(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ホール集積回路およびウェハ積層を用いたホール集積回路の対応する製造方法
(51)【国際特許分類】
H10N 52/00 20230101AFI20240726BHJP
【FI】
H10N52/00 P
H10N52/00 Z
H10N52/00 S
(21)【出願番号】P 2021527873
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 IB2019060044
(87)【国際公開番号】W WO2020104998
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516140753
【氏名又は名称】エルファウンドリー エッセ.エッレ.エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュミット カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ブラジーニ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】スピッツルスパーガー ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】モンターニャ アレッサンドロ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259803(JP,A)
【文献】特開2014-002725(JP,A)
【文献】特開2018-113429(JP,A)
【文献】特開平05-136480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 52/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型ホール素子(100)を含むホール集積回路であって、垂直方向(z)に積層された第1のウェハ(10)および第2のウェハ(20)を含み、前記第2のウェハ(20)は、前記縦型ホール素子(100)に結合されるように構成されたCMOS処理回路を集積したCMOS基板(201)と、前記CMOS基板(201)上に配置された誘電体層の積層体(204)とを備え、前記第1のウェハ(10)は、垂直方向(z)に沿って対向する第1の面(10b)および第2の面(10d)を有し、前記垂直方向(z)と直交する水平面(xy)に延びるホールセンサ層(102)を備え、前記第1および第2のウェハ(10、20)は、前記ホールセンサ層(102)の前記第1の面(10b)の上方に配置された誘電体層(105)の介在物と結合される、ホール集積回路であり、
前記縦型ホール素子(100)は、
前記ホールセンサ層(102)の前記第1の面(10b)に配置された第1のドープ領域である
、第1のホール端子(1)と、
垂直方向(z)に沿って前記第1のドープ領域に整列して前記ホールセンサ層(102)の前記第2の面(10d)に配置さ
れた第2のドープ領域である
、第2のホール端子(4)と、
前記第1の面(10b)から前記第2の面(10d)まで前記ホールセンサ層(102)を貫通して延び、前記第1および第2のホール端子(1、4)が配置された前記ホールセンサ層(102)のホールセンサ領域を囲み隔離するディープトレンチ隔離リング(107)と、
前記第1および第2のホール端子(1、4)にそれぞれ結合され、前記第2のウェハ(20)の積層体(204)に埋め込まれたそれぞれのコンタクトパッド(221、224)に電気的に接続されるように構成された第1および第2の導電性構造体(111、114)とを備える、ホール集積回路。
【請求項2】
前記ホールセンサ層(102)がエピタキシャルシリコン層であり、前記第1および第2のホール端子(1、4)が、前記ホールセンサ層(102)内の、前記ホールセンサ層と同じタイプの導電性を有するドープ領域である、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記縦型ホール素子(100)は、
前記ホールセンサ層(102)の前記第1の面(10b)に配置された第3のドープ領域である
、第3のホール端子(2)と、
垂直方向(z)に沿って前記第3のドープ領域に整列して前記ホールセンサ層(102)の前記第2の面(10d)に配置さ
れた第4のドープ領域である
、第4のホール端子(3)と、
前記第3および第4のホール端子(2、3)にそれぞれ結合され、前記第3および第4のホール端子(2、3)を前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれたそれぞれのコンタクトパッド(222、223)にそれぞれ電気的に接続するように構成された第3および第4の導電性構造体(112、113)とを
備えた、請求項1または2に記載の回路。
【請求項4】
前記第1および第2のホール端子(1、4)と前記第3および第4のホール端子(2、3)とが、前記ディープトレンチ隔離リング(107)から同じ横方向の距離(d)で配置されている、請求項3に記載の回路。
【請求項5】
前記縦型ホール素子(100)は、前記第1および第2の導電性構造体(111、114)を前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれた前記コンタクトパッド(221、224)に電気的に接続するように構成された、前記ホールセンサ層(102)を貫通するシリコン貫通ビア(121、141、164)をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
前記第1の面(10b)上の
酸化物層(104)と、前記第2の面(10d)上の第2の誘電体層(106、108)とをさらに備え、
前記第1の導電性構造体(111)は、前記第1の
ホール端子(1)の前記第1のドープ領域と接触する前記
酸化物層(104)を貫通する開口部の金属充填物と、前
記酸化物層(104)上に配置された第1の金属ワイヤであって、前記金属充填物と接触し、前記ディープトレンチ隔離リング(107)の外側に横方向の延伸部を有する第1の金属ワイヤとを備え、
前記第1の導電性構造体(111)の前記第1の金属ワイヤを前記第2の面(10d)の上方の前記第2の誘電体層(106、108)上に形成された導電性ブリッジ(115)に電気的に接続する第1のシリコン貫通ビア(121)と、前記導電性ブリッジ(115)を前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれた前記コンタクトパッド(221、224)のうちの第1のコンタクトパッド(221)に電気的に接続する第2のシリコン貫通ビア(141)とを備え、
前記第2の導電性構造体(114)は、前記第2の
ホール端子(4)の前記第2のドープ領域と接触する前記第2の誘電体層(106、108)を貫通する開口部のそれぞれの金属充填物と、前
記酸化物層(106、108)上に配置された第2の金属ワイヤであって、前記金属充填物と接触し、前記ディープトレンチ隔離リング(107)の外側に横方向の延伸部を有する第2の金属ワイヤとを備え、
第3のシリコン貫通ビア(164)は、前記第2の導電性構造体(114)の前記第2の金属ワイヤを、前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれた前記コンタクトパッド(221、224)のうちの第2のコンタクトパッド(224)に電気的に接続する、
請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記
CMOS処理回路の一部が、前記第1のウェハ(10)の前記ホールセンサ層(102)の一部に集積される、請求項1~6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
縦型ホール素子(100)を含むホール集積回路の製造方法であって、
垂直方向(z)に沿って対向する第1の面(10b)および第2の面(10d)を有し、前記垂直方向(z)に直交する水平面(xy)に延びるホールセンサ層(102)を含む第1のウェハ(10)と、
前記縦型ホール素子(100)に結合されるように構成されたCMOS処理回路を集積したCMOS基板(201)と、前記CMOS基板(201)上に配置された誘電体層の積層体(204)とを含む第2のウェハ(20)であって、前記第1および第2のウェハ(10、20)が、前記ホールセンサ層(102)の前記第1の面(10b)の上方に配置された誘電体層(105)を介在して結合されている第2のウェハ(20)と
の垂直方向(z)の積層体を形成することを含み、
前記縦型ホール素子(100)は、
前記ホールセンサ層(102)の前記第1の面(10b)に配置された第1のドープ領域である
、第1のホール端子(1)と、
前記垂直方向(z)に沿って前記第1のドープ領域に整列して前記ホールセンサ層(102)の前記第2の面(10d)に配置さ
れた第2のドープ領域である
、第2のホール端子(4)と、
前記第1の面(10b)から前記第2の面(10d)まで前記ホールセンサ層(102)を貫通して延び、前記第1および第2のホール端子(1、4)が配置された前記ホールセンサ層(102)のホールセンサ領域を囲み隔離するディープトレンチ隔離リング(107)と、
前記第1および第2のホール端子(1、4)にそれぞれ結合され、前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれたそれぞれのコンタクトパッド(221、224)に電気的に接続されるように構成された第1および第2の導電性構造体(111、114)とを
備える、方法。
【請求項9】
前記積層体を形成することは、
基板(101)および前記基板(101)上に形成されたエピタキシャル層を含む前記第1のウェハ(10)を提供することを含み、前記エピタキシャル層は、前記第1の面(10b)と、前記垂直方向(z)に沿った前記第1の面(10b)に対向する裏面(10a)を有する前記基板(101)を規定し、
前記第1の面(10b)に前記第1のホール端子(1)の前記第1のドープ領域を形成することと、
前記第1のホール端子(1)に結合された前記第1の導電性構造体(111)および前記第1の導電性構造体(111)の上方の、上面(10c)を有する前記誘電体層(105)を形成することと、
前記第1のウェハ(10)を裏返し、前記誘電体層(105)の前記上面(10c)を前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)のそれぞれの上面(20c)に接合することと、
前記裏面(10a)から前記第1のウェハ(10)を薄くし、それによって前記基板(101)を除去し、前記エピタキシャル層およびその前記第2の面(10d)から前記ホールセンサ層(102)を規定することと、
前記第2の面(10d)に前記第2のホール端子(4)の前記第2のドープ領域を形成することと、
前記ホールセンサ層(102)を通って前記第2の面(10d)から前記第1の面(10b)まで延びる前記ディープトレンチ隔離リング(107)を形成し、前記ホールセンサ層(102)の、前記第1および第2のホール端子(1、4)が配置されている、前記ホールセンサ領域、を囲んで分離することと、
前記第2のホール端子(4)に結合された前記第2の導電性構造体(114)を形成することと、を含む
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1および第2の導電性構造体(111、114)を前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれた前記コンタクトパッド(221、224)に電気的に接続するように構成された、前記ホールセンサ層(102)を貫通する前記
縦型ホール素子(100)のシリコン貫通ビア(121、141、164)を形成するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の導電性構造体(111)を形成することは、
前記第1の面(10b)上の
酸化物層(104)上に配置された第1の金属ワイヤを形成することを含み、前記第1の金属ワイヤは前記
酸化物層(104)を貫通し、ディープトレンチ隔離リング(107)の外部に横方向に延びる開口部の金属充填物を介して、前記第1の
ホール端子(1)と接触し、
ここで、シリコン貫通ビア(121、141、164)の形成は、前記第2の導電性構造体(114)を形成する前に実行され、
前記第1の導電性構造体(111)の前記第1の金属ワイヤに電気的に接続された第1のシリコン貫通ビア(121)と、前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれた前記コンタクトパッド(221、224)の第1のコンタクトパッド(221)に電気的に接続された第2のシリコン貫通ビア(141)を形成することと、
前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれた前記コンタクトパッド(221、224)の第2のコンタクトパッド(224)に電気的に接続された第3のシリコン貫通ビア(164)を形成することと、を含み、
前記第2の導電性構造体(114)を形成することは、前記第2の面(10d)上の第2の誘電体層(106、108)上に配置された第2の金属ワイヤを形成することを含み、前記第2の金属ワイヤは、前記第2の誘電体層(106、108)を貫通し、前記第3のシリコン貫通ビア(164)までの前記ディープトレンチ隔離リング(107)の外側に横方向に延びる開口部の金属充填物を介して、前記第2の
ホール端子(4)と接触し、
前記第1と第2のシリコン貫通ビア(121、141)と電気的に接触する導電性ブリッジ(115)を形成することをさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ホールセンサ層(102)がエピタキシャルシリコン層であり、前記第1および第2のホール端子(1、4)が、前記ホールセンサ層(102)と同じタイプの導電性を有する前記ホールセンサ層内のドープ領域である、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記縦型ホール素子(100)は、
前記ホールセンサ層(102)の前記第1の面(10b)に配置された第3のドープ領域であ
る第3のホール端子(2)を形成するステップと、
第4のホール端子(3)を形成するステップであって、前記ホールセンサ層(102)の前記第2の面(10d)に配置された第4のドープ領域であり、前記垂直方向(z)に沿って前記第3のドープ領域に整列さ
れている、第4のドープ領域である、ステップと、
前記第3および第4のホール端子(2、3)にそれぞれ結合され、前記第3および第4のホール端子(2、3)を前記第2のウェハ(20)の前記積層体(204)に埋め込まれたそれぞれのコンタクトパッド(222、223)にそれぞれ電気的に接続するように構成された第3および第4の導電性構造体(112、113)を形成するステップ、とをさらに含む請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2のホール端子(1、4)ならびに前記第3および第4のホール端子(2、3)は対応する製造工程で形成され、前記ディープトレンチ隔離リング(107)から同じ横方向距離(d)に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記
CMOS処理回路の一部を前記第1のウェハ(10)の前記ホールセンサ層(102)の一部に統合するステップをさらに含む、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2018年11月21日に出願された欧州特許出願第18207662.0号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ホール集積回路(IC)、およびウェハ積層を用いたホール集積回路の対応する製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ホール素子の動作原理と基本技術は、R.S.Popovicによる著書、「Hall Effect Devices」、Institute of Physics Publishing、Bristol and Philadelphia、2004年に記載されている。
【0004】
米国特許出願公開第2014/0347045号明細書は、少なくとも3つの電極対を有する等方性三次元ホールセンサを規定しており、各電極対は、ウェハの前面に端子を備え、裏面に端子を備える。3つの電極対は、ウェハを通るそれらの方向が直交座標系を表すように配置することができる。さらに、ホールセンサ領域は、基板の両側から基板内にエッチングされた深いトレンチによって横方向に境界を定めることができる。電気的接続は、フリップチップまたはワイヤボンディングによって行うことができる。
【0005】
米国特許出願公開第2006/0170406号明細書は、基板の主面上に一列に形成された3つの電極と、エピプロセスによって確立された1つの埋込み電極とを有する縦型ホール素子を規定している。主面上の3つの電極は、電流通過領域を画定する所定の深さの誘電体層によって囲まれている。埋込み電極は、ドープされたフックアップ構造によって電気的に接続される。
【0006】
国際公開第2010/101815号は、第1の軸に沿ってウェル内に形成された3つの電極を有する縦型ホールセンサを規定している。ウェルに結合された第4の埋込み電極は、ウェルの下に位置する深い拡散領域によって形成される。埋込み電極は、ドープされたフックアップ構造によって電気的に接続される。
【0007】
国際公開第2011/000601号は、基板の主面、主面と接触するホールセンサ領域、およびホールセンサ領域と接触する埋込み導電性領域を有する縦型ホールセンサを規定している。主面上の4つの電極、および4つの埋込み電極を有する縦型ホールセンサが開示される。埋込み電極は、ドープされたフックアップ構造によって電気的に接続される。
【0008】
米国特許出願公開第2009/0256559号明細書は、第2の導電型のエピ層と、間に第2の導電型を有する埋込み導電層とを有する第1の導電型の基板上に形成される縦型ホール素子を開示している。縦型ホール素子は、4つの端子を有する。一方の端子は、フックアップ構造によって導電性埋込み層に接続されている。フックアップ構造と他の端子との間には隔離構造が存在する。
【0009】
磁気センサICでは、一般的に、信号の調整および増幅に必要な電気回路とモノリシックに集積されたシリコンベースのホール素子が使用される。モノリシックに集積されたホール素子を有する典型的な市販品として、ホールスイッチIC、線形位置測定用のホールIC、ダイレクト角度センサホールIC、電流感知用のホールIC、および3DホールセンサICがある。製品の種類によって、ホールICは、横型ホール素子、縦型ホール素子、またはその両方を含む場合がある。シリコン表面の平面内にある或る方向の磁界の強度を感知する縦型ホール素子は、特に、ダイレクト角度センサホールICおよび3DホールセンサICに使用される。
【0010】
従来の縦型ホール素子は、以下のように形成される。p型導電型の低ドープシリコン基板には、n型導電型のウェルが形成されている。n型ウェルは、p-n接合によって基板から隔離されているセンサのホールプレートを構成する。次いで、n型ウェルの領域内のシリコン表面上に3つ、4つ、5つまたはそれ以上のホール端子が形成され、一般的には一列にまたは円周上に配置される(R.S.Popovic著、「Hall Effect Devices」、Institute of Physics Publishing、Bristol and Philadelphia、2004年)。
【0011】
これらの従来の縦型ホール素子では、ホール端子が配置されるn型ウェルの有限の深さによって感度が制限される。これは、動作電流の垂直成分のみが、2つのセンス端子間で測定されるホール電圧に寄与するためである。このため、縦型ホール素子を用いたホールICの製造には、深いウェルを有する高電圧CMOSプロセスが用いられることが多い。これらのプロセスにおいても、ウェルの深さは一般に数マイクロメートル程度しかない。
【0012】
低感度に加えて、従来の縦型ホール素子は、一般的には、高い残留オフセットを抱えている。ホール素子のオフセット、すなわち、磁界強度ゼロで測定されたホール電圧は、電流スピニング、いくつかのホール素子の直交結合、またはそれらの組合せなどの既知の技術によって低減することができる。効果的なオフセット低減は、ホール端子の転流およびホール素子の四重対称性に依存する。すべて同じシリコン表面上に配置された端子を有する単一の従来の縦型ホール素子は、理想的な四重対称性から必然的に逸脱する。
【0013】
したがって、信号の調整および増幅に必要な電気回路とともにホールICに集積することができる、感度の向上および残留オフセットレベルの低減を図った縦型ホール素子が必要とされている。
【0014】
さらに、特性が改善されたホール素子を、信号の調整および増幅に必要とされるホールIC上の電気回路と一体化する新規な方法が必要とされている。
【0015】
最終的に、より高い精度を有するダイレクト角度センサホールICおよび3DホールセンサICが必要とされている。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、上述の必要性を満たすことである。
【0017】
したがって、本発明によれば、添付の特許請求の範囲に定義されるように、ホール集積回路(IC)および対応する製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明をよりよく理解するために、添付の図面を参照して、純粋に非限定的な例として、好ましい実施形態を以下に説明する。
【
図1】本解決策の一実施形態による、ホール集積回路の一部の概略上面図である。
【
図2】
図1の線A-A’に沿った、
図1のホール集積回路の概略断面図である。
【
図3】
図1の線B-B’に沿った、
図1のホール集積回路の概略断面図である。
【
図4】
図1のホール集積回路のホール素子の等価電気表示を示す。
【
図5】幾何学的および電気的特性が強調された、
図2の断面図と同等の概略断面図である。
【
図6】幾何学的および電気的特性が強調された、
図2の断面図と同等の概略断面図である。
【
図7】本解決策のさらなる態様によるホール集積回路の概略断面図である。
【
図9】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図10】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図11】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図12】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図13】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図14】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図15】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図16】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図17】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図18】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図19】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図20】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図21】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図22】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図23】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図24】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図25】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図26】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図27】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図28】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図29】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【
図30】対応する製造方法の連続したステップにおける、
図7のホール集積回路の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細に説明するように、本解決策の一実施形態によれば、例えば10マイクロメートル~30マイクロメートルの範囲の厚さで、低ドーピングn型導電性のエピタキシャル半導体層を有する第1のウェハが準備される。エピタキシャル半導体層の第1の面には、対応する配線とともに第1の複数のホール端子が形成される。CMOS製造に用いられる一般的なドーパント濃度および導電型を有するシリコンウェハである第2のウェハが準備される。ホール素子の信号調整および増幅用の集積回路が、標準的なCMOS製造技術を使用して第2のウェハの第1の表面上に形成される。第1のウェハは反転され、その第1の表面で第2のウェハの第1の面に取り付けられ、ウェハ間の恒久的な接合を達成する。積層ウェハは、n型導電性を有する低ドープ半導体エピタキシャル層のみが残るまで、第1のウェハの第2の面から薄くされる。対応する配線を有する第2の複数のホール端子が、第1のセットのホール端子と同一の設計規則およびプロセス条件を適用して、第1のウェハの薄くされた第2の面上に形成される。第1の複数のホール端子および第2の組のホール端子は、完成したホール素子が四重対称性を有するように各面に配置される。エピタキシャルシリコン層全体を貫通し、第1の複数のホール端子ならびに第2の複数のホール端子を囲むディープトレンチ隔離リングが形成される。電気的接続は、第1の複数のホール端子の各ホール端子および第2の複数のホール端子の各ホール端子が第2のウェハ上の配線に個別に接続されるように実施される。
【0020】
図1、
図2、および
図3は、一体型ホールIC製品の縦型ホール素子100を示す。
図1は、
図2および
図3に示すように、切断方向C-C’に沿ったx-y平面内の縦型ホール素子100を示す。
図1には、2つのさらなる切断方向、すなわちx軸に沿った切断方向A-A’およびy方向に沿った切断方向B-B’が示されている。
図2は、切断方向AーA’に沿ったx-z平面における縦型ホール素子100を示す断面図である。
図3は、
図1に示す切断方向B-B’に沿ったy-z平面内の同じホール素子を示す。縦型ホール素子100は、第2のウェハ20に取り付けられた第1のウェハ10上に形成され、第2のウェハは信号調整および増幅のための集積回路を備える。第2のウェハの基板201は、p型導電性を有する低ドープシリコン基板であってもよいが、これに限定されない。一般に、CMOSデバイスおよび回路の製造に適した任意の基板を選択することができる。第2のウェハ20の基板201上に形成されるCMOSデバイスおよび回路は、
図2および
図3には示されていない。204は、基板201上に形成される誘電体層の積層体を示し、その中には回路の金属配線が(標準的なCMOS処理技術に従って)埋め込まれている。ホールICの縦型ホール素子は、第1のウェハ10の基板102上に形成されている。基板102は、n型導電性を有する低ドープエピタキシャルシリコン層であってもよい。エピタキシャルシリコン層102の抵抗率は、縦型ホール素子100が最適な特性、例えば、高い磁界感度を有するように選択される。基板102はまた、ゲルマニウム基板、ガリウムヒ素(GaAs)基板、インジウムヒ素(InAs)基板、インジウムアンチモン(InSb)基板、または高移動度などのホール素子に最適な特性を有する異なる材料の基板であってもよい。明確にするために、以下では、基板102はn型導電性を有する低ドープエピタキシャルシリコン層であると仮定する(シリコンにn型ドーピングを選択する理由は、移動度が高いためであり、この結果、ホールセンサの感度値がより高くなる)。n型導電性を有し、エピタキシャルシリコン層102の第1の表面10bまで延在する2つの浅い高濃度ドープ領域1および2が形成される。
図1に示すように、2つの高濃度ドープ領域1および2はx-y平面内に長方形の形状を有するが、他の形状も考えられる。2つの高濃度ドープ領域1および2は、同じ幅wおよび同じ長さlを有する。2つの高濃度ドープ領域1および2間の距離をsとする。酸化物層104は、2つの開口部を有する第1の面10b上に配置され、1つは高濃度ドープ領域1の領域内に位置し、1つは高濃度ドープ領域2の領域内に位置する。
図2および
図3において、111は、高濃度ドープ領域1と接触する開口部の金属充填物と、前記金属充填物と接触する酸化物層104上に配置された金属ワイヤとを備える金属構造体を示す。同様に、112は、高濃度ドープ領域2と接触する開口部の金属充填物と、前記金属充填物と接触する酸化物層104上に配置された金属ワイヤとを備える金属構造体を示す。
図3に見られるように、金属構造体111の配線部分は、y方向に左側に延びる。金属構造体112についても同様である。酸化物層105は、金属構造体111および112の上、ならびに酸化物層104の上に配置され、それにより、金属構造体111の配線部分および金属構造体112の配線部分は、酸化物に垂直に埋め込まれる。酸化物層105は、平坦化されている。平坦化された酸化物表面を用いて、ウェハ10は、ウェハ20の層204の平坦化された酸化物表面に貼り付けられて、恒久的に結合される。ウェハ20をキャリアとして使用して、ウェハ10は、エピタキシャルシリコン層102のみが残るように裏面から薄くされている。薄化後に残っているエピタキシャルシリコンの厚さはT3(
図5参照)で示され、10マイクロメートル~30マイクロメートルの範囲内であり得るが、より小さいまたはより大きい厚さ値も考えられる。
図2および
図3では、薄化後に得られるエピタキシャル層の第2の面を10dで示している。10bおよび10dは、互いに平行なx-y平面内にある、エピタキシャルシリコン層102の対向する二つの表面である。n型導電性を有し、エピタキシャルシリコン層102の第2の面10dまで延在する2つの浅い高濃度ドープ領域3および4が形成される。2つの高濃度ドープ領域3および4は、それらの対応部分1および2と同じ幅wおよび同じ長さlを有する。また、2つの高濃度ドープ領域3および4は、高濃度ドープ領域1および2が互いに分離される同じ距離sだけ分離される。さらに、高濃度ドープ領域3は、領域3の中心と領域2の中心とを結ぶ直線がエピタキシャルシリコン表面10bおよび10dに対して垂直であるという意味で、高濃度ドープ領域2の真上に位置する。同様に、高濃度ドープ領域4は、領域4の中心と領域1の中心とを結ぶ直線がエピタキシャルシリコン表面10bおよび10dに対して垂直であるという意味で、高濃度ドープ領域1の真上に位置する。エピタキシャルシリコン層の第2の面10d上に酸化物層106が配置され、その上に窒化シリコン層108が配置される。第2の面10dから第1の面10bまで延在するディープトレンチ隔離リング107が形成される。ディープトレンチ隔離部の内面は、エピタキシャルシリコン層の2つの表面10bおよび10dに対して垂直である。
図1に見られるように、ディープトレンチ隔離リング107は、第1の面10bまで延在する高濃度ドープ領域1および2を取り囲んでいる。x方向において、ディープトレンチ隔離リング107と高濃度ドープ領域2との間の距離をdで示す。ディープトレンチ隔離リング107と高濃度ドープ領域1との間のx方向の距離は同じ値dを有する。ディープトレンチ隔離リング107によって囲まれ(その外部のエピタキシャルシリコン層102の残りの部分から分離および隔離されている)エピタキシャルシリコンボリュームは、完成した縦型ホール素子100のホールセンサ領域またはホールプレートを構成しており、103で示される。層106および108の結合積層体は、一方が高濃度ドープ領域3内に位置し、他方が高濃度ドープ領域4内に位置する2つの開口部を有する。第1の面10bと同様に、二つの金属構造体113、114が形成される。金属構造体113は、領域3と接触する開口部の金属充填物と、窒化シリコン層108上に配置された金属配線とを備え、金属配線は前記金属充填物に接続されている。同様に、金属構造体114は、領域4と接触する開口部の金属充填物と、窒化シリコン層108上に配置された金属配線とを含み、金属配線は前記金属充填物と接触する。
図3に示すように、金属構造体114の配線部分は、(y方向に沿って)横方向に右側に延びる。金属構造体113についても同様である。酸化物層110は、金属構造体113および114上ならびに窒化シリコン層108上に配置される。これにより、金属構造体113、114の配線部が誘電体材料に垂直に埋め込まれる。完成したホールICの保護のために、窒化シリコン層132が酸化物層110上に配置される。
【0021】
図1、
図2、および
図3に示す縦型ホール素子は、4つのホール端子を有する。各ホール端子は、エピタキシャルシリコン層102内に形成された4つの高濃度ドープ領域1、2、3、および4のうちの1つに関連付けられる。以下では、ホール端子は、それらの関連する高濃度ドープ領域と同じ番号で示される。4つの端子を有するホール素子は、
図4に示すような等価回路で表すことができる。4つの端子1、2、3、および4は、(ホイートストンブリッジ内の)4つの抵抗R1、R2、R3およびR4を介して接続されている。当技術分野で知られているように、4つの抵抗R1、R2、R3およびR4が同じまたはほぼ同じ値を有する場合、効果的なオフセットキャンセルを達成することができる。当業者には明らかなように、
図5に示すような縦型ホール素子の場合、エピタキシャルシリコンの厚さT3、ホール端子の幅w、それらの横方向間隔s、およびディープトレンチ隔離部までの距離dは、4つの抵抗R1、R2、R3およびR4が等しいかまたはほぼ等しくなるように設定することができる。言い換えれば、縦型ホール素子は、4つの端子(したがって、対応する幾何学的特性および電気的特性を有し得る)に関して四重対称性またはほぼ四重対称性を有する。これに関連して、ドーピングが層102のエピタキシャル成長によって画定されるため、ホールセンサ領域103のドーピング濃度は均一であると仮定することができることに注意すべきである。さらに、ディープトレンチ隔離部の内面は、エピタキシャルシリコン層の第1および第2の面に対して垂直である。
【0022】
図6の断面図では、4つの異なる動作段階が、示された電流方向によって示されている。P1で示される第1の段階では、ホール端子3と1との間に動作電流が流れ、ホール端子4と2との間のホール電圧が測定される。P2で示される第2の段階では、ホール端子4と2との間に動作電流が流れ、ホール端子1と3との間のホール電圧が測定される。P3で示される第3の段階では、ホール端子2と4との間に動作電流が流れ、ホール端子3と1との間のホール電圧が測定される。最後に、P4で示される第4の段階では、ホール端子2と4との間に動作電流が流れ、ホール端子3と1との間のホール電圧が測定される。各段階において、縦型ホール素子は、y方向に配向された磁界に敏感である。どの段階においても、電流方向は、2つのホール端子を接続する直線に対して垂直またはほぼ垂直であり、この端子間でホール電圧が測定される。この幾何学的形状により、高い値の感度を得ることが可能になる。縦型ホール素子100では、従来の縦型ホール素子で一般的に感度を低下させる短絡効果が最小限に抑えられる。厚さT3を大きく選択することができ、特に、従来の縦型ホール素子のホールプレートの深さよりもはるかに大きく選択することができるため、縦型ホール素子100については大きな感度をさらに得ることができる。
【0023】
図1、
図2、および
図3では、ホール素子の4つのホール端子が第2のウェハ20上に形成された集積回路にどのように接続されるかを示すことなく、縦型ホール素子100のみが示されている。
図7は、y方向に沿った切断方向B-B’における縦型ホール素子100の別の断面図であり、
図3に加えて、ホールICの集積回路へのホール端子1および4の接続も示す。
図7に示すように、ホール端子1と接触している金属構造体111は、ディープトレンチ隔離部107を越えて左側に横方向に延びる。左端には、金属ワイヤが金属パッドとして形成されている。前記金属パッド上に位置するシリコン貫通ビア121は、金属構造体111とエピタキシャルシリコン層の第2の面10dの上方に形成された金属ブリッジ115との間の電気的接続を提供する。特に、シリコン貫通ビア121は、誘電体層106および108の結合積層体を通り、エピタキシャルシリコン層102を通り、酸化物層104を通って延びる。シリコン貫通ビア121には導電性材料が充填されており、導電性充填物は、酸化物ライナ109によって周囲の基板102とは誘電的に絶縁される。金属ブリッジ115は、それと電気的に接触しているシリコン貫通ビア121を全体的に被覆する。金属ブリッジ115は、さらに横方向に左に延び、ここで141と示される第2のシリコン貫通ビアを被覆する。シリコン貫通ビア141は、金属ブリッジ115と、ウェハ20の基板201上に配置された金属間酸化物層204に埋め込まれたランディングパッド221との間の電気的接続を提供する。特に、シリコン貫通ビア141は、誘電体層106および108の結合積層体を通り、エピタキシャルシリコン層102を通り、酸化物層104および105を通り、ウェハ20のシリコン基板201上に配置された酸化物層204の一部を通って延びる。シリコン貫通ビア121と同様に、シリコン貫通ビアは導電性材料で充填され、導電性充填物は酸化物ライナ109によってエピタキシャルシリコン基板201から隔離される。ランディングパッド221は、基板20上に配置された集積回路の配線に接続されている。これにより、ホール素子ウェハ10に形成されたホール端子1とICウェハ20に形成された電気回路との電気的接続が確立される。
図8にさらに示すように、金属構造体114は、ディープトレンチ隔離部を越えて右に延びる。それは、シリコン貫通ビアの導電性充填物との電気的接触を確立するシリコン貫通ビア164をさらに被覆する。シリコン貫通ビア164は、層106および108の結合積層体を通り、エピタキシャルシリコン層102全体を通り、酸化物層104および105を通り、204によって示される金属間酸化物層の一部を通って延びる。シリコン貫通ビア164は、それぞれの金属パッド224上にランドを形成する。このようにして、エピタキシャルシリコン層102の第2の面10dに形成されたホール端子4と、ICウェハ20上に退出する配線との間の電気的接続が確立される。
【0024】
図8は、ウェハ20上に形成された回路配線から4つのホール端子の各々に個別にアクセスするために必要な縦型ホール素子100の配線および垂直相互接続を示す空中図である。221、222、223および224で示される4つの金属パッドは、ウェハ20の金属間誘電体層204上に埋め込まれて、4つのホール端子1、2、3および4へのアクセスポイントをそれぞれ提供する。2つのホール端子1、4にそれぞれアクセスするために必要なシリコン貫通ビア141、121、164は、ホール端子1、4の中心を通るy方向に平行な直線に沿って配置されている。シリコン貫通ビアのホール素子までの距離をそれぞれD4、D2、D6とする。同様に、ホール端子2、3へのアクセスに必要なシリコン貫通ビア142、122、163は、ホール端子2、3の中心を通るy方向に平行な直線に沿って配置されている。シリコン貫通ビア142、122、163は、ホール端子までの距離D4、D2、D6がそれぞれシリコン貫通ビア141、121、164と同じである。また、ホール端子および金属ブリッジの配線は、いずれもy方向を向いている。
【0025】
図8では、配線および垂直相互接続を通って流れる電流の方向は、第1の動作段階P1について示されており、電流は、縦型ホール素子を通ってホール端子3からホール端子1に供給される。明らかなように、シリコン貫通ビア163を通って流れる垂直電流により誘導磁界が生じ、縦型ホール素子は該磁界の影響を受ける。同様に、シリコン貫通ビア121を通って流れる垂直電流により誘導磁界が生じ、縦型ホール素子は該磁界の影響を受ける。同様に、シリコン貫通ビア141を通って流れる垂直電流により誘導磁界が生じ、縦型ホール素子は該磁界の影響を受ける。電流方向は、シリコン貫通ビア121および163において同じであるため、縦型ホール素子100の位置で、これらによる誘導磁界が相殺される傾向にある。一般に、縦型ホール素子100における誘導磁界の強度は、これらの距離D4、D2およびD6にそれぞれ依存する。シリコン貫通ビア141、121および163内の示された電流方向が与えられると、距離D4、D2およびD6を、シリコン貫通ビアを通る垂直電流によって誘導される寄生磁界が縦型ホール素子の位置で最小化され得るように設定することができる。これは、縦型ホール素子100の他の3つの動作段階についても同様である。
【0026】
積層ホールセンサ100の製造は、
図9~
図30に示されている。
【0027】
図9に示すように、シリコン基板101およびエピタキシャル層102を備えたウェハ10が提供される。基板101は、n型導電性を有する高濃度ドープシリコン基板であることが好ましい。シリコン基板の厚さT1は、ウェハサイズに依存し、600マイクロメートル~800マイクロメートルの範囲内であってもよい。エピタキシャル層102も、n型導電性の低濃度ドープのシリコンエピタキシャル層であることが好ましい。エピタキシャル層の厚さT2は、10マイクロメートル~30マイクロメートルの範囲内であってもよいが、厚さT2より低いまたはより高い値も考えることができる。シリコンエピタキシャル層の抵抗率は、完成デバイスに対して最適なホールセンサ特性が得られるように選択される。当業者には理解されるように、シリコンエピタキシャル層102の最適な抵抗率は、ホールプレートの厚さおよびサイズに依存する。一般的な抵抗率は、0.1オーム-cmおよび10オーム-cmの範囲内であってもよい。エピタキシャル層102については、他の半導体材料も考慮することができる。出発材料はシリコン・オン・インシュレータ・ウェハ(SOI)であってもよい。この場合、エピタキシャル層102は、埋込み酸化物層(BOX)によってキャリア基板101から分離されている。説明を容易にするために、低濃度ドープエピタキシャル層によって画定されるウェハ10の第1の面は、10bで示されている。ウェハ10の裏面を10aとする。
【0028】
最初の製造ステップでは、アライメントマークが表面10b上に作成される。これは、当業者に知られているように、シリコンにフォトマスクエッチングを行うことによって達成される。シリコンに印刷されたアライメントマークは、ウェハ10の表面10b上で実行される後続のフォト層を位置合わせするために使用される。アライメントマークは
図9には示されていない。
【0029】
図10を参照すると、フォトマスク注入とそれに続くレジスト除去およびレーザ熱アニールによって、浅い高濃度ドープ領域1が形成される。高濃度ドープ領域1は、n型導電性を有し、表面10bまで延在している。ドーピング濃度は、10
20原子/cm
3~10
22原子/cm
3の範囲であってもよい。レーザ熱アニールでは、非常に短い熱パルスをウェハに照射するため、パルス時間、エネルギー量および波長に応じて、熱が限られた深さまでしかシリコン内に侵入できない。高濃度ドープ領域の深さは、50ナノメートル~200ナノメートルの範囲内であってもよく、これはシリコンエピタキシャル層102の厚さT2よりもはるかに浅い。
【0030】
図11に示すように、酸化物層104が表面10b上に堆積される。酸化物層は、プラズマ化学気相成長(PECVD)によって堆積されたオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。フォトマスクエッチング工程により、コンタクトトレンチまたはホール151が酸化物層104を貫通してエッチングされ、高濃度ドープ領域1が露出する。より正確には、トレンチまたはホール151は、高濃度ドープ領域1内でのみシリコンエピタキシャル層を露出させる。当技術分野で知られているように、そのようなフォトマスク酸化物エッチングのシリコン消費量は、エッチング化学およびエッチング条件の酸化物対シリコン選択性に応じて非常に低くなり得る。このようにして、トレンチまたはホール151の内側のシリコン表面におけるドーピング濃度が確実に10
20原子/cm
3~10
22原子/cm
3の範囲内になるように、エッチングを浅い高濃度ドープ領域1内で停止することができる。
【0031】
ホールセンサの製造は、
図12に示すようにフォトマスク・エッチング・ステップによって構造化された金属層の堆積によって継続する。金属層は、一般的にはチタン接着層、窒化チタンバリア層、アルミニウム層および窒化チタンキャップ層を含むアルミニウム系金属スタックが好ましい。窒化チタンバリア層の厚さは、一般的な厚さと比較して厚くなる可能性がある。いずれの場合でも、本発明者らは、500オングストローム~1500オングストロームの範囲の厚さが適切であると考える。金属構造体111は、金属がトレンチまたはホールの内部の露出した高濃度ドープシリコンと接触するように、コンタクトトレンチまたはホール151を充填する。さらに、金属構造体111は、
図12の右側に延び、酸化物層104の最上部にワイヤまたはパッドを形成する。
【0032】
さらなる金属構造体が酸化物層104の最上部に生成されるが、この金属構造体は、以下でより明確になるように、薄化後の第2の面上のウェハ10の処理のためのアライメントマークとして設けられる。提供される金属アライメント構造は
図12には示されていない。
【0033】
図13を参照すると、酸化物層105が金属構造体111および露出した酸化物層104の最上部に堆積される。酸化物層105は、化学機械研磨(CMP)により平坦化される。10cは平坦化後の酸化物層105の上面を示す。酸化物表面10cの良好な平坦性を達成するために、酸化物層を堆積するステップおよびCMPを実行するステップを数回繰り返してもよい。
【0034】
ホールセンサ製品100の製造の説明は、CMOSウェハ部分の製造に続く。
図14に示すように、シリコン基板201からなるウェハ20が提供される。20bはウェハ20の上面または前面を示し、20aは裏面を示す。基板201は、CMOSデバイスおよび回路を形成するために使用される一般的な導電型であるp型導電性を有する。また、基板201の抵抗率は、CMOSデバイスの形成および相互隔離に適するように選択されてもよい。ウェハの厚さT4は、600マイクロメートル~800マイクロメートルの範囲内であってもよい。
【0035】
ホールセンサの調整、読出し、および信号増幅に必要なデバイスおよび回路は、一般的な方法で基板201上に形成される。問題を簡単にするために、これらの装置および回路は
図15には示されていない。回路配線は酸化物層に埋め込まれており、酸化物層は全体として
図15において204で示されている。配線の最上層の金属層によって形成されるのが好ましい2つの埋込み金属パッド221および224が、ウェハ10上に形成されている完成したホール・センサ・デバイスとの接点を確立するために設けられる。最上部の金属層は、一般的にはチタン接着層、窒化チタンバリア層、アルミニウム層および窒化チタンキャップ層を備えたアルミニウム系金属スタックであってもよい。窒化チタンキャップ層の厚さは、一般的な厚さと比較して厚くなる可能性がある。いずれの場合でも、本発明者らは、500オングストローム~1500オングストロームの範囲の厚さが適切であると考える。酸化物層204の上面を20cで示す。表面20cの高い平坦性を達成するために、酸化物堆積の最後のステップの後に化学機械研磨(CMP)を行う。また、酸化物表面20cの平坦性をさらに改善するために、酸化物堆積およびCMPの一連のステップを実行することができる。外部通信のためにウェハ20上にはボンディングパッドは設けられていない。
【0036】
図16を参照すると、ウェハ10を反転させて、その表面10cをウェハ20の表面20cに貼り付ける。ウェハ10とウェハ20との間に恒久的な結合が達成される。得られた積層ウェハを以下に30で示す。ウェハ30は、上面または前面としての表面10aと、裏面としての表面20aとを有する。当技術分野で知られている恒久的なウェハ接合のためのいくつかの方法がある。以下、接合工程の一例について説明する。ウェハ10の平坦化された酸化物表面10cは、不活性ガスによるプラズマによって活性化される。同様に、ウェハ20の平坦化された表面20cを不活性ガスによるプラズマで活性化する。次に、ウェハ10を反転させ、その表面10cをウェハ20の表面20cに貼り付ける。結合のアライメント精度、すなわち、ウェハ10をウェハ20上に貼り付けるアライメント精度は、当技術分野で知られている標準的な方法を適用して、一般的には、数マイクロメートル程度である。低温ベークを行って接合を強化する。焼成プロセスは、450℃未満、好ましくは400℃未満の範囲であってもよい。理論的には、接合は2つの酸化物表面間のファンデルワールス力に依存すると考えられる。代替として、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)または他のものなどのポリマー接着剤を使用する接着剤接合もまた使用されて、ウェハ10とウェハ20との間の信頼できる接合を達成することができる。
【0037】
CMOSウェハ20をキャリアウェハとして用いて、ホール・センサ・ウェハ10がその裏面10aから処理される。
図17に示すように、ウェハ10は裏面から薄くされ、シリコン材料の大部分を除去する。特に、ウェハ10の初期基板101は完全に除去され、また、エピタキシャル102の厚さもわずかに低減される。結果として得られるエピタキシャル層102の厚さT3は、初期厚さT2よりもわずかに薄い。得られたエピタキシャル面を10dで示す。薄化プロセスは、バックグラインド、化学機械研磨(CMP)およびウェットまたはドライエッチングなどの除去プロセスを含むことができる。好ましい方法を以下に記載する。基板101のバルクは、バックグラインドによって除去される。バックグラインドは、エピタキシャル層102が露出する前に停止される。次に、シリコン材料のドーピング濃度に対して選択的なウェットエッチングが実行される。基板101は高ドーピング濃度を有するように選択されることが好ましいため、ドーピング濃度の大きな差があることから、低濃度にドープされたシリコンエピタキシャル層上でウェットエッチングを選択的に停止することができる。次いで、CMPプロセスを実行して、得られたシリコン表面をさらに平坦化および平滑化してもよい。この手法により、厚さT3の良好なウェハ間制御ならびにT3の良好なウェハ内均一性を達成することができる。
【0038】
上記では、10bはホール・センサ・デバイスの第1のシリコン表面を示している。ドーパントの活性化に使用されるレーザ熱アニーリングのみを除いて標準的な半導体処理方法を適用することによって、ホール端子および付随する配線が第1のシリコン表面上にどのように形成されるかが示されている。以下、第2の面10dに半導体製造工程を実行することにより、ホールセンサの製造が継続される。ホール・センサ・デバイスの高い対称性を達成するために、第1の面および第2の面上にホール端子を形成するための同一の設計規則およびプロセス条件を適用することに注意が払われる。理解されるように、所望の対称性を達成するための別の重要な態様は、第2の面10dに形成されたホール端子と第1の面10bに形成されたホール端子との正確な位置合わせである。説明したように、堆積した金属層を適宜構造化することによって、第1の面上に位置合わせパターンが形成されている。これらの位置合わせパターンを第2の面上で見えるようにするために、位置合わせパターンが推測される領域において、シリコンがフォトマスク・エッチング・プロセスによって除去される。位置合わせパターンを捕捉するために必要なシリコン開口部のサイズが大きいため、これらの金属位置合わせパターンは、ウェハの縁部にのみ設けられる可能性がある。本発明者らは、記載された方法を適用することによって達成することができる位置合わせ精度が100ナノメートル~500ナノメートルの範囲にあることを理解している。さらに、位置合わせのためにウェハ縁部の開いた金属位置合わせパターンを使用して、エピタキシャルシリコンへのフォトマスクエッチングによって、第2の面上にショットワイズ位置合わせパターンの新しいセットを作成することができる。これにより、第2の面10dに塗布されたフォト層同士の位置合わせを向上させることができる。
【0039】
引き続き
図18を参照すると、n型導電性を有する浅い高濃度ドープ領域4が、第1の面上の高濃度ドープ領域1と同一の方法で第2の面10d上に形成される。特に、ドーピング領域1を形成するために第1の面上で使用されたものと同じ注入種、注入線量およびエネルギーが使用される。より詳細には、レジスト除去後に、ドーピング領域1を活性化するために第1の面に適用されたのと同じレーザ熱アニール条件が適用される。当業者には理解されるように、第2の面上のドーパント活性化のためにレーザ熱アニーリングを使用することによって、ホール・センサ・ウェハ10の第1の面上のアルミニウム系メタライゼーションは、炉アニーリングまたは急速熱処理などの他の活性化方法とは対照的に、熱処理によって損なわれることを防止することができる。さらに、レーザ熱アニーリングは、CMOSウェハ20上に形成されるデバイスのサーマルバジェットを増加させない。ドープ領域4は、ドープ領域1と同じ側方寸法を有する。
図18に示すように、ドーピング領域4は、ドーピング領域1の真上に位置する。2つのドーピング領域1および4は互いに対向しており、シリコンエピタキシャル層102によって分離されている。
【0040】
図19を参照すると、酸化物層106が第2の面10d上に堆積される。より具体的には、層106は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積されたオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。PECVDは、400℃以下の温度でTEOS堆積を可能にする。フォトマスク・エッチング・プロセスによって、リング状開口部161が酸化物層106を貫通してエッチングされ、シリコンエピタキシャル層102を露出させる。リング状の開口部は、ホール・センサ・デバイスの周囲に形成される。
図19の断面図において、酸化物層106のリング状開口部は、高濃度ドープ領域4の左側および右側に位置する2つの開口部として現れる。
【0041】
フォトマスクの除去後、
図20に示すように、酸化物層106をハードマスクとして使用してディープ・シリコン・エッチングが実行される。ディープ・シリコン・エッチングは、ホール・センサ・ウェハ10の第1の面10b上に堆積された酸化物層104上で選択的に停止される。エピタキシャル層102の深さ全体をエッチングすることにより、ホール端子が形成されたシリコン領域の周囲にリング状のトレンチが形成される。囲まれたシリコン領域は、完成したホール素子のホールプレートを形成し、103で示される。数十マイクロメートル以上の深さを有するトレンチまたはビアをエッチングするためのディープ・シリコン・エッチング・プロセスが当技術分野で知られている。10マイクロメートル~30マイクロメートルの範囲の所与の厚さT3に対して、SF
6、HBrおよびO
2からなるガス化学を使用するプラズマ・エッチング・プロセスを使用することができる。代替的に、いわゆるボッシュプロセスを適用することも可能で、その場合、通常、酸化物ハードマスクに対する選択性が高くなるのが特徴である。両方の種類のエッチングプロセスについて、当業者に知られているように、ほぼ垂直な側壁が得られる。
【0042】
図21に関連して示されるように、リング状トレンチ161は、誘電体材料によって充填され、該誘電体材料は化学機械研磨によって酸化物層106の最上部で除去される。誘電体材料は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、またはスピンオングラス(SOG)、ポリイミド(PI)もしくはベンゾシクロブテン(BCB)などのスピンオン誘電体であり得る。いずれの場合も、誘電体材料は、400℃を超えない温度で処理されてもよい誘電材料の中から選択される。その後の化学機械研磨による酸化物層106の最上部に配置された誘電体材料の除去は、その酸化物に対して選択的ではない。重要な点は、シリコンが露出する前にCMPプロセスが停止されることだけである。結局、ホールセンサ領域は、
図21において107で示されるディープトレンチ隔離リングによって誘電的に閉じ込められる。
【0043】
図22に示すように、PECVDによって酸化物層106の最上部に窒化シリコン層108が堆積される。堆積温度は400℃を超えない。フォトマスク・エッチング・プロセスを使用して、開口部171、172および173は、酸化物層106および窒化シリコン層108を備える積層誘電体層を貫通してエッチングされる。開口部171、172および173の底部には、下地のシリコンエピタキシャル層が露出している。フォトレジストが剥離される。
図22の断面図では、開口部171は金属パッド221の上方に位置する。上から見て、開口部171は金属パッド221によって横方向に囲まれており、金属パッド221による開口部171の横方向の囲みは、とりわけウェハ接合位置合わせ精度によって規定される特定のオーバーラップマージンを有する。同様に、開口部173は、金属パッド224の上方に位置し、同じオーバーラップマージンの前記金属パッドによって横方向に囲まれている。開口部172は、金属構造体111の上方に位置する。この位置では、金属構造体は、開口部172に対して横方向に囲みを提供する金属パッドとして形成される。開口部172に対する金属パッド囲いのオーバーラップマージンは、とりわけ、ホール・センサ・ウェハ10の2つの活性シリコン表面10bの10d間で達成される位置合わせ精度によって画定される。
【0044】
図23を参照すると、窒化シリコン層108をハードマスクとして使用してディープ・シリコン・エッチング・プロセスが実行される。ディープトレンチ隔離部107の画定に使用されるのと同様のドライ・エッチング・プロセスをこの目的のために適用することができる。ディープ・シリコン・エッチングは、酸化物層104上で選択的に停止される。
【0045】
ここで
図24を参照すると、薄い酸化物層109が堆積される。より具体的には、層109は、400℃を超えない温度でプラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積されたオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)であってもよい。酸化物層109は、先のディープ・シリコン・エッチングによって露出されたシリコン側壁上の誘電体ライナとして機能する。酸化物層109の厚さは、一例を挙げると、3000オングストロームであってもよいが、この値に限定されない。
【0046】
図25に関連して示すように、窒化ケイ素に対する高い選択性および窒化チタンに対する高い選択性を有する酸化物をエッチングするのに適したプロセス条件を使用して、さらなる異方性ドライ・エッチング・プロセスが実行される。薄い酸化物109は、深いシリコンビア171、172および173の底部、ならびに窒化シリコン層108の上方の最上部でエッチングされる。このようなエッチングプロセスの高い異方性により、酸化物層109は、ビア171、172および173のシリコン側壁上にほぼ完全に維持される。エッチングが進行するにつれて、ウェハ10の第1の面上に堆積された酸化物層104もエッチングされる。ビア開口部172内で、ドライエッチングは、金属構造体111の窒化チタンバリア層内で選択的に停止する。酸素およびアルゴンと併せて一般的なポリマーリッチのフルオロカーボンエッチング化学物質を使用して、当技術分野で知られているように、酸化物対窒化チタンが20:1から40:1を超える選択性を得ることができる。金属構造体111の窒化チタンバリア層の厚さが増加し、エッチングプロセスの高い選択性のために、エッチングを前記窒化チタン層内で停止することができ、アルミニウムは露出しない。このようなエッチングプロセスは、一般的には、窒化シリコンに対して高い選択性も示し、その結果、この場合、窒化シリコン層108が大きく保存される。ビア開口部171および173において、エッチングは、
図25に示すように、適用されたエッチング時間に応じて酸化物層105のどこかで停止する可能性がある。
【0047】
その後、フォト工程が行われ、少なくともビア172がフォトレジストで充填および被覆され、ビア171および173はフォトレジストで充填および被覆されない。
図26では、フォトレジスト被覆195はビア172に限定されており、ビアの周りに若干の重なりがある。さらなるドライ酸化物エッチングプロセスが、高い酸化物対窒化チタン選択性で実行される。ビア171および173において、酸化物層105がエッチングされ、エッチングが継続されるにつれて、それぞれ金属パッド221および224に達する。酸化物エッチングプロセスの選択性および金属パッド221および224の窒化チタンキャップ層の厚さの増加により、下にあるアルミニウムが露出することなく、前記窒化チタン層内でエッチングを停止することができる。ビア172はフォトレジストで充填されて被覆されているため、このビアの底部ではエッチングは発生しない。フォトレジストによって被覆されていない領域では、窒化シリコン層108はハードマスクとして機能する。酸化物エッチングプロセスの終了後、フォトレジスト195を剥離する。
【0048】
製造プロセスの説明は、
図27を参照して継続する。タンタル接着層、任意選択の窒化タンタルバリア層、および銅シード層が堆積される。その後、電気めっきによりビア171、172および173に銅を充填する。めっき化学に添加される添加剤のために、およびめっき速度の慎重な調整によって、ビア171、172および173は、ボイドまたは継ぎ目を残すことなく銅で充填することができる。ボイドまたは継ぎ目のない電気めっき銅で高アスペクト比のシリコン貫通ビアを充填する方法は、当技術分野で知られている。電気めっきの後、銅CMPプロセスを適用して、窒化シリコン層108の最上部にめっきされた銅を除去する。銅CMPプロセスによっても、窒化物層108の最上部に堆積されたタンタルおよび窒化タンタルが完全に除去される。ビア171、172および173を導電材料で充填することにより、それぞれ141、121および124で示されるシリコン貫通ビアが形成される。シリコン貫通ビアは、酸化物ライナ109によって周囲のエピタキシャルシリコン102から電気的に絶縁される。シリコン貫通ビア141は、金属パッド221上に到達することにより、CMOSウェハ20の配線との電気的接続を確立する。同様に、シリコン貫通ビア124は、金属パッド224上に到達することにより、CMOSウェハ20の配線との電気的接続を確立する。シリコン貫通ビア121が金属構造体111上に到達することにより、ホール・センサ・ウェハ10の第1の面上に形成された高濃度ドープ領域1との電気的接続が達成される。
【0049】
図28を参照すると、高濃度ドープ領域4が露出するように、窒化シリコン層108および酸化物層106を貫通するコンタクトトレンチまたはホール181がフォトマスク・エッチング・プロセスによって形成される。より正確には、トレンチまたはホール181は、高濃度ドープ領域4内でのみシリコンエピタキシャル層を露出させる。第2の面10d上に作成された一組のショットワイズ整列パターンの結果、ドープ領域4の画定のためのフォトプロセスおよび開口部181の画定のためのフォトプロセスの両方を、高度の相互オーバーレイ精度を保証する同じ一組の位置合わせパターンに位置合わせすることができる。シリコンに対する高い選択性の結果、エッチングは、トレンチまたはホール181の内側のシリコン表面におけるドーピング濃度が10
20原子/cm
3~10
22原子/cm
3の範囲内にあることを確実にする浅い高濃度ドープ領域4内で停止することができる。フォトマスク・エッチング・プロセスが終了した後、フォトマスクを剥離する。
【0050】
コンタクトトレンチまたはホール181を充填して金属層が堆積される。金属層は、タンタル接着層、窒化タンタルバリア層、アルミニウム層および窒化チタンキャップ層を備えたアルミニウム系金属スタックであり得る。堆積後、金属層は、
図29に示すようにフォトマスク・エッチング・プロセスによって構造化される。図示のように、金属構造体115は、シリコンビア141を介して充填された銅の上面およびシリコン貫通ビア121の上面を完全に被覆し、2つのシリコン貫通ビア間の電気的接続を達成する。金属構造体114は、コンタクトトレンチまたはホール181の充填を備える。金属構造体114は、ディープトレンチ隔離部107を越えて右側に延在し、シリコンビア124を通じて充填された銅の上面を完全に被覆する。したがって、金属構造体114は、エピタキシャルシリコン内に形成された高濃度ドープ領域4とシリコン貫通ビア124との間の電気的接続を提供する。
【0051】
堆積されたアルミニウム系金属スタックの構造化はまた、完成したウェハスタックホールIC製品の外部通信のための接合パッドまたはバンプパッドを形成するためにも使用される。
図29には示されていない接合パッドまたはバンプパッドは、ウェハ20上に設けられた221または224のような対応する金属パッド上に到達する141または124のようなシリコン貫通ビアによってCMOSウェハ20上の配線と電気的に接続される。
【0052】
図30を参照すると、酸化物層110が、金属構造体115および114の最上部に、ならびに残りの窒化シリコン層108の上に堆積される。次に、窒化シリコン層132が、最終製品のための保護として機能するように堆積される。両方の堆積ステップは、プラズマ物理蒸着を使用して400℃を超えない温度で行われる。酸化物/窒化ケイ素スタックは、
図29には示されていないフォトマスク・エッチング・プロセスによって接合パッドまたはバンプパッドの上方に開口される。
【0053】
本解決策の利点は、上述したことから明らかである。
【0054】
提案された解決策は、ホールICに集積された従来の縦型ホール素子の感度が低いという問題を解決する。第1のウェハ上に確立された縦型ホール素子の場合、エピタキシャル半導体の第1の面上のホール端子および第2の面上のホール端子を、デバイス動作の各段階において動作電流が垂直方向に2つのホール端子を接続するラインに対して垂直に流れ、これら端子間でホール電圧が測定されるように配置することができるため、高い感度を達成することができる。このようにして、従来の縦型ホール素子では一般に感度を低下させる短絡効果が最小限に抑えられる。高感度になるようにエピタキシャル半導体層の厚さを最適化できるため、提案された解決策でも縦型ホール素子の高感度化を実現できる。原則として、提案された技術的解決策により、ホールプレートとしてシリコン以外のエピタキシャル半導体材料を使用することが可能になる。当該技術分野で知られているように、ホール感度は多数キャリアの移動度に比例する。したがって、高い移動度を有する最適化された半導体材料を選択することによって、感度をさらに高めることができる。例えば、n型導電性を有する低濃度ドープゲルマニウムを代替材料として選択することができる。一般に、第1のウェハ上に形成される縦型ホール素子は、ホールICの集積回路を含むウェハの製造に適用される半導体製造プロセス、材料または設計規則を変更することなく、感度に関して最適化され得る。
【0055】
さらにまた、提案された解決策を用いると、第1のウェハ上に確立された縦型ホール素子を四重対称性を有するように設計および製造することができるので、ホールICに集積された従来の縦型ホール素子の高い残留オフセットの問題が解決される。技術的解決策は、ホールプレートを構成するエピタキシャル半導体層の両側にホール端子を配置することを可能にするので、縦型ホール素子の設計において四重対称性を達成することができる。このようにして、縦型ホール素子の4つのホール端子は、横型ホール素子と同様に四重対称性を示すように配置され得る。ホールプレートを確立するためにエピタキシャル層が使用されるので、ホールセンサ領域全体にわたって均一なドーパント濃度を仮定することができる。さらにまた、提案された技術的解決策により、エピタキシャル半導体の第1の面上および第2の面上でのホール端子の形成に対して同一のプロセス条件および設計規則を適用することが可能になる。さらにまた、詳細な開示で説明するように、エピタキシャル半導体層の第1の面に形成されたホール端子に対する第2の面上のホール端子の良好なオーバーレイ精度を達成することを可能にする技術が利用可能である。さらにまた、ホールプレートを閉じ込めるディープトレンチ隔離リングは、四重対称性が維持されるように配置することができる。
【0056】
最後に、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載および例示されたものに対して修正および変形を行うことができることは明らかである。
【0057】
特に、本解決策のさらなる実施形態によれば、いくつかのCMOS回路が、(標準的なCMOS処理ステップを用いて)第1のウェハ10上にも形成される。第1のウェハ10の処理に関して、この実施形態では、CMOSコンポーネントに適合する条件を同じ第1のウェハ10に適用しなければならない(この考慮事項を除いて、製造プロセスは上記のものから実質的に逸脱しない)。このさらなる実施形態は、シリコン使用を最適化し、より低い製造コストを達成することを可能にし得る。