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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】機器導入装置および機器導入方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20240726BHJP
   G21C 11/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G21F3/00 P
G21C11/02 200
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021159519
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049649
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水磨 裕之
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 崇
(72)【発明者】
【氏名】橋川 雄樹
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05934311(US,A)
【文献】特開昭58-045594(JP,A)
【文献】特開2013-167564(JP,A)
【文献】特開平3-289598(JP,A)
【文献】特開2020-045959(JP,A)
【文献】特開平10-048380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 1/00-7/06
G21C 11/00-13/00
G21C 17/00-17/14
G21C 19/00-19/50
G21C 23/00
G21D 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を閉止するように装着可能な蓋部材と、
一端部が前記蓋部材を貫通する複数の機器導入管と、
一端部が前記機器導入管の中途部に連通する封止部材挿入管と、
前記封止部材挿入管の他端部から前記機器導入管の内部に挿入可能であると共に前記機器導入管の内面に接触して封止可能な封止部材と、
を備える機器導入装置。
【請求項2】
前記封止部材挿入管は、前記機器導入管に対して前記機器導入管の他端部側に傾斜して連結される、
請求項1に記載の機器導入装置。
【請求項3】
前記封止部材は、バルーンと、前記バルーンの内部に気体を供給可能な気体供給管とを有する、
請求項1または請求項2に記載の機器導入装置。
【請求項4】
前記気体供給管は、一端部が前記バルーンを貫通し、且つ、前記バルーンの内壁面まで延出される、
請求項3に記載の機器導入装置。
【請求項5】
前記バルーンは、基端部に前記気体供給管の一端部が連結され、先端部に前記機器導入管の内面に接触してガイドされるガイド部材が装着される、
請求項3または請求項4に記載の機器導入装置。
【請求項6】
前記封止部材挿入管は、前記封止部材挿入管の内部を閉止する閉止状態と、前記バルーンを挿通可能な開放状態とに切替可能な開閉部材が設けられる、
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の機器導入装置。
【請求項7】
前記封止部材挿入管は、他端部の内面に、前記気体供給管の外面に接触してシール可能な第1シール部材が設けられる、
請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の機器導入装置。
【請求項8】
前記機器導入管は、他端部の内面に、前記機器導入管を閉止する施栓部材の外面に接触してシール可能な第2シール部材が設けられる、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の機器導入装置。
【請求項9】
前記第2シール部材は、先端部に機器が支持された機器導入治具の外面に接触してシール可能である、
請求項8に記載の機器導入装置。
【請求項10】
機器導入管の一端部が貫通された蓋部材により開口部を閉止する工程と、
前記機器導入管の中途部に連結された封止部材挿入管から封止部材を挿入して前記機器導入管の内部に移動させる工程と、
前記封止部材を前記機器導入管の内面に接触させて封止する工程と、
前記機器導入管の他端部から機器を挿入した後に前記機器導入管の他端部を封止する工程と、
前記封止部材による前記機器導入管の封止を解除する工程と、
前記機器導入管の他端部の封止を維持したままで前記機器を前記開口部から導入する工程と、
を有する機器導入方法。
【請求項11】
前記機器導入管は、前記蓋部材に複数連結されており、複数の前記機器導入管のうちの一つから前記機器を導入するとき、残りの前記機器導入管を封止する、
請求項10に記載の機器導入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一方の区域から他方の区域に機器を導入する機器導入装置および機器導入方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子力施設では、放射線の管理が必要な管理区域と、管理を要さない一般区域とが隔壁により区画されている。隔壁は、配管が貫通し、配管は、例えば、開閉部材により封止される。このような技術として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-048380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般区域から管理区域へカメラや計測器などの機器を導入するとき、開閉部材による封止を解除し、配管を通して機器を導入した後、配管の端部を封止する。ところで、一般区域から管理区域へ複数の機器を導入したいという要望がある。この場合、すでに配管に機器が配置されている状態で、配管の端部の封止状態を維持しながら、別の機器を導入することは困難である。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、2つの区域の封止状態を維持しながら複数の機器を導入することができる機器導入装置および機器導入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の機器導入装置は、開口部を閉止するように装着可能な蓋部材と、一端部が前記蓋部材を貫通する複数の機器導入管と、一端部が前記機器導入管の中途部に連通する封止部材挿入管と、前記封止部材挿入管の他端部から前記機器導入管の内部に挿入可能であると共に前記機器導入管の内面に接触して封止可能な封止部材と、を備える。
【0007】
また、本開示の機器導入方法は、機器導入管の一端部が貫通された蓋部材により開口部を閉止する工程と、前記機器導入管の中途部に連結された封止部材挿入管から封止部材を挿入して前記機器導入管の内部に移動させる工程と、前記封止部材を前記機器導入管の内面に接触させて封止する工程と、前記機器導入管の他端部から機器を挿入した後に前記機器導入管の他端部を封止する工程と、前記封止部材による前記機器導入管の封止を解除する工程と、前記機器導入管の他端部の封止を維持したままで前記機器を前記開口部から導入する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の機器導入装置および機器導入方法によれば、2つの区域の封止状態を維持しながら、複数の機器を導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の機器導入装置を表す概略図である。
図2図2は、図1のII-II断面図である。
図3図3は、機器導入管および封止部材挿入管を表す断面図である。
図4図4は、封止部材挿入管の他端部を表す断面図である。
図5図5は、封止部材を表す断面図である。
図6図6は、封止部材による機器導入管の封止状態を表す断面図である。
図7図7は、機器導入方法を表すフローチャートである。
図8図8は、機器導入方法を説明するための概略図である。
図9図9は、機器導入方法を説明するための概略図である。
図10図10は、機器導入方法を説明するための概略図である。
図11図11は、機器導入方法を説明するための概略図である。
図12図12は、機器導入方法を説明するための概略図である。
図13図13は、機器導入方法を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
<機器導入装置>
図1は、本実施形態の機器導入装置を表す概略図、図2は、図1のII-II断面図である。
【0012】
本実施形態において、図1に示すように、原子力発電所などの原子力施設にて、放射線の管理が必要な管理区域101Aと、管理を要さない一般区域101Bとが隔壁(図示略)により区画される。つまり、管理区域101Aとは、有害物質としての放射性物質が存在する区域であり、一般区域101Bとは、有害物質としての放射性物質が人体に悪影響を及ぼす量以上に存在しない区域である。既設配管102は、円筒形状をなし、軸方向の一端部が管理区域101Aに連通する。既設配管102は、軸方向の他端部に連結配管103の一端部が、例えば、溶接により連結される。連結配管103は、開閉装置104が設けられる。開閉装置104は、連結配管103の内部を仕切るシャッター105を有する。なお、開閉装置104は、ボール弁であってもよい。
【0013】
開閉装置104は、シャッターを開放位置と閉止位置とに移動可能である。開閉装置104は、シャッター105を移動することで、連結配管103の内部を仕切ることができる。すなわち、シャッター105が閉止位置に移動することで、管理区域101Aと一般区域101Bとの間が封止され、シャッター105が開放位置に移動することで、管理区域101Aと一般区域101Bとの間の封止状態が解除され、管理区域101Aと一般区域101Bとが連通する。シャッター105は、管理区域101Aと一般区域101Bとの境界(バウンダリ)として機能する。
【0014】
連結配管103は、固定装置106が設けられる。固定装置106は、油圧ジャッキ107とフック108を有する。油圧ジャッキ107は、連結配管103の外周部に周方向に間隔を空けて複数配置される。油圧ジャッキ107は、フック108を連結配管103の軸方法に移動可能である。固定装置106は、油圧ジャッキ107によりフック108を移動することで、機器導入装置10を連結配管103の他端部に固定することができる。
【0015】
図1および図2に示すように、機器導入装置10は、蓋部材11と、複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dと、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dと、封止部材14とを備える。機器導入装置10は、連結配管103の他端部に固定可能である。
【0016】
連結配管103は、他端部に開口部109が設けられると共に、外周部にフランジ部110が設けられる。蓋部材11は、連結配管103の開口部109を閉止するように装着可能である。蓋部材11は、平板部21と、円筒部22とを有する。平板部21は、円板形状をなし、外径が開口部109の内径より大きく、フランジ部110の外径とほぼ同じである。平板部21は、連結配管103のフランジ部110に密着可能である。円筒部22は、平板部21の一方の平面部に一体に固定される。円筒部22は、連結配管103の開口部109に嵌合可能である。円筒部22は、外径が開口部109より若干小さい。円筒部22は、外周部にリング形状をなすシール部材(例えば、Oリング)23,24が装着される。
【0017】
蓋部材11は、円筒部22が連結配管103の開口部109に嵌合し、平板部21が連結配管103のフランジ部110に当接する、このとき、円筒部22のシール部材23,24が連結配管103の内周面に接触する。連結配管103の固定装置106は、油圧ジャッキ107を収縮駆動させ、フック108を蓋部材11の平板部21に係止させると共に、連結配管103側に引き寄せることで、蓋部材11を連結配管103に固定する。ここで、連結配管103の内部(管理区域101A)と、外部(一般区域101B)との間が封止される。
【0018】
複数(本実施形態では、4本)の機器導入管12A,12B,12C,12Dは、一端部が蓋部材11を貫通する。複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dは、連結配管103の中心から径方向の外方へずれた位置に、連結配管103の軸方向に沿って配置される。複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dは、連結配管103の周方向に間隔を空けて配置される。複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dは、それぞれ機器のサイズに応じた外径および内径を有する。複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dは、一端部が蓋部材11の平板部21に形成された貫通孔21a,21b,21c,21dに嵌合し、例えば、溶接により固定される。複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dは、一端部が平板部21を貫通し、微小長さだけ連結配管103内に突出する。
【0019】
ここで、機器導入管12A,12B,12C,12Dは、各種の機器を管理区域101Aに導入および回収するためのものである。例えば、機器導入管12Aは、管理区域101Aを撮影するカメラを導入するためのものである。機器導入管12Bは、洗浄水を噴射して清掃するスプレイを導入するためのものである。機器導入管12Cは、管理区域101Aの環境を計測する温度計や水位計などを導入するものである。機器導入管12Dは、カメラで管理区域101Aをモニタするときに必要な照明設備を導入するものである。なお、機器導入管12A,12B,12C,12Dの本数や導入する機器は、上述したものに限定されない。
【0020】
複数(本実施形態では、4本)の封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dは、一端部が機器導入管12A,12B,12C,12Dの中途部から内部に連通する。複数の封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dは、複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dの外側に配置される。複数の封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dは、連結配管103の周方向に間隔を空けて配置される。複数の封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dは、それぞれ外径および内径が同じとしているが、機器導入管12A,12B,12C,12Dに合わせた大きさでもよい。複数の封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dは、機器導入管12A,12B,12C,12Dに対して機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部側に傾斜して連結される。すなわち、複数の封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dは、一端部が機器導入管12A,12B,12C,12Dの一端部側に向くように、傾斜角度θで配置され、一端部が機器導入管12A,12B,12C,12Dの中途部に連通するように、例えば、溶接により連結される。傾斜角度θは、90度未満であって、小さい角度であることが好ましい。
【0021】
封止部材14は、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dの他端部から機器導入管12A,12B,12C,12Dの内部に挿入可能であると共に、機器導入管12A,12B,12C,12Dの内面に接触して封止可能である。封止部材14は、バルーン31と、バルーン31の内部に気体を供給可能な気体供給管32とを有する。封止部材14は、管理区域101Aと一般区域101B(いずれも図1参照)との境界(バウンダリ)として機能する。
【0022】
<開閉部材およびシール部材>
図3は、機器導入管および封止部材挿入管を表す断面図、図4は、封止部材挿入管の他端部を表す断面図である。
【0023】
図1に示すように、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dは、開閉部材41および第1シール部材42が設けられる。また、機器導入管12A,12B,12C,12Dは、第2シール部材43が設けられる。開閉部材41と第1シール部材42と第2シール部材43は、管理区域101Aと一般区域101B(いずれも図1参照)との境界(バウンダリ)として機能する。ここで、複数の封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dに設けられる開閉部材41および第1シール部材42は、同様の構成である。また、複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dに設けられる第2シール部材43は、同様の構成である。
【0024】
図3に示すように、開閉部材41は、封止部材挿入管13A(13B,13C,13D)の中途部に設けられる。開閉部材41は、例えば、ボール弁である。ボール弁は、ボール形状をなし、貫通孔を有する弁体が内部に収容されて構成される。そして、ボール弁は、操作レバーにより弁体を回動することで、貫通孔の方向を90度変更し、通路の開放と閉止を行う。開閉部材41は、封止部材挿入管13Aの内部通路を閉止する閉止状態と、封止部材14としてのバルーン31を挿通可能な開放状態とに切替可能である。なお、開閉部材41は、ボール弁に限らず、例えば、シャッターなどであってもよい。
【0025】
図3および図4に示すように、第1シール部材42は、封止部材挿入管13A(13B,13C,13D)の他端部に設けられる。すなわち、第1シール部材42は、封止部材挿入管13Aにおける開閉部材41より他端部側に配置される。第1シール部材42は、2個のOリング51,52が取付部材53および複数の取付ねじ54により封止部材挿入管13Aに固定される。取付部材53は、円柱形状をなし、中心部に封止部材14の気体供給管32が挿通可能な貫通孔53aが形成される。また、取付部材53は、貫通孔53aの外側にリング形状をなす取付溝53bが形成される。そして、取付部材53は、貫通孔53aの内周部にOリング51が装着される。
【0026】
封止部材挿入管13Aは、他端部の内周部にOリング52が装着される。取付部材53は、取付溝53bが封止部材挿入管13Aの他端部に嵌合する。このとき、封止部材挿入管13AのOリング52が取付部材53の取付溝53bの内周面に密着する。取付部材53は、封止部材挿入管13Aの他端部に嵌合された状態で、複数の取付ねじ54により封止部材挿入管13Aの他端部に固定される。第1シール部材42は、貫通孔53aに封止部材14の気体供給管32が挿通可能である。このとき、Oリング51が気体供給管32の外周面に接触することで封止可能である。
【0027】
図3に示すように、第2シール部材43は、機器導入管12A(12B,12C,12D)の他端部に設けられる。すなわち、第2シール部材43は、機器導入管12Aにおける封止部材挿入管13Aの連結部より他端部側に配置される。第2シール部材43は、2個のOリング55,56を有する。Oリング55,56は、機器導入管12Aの他端部の内周部に軸方向に間隔を空けて装着される。機器導入管12Aは、施栓部材71が挿通可能であると共に、機器導入治具72が挿通されて移動可能である。第2シール部材43は、機器導入管12Aに施栓部材71や機器導入治具72が挿通されたとき、施栓部材71や機器導入治具72の外周面に接触して封止可能である。
【0028】
<封止部材>
図5は、封止部材を表す断面図、図6は、封止部材による機器導入管の封止状態を表す断面図である。
【0029】
図3および図5に示すように、封止部材14は、封止部材挿入管13A(13B,13C,13D)の他端部から機器導入管12A(12B,12C,12D)の内部に挿入可能である。封止部材14は、バルーン31と、気体供給管32とを有する。バルーン31は、例えば、伸縮性を有する弾性部材(例えば、ゴムなど)により構成される。バルーン31は、開口部31aが設けられる。バルーン31は、気体が排出された収縮時に棒形状をなし、気体が供給された展張時に球形状、または、円筒(円柱)形状をなす。バルーン31に供給される気体は、例えば、空気や不活性ガス(例えば、窒素など)などが好ましい。
【0030】
気体供給管32は、可撓性を有する管状樹脂部材(例えば、ナイロン管、テフロン(登録商標)管、ウレタン管など)により構成される。気体供給管32は、先端部がバルーン31の開口部31aに挿通され、且つ、バルーン31における開口部31aとは反対側の内壁面まで延出される。つまり、気体供給管32の先端部とバルーン31の反対側の内壁面との間に微小隙間が形成される。そのため、バルーン31は、気体供給管32の先端部側がバルーン31の内部に位置することで、収縮時であっても、気体供給管32の先端部側に支持され、棒形状に維持される。なお、バルーン31の柔らかさや、こしなどの性状によっては、気体供給管32のバルーン31における開口部31aからの延出長さの程度は、この限りではない。
【0031】
封止部材14は、バルーン31の基端部に気体供給管32の一端部が連結され、先端部にガイド部材33が装着される。ガイド部材33は、バルーン31より小径の球体形状をなし、例えば、気体供給管32と同様に、樹脂材料により構成される。ガイド部材33は、バルーン31が封止部材挿入管13Aから機器導入管12Aに挿入されたとき、先に機器導入管12Aの内周面に接触することで、機器導入管12Aの内周面への接触によるバルーン31の損傷を抑制しながら、バルーン31の移動方向をガイドする。
【0032】
なお、封止部材14の構成は、上述したものに限定されるものではない。例えば、気体供給管32の先端部をバルーン31の反対側の内壁面やガイド部材33に接続し、バルーン31の内部に位置する気体供給管32の先端部側に多数の貫通孔を形成してもよい。
【0033】
図3に示すように、バルーン31は、封止部材挿入管13Aの他端部に挿入される。この場合、バルーン31は、封止部材挿入管13Aの他端部から第1シール部材42が取外された状態で、封止部材挿入管13Aの他端部に挿入される。その後、気体供給管32の他端部に第1シール部材42における取付部材53の貫通孔53aを嵌合する。そして、第1シール部材42を気体供給管32に沿って移動し、封止部材挿入管13Aの他端部に固定する。
【0034】
バルーン31が封止部材挿入管13Aの他端部に挿入されると、開閉部材41を閉止状態から開放状態に切り替える。このとき、第1シール部材42は、Oリング51が気体供給管32の外周面に接触し、Oリング52が封止部材挿入管13Aの内周面に接触しており、封止部材挿入管13Aの封止状態が維持される。そして、気体供給管32を介してバルーン31を移動し、図6に示すように、バルーン31を機器導入管12Aの一端部に位置させる。ここで、気体供給管32を通してバルーン31の内部に気体を供する。すると、収縮状態にあるバルーン31が展張し、外周面が機器導入管12Aの内周面に接触し、押圧することで、機器導入管12Aが封止される。
【0035】
<機器導入方法>
図7は、機器導入方法を表すフローチャート図8から図13は、機器導入方法を説明するための概略図である。
【0036】
本実施形態の機器導入方法は、機器導入管12A,12B,12C,12Dの一端部が貫通された蓋部材11により開口部109を閉止する工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの中途部に連結された封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dから封止部材14を挿入して機器導入管12A,12B,12C,12Dの内部に移動させる工程と、封止部材14を機器導入管12A,12B,12C,12Dの内面に接触させて封止する工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部から機器を導入した後に機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部を封止する工程と、封止部材14による機器導入管12A,12B,12C,12Dの封止を解除する工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部の封止を維持したままで機器を開口部109から導入する工程とを有する。
【0037】
図7および図8に示すように、機器導入装置10は、既設配管102に連結された連結配管103に連結されている。このとき、蓋部材11が連結配管103の開口部109を閉止するように固定される。そして、開閉装置104のシャッター105が開放され、機器導入管12Bに機器導入治具72が配置され、例えば、機器としてのスプレイが機器導入治具72により管理区域101Aに導入されている。一方、機器導入管12A,12C,12Dは、他端部に施栓部材71が装着されている。
【0038】
ステップS11にて、開閉装置104のシャッター105が開放状態であることを確認する。ステップS12にて、封止部材挿入管13Aの開閉部材41が閉止状態であることを確認する。ステップS13にて、施栓部材71が機器導入管12A(12C,12D)を封止している状態であることを確認する。ステップS14にて、機器導入治具72が機器導入管12Bを封止している状態であることを確認する。この状態で、管理区域101Aと一般区域101Bとの境界(バウンダリ)が確保されている。そして、この状態で、機器導入管12Aから新たに別の機器を管理区域101Aに導入する。
【0039】
ステップS15にて、封止部材14のバルーン31を封止部材挿入管13Aの他端部に挿入する。ステップS16にて、第1シール部材42により、封止部材挿入管13Aの他端部と封止部材14の気体供給管32とを間を封止する。図7および図9に示すように、ステップS17にて、開閉部材41を開放することで、封止部材挿入管13Aの封止を解除する。このとき、第1シール部材42により封止部材挿入管13Aの他端部の封止状態が維持されている。
【0040】
ステップS18にて、気体供給管32によりバルーン31を前進させ、封止部材挿入管13Aから機器導入管12Aに移動させる。封止部材挿入管13Aが機器導入管12Aに対して傾斜角度θで配置されるものの、バルーン31は、封止部材挿入管13Aから機器導入管12Aに移動するとき、ガイド部材33が機器導入管12Aの内面に当接することで、傾斜角度θだけ進行方向が変えられる。そして、ステップS19にて、バルーン31は、機器導入管12Aにおける所定の位置に位置決めされる。なお、バルーン31の移動量は、封止部材挿入管13Aおよび機器導入管12Aの長さに応じて予め設定される。
【0041】
図7および図10に示すように、ステップS20にて、気体供給管32の他端部からバルーン31の内部に気体を供給し、バルーン31を展張させる。すると、バルーン31は、展張して球形状(円筒形状)になり、外周面が機器導入管12Aの内周面に接触する。機器導入管12Aの内周面へのバルーン31の接触により、機器導入管12Aは、一端部が封止状態となる。
【0042】
ステップS21にて、機器導入管12Aの他端部から施栓部材71を取り外し、封止状態を解除する。このとき、機器導入管12Aは、封止部材14(バルーン31)により一端部の封止状態が維持されている。図7および図11に示すように、ステップS22にて、機器導入治具72に機器としてのカメラ81を装着する。カメラ81は、機器導入治具72の先端部に装着され、電力線や制御線などのケーブル82が機器導入治具72の内部に配置される。機器導入治具72によりカメラ81を機器導入管12Aの他端部に挿入する。ステップS23にて、機器導入治具72の外周面が機器導入管12Aの第2シール部材43に接触することで、機器導入管12Aの他端部が封止状態になる。
【0043】
図7および図12に示すように、ステップS24にて、気体供給管32の他端部からバルーン31の内部にある気体を排出し、バルーン31を収縮させる。すると、バルーン31は、収縮して棒形状になり、外周面が機器導入管12Aの内周面から離間する。機器導入管12Aの内周面へのバルーン31の離間により、機器導入管12Aは、一端部の封止状態が解除される。このとき、第2シール部材43により機器導入管12Aの他端部の封止状態が維持されている。
【0044】
ステップS25にて、気体供給管32によりバルーン31を後退させ、機器導入管12Aから封止部材挿入管13Aの他端部に移動させる。ステップS26にて、開閉部材41を閉止することで、封止部材挿入管13Aを封止状態とする。そして、ステップS27にて、バルーン31を封止部材挿入管13Aの他端部から抜き取る。図7および図13に示すように、ステップS28にて、第2シール部材43により機器導入管12Aの他端部の封止状態を維持したままで、機器導入治具72を前進させ、カメラ81を開口部109から管理区域101Aに導入する。この状態で、開閉部材41と第2シール部材43により、管理区域101Aと一般区域101Bとの境界(バウンダリ)が確保されている。
【0045】
なお、機器導入管12Aから機器としてのカメラ81を一般区域101Bから管理区域101Aに導入する作業について説明したが、カメラ81を管理区域101Aから一般区域101Bに戻す作業は、逆の手順となる。
【0046】
例えば、本実施形態の機器戻し方法は、蓋部材11により開口部109が閉止された状態で、機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部の封止を維持したままで機器を開口部109から機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部に戻す工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの中途部に連結された封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dから封止部材14を挿入して機器導入管12A,12B,12C,12Dの内部に移動させる工程と、封止部材14を機器導入管12A,12B,12C,12Dの内面に接触させて封止する工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部から機器を抜き取った後に機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部を封止する工程と、封止部材14による機器導入管12A,12B,12C,12Dの封止を解除する工程とを有する。
【0047】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る機器導入装置は、開口部109を閉止するように装着可能な蓋部材11と、一端部が蓋部材11を貫通する複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dと、一端部が機器導入管12A,12B,12C,12Dの中途部に連通する封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dと、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dの他端部から機器導入管12A,12B,12C,12Dの内部に挿入可能であると共に機器導入管12A,12B,12C,12Dの内面に接触して封止可能な封止部材14とを備える。
【0048】
第1の態様に係る機器導入装置によれば、封止部材14を封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dから機器導入管12A,12B,12C,12Dに挿入し、封止部材14により機器導入管12A,12B,12C,12Dを一時的に封止することができる。そのため、機器導入治具72が複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dのいずれかに配置されて機器が管理区域101Aに導入された状態であっても、このすでに導入された機器の状態を維持したまま、且つ、管理区域101Aと一般区域101Bとの境界(バウンダリ)を確保したままで、別の機器を機器導入治具72が配置されていない機器導入管12A,12B,12C,12Dから管理区域101Aに導入することができる。
【0049】
第2の態様に係る機器導入装置は、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dが機器導入管12A,12B,12C,12Dに対して機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部側に傾斜して連結される。これにより、封止部材14を機器導入管12A,12B,12C,12Dに挿入すると、封止部材14を機器導入管12A,12B,12C,12Dから機器導入管12A,12B,12C,12Dにスムースに移動することができる。
【0050】
第3の態様に係る機器導入装置は、封止部材14として、バルーン31と、バルーン31の内部に気体を供給可能な気体供給管32とを設ける。これにより、気体供給管32を通してバルーン31に気体を供給することで、バルーン31が機器導入管12A,12B,12C,12Dの内周面に接触した封止状態と、気体供給管32を通してバルーン31内の気体を回収することで、バルーン31が機器導入管12A,12B,12C,12Dの内周面から離間した非封止状態とに切り替えることができ、バルーン31の移動と封止を容易に行うことができる。
【0051】
第4の態様に係る機器導入装置は、気体供給管32の一端部がバルーン31を貫通し、且つ、バルーン31の内壁面まで延出される。これにより、気体供給管32により収縮状態にあるバルーン31を支持することができ、気体供給管32によりバルーン31を適切に移動することができる。なお、バルーン31の柔らかさや、こしなどの性状によっては、気体供給管32のバルーン31における開口部31aからの延出長さの程度は、この限りではない。
【0052】
第5の態様に係る機器導入装置は、バルーン31の基端部に気体供給管32の一端部が連結され、先端部に機器導入管12A,12B,12C,12Dの内面に接触してガイドされるガイド部材33が装着される。これにより、バルーン31を機器導入管12A,12B,12C,12Dから機器導入管12A,12B,12C,12Dに移動するとき、ガイド部材33によりバルーン31がガイドされることとなり、バルーンが損傷することなく、適切に機器導入管12A,12B,12C,12Dに移動することができる。
【0053】
第6の態様に係る機器導入装置は、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dに、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dの内部を閉止する閉止状態と、バルーン31を挿通可能な開放状態とに切替可能な開閉部材41を設ける。これにより、開閉部材41を閉止することで、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dの封止状態を維持することができると共に、開閉部材41を開放することで、バルーン31を封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dを通して機器導入管12A,12B,12C,12Dに移動することができる。
【0054】
第7の態様に係る機器導入装置は、封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dの他端部の内面に、気体供給管32の外面に接触してシール可能な第1シール部材42を設ける。これにより、バルーン31を封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dの他端部に挿入したとき、第1シール部材42により封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dと気体供給管32との間を封止することができ、この状態で、開閉部材41を開放してバルーン31を機器導入管12A,12B,12C,12Dに移動することができる。
【0055】
第8の態様に係る機器導入装置は、機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部の内面に、機器導入管12A,12B,12C,12Dを閉止する施栓部材71の外面に接触してシール可能な第2シール部材43を設ける。これにより、封止部材14の状態に関わらず、第2シール部材43により機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部を封止することができる。
【0056】
第9の態様に係る機器導入装置は、第2シール部材43が先端部に機器が支持された機器導入治具72の外面に接触してシール可能である。これにより、第2シール部材43により機器導入管12A,12B,12C,12Dと機器導入治具72との間を封止することができ、機器導入治具72を用いて適切に機器を管理区域101Aに導入することができる。
【0057】
第10の態様に係る機器導入方法は、機器導入管12A,12B,12C,12Dの一端部が貫通された蓋部材11により開口部109を閉止する工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの中途部に連結された封止部材挿入管13A,13B,13C,13Dから封止部材14を挿入して機器導入管12A,12B,12C,12Dの内部に移動させる工程と、封止部材14を機器導入管12A,12B,12C,12Dの内面に接触させて封止する工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部から機器を挿入した後に機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部を封止する工程と、封止部材14による機器導入管12A,12B,12C,12Dの封止を解除する工程と、機器導入管12A,12B,12C,12Dの他端部の封止を維持したままで機器を開口部109から導入する工程とを有する。
【0058】
第10の態様に係る機器導入方法によれば、管理区域101Aと一般区域101Bとの境界(バウンダリ)を確保したままで、機器を機器導入管12A,12B,12C,12Dから管理区域101Aに導入することができる。
【0059】
第11の態様に係る機器導入方法は、複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dが蓋部材11に連結されており、複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dのうちの一つから機器を導入するとき、残りの機器導入管12A,12B,12C,12Dを封止する。これにより、機器導入治具72が複数の機器導入管12A,12B,12C,12Dのいずれかに配置されて機器が管理区域101Aに導入された状態であっても、このすでに導入された機器の状態を維持したまま、且つ、管理区域101Aと一般区域101Bとの境界(バウンダリ)を確保したままで、別の機器を機器導入治具72が配置されていない機器導入管12A,12B,12C,12Dから管理区域101Aに導入することができる。
【0060】
なお、上述した実施形態では、既設配管102に接続された連結配管103の開口部109を閉止するように、連結配管103に機器導入装置10を装着したが、この構成に限定されるものではない。例えば、既設配管102に機器導入装置10を直接装着してもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、連結配管103(既設配管102)に開口部109を設け、開口部109を閉止するように機器導入装置10を装着したが、この構成に限定されるものではない。例えば、管理区域101Aと一般区域101Bとが隔壁により区画され、隔壁に開口部が設けられている構成であっても、開口部を閉止するように機器導入装置10を装着すればよい。
【0062】
また、上述した実施形態では、原子力施設にて、管理区域と一般区域との間で各種の機器を移動するものとして説明したが、原子力施設に限らず、その他の発電プラントや化学プラントなどに適用することもできる。
【符号の説明】
【0063】
10 機器導入装置
11 蓋部材
12A,12B,12C,12D 機器導入管
13A,13B,13C,13D 封止部材挿入管
14 封止部材
21 平板部
22 円筒部
23,24 シール部材
31 バルーン
32 気体供給管
33 ガイド部材
41 開閉部材
42 第1シール部材
43 第2シール部材
51,52 Oリング
53 取付部材
54 取付ねじ
71 施栓部材
72 機器導入治具
81 カメラ(機器)
82 ケーブル
101A 管理区域
101B 一般区域
102 既設配管
103 連結配管
104 開閉装置
105 シャッター
106 固定装置
107 油圧ジャッキ
108 フック
109 開口部
110 フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13