(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】ブレーキ装置とクラッチの作動装置
(51)【国際特許分類】
B60T 11/16 20060101AFI20240726BHJP
B60T 7/00 20060101ALI20240726BHJP
F16D 25/08 20060101ALI20240726BHJP
B62L 3/02 20060101ALN20240726BHJP
【FI】
B60T11/16 Z
B60T7/00 A
F16D25/08 Z
B62L3/02 D
(21)【出願番号】P 2021559981
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 IB2020053185
(87)【国際公開番号】W WO2020208488
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】102019000005662
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルディ,ピエランジェロ
(72)【発明者】
【氏名】アリエンティ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】オドーニ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】カントーニ,カルロ
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-038161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0259877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 10/00-11/34
B60T 1/00-7/10
F16D 25/00-39/00
B62L 1/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)であって、前記作動装置(16)は、
フロート(32)によって流体を加圧するマニアル式操作装置(24)が設けられたポンプ(20)と、
前記ポンプ(20)の出口(44)に流体接続された第1デリバリ回路(36)及び第2デリバリ回路(40)であって、前記第1デリバリ回路(36)はブレーキ装置(8)に流体接続され、前記第2デリバリ回路(40)はクラッチ(12)に流体接続された、前記第1デリバリ回路(36)及び前記第2デリバリ回路(40)とを備えており、
前記作動装置(16)は、前記ブレーキ装置(8)又は前記クラッチ(12)を交互に作動するように、前記ポンプ(20)の前記出口(44)を、前記第1デリバリ回路(36)と前記第2デリバリ回路(40)に交互に流体接続するために適した切換手段(48)を有し、
前記切換手段(48)は、前記ポンプ(20)の前記出口(44)に配置され、前記第1デリバリ回路(36)と前記第2デリバリ回路(40)に交互に接続可能な3方向遮断弁(80)であり、
前記3方向遮断弁(80)は空圧によって作動される、ブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項2】
前記切換手段(48)は、前記ポンプ(20)の前記出口(44)を前記第1デリバリ回路(36)又は前記第2デリバリ回路(40)に接続するように前記切換手段(48)を調整できるスイッチ(56)と操作上接続されている、請求項1のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項3】
前記作動装置(16)は、前記スイッチ(56)から受信する信号に基づいて前記切換手段(48)を制御するようにプログラムされた制御ユニット(52)を有する、請求項
2のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項4】
前記制御ユニット(52)は、前記ポンプ(20)の前記出口(44)に配置された圧力センサ(60)に操作上接続されている、請求項3のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項5】
前記制御ユニット(52)は、前記第1デリバリ回路(36)と前記第2デリバリ回路(40)のそれぞれに配置された少なくとも1つの圧力センサ(60)に操作上接続されている、請求項3又は4のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項6】
前記切換手段(48)は、第1遮断弁(64)と第2遮断弁(68)を有し、
前記ポンプ(20)の前記出口(44)は、第1分岐部(72)と第2分岐部(76)に枝分かれしており、
前記第1分岐部(72)は、前記第1遮断弁(64)によって、前記第1デリバリ回路(36)に切離され、
前記第2分岐部(76)は、前記第2遮断弁(68)によって、前記第2デリバリ回路(40)に接離される、請求項1~5のいずれかのブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項7】
前記第1遮断弁(64)と前記第2遮断弁(68)は、2方向ソレノイド弁で、前記第1遮断弁(64)が開放されるとき、前記第2遮断弁(68)が閉鎖され、逆に、前記第2遮断弁(68)が開放されるとき、前記第1遮断弁(64)が閉鎖されるように切り換えられる、請求項6のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項8】
前記第1遮断弁(64)と前記第2遮断弁(68)は、前記第1遮断弁(64)が開放されるとき、前記第2遮断弁(68)が閉鎖され、逆に、前記第2遮断弁(68)が開放されるとき、前記第1遮断弁(64)が閉鎖されるように切り換えられるように、手動で操作可能である、請求項7のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項9】
前記3方向遮断弁(80)は、電気、電磁気、又は手動によって作動される、請求項1のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項10】
前記作動装置(16)は、前記マニアル式操作装置(24)の他に、別のマニアル式操作装置(84)を有し、
前記別のマニアル式操作装置(84)は、前記クラッチ(12)を直接作動できるように、前記切換手段(48)の下流側で前記第2デリバリ回路(40)と交差する、請求項1~9のいずれかのブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項11】
前記作動装置(16)は、前記マニアル式操作装置(24)の他に、別のマニアル式操作装置(84)を有し、
前記別のマニアル式操作装置(84)は、前記ブレーキ装置(8)を直接作動できるように、前記切換手段(48)の下流側で前記第1デリバリ回路(36)と交差する、請求項1~9のいずれかのブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項12】
前記マニアル式操作装置(24)及び/又は前記別のマニアル式操作装置(84)は、レバー装置又はペダル装置である、請求項
10又は11のブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかのブレーキ装置(8)とクラッチ(12)の作動装置(16)を備えたモータサイクルのための油圧作動システム(4)であって、前記油圧作動システム(4)は、前記第1デリバリ回路(36)に流体接続されたブレーキ装置(8)と前記第2デリバリ回路(40)に流体接続されたクラッチ(12)を有する、油圧作動システム(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にモータサイクル用のブレーキ装置とクラッチの作動装置、及びその作動装置を有する関連作動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、レース用モータサイクルの分野で特に適用されるものである。
【0003】
今日使用されている解決法では、後輪ブレーキは、ハンドルバーの片側(通常は左側)に設けられ、親指によって作動されるポンプ、又はペダルボード(通常は右側)に配置されたペダルに連結され、パイロットの足によって操作される標準ポンプを介して操作される必要がある。
【0004】
ハンドルバーの片側にはクラッチを操作するレバーもある。クラッチは、レース中ギヤチェンジはクラッチレバーを操作することなく行われるため、スタート時のみ使用される。
【0005】
スタート時だけでなく、故障時や緊急時にも、クラッチ操作レバーが使用できる。
【0006】
このような公知の解決法は幾つかの欠点と制約がある。
【0007】
公知の例では、パイロットがその手(クラッチ用)と親指(ブレーキ用)で操作できる2つの制御部がハンドルバーの左側に設けてある。
【0008】
しかし、親指を使用するのは、油圧制御を素早く且つ正確に調整できない(確かに、ペダル制御で得られるものほど高速でない)ので、最適なことではない。一方、四本の指でブレーキとクラッチを操作するように設計された、ハンドルバーの片側に設けた2つの制御部を使用する場合、パイロットの手がレバーと関連するアクチュエータとの間に容易に捕まることがあるため、そのようなレイアウトは落下時に危険である。
【0009】
このような理由から、公知の解決法では、ペダル式ブレーキ制御とハンドルバーの片側に設けたクラッチ制御を使用する手法と、又は同じハンドルバー片側に設けた2つのレバー制御部を使用し、そのうち一方(典型的にはブレーキ制御部)は親指によって操作される手法を提供している。しかし、後者の解決法は、明らかに、それに接続されたブレーキを効果的に調整するための能力を制約するものである。
【発明の概要】
【0010】
したがって、従来の技術に関連して説明した欠点や制約を解消する必要性がますます感じられる。
【0011】
この必要性は、請求項1の作動装置によって満足される。
【0012】
特に、その必要性は、
ブレーキ装置とクラッチの作動装置であって、
フロートによって流体を加圧する手動操作される装置が設けられたポンプと、
前記ポンプの出口に流体接続された第1デリバリ回路及び第2デリバリ回路であって、前記第1デリバリ回路はブレーキ装置に流体接続され、前記第2デリバリ回路はクラッチに流体接続された、前記第1デリバリ回路及び前記第2デリバリ回路とを備えており、
前記ブレーキ装置又は前記クラッチを交互に作動するように、前記作動装置は、前記ポンプの前記出口を、前記第1デリバリ回路と前記第2デリバリ回路に交互に流体接続するために適した切換手段を有する、ブレーキ装置とクラッチの作動装置によって満足される。
【0013】
考えられる実施形態によれば、前記切換手段は、前記ポンプの前記出口を前記第1デリバリ回路又は前記第2デリバリ回路に接続するように前記切換手段を調整できるスイッチに操作上接続されている
【0014】
考えられる実施形態によれば、前記作動装置は、前記スイッチにより受信される信号にしたがって前記切換手段を制御するようにプログラムされた処理及び制御ユニットを有する。
【0015】
考えられる実施形態によれば、前記作動センサは、前記マニアル式作動装置の近くに配置される。
【0016】
考えられる実施形態によれば、前記作動センサは、前記切換手段の近くに配置される。
【0017】
考えられる実施形態によれば、前記処理及び制御ユニットは、前記ポンプの前記出口に配置された圧力センサに操作上接続されている。
【0018】
考えられる実施形態によれば、前記処理及び制御ユニットは、前記第1デリバリ回路と前記第2デリバリ回路のそれぞれに配置された少なくとも1つの圧力センサに操作上接続されている。
【0019】
考えられる実施形態によれば、
前記切換手段は、第1遮断弁と第2遮断弁を有し、
前記ポンプの前記出口は、第1分岐部と第2分岐部に枝分かれしており、
前記第1分岐部は、前記第1遮断弁によって、前記第1デリバリ回路に切離され、
前記第2分岐部は、前記第2遮断弁によって、前記第2デリバリ回路に切離される。
【0020】
考えられる実施形態によれば、前記第1遮断弁と前記第2遮断弁は、2方向ソレノイド弁で、前記第1遮断弁が開放されるとき、前記第2遮断弁が閉鎖され、逆に、前記第2遮断弁が開放されるとき、前記第1遮断弁が閉鎖されるように切り換えられる。
【0021】
考えられる実施形態によれば、前記切換手段は、3方向遮断弁で、前記ポンプの前記出口に配置されており、前記第1デリバリ回路と前記第2デリバリ回路に交互に接続可能である。
【0022】
考えられる実施形態によれば、前記3方向遮断弁は空圧によって作動される。
【0023】
考えられる実施形態によれば、前記3方向遮断弁は、電気、電磁気、又は手動によって作動される。
【0024】
考えられる実施形態によれば、
前記作動装置は、前記マニアル式操作装置の他に、別のマニアル式操作装置を有し、
前記別のマニアル式操作装置は、前記クラッチを直接作動できるように、前記切換手段の下流側で前記第2デリバリ回路と交差する。
【0025】
考えられる実施形態によれば、
前記マニアル式装置は、前記マニアル式操作装置の他に、別のマニアル式操作装置を有し、
前記別のマニアル式操作装置は、前記ブレーキ装置を直接作動できるように、前記切換手段の下流側で前記第1デリバリ回路と交差する。
【0026】
本発明はまた、ブレーキとクラッチの作動装置を有するモータサイクル用の油圧式作動システムに関し、前記システムは、前記第1デリバリ回路に流体接続されたブレーキ装置と前記第2デリバリ回路に流体接続されたクラッチを有する。
【0027】
本発明はまた、ブレーキとクラッチの作動装置を有するモータサイクルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
また、本発明の特徴と利点は、好適な非限定的実施形態に関する以下の説明からさらに明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態の概略図で、クラッチが作動している状態を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態の概略図で、ブレーキが作動している状態を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態の概略図で、クラッチの作動状態を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態の概略図で、ブレーキの作動状態を示す。
【
図5】
図5は、最初の2つの形態に適用可能な別の解決法を示し、そこではクラッチシステムにおいて、第1アクチュエータを作動することなく、緊急時にクラッチを操作するために使用される第2アクチュエータが挿入されている。
【
図6】
図6は、最初の2つの形態に適用可能な別の形態を示し、そこではクラッチシステムにおいて、第1アクチュエータを作動することなく、緊急時にクラッチを操作するために使用される第2アクチュエータが挿入されている。
【0029】
以下に説明する実施形態において共通する構成又はその部分は同じ参照符号で示される。
【好ましい実施形態の説明】
【0030】
上述の図面を参照すると、符号4は、概略、モータサイクル用の油圧作動システム、特に、モータサイクルの少なくとも一つのブレーキ8と少なくとも一つのクラッチ12を油圧作動するための油圧作動システムを示す。
【0031】
特に、油圧作動システム4は、ブレーキ8とクラッチ12のための作動装置16を有する。
【0032】
作動装置16はポンプ20を有する。ポンプ20は、公知の方法でもって、フロート32によって流体を加圧するためのマニアル式操作装置24を備えている。
【0033】
マニアル式操作装置24は、例えば、モータサイクルのハンドルバー上でユーザによって把持されるために適したレバーデバイスである。それはまた、マニアル式操作装置24はペダルデバイスであることも可能である。
【0034】
作動装置には、ハンドルバー固定手段(図示せず)が設けられている。
【0035】
作動装置16には、ポンプ20の出口44に流体接続された第1と第2のデリバリ回路36,40が設けられている。
【0036】
換言すれば、第1と第2のデリバリ回路36,40は、出口44から来る、フロート32によって加圧されて出口44から来る流体と交わる。
【0037】
第1のデリバリ回路36は、ブレーキ8のブレーキ装置又はブレーキ8に流体接続可能で、第2のデリバリ回路40はクラッチ12に流体接続可能である。
【0038】
本発明の目的上、ブレーキ装置8のタイプは例えばディスクブレーキ又はドラムブレーキで、クラッチ12のタイプは重要ではない。
【0039】
作動装置16は、ポンプ20の出口44を第1のデリバリ回路36と第2のデリバリ回路40に交互に流体接続するために適した切換手段48を有することが好都合である。
【0040】
換言すれば、切換手段48は、ユーザによって要求される作動タイプに応じて、デリバリ回路36,40のそれぞれを出口に交互に接続する。
【0041】
特に、実施形態によれば、切換手段48は、ポンプ20の出口44を第1のデリバリ回路36又は第2のデリバリ回路40に流体接続するように切換手段を配置することができるスイッチ56と作動上接続されている。
【0042】
換言すると、スイッチ56の位置に基づいて、切換手段48は、ポンプ20の出口44を第1のデリバリ回路36又は第2のデリバリ回路40のそれぞれに交互に接続し、同じマニアル式操作装置24によって、ブレーキ装置8又はクラッチ12を作動することができる。
【0043】
実施形態では、作動デバイス16は、スイッチ56によって受けられる信号に従って、切換手段48を制御するようにプログラムされた処理及び制御ユニット52を有する。
【0044】
スイッチ56はマニアル式操作装置24の近くに配置してもよいし、切換手段48の近くに配置してもよい。
【0045】
実施形態によれば、処理及び制御ユニット52は、ポンプ20の出口44に配置された圧力センサ60に操作上接続される。
【0046】
処理及び制御ユニット52は、第1と第2のデリバリ回路36,40のそれぞれに配置された少なくとも一つの圧力センサ60に操作上接続してもよい。
【0047】
別の実施形態では、処理及び制御ユニット52は、自動式の別の制御ロジックに従って(すなわち、パイロットによるスイッチ56の作動に関連しない)切換手段48を制御できる。
【0048】
例えば、モータサイクルを始動するためにクラッチは通常作動されなければならないので、モータサイクルの前進速度が閾値よりも低い(前進速度がゼロ又はほぼゼロ)場合(すなわち、乗物が静止している場合)、処理及び制御ユニットは、第2のデリバリ回路40、そしてクラッチ12に流体接続する位置で切換手段48を作動するようにできる。処理及び制御回路52によって作動手段48の操作ロジックを提供することもできる。
【0049】
第1と第2のデリバリ回路36,40を出口44に交互に接続する切換手段48には種々のタイプのものがある。
【0050】
考えられる実施形態(
図1,2,5,6)によれば、切換手段48は、第1と第2の遮断弁64,68を有し、フロート32の出口44は第1の分岐路72と第2の分岐路76に枝分かれしている。
【0051】
特に、第1の分岐路72は、第1遮断弁64によって、第1のデリバリ回路36に切離される。第2の分岐路76は、遮断弁68によって、第2のデリバリ回路40に接離される。
【0052】
遮断弁64は、例えば2方向ソレノイド弁で、一方の弁が開放されているとき他方の弁が閉鎖され、逆に、一方の弁が閉鎖されているとき他方の弁が開放される。
【0053】
例えば、
図1,5において、第1の遮断弁64は、第1の分岐路72を第1のデリバリ回路36から切り離し、同時に、第2の遮断弁68は第2の分岐路76を第2のデリバリ回路40に流体接続するように作動される。このように、出口44は、第2のデリバリ回路40とのみ流体接続され、クラッチ12を作動されることができる。
【0054】
他方、
図2,6において、第1の遮断弁64は、第1の分岐路72を第1のデリバリ回路36に接続し、同時に、第2の遮断弁68は第2の分岐路76を第2のデリバリ回路40から切り離すように作動される。このように、出口44は、第1のデリバリ回路36にのみ流体接続され、ブレーキ装置8を作動されることができる。
【0055】
考えられる実施形態(
図3,4)によれば、切換手段48は、ポンプ20の出口44に配置され、第1と第2のデリバリ回路36,40に交互に接続できる3方向遮断弁80を有する。
【0056】
例えば、3方向遮断弁80は、空気圧によって作動される。
【0057】
3方向遮断弁80は、電気、電磁気、又は手動によって作動することができる。
【0058】
図3は、3方向遮断弁80が、出口44を第2のデリバリ回路40に流体接続する一方で該出口44が第1のデリバリ回路36から遮断されるように操作される状態を示す。この場合、フロート32によって加圧された流体は、クラッチ12のみを作動できる。
【0059】
他方、
図4は、3方向遮断弁80が、出口44を第1のデリバリ回路36と流体接続する一方で該出口44が第2のデリバリ回路40から切り離されるように操作された状態を示す。この場合、フロート32によって加圧された流体は、ブレーキ装置8のみを作動できる。
【0060】
考えられる実施形態によれば、作動装置16はさらに、マニアル式操作装置24とは別に、マニアル式操作装置84を有する。このマニアル式操作装置84は、クラッチ12を直接作動することができるように、切換手段48の下流側で第2デリバリ回路49に交差する
【0061】
マニアル式操作装置84は、典型的には、モータサイクルが走路を逸れた場合及び/又はエンジンの故障等の緊急事態に対応するために使用される。このような状況では、例えば危険なトランスミッションのロッキングやそれに起因する後部車輪のロッキングを回避するために、パイロットがクラッチを操作すること又はエンジントランスミッションを切り離すことができる。
【0062】
マニアル式操作装置84は、クラッチ12が直接操作されるように、作動装置16を完全にバイパスする。
【0063】
別の実施形態によれば、作動装置16は、マニアル式操作装置24とは別に、手動式又はペダル式の操作装置84を有する。マニアル式操作装置84は、ブレーキ装置8を直接操作できるように、切換手段48の下流側で、第1のデリバリ回路36と交差する。
【0064】
この場合、マニアル式操作装置84は、ブレーキ装置8を直接操作できるように、アクチュエータ装置16を完全にバイパスする。
【0065】
マニアル式操作装置84は、追加のレバー又はペダル若しくはボタン制御部を用いて実現することができる。
【0066】
以上の説明から理解できるように、本発明によれば、従来技術の問題点を解消できる。
【0067】
実際、本解決法によれば、ブレーキ装置(典型的には後輪用)とクラッチ装置は、モータサイクルのハンドルバー半部に設けられて一つのマニアル式操作装置が備えられた一つのアクチュエータ装置でもって作動できる。
【0068】
このように、従来の解決法では起こり得ることであるが、上述の解決法ではユーザの手が作動装置の機構間に捕まることが無いので、落下した場合でも、ユーザに対する危険が回避される。
【0069】
また、本解決法によれば、後部ブレーキは、大きな又は標準的な大きさのレバーによって左手で操作できるので、従来のペダル式の解決法に比べて、又は短い従来の解決法(親指で操作されるもの)に比べても、非常に感度が良い。
【0070】
さらに、本発明の解決法は、ブレーキとクラッチに対する一つの作動装置の使用をもくろむため、作動装置の全重量、及びブレーキとクラッチの作動システムの全重量が減少する。
【0071】
偶発的で特定の要求を満足するために、当業者は、上述したモータサイクルのアクチュエータ装置及びシステムにいくつかの変形や改変を加えるであろうが、それらはすべて以下の請求の範囲によって定義される発明の範囲に入る。