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特許7527276操舵トルクによって定まるゲインに応じてステアリングホイールの設定トルクを決定する方法
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  • 特許-操舵トルクによって定まるゲインに応じてステアリングホイールの設定トルクを決定する方法 図1
  • 特許-操舵トルクによって定まるゲインに応じてステアリングホイールの設定トルクを決定する方法 図2
  • 特許-操舵トルクによって定まるゲインに応じてステアリングホイールの設定トルクを決定する方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】操舵トルクによって定まるゲインに応じてステアリングホイールの設定トルクを決定する方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240726BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20240726BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20240726BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
B62D6/00 ZYW
B62D119:00
B62D101:00
B62D113:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021516371
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 FR2019051945
(87)【国際公開番号】W WO2020065149
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】18/58652
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511110625
【氏名又は名称】ジェイテクト ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミシェリ アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ムレール パスカル
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィエ クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ラーミニー ピエール
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-533473(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014200994(DE,A1)
【文献】国際公開第2010/109676(WO,A1)
【文献】特開2007-055452(JP,A)
【文献】特開2014-223856(JP,A)
【文献】特開2015-205636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0343790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 119/00
B62D 101/00
B62D 113/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電動パワーステアリングシステムのステアリングホイールの設定トルク(C)であってステアリングホイールを操作する時に運転者が感知すべきトルクである設定トルク(C)を決定する決定方法であって、前記設定トルク(C)が、操舵トルクをサーボ制御で前記設定トルク(C )に向かって近づけるように、制御モータによってステアリングホイールに直接的または間接的に加えられるモータトルク(C)を決定することを可能にし、前記設定トルク(C)が、加速度の次元を有する少なくとも1つの横加速度相当値(A,A,A)の関数であり、
横加速度相当値は、車両の動的状態に応じて変化するパラメータによって定められ、
特徴は、前記横加速度相当値(A,A,A)は、少なくとも1つの操舵トルク(Cv)によって定まるゲイン(G1,G2,G3)によって乗算され、操舵トルクは、運転者によってステアリングホイールに加えられるトルクである決定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の決定方法であって、
ゲイン(G1,G2,G3)が車両の縦速度(V及び操舵トルク(Cv)によって定められる決定方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の決定方法であって、
ゲイン(G1,G2,G3)が0と1の間で変化する決定方法。
【請求項4】
請求項1に記載の決定方法であって、
パラメータ(P1,P2,P3)が、車両のヨーレート、車両のヨー加速度、車両の横加速度、ステアリングホイール角度、ラックに作用する力、ラックに配置されたセンサによって測定される前記力、ラックに作用する力の推定値、電動パワーステアリングシステムに作用する摩擦の推定値を含む前記力の推定値、ラックに作用する所望の力から選択される決定方法。
【請求項5】
請求項1からの何れか1つに記載の決定方法であって、
前記設定トルク(C)が、複数の前記横加速度相当値(A,A,A)によって定まる総横加速度相当値(Atot)に対応する決定方法。
【請求項6】
請求項に記載の決定方法であって、
総横加速度相当値(Atot)が、複数の前記横加速度相当値(A,A,A)の加重平均によって算出される決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリングシステムの分野に関し、より詳しくは、ステアリングホイールの設定トルクを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリングシステムの目的は、運転者が車両の軌道を制御できるようにすることである。この軌道は、車両が時間の経過に伴って占める連続的な位置の集合で表される。車両の軌道は、測定または算出が可能なパラメータの集合によって定まる曲線である。前記パラメータは、車両に動きが生じるように加えられている力の状態に応じて変化する。以下、力の状態を車両の動的状態と称する。パラメータには、例えば、車両の縦速度(前進速度)、車両の横加速度、車両のヨーレート、車両のヨー加速度、車輪に加わる力、ハンドル角、ステアリングホイールの回転速度等がある。
【0003】
車両の車輪の方向角度を変えることにより、運転者は、車両の動的状態のパラメータに影響を与えて車両の軌道を変化させる。特に車輪の方向角度は、以下「ハンドル角」と呼ばれるステアリングホイールの角度と連動する。運転者は、以下「操舵トルク」と呼ばれるステアリングホイールに対する力を用いてハンドル角を変化させる。
【0004】
運転者が車両の軌道を制御するために、運転者は、ステアリングシステムのステアリングホイールを通じて車両の動的状態を感知することが重要である。
【0005】
一般に、ステアリングシステムは、前記ステアリングホイール、ラック、及びタイロッドにそれぞれ接続される2つの車輪を含む複数の構成要素を有する。ラックは、車輪を操作可能に、言い換えると、タイロッドを介して車輪の方向角度を変更可能にする部品である。ラックは、ハンドル角の変化を車両の車輪の回転の変化に変換する。
【0006】
電動パワーステアリングシステムは、以下で設定トルクと称する、特にステアリングホイールを操作する時に運転者が感知するトルクを決定するコンピュータを有する。このコンピュータは、操舵トルクを設定トルクに向かってサーボ制御する。そうすることで、コンピュータは、車両の動的状態に対する運転者の感覚を変化させる。車両の動的状態に応じて設定トルクが変化し、運転者は多少ともステアリングホイールを容易に回すことができる。例えば、車両の動的状態が駐車状態に対応する場合、すなわち車両が低速で軌跡を描く状況では、運転者は、車両が高速で、一般的には50km/hよりも速い速度で軌跡を描く状況よりも、ステアリングホイールを容易に回すことができる。
【0007】
操舵トルクを設定トルクに向かわせるサーボ制御は、制御モータによって実行される。制御モータは、操舵トルクが設定トルクに等しくなるようにモータトルクを出力する。
【0008】
機械式の電動パワーステアリングシステムでは、ステアリングホイールとラックの間に、一般にステアリングコラムによって実現される機械的なリンクがある。そして、制御モータは、ラックまたはステアリングコラムにモータトルクを作用させることにより、ステアリングホイールに間接的にモータトルクを作用させる。
【0009】
「ワイヤ操作」式の電動パワーステアリングシステムでは、ハンドル角が測定または算出されて、操舵モータがラックを介して車両の車輪の方向を変化させる。そして、制御モータがステアリングホイールに直接にモータトルクを作用させることにより、運転者にラックの慣性すなわちラックの重量を意識させることができる。「ワイヤ操作」式の電動パワーステアリングシステムは、そのために2つのモータを有し、1つはラックを作動させる操舵モータであり、他の1つは操舵トルクに対するカウンタートルクを出力する制御モータである。
【0010】
設定トルクを決定する一つの方法が特許文献1に開示されている。より詳しくは、設定トルクは、加速度(L・T-2)の次元を有する、「横加速度相当値」と呼ばれる物理的なパラメータに対応しない値である、実質的な値に応じて決定される。横加速度相当値は、ラックに作用する少なくとも1つの力、すなわち車輪に作用する力を表す力から算出される。このようにして計算される横加速度相当値は、横加速度相当値自体によって定まるゲインにより加重される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】仏国特許出願公開第2948334号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この横加速度相当値を決定することでは、運転者がステアリングホイールを握っている動的状態か握っていない動的状態か、すなわち運転者がステアリングホイールに力を加えている状況か加えていない状況かを区別できない。このような動的状態は、例えば旋回軌道の出口で、運転者がステアリングホイールを保持して曲がってからステアリングホイールを離し、ステアリングホイールが「自然に」中心に戻るように、つまり、車両が直進軌道を描くハンドル角になるようにする場合などに発生する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、車両の電動パワーステアリングシステムのステアリングホイールの設定トルクを決定する方法を提案することによって、前述の欠点の全部または一部を解消することを目的とする。この方法では、前記設定トルクが、ステアリングホイールに直接的または間接的に加えられるモータトルクを決定することを可能にし、前記設定トルクが、加速度の次元を有する少なくとも1つの横加速度相当値の関数であり(少なくとも1つの横加速度相当値に応じて定められ)、特徴は、少なくとも1つの操舵トルクによって定まるゲインによって前記横加速度相当値が加重されることである。
【0014】
横加速度相当値を少なくとも操舵トルクによって定まるゲインで加重することにより、設定トルクを決定する際の横加速度相当値の影響を変化させることができる。一例として、横加速度相当値がゼロとなる操舵トルクの値の範囲を1つ以上選択できる。そのために、前記範囲でゲインが0になれば十分である。逆に、横加速度相当値を望む場合は、ゲインの値を大きくする。
【0015】
ゲインは無次元の値であり、設計段階で予め決定されるか、または車両が直面する動的状態に応じて学習により決定される。
【0016】
一般に、少なくとも1つの操舵トルクによって定まるゲインによる横加速度相当値の加重により、運転者がステアリングホイールを保持している車両の動的状態すなわち操舵トルクが0とは異なる場合を、運転者がステアリングホイールを離す動的状態すなわち操舵トルクが0と等しい場合から区別することが可能になる。
【0017】
そうすることにより、設定トルクを決定する際の横加速度相当値の影響を、車両の動的状態に応じて容易に変更できる。
【0018】
さらに、ゲインを連続的に変化させることにより、ステアリングホイールを保持した動的状態とその後に解放した動的状態との間のエッジ効果を抑制できる。
【0019】
本発明の1つの特徴によれば、ゲインが車両の縦速度によって定められる。
【0020】
車両の縦速度に応じて横加速度相当値の加重ゲインを変化させることにより、車両が高速で移動を行う動的状態と、車両が低速で駐車するように走行する車両の動的状態とを区別できる。
【0021】
本発明の1つの特徴によれば、ゲインが0と1の間で変化する。
【0022】
このように、設定トルクを決定する際に、ゲインが1に等しい場合は横加速度相当値の影響を考慮することができ、逆にゲインの値が0である場合はその影響を無視できる。
【0023】
本発明の1つの特徴によれば、横加速度相当値は、車両の動的状態に応じて変化するパラメータによって定められる。
【0024】
したがって、横加速度相当値は、選択されたパラメータを表し、車両の動的状態に応じて変化する。
【0025】
本発明の1つの特徴によれば、パラメータは、車両のヨーレート、車両のヨー加速度、車両の横加速度、ステアリングホイール角度、ラックに作用する力、ラックに配置されたセンサによって測定される前記力、ラックに作用する力の推定値、電動パワーステアリングシステムに作用する摩擦の推定値を含む前記力の推定値、ラックに作用する所望の力から選択される。
【0026】
ヨーレートは、垂直軸、すなわち車両が軌跡を描く平面と交差する軸の周りの車両の回転速度を表す。
【0027】
ヨー加速度は、垂直軸の周りの車両の回転加速度を表す。
【0028】
車両の横加速度は、車両の横方向、すなわち、車両の縦方向(前進)軸と交差する方向の加速度を表す。
【0029】
ラックに作用する力は、ラックに配置されたセンサによって測定される。前記センサは、パワーステアリングシステムのタイロッドに配置された「ひずみゲージ」センサと呼ばれるセンサであってもよい。このセンサにより、ラックに加わる力を、数学的モデルによる推定ではなく、測定することができる。
【0030】
ラックに加わる力の推定値は、ステアリングシステムに作用する摩擦が加えられた、ラックに加わる力を表す値である。
【0031】
ラックに加わる所望の力は、推定器によって算出されるラックの力であり、前記推定器は、簡略化した機械的モデルに相当する数学的モデルや、または制御モータに求められる力すなわち設定トルクでもあってよく、制御モータの性能制限のために必ずしも加えなくてよい。
【0032】
本発明の1つの特徴によれば、設定トルクは、複数の横加速度相当値によって定まる総横加速度相当値の関数である(総横加速度相当値に応じて定められる)。
【0033】
各横加速度相当値は、車両の動的状態に応じて変化するパラメータによって定められる。
【0034】
各横加速度相当値は、各横加速度相当値に固有のゲインによって加重される。
【0035】
各横加速度相当値により、車両の動的状態のパラメータの影響を考慮することができる。したがって、総横加速度相当値により、複数の横加速度相当値を通じて車両の動的状態の複数のパラメータを考慮できる。
【0036】
このように、総横加速度相当値から決定される設定トルクは、車両の動的状態の複数のパラメータを考慮したものとなる。したがって、設定トルクにより、車両の動的状態に対する運転者の感覚が高められる。
【0037】
本発明の1つの特徴によれば、総横加速度相当値は、複数の横加速度相当値の加重平均によって算出される。
【0038】
加重平均は、以下の式により算出される。
【0039】
【数1】
【0040】
ここで、Atot:総横加速度相当値、Ai:パラメータiの横加速度相当値、G:パラメータiの横加速度相当値のゲインである。パラメータiの数値は1から100まで変化させることができる。好ましくは、iは3に等しい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、モータトルクを決定できるようにするアルゴリズムのロジックダイアグラムである。
図2図2は、図1に係るアルゴリズムの一部の、より正確なロジックダイアグラムである。
図3図3は、図2に係るアルゴリズムの一部の、より正確なロジックダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、添付の概略図を参照して説明される非限定的な例である本発明に係る実施形態に関する以下の説明により、よりよく理解されるであろう。
【0043】
図3は、第1パラメータP1の横加速度相当値Aの決定と、パラメータP1の前記横加速度相当値Aの第1ゲインGの決定とを示す。
【0044】
第1パラメータP1は、車両の軌道、すなわち車両の動的状態を表す。図3に示される例では、第1パラメータP1は、車両のパワーステアリングシステムのステアリングホイールのハンドル角を表す。
【0045】
第1パラメータP1から、加速度(L・T-2)の次元を有する横加速度相当値Aiが当業者に知られた方法で決定される。
【0046】
横加速度相当値Aと車両の縦速度Vから、第1ゲインG1の第1部分G’1が決定される。
【0047】
車両の縦速度Vと、運転者がステアリングホイールに加える操舵トルクCvから、第1ゲインG1の第2部分G”1が決定される。
【0048】
そして、第1パラメータP1に固有の無次元の値である第1ゲインGを得るように、第1部分G’1と第2部分G”1とを乗じる。第1ゲインGは、3次元のグラフで表される。第1ゲインGは、0と1の間で変化する。
【0049】
このように、操舵トルクCvを用いることによって、運転者がステアリングホイールを保持している車両の動的状態と、運転者がステアリングホイールを保持していない車両の動的状態とを、第1ゲインGにより区別できる。
【0050】
さらに、車両の縦速度Vを用いることによって、車両が出発点と到着点との間を移動するように走行する車両の動的状態と、車両が駐車を行う動的状態とを、第1ゲインGにより区別できる。
【0051】
図2は、3つのパラメータP1,P2,P3からの総横加速度相当値Atotの決定を示す。
【0052】
第1パラメータP1は、図3で説明した第1パラメータP1と同一である。
【0053】
第2パラメータP2は車両の軌道を表す値である。図2に示す例では、第2パラメータP2は、車両の車輪に作用する力、すなわち車両のパワーステアリングシステムのラックに作用する力を表す。
【0054】
第2パラメータP2から、横加速度相当値Aが当業者に知られた方法で決定される。
【0055】
横加速度相当値A,車両の縦速度V及び運転者がステアリングホイールに加える操舵トルクCvから、第1ゲインGが決定されるのと同じ方法で第2ゲインGが決定される。したがって、第2ゲインGは、3次元のグラフで表される、0と1の間で変化する無次元の値である。
【0056】
第3パラメータP3は車両の軌道を表す値である。図2に示す例では、第3パラメータP3は、車両のヨーレート、すなわち車両が周回する平面に対して直角の軸を中心とする車両の回転速度を表す。
【0057】
第3パラメータP3から、横加速度相当値Aが当両者に知られた方法で決定される。
【0058】
横加速度相当値Aと、車両の縦速度Vと、運転者がステアリングホイールに加える操舵トルクCvから、第1ゲインG1が決定されるのと同じ方法で第3ゲインGが決定される。したがって、第3ゲインG3は、3次元グラフで表される、0と1との間で変化する無次元の値である。
【0059】
そして、以下の数式に従って3つのパラメータの横加速度相当値の加重平均を実行することにより、総横加速度相当値Atotが決定される。
【0060】
【数2】
【0061】
総横加速度相当値Atotは、例えば、ヨー加速度、すなわち車両が周回する平面に直角の軸の周りでの車両の回転の加速度、または車両の車輪の回転速度の偏差から決定することもできる。
【0062】
したがって、総横加速度相当値Atotは、車両の物理的な値を表すものではなく、総横加速度相当値Atotは車両の軌道を表す複数のパラメータを表す値である。
【0063】
総横加速度相当値Atotは、総横加速度相当値AtotのRFM構築(RFM construction)のステップ中に決定される。
【0064】
図1は、モータトルクCを決定できるアルゴリズムの簡略ロジックダイアグラムである。前記モータトルクCは、車両のパワーステアリングシステムの制御モータによって直接的または間接的にステアリングホイールに加えられる。
【0065】
より詳細には、このアルゴリズムは、図2及び図3に表されているように、総横加速度相当値AtotのRFM構築ステップを有する。
【0066】
また、このアルゴリズムは設定トルクCのTTG展開(TTG development)のステップを有する。TTG展開ステップは、車両の動的状態によって定まる複数のパラメータを入力として受け入れる。これらのパラメータは、車両のコンピュータによって測定または算出される。また、この展開ステップは、RFM構築ステップによって決定される総横加速度相当値Atotも受け入れる。
【0067】
設定トルクCは、運転者がステアリングホイールを回すときに運転者が感知することが望ましいステアリングトルクである。したがって、操舵トルクCvが設定トルクCと等しいことが望ましい。設定トルクCは、例えば、運転者によるステアリングホイールの回転を促したり逆に阻止したりすることができるように決定される。
【0068】
運転者が設定トルクCを感知するために、TFCサーボ制御ステップ中に、操舵トルクCvが設定トルクCに向かってサーボ制御される。
【0069】
TFCサーボ制御ステップ中に、設定トルクCと操舵トルクCvとが等しくなるように、制御モータからステアリングホイールに直接的または間接的に加えられるモータトルクCが決定される。
【0070】
このように、制御モータの目的は、運転者がステアリングホイールに加える操舵トルクCvを設定トルクCに向かってサーボ制御することである。このようにして、運転者による車両の動的状態の感知を促進できる。
【0071】
言うまでもなく、本発明は、明細書で説明され、添付の図に表された実施形態に限定されるものではない。特に種々の要素の構成の観点から、または技術的な均等物の置換により、本発明の保護範囲を逸脱することなく変更することが可能である。
図1
図2
図3