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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】塵芥収集車の人物認識装置
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240726BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240726BHJP
   B65F 3/20 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B65F3/00 L
B60P3/00 Q
B65F3/20 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021115107
(22)【出願日】2021-07-12
(62)【分割の表示】P 2017053227の分割
【原出願日】2017-03-17
(65)【公開番号】P2021178736
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-07-12
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 優介
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】米倉 秀明
【審判官】柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-154462(JP,A)
【文献】特開2004-269137(JP,A)
【文献】特開2007-204276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台の後部の塵芥投入箱と前記塵芥投入箱内に設けられて塵芥収容箱に塵芥を積込可能な塵芥積込装置とを備えた塵芥収集車に装備され、前記塵芥投入箱の背面に沿って前縁部とそれよりも車両後方側にある後縁部にわたって開口する塵芥投入口近傍の人物を認識する人物認識装置であって、
前記塵芥投入箱の外側であって前記塵芥投入口の上方に配設され、撮像レンズの中心が平面視で前記塵芥投入口の前記前縁部から前記後縁部の中間に位置するとともに当該撮像レンズの光軸が前記塵芥投入口に向けられたカメラと、
前記カメラによって撮影された画像データを入力して当該画像において車両後端より前位置となる前記塵芥投入口の前記後縁部を境界として車両前方側に設定される、前記塵芥投入口の上方の空間を含む危険なエリアに人物が居るか否か判定する画像処理装置と、
記塵芥積込装置の作動を停止する緊急停止装置とを備え、
前記塵芥積込装置の積込部材が人物の体の一部を巻き込む危険性がある危険な範囲にて作動していることを判定するように構成され、
前記緊急停止装置は、前記画像処理装置によって前記危険なエリアに人物が居ると判定され、かつ、前記積込部材が前記危険な範囲にて作動していると判定した場合に、前記塵芥積込装置の作動を停止させるように構成したことを特徴とする塵芥収集車の人物認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車の後部に設けられた塵芥投入口の近傍に居る作業者などを画像処理技術によって認識する人物認識装置に係り、特にカメラのレイアウトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より塵芥収集車においては、車台の後部に設けられた塵芥投入箱内に塵芥積込装置が装備されており、その塵芥投入箱内に塵芥投入口から投入される塵芥を回転板や積込板などによって掻き込んで、塵芥収容箱に積み込むようになっている。また、そうして塵芥投入口に塵芥を投入する作業者などが、不注意によって塵芥積込装置に巻き込まれることを防止するために、塵芥投入口の近傍の人物を監視する監視システムが種々、提案されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の監視システムでは、塵芥投入箱の後方上部に撮像手段としてのカメラを配設して、下方の塵芥投入口およびその後方の所定エリアを撮影するようにしている。そして、塵芥積込装置の作動中に前記カメラによって撮影される画像において、予め設定されている進入禁止領域内に人物が侵入したと判定すれば、塵芥積込装置の作動を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4283568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来例の監視システムにおいては、カメラを斜め後方に傾斜させて配設し、その撮像レンズの光軸を鉛直下方から後方に大きく振り向けている。このため、撮影された画像においては塵芥投入口と後方の人物との間隔(前後方向の間隔)が一部、画面の奥行き方向に表れることになってしまい、この人物が塵芥投入口のすぐ近くにいるのか、離れているのか区別し難いという難がある。
【0006】
すなわち、図9に一例を示すように、カメラCの撮像レンズの光軸Aが後方に大きく振り向けられ、鉛直下向きからの傾斜角度θが大きくなると、塵芥投入口の上方の危険なエリア(ハッチングで示す)に人物Hの頭部が入りかけていても、画像平面においては塵芥投入口の後縁部、即ち危険なエリアおよび安全なエリアの境界線Bと、人物の頭部との間に大きな間隔Dがあるように見えてしまうのである。
【0007】
このように従来例の監視システムでは、人物が境界線を越えて危険なエリアに侵入したときに、その判定が遅れてしまい、塵芥積込装置の作動停止が間に合わなくなるおそれがある。一方で、そうならないように判定の基準を変更すると、人物が危険なエリアに侵入していないにも関わらず、侵入したと誤判定するようになって、不要な作動停止が頻発してしまい、利便性が損なわれるおそれがある。
【0008】
かかる点に着目して本発明の目的は、カメラのレイアウトに工夫を凝らし、これにより撮影した画像から人物が塵芥投入口の近傍(前記危険なエリア)に居るか否か、より正確に判定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の人物認識装置は、車台の後部の塵芥投入箱と前記塵芥投入箱内に設けられて塵芥収容箱に塵芥を積込可能な塵芥積込装置とを備えた塵芥収集車に装備され、前記塵芥投入箱の背面に沿って前縁部とそれよりも車両後方側にある後縁部にわたって開口する塵芥投入口近傍の人物を認識する人物認識装置であって、前記塵芥投入箱の外側であって前記塵芥投入口の上方に配設され、撮像レンズの中心が平面視で前記塵芥投入口の前記前縁部から前記後縁部の中間に位置するとともに当該撮像レンズの光軸が前記塵芥投入口に向けられたカメラと、前記カメラによって撮影された画像データを入力して当該画像において車両後端より前位置となる前記塵芥投入口の前記後縁部を境界として車両前方側に設定される、前記塵芥投入口の上方の空間を含む危険なエリアに人物が居るか否か判定する画像処理装置と、前記塵芥積込装置の作動を停止する緊急停止装置とを備え、前記塵芥積込装置の積込部材が人物の体の一部を巻き込む危険性がある危険な範囲にて作動していることを判定するように構成され、前記緊急停止装置は、前記画像処理装置によって前記危険なエリアに人物が居ると判定され、かつ、前記積込部材が前記危険な範囲にて作動していると判定した場合に、前記塵芥積込装置の作動を停止させるように構成したことを特徴とする。
【0010】
このように構成された人物認識装置では、塵芥投入口の上方に配設されたカメラの撮像レンズの中心が、平面視で塵芥投入口の前縁部またはそれよりも後方に位置しているので、ここから下方の塵芥投入口に向けた撮像レンズの光軸の方向は、従来例(特許文献1)に比べると鉛直下向きに近くなる。これにより、撮影される画像の奥行き方向が鉛直方向に近づき、この画像における塵芥投入口と後方の人物との前後方向の間隔が主に画像平面上に表れるようになる。
【0011】
このため、前記画像のデータに基づき画像処理装置において、塵芥投入口に後方から近づいてきた人物が危険なエリアに侵入したか否か、従来よりも正確に判定することができるようになる。よって、その判定結果に基づいて塵芥積込装置の作動を停止させることにより、不要な作動停止の頻度を低下させつつ、作動停止の遅れを抑制して、安全性を十分に確保できる。
【0012】
また、例えば回転式の塵芥積込装置の回転板のような積込部材が塵芥投入箱内で塵芥投入口とは反対側(塵芥収容箱に近い側)を回動しており、人物が塵芥投入口の近傍に居ても危険はないにもかかわらず、画像処理装置による判定の結果に基づいて、塵芥積込装置の作動が緊急停止されることはなくなる。つまり、塵芥積込装置の不要な作動停止の頻度をさらに低くすることができ、利便性の向上が図られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る塵芥収集車の人物認識装置によれば、撮影された画像において塵芥投入口と後方の人物との間隔が主に画像平面上に表れるようになって、画像処理による人物の位置の判定が従来よりも正確に行える。また、人物が塵芥投入口の近傍に居ても危険はないにもかかわらず、画像処理装置による判定の結果に基づいて、塵芥積込装置の作動が緊急停止されることはなくなる。これにより、不要な作動停止による利便性の低下を抑えつつ、十分な安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る塵芥収集車を示す側面図である。
図2図1の塵芥収集車に装備された塵芥積込装置の説明図である。
図3図1の塵芥収集車の塵芥積込装置の油圧回路図である。
図4図1の塵芥収集車の制御装置とその入出力状態を示す概略図である。
図5図1の塵芥収集車に装備された人物認識装置の概略構成を示す説明図である。
図6】画像処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図7】カメラによって撮影された画像の一例を示す説明図である。
図8】カメラのレイアウトが異なる他の実施形態を示す図5相当図である。
図9】従来例の人物認識装置のカメラのレイアウトを示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を回転式の塵芥収集車に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては便宜上、塵芥収集車の前後左右を単に前後左右と呼ぶこともある。
【0016】
図1には、本発明の実施形態に係る人物認識装置を装備した塵芥収集車100を示し、その車台1上には塵芥収容箱2と塵芥投入箱3とが設けられていて、塵芥収容箱2の後方の開口部と塵芥投入箱3の前面の開口部とが連通されている。また、塵芥投入箱3は、その上部に設けられた左右方向の枢軸3aによって軸支されており、図示しないが、左右一対の傾動シリンダによって傾動されるようになっている。
【0017】
また、前記塵芥投入箱3の背面における下寄りの部位には、塵芥を投入するための矩形状の塵芥投入口4(図7も参照)が開口され、昇降可能なテールゲート5によって開閉されるようになっている。この塵芥投入口4の左側方には、塵芥積込装置の作動などの操作のためのスイッチボックス6が設けられており、また、塵芥投入口4の上方には、詳しくは後述するが、塵芥投入口4の近傍を撮影するようにカメラ7が配設されている。
【0018】
図2に拡大して示すように塵芥投入箱3の内部には、投入された塵芥を塵芥収容箱2に積み込む塵芥積込装置が装備されている。本実施形態の塵芥積込装置は、回転板10(積込部材)の回転によって塵芥を掻き上げるとともに、押込板20によって塵芥収容箱2内へと押し込む、いわゆる回転式のものである。すなわち、まず、塵芥投入箱3内の下部においてその幅方向に延びるように回転軸11が架設され、これに回転板10の基端側が固定されている。
【0019】
図示の例では前記回転軸11の端部に減速機構12を介して正逆回転可能な油圧モータ13が連結されている。よって、油圧モータ13の回転は減速機構12によりトルクアップされて回転軸11に伝達され、この回転軸11と一体に回転板10が回転されることで、その先端部は、断面略半円弧状に形成された塵芥投入箱3の底壁に沿って前後方向に移動するようになる。
【0020】
一方、押込板20は、前記回転板10の上方において塵芥投入箱3の幅方向全体に亘って設けられ、その上部に設けられた左右方向の揺動軸21の周りに前後方向に揺動自在に支持されている。また、押込板20には、揺動軸21よりも上方に延びる延設部22が設けられ、この延設部22とその前方の支持ピン23との間に押込シリンダ24が架設されており、その伸縮作動によって押込板20を前後方向に揺動させるようになっている。
【0021】
すなわち、図2に実線で示すように押込板20が塵芥収容箱2の側に最も揺動した位置(前進限界位置)にあるときは、この押込板20に干渉することなく回転板10が上方に回動するようになり、これに遅れて押込板20が塵芥投入口4側へ揺動する。そして、押込板20が塵芥投入口4側に最も揺動し、図2には仮想線で示す後退限界位置に達した後も、回転板10の回動は継続される。
【0022】
こうして回転する回転板10は、塵芥を塵芥収容箱2側に掻き込んで、図2に実線で示すように前方の塵芥収容箱2側に延びる設定停止位置に一旦、停止する。そうすると今度は押込板20が塵芥収容箱2側に揺動して、回転板10上の塵芥を塵芥収容箱2に押し込んでゆく。そして、押込板20が再び前記の前進限界位置に達すれば、再び回転板10が上方へ回動するようになる。
【0023】
このように互いに同期して回転板10の回転および押込板20の揺動が繰り返されることによって、塵芥投入箱3に投入された塵芥が連続的に塵芥収容箱2に積み込まれる(以下、塵芥積込作動と呼ぶ)。そのように回転板10および押込板20を作動させるための油圧回路および電子制御装置(制御系)の構成については以下に述べるが、そのために塵芥投入箱3の内部には、回転板10および押込板20の位置を検出するためのスイッチLS1~LS5が設けられている。
【0024】
すなわち、図2に表れているように、押込板20が前進限界位置または後退限界位置にあるときにそれぞれオンになるスイッチLS1,LS2と、回転板10が設定停止位置にあるときにオンになるスイッチLS3と、その設定停止位置から回転板10が正の向き(図1の時計回り)に所定角度回転したときにオンになるスイッチLS4と、さらに所定角度回転したときにオンになるスイッチLS5とが設けられている。
【0025】
なお、スイッチLS1,LS2は、押込板20の揺動軸21の端部に設けられた図示省略のドグを検出するようになっており、スイッチLS3~LS5は、回転板10の回転軸11の端部に設けられた図示省略のドグを検出するようになっている。また、これらのスイッチLS1~LS5としては例えば光電スイッチ、近接スイッチなどを使用することができる。
【0026】
前記のスイッチLS4,LS5は、図2にハッチングを入れて示すように、回転板10が塵芥投入口4の前縁部4aの真下から、その後方へ回転しつつ下降して塵芥投入口4の後縁部4bに最も近接するまでの角度範囲Zを検出するものである。この角度範囲Zにおいては回転板10が作業者の体の一部を巻き込む危険性があるので、以下では危険な角度範囲Zと呼ぶ。
【0027】
さらに、図1、2に表れているように塵芥投入口4の近傍には、塵芥積込装置の作動を停止させるための緊急停止ボタン60,61や緊急停止プレート62などが配設されている。図1に表れているように塵芥投入口4の左側のスイッチボックス6に緊急停止ボタン60が配設され、また、図2に破線で示すように塵芥投入口4の右側に緊急停止ボタン61が配設されている。緊急停止プレート62は、塵芥投入口4の下方においてスイッチSW3をオンオフするように配設されている。
【0028】
-塵芥積込装置の制御系-
次に、図3および図4を参照して、前記のように塵芥積込装置を作動させるための制御系について説明する。この制御系は、塵芥積込装置の油圧モータ13や押込シリンダ24などに供給する油圧を制御する油圧回路と、この油圧回路に設けられた電磁制御弁V1,V2に制御信号を出力する制御装置PLC(プログラマブル ロジック コントローラ)と、を備えている。
【0029】
まず、図3を参照して油圧回路について説明すると、この油圧回路は、油圧ポンプPと、オイルリザーバTと、押込シリンダ24を制御するための電磁制御弁V1と、油圧モータ13を制御するための電磁制御弁V2と、を備えている。なお、油圧ポンプPには、図示しないが、エンジンの駆動力がPTO(パワー テイク オフ)を介して伝達されるようになっている。
【0030】
一例として電磁制御弁V1,V2は、いずれも6ポート3位置の電磁式の方向切換弁からなる。電磁制御弁V1は、ソレノイドSOLaが励磁されると第1連通位置(図の上位置)に切り換わって、油圧ポンプPからの作動油を一対の押込シリンダ24のロッド側油室に供給する一方、ソレノイドSOLbが励磁されると第2連通位置(図の下位置)に切り換わって、作動油をヘッド側油室に供給する。
【0031】
そうして電磁制御弁V1から作動油がヘッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24が伸長作動して押込板20を前方に揺動させる。一方、作動油がロッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24は収縮作動して、押込板20を後方に揺動させる。また、いずれのソレノイドSOLa,SOLbも励磁されていないときに、電磁制御弁V1は中立位置(図の中央位置)に復帰するようになる。
【0032】
一方、電磁制御弁V2は、ソレノイドSOLcが励磁されると第1連通位置(図の下位置)に切り換わって、作動油を油圧モータ13の正転側油室に供給し、当該油圧モータ13を正転作動させる。一方、ソレノイドSOLdが励磁されると電磁制御弁V2は第2連通位置(図の上位置)に切り換わって、作動油を油圧モータ13の逆転側油室に供給し、当該油圧モータ13を逆転作動させる。
【0033】
また、いずれのソレノイドSOLc,SOLdも励磁されていないときに、電磁制御弁V2は中立位置(図の中央位置)に復帰するようになる。電磁制御弁V1,V2の両方が中立位置にあるとき、作動油はオイルリザーバTへ還流するようになる。なお、図示の油圧回路において符号V3はチェック弁であり、また、符号V4は、油圧ポンプPの吐出圧の上限を設定するためのリリーフ弁である。
【0034】
次に、図4を参照して制御装置PLCにおける信号の入出力状態について説明する。まず、制御装置PLCへの電力供給は図の左上に示すバッテリBTによって行われるものである。このバッテリBTと図の右側のグランドラインK1との間に、図の最上部を左右に延びるように通電ラインK2が接続されていて、ここには、塵芥収集車100のキースイッチSWK、PTOスイッチSWP、リレーコイルCR1などが介設されている。
【0035】
また、前記キースイッチSWKおよびバッテリBTの中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、この通電ラインK3を介して制御装置PLCの信号用電力供給部(図示せず)に電力が供給されるようになっている。すなわち、通電ラインK3の上流側(バッテリBTに近い側)には前記リレーコイルCR1の接点cr1が介設されており、リレーコイルCR1がオンになると接点cr1が閉じられて、通電ラインK3に通電するようになる。
【0036】
この通電ラインK3は、塵芥積込装置の塵芥積込作動中には必ず通電されるものであって、図2を参照して上述した緊急停止ボタン60,61および緊急停止プレート62の操作に対応して開閉されるスイッチSW1~SW3が介設されている。これらのスイッチSW1~SW3によって通電が遮断されると、制御装置PLCの作動が停止されることによって塵芥積込装置の作動が停止される。そして、詳しくは後述するが通電ラインK3には画像処理ユニット8も介設されている。
【0037】
さらに、図4の左側に表れているように、前記の接点cr1よりも下流側(バッテリBTから遠い側)で通電ラインK3から分岐するように複数の分岐ラインの上流端が接続されており、これらの分岐ラインのそれぞれに図2を参照して上述したスイッチLS1~LS5が介設されている。これらのスイッチLS1~LS5からの信号に基づいて、塵芥積込装置の回転板10および押込板20の位置、即ち作動状況が検出される。
【0038】
なお、前記のスイッチLS1~LS5の他に制御装置PLCへの入力側には、図示はしないが塵芥積込装置の始動および停止スイッチ、塵芥積込作動の単動または連続の選択スイッチ、塵芥積込作動および塵芥排出作動の選択スイッチ、回転板10や押込板20を単独で作動させるスイッチ、塵芥投入箱3を傾動させて開放するスイッチなども接続されている。
【0039】
前記のように各種スイッチが入力側に接続されている一方、制御装置PLCの出力側(図4の右側)には、電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdなどが接続されている。そして、制御装置PLCは、スイッチSW1~SW3,LS1~LS5などから入力する信号に基づいて、予め設定された手順に従い油圧モータ13や押込シリンダ24などを作動させるべく、対応するソレノイドSOLa~SOLdに出力するようにプログラムされている。
【0040】
すなわち、例えば塵芥積込装置が塵芥積込作動するときには、通電ラインK2上のキースイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれも閉じられて、リレーコイルCR1に通電される。これにより、リレーコイルCR1の接点cr1が閉じられるので、通電ラインK3によって通電されることにより、制御装置PLCが作動可能な状態になって適宜、ソレノイドSOLa~SOLdに制御信号を出力するようになる。
【0041】
この制御信号を受けてソレノイドSOLa~SOLdが励磁され、電磁制御弁V1,V2の位置が適宜、切り換えられることで、油圧モータ13や押込シリンダ24などに作動油圧が供給される。これにより、油圧モータ13や押込シリンダ24などがそれぞれ作動し、図2を参照して上述したように、回転板10の回転および押込板20の揺動が互いに同期して繰り返されることになる。
【0042】
詳しくは、まず図2に実線で示すように押込板20が前進限界位置にあって、スイッチLS1からオン信号が出力されるとともに、回転板10が設定停止位置にあって、スイッチLS3からもオン信号が出力されるときに、これらの信号を受けた制御装置PLCから制御信号が出力され、電磁制御弁V2が第1連通位置に切り換えられて、油圧モータ13が正転作動を開始する。これにより、回転板10は上方に回動し始める。
【0043】
そして、所定の期間が経過すると制御装置PLCから電磁制御弁V1のソレノイドSOLaへ制御信号が出力されて、電磁制御弁V1が第1連通位置に切り換えられ、押込シリンダ24が収縮作動を開始する。これにより押込板20は後方の塵芥投入口4側へ揺動するようになり、この押込板20が後退限界位置に達すると、スイッチLS2からオン信号が出力される。
【0044】
これを受けて制御装置PLCがソレノイドSOLaへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込板20の揺動が停止する。また、そうして押込板20が揺動している間も回転板10の回動は継続しており、塵芥を塵芥収容箱2側に掻き込んでゆくが、こうして回動する押込板20が設定停止位置に至り、スイッチLS3からオン信号が出力される。
【0045】
これを受けて制御装置PLCが、電磁制御弁V2のソレノイドSOLcへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V2が中立位置に復帰し、油圧モータ13の回動が停止する。また、制御装置PLCは、電磁制御弁V1のソレノイドSOLbへ制御信号を出力し、電磁制御弁V1が第2連通位置に切り換えられて、押込シリンダ24が伸長作動を開始することで、押込板20が前方へ揺動し始める。
【0046】
こうして前方の塵芥収容箱2側に揺動する押込板20が、回転板10上の塵芥を塵芥収容箱2に押し込んでゆき、前進限界位置に達すれば、スイッチLS1からオン信号が出力される。これを受けて制御装置PLCがソレノイドSOLbへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込シリンダ24の伸長作動、即ち、押込板20の前方への揺動が停止する。
【0047】
-人物認識装置および緊急停止装置-
ところで、前記のように塵芥積込装置が塵芥積込作動をしているときには、塵芥投入口4に塵芥を投入している作業者が不注意から回転板10などに巻き込まれるおそれがある。そこで、本実施形態の塵芥収集車100においては、塵芥投入口4の近傍を撮影するようにカメラ7を配設し、画像処理によって塵芥投入口4近傍の危険なエリアに人物が居ると判定すれば、直ちに塵芥積込装置の作動を停止させるようにしている。
【0048】
すなわち、前記の図1、2に表れている他、図5にも示すように、塵芥投入箱3の背面の上部、即ち塵芥投入口4の上方にはカメラ7が配設され、下方の塵芥投入口4近傍を撮影している。こうして撮影された画像のデータは画像処理ユニット8(画像処理装置であり、例えば図1に破線で示すように運転席周辺に配設されている)に送信され、塵芥投入口4の前縁部4aおよび後縁部4bの間の危険なエリア(図5にハッチングを入れて示す)に人物Hが居るか否かの判定が行われる。
【0049】
上述したように塵芥積込装置の積込作動時にはキースイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれも閉じられており、通電ラインK3によって制御装置PLCに通電されている。そして、図4に表れているように通電ラインK3の途中に画像処理ユニット8が介設されており、前記のようにして危険なエリアに人物Hが居ると判定すれば、制御装置PLCへの通電を遮断するようになっている。
【0050】
以下に、まず、画像処理による人物認識の手法について説明すると、図5に模式的に示すように画像処理ユニット8には、所定のプログラムを実行して各種の制御を行う中央処理部CPU、カメラ7からの画像データを入力して、以下のような公知の画像処理を行う画像処理部DSP、それら中央処理部CPUや画像処理部DSPにおいて使用されるデータを記憶するメモリM、中央処理部CPUの指令を受けて開閉されるリレースイッチSW4などが設けられている。
【0051】
なお、図示はしないが画像処理ユニット8には、画像など種々のデータを一時記憶するバッファ、中央処理部CPUの指令を受けてカメラ7の制御を行うカメラ制御回路なども設けられている。また、本実施形態では、塵芥収集車100の運転者が後方を監視するためのバックカメラをカメラ7として利用しており、画像処理ユニット8には、そのモニタに画像処理の結果などを表示させる画像出力回路も設けられている。
【0052】
-画像処理のルーチン-
前記の画像処理部DSPは、公知の画像処理ロジックを高速で行う一般的な集積回路であり、例えば入力画像データの二値化処理と、この二値化された画像データにおいて互いに近接する各画素について領域化するラベリング処理と、ラベリングにより領域化された物体像の領域が人物像であることを識別する人物識別処理と、人物像と識別された物体像の位置が危険なエリアか否か判定する人物位置判定処理とを行う。
【0053】
具体的に、図6のフローチャートを参照して画像処理のルーチンについて説明すると、まず、スタート後のステップS1において二値化処理が行われる。これは例えば、入力画像データについて各画素毎の輝度値が予め設定された閾値以上である場合に最大輝度値とし、閾値未満であれば最小輝度値とする処理である。生成される二値化画像データは、ノイズや光量変化の影響の多くが除去されたものとなる。
【0054】
次にステップS2ではラベリング処理が行われる。これは、前記の二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、例えば同じ輝度値に属するとともに、所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域と見なす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものが、それぞれ物体像として認識される。
【0055】
そして、続くステップS3~S5において、前記それぞれの物体像についての人物識別処理が行われる。本実施形態では、図5を参照して上述したように塵芥投入口4の上方にカメラ7を配設し、下方の塵芥投入口4近傍を撮影するようにしている。このため、その画像には、図7に一例を示すように人物Hの頭部が大きく表示されるとともに、上方から見た顔の一部も表示されることになる。つまり、画像データには人物Hの顔の情報も含まれている。
【0056】
そこで、まずステップS3では、予め設定されている頭部(顔も含む)の特徴データ、即ち例えば頭部の大きさや形状、頭髪の状態などを示すデータを参照し、この特徴データの条件を満たすような物体像を、仮に人物Hの頭部と判定する。なお、特徴データについては予め多くの人物の頭部(顔も含む)の画像を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したものであって、画像処理ユニット8のメモリMに格納されている。
【0057】
そうして「仮に頭部」と判定した物体像について、それ以外の物体像と識別する処理をステップS4,S5で行う。まず、ステップS4では、カメラ7から時系列に入力される複数の画像データの差分処理(各画素毎の輝度値の差を求める処理)によって、物体像の位置の変化を検出する。そして、この位置の変化、即ち物体像の移動距離を、それに要した時間(画像データを取得する時間間隔)で除算して、物体像の移動速度を算出する。
【0058】
そして、算出した移動速度が予め設定した閾値以下であるか否か、ステップS5において判定する。この閾値は、塵芥投入口4に塵芥を投入する作業者の頭部の移動速度と、投入される塵芥の移動速度とを区別できるように、予め実験などによって設定されている。よって、算出した移動速度が閾値よりも高ければ、動作が速すぎるので人物Hの頭部ではないと識別し、否定判定して(NO)ルーチンを終了する(エンド)。
【0059】
一方、前記ステップS5において移動速度が閾値以下であると肯定判定すれば(YES)、物体像は人物Hの頭部であると識別してステップS6に進み、この物体像が予め設定されている危険なエリアに入っているか否か判定する。これは、物体像を形成する領域の外形をなす画素の位置座標が危険なエリアの境界線B(塵芥投入口4の後縁部4b)よりも前方にあるか否かによって判定できる。
【0060】
よって、人物Hの頭部と識別した物体像が危険なエリアに入っていると肯定判定すれば(YES)、ステップS7に進んで塵芥積込装置の作動を停止させるべく、中央処理部CPUへ停止信号を出力し、画像処理ルーチンを終了する(エンド)。一方、物体像が危険なエリアに入っていないと否定判定すれば(NO)、停止信号は出力せずに画像処理ルーチンを終了する(エンド)。
【0061】
そうして画像処理部DSPから停止信号が発せられると、これを受けた中央処理部CPUはリレースイッチSW4を開放させる。すなわち、図示しないリレーコイルに通電してスイッチの接点を開くことにより、通電ラインK3による制御装置PLCへの通電を遮断する。これにより制御装置PLCの作動が強制的に停止されるので、仮に制御装置PLCに何らかの異常があっても、電磁制御弁V1,V2の全てのソレノイドSOLa~SOLdへの通電が停止されることになる。
【0062】
よって、第1連通位置または第2連通位置にある電磁制御弁V1,V2が全て中立位置に復帰するようになり、その結果、直ちに油圧モータ13および押込シリンダ24の作動が停止される。このように本実施形態では、画像処理ユニット8の中央処理部CPUと、リレースイッチSW4とによって、塵芥積込装置の作動を停止させる緊急停止装置が構成されている。
【0063】
-カメラのレイアウト-
次に、図5を参照して上述したカメラ7のレイアウトについて詳細に説明する。本実施形態では、前記図6のフローのステップS6において、人物Hの頭部と識別した物体像の外形をなす画素の位置座標が、境界線B(塵芥投入口4の後縁部4b)を越えて危険なエリアに入っているか否か判定するようにしており、この判定を正確に行うためにカメラ7を塵芥投入口4のほぼ真上に配設している。
【0064】
すなわち、図9に一例を示すように、仮にカメラ7を塵芥投入口4の前縁部4aよりも前方に配設した場合、下方の塵芥投入口4およびその後方の人物Hを撮影するために、撮像レンズ70の光軸Aを鉛直下方から後方に大きく振り向けなくてはならない。このようにすると、カメラ7によって撮影した画像において塵芥投入口4の後縁部4bと後方の人物Hとの間隔Dを画像平面上で正確に検出することが難くなる。
【0065】
詳しくは前記の図9に表れているように、撮像レンズ70の光軸Aの鉛直下向きから後方への傾斜角度θが大きくなると、図示のように塵芥投入口4の上方の危険なエリア(ハッチングで示す)に人物Hの頭部が入りかけていても、画像平面においては塵芥投入口4の後縁部4b(境界線B)と人物Hの頭部との間に大きな間隔Dがあるように見えてしまうからである。
【0066】
そこで、本実施形態ではカメラ7を、塵芥投入箱3の上部から後方に向かって延びるステー71の後端部に取り付けて、その撮像レンズ70の中心が平面視(図示はしないが、上方から視た平面視)で塵芥投入口4の前縁部4aおよび後縁部4bの中間(図5の例では後縁部4bのほぼ真上)に位置するようにしている。なお、カメラ7はステー71に対して、撮像レンズ70の光軸Aの向きを調整可能に取り付けている。
【0067】
このレイアウトによって、図示のように側方視では撮像レンズ70の光軸Aが鉛直下向きになって、ほぼ塵芥投入口4の後縁部4bを通過するようになり、カメラ7によって撮影された画像の奥行き方向は実質、上下方向(鉛直方向)になる。このことで図5に示すように、危険なエリアの境界線Bとその後方の人物Hとの間に間隔Dがあれば、この間隔Dがそのまま画像平面上に表れるようになる。
【0068】
すなわち、前記図7に示す画像において危険なエリアの境界線Bと後方の人物Hの頭部との間隔D(図7の上下方向の間隔D)は、そのまま図5に示す前後方向の間隔Dを表すものとなる。よって、この画像のデータに基づいて、人物Hが境界線Bを越えて危険なエリアに入ったか否かの判定(図6のフローのステップS6の判定)を極めて正確に行うことができるのである。
【0069】
なお、そのように画像データに基づいて正確な判定を行うために、前記のようにカメラ7の撮像レンズ70の中心を塵芥投入口4の後縁部4bのほぼ真上に配置する必要はない。十分な効果を得るためには撮像レンズ70の中心を、平面視で塵芥投入口4の前縁部4aから後縁部4bの中間に配置すればよい。この場合、塵芥投入口4の前縁部4aおよび後縁部4bの真上も含まれる。
【0070】
これは、仮に後縁部4bよりも後方に撮像レンズ70の中心を位置づけようとすると、カメラ7が塵芥収集車100の後方に大きく突出してしまい、ステー71が長くなり過ぎる結果として、振動による不具合などを招来するからである。一方、塵芥投入口4の前縁部4aよりも前方に撮像レンズ70の中心を位置づけようとすると、図9を参照して上述したように自ずと光軸Aの後方への傾斜角度θが大きくなってしまうからである。
【0071】
この判定の精度という観点からは、撮像レンズ70の中心は塵芥投入口4の前縁部4aおよび後縁部4bの中央から後寄りに位置するのが好ましい。そして、撮像レンズ70の光軸Aを鉛直下向きにするか、或いは少しだけ後方に傾斜させて、塵芥投入口4の後縁部4bに向けるようにすれば、前記実施形態と概ね同様に人物Hが危険なエリアに侵入したことを正確且つ迅速に判定できる。
【0072】
一方で、一例を図8に示すように撮像レンズ70の中心を塵芥投入口4の前縁部4aおよび後縁部4bの中央から前寄りに(図8の例では前縁部4aのほぼ真上に)位置づけてもよい。この場合も撮像レンズ70の光軸Aは鉛直下向きから後方に傾斜させて、塵芥投入口4の後縁部4bに向けることが好ましい。こうすれば、画像に含まれる顔についての情報が増えるので、人物Hであることの識別が容易になるというメリットがある。
【0073】
また、撮像レンズ70の光軸Aの後方への傾斜角度θが大きくなるほど、カメラ7の視野は塵芥収集車100の後方に向かって広がることになるので、バックカメラと共用する上で有利になる。但し、傾斜角度θを大きくするほど、図9を参照して上述したように人物Hが危険なエリアに侵入したことの判定が遅れ気味になるおそれがあるので、この場合は、画像中に設定する境界線Bを塵芥投入口4の後縁部4bよりも少し後方に設定してもよい。
【0074】
以上、説明したように本実施形態に係る人物認識装置によると、塵芥収集車100の後部の塵芥投入口4の上方に配設するカメラ7の撮像レンズ70を、塵芥投入口4の後縁部4bのほぼ真上に位置づけて、その光軸Aをほぼ鉛直下向きとしているので、撮影された画像において危険なエリアの境界線Bと後方の人物Hとの間隔Dが、ほぼそのまま前後方向の実際の間隔Dを表すようになる。
【0075】
よって、公知の画像処理技術によって人物Hが危険なエリアに居るか否か極めて正確に判定できるようになり、この判定結果に基づいて塵芥積込装置の作動を停止させるようにすれば、誤判定に起因する不要な作動停止の頻度を低下させて、利便性の低下を抑制できるとともに、十分な安全性を確保することができる。
【0076】
また、本実施形態では画像に含まれている物体像のうち、「仮に頭部」と判定した物体像の移動速度に基づいて、これが人物Hの頭部か否か識別するようにしているので、塵芥投入口4に投入される塵芥との識別の精度が向上する。そして、前記のように人物Hの移動方向(前後方向)が画像平面上に表れることは、その移動速度を正確に算出する上でも有利である。
【0077】
さらに本実施形態では、塵芥収集車100を側方から見てカメラ7の撮像レンズ70の光軸Aが、塵芥投入口4のほぼ後縁部4bを通過するようにしているので、この後縁部4b、即ち安全なエリアと危険なエリアとの境界線Bは、図7のように画像のほぼ中央に表れるようになる。よって、その境界線Bと後方の人物Hとの間隔Dは、カメラ7の光学系の歪みの影響を受け難いというメリットもある。
【0078】
-その他の実施形態-
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、これは1つの具体例を示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではないから、具体的な構成などは適宜、設計変更可能である。例えば前記の実施形態では、画像処理ユニット8を制御装置PLCへの通電ラインK3に介設して、リレースイッチSW4の開放により制御装置PLCへの通電を遮断するようにしているが、これには限定されない。
【0079】
すなわち、例えば画像処理ユニット8において人物Hが危険なエリアに居ると判定したときに、制御装置PLCに停止信号を出力し、これを受けた制御装置PLCによって電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdへの制御信号の出力を停止させるようにしてもよく、その他、塵芥積込装置の作動を停止させることができる構成であれば採用可能である。
【0080】
また、前記の実施形態では、画像処理ユニット8において画像処理部DSPからの停止信号を受けたときに、中央処理部CPUによってリレースイッチSW4を開放させるようにしているが、これにも限定されない。例えば、塵芥積込装置の回転板10の作動状態を検出するためのリミットスイッチLS4,LS5からの信号を、制御装置PLCだけでなく画像処理ユニット8にも入力するように構成し、回転板10が危険な角度範囲Z(図2を参照)にあり、且つ人物Hの頭部が危険なエリアに入っているときに、リレースイッチSW4を開放させるようにしてもよい。
【0081】
すなわち、塵芥積込装置の作動中であっても、回転板10が危険な角度範囲Z以外を回動しているときには、これによって作業者の体の一部が巻き込まれるおそれはないので、このときには人物Hが危険なエリアに居ても、塵芥積込装置の作動は停止させない。こうすれば、塵芥積込装置の不要な作動停止の頻度がさらに低くなるので、利便性の向上が図られる。
【0082】
さらに、前記実施形態では、いわゆる回転式の塵芥積込装置を装備した塵芥収集車100に本発明を適用した場合について説明しており、塵芥積込装置の主要部は回転板10および押込板20により構成されているが、これにも限定されず、塵芥積込装置の主要部は昇降板および押込板によって構成されていてもよく、その構造を特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0083】
100 塵芥収集車
1 車台
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
4 塵芥投入口
4a 前縁部
4b 後縁部
7 カメラ
70 撮像レンズ
8 画像処理ユニット(画像処理装置)
10 回転板(積込部材、塵芥積込装置)
13 油圧モータ(塵芥積込装置)
20 押込板(塵芥積込装置)
24 押込シリンダ(塵芥積込装置)
A 撮像レンズの光軸
CPU 画像処理ユニットの中央処理部(緊急停止装置)
SW4 画像処理ユニットのリレースイッチ(緊急停止装置)
LS4,LS5 スイッチ(積込部材が塵芥投入口の近傍にて作動していることを検出するためのセンサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9