(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2021051780
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504044540
【氏名又は名称】東邦ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森久保 光男
(72)【発明者】
【氏名】青柳 知幸
(72)【発明者】
【氏名】岩井 正美
(72)【発明者】
【氏名】加藤 研司
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 文博
(72)【発明者】
【氏名】石田 茂人
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-280294(JP,A)
【文献】特開2020-075804(JP,A)
【文献】特開平07-267307(JP,A)
【文献】特開2012-162376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容可能な規定容器を搬送する搬送システムであって、
前記物品を収容した状態の前記規定容器を実容器とし、前記物品を収容していない状態の前記規定容器を空容器として、
前記規定容器を保管する保管倉庫と、
前記空容器を一時的に保管する空容器バッファと、
前記空容器に前記物品を収容して、前記保管倉庫への入庫用の前記実容器を作る入庫作業を行う入庫作業エリアと、
前記保管倉庫に保管された前記実容器から出庫対象の前記物品を取り出して別の前記空容器に収容し、出庫対象の前記物品が収容された出庫用の前記実容器である出庫容器を作る出庫作業を行う出庫作業エリアと、
前記出庫作業により作られた前記出庫容器を一時的に保管する一時保管設備と、
前記一時保管設備に保管された1つ以上の前記出庫容器から前記物品を取り出して出荷用の出荷容器に収容する出荷作業を行う出荷作業エリアと、を備え、
前記保管倉庫から前記出庫作業エリアへ、前記実容器を搬送する第1搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記保管倉庫へ、前記出庫作業により一部の前記物品が取り出された後の前記実容器を搬送する第2搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記空容器バッファへ、前記出庫作業により全ての前記物品が取り出された後の前記空容器を搬送する第3搬送部と、
前記空容器バッファから前記出庫作業エリアへ、前記出庫作業に用いられる前記空容器を搬送する第4搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記一時保管設備へ、前記出庫作業により作られた前記出庫容器を搬送する第5搬送部と、
前記出荷作業エリアから前記空容器バッファへ、前記出荷作業により全ての前記物品が取り出された前記空容器を搬送する第6搬送部と、
前記空容器バッファから前記入庫作業エリアへ、前記入庫作業に用いられる前記空容器を搬送する第7搬送部と、を備え、
前記第2搬送部は、前記出庫作業により全ての前記物品が取り出された前記空容器も、前記出庫作業エリアから前記保管倉庫へ搬送し、
前記保管倉庫から前記空容器バッファへ、前記保管倉庫に保管された前記空容器を搬送する第8搬送部
と、
制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記空容器バッファが満杯になる可能性の有無を判定する予想判定処理を実行し、前記予想判定処理により前記空容器バッファが満杯になる可能性有りと判断した場合には、前記出庫作業エリアから前記保管倉庫への前記空容器の搬送を前記第2搬送部に行わせると共に前記保管倉庫に当該空容器を保管させる空容器保管処理を実行する、搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記空容器バッファに現在保管されている前記空容器の数と、これから実行されることが定まっている前記出荷作業により前記一時保管設備から出される予定の前記出庫容器の数と、に基づいて、前記予想判定処理を実行する、請求項
1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記空容器バッファに現在保管されている前記空容器の数が規定のしきい値以下になった場合には、前記保管倉庫から前記空容器バッファへの前記空容器の搬送を前記第8搬送部に行わせる空容器補充処理を実行する、請求項
1又は
2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記空容器バッファは、複数の前記空容器を段積み状態で保管可能に構成され、
前記第3搬送部、前記第6搬送部、及び前記第8搬送部は、複数の前記空容器を段積みする段積み装置を備え、
前記第3搬送部、前記第6搬送部、及び前記第8搬送部のうちの少なくとも2つは、前記段積み装置を共用している、請求項1から
3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収容可能な規定容器を搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送システムの一例が、特開2020-075804号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示されたシステムは、入庫作業を行う入庫ステーション(12)と、出庫作業を行う出庫ステーション(13)と、物品(W)を容器(C)に収容した状態で保管する保管倉庫(11)と、これらを接続するコンベヤラインと、搬送工程において空の容器(C)を仮置きしておくための空容器バッファ(17)と、を備えている。入庫ステーション(12)には、入庫作業に必要な空の容器(C)が搬送される。出庫ステーション(13)では、出庫作業によって空の容器(C)が多量に発生する。
【0004】
特許文献1に開示されたシステムでは、空の容器(C)を保管しておくための専用の場所(空容器バッファ17)が大規模になることを回避することを課題の1つとしており、この課題を解決するために、保管倉庫(11)が、物品(W)が収容された容器(C)だけでなく、空の容器(C)も収容するように構成されている。これにより、空容器バッファ(17)の小規模化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、保管倉庫(11)の通常運用として、空の容器(C)も収容することとした場合には、保管倉庫(11)における物品(W)の収容効率(詳細には、物品Wを収容した容器Cの収容効率)が、通常時においても低下することになる。一方で、保管倉庫(2)において空の容器(C)の収容を行わない運用とした場合には、空容器バッファ(17)が大規模化するか、そのように大規模にしない場合には空容器バッファ(17)が空の容器(C)で満杯となってしまう場合が生じ得る。
【0007】
上記実状に鑑みて、保管倉庫における物品の収容効率を高く維持しつつ、物品を収容していない空容器を保管する空容器バッファが空容器で満杯になることを回避可能な搬送システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物品を収容可能な規定容器を搬送する搬送システムであって、
前記物品を収容した状態の前記規定容器を実容器とし、前記物品を収容していない状態の前記規定容器を空容器として、
前記規定容器を保管する保管倉庫と、
前記空容器を一時的に保管する空容器バッファと、
前記空容器に前記物品を収容して、前記保管倉庫への入庫用の前記実容器を作る入庫作業を行う入庫作業エリアと、
前記保管倉庫に保管された前記実容器から出庫対象の前記物品を取り出して別の前記空容器に収容し、出庫対象の前記物品が収容された出庫用の前記実容器である出庫容器を作る出庫作業を行う出庫作業エリアと、
前記出庫作業により作られた前記出庫容器を一時的に保管する一時保管設備と、
前記一時保管設備に保管された1つ以上の前記出庫容器から前記物品を取り出して出荷用の出荷容器に収容する出荷作業を行う出荷作業エリアと、を備え、
前記保管倉庫から前記出庫作業エリアへ、前記実容器を搬送する第1搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記保管倉庫へ、前記出庫作業により一部の前記物品が取り出された後の前記実容器を搬送する第2搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記空容器バッファへ、前記出庫作業により全ての前記物品が取り出された後の前記空容器を搬送する第3搬送部と、
前記空容器バッファから前記出庫作業エリアへ、前記出庫作業に用いられる前記空容器を搬送する第4搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記一時保管設備へ、前記出庫作業により作られた前記出庫容器を搬送する第5搬送部と、
前記出荷作業エリアから前記空容器バッファへ、前記出荷作業により全ての前記物品が取り出された前記空容器を搬送する第6搬送部と、
前記空容器バッファから前記入庫作業エリアへ、前記入庫作業に用いられる前記空容器を搬送する第7搬送部と、を備え、
前記第2搬送部は、前記出庫作業により全ての前記物品が取り出された前記空容器も、前記出庫作業エリアから前記保管倉庫へ搬送し、
前記保管倉庫から前記空容器バッファへ、前記保管倉庫に保管された前記空容器を搬送する第8搬送部と、
制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記空容器バッファが満杯になる可能性の有無を判定する予想判定処理を実行し、前記予想判定処理により前記空容器バッファが満杯になる可能性有りと判断した場合には、前記出庫作業エリアから前記保管倉庫への前記空容器の搬送を前記第2搬送部に行わせると共に前記保管倉庫に当該空容器を保管させる空容器保管処理を実行する。
【0009】
本構成によれば、保管倉庫は、規定容器として、実容器に加えて空容器も保管することができる。そのため、保管倉庫において空容器を保管する分、空容器バッファが大型化することを抑制しつつ、空容器バッファが空容器で満杯になることを回避することができる。そして、本構成では、保管倉庫に保管された空容器を保管倉庫から空容器バッファへ搬送するための第8搬送部を備えている。そのため、空容器バッファが満杯になる可能性が低い状態では、空容器バッファに空容器を保管させるために保管倉庫から空容器バッファへ空容器を搬送することができる。すなわち本構成によれば、空容器バッファの収容状態に応じて、空容器の保管場所を変更することができる。そのため、空容器バッファの収容状態に余裕がある通常時には、保管倉庫においてなるべく空の容器を保管しないようにすることで、保管倉庫における物品の収容効率が低下することを抑制できる。そして、空容器バッファの収容状態に余裕が無い場合には、保管倉庫を利用して空容器バッファを保管することで、空容器バッファが空容器で満杯になることを回避できる。
また、本構成によれば、空容器バッファが空容器で満杯になる可能性が有る場合に、保管倉庫を利用して空容器を保管することができる。従って、空容器バッファが空容器で満杯になることを適切に回避することができる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図9】空容器バッファにおける空容器の保管数のイメージ図
【
図10】搬送システムにおいて行われる制御の手順を示すフローチャート
【
図11】予想判定処理において行われる処理手順を示すフローチャート
【
図12】その他の実施形態に係る搬送システムの一部を示す概念図
【
図13】その他の実施形態に係る搬送システムの一部を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、搬送システムの実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、搬送システム100は、物品Gを収容可能な規定容器Cを搬送するシステムである。ここでは、物品Gを収容した状態の規定容器Cを実容器Cfとし、物品Gを収容していない状態の規定容器Cを空容器Ceとする。
【0014】
搬送システム100は、実容器Cf又は空容器Ceとしての規定容器Cを保管する保管系Sと、物品G又は規定容器Cに対する作業を行う作業系Wと、実容器Cf又は空容器Ceとしての規定容器Cを搬送する搬送系Tと、を備えている。
【0015】
図1に示すように、搬送システム100は、規定容器Cを保管する保管倉庫1と、空容器Ceを一時的に保管する空容器バッファ3と、空容器Ceに物品Gを収容して、保管倉庫1への入庫用の実容器Cf(以下、入庫容器Cfiと称する。)を作る入庫作業を行う入庫作業エリアWiと、保管倉庫1に保管された実容器Cfから出庫対象の物品Gを取り出して別の空容器Ceに収容し、出庫対象の物品Gが収容された出庫用の実容器Cfである出庫容器Cfo(
図3参照)を作る出庫作業を行う出庫作業エリアWoと、出庫作業により作られた出庫容器Cfoを一時的に保管する一時保管設備2と、一時保管設備2に保管された1つ以上の出庫容器Cfoから物品Gを取り出して出荷用の出荷容器Cx(
図4参照)に収容する出荷作業を行う出荷作業エリアWxと、を備えている。
【0016】
本実施形態では、保管系Sには、保管倉庫1、一時保管設備2、及び空容器バッファ3が含まれる。また、作業系Wには、入庫作業エリアWi、出庫作業エリアWo、及び出荷作業エリアWxが含まれる。
【0017】
搬送システム100は、搬送系Tとして、第1搬送部T1、第2搬送部T2、第3搬送部T3、第4搬送部T4、第5搬送部T5、第6搬送部T6、第7搬送部T7、及び第8搬送部T8を備えている。本実施形態では、搬送システム100は、搬送系Tとして、入庫用搬送部Ti及び出荷用搬送部Txを更に備えている。各搬送部は、コンベヤや無人搬送車など、各種の搬送装置により構成されている。
【0018】
図1における白矢印が、空容器Ceを搬送するための搬送部(搬送経路)を示しており、黒矢印が、実容器Cf(出庫容器Cfo及び入庫容器Cfiを含む。)を搬送するための搬送部(搬送経路)を示している。
【0019】
第1搬送部T1は、保管倉庫1から出庫作業エリアWoへ、実容器Cfを搬送する。第1搬送部T1は、保管倉庫1と出庫作業エリアWoとを繋ぐ第1搬送経路R1に沿って実容器Cfを搬送する。
【0020】
第2搬送部T2は、出庫作業エリアWoから保管倉庫1へ、出庫作業により一部の物品Gが取り出された後の実容器Cfを搬送する。本実施形態では、第2搬送部T2は、出庫作業により全ての物品Gが取り出された空容器Ceも、出庫作業エリアWoから保管倉庫1へ搬送する。すなわち、第2搬送部T2は、出庫作業エリアWoと保管倉庫1とを繋ぐ第2搬送経路R2に沿って実容器Cf又は空容器Ceを搬送する。本例では、第1搬送経路R1と第2搬送経路R2とは、互いに独立している。また、第1搬送部T1と第2搬送部T2とについても、互いに独立している。
【0021】
第3搬送部T3は、出庫作業エリアWoから空容器バッファ3へ、出庫作業により全ての物品Gが取り出された後の空容器Ceを搬送する。第3搬送部T3は、出庫作業エリアWoと空容器バッファ3とを繋ぐ第3搬送経路R3に沿って空容器Ceを搬送する。
【0022】
第4搬送部T4は、空容器バッファ3から出庫作業エリアWoへ、出庫作業に用いられる空容器Ceを搬送する。第4搬送部T4は、空容器バッファ3と出庫作業エリアWoとを繋ぐ第4搬送経路R4に沿って空容器Ceを搬送する。本例では、第3搬送経路R3と第4搬送経路R4とは、互いに独立している。また、第3搬送部T3と第4搬送部T4についても、互いに独立している。
【0023】
第5搬送部T5は、出庫作業エリアWoから一時保管設備2へ、出庫作業により作られた出庫容器Cfoを搬送する。第5搬送部T5は、出庫作業エリアWoと一時保管設備2とを繋ぐ第5搬送経路R5に沿って出庫容器Cfoを搬送する。
【0024】
第6搬送部T6は、出荷作業エリアWxから空容器バッファ3へ、出荷作業により全ての物品Gが取り出された空容器Ceを搬送する。第6搬送部T6は、出荷作業エリアWxと空容器バッファ3とを繋ぐ第6搬送経路R6に沿って空容器Ceを搬送する。
【0025】
第7搬送部T7は、空容器バッファ3から入庫作業エリアWiへ、入庫作業に用いられる空容器Ceを搬送する。第7搬送部T7は、空容器バッファ3と入庫作業エリアWiとを繋ぐ第7搬送経路R7に沿って空容器Ceを搬送する。
【0026】
第8搬送部T8は、保管倉庫1から空容器バッファ3へ、保管倉庫1に保管された空容器Ceを搬送する。第8搬送部T8は、保管倉庫1と空容器バッファ3とを繋ぐ第8搬送経路R8に沿って空容器Ceを搬送する。
【0027】
入庫用搬送部Tiは、入庫作業エリアWiから保管倉庫1へ、入庫作業により作られた入庫容器Cfiを搬送する。入庫用搬送部Tiは、入庫作業エリアWiと保管倉庫1とを繋ぐ入庫用搬送経路Riに沿って入庫容器Cfiを搬送する。
【0028】
出荷用搬送部Txは、一時保管設備2から出荷作業エリアWxへ、出荷作業に用いられる出庫容器Cfoを搬送する。出荷用搬送部Txは、一時保管設備2と出荷作業エリアWxとを繋ぐ出荷用搬送経路Rxに沿って出庫容器Cfoを搬送する。
【0029】
図2に示すように、保管倉庫1は、規定容器Cを保管する保管棚11と、保管棚11へ入庫する規定容器C及び保管棚11から出庫する規定容器Cを搬送する搬送装置12と、を備えている。
【0030】
上述のように、保管倉庫1は、実容器Cfを保管するように構成されており、保管棚11は、実容器Cfを保管可能となっている。また、詳細な図示は省略するが、保管倉庫1は、必要に応じて空容器Ceも保管するように構成されている。すなわち、保管棚11は、実容器Cfに加えて空容器Ceも保管可能となっている。本実施形態では、保管倉庫1は、複数の保管棚11を備えている。また、複数の保管棚11のそれぞれは、複数段に亘って設けられた保管部110を備えている。
【0031】
搬送装置12は、保管棚11への規定容器Cの入庫及び保管棚11からの規定容器Cの出庫のための規定容器Cの搬送を行う。
【0032】
本実施形態では、搬送装置12は、保管棚11に沿って走行する搬送車Vと、保管棚11への入庫対象となる規定容器Cを搬入する搬入コンベヤ121と、保管棚11からの出庫対象となる規定容器Cを搬出する搬出コンベヤ123と、搬入コンベヤ121又は搬出コンベヤ123と搬送車Vとを中継する中継コンベヤ125と、搬送車Vに搭載され、保管棚11と搬送車Vとの間、及び、中継コンベヤ125と搬送車Vとの間で規定容器Cの移載を行う移載装置120と、を備えている。本例では、中継コンベヤ125は、保管棚11の複数段のそれぞれに設けられ、対応する段の搬送車Vとの間で規定容器Cを受け渡しするように構成されている。また、搬送車Vは、保管棚11の複数段のそれぞれに設けられ、対応する段の保管部110と中継コンベヤ125との間で規定容器Cを搬送するように構成されている。
【0033】
本実施形態では、搬送装置12は、搬入コンベヤ121から受け取った入庫対象の規定容器Cを上下方向に沿って搬送する搬入リフタ122を備えている。搬入リフタ122は、規定容器Cを、搬入コンベヤ121から受け取り、中継コンベヤ125に引き渡すように構成されている。搬入リフタ122から規定容器Cを受け取った中継コンベヤ125は、当該受け取った規定容器Cを移載装置120に引き渡す。このように、上記の各装置が協働することで、規定容器Cが保管棚11へ入庫される。
【0034】
また、本実施形態では、搬送装置12は、中継コンベヤ125から受け取った出庫対象の規定容器Cを上下方向に沿って搬送する搬出リフタ124を備えている。搬出リフタ124は、規定容器Cを、中継コンベヤ125から受け取り、搬出コンベヤ123に引き渡すように構成されている。搬出リフタ124から規定容器Cを受け取った搬出コンベヤ123は、保管倉庫1の外部へ規定容器Cを搬出する。このように、上記の各装置が協働することで、規定容器Cが保管棚11から出庫される。
【0035】
本実施形態では、一時保管設備2は、保管倉庫1に比べて規模が小さい以外は、保管倉庫1と同等の構成となっている。すなわち、
図2を参照して説明すると、一時保管設備2は、複数の保管棚21と、搬送装置22と、を備えている。複数の保管棚21のそれぞれは、複数段に亘って設けられた保管部210を備えている。搬送装置22は、搬送車V、移載装置220、搬入コンベヤ221、搬入リフタ222、搬出コンベヤ223、搬出リフタ224、及び中継コンベヤ225を備えている。一時保管設備2の詳細な構造については、上述した保管倉庫1の構造と同様であるため説明を省略する。
【0036】
図3に示すように、出庫作業では、出庫対象の物品Gが収容された出庫用の実容器Cfである出庫容器Cfoを作る作業を行う。出庫作業では、保管倉庫1から搬送されてきた規定容器C(実容器Cf)から必要数の物品Gを取り出して、空容器バッファ3から搬送されてきた別の規定容器C(空容器Ce)に当該物品Gを収容する。これにより、出庫容器Cfoが作られる。
【0037】
本実施形態では、
図3(a)に示すように、出庫作業では、保管倉庫1から搬送されてきた規定容器Cに収容された複数の物品Gのうち一部を取り出して、取り出した一部の物品Gを別の規定容器C(空容器Ce)に収容する作業が行われる。この出庫作業によって、出庫容器Cfoと、残った物品Gが収容された実容器Cfとが発生する。出庫容器Cfoは、
図1に示すように、第5搬送部T5によって一時保管設備2へ搬送される。残った物品Gが収容された実容器Cfは、第2搬送部T2によって保管倉庫1へ搬送される。
【0038】
また、
図3(b)に示すように、出庫作業では、出庫する必要がある物品Gの数(必要数)によっては、保管倉庫1から搬送されてきた規定容器Cに収容された複数の物品Gの全てを取り出して、取り出した全ての物品Gを規定容器C(空容器Ce)に収容する作業が行われる場合がある。この出庫作業では、空容器Ceが発生する。出庫作業により発生した空容器Ceは、
図1に示すように、第3搬送部T3によって空容器バッファ3へ搬送される。本例では、出庫作業により発生した空容器Ceは、必要に応じて、後述する空容器保管処理によって保管倉庫1へ搬送される場合がある。なお、上述の出庫作業は、ロボットにより自動で行われても良いし、作業者によって手作業で行われても良い。
【0039】
図4に示すように、出荷作業では、一時保管設備2に保管された1つ以上の出庫容器Cfoから物品Gを取り出して出荷用の出荷容器Cxに収容する作業を行う。
図4には、一時保管設備2に保管されていた2つの出庫容器Cfoから全ての物品Gを取り出して出荷容器Cxに収容する例が示されている。出庫容器Cfoからの物品Gが収容された出荷容器Cxは、目的の場所へ出荷される。また、出荷作業では、対象となる出庫容器Cfoから全ての物品Gが取り出されるため、出荷作業に用いた出庫容器Cfoの数に等しい数の空容器Ceが発生する。出荷作業により発生した空容器Ceは、
図1に示すように、第6搬送部T6によって空容器バッファ3へ搬送される。なお、上述の出荷作業は、ロボットにより自動で行われても良いし、作業者によって手作業で行われても良い。
【0040】
図5に示すように、入庫作業では、保管倉庫1への入庫用の実容器Cfである入庫容器Cfiを作る作業を行う。入庫作業では、空容器バッファ3から搬送されてきた規定容器C(空容器Ce)に、入庫作業エリアWiに入荷された物品Gを収容する。これにより、入庫容器Cfiが作られる。本実施形態では、入庫作業では、入庫作業エリアWiに入荷された複数の物品Gを、種別ごとに異なる空容器Ceに収容する。言い換えると、入庫作業では、同じ種別の物品Gを同じ規定容器Cに収容し、異なる種類の物品Gを互いに異なる規定容器Cに収容する。この入庫作業により発生した入庫容器Cfiは、
図1に示すように、入庫用搬送部Tiによって保管倉庫1へ搬送される。なお、上述の入庫作業は、ロボットにより自動で行われても良いし、作業者によって手作業で行われても良い。
【0041】
図6に示すように、空容器バッファ3は、複数の空容器Ceを一時的に保管するように構成されている。本実施形態では、空容器バッファ3は、バッファコンベヤ30(図示の例では、複数のバッファコンベヤ30)を備えている。空容器Ceは、バッファコンベヤ30に載置された状態で保管される。空容器バッファ3は、バッファコンベヤ30により、空容器Ceの一時保管と搬送とを行うように構成されている。空容器バッファ3は、バッファコンベヤ30上における搬送方向の下流側に載置された空容器Ceから順番に、搬送システム100における各所に空容器Ceを供給すると共に、各所から搬送されてきた空容器Ceを搬送方向の上流側から順次受け取るように構成されている。
【0042】
本実施形態では、空容器バッファ3は、複数の空容器Ceを段積み状態で保管可能に構成されている。本例では、搬送システム100は、複数の空容器Ceを段積みする段積み装置4(
図1及び
図7参照)を備えている。複数の空容器Ceが段積み装置4によって段積みされた状態で、空容器バッファ3へ搬送され、一時的に保管される。
【0043】
空容器バッファ3へ空容器Ceを供給する搬送部(搬送経路)が、段積み装置4を備えている。本実施形態では、
図1に示すように、第3搬送部T3、第6搬送部T6、及び第8搬送部T8が、段積み装置4を備えている。換言すれば、第3搬送経路R3、第6搬送経路R6、及び第8搬送経路R8の全てに、段積み装置4が配置されている。
【0044】
出庫作業エリアWoから第3搬送部T3によって搬送される複数の空容器Ceは、段積み装置4によって段積みされた状態で、空容器バッファ3へ搬送される。出荷作業エリアWxから第6搬送部T6によって搬送される複数の空容器Ceは、段積み装置4によって段積みされた状態で、空容器バッファ3へ搬送される。保管倉庫1から第8搬送部T8によって搬送される複数の空容器Ceは、段積み装置4によって段積みされた状態で、空容器バッファ3へ搬送される。
【0045】
本実施形態では、第3搬送部T3、第6搬送部T6、及び第8搬送部T8のうちの少なくとも2つは、段積み装置4を共用している。
図1に示す例では、第3搬送部T3と第8搬送部T8とが、段積み装置4を共用している。換言すれば、第3搬送経路R3と第8搬送経路R8とが合流する合流部Uが設けられ、当該合流部Uにおける搬送方向の下流側に段積み装置4が配置されている。
【0046】
本実施形態では、搬送システム100は、段積みされた複数の空容器Ceを個別に分ける段バラシ装置5を備えている(
図7も参照)。空容器バッファ3において段積みされていた複数の空容器Ceが、段バラシ装置5によって個別に分けられた状態で、各所へ搬送される。
【0047】
本実施形態では、空容器バッファ3から各所へ空容器Ceを搬送する搬送部(搬送経路)が、段バラシ装置5を備えている。本実施形態では、
図1に示すように、第4搬送部T4及び第7搬送部T7のそれぞれが独立して、段バラシ装置5を備えている。換言すれば、第4搬送経路R4及び第7搬送経路R7のそれぞれに、段バラシ装置5が配置されている。
【0048】
第4搬送部T4(第4搬送経路R4)において段バラシ装置5によって個別に分けられた空容器Ceは、出庫作業エリアWoへ搬送される。第7搬送部T7(第7搬送経路R7)において段バラシ装置5によって個別に分けられた空容器Ceは、入庫作業エリアWiへ搬送される。
【0049】
図7は、段積み装置4及び段バラシ装置5の一例を示している。
図7に示す例では、段積み装置4及び段バラシ装置5の双方は、ロボットアームを備えている。ロボットアームは、単一の空容器Ceを保持して持ち上げたり移動させたりすることが可能に構成されている。これにより、段積み装置4は、複数の空容器Ceを段積みすることが可能となっており、段バラシ装置5は、段積みされた複数の空容器Ceを個別に分けることが可能となっている。本例では、段積み装置4と段バラシ装置5とが同構造となっている。
【0050】
次に、搬送システム100の制御構成について説明する。
【0051】
図8に示すように、搬送システム100は、制御部Hを備えている。制御部Hは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0052】
本実施形態では、制御部Hは、搬送システム100の全体を管理する。詳細には、制御部Hは、保管系Sと作業系Wと搬送系Tとを制御することで、搬送システム100の全体を管理する。
【0053】
上述のように、保管系Sには、保管倉庫1、一時保管設備2、及び空容器バッファ3が含まれる。従って本例では、制御部Hは、保管倉庫1、一時保管設備2、及び空容器バッファ3を制御する。
【0054】
また、作業系Wには、入庫作業エリアWi、出庫作業エリアWo、及び出荷作業エリアWxが含まれる。従って本例では、制御部Hは、入庫作業エリアWi、出庫作業エリアWo、及び出荷作業エリアWxを制御する。
【0055】
また、搬送系Tには、第1搬送部T1、第2搬送部T2、第3搬送部T3、第4搬送部T4、第5搬送部T5、第6搬送部T6、第7搬送部T7、第8搬送部T8、入庫用搬送部Ti、及び出荷用搬送部Txが含まれる。従って本例では、制御部Hは、第1搬送部T1、第2搬送部T2、第3搬送部T3、第4搬送部T4、第5搬送部T5、第6搬送部T6、第7搬送部T7、第8搬送部T8、入庫用搬送部Ti、及び出荷用搬送部Txを制御する。
【0056】
本実施形態では、制御部Hは、空容器バッファ3が満杯になる可能性の有無を判定する予想判定処理を実行し、当該予想判定処理により空容器バッファ3が満杯になる可能性有りと判断した場合には、出庫作業エリアWoから保管倉庫1への空容器Ceの搬送を第2搬送部T2に行わせると共に保管倉庫1に当該空容器Ceを保管させる空容器保管処理を実行する。これにより、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になる可能性が有る場合に、保管倉庫1を利用して空容器Ceを保管することができる。そのため、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になることを適切に回避することができる。
【0057】
本実施形態では、制御部Hは、空容器バッファ3に現在保管されている空容器Ceの数と、これから実行されることが定まっている出荷作業により一時保管設備2から出される予定の出庫容器Cfoの数と、に基づいて、予想判定処理を実行する。上述のように、出荷作業では、一時保管設備2から出された出庫容器Cfoから物品Gを取り出すため、空容器Ceが発生する(
図4参照)。上記の構成によれば、予想判定処理を、出荷作業により一時保管設備2から出される予定の出庫容器Cfoの数と、空容器バッファ3に現在保管されている空容器Ceの数と、に基づいて実行する。そのため、出荷作業が行われる前段階において、空容器バッファ3が満杯になる可能性の有無を早期に判定することができる。従って、判定の遅れによって、空容器バッファ3が想定していない数の空容器Ceを受け入れて満杯となることを回避することができる。
【0058】
また、本実施形態では、制御部Hは、これから実行されることが定まっている出庫作業により出庫作業エリアWoから出される予定の空容器Ceの数にも基づいて、予想判定処理を実行する。上述のように、出荷作業だけではなく、出庫作業によっても空容器Ceが発生し得る(
図3(b)参照)。上記の構成によれば、搬送システム100において空容器バッファ3へ搬送される可能性のある全ての空容器Ceの数を考慮することができるため、更に高い精度で予想判定処理を実行することが可能となる。
【0059】
本実施形態では、制御部Hは、空容器バッファ3における空容器Ceの保管可能総数MAXにも基づいて、予想判定処理を実行する。換言すれば、制御部Hは、空容器バッファ3の収容能力にも基づいて予想判定処理を実行する。例えば、空容器バッファ3の保管可能総数MAXを利用することで、制御部Hは、空容器バッファ3の現在の保管割合(保管率)に基づいて予想判定処理を実行することができる。
【0060】
図9は、空容器バッファ3における空容器Ceの保管数をイメージ化したものである。本実施形態では、空容器バッファ3における空容器Ceの数の基準値として、高しきい値NHと、高しきい値NHよりも低い低しきい値NLと、が設定されている。高しきい値NHは、空容器バッファ3における保管可能総数MAXよりも規定割合低く、低しきい値NLよりも高い値に設定されている。本実施形態では、制御部Hは、予想判定処理の実行により、空容器バッファ3において予想される空容器Ceの保管数が高しきい値NH以上になると判断した場合に、空容器バッファ3が満杯になる可能性有りと判断する。高しきい値NH及び低しきい値NLは、空容器バッファ3の容量や搬送システム100の搬送能力等に応じて適宜設定することができる。
【0061】
本実施形態では、制御部Hは、空容器バッファ3に現在保管されている空容器Ceの数が規定の低しきい値NL以下になった場合には、保管倉庫1から空容器バッファ3への空容器Ceの搬送を第8搬送部T8に行わせる空容器補充処理を実行する。これにより、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になることを回避しつつ、保管倉庫1における実容器Cfを保管可能なスペースを広げることができる。そのため、保管倉庫1における物品Gの収容効率が低下することを抑制できる。本実施形態では、低しきい値NLが「しきい値」に相当する。
【0062】
次に、
図10及び
図11のフローチャートを参照して、制御部Hが行う制御の手順について説明する。
【0063】
図10に示すように、制御部Hは、予想判定処理を実行し(#1)、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になる可能性の有無を判断する(#2)。そして、制御部Hは、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になる可能性有りと判断した場合には(#2:Yes)、空容器保管処理を実行する(#3)。上述のように、空容器保管処理は、出庫作業エリアWoから保管倉庫1への空容器Ceの搬送を第2搬送部T2に行わせると共に保管倉庫1に当該空容器Ceを保管させる処理である。これにより、保管倉庫1を利用して空容器Ceを保管することができ、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になることを適切に回避することができる。
【0064】
図11は、予想判定処理における処理手順を示している。予想判定処理において、まず制御部Hは、空容器バッファ3から空容器バッファ情報を取得する(#11)。空容器バッファ情報には、空容器バッファ3において現在保管されている空容器Ceの数を示す情報が含まれる。また、制御部Hは、出荷作業エリアWxから出荷作業エリア情報を取得する(#12)。出荷作業エリア情報には、これから実行されることが定まっている出荷作業により一時保管設備2から出される予定の出庫容器Cfoの数を示す情報が含まれる。そして、制御部Hは、出庫作業エリアWoから出庫作業エリア情報を取得する(#13)。出庫作業エリア情報には、これから実行されることが定まっている出庫作業により出庫作業エリアWoから出される予定の空容器Ceの数を示す情報が含まれる。制御部Hは、上記のステップ#11~13を行うことにより、空容器バッファ3における現在の空容器Ceの保管数、及び、これから空容器バッファ3に搬送されてくる空容器Ceの数を把握する。
【0065】
次に、制御部Hは、空容器バッファ情報、出荷作業エリア情報、及び出庫作業エリア情報に基づいて、これから予想される空容器バッファ3における空容器Ceの数が高しきい値NH以上になるか否かを判断する(#14)。制御部Hは、これから予想される空容器バッファ3における空容器Ceの数が高しきい値NH以上になると判断した場合には(#14:Yes)、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になる可能性有りと判断し(#15)、予想判定処理におけるルーチンを終了する。
【0066】
一方で、制御部Hは、これから予想される空容器バッファ3における空容器Ceの数が高しきい値NH以上にならないと判断した場合には(#14:No)、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になる可能性無しと判断する(#16)。その後、制御部Hは、空容器バッファ3に現在保管されている空容器Ceの数が低しきい値NL以下であるか否かを判断する(#17)。制御部Hは、空容器バッファ3に現在保管されている空容器Ceの数が低しきい値NL以下であると判断した場合には(#17:Yes)、空容器補充処理を実行し(#18)、保管倉庫1から空容器バッファ3への空容器Ceの搬送を第8搬送部T8に行わせる。その後、予想判定処理におけるルーチンを終了する。また、制御部Hは、空容器バッファ3に現在保管されている空容器Ceの数が低しきい値NL以下でないと判断した場合には(#17:No)、空容器補充処理を行うことなく、予想判定処理におけるルーチンを終了する。
【0067】
以上説明した搬送システム100によれば、保管倉庫1における物品Gの収容効率を高く維持しつつ、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になることを適切に回避することができる。
【0068】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送システムのその他の実施形態について説明する。
【0069】
(1)上記の実施形態では、第3搬送部T3と第8搬送部T8とが、段積み装置4を共用している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第3搬送部T3と第8搬送部T8とのそれぞれに独立して、段積み装置4が備えられていても良い。また、
図12に示すように、第3搬送部T3と第8搬送部T8とに加えて、第6搬送部T6も、段積み装置4を共用していても良い。
図12に示す例では、第3搬送経路R3、第6搬送経路R6、及び第8搬送経路R8が1つに合流する合流部Uが設けられ、当該合流部Uにおける搬送方向の下流側に段積み装置4が配置されている。また、第3搬送部T3と第6搬送部T6とで段積み装置4を共用し、或いは、第6搬送部T6と第8搬送部T8とで段積み装置4を共用していても良い。
【0070】
(2)上記の実施形態では、第4搬送部T4及び第7搬送部T7のそれぞれが独立して、段バラシ装置5を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、
図13に示すように、第4搬送部T4と第7搬送部T7とが、段バラシ装置5を共用していても良い。
図13に示す例では、第4搬送経路R4及び第7搬送経路R7の双方における搬送方向の上流側に、これら第4搬送経路R4と第7搬送経路R7とに分岐する分岐部Dが設けられ、当該分岐部Dにおける搬送方向の上流側に段バラシ装置5が配置されている。
【0071】
(3)上記の実施形態では、制御部Hが、予想判定処理の実行により、空容器バッファ3において予想される空容器Ceの保管数が高しきい値NH以上になると判断した場合に、空容器バッファ3が満杯になる可能性有りと判断する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、搬送システム100が、空容器バッファ3におけるバッファコンベヤ30に載置された最後尾(搬送方向上流端)の空容器Ceの位置を検出するセンサを備え、当該センサの検出結果に基づいて現在保管されている空容器Ceの数を検出しても良い。或いは、バッファコンベヤ30における搬送方向の一部の領域に、判定基準位置を設定し、上記センサは、この判定基準位置における空容器Ceの有無を検出するように構成され、検出有りで空容器バッファ3が満杯になる可能性有りと判断し、検出無しで空容器バッファ3に余裕有りと判断しても良い。この判定基準位置は、例えば、バッファコンベヤ30における搬送方向の上流端部付近の領域に設定されていると良い。
【0072】
(4)上記の実施形態では、制御部Hが、空容器バッファ3において予想される空容器Ceの保管数に基づいて予想判定処理を行う構成を例として説明した。しかしこのような構成には限定されない。例えば、制御部Hが、空容器バッファ3において予想される空容器Ceの保管率に基づいて予想判定処理を行う構成としても良い。ここで、保管率は、空容器バッファ3の保管可能総数MAXから、現在空容器バッファ3に保管されている空容器Ceの数を除算することにより求まる(保管率=現在の保管数/保管可能総数)。この場合、制御部Hが取得する空容器バッファ情報(
図11のステップ#11参照)には、空容器バッファ3の保管率の情報が含まれる。そして、制御部Hは、空容器バッファ3の保管率が、規定の高しきい値NH以上になると判断した場合には、空容器バッファ3が空容器Ceで満杯になる可能性有りと判断すると好適である。またこの場合において、制御部Hが、空容器バッファ3の保管率が低しきい値NL以下であると判断した場合に、空容器補充処理を実行すると好適である。
【0073】
(5)上記の実施形態では、搬送装置(12,22)が、搬送車V、移載装置(120,220)、搬入コンベヤ(121,221)、搬入リフタ(122,222)、搬出コンベヤ(123,223)、搬出リフタ(124,224)、及び中継コンベヤ(125,225)を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送装置(12,22)は、上記実施形態における搬送車V及び移載装置(120,220)及び中継コンベヤ(125,225)に代えて、又はこれらに加えて、規定容器Cを水平方向及び上下方向の双方に沿って搬送可能なスタッカークレーン等の別の搬送機構を備えていても良い。
【0074】
(6)上記の実施形態では、一時保管設備2が、保管倉庫1と同等の構成となっている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、一時保管設備2と保管倉庫1とは、互いに異なる構造であっても良い。例えば、一時保管設備2は、保管棚21等を備えていなくても良く、コンベヤにより構成されていても良い。この場合、一時保管設備2は、コンベヤ上で出庫容器Cfoを一時的に保管する。
【0075】
(7)上記の実施形態では、段積み装置4及び段バラシ装置5の双方が、互いに同構造であると共に、ロボットアームにより構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、段積み装置4及び段バラシ装置5の少なくとも一方は、フォーク等を含み、複数の空容器Ceを一度に保持可能な構成であっても良い。
【0076】
(8)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0077】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送システムについて説明する。
【0078】
物品を収容可能な規定容器を搬送する搬送システムであって、
前記物品を収容した状態の前記規定容器を実容器とし、前記物品を収容していない状態の前記規定容器を空容器として、
前記規定容器を保管する保管倉庫と、
前記空容器を一時的に保管する空容器バッファと、
前記空容器に前記物品を収容して、前記保管倉庫への入庫用の前記実容器を作る入庫作業を行う入庫作業エリアと、
前記保管倉庫に保管された前記実容器から出庫対象の前記物品を取り出して別の前記空容器に収容し、出庫対象の前記物品が収容された出庫用の前記実容器である出庫容器を作る出庫作業を行う出庫作業エリアと、
前記出庫作業により作られた前記出庫容器を一時的に保管する一時保管設備と、
前記一時保管設備に保管された1つ以上の前記出庫容器から前記物品を取り出して出荷用の出荷容器に収容する出荷作業を行う出荷作業エリアと、を備え、
前記保管倉庫から前記出庫作業エリアへ、前記実容器を搬送する第1搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記保管倉庫へ、前記出庫作業により一部の前記物品が取り出された後の前記実容器を搬送する第2搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記空容器バッファへ、前記出庫作業により全ての前記物品が取り出された後の前記空容器を搬送する第3搬送部と、
前記空容器バッファから前記出庫作業エリアへ、前記出庫作業に用いられる前記空容器を搬送する第4搬送部と、
前記出庫作業エリアから前記一時保管設備へ、前記出庫作業により作られた前記出庫容器を搬送する第5搬送部と、
前記出荷作業エリアから前記空容器バッファへ、前記出荷作業により全ての前記物品が取り出された前記空容器を搬送する第6搬送部と、
前記空容器バッファから前記入庫作業エリアへ、前記入庫作業に用いられる前記空容器を搬送する第7搬送部と、を備え、
前記第2搬送部は、前記出庫作業により全ての前記物品が取り出された前記空容器も、前記出庫作業エリアから前記保管倉庫へ搬送し、
前記保管倉庫から前記空容器バッファへ、前記保管倉庫に保管された前記空容器を搬送する第8搬送部を更に備える。
【0079】
本構成によれば、保管倉庫は、規定容器として、実容器に加えて空容器も保管することができる。そのため、保管倉庫において空容器を保管する分、空容器バッファが大型化することを抑制しつつ、空容器バッファが空容器で満杯になることを回避することができる。そして、本構成では、保管倉庫に保管された空容器を保管倉庫から空容器バッファへ搬送するための第8搬送部を備えている。そのため、空容器バッファが満杯になる可能性が低い状態では、空容器バッファに空容器を保管させるために保管倉庫から空容器バッファへ空容器を搬送することができる。すなわち本構成によれば、空容器バッファの収容状態に応じて、空容器の保管場所を変更することができる。そのため、空容器バッファの収容状態に余裕がある通常時には、保管倉庫においてなるべく空の容器を保管しないようにすることで、保管倉庫における物品の収容効率が低下することを抑制できる。そして、空容器バッファの収容状態に余裕が無い場合には、保管倉庫を利用して空容器バッファを保管することで、空容器バッファが空容器で満杯になることを回避できる。
【0080】
ここで、
制御部を更に備え、
前記制御部は、前記空容器バッファが満杯になる可能性の有無を判定する予想判定処理を実行し、前記予想判定処理により前記空容器バッファが満杯になる可能性有りと判断した場合には、前記出庫作業エリアから前記保管倉庫への前記空容器の搬送を前記第2搬送部に行わせると共に前記保管倉庫に当該空容器を保管させる空容器保管処理を実行する、と好適である。
【0081】
本構成によれば、空容器バッファが空容器で満杯になる可能性が有る場合に、保管倉庫を利用して空容器を保管することができる。従って、空容器バッファが空容器で満杯になることを適切に回避することができる。
【0082】
また、
前記制御部は、前記空容器バッファに現在保管されている前記空容器の数と、これから実行されることが定まっている前記出荷作業により前記一時保管設備から出される予定の前記出庫容器の数と、に基づいて、前記予想判定処理を実行する、と好適である。
【0083】
出荷作業では、一時保管設備から出された出庫容器から物品を取り出すため、空容器が発生する。本構成によれば、出荷作業により一時保管設備から出される予定の出庫容器の数と、空容器バッファに現在保管されている空容器の数と、に基づいて予想判定処理を実行する。そのため、出荷作業が行われる前段階において、空容器バッファが満杯になる可能性の有無を早期に判定することができる。従って、判定の遅れによって、空容器バッファが想定していない数の空容器を受け入れて満杯となることを回避することができる。
【0084】
また、
前記制御部は、前記空容器バッファに現在保管されている前記空容器の数が規定のしきい値以下になった場合には、前記保管倉庫から前記空容器バッファへの前記空容器の搬送を前記第8搬送部に行わせる空容器補充処理を実行する、と好適である。
【0085】
本構成によれば、空容器バッファが空容器で満杯になることを回避しつつ、保管倉庫における実容器を保管可能なスペースを広げることができる。そのため、保管倉庫における物品の収容効率が低下することを抑制できる。
【0086】
また、
前記空容器バッファは、複数の前記空容器を段積み状態で保管可能に構成され、
前記第3搬送部、前記第6搬送部、及び前記第8搬送部は、複数の前記空容器を段積みする段積み装置を備え、
前記第3搬送部、前記第6搬送部、及び前記第8搬送部のうちの少なくとも2つは、前記段積み装置を共用している、と好適である。
【0087】
本構成によれば、空容器バッファの大型化を伴うことなく、空容器バッファにおける空容器の収容数を多くすることができる。また、空容器バッファへ空容器を搬送する第3搬送部、第6搬送部、及び第8搬送部のうち少なくとも2つにおいて段積み装置を共用しているため、搬送システムにおける段積み装置の設置数を少なく抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示に係る技術は、物品を収容可能な規定容器を搬送する搬送システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
100 :搬送システム
1 :保管倉庫
2 :一時保管設備
3 :空容器バッファ
4 :段積み装置
C :規定容器
Ce :空容器
Cf :実容器
Cfo :出庫容器
Cx :出荷容器
G :物品
H :制御部
T1 :第1搬送部
T2 :第2搬送部
T3 :第3搬送部
T4 :第4搬送部
T5 :第5搬送部
T6 :第6搬送部
T7 :第7搬送部
T8 :第8搬送部
Wi :入庫作業エリア
Wo :出庫作業エリア
Wx :出荷作業エリア