(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】作物収穫機及び枝豆収穫機
(51)【国際特許分類】
A01F 12/16 20060101AFI20240726BHJP
A01D 45/22 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A01F12/16 M
A01D45/22 Z
(21)【出願番号】P 2021079686
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木下 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】井上 大嗣
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-000086(JP,A)
【文献】実開昭55-092951(JP,U)
【文献】実開昭51-014660(JP,U)
【文献】実開昭58-018452(JP,U)
【文献】米国特許第04531348(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/16
A01D 45/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記作物の株元を支持しながら搬送するフィードチェーンと、
前記フィードチェーンのロックが発生しているかどうかを検知するロック検知部と、
前記ロック検知部によって前記フィードチェーンのロックが発生したことが検知されると前記フィードチェーンの駆動を停止させる停止部と、
前記フィードチェーンの張力を検出する張力検出部と、が備えられ
、
前記ロック検知部は、前記張力検出部によって検出された前記張力が予め設定された閾値よりも大きくなると、前記フィードチェーンのロックが発生したことを検知し、
前記フィードチェーンを駆動する駆動スプロケットと、
前記フィードチェーンを張り状態にする案内回転体と、を備え、
前記張力検出部は前記駆動スプロケットよりも回転方向上手側に位置し、
前記案内回転体は前記駆動スプロケットよりも回転方向下手側に位置する作物収穫機。
【請求項2】
前記フィードチェーンと係合して前記フィードチェーンの回動軌道を保持する二つの第一案内体が備えられ、
前記張力検出部は、前記二つの第一案内体の間に位置するように配置され、
前記張力検出部に、一方向に変位可能な第二案内体と、前記一方向に沿って伸縮動作可能に構成されて前記第二案内体を前記フィードチェーンに係合させるように付勢する付勢体と、前記一方向における前記第二案内体の変位量を検出する位置検出部と、が備えられ、
前記ロック検知部は、前記付勢体の付勢する側と反対側への前記変位量が予め設定された閾値よりも大きくなると、前記フィードチェーンのロックが発生したことを検知する請求項
1に記載の作物収穫機。
【請求項3】
前記二つの第一案内体及び前記張力検出部は、前記駆動スプロケットよりも回動方向上手側に配置されている請求項
2に記載の作物収穫機。
【請求項4】
前記二つの第一案内体のうちの回転方向下手一方は、前
記駆動スプロケットである請求項
2に記載の作物収穫機。
【請求項5】
前記停止部は、前記フィードチェーンの駆動を停止させる際に、前記収穫部を含めて前記フィードチェーンよりも前記作物の搬送方向上手側の機構を停止させる請求項1から4の何れか一項に記載の作物収穫機。
【請求項6】
請求項1から
5の何れか一項に記載の構成が備えられている枝豆収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物収穫機及び枝豆収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された作物収穫機では、収穫部によって収穫された作物がフィードチェーン(文献では「第2搬送体」)に受け渡され、作物の株元がフィードチェーンに支持されながら後方へ挟持搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで収穫部によって収穫された作物に異物等が含まれている場合もあり、フィードチェーンに作物の異物が挟まると、フィードチェーンがロックして損傷する虞が考えられる。従来技術の作物収穫機では、フィードチェーンを保護する機構が存在しなかった。
【0005】
本発明の目的は、フィードチェーンが損傷し難い作物収穫機及び枝豆収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作物収穫機では、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記作物の株元を支持しながら搬送するフィードチェーンと、前記フィードチェーンのロックが発生しているかどうかを検知するロック検知部と、前記ロック検知部によって前記フィードチェーンのロックが発生したことが検知されると前記フィードチェーンの駆動を停止させる停止部と、前記フィードチェーンの張力を検出する張力検出部と、が備えられ、前記ロック検知部は、前記張力検出部によって検出された前記張力が予め設定された閾値よりも大きくなると、前記フィードチェーンのロックが発生したことを検知し、前記フィードチェーンを駆動する駆動スプロケットと、前記フィードチェーンを張り状態にする案内回転体と、を備え、前記張力検出部は前記駆動スプロケットよりも回転方向上手側に位置し、前記案内回転体は前記駆動スプロケットよりも回転方向下手側に位置することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、フィードチェーンのロック状態がロック検知部によって検出されると、フィードチェーンの駆動が停止部によって停止させられる。このため、たとえフィードチェーンに作物の異物が挟まってロックする場合があっても、フィードチェーンの駆動が継続せずに停止する。これにより、フィードチェーンが損傷し難い作物収穫機が実現される。
フィードチェーンがロックした状態で回動しようとすると、フィードチェーンの少なくとも一部分に張力が作用する。本構成であれば、張力検出部によってフィードチェーンの張力が検出される。このため、ロック検知部は、フィードチェーンに掛かる張力に基づいて、フィードチェーンのロックが発生しているかどうかを検知できる。
【0008】
【0009】
【0010】
前記フィードチェーンと係合して前記フィードチェーンの回動軌道を保持する二つの第一案内体が備えられ、前記張力検出部は、前記二つの第一案内体の間に位置するように配置され、前記張力検出部に、一方向に変位可能な第二案内体と、前記一方向に沿って伸縮動作可能に構成されて前記第二案内体を前記フィードチェーンに係合させるように付勢する付勢体と、前記一方向における前記第二案内体の変位量を検出する位置検出部と、が備えられ、前記ロック検知部は、前記付勢体の付勢する側と反対側への前記変位量が予め設定された閾値よりも大きくなると、前記フィードチェーンのロックが発生したことを検知すると好適である。
【0011】
本構成によると、フィードチェーンがロックした状態で回動しようとすると、フィードチェーンに張力が作用し、付勢体に対して付勢方向と反対方向の力が作用する。このことから、フィードチェーンに張力が作用すると、第二案内体は、付勢体とともに付勢方向と反対方向に変位する。このため、張力検出部は、付勢方向と反対方向への第二案内体の変位量を検出することによって、フィードチェーンの張力を検出できる。これにより、ロック検知部は、付勢方向と反対方向への第二案内体の変位量に基づいて、フィードチェーンのロックが発生しているかどうかを検知できる。
【0012】
本発明において、前記二つの第一案内体及び前記張力検出部は、前記駆動スプロケットよりも回動方向上手側に配置されていると好適である。また、本発明において、前記二つの第一案内体のうちの回転方向下手一方は、前記駆動スプロケットであると好適である。
【0013】
フィードチェーンがロックした状態で回動しようとすると、フィードチェーンのうち、駆動スプロケットよりも回動方向上手側の部分に張力が作用する。本構成であれば、張力検出部は、フィードチェーンの張力を容易に検出できる。
【0014】
本発明において、前記停止部は、前記フィードチェーンの駆動を停止させる際に、前記収穫部を含めて前記フィードチェーンよりも前記作物の搬送方向上手側の機構を停止させると好適である。
【0015】
フィードチェーンが停止しているにもかかわらず、搬送方向上手側の機構から作物が次々に送られてくると、搬送方向上手側の機構とフィードチェーンとの受け渡し部分で詰まりが発生する虞がある。本構成であれば、フィードチェーンよりも作物の搬送方向上手側の機構を停止する構成によって、フィードチェーンの停止に起因して詰まりが発生する虞が防止される。
【0016】
本発明の作物収穫機が枝豆収穫機であると好適である。
【0017】
枝豆の株元には泥土が付着している場合が多いため、フィードチェーンに当該泥土が挟まる虞が考えられる。上述した構成であれば、フィードチェーンに当該泥土が挟まってフィードチェーンがロックする場合であっても、フィードチェーンの駆動が停止する。これにより、フィードチェーンがロックした状態でフィードチェーンの駆動が継続する構成と比較して、フィードチェーンが損傷し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】フィードチェーンの回動軌道を示す機体左側面図である。
【
図4】張力検出部を示す機体背面視の断面図である。
【
図5】張力検出部を示す機体右側面視の断面図である。
【
図6】ロック検知部及び停止部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び
図2に、作物収穫機の一例である枝豆収穫機を示している。各図において、「F」の矢印は前方向を示し、「B」の矢印は後方向を示し、「U」の矢印は上方向を示し、「D」の矢印は下方向を示し、「R」の矢印は右方向を示し、「L」の矢印は左方向を示している。
【0020】
〔枝豆収穫機の全体構成〕
図1及び
図2に示すように、左右のクローラ型式の走行装置2によって、機体1が支持されている。機体1の前部に、収穫部3と運転部4とが左右に並ぶ状態で備えられ、収穫部3は運転部4に対して機体左側に位置する。機体1の後部に分離部5が設けられ、機体1の右部に回収部6が設けられている。
【0021】
収穫部3の搬送方向は後上がりに傾斜する。機体1の前進に伴って、収穫部3によって圃場の起立姿勢の作物Aが、引き抜かれ持ち上げられて、起立姿勢に維持されながら斜め後上方に搬送される。つまり、収穫部3は、圃場に植立する枝豆を収穫して後方搬送する。収穫部3の終端部において、作物Aは、姿勢変更部21によって横倒れ姿勢に変更されて、フィードチェーン22に受け渡される。フィードチェーン22は枝豆の株元を支持しながら搬送する
【0022】
作物Aは、フィードチェーン22によって横倒れ姿勢で搬送されながら、分離部5において作物Aから実A2が分離される。分離された実A2が回収部6に回収され、実A2が分離された作物Aはフィードチェーン22の終端部から地面に放出される。
【0023】
〔収穫部の構成〕
図1及び
図2に示すように、収穫部3の前部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯まわりに、左右の先端従動プーリー7が回転可能に支持されている。中継従動プーリー8,9が、上下に配置されて、先端従動プーリー7に対して上側の位置の斜め向きの上下方向に沿った軸芯まわりに、一体で回転可能に支持されている。
【0024】
収穫部3の後部において、斜め向きの上下方向に沿った軸芯まわりに、左右の駆動プーリー10が回転駆動可能に支持されている。ゴム勢の左右の搬送ベルト11が、先端従動プーリー7と中継従動プーリー8とに亘って取り付けられ、ゴム製の左右の搬送ベルト12が、中継従動プーリー9と駆動プーリー10とに亘って取り付けられている。
【0025】
左右の搬送ベルト11、左右の搬送ベルト12が、収穫部3の全長に亘って合わせられている。収穫部3に、多数のローラー13が回転可能に支持されており、ローラー13によって、搬送ベルト11の合わせ部分の反対側、及び、搬送ベルト12の合わせ部分の反対側が支持されている。左右の搬送ベルト11と、左右の搬送ベルト12と、が直線的に斜め後上方に向けて延出されている。
【0026】
機体1が前進しながら、搬送ベルト11,12が駆動プーリー10によって回転駆動されて、圃場の起立姿勢の作物Aが、左右の搬送ベルト11の始端部に入り込んで挟持される。作物Aは、搬送ベルト11によって引き抜かれて持ち上げられ、搬送ベルト12によって起立姿勢に維持されながら、斜め後上方に搬送される。
【0027】
収穫部3の後部が、左右方向に沿った軸芯P1まわりに上下揺動可能に、機体1の前部における左上部に支持されている。油圧シリンダ14が、機体1の前部と収穫部3とに亘って接続されており、収穫部3が油圧シリンダ14によって昇降操作される。
【0028】
〔搬送チェーンの構成〕
図1及び
図3に示すように、フィードチェーン22は、機体1の左部に前後方向に沿って配置され、前後方向に沿って回転駆動される。フィードチェーン22の上部に沿ってガイドレール23が配置されている。
【0029】
図3に示すように、平板状の支持レール24が、収穫部3の終端部から分離部5の後部に亘って支持されている。支持レール24の前部24aが、収穫部3の終端部の下方の位置まで斜め前下方に延出されて、ガイドレール25が支持レール24の前部24aの外周部に連結されている。
【0030】
案内回転体26,27が支持レール24の後部に支持され、案内回転体28,29が支持レール24の前後中間部に支持されている。案内回転体30及び駆動スプロケット36が、機体1に支持されている。揺動アーム37が左右方向に沿った軸芯P2周りに揺動可能に支持レール24に支持され、バネ38が揺動アーム37に接続されて、揺動アーム37が下方に付勢されており、案内回転体31が揺動アーム37の下部に支持されている。
【0031】
フィードチェーン22は、支持レール24の上面部及びガイドレール25、案内回転体26~31及び駆動スプロケット36に取り付けられている。支持レール24の上面部、案内回転体26~32、駆動スプロケット36は、フィードチェーン22と係合してフィードチェーン22の回動軌道を保持する。駆動スプロケット36によりフィードチェーン22が
図3の時計方向に回転駆動されて、フィードチェーン22における支持レール24の上面部及びガイドレール25の部分が前後方向に沿って後方に移動する。バネ38によって揺動アーム37が下方に付勢され、案内回転体31によってフィードチェーン22が張り状態に維持されている。
【0032】
〔張力検出部について〕
図3~
図5に示すように、本実施形態では、フィードチェーン22の張力を検出する張力検出部40が備えられている。張力検出部40に、案内回転体28と、取付ブラケット41と、支持部材42と、支持アーム43と、コイルバネ44と、位置検出部45と、が備えられている。案内回転体28は、本発明の『第二案内体』である。コイルバネ44は、本発明の『付勢体』である。
【0033】
取付ブラケット41に、第一ブラケット部41Aと第二ブラケット部41Bとボス部41Cと第三ブラケット部41Dとが備えられている。第一ブラケット部41Aと第二ブラケット部41Bとの夫々の上部が、互いに重ね合わせられた状態で支持レール24の前後中間部にボルト連結されている。つまり、取付ブラケット41の上部は支持レール24の前後中間部にボルト連結されている。
【0034】
第一ブラケット部41Aと第二ブラケット部41Bとの夫々は、板状部材を折り曲げ形成されたものである。第一ブラケット部41Aの下部が段差状に曲げ形成され、第二ブラケット部41Bの上部が段差状に曲げ形成されている。このため、第一ブラケット部41Aの下部と第二ブラケット部41Bの上部との間に、支持部材42及び案内回転体28が入り込む空間が形成されている。
【0035】
支持部材42に、U字状部42Aとピン部42Bとステー部分42Cとが備えられている。U字状部42Aは、板状部材をU字状に折り曲げ形成されたものであって、第一ブラケット部41Aと第二ブラケット部41Bとの間の空間に位置する。U字状部42Aの上部にピン部42Bがボルト連結されている。案内回転体28とピン部42Bとの間にボールベアリングが介在し、案内回転体28がピン部42Bに回転自在に支持される。
【0036】
第一ブラケット部41Aと第二ブラケット部41Bとの夫々に長孔41hが穿孔され、二つの長孔41hの夫々の長手方向は上下方向に沿う。ピン部42Bは、二つの長孔41hの両方を貫通する状態で機体左右方向に延びる。このため、支持部材42は、二つの長孔41hの長手方向に沿って上下にスライド可能に構成されている。
【0037】
第一ブラケット部41Aの下部における段差状部分41kに丸孔が穿孔され、ボス部41Cの上端部が当該丸孔の外周部分に溶接固定されている。ボス部41Cは、当該丸孔の外周部分から下方に延びる。ボス部41Cに支持アーム43が内嵌し、ボス部41Cの上端部がU字状部42Aの下部に連結されている。ボス部41Cの上端部とU字状部42Aの下部とは、溶接によって連結されても良いし、ボルトによって連結されても良い。
【0038】
この構成によって、案内回転体28は、支持部材42及び支持アーム43と一体的に、二つの長孔41hの長手方向に沿って上下にスライド可能に構成されている。換言すると、案内回転体28は、一方向に変位可能なように構成されている。
【0039】
コイルバネ44は、支持アーム43に外嵌し、支持部材42におけるU字状部42Aの下端部と、第一ブラケット部41Aの段差状部分41kと、の間に圧縮された状態で介在する。コイルバネ44は、案内回転体28と支持部材42と支持アーム43とを上方向にスライドさせるように付勢する。この構成によって、コイルバネ44は、一方向に沿って伸縮動作可能に構成され、案内回転体28をフィードチェーン22に係合させるように付勢する。コイルバネ44は圧縮され、延びる方向に付勢されている。
【0040】
ボス部41Cの下端部に鍔部41fが形成されている。支持アーム43の下端部にナットNuが締められている。ナットNuと鍔部41fとが当接することによって、案内回転体28と支持部材42と支持アーム43との上方向へのスライドが規制される。
【0041】
第三ブラケット部41Dは、第一ブラケット部41Aにおける長孔41hと段差状部分41kとの間の部分と連結され、第一ブラケット部41Aよりも機体横外方に突出する。第三ブラケット部41Dの機体横外部は下方に屈曲し、第三ブラケット部41Dの下端部に位置検出部45が固定されている。また、ステー部分42Cは、U字状部42Aの下部のうち、第一ブラケット部41Aの位置する側の側部とボルト連結され、第一ブラケット部41Aよりも機体前方かつU字状部42Aよりも機体横外方に突出する。ステー部分42Cの機体横外部は下方に屈曲する。
【0042】
位置検出部45は、いわゆるポテンショメータである。位置検出部45にアーム部分45Aと連結ピン部分45Bとが備えられている。アーム部分45Aは機体横向きの軸芯X1まわりに揺動するように構成され、アーム部分45Aの遊端部とステー部分42Cとが前後方向において重複する。アーム部分45Aの遊端側領域に長孔45hが形成され、長孔45hの長手方向はアーム部分45Aの延び方向に沿う。連結ピン部分45Bが、長孔45hを貫通した状態で、ステー部分42Cにピン連結される。これにより、ステー部分42Cが上下にスライドすると、
図5のθで示すように、アーム部分45Aが上下揺動する。そして、位置検出部45は、検出したθの値に基づいてステー部分42Cの上下のスライド量を検出可能なように構成されている。つまり、位置検出部45は、一方向における案内回転体28の変位量Vを検出するように構成されている。
【0043】
張力検出部40は、二つの案内回転体27,29の間に位置するように配置されている。二つの案内回転体27,29は、本発明の『第一案内体』である。
図3で示すように、案内回転体28は、案内回転体29と略同じ配置高さに配置され、案内回転体27よりも上側に位置する。また、二つの案内回転体27,29と、張力検出部40と、の夫々は駆動スプロケット36よりも回動方向上手側に配置されている。このため、駆動スプロケット36が回転すると、フィードチェーン22のうち、駆動スプロケット36よりも回動方向上手側部分には引張力が作用する。そして、張力検出部40における案内回転体28は、フィードチェーン22から下方向の力を受ける。
【0044】
案内回転体28は、二つの案内回転体27,29の間に挟まれており、案内回転体27よりも上側に位置する。このため、フィードチェーン22のうち、駆動スプロケット36よりも回転方向上手側に位置する部分に引張力が作用すると、フィードチェーン22から案内回転体28に対して下方向の押圧力が作用する。これにより、案内回転体28が下方向に変位し、案内回転体28の変位量Vが位置検出部45によって検出される。この手法によって、位置検出部45はフィードチェーン22の張力を検出する。
【0045】
〔ロック検知部について〕
本実施形態の枝豆収穫機では、マイクロコンピュータが搭載されている。当該マイクロコンピュータに、CPU、FPGA、ASIC、DRAM等のメモリ、記憶媒体等が備えられている。コンピュータプログラムは、FPGAに実装されていたり、記憶媒体に記憶されていたりする。記憶媒体として、例えばEEPROMやSSDが例示される。
図6に示すように、当該マイクロコンピュータのコンピュータプログラムとして、ロック検知部50と停止部51とが備えられている。ロック検知部50は、フィードチェーン22のロックが発生しているかどうかを検知する。
【0046】
例えば、フィードチェーン22の上部とガイドレール23の下部との間に異物が挟まったり、フィードチェーン22と案内回転体26~31との間に異物が挟まったりすると、フィードチェーン22が回動できなくなることが考えられる。この状態で、駆動スプロケット36が回転しようとすると、フィードチェーン22のうち、駆動スプロケット36よりも回転方向上手側に位置する部分に引張力が強く作用する。このとき、案内回転体28は、コイルバネ44の付勢する側と反対側へ変位する。そして、ロック検知部50は、張力検出部40によって検出された張力が予め設定された閾値よりも大きくなると、フィードチェーン22のロックが発生したことを検知する。つまり、ロック検知部50は、案内回転体28の変位量Vが予め設定された閾値よりも大きくなると、フィードチェーン22のロックが発生したことを検知する。このとき、ロック検知部50は停止部51に停止指令信号を出力する。そして停止部51は、ロック検知部50から停止指令信号を受け取ると、枝豆収穫機のエンジン(不図示)を停止させる。これにより、エンジンからの回転動力が遮断され、フィードチェーン22の駆動が停止する。つまり、停止部51は、ロック検知部50によってフィードチェーン22のロックが発生したことが検知されると、フィードチェーン22の駆動を停止させる。これにより、フィードチェーン22や案内回転体26~31や駆動スプロケット36の損傷の虞が防止される。また、本実施形態の構成であれば、エンジン(不図示)と駆動スプロケット36との間に介在する伝動機構の損傷の虞が防止される。
【0047】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0048】
(1)上述の実施形態では、張力検出部40はフィードチェーン22の張力を検出する。この実施形態に限定されず、例えば、張力検出部40が、搬送ベルト12の張力を検出しても良い。この場合、搬送ベルト12がゴム製のベルトに代えて、チェーンによって構成されても良い。
【0049】
(2)上述の実施形態では、停止部51は、ロック検知部50から停止指令信号を受け取ると、枝豆収穫機のエンジン(不図示)を停止させる。この実施形態に限定されず、停止部51は、ロック検知部50から停止指令信号を受け取ると、エンジンを停止させない構成であっても良い。この場合、停止部51は、フィードチェーン22と、収穫部3を含めてフィードチェーン22よりも作物Aの搬送方向上手側の機構と、を停止させる構成であっても良い。この場合、分離部5等、フィードチェーン22よりも作物Aの搬送方向下手側の機構の動作が継続する構成であっても良い。
【0050】
(3)上述の実施形態では、二つの案内回転体27,29が備えられているが、案内回転体29の位置する箇所に、案内回転体29に代えて駆動スプロケット36が備えられる構成であっても良い。つまり、本発明における二つの『第一案内体』のうちの回転方向下手一方は、フィードチェーン22を駆動する駆動スプロケット36であっても良い。
【0051】
(4)上述の実施形態では、コイルバネ44は圧縮され、延びる方向に付勢されている。この実施形態に限定されず、コイルバネ44は縮む方向に付勢されても良い。つまり、ロック検知部50は、コイルバネ44の付勢する側と反対側への変位量Vが予め設定された閾値よりも大きくなると、フィードチェーン22のロックが発生したことを検知する構成であれば良い。加えて、コイルバネ44は、例えばトーションバネや空気バネであっても良い。
【0052】
(5)上述の実施形態では、作物収穫機の一例として枝豆収穫機が備えられているが、例えば作物収穫機が自脱型コンバインであっても良い。
【0053】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、作物の株元を支持しながら搬送するフィードチェーンが備えられた作物収穫機に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
3 :収穫部
22 :フィードチェーン
27 :案内回転体(第一案内体)
28 :案内回転体(第二案内体)
29 :案内回転体(第一案内体)
31 :案内回転体
36 :駆動スプロケット
40 :張力検出部
44 :コイルバネ(付勢体)
45 :位置検出部
50 :ロック検知部
51 :停止部
V :第二案内体の変位量