(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】半導体装置、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240726BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L23/02 G
H01L23/02 F
(21)【出願番号】P 2021505594
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004377
(87)【国際公開番号】W WO2020184003
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2019045876
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】石井 成和
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-307019(JP,A)
【文献】特開2010-212511(JP,A)
【文献】特開2008-223968(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0144435(US,A1)
【文献】実開昭61-078638(JP,U)
【文献】実開昭61-026055(JP,U)
【文献】特開2011-159900(JP,A)
【文献】米国特許第6448637(US,B1)
【文献】特開2004-119881(JP,A)
【文献】特開2008-311940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0014796(US,A1)
【文献】米国特許第7675149(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 23/02
H04N 25/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージを用いた箱状の外筐と、
前記外筐の内側空間に配置された半導体チップと、
前記外筐の前記内側空間と外側空間とを繋ぐ通気路と、
一部に開閉自在な扉部が形成され、前記扉部の少なくとも一部が前記通気路内に位置するように設けられた遮蔽膜と、を備
え、
前記遮蔽膜は、前記外筐の側壁部と蓋部との間に、厚み方向が前記蓋部の厚み方向と一致する向きに形成された
半導体装置。
【請求項2】
前記扉部が前記内側空間の気圧変化に応じて開閉する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記遮蔽膜がステンレス鋼材又は樹脂材料で構成された
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記通気路における前記内側空間側への前記扉部の開動作を規制するストッパ部が形成された
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記扉部が前記遮蔽膜の中央に形成された
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記通気路が前記外筐の側壁部に形成された
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記扉部が前記遮蔽膜の一部に対する切り込みにより形成された
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記切り込みが、前記扉部の厚み方向に直交する二面の面積を異ならせるように形成された
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記切り込みが前記遮蔽膜の厚み方向から傾斜した向きに形成された
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
複数の受光素子が二次元配列された前記半導体チップを備える固体撮像素子としての半導体装置とされた
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体パッケージを用いた箱状の外筐と、
前記外筐の内側空間に配置され、複数の受光素子が二次元配列された半導体チップと、
前記外筐の前記内側空間と外側空間とを繋ぐ通気路と、
一部に開閉自在な扉部が形成され、前記扉部の少なくとも一部が前記通気路内に位置するように設けられた遮蔽膜と、
を有
し、前記遮蔽膜は、前記外筐の側壁部と蓋部との間に、厚み方向が前記蓋部の厚み方向と一致する向きに形成された固体撮像素子と、
前記固体撮像素子により得られる撮像画像信号を処理する信号処理部と、を備えた
撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一部に半導体パッケージを用いた箱状の外筐を有する半導体装置と、固体撮像素子としての半導体装置を備えた撮像装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージを用いた半導体装置としては、基板への実装時にリフローはんだ付けを行うものがある。例えば、固体撮像素子(イメージセンサ)としての半導体装置では、凹型の半導体パッケージに対して受光用の半導体チップが搭載されると共にガラス等の透明基板が蓋部として接合されて箱状の外筐が形成されているが、この種の半導体装置では、リフロー時に生じる外筐内側空間の気化膨張に起因した応力により、蓋部の接合部分が剥離する等、半導体装置にダメージが生じる虞がある。
【0003】
この対策としては、外筐の一部に外側空間との通気口を設けることも考えられるが、リフロー後に通気口を介してダストが進入するなど防塵性能の低下が招来され、半導体チップ表面へのダスト付着により撮像画像の画質低下が生じる虞がある。
【0004】
このような問題に対し、下記特許文献1では、通気口に弁のようなシートを設置する技術が提案されている。具体的に、この弁は、気化膨張時の外筐内圧の上昇に応じて開状態となるように構成されており、これにより外筐内圧が低下した以降にダストが侵入することの防止が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、シートの端部を外筐に接着しないことで該端部を弁として機能させているため、圧力がかかって弁が開く際にシートの剥がれ(接着部分の剥がれ)等の破損が生じる可能性が高く、リフロー時の排気性能やリフロー後の防塵性能についての信頼性低下を招く虞がある。
また、特許文献1では、シートは外筐の表面に配置されるため、半導体装置のハンドリング時においてもシートの剥がれが生じる可能性が高く、その面でも排気性能や防塵性能についての信頼性低下を招く虞がある。
【0007】
本技術は上記の事情に鑑み為されたものであり、半導体パッケージを用いた箱状の外筐を有する半導体装置について、リフロー時の排気性能やリフロー後の防塵性能についての信頼性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術に係る半導体装置は、半導体パッケージを用いた箱状の外筐と、前記外筐の内側空間に配置された半導体チップと、前記外筐の前記内側空間と外側空間とを繋ぐ通気路と、一部に開閉自在な扉部が形成され、前記扉部の少なくとも一部が前記通気路内に位置するように設けられた遮蔽膜と、を備えたものである。
【0009】
これにより、扉部は通気路の途中に配置され、外筐の外部に表出しない。また、遮蔽膜は外筐に形成された通気路内に位置されるため、遮蔽膜の扉部以外の部分を外筐の一部によって挟持することが可能とされる。
【0010】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記扉部が前記内側空間の気圧変化に応じて開閉する構成とすることが考えられる。
【0011】
すなわち、遮蔽膜の扉部は、リフローに伴う温度変化ではなく外筐内側空間の気圧変化に応じて開閉する。
【0012】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記遮蔽膜がステンレス鋼材又は樹脂材料で構成されたものとすることが考えられる。
【0013】
遮蔽膜の材料を適切に選択することで、リフロー時の排気性能やリフロー後の防塵性能の向上が図られる。
【0014】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記通気路における前記内側空間側への前記扉部の開動作を規制するストッパ部が形成されたものとすることが考えられる。
【0015】
これにより、リフロー時には扉部が通気路における外側空間側に開くことを許容しつつ、リフロー後には通気路における内側空間側に扉部が開かないように扉部の動きを規制することが可能とされる。
【0016】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記扉部が前記遮蔽膜の中央に形成されたものとすることが考えられる。
【0017】
これにより、遮蔽膜における扉部の周囲に比較的広面積の接着面を確保することが可能とされる。
【0018】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記通気路が前記外筐の側壁部に形成されたものとすることが考えられる。
【0019】
これにより、半導体パッケージとしてセラミックパッケージを採用する場合において、通気路をセラミック基板上への側壁積層工程により容易に作成することが可能とされる。
【0020】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記通気路が前記外筐の側壁部に形成されたものとすることが考えられる。
【0021】
これにより、半導体パッケージとしてセラミックパッケージを採用する場合において、通気路をセラミック基板上への側壁積層工程により容易に作成することが可能とされる。
【0022】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記扉部が前記遮蔽膜の一部に対する切り込みにより形成されたものとすることが考えられる。
【0023】
これにより、遮蔽膜の一部に切り込みを形成するという比較的簡易なプロセスにより扉部を形成することが可能とされる。
【0024】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記切り込みが、前記扉部の厚み方向に直交する二面の面積を異ならせるように形成されたものとすることが考えられる。
【0025】
上記のように扉部の厚み方向に直交する二面の面積が異なることで、扉部の開閉方向が一方向に定まる。
【0026】
上記した本技術に係る半導体装置においては、前記切り込みが前記遮蔽膜の厚み方向から傾斜した向きに形成されたものとすることが考えられる。
【0027】
上記のように遮蔽膜の厚み方向から傾斜した向きに切り込みを形成することで、扉部の厚み方向に直交する二面の面積が異なる。すなわち、遮蔽膜を斜めにカットするという比較的簡易なプロセスにより、扉部の開閉方向が一方向に規制された遮蔽膜を実現することが可能とされる。
【0028】
上記した本技術に係る半導体装置は、複数の受光素子が二次元配列された前記半導体チップを備える固体撮像素子としての半導体装置とすることが考えられる。
【0029】
固体撮像素子としての半導体装置は、画質低下防止等のため比較的高い防塵性能が要求される。
【0030】
また、本技術に係る撮像装置は、半導体パッケージを用いた箱状の外筐と、前記外筐の内側空間に配置され、複数の受光素子が二次元配列された半導体チップと、前記外筐の前記内側空間と外側空間とを繋ぐ通気路と、一部に開閉自在な扉部が形成され、前記扉部の少なくとも一部が前記通気路内に位置するように設けられた遮蔽膜と、を有する固体撮像素子と、前記固体撮像素子により得られる撮像画像信号を処理する信号処理部と、を備えたものである。
【0031】
これにより、上記した本技術に係る半導体装置と同様の作用が得られる固体撮像素子を実装した撮像装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】実施形態に係る第一例としての半導体装置の概略断面図である。
【
図2】
図1において破線Wで囲った部分の拡大図である。
【
図3】第一例としての半導体装置が備える半導体パッケージの構造を説明するための図である。
【
図4】第一例としての半導体装置が備える蓋部の構造を説明するための図である。
【
図5】第一例としての半導体装置が備える遮蔽膜の上面図である。
【
図6】第一例における扉部と通気路との関係を説明するための図である。
【
図7】第二例における半導体パッケージの作成手法の説明図である。
【
図8】第三例としての半導体装置要部の概略断面図である。
【
図9】第三例としての半導体装置の作成プロセス例を説明するための図である。
【
図10】
図9と共に第三例としての半導体装置の作成プロセス例を説明するための図である。
【
図12】変形例としての遮蔽膜を用いた半導体装置の構成例を説明するための図である。
【
図13】変形例としての遮蔽膜のさらに別の構成例を説明するための図である。
【
図14】実施形態としての半導体装置を適用した撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照し、本技術に係る実施形態を次の順序で説明する。
<1.第一例>
<2.第二例>
<3.第三例>
<4.扉部に係る変形例>
<5.撮像装置>
<6.実施形態のまとめ及び変形例>
<7.本技術>
以下の説明では、本技術に係る実施形態としての半導体装置として、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の固体撮像素子(イメージセンサ)としての半導体装置を例に挙げる。
また、以下の説明では「半導体パッケージ」との用語を用いるが、本明細書において半導体パッケージとは、半導体素子や集積回路(IC)を包装して周囲から防護し、外部と電力や電気信号の入出力を行うための接点(端子や配線)を提供する包装部材のことを意味している。
【0034】
<1.第一例>
先ず、
図1から
図6を参照して実施形態に係る第一例としての半導体装置1について説明する。
図1は、第一例としての半導体装置1の概略断面図、
図2は
図1において破線Wで囲った部分の拡大図、
図3、
図4は、半導体装置1が備える半導体パッケージ3、蓋部4それぞれの構造を説明するための図、
図5は半導体装置1が備える遮蔽膜8の上面図である。
【0035】
半導体装置1は、箱状の外筐2を備え、外筐2の内側空間Sに半導体チップ5が配置されている(
図1参照)。
半導体チップ5は、本例では撮像画像を得るための受光用の半導体チップとされ、光電変換を行う複数の受光素子が二次元配列されている。
【0036】
外筐2は、断面形状が凹型の半導体パッケージ3と、板状の蓋部4とを有し、半導体パッケージ3の開口部分を閉塞するように蓋部4が半導体パッケージ3に対して接着材7により接着されて、箱状の外形を有する(
図1参照)。
蓋部4は、本例ではガラス等の透明基板が用いられる。
【0037】
半導体パッケージ3は、セラミック製の半導体パッケージ(以下「セラミックパッケージ」とも表記する)とされ、半導体チップ5が搭載される基板部31と、基板部31から半導体チップ5の搭載される側に突出された側壁部32とを有する(
図1参照)。
基板部31には、内部に電気配線やビア等が形成された複数の配線層が形成され、下面(半導体チップ5の実装面とは逆側の面)側や上面側には外部との電気接続を行うための端子が形成されている。半導体チップ5は、基板部31の上面側にダイボンド等により固定されると共に、基板部31の上面側に形成された各端子に対し、ボンディングワイヤ6を介してそれぞれ対応する端子が電気的に接続されている。
【0038】
半導体パッケージ3は、
図3Aの上面図や
図3Bの断面図に示すように、側壁部32の上面32aの一部が切り欠かれて凹部3uが形成されている。
本例において凹部3uは、側壁部32の内壁面32cから外壁面32d側にかけて切り欠かれた部分として形成されている。具体的に、この場合の凹部3uは、外側端が外壁面32dよりも内側に位置するように形成されている(
図1から
図3参照)。換言すれば、凹部3uを形成する切り欠きは、側壁部32の内壁面32cと外壁面32dとの間となる位置までしか形成されていない。このため、側壁部32の上端部において、凹部3uの外側には凸部3hが隣接して形成されている。
【0039】
一方、蓋部4は、
図4Aの上面図や
図4Bの断面図に示すように、下面4bの一部が切り欠かれて凹部4uが形成されている。本例の凹部4uは、蓋部4の外側面から内側方向にかけて切り欠かれた部分として形成されている。なお、図中の符号「4a」は、蓋部4の上面を表す。
【0040】
本例における凹部4uは、内側端が、半導体パッケージ3における凸部3hの内側端(凹部3uの外側端)よりも内側に位置するように形成されている(
図1及び
図2参照)。
このような凹部4uと凹部3uとによって、外筐2の内側空間Sと外側空間とを繋ぐ通気路Tが形成される。ここで、凹部3uは、通気路Tの内側部分を形成し、凹部4uは通気路Tの外側部分を形成する。
【0041】
そして、本例の半導体装置1においては、この通気路Tに対して遮蔽膜8が設けられる(
図1及び
図2参照)。
遮蔽膜8は、例えば厚さ25μmから50μm程度の弾性を有する膜材とされ、中央に略コの字形の切り込みC(膜を貫通する切り込み)が形成されて、この切り込みCの内側部分が開閉自在な扉部8aとして形成されている(
図5参照)。図示のように扉部8aは、開閉の支点部分となる根元部a1と、根元部a1とは逆側に位置する先端部a2とを有する。
ここで、遮蔽膜8には、例えばSUS(ステンレス鋼材)等による金属シートや樹脂シート等を用いることが考えられる。
切り込みCを形成する手法としては、例えばレーザーカットや金型による打ち抜き等が考えられる。
【0042】
遮蔽膜8は、扉部8aの少なくとも一部が通気路T内に位置するように、半導体パッケージ3の側壁部32と蓋部4との間に挿入されている(
図1及び
図2参照)。
図6は、扉部8aと通気路Tとの関係を説明するための図であり、具体的には、側壁部32の上面32a上に遮蔽膜8が配置された状態の半導体パッケージ3の上面図を表している。
図示のように本例の遮蔽膜8は、扉部8aの根元部a1が先端部a2よりも内側に位置する向きで側壁部32上に設けられる。そして、本例では、扉部8aの幅は、半導体パッケージ3の凹部3uの幅、すなわち通気路Tの内側部分の幅よりも広くされている。また、図示は省略するが、蓋部4における凹部4uの幅、すなわち通気路Tの外側部分の幅は、扉部8aの幅よりも広くされている。これにより扉部8aは、先端部a2が凹部3u側(つまり通気路Tにおける内側空間S側)には移動不能とされるが、凹部4u側(つまり通気路Tにおける外側空間側)には移動可能とされている。
【0043】
さらに、本例において遮蔽膜8は、扉部8aの先端側の一部が、半導体パッケージ3の凸部3hと対向するように側壁部32上に位置されている(
図6及び
図2参照)。
凸部3hにおいて、このように扉部8aの先端側の一部が対向する部分は、扉部8aの下側への移動、すなわち通気路Tにおける内側空間S側への移動を規制するストッパ部3haとして機能する。
【0044】
上記のような構成を有する半導体装置1は、半導体チップ5が搭載された半導体パッケージ3に対し蓋部4を接着剤7により貼り付ける際に、
図6に示すような位置関係で遮蔽膜8を側壁部32上に位置させた状態で蓋部4を貼り付けることにより形成される。
【0045】
リフロー時において、半導体装置1の内圧(内側空間Sにおける気化膨張圧力)が高まると、扉部8aが押し上げられて(つまり開弁状態とされて)通気路Tが開通し(
図1や
図2の状態を参照)、内側空間Sから半導体装置1の外側空間への排気が行われる。これにより、半導体装置1の内圧が過剰に高まることの防止が図られ、リフロー時において半導体装置1にダメージが生じることの効果的な防止が図られる。
一方、リフロー後において半導体装置1の内圧が低下した場合には、扉部8aが押し下げられて(つまり閉弁状態とされて)、通気路Tの一部(凹部3uの部分)が閉塞され、内側空間Sへのダストの進入防止が図られる。このとき、ストッパ部3haの作用により、扉部8aは下方側、つまり通気路Tにおける内側空間S側に開くことが防止され、ダストの進入がより強固に防止される。
【0046】
<2.第二例>
第一例では、半導体パッケージ3側に形成した凹部3uと蓋部4側に形成した凹部4uとによって通気路Tを形成する例を挙げたが、通気路Tの形成にあたり蓋部4側を加工することは必須ではなく、通気路Tは、以下で説明する第二例のように、半導体パッケージ3側のみの加工によって形成することもできる。
【0047】
図7は、第二例における半導体パッケージ3の作成手法の説明図である。この手法は、セラミックパッケージとしての半導体パッケージ3を、セラミック基板上にセラミックグリーンシートを複数積み重ねて焼成することで作成することを前提とした手法となる。
【0048】
図7Aは、第二例としての半導体パッケージ3の作成に用いるセラミック製の基板部31、グリーンシート32-1、グリーンシート32-2、グリーンシート32-3を示している。
図示のようにグリーンシート32-1、32-2、32-3には切欠部u1、u2、u3をそれぞれ形成する。切欠部u1は、グリーンシート32-1の母材となる略口の字形状のグリーンシートの一部を内側面から外側面に至る手前まで切り欠くことによって形成され、切欠部u2は、グリーンシート32-2の母材となる略口の字形状のグリーンシートを一部内側面から外側面に至るまで貫通させて切り欠いて形成されている。また、切欠部u3は、グリーンシート32-3の母材となる略口の字形状のグリーンシートの一部を外側面から内側面に至る手前まで切り欠くことによって形成されている。
このとき、切欠部u1と切欠部u3については、切欠部u1の外側端が切欠部u3の内側端よりも外側に位置するように形成する。すなわち、
図7Bのように各グリーンシートを積層した際に、切欠部u1と切欠部u3の一部同士が上下方向において重なるようにする。
【0049】
図7Bに示すように、基板部31に対し、グリーンシート32-1、32-2、32-3の順で積層し、焼成を行う。このとき、切欠部u1と切欠部u3は、それぞれ通気路Tの一部を構成することになる。
【0050】
この場合、遮蔽膜8は、
図7Cの矢印Iで表すように、グリーンシート32-2における切欠部u2に挿入する。
このとき、遮蔽膜8における扉部8aの幅と、各グリーンシートの切欠部u1、u2、u3の幅の関係は、u1<8a<u3<u2とすることで、扉部8aが通気路Tにおける内側空間S側に向けて開かないようにストッパ部の形成を行うことができる。
【0051】
<3.第三例>
これまでの説明では、扉部8aの開閉方向を一方向に規制するためのストッパ部が半導体パッケージ3側に形成される例を挙げたが、ストッパ部は蓋部4側に形成することも可能である。
図8は、第三例としての半導体装置1A要部の概略断面図である。
図示のように、半導体装置1Aは、基板部31上に側壁部32Aが形成された半導体パッケージ3Aを有する。図示のように側壁部32Aの上端部に形成される凹部3uAは、側壁部32Aの外周端から内側に向けて切り欠かれて形成されている。
一方、この場合の蓋部4に形成される凹部4uAは、外周端よりも内側の部分が切り欠かれて形成されている。このため、蓋部4の凹部4uAよりも外周側には凸部4hが形成されている。
【0052】
図示のように凹部4uAは、外周端の位置が側壁部32Aにおける凹部3uAの内周端の位置よりも外側に位置し、内周端の位置が凹部3uの内周端の位置よりも内側に位置するように形成されている。
この場合の通気路Tは、これら凹部4uと凹部3uとによって形成され、遮蔽膜8は、この通気路T内に扉部8aの少なくとも一部が位置されるように、側壁部32Aと蓋部4との間に設けられている。
【0053】
このような半導体装置1Aにおいては、扉部8aは図中矢印Oで表す方向に開動作することが可能とされる。そして、このことから理解されるように、この場合は蓋部4の凸部4hにおける一部(扉部8aの先端部が対向する部分)が、ストッパ部4haとして機能する。
【0054】
ここで、
図9及び
図10を参照し、上記した半導体装置1Aの構成を前提とした場合に、遮蔽膜8を用いた排気及び防塵機構をプロセス的に形成する例を説明する。
先ず、
図9に示す基板部母材31’は、複数の半導体装置1Aの基板部31を一括形成した基板である。また、側壁部母材32A’は、切り出し前状態において隣接関係にある半導体装置1A同士の側壁部32Aの母材であり、遮蔽膜母材8’は、それら半導体装置1Aごとの扉部8aが形成されるべき、遮蔽膜8の母材である。
この側壁部母材32A’の上端部の一部を凹状に切り欠いて凹部3uA’を形成し、凹部3uA’内に水溶性の埋込材20を埋設しておくと共に、埋込材20を覆うように遮蔽膜母材8’を形成する。
そして、図示は省略するが、このように形成した遮蔽膜母材8’に対し、扉部8aを形成するための切り込みCを形成しておく。
【0055】
さらに、
図10に示すように、半導体装置1Aごとの凹部4uAが形成された蓋部母材4’を側壁部母材32A’に貼り付け、その後、図中「L1」で示す位置でブレードによるカッティングを行い、複数の半導体装置1Aに個片化する。
このとき、カッティング工程では冷却水が用いられるため、水溶性による埋込材20が溶解し、
図8に示したような通気路Tが形成されることになる。
なおこの場合、遮蔽膜母材8’に形成する切り込みCは、L1線に対して線対称に形成する。
【0056】
上記のようなプロセス的な形成手法を採ることで、遮蔽膜8を用いた排気及び防塵機構を簡易に作成することができ、工数削減に伴うコスト削減を図ることができる。
【0057】
<4.扉部に係る変形例>
ここで、遮蔽膜8について、扉部8aを形成するための切り込みCの形成手法については多様に考えられる。
これまでの説明では、遮蔽膜8に対して垂直な切り込みC(つまり遮蔽膜8の厚み方向に平行な切り込みC)を形成することを前提とした。この場合、扉部8aの開閉方向は一方向に定まらず、その点を考慮しストッパ部3ha、4haを設ける例を挙げた。
【0058】
しかしながら、切り込みの形成手法によっては扉部8aの開閉方向を一方向に規制することが可能である。
図11は、変形例としての遮蔽膜8Bの説明図であり、
図11Aは遮蔽膜8Bの上面図、
図11Bは遮蔽膜8Bの扉部8aBを含む部分の断面図を表している。
図示のように遮蔽膜8Bには、垂直方向から角度を付けた(垂直方向から傾斜した)斜め方向への切り込みCBが形成され、この切り込みCBにより扉部8aBが形成される。このような斜め方向の切り込みCBにより、扉部8aBは、厚み方向に直交する二面の面積が異なるようになる。換言すれば、これら二面のうち一方の面積が他方の面積よりも小さくなる。図中の例では、上面よりも下面の方の面積が小さくされ、これにより扉部8aBは上方向に開閉可能となるが、下方向には開閉不能となり、開閉方向が一方向に規制される。
【0059】
各部の寸法の一例としては、遮蔽膜8Bの膜厚d1=50μm、切り込みCBの角度θ=30度、切り込みCBの幅d2=20μmとすることが考えられる。
このように各部の寸法を設定した場合、扉部8aBが下方向に沈み込んだ際に、
図11Cに示す係止厚d1=10μmが確保される。すなわち、この係止厚d1=10μmの状態で、扉部8aBが遮蔽膜8Bにおける扉部8aBの対向部分によって係止され、下方向への移動が規制される。
【0060】
図12は、変形例としての遮蔽膜8Bを用いた半導体装置1Bの構成例を説明するための図であり、
図12Aは半導体装置1Bに用いる半導体パッケージ3Bの上面図、
図12Bは
図12Aに示すA-A’線による断面図である。
【0061】
半導体パッケージ3Bの側壁部32Bは、上端部の一部が凹型に切り欠かれて図示のような通気路Tが形成されている。通気路Tは、側壁部32Bの内側から外側まで貫通している。そして、側壁部32Bにおける通気路Tの途中となる位置には、遮蔽膜8Bの厚さに合わせたスリット35,35が形成され、遮蔽膜8Bは、それぞれ対応する一端がスリット35,35に挿入されて側壁部32Bに取り付けられる。このとき、遮蔽膜8Bの向きは、扉部8aBの小面積側の面が内側に位置する向きとする。また、扉部8aBの開閉動作が可能となるように、通気路Tの幅は、扉部8aBの大面積側の面の幅以上とする。
【0062】
半導体装置1Bは、
図12に示す半導体パッケージ3Bに半導体チップ5を搭載した状態で側壁部32B上にガラス基板等の蓋部を貼り合わせることで形成される。なお、この場合の蓋部は、蓋部4のような凹部4uを形成する必要はない。
【0063】
上記した半導体装置1Bの構成例から理解されるように、変形例としての遮蔽膜8Bを用いることで、排気及び防塵機構を簡易な構成により実現することができる。例えば、遮蔽膜8Bが単独で扉部8aBの開閉方向を一方向に規制できるため、通気路Tを内側部分と外側部分とで幅を変化させるように形成する必要がなくなる。また、ストッパ部3ha、4haのような方向規制部を形成する必要もなく、構成の簡易化が図られる。
【0064】
なお、上記では、扉部8aBの開閉方向を一方向に規制するために斜め方向の切り込みCBを形成する例を挙げたが、例えば
図13に例示する遮蔽膜8Cのように、段形状の切り込みCCによって扉部8aCを形成する構成を採ることもできる。
遮蔽膜単独で扉部の開閉方向を一方向に規制するためには、扉部の厚み方向に直交する二面の面積を異ならせるように遮蔽膜に対する切り込みを形成すればよい。
【0065】
<5.撮像装置>
図14は、実施形態としての半導体装置を適用した撮像装置100の構成例を示すブロック図である。
なお、
図14では半導体装置1を適用した例を説明するが、勿論、半導体装置1A、1Bを適用することもできる。
【0066】
図示のように撮像装置100は、半導体装置1を備えると共に、撮像光学系101、信号処理部102、制御部103、記録部104、及び表示部105を備えている。
撮像光学系101は、例えばズームレンズ、フォーカスレンズなどを含む所定枚数の撮像用のレンズ群、絞りなどを備えて成り、入射された光をイメージセンサとしての半導体装置1の受光面に集光させる。
【0067】
半導体装置1は、撮像光学系101を介して入射する光を受光し、電気信号に変換して出力する。具体的に、半導体装置1は、受光した光を光電変換して得た電気信号について、例えばCDS(Correlated Double Sampling)処理、AGC(Automatic Gain Control)処理などを実行し、さらにA/D(Analog/Digital)変換処理を行う。そしてデジタルデータとしての画像信号(撮像画像信号)を、後段の信号処理部102に出力する。
【0068】
信号処理部102は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等により画像処理プロセッサとして構成される。信号処理部102は、イメージセンサとしての半導体装置1から入力されるデジタル信号(撮像画像信号)に対して、各種の画像信号処理を施し、撮像画像に応じた動画データや静止画データを生成する。
【0069】
制御部103は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータ、或いはDSP等の情報処理装置を備えて構成され、例えば上記ROMに格納されたプログラムに従った処理を実行することで撮像装置100の全体制御を行う。
【0070】
記録部104は、例えば不揮発性メモリからなり、信号処理部102の処理により得られる動画データや静止画データ等の画像ファイルやサムネイル画像等を記憶する。
記録部104の実際の形態は多様に考えられる。例えば記録部104は、撮像装置100に内蔵されるフラッシュメモリでもよいし、撮像装置100に着脱できるメモリカード(例えば可搬型のフラッシュメモリ)と該メモリカードに対して記録再生アクセスを行うカード記録再生部による形態でもよい。また撮像装置100に内蔵されている形態としてHDD(Hard Disk Drive)などとして実現されることもある。
【0071】
表示部105は、撮像者に対して各種表示を行う表示部であり、例えば撮像装置100の筐体に配置される液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイデバイスによる表示パネルやビューファインダとされる。
表示部105は、制御部103の指示に基づいて表示画面上に各種表示を実行させる。例えば表示部105は、記録部104において記録媒体から読み出された画像データの再生画像を表示させる。
また表示部105には信号処理部102で表示用に解像度変換された撮像画像の画像データが供給され、表示部105は制御部103の指示に基づき、当該画像データに基づく表示を行う。これにより、いわゆるスルー画(被写体のモニタリング画像)の表示が行われる。
また表示部105は制御部103の指示に基づいて、各種操作メニュー、アイコン、メッセージ等、即ちGUI(Graphical User Interface)としての表示を画面上に実行させる。
【0072】
<6.実施形態のまとめ及び変形例>
上記のように実施形態としての半導体装置(同1,1A,1B)は、半導体パッケージ(同3,3A)を用いた箱状の外筐(同2)と、外筐の内側空間(同S)に配置された半導体チップ(同5)と、外筐の内側空間と外側空間とを繋ぐ通気路(同T)と、一部に開閉自在な扉部(同8a,8aB,8aC)が形成され、扉部の少なくとも一部が通気路内に位置するように設けられた遮蔽膜(同8,8B,8C)と、を備えたものである。
【0073】
これにより、扉部は通気路の途中に配置され、外筐の外部に表出しない。また、遮蔽膜は外筐に形成された通気路内に位置されるため、遮蔽膜の扉部以外の部分を外筐の一部によって挟持することが可能とされる。
従って、扉部が開く際にシートの剥がれ(接着部分の剥がれ)等の破損が生じたり、半導体装置のハンドリング時にシートの剥がれが生じたりすることの防止が図られ、排気性能や防塵性能についての信頼性向上を図ることができる。
【0074】
また、実施形態としての半導体装置においては、扉部が内側空間の気圧変化に応じて開閉する構成とされている。
【0075】
すなわち、遮蔽膜の扉部は、リフローに伴う温度変化ではなく外筐内側空間の気圧変化に応じて開閉する。
温度変化に応じて扉部を開閉させるには遮蔽膜にバイメタル等の特殊金属を用いることが考えられるが、上記構成によれば扉部を開閉自在とするにあたり特殊金属を用いる必要がなくなり、コスト削減を図ることができる。
【0076】
さらに、実施形態としての半導体装置においては、遮蔽膜がステンレス鋼材又は樹脂材料で構成されている。
【0077】
遮蔽膜の材料を適切に選択することで、リフロー時の排気性能やリフロー後の防塵性能の向上を図ることができる。
【0078】
さらにまた、実施形態としての半導体装置においては、通気路における内側空間側への扉部の開動作を規制するストッパ部(同3ha、4ha)が形成されている。
【0079】
これにより、リフロー時には扉部が通気路における外側空間側に開くことを許容しつつ、リフロー後には通気路における内側空間側に扉部が開かないように扉部の動きを規制することが可能とされる。
従って、リフロー時の排気機能を確保しながら、防塵性能の向上を図ることができる。
【0080】
また、実施形態としての半導体装置においては、扉部が遮蔽膜の中央に形成されている。
【0081】
これにより、遮蔽膜における扉部の周囲に比較的広面積の接着面を確保することが可能とされる。
従って、遮蔽膜の固着安定性の向上を図ることができ、遮蔽膜の剥がれ等により扉部が機能不全となることの防止が図られ、製品としての信頼性向上を図ることができる。
【0082】
さらに、実施形態としての半導体装置においては、通気路が外筐の側壁部に形成されている。
【0083】
これにより、半導体パッケージとしてセラミックパッケージを採用する場合において、通気路をセラミック基板上への側壁積層工程により容易に作成することが可能とされる。
従って、通気路作成プロセスの簡易化によるコスト削減を図ることができる。
【0084】
さらにまた、実施形態としての半導体装置においては、扉部が遮蔽膜の一部に対する切り込み(同C,CB,CC)により形成されている。
【0085】
これにより、遮蔽膜の一部に切り込みを入れるという比較的簡易なプロセスにより扉部を形成することが可能とされる。
従って、扉部を形成のためのプロセスの簡易化によるコスト削減を図ることができる。
【0086】
また、実施形態としての半導体装置においては、切り込み(同CB,CC)が、扉部の厚み方向に直交する二面の面積を異ならせるように形成されている。
【0087】
上記のように扉部の厚み方向に直交する二面の面積が異なることで、扉部の開閉方向が一方向に定まる。
従って、扉部の開閉方向を一方向に規制するためのストッパを形成する必要がなくなり、半導体装置の設計自由度向上を図ることができる。
【0088】
さらに、実施形態としての半導体装置においては、切り込み(同CB)が遮蔽膜(同8B)の厚み方向から傾斜した向きに形成されている。
【0089】
上記のように遮蔽膜の厚み方向から傾斜した向きに切り込みを形成することで、扉部の厚み方向に直交する二面の面積が異なる。すなわち、遮蔽膜を斜めにカットするという比較的簡易なプロセスにより、扉部の開閉方向が一方向に規制された遮蔽膜を実現することが可能とされる。
従って、扉部の開閉方向が一方向に規制された遮蔽膜を実現するためのプロセスの簡易化によるコスト削減を図ることができる。
【0090】
さらにまた、実施形態としての半導体装置は、複数の受光素子が二次元配列された半導体チップを備える固体撮像素子としての半導体装置とされている。
【0091】
固体撮像素子としての半導体装置は、画質低下防止等のため比較的高い防塵性能が要求される。
従って、実施形態としての排気及び防塵機構の構成を適用することが特に好適となる。
【0092】
また、実施形態としての撮像装置(同100)は、半導体パッケージ(同3,3A)を用いた箱状の外筐(同2)と、外筐の内側空間に配置され、複数の受光素子が二次元配列された半導体チップ(同5)と、外筐の内側空間と外側空間とを繋ぐ通気路(同T)と、一部に開閉自在な扉部(同8a,8aB,8aC)が形成され、扉部の少なくとも一部が通気路内に位置するように設けられた遮蔽膜(同8,8B,8C)と、を有する固体撮像素子(半導体装置1,1A,1B)と、固体撮像素子により得られる撮像画像信号を処理する信号処理部(同102)と、を備えたものである。
【0093】
これにより、上記した実施形態としての半導体装置と同様の作用及び効果が得られる固体撮像素子を実装した撮像装置を実現することができる。
【0094】
なお、上記では、半導体パッケージとしてセラミック製のパッケージを用いる例を挙げたが、例えば有機材料のラミネート基板に樹脂材料で側壁を形成したキャビティ構造の半導体パッケージに対しても本技術は好適に適用することができる。
【0095】
また、通気路や遮蔽膜の設置部位については、パッケージの側壁部分に限定されるものでなく、パッケージ底面側の基板部分や、表面側の蓋部分に対して配置することも可能である。
【0096】
さらに、上記では、コの字形の切り込みによって矩形状の扉部を形成する例を挙げたが、扉部の形状は矩形状に限定されない。例えば、長円形状や、角を面取りした形状など多様な選択が可能である。特に、扉部の長期的な耐久性などを考慮した場合、鋭角な角を持たない形状とすることが望ましい。
【0097】
なお、本明細書に記載された効果はあくまでも例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【0098】
<7.本技術>
なお本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)
半導体パッケージを用いた箱状の外筐と、
前記外筐の内側空間に配置された半導体チップと、
前記外筐の前記内側空間と外側空間とを繋ぐ通気路と、
一部に開閉自在な扉部が形成され、前記扉部の少なくとも一部が前記通気路内に位置するように設けられた遮蔽膜と、を備えた
半導体装置。
(2)
前記扉部が前記内側空間の気圧変化に応じて開閉する
前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記遮蔽膜がステンレス鋼材又は樹脂材料で構成された
前記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記通気路における前記内側空間側への前記扉部の開動作を規制するストッパ部が形成された
前記(1)から(3)の何れかに記載の半導体装置。
(5)
前記扉部が前記遮蔽膜の中央に形成された
前記(1)から(4)の何れかに記載の半導体装置。
(6)
前記通気路が前記外筐の側壁部に形成された
前記(1)から(5)の何れかに記載の半導体装置。
(7)
前記扉部が前記遮蔽膜の一部に対する切り込みにより形成された
前記(1)から(6)の何れかに記載の半導体装置。
(8)
前記切り込みが、前記扉部の厚み方向に直交する二面の面積を異ならせるように形成された
前記(7)に記載の半導体装置。
(9)
前記切り込みが前記遮蔽膜の厚み方向から傾斜した向きに形成された
前記(8)に記載の半導体装置。
(10)
複数の受光素子が二次元配列された前記半導体チップを備える固体撮像素子としての半導体装置とされた
前記(1)から(9)の何れかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0099】
1,1A,1B 半導体装置、2 外筐、3,3A,3B 半導体パッケージ、3u,3uA 凹部、3h 凸部、3ha ストッパ部、31 基板部、32,32A,32B 側壁部、32a 上面、32b 下面、32c 内壁面、32d 外壁面、4 蓋部、4h 凸部、4ha ストッパ部、5 半導体チップ、7 接着剤、8,8B,8C 遮蔽膜、8a,8aB,8aC 扉部、a1 根元部、a2 先端部、S 内側空間、T 通気路、C,CB,CC 切り込み、100 撮像装置、102 信号処理部