後からとろみ粉体供給部40から容器C内にとろみ粉体を供給するようにしている。
【0071】
給湯タンク34a内の湯の温度が所定温度として50℃より低いときに、温かいとろみ飲料を供給する第1とろみ飲料供給プログラムを
図13のタイムチャートにより説明する。
図13のaのタイミングに示したよう、操作スイッチ17により温かい茶等のとろみ飲料の供給スイッチをオン操作した操作信号の入力があるとすると、制御装置50は、
図13のbのタイミングで飲料原料搬出用モータ32dと撹拌用モータ35aと送湯ポンプ34gとを作動開始させ、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を開放開始させる。混合容器33内には湯よりなる原料水と飲料の原料粉体が供給され、湯よりなる原料水と飲料の原料粉体は撹拌用モータ35aにより回転する撹拌羽根35fにより撹拌されて混合される。飲料の原料粉体は湯よりなる原料水に溶けやすいので、飲料の原料粉体は冷水よりなる原料水に溶解させるときよりも撹拌用モータ35aを作動させる時間を短くてもよい。このため、制御装置50は、撹拌用モータ35aを作動開始させてから所定時間として0.3秒後の
図12のcのタイミングで撹拌用モータ35aを作動を停止させると、混合容器33内の飲料は撹拌羽根35fによって遠心力が付与されないようになって放出口33aから飲料ガイド37へ放出される。
【0072】
撹拌用モータ35aを作動停止させてからも混合容器33には湯よりなる原料水と飲料の原料粉体が供給されており、飲料の原料粉体は混合容器33に供給される湯よりなる原料水の水流によって溶解されながら放出口33aから飲料ガイド37へ放出される。混合容器33の放出口33aから放出された飲料は飲料ガイド37を通って飲料注出部37bの下端の飲料注出口37cから容器Cに注出される。制御装置50は、飲料の原料粉体の搬出が終了する
図13のdのタイミングで飲料原料搬出用モータ32dの作動を停止させ、
図13のeのタイミングになると、とろみ粉体搬出用モータ41dを作動開始させる。とろみ粉体容器41内のとろみ粉体は搬出口41aから受入口42bを通ってシュート42内に搬出される。
【0073】
図13cのタイミングで撹拌用モータ35aを作動を停止させることで、混合容器33内の飲料を飲料ガイド37を通して飲料注出口37cから容器に注出させるようにし、
図13のeのタイミングからとろみ粉体搬出用モータ41dを動作させることにより、とろみ粉体を容器Cに注出させるようにしており、
図13のeのタイミングからとろみ粘度に応じたとろみ粉体の搬出時間が経過すると、
図13のfのタイミングでとろみ粉体搬出用モータ41dの作動を停止させる。とろみ粉体が容器Cに注出されてから、
図13のgのタイミングで送湯ポンプ34gを作動を停止させ、送湯ポンプ34gの作動停止から所定の遅延時間として0.5秒経過して
図13のhのタイミングとなると、湯用の第1原料水供給弁34h1(第2原料水供給弁34h2)を閉止させる。この実施形態では、給湯タンク34a内の湯の温度が50℃より低いので、給湯タンク34a内の湯よりなる原料水を用いた飲料を用いるだけで飲むのに適したとろみ飲料の温度とすることができるが、必要に応じて湯用の原料水を用いた飲料を供給後に、冷水の原料水を用いた飲料を供給するようにしたものであってもよい。
【0074】
このとろみ飲料供給装置10の飲料供給部30は容器C内に飲料を供給するものであり、この実施形態の飲料供給部30は、飲料原料である飲料の原料粉体と水及び/または湯よりなる原料水を混合して飲料を生成する飲料生成部31と、飲料生成部31により生成された飲料を容器Cに供給する飲料案内経路36とを備えているが、これに限られるものではなく、飲料生成部31は飲料の原料粉体に代えて濃縮飲料と飲料原水である水及び/または湯を混合して飲料を生成するものであってもよいし、飲料タンク等の飲料容器内に貯えた飲料をそのまま容器Cに直接供給するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…とろみ飲料供給装置、20…載置台、30…飲料供給部、34…原料水供給部、32…飲料原料容器、40…とろみ粉体供給部。