(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステム、ならびに、この様なシステムにおける通電壁部材
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240726BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240726BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
E04B2/74 541N
F21V23/00 160
H05K7/12 A
(21)【出願番号】P 2021560511
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2020059330
(87)【国際公開番号】W WO2020201395
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】102019108726.0
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521441560
【氏名又は名称】マグンウォール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルト,クラウス-ディーター
(72)【発明者】
【氏名】スタヒフスキー,ローマン
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011005735(DE,A1)
【文献】国際公開第2014/118528(WO,A1)
【文献】特開2009-118570(JP,A)
【文献】特開2013-139697(JP,A)
【文献】特表2011-512623(JP,A)
【文献】特表2009-519577(JP,A)
【文献】特開平09-184271(JP,A)
【文献】米国特許第04752756(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74
A47F 5/10
E04F 13/08
F21V 23/00
F21V 33/00
F21V 19/00
F21V 21/002
H02G 3/38
H05K 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド(100)用および/または店舗装飾用のシステムであって、
通電壁部材(10)と、
前記壁部材(10)上に実装するように構成され、電気装置(5)のための集電体(20)とを備え、
前記壁部材(10)は、表側および裏側を有するキャリアプレート(15)を備え、
前記壁部材(10)は、第1極性の第1導電体軌道(11)と、第2極性の第2導電体軌道(12)とを備え、前記第1および第2導電体軌道(11、12)は、少なくともある区画において交互に配置されており、前記第1導電体軌道(11)および前記第2導電体軌道(12)は、前記キャリアプレート(15)の表側に配置されており、
前記集電体(20)は、少なくとも2つの接触針(21a~21f)を備え、前記集電体(20)は、前記接触針(21a~21f)の少なくとも1つが前記第1導電体軌道(11)の1つに接触し、前記接触針(21a~21f)の少なくとももう1つが前記第2導電体軌道(12)の1つに接触するように、前記壁部材(10)に取り付けられるようになっており、
前記壁部材(10)は、第1電気端子接点と第2電気端子接点とを備え、前記第1電気端子接点は、前記第1導電体軌道(11)に導電可能に連結され、前記第2電気端子接点は、前記第2導電体軌道(12)に導電可能に連結され、前記第1電気端子接点および前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側に配置されて
おり、
前記第1導電体軌道(11)および前記第2導電体軌道(12)は、係合櫛状構造を構成し、前記第1導電体軌道(11)は第1櫛部を構成し、前記第2導電体軌道(12)は第2櫛部を構成し、前記2つの櫛部の少なくとも一方に関して、前記櫛状構造の分枝部が前記キャリアプレート(15)の表側に配置され、複数の前記分枝部を接続する前記櫛状構造の長尺部が前記キャリアプレート(15)の裏側に配置されている、システム。
【請求項2】
前記第1導電体軌道(11)の延長部は、前記キャリアプレートの縁部の周囲において前記キャリアプレート(15)の表側から裏側へと案内され、前記第1電気端子接点に導電可能に連結され、
前記第2導電体軌道(12)の延長部は、前記キャリアプレートの縁部の周囲において前記キャリアプレート(15)の表側から裏側へと案内され、前記第2電気端子接点に導電可能に連結されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表側の前記導電体軌道(11、12)および前記裏側の前記電気端子接点は、共通導電層を備えており、前記導電層が、前記キャリアプレートの縁部の周囲において前記キャリアプレートの表側から前記キャリアプレート(15)の裏側へと案内されている、請求項
1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記表側の前記導電体軌道および前記裏側の前記電気端子接点は、共通の導電箔を備えており、前記共通の導電箔が、前記キャリアプレートに施されている、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側において回転対称に配置されている、請求項1~
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側の対角に配置されている、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側において鏡面対称に配置されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記壁部材(10)は、第3電気端子接点と第4電気端子接点とをさらに備えており、前記第3電気端子接点は、前記第1導電体軌道(11)に導電可能に連結され、前記第4電気端子接点は、前記第2導電体軌道(12)に導電可能に連結され、前記第3電気端子接点および前記第4電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側に配置されている、請求項1~
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記壁部材は、正方形である、請求項1~
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側の第1辺縁領域に配置され、前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側の第2反対側辺縁領域に配置されている、請求項1~
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側の第1縁部に沿って延設され、前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側の第2反対側縁部に沿って延設されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記裏側の前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)を介する電気接続により、前記表側の対応する各前記導電体軌道に連結されている、請求項1~
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記キャリアプレートの表側を覆うカバー(18)をさらに備えている、請求項1~
12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記壁部材(10)および前記集電体(20)は、前記集電体を磁力により前記壁部材に取付可能であるように構成されている、請求項1~
13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、少なくとも2つ
の複数の壁部材(10)を備えており、
前記システムは、前記裏側の前記第1および第2電気端子接点を介して前記壁部材に給電するための電極配列をさらに備えている、請求項1~
14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記電極配列は、第1群および第2群の電極を備えており、
前記第1群の電極は、前記各壁部材の前記第1電気端子接点を第1極性に接続するように構成、配列されており、
前記第2群の電極は、前記各壁部材の前記第2電気端子接点を第2極性に接続するように構成、配列されている、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1群の電極および前記第2群の電極は、様々な行および/または列に配列さ
れている、請求項
16に記載のシステム。
【請求項18】
前記電極配列は、さらに、前記壁部材(10)を磁力により前記電極配列に取付可能に構成さ
れている、請求項
15~
17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
表側導電体軌道を有さない壁部材をさらに備えている、請求項1~
18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記表側導電体軌道を有さない壁部材は、裏側電気絶縁体を有している、請求項
19に記載のシステム。
【請求項21】
請求項1~
20のいずれか一項に記載のシステムにおける壁部材(10)であって、前記システムは、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド(100)用および/または店舗装飾用のシステムであって、前記システムが、通電壁部材(10)と、前記壁部材(10)上に実装するように構成され、電気装置(5)のための集電体(20)とを備え、
前記壁部材(10)は、表側および裏側を有するキャリアプレート(15)を備え、
前記壁部材(10)は、第1極性の第1導電体軌道(11)と、第2極性の第2導電体軌道(12)とを備え、前記第1および第2導電体軌道(11、12)は、少なくともある区画において交互に配置されており、前記第1導電体軌道(11)および前記第2導電体軌道(12)は、前記キャリアプレート(15)の表側に配置されており、
前記集電体(20)は、少なくとも2つの接触針(21a~21f)を備え、前記集電体(20)は、前記接触針(21a~21f)の少なくとも1つが前記第1導電体軌道(11)の1つに接触し、前記接触針(21a~21f)の少なくとももう1つが前記第2導電体軌道(12)の1つに接触するように、前記壁部材(10)に取付可能となるように、前記壁部材が構成されており、
前記壁部材(10)は、第1電気端子接点と第2電気端子接点とを備え、前記第1電気端子接点は、前記第1導電体軌道(11)に導電可能に連結され、前記第2電気端子接点は、前記第2導電体軌道(12)に導電可能に連結され、前記第1電気端子接点および前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレート(15)の裏側に配置されて
おり、
前記第1導電体軌道(11)および前記第2導電体軌道(12)は、係合櫛状構造を構成し、前記第1導電体軌道(11)は第1櫛部を構成し、前記第2導電体軌道(12)は第2櫛部を構成し、前記2つの櫛部の少なくとも一方に関して、前記櫛状構造の分枝部が前記キャリアプレート(15)の表側に配置され、複数の前記分枝部を接続する前記櫛状構造の長尺部が前記キャリアプレート(15)の裏側に配置されている、壁部材。
【請求項22】
請求項1~
20のいずれか一項に記載のシステムに使用される、請求項
21に記載の壁部材。
【請求項23】
請求項1~
20のいずれか一項に記載のシステム用の壁部材(10)の製造方法であって、
表側および裏側を有するキャリアプレート(15)を準備する工程と、
第1極性の第1導電体軌道(11)および第2極性の第2導電体軌道(12)を施す工程であって、前記第1および第2導電体軌道(11、12)を少なくともある区画において交互に配置し、
前記第1導電体軌道(11)および前記第2導電体軌道(12)が、係合櫛状構造を構成し、前記第1導電体軌道(11)は第1櫛部を構成し、前記第2導電体軌道(12)は第2櫛部を構成し、前記2つの櫛部の少なくとも一方に関して、前記櫛状構造の分枝部が前記キャリアプレート(15)の表側に配置されるように、かつ複数の前記分枝部を接続する前記櫛状構造の長尺部が前記キャリアプレート(15)の裏側に配置されるように、前記第1導電体軌道(11)および前記第2導電体軌道(12)を前記キャリアプレート(15)の表側に施す工程と、
第1電気端子接点および第2電気端子接点を前記キャリアプレート(15)の裏側に施す工程であって、前記第1電気端子接点を前記第1導電体軌道(11)に導電可能に連結し、前記第2電気端子接点を前記第2導電体軌道(12)に導電可能に連結する工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/また店舗装飾用のシステムまたはプレゼンテーションシステム、通電壁部材、ならびに、電気装置用の集電体に関する。提案のプレゼンテーションシステムは、美術館やスマートホームの分野において使用してもよい。
【背景技術】
【0002】
プレゼンテーションまたは展示スタンドは、新規顧客に対する最初の接触点であるので、自身をプレゼンテーションする会社の表看板として特に重要である。この様な理由により、視覚的印象や特に柔軟な様々なプレゼンテーションの選択肢が、ますます重要になっている。プレゼンテーション、展示または販売スタンドの壁や床、天井部材、店舗装飾における特別に目を引くものとして、照明装置やモニタなどの特殊な電気装置を大々的に使用して、見物人の注意力を特定の要素に引き付ける。しかしながら、最先端技術において、この様な照明装置や一般的な電気装置の配置には、電気配線が必要であり、電気装置や照明装置の可変配置に関わる柔軟性をかなり制約する。同様に、人目を引くプレゼンテーションは、店舗装飾においても益々重要である。
【0003】
下記特許文献1は、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステムを開示している。前記システムは、キャリア材と、前記キャリア材を被覆するカバーとを有する少なくとも1つの壁、床または天井部材を備え、導電体軌道が前記キャリア材上または前記カバー上または前記カバー内に配置されており、前記キャリア材および/または前記導電体軌道は磁化可能であり、すなわち、強磁性を有し、前記システムは、少なくとも1つの磁石により前記キャリア材に取付可能な少なくとも1つの電気装置を備え、前記電気装置は、電気負荷体を前記キャリア材に取り付けて前記導電体軌道と電気接触させると、前記カバーを貫通し、前記電気装置に給電する針状集電体を備えている。
【0004】
特許文献1により公知の前記システムは、特に、容易に変更可能であり、柔軟に電気装置を壁部材に配置可能な、例えば、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用または店舗装飾用の壁部材を提供することができる。
下記特許文献2は、表示スタンドと、表示スタンドの組立方法を開示している。前記表示スタンドは、プレゼンテーション壁と、前記プレゼンテーション壁に保持された少なくとも1つの物体とを有し、前記プレゼンテーション壁および前記物体は、当接時に相互作用するラッチ輪郭を有し、これにより、前記物体を前記プレゼンテーション壁に対して複数の異なる所定位置に保持することができ、前記物体は、磁力により前記プレゼンテーション壁に保持され、前記ラッチ輪郭は、前記物体の相互移動ラッチ位置の最小間隔が、移動方向に測定して前記物体の接触面の範囲よりも小さくなるように設計されており、前記プレゼンテーション壁上の前記物体の前記可能位置の少なくとも一部において、前記接触面を介する前記物体の直接給電が、前記プレゼンテーション壁を介して提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102011005735号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013011329号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この様な背景に対して、本発明の目的は、壁部材上の電力消費装置の配置を簡単に自由に選択し、柔軟に変更することができる、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用の改善されたシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、特にプレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステムが提案されており、前記システムは、通電壁部材と、前記壁部材上に実装するように構成され、電気装置のための集電体とを備え、前記壁部材は、表側および裏側を有するキャリアプレートを備え、前記壁部材は、第1導電体軌道(第1極性)と、第2導電体軌道(第2極性)とを備え、前記第1および第2導電体軌道は、少なくともある区画において交互に配置されており、前記第1導電体軌道および前記第2導電体軌道は、前記キャリアプレートの表側に配置されており、前記集電体は、少なくとも2つの複数の接触針を備え、前記集電体は、前記接触針の少なくとも1つが前記第1導電体軌道の1つに接触し、前記接触針の少なくとももう1つが前記第2導電体軌道の1つに接触するように、前記壁部材に取り付けられるようになっており、前記壁部材は、第1電気端子接点と第2電気端子接点とを備え、前記第1電気端子接点は、前記第1導電体軌道に導電可能に連結され、前記第2電気端子接点は、前記第2導電体軌道に導電可能に連結され、前記第1電気端子接点および前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側に配置されている。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステムにおける(使用のための)対応する壁部材が提案されている。
【0009】
本発明の更なる態様によれば、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用に、この様なシステムにおけるこの様な壁部材の使用が提案されている。
【0010】
本発明の更なる態様によれば、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステムのための対応する壁部材を製造する対応する方法が提案されている。
【0011】
本願の発明者らは、店舗装飾における通電壁要素の取り扱いが、関連従業員にとって新たな課題であることを認識している。以前のシステムにおいては、設計者や装飾者の仕事と、その後の給電とが分離されていた。したがって、設計者や装飾者が通電(導電)壁部材を容易に取り扱えることが望まれている。さらに、店舗ウインドウの設計や再設計に要する時間を削減することが望まれている。これは、特に、店舗ウインドウの改装が夜中または週末などの通常営業時間外に行われることを鑑みると妥当である。
【0012】
したがって、本発明によれば、表側および裏側を有するキャリアプレートを備えた壁部材であって、第1極性の第1導電体軌道と、第2極性の第2導電体軌道とを備えた壁部材を提供することが提案されている。前記第1および第2導電体軌道は、少なくともある区画において交互に配置可能である。前記第1導電体軌道および前記第2導電体軌道は、前記キャリアプレートの表側に配置されている。前記第1導電体軌道同士は、導電可能に相互に連結されている。前記第2導電体軌道同士は、導電可能に相互に連結されている。前記壁部材は、第1電気端子接点と第2電気端子接点とをさらに備えている。前記第1電気端子接点は、前記第1導電体軌道に導電可能に連結されている。前記第2電気端子接点は、前記第2導電体軌道に導電可能に連結されている。前記第1電気端子接点および前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側に配置されている。以下、更なる方策を例示により説明する。
【0013】
提案されている解決策は、通電壁が電源としての役割を果たし、アダプタまたは集電体を壁からの給電のために設けるという一般的な考えに基づいている。前記壁部材は、電源などの電流源または電圧源に接続するようにできる。前記第1導電体軌道は、前記第1(裏側)電気端子接点を介して正極に接続することができ、前記第2軌道は、前記第2(裏側)電気端子接点を介して負極に接続することができる。例えば、12Vまたは24VのDC電圧を提供することができる。あるいは、AC電圧、AC電圧を重畳したDC電圧など、異なるタイプの電源を前記第1および第2電気端子接点を介して提供することができる。前記壁部材は、キャリアプレートと、任意に、前記キャリアプレートを覆うカバーとを有することができる。キャリアプレートとカバーの組み合わせは、この様なプレゼンテーションスタンドに特に有利である。なぜなら、カバーを迅速に変更でき、前記スタンドを簡単に改造できるからである。前記カバーは、壁部材または一群の壁部材を覆っていてもよい。例えば、この様なカバーに印刷および/またはラベルを施すことができる。前記集電体および/または前記電気装置を前記壁部材に実装したり取り付けたりすることができる。
【0014】
前記電気壁部材の前記導電体軌道は、例えば、スチールパンチプレート形態のキャリア要素の一体部分とすることができ、そして、前記キャリア材上および/または前記カバー上または前記カバー内に配置することもできる。壁部材は、層構造を有していてもよいと理解される。この様な層構造は、以下の層、すなわち、木製または金属製の支持構造体、スチール製の磁性材または磁化可能材の層、絶縁層、例えば(薄層)金属箔などの導電体軌道層のうちの1以上の層を有することができる。例えば、プラスチック製のキャリアプレートまたは支持構造体を設けてもよく、この上に、例えばスチール製の磁性材または磁化可能材の層を設けて、任意に同時にそれを第1および/または第2導電体軌道としてもよく、そして、任意にカバーを設けることもできる。磁性材または強磁性材の層の使用は、集電体または消費装置を前記壁部材に磁石で柔軟に取り付けできるので、有利である。好適には、前記第1および第2裏側端子接点を前記壁部材の層構造の一部としてもよい。
【0015】
前記集電体は、少なくとも2つまたは少なくとも3つの複数の接触針、例えば、厳密には2つの接触針を備えている。前記集電体は、前記接触針の少なくとも1つが前記第1導電体軌道の1つに接触し、前記接触針の少なくとももう1つが前記第2導電体軌道の1つに接触するように、前記壁部材に実装可能となっている。例えば、前記導電体軌道が前記壁部材の前記キャリアプレート上に配置され、前記壁部材が前記キャリアプレートを覆うカバーを有する場合、前記接触針は、前記カバーを貫通し、前記各導電体軌道に電気接続されるようになっていてもよい。前記接触針は、前記壁部材を貫通または貫入可能である。前記導電体を前記カバーと一体化し、特に前記カバーに縫い込むことも可能である。この場合、前記カバーの第1導電体軌道を前記第1裏側端子接点に接続してもよく、前記カバーの第2導電体軌道を前記第2裏側端子接点に接続してもよい。前記カバーは、任意に、前記壁部材の一部と考えてもよい。基本的に、前記集電体は、前記壁部材上に設置されたときに前記第1および第2導電体軌道と電気接続され、消費装置または負荷装置にタップ電圧を給電するようにできる。
【0016】
前記提案の解決策の利点は、従来の店舗や見本市の構造体と比較して、プレゼンテーション要素に取り付けられた個々の電気装置の複雑な配線を排除できることである。その代わり、前記消費装置を動作中のプレゼンテーション要素に柔軟に取付可能である。したがって、高価な補正を排除することができる。さらに、特に前記壁部材に対する回転に関しても前記個々の消費装置を柔軟に再配置したり整合させたりすることができるので、創造性を促進できる。ある意味、この様なシステムは、最も目を引くプレゼンテーション結果を達成するために、前記電力消費装置を配置して実演したり実験したりすることを推奨している。特に、前記消費装置を取り付ける前であっても、前記通電壁部材に給電可能であり、結果を直ちに評価できる。時間のかかる新たな配線は必要ない。
【0017】
前記集電体をこのように前記壁部材に取り付け、タップ電流を例えば配線により消費装置に給電可能とするか、あるいは、前記集電体をホルダーに組み込むか、電力消費装置に組み込むことができると理解される。
【0018】
プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステムは、表示スタンドまたは陳列スタンドと称することもできる。本発明の文脈における壁部材は、床要素または天井要素と称することもできる。本発明の文脈において、接触針は、接触ピンまたは接触棒と称することもでき、必ずしも尖った先端を有さなくてもよい。前記接触針は、これらの接触針または前記接触針の先端または端部が一平面内に位置するように配置可能である。任意に、前記接触針をバネ付勢することもできる。前記接触針は、前記カバーを貫通可能とすることもできる。本発明の文脈において、等辺形または正三角形は、任意に、各脚または辺の長さの違いが20%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下である三角形であると理解される。
【0019】
ある実施形態において、前記第1導電体軌道の延長部を前記キャリアプレートの(第1の)縁部の周囲に前記キャリアプレートの表側から裏側へと案内し、前記第1接続接点に導電可能に連結することができる。前記第2導電体軌道の延長部を前記キャリアプレートの(第2の)縁部の周囲に前記キャリアプレートの表側から裏側へと案内し、前記第2接続接点に導電可能に連結することができる。この実施形態の利点は、単純で低価格な製造である。
【0020】
前記第1導電体軌道および前記第2導電体軌道は、嵌合(interlining)/係合櫛状構造を構成可能である。前記第1導電体軌道は第1櫛部を構成可能であり、前記第2導電体軌道は第2櫛部を構成可能であり、前記2つの櫛部の少なくとも一方に関して、前記櫛状構造の分枝部が前記キャリアプレートの表側に配置され、前記分枝部を接続する前記櫛状構造の長尺部が前記キャリアプレートの裏側に配置されている。この解決策の利点は、特に辺縁領域において前記集電体をより柔軟に配置できることである。前記櫛状構造の接続長尺部を裏側に配置することによって、前記壁部材の辺縁領域に前記集電体を柔軟に配置することもできる。
【0021】
前記表側の前記導電体軌道および前記裏側の前記電気端子接点は、共通導電層を備えることができる。前記導電層は、前記キャリアプレートの縁部の周囲に前記キャリアプレートの表側から前記キャリアプレートの裏側へと案内または巻き付けられている。言い換えれば、前記第1導電体軌道および前記裏側の前記第1電気端子接点は、共通導電層を備えていてもよい。前記第2導電体軌道および前記裏側の前記第2電気端子接点は、共通導電層を備えていてもよい。前記第1および第2導電体軌道の間には電通はなく、さもなければ短絡がおこると理解される。前記共通導電層は、互いに絶縁された2つの副領域、前記第1極性の第1副領域および前記第2極性の第2副領域を備えていてもよく、前記第1副領域は、前記第1導電体軌道および前記第1電気端子接点を含み、前記第2副領域は、前記第2導電体軌道および前記第2電気端子接点を含む。この解決策の利点は、単純で低価格な製造である。接点の問題を低減できることも利点である。
【0022】
ある改良態様において、前記表側の前記導電体軌道および前記裏側の前記電気端子接点は、共通導電箔を備えることができ、前記共通導電箔は、前記キャリアプレートに施される。利点は、単純で低価格な製造である。この様な箔は、任意に、更なる層を備えていてもよく、複数の箔を積層してもよいと理解される。例えば、スチールなどの導電材製のキャリアプレートの場合、前記キャリアプレートと前記箔の導電層との間に絶縁層を設けてもよい。
【0023】
前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側に回転対称に配置してもよい。これにより、配置が簡単になる。例えば、180度の回転が可能になる。このようにして、様々な回転状態で電気接続を達成可能である。あるいは、または、さらに、前記第1および第2電気接続接点は、前記キャリアプレートの裏側に鏡面対称に配置可能である。さらに、または、あるいは、前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側に鏡面対称に配置可能である。
【0024】
前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側の対角に配置可能である。前記裏側の対角配置は、さらに隣接するキャリアプレートとの接触を効率よく達成できる。
【0025】
前記壁部材は、第3電気端子接点と第4電気端子接点とをさらに備えることができる。前記第3電気端子接点は、前記第1導電体軌道に導電可能に連結することができる。前記第4電気端子接点は、前記第2導電体軌道に導電可能に連結することができる。前記第3電気端子接点および前記第4電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側に配置可能である。特に、このように前記キャリアプレートの裏側に4つの電気端子接点を配置してもよい。これらを90度毎の回転対称に配置してもよい。
【0026】
前記壁部材を正方形とすることができる。これにより、前記壁部材の取り扱いが簡単になり、特に、4つの端子接点、好ましくは90度の回転対称に配置された4つの端子接点に関して取り扱いが簡単になる。なぜなら、この様な壁部材を(90度刻みの)配向に関係なく適用してもよいからである。
【0027】
前記第1電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側の第1辺縁領域に配置可能である。前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側の第2辺縁領域、好ましくは第2反対側辺縁領域に配置可能である。この実施形態の利点は、必要材料を低減できることである。これは、特に、前記表側導電体軌道の延長部を介して前記裏側端子接点を前記各表側導電体軌道に接続する場合に適用される。
【0028】
前記第1電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側の第1縁部に沿って延設可能である。前記第2電気端子接点は、前記キャリアプレートの裏側の第2反対側縁部に沿って延設可能である。例えば、前記第1および/または第2接続接点は、縁部の少なくとも50%、特に少なくとも75%、特に少なくとも85%、特に少なくとも95%に沿って延びていてもよい。これは、特に、共通導電箔を使用した場合に、前記壁部材の耐久性を改善する。更なる利点は、製造中に必要な切断工程数を低減でき、製造が簡単になることである。
【0029】
前記裏側の前記第1および第2電気端子接点は、前記キャリアプレートを介する電気接続により、前記表側の対応する各導電体軌道に連結可能である。この実施形態の利点は、前記キャリアプレートの電気絶縁性の縁部を設定できることである。
【0030】
前記システムは、前記キャリアプレートの表側を覆うカバーを備えることができる。前記カバーは、1以上のキャリアプレートを同時に覆うように構成してもよい。複数のキャリアプレートは、前記カバーを取り付けた共通フレームで取り囲んでもよい。これにより、前記カバーを簡単に交換することができる。
【0031】
ある実施形態において、前記壁部材および前記集電体は、前記集電体を前記壁部材に磁力により取付可能とすることができる。
【0032】
前記システムは、少なくとも2つの、特に少なくとも4つの、特に少なくとも9つの、複数の壁部材を備えることができる。前記システムは、前記裏側の前記第1および第2接続接点を介して前記壁要素に給電するための電極配列をさらに備えることができる。前記電極配列は、任意に、前記第1および第2端子接点を介して前記壁部材の裏側に給電すると共に、壁に前記壁部材を取り付ける役割を果たすように構成してもよい。
【0033】
ある改良態様において、前記電極配列は、第1電極群と、第2電極群とを備えることができる。前記第1電極群は、前記各壁要素の前記第1電気端子接点を第1極性に接続可能に構成、配列することができる。前記第2電極群は、前記各壁要素の前記第2電気端子接点を第2極性に接続可能に構成、配列することができる。例えば、第1群の電極および第2群の電極は、様々な行および/または列に配列してもよく、特に、碁盤状に配列してもよい。
【0034】
前記電極配列は、さらに、前記壁要素を磁力により前記電極配列に取付可能とすることができる。特に、前記電極配列は、導電磁石を備えることができる。この実施形態の利点は、前記壁部材の磁力による取付が、同時に前記壁部材への給電を提供することである。
【0035】
任意に、前記システムは、2つのタイプの壁部材を備えていてもよい。第1タイプの壁部材は、前記のような導電体軌道を有する壁部材であり、第2タイプの壁部材は、表側導電体軌道を有さない壁部材である。一般的に、前記システムは、表側導電体軌道を有さない少なくとも1つの壁部材を備えることができる。この実施形態の利点は、電力消費装置を取り付ける表示ウインドウの一定の領域に、意図する方法で前記導電体を備えた更に複雑な壁部材を装備できることである。ただし、その他の領域においては、この様な導電体を有さない安価な壁部材を設けてもよい。言い換えれば、前記システムは、表側導電体軌道を有する第1壁部材または第1壁部材群と、表側導電体軌道を有さない第2壁部材または第2壁部材群とを含んでいてもよい。任意に、表側導電体軌道を有さない壁部材は、裏側電気絶縁体を有していてもよい。前記電気絶縁体は、特に、前記電極配列の1以上の電極との電気接続を回避するために、少なくとも、給電用の電極との接点が生起し得る領域に設けてもよい。
【0036】
本発明の更なる態様によれば、前記システム用の壁部材の製造方法を提供する。前記方法は、表側および裏側を有する(強磁性)キャリアプレートを準備する工程と、第1極性の第1導電体軌道および第2極性の第2導電体軌道を施す工程であって、前記第1および第2導電体軌道を少なくともある区画において交互に配置し、前記第1導電体軌道および前記第2導電体軌道を前記キャリアプレートの表側に施す工程と、第1電気端子接点および第2電気端子接点を前記キャリアプレートの裏側に施す工程であって、前記第1電気端子接点を前記第1導電体軌道に導電可能に連結し、前記第2電気端子接点を前記第2導電体軌道に導電可能に連結する工程とを含む。
【0037】
特に、前記方法は、前記第1導電体軌道および前記第1端子接点を備えた第1導電領域を有し、前記第2導電体軌道および前記第2端子接点を備えた第2導電領域を有する導電箔を準備する工程を含んでいてもよい。そして、前記導電箔は、前記第1および第2極性の前記導電体軌道を前記表側に設け、前記第1および第2接続接点を前記裏側に設けるように、前記キャリアプレートに施される。
【0038】
本発明の更なる態様によれば、特に、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステムが提案されている。前記システムは、通電壁部材と、前記壁部材上に実装されるように構成された電気装置(電力消費装置)のための集電体とを備え、前記壁部材は、キャリアプレートと、前記キャリアプレートを覆うカバー(覆い)とを備え、前記壁部材は、(第1極性の)第1導電体軌道と、(第2極性の)第2導電体軌道とを備え、前記第1および第2導電体軌道は、少なくともある区画において交互に配置されており、前記集電体は、少なくとも3つの複数の接触針を備えており、前記集電体は、前記接触針の少なくとも1つが前記第1導電体軌道の1つに接触し、前記接触針の少なくとももう1つが前記第2導電体軌道の1つに接触するように、前記壁部材に取付可能となっており、前記複数の接触針のうちの第1接触針、第2接触針、第3接触針が、円周上に配置されている。この更なる態様に係る特徴は、上記のような裏側接触の前記壁部材の特徴と好適に組み合わせてもよい。
【0039】
本発明の更なる態様によれば、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用のシステムにおける(使用のための)電力消費装置用の、対応する集電体を提案している。
【0040】
本発明の更なる態様によれば、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用に、この様なシステムにおけるこの様な集電体の使用が提案されている。
【0041】
更なる態様によれば、プレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド用および/または店舗装飾用、または、その装備のために、対応する方法が提案されている。
【0042】
特許文献1に開示されている解決策により、通電壁部材上における水平および垂直方向の略自由な配置が可能となる。しかしながら、従来の針コネクタを用いた場合、前記通電壁部材に対する前記集電体の回転により、両接触針が同じ導電体軌道上に載置される可能性があるという問題がある。例えば、集電体、または、集電体を備えた電力消費装置は、単に90度回転することさえできない。したがって、さらに配置性を向上し、それでも様々な角度配向に対して電気接点を確立することが望まれる。
【0043】
任意に、前記集電体は、2つの接触針だけでなく、少なくとも3つの(複数の)接触針を備えていてもよく、前記複数の接触針のうちの第1接触針、第2接触針、第3接触針は、円周上または円弧上に位置するように配置される。比較的自由な配置、例えば水平方向および/または垂直方向の配置に加えて、提案されているような円弧上への前記接触針の配置により、さらに自由度を生成でき、より自由な回転が可能となる。
【0044】
これにより、前記接触針の少なくとも1つが前記第1導電体軌道の1つに接触し、前記接触針の少なくとももう1つが前記第2導電体軌道の1つに接触する可能性が高まる。言い換えれば、回転時に、異なる極性の各軌道に対する少なくとも2つの接触針の接触を長く保持することができる。以下、略自由な回転を可能とする更なる方策を例示的に説明する。
【0045】
前記第1、第2、第3接触針の上記の配置の代わりに、または上記の配置に加えて、前記第1、第2、第3接触針は、前記第1および第2接触針を通る第1直線と、前記第2および第3接触針を通る第2直線とが、ある角度(鋭角)で交差するように配置されていてもよい。
【0046】
前記集電体の前記第1、第2、第3接触針は、三角形、特に鋭角三角形を形成するように配置可能である。鋭角三角形とは、すべての角が90度未満である三角形である。3つの辺は、異なる長さを有することができるが、異なる長さである必要はない。
【0047】
ある実施形態において、前記集電体の前記第1、第2、第3接触針は、二等辺三角形、特に正三角形を形成するように配置可能である。
【0048】
前記円または円弧上に位置する前記第1、第2、第3接触針の三角形状の配置、特に、略正三角形状の配置は、特に前記壁部材上での前記集電体の回転に関して、さらに柔軟な配置が可能となる。
【0049】
ある実施形態において、前記第1接触針、前記第2接触針、前記第3接触針が配置されている前記円の直径は、前記第1導電体軌道の1つの幅と、(それに隣接する)前記第2導電体軌道の1つの幅と、任意に両者の間隙との合計以下とすることができる。この解決策の利点は、前記集電体が回転したときに、前記第1または第2導電体軌道上の異なる接触針が、広範な角度範囲にわたって、異なる導電体軌道上に載置され、異なる導電体軌道上で少なくとも2つの接触針の接触が可能となることである。
【0050】
ある実施形態において、前記集電体の前記接触針は、前記集電体を前記通電壁部材に取り付けるときに、(前記円上に配置された)接触針のうちの少なくとも第1接触針が、前記第1導電体軌道の1つに接触可能なように、そして、(前記円上に配置された)第2接触針が、前記第2導電体軌道の1つに接触可能なように、前記通電壁部材上における(前記円の平面内または前記壁部材の平面内の)前記集電体の回転(または整列)とは無関係に配置することができる。前記接触は、回転と全く無関係であると解釈せず、本発明の範囲においては、接触針が隣接する2つの導電体軌道間の間隙に落下しないように、例えば、±5度または±10度の許容誤差を考慮して、回転とは略々無関係であると解釈される。この様な間隙は、2つの隣接導電体軌道間の短絡を回避するために設けてもよい。
【0051】
言い換えれば、前記集電体の前記接触針は、前記壁上の前記集電体の回転とは無関係に、前記接触針の少なくとも1つが前記第1導電体軌道(例えば、正極)の1つに接触し、前記接触針の少なくとももう1つが前記第2導電体軌道(例えば、負極)の1つに接触するように配置可能であることが好ましい。このように、前記提案の集電体を介する装置の給電が、広範な角度範囲にわたって可能となる。
【0052】
ある実施形態において、円上に位置する前記接触針は、前記第1接触針が前記円の3分の第1区画上に位置し、前記第2接触針が前記円の3分の第2区画上に位置し、前記第3接触針が前記円の3分の第3区画上に位置するように、配置可能である。例えば、前記円を3つの同寸の弓形(circle segment)に分割し、前記3つの弓形の各々に前記3つの接触針の1つを配置することができる。
【0053】
ある実施形態において、前記集電体は、第4、第5、第6接触針をさらに備えていてもよい。前記第1~第6接触針は、六角形に配置可能である。特に、前記接触針は、六角形、特に正六角形または星形に配置可能であり、前記接触針がそれぞれ前記六角形の角または星形の頂点を形成するように配置可能である。ただし、異なる数の接触電極、特に、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上の接触電極を設けてもよいと理解される。
【0054】
ある実施形態において、前記集電体および前記接触針は、前記集電体を前記壁部材に取り付けるときに、少なくとも2つの接触針が前記第1導電体軌道の1以上に接触し、前記接触針の少なくとも2つが前記第2導電体軌道の1以上に接触するように配置してもよい。これは、高電力消費の用途に特に有利である。通常、2Aまでの電流に対しては、3または4つの接触針を有する集電体で充分である。しかしながら、集電体あたりの電流を低減できるので、より多くの接触針が有利となる。例えば、安価な部材を使用してもよい。例えば、2つの標準的な2A用ダイオードは、4A用の設計の高電力ダイオードよりも安価である。あるいは、数個の集電体を並列に使用して、必要な電力を給電することも可能である。実験では、ランプの給電の他にディスプレイの給電も可能であることが示されている。数個の集電体の並列接続などの組み合わせにより、一般的に3000ワットまでの出力、またはそれ以上の出力が可能である。
【0055】
ある実施形態において、前記接触針は、前記第2接触針および前記第3接触針を通る直線と前記第1接触針との間の距離が前記導電体軌道の1つの幅よりも大きくなるように配置可能である。あるいは、または、さらに、前記第2接触針および前記第3接触針を通る直線と前記第1接触針との間の距離は、前記導電体軌道の1つの幅の2倍(任意に両者間の絶縁間隙を含む)よりも小さくすることができる。この配置の利点は、広範な角度範囲にわたって回転が可能であることである。
【0056】
ある実施形態において、前記集電体は、第4接触針を備えていてもよく、前記第4接触針は、前記第1、第2、第3接触針が配置されている円の内部に配置されていてもよい。例えば、前記第4接触針は、円の中心、または、前記第1、第2、第3接触針により形成される三角形の中心に配置されていてもよい。この実施形態の利点は、前記集電体を前記導電体に充分に電気接続する蓋然性がさらに向上することである。例えば、前記円上に位置する前記3つの接触針の2つが前記第1軌道の1つと前記第2軌道の1つとの間の絶縁間隙に落下するという問題を解決することができる。好適な改良態様において、前記第4接触針は、前記円の中心から距離をおいて偏心して配置可能である。この実施形態の特徴は、上記または下記の実施形態の1以上の特徴と組み合わせることができると理解される。「第4」接触針は、更なる接触針と解釈することができる。例えば、前記の六角形の配置における第4接触針は、第1の第4接触針と解釈することができ、この例による前記円の内部に配置される第4接触針は、第2の第4接触針または更なる接触針と解釈することができる。この第2の第4接触針または更なる接触針は、前記第1、第2、第3接触針が配置されている円の内部、更なる接触針も配置可能な円の内部に配置可能であると理解される。
【0057】
ある実施形態において、前記システムは、さらに整流器を備えていてもよい。前記整流器は、前記接触針の少なくとも2つに印加された入力電圧に基づいて、規定の極性の出力電圧を与えるようになっていてもよい。前記整流器は、前記集電体の一部、別個の要素または前記電気装置の一部とすることもできる。例えば、ブリッジ整流器を設けることもできる。さらに、または、あるいは、前記整流器は、前記集電体に接続可能な装置に配置できる。前記整流器は、第1出力接点および第2出力接点を備えていてもよい。回路の複雑性を制限し、前記整流器の価格を制限するために、前記集電体は、厳密に4つの接触針または厳密に3つの接触針、厳密に2つの接触針を備えていることが好ましい。特に、厳密に4つの接触針を有する場合、回路の複雑性が限定的であり、広範な角度範囲に適用可能であるという利点がある。
【0058】
更なる改良態様において、前記整流器は、少なくとも3つの入力および(厳密に)2つの出力を有し、それにより、前記少なくとも3つの入力がそれぞれ接触針に接続するようにしてもよい。
【0059】
ある実施形態において、前記集電体(任意にホルダーとの組み合わせ)は、前記集電体が前記通電壁部材に取り付けられたときに、前記接触針が前記導電体軌道に接触する接触位置と、前記接触針が前記軌道から離間している非接触位置との間で、前記接触針が移動可能になっている。ここでは、非接触位置は、変位位置または移動位置と呼ぶこともできる。好ましくは、前記集電体は、前記壁部材上を移動して所望の位置に到達することができる。前記所望の位置に到達すると、前記接触針を前記接触位置まで降下させることができる。ある例においては、前記集電体は、ホルダーを備え、前記ホルダーは、例えば摺動により装置を前記ホルダー内に挿入することによって、前記接触針を前記軌道に接触させるようになっている。例えば、前記接触針は、接続要素を挿入したとき、または、消費装置またはハウジングを挿入または取り付けたときにのみ作動する。利点は、非接触位置における位置決め性能の向上である。
【0060】
ある実施形態において、前記集電体は、前記集電体が(前記壁部材上で)水平または垂直方向に整列したときに、前記第1および第2接触針を通る直線が前記集電体の水平軸または垂直軸と鋭角、特に30度以下の角度、特に15度以下の角度、特に5%以下の角度で交差するようになっていてもよい。
【0061】
あるいは、または、さらに、ある実施形態において、前記システムは、電気装置(消費装置とも称する)をさらに備えており、前記電力消費装置を(前記壁部材上で)水平または垂直方向に配向させたときに、前記第1および第2接触針を通る直線が前記電気装置の水平軸または垂直軸と鋭角、特に20度以下の角度、特に10度以下の角度、特に5%以下の角度で交差するように、前記電気装置上に前記集電体が配置されている。
【0062】
言い換えれば、前記接触針の配置は、前記導電体軌道の配向に対して角度(鋭角)を付けて回転可能である。前記接触針およびハウジングの相対的な位置を考慮しなければならない。この解決策の利点は、接触の信頼性の向上である。本願の発明者らは、特に店舗装飾において、前記壁部材に取り付ける要素は、水平または垂直方向に整列させて実装することが好ましいと認識している。さらに、25度~65度の範囲の角度が、頻繁に使用される。例えば、水平または垂直方向に対する5度または10度の小回転であれば、不所望な傾きや整列ミスであると認識されやすい。この様に希有な角度を厳密に選択することによって、線上の2つの接触針が2つの隣接する導電体軌道の間の絶縁間隙に一致する可能性を低減することができる。
【0063】
ある実施形態において、前記接触針の少なくとも1つ(好ましくはすべて)が、前記接触針の先端部が60度~20度の角度、特に45度~25度の角度、特に30度の角度を有するようにしてもよい。30度と規定された角度に対して、±10度、特に±5度の許容誤差を許容してもよい。この実施形態の利点は、任意の被覆カバーの良好な貫通性および充分な接触面積とともに、充分な導電性を提供することである。
【0064】
ある実施形態において、前記壁部材および前記集電体は、磁力により前記集電体を前記壁部材に取付可能とすることもできる。あるいは、接着剤または螺子など、他の固定手段または固定形態を使用することもできる。しかしながら、様々な後設計を可能とするためには、着脱可能な接続を使用することが好ましい。
【0065】
本発明の第1の態様に関して上記に詳述した利点を、本発明の更なる態様に適用してもよい。
【0066】
上記の特徴および下記の特徴は、各実施形態に示す組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせまたはそれ自体にも使用可能であると理解される。
本発明の例示的な実施形態を図面に示し、下記にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、幾つかの壁部材を備えた、本発明の一実施形態に係るシステムを有する例示的なプレゼンテーションスタンドを示す。
【
図2】
図2は、カバーを有さない壁部材の概略図を示す。
【
図3】
図3は、カバーを有する壁部材の概略図を示す。
【
図4】
図4は、壁部材に取り付けられた集電体の側面図を示す。
【
図6】
図6は、第1の例示的な壁部材の概略図を示す。
【
図7】
図7は、第2の例示的な壁部材の概略図を示す。
【
図8】
図8は、第3の例示的な壁部材の概略図を示す。
【
図9】
図9は、第4の例示的な壁部材の概略図を示す。
【
図11】
図11は、複数の壁部材の概略的な第1の背面図を示す。
【
図12】
図12は、複数の壁部材の概略的な第2の背面図を示す。
【
図13】
図13は、複数の壁部材の背面接触の更なる概略図を示す。
【
図17】
図17は、集電体上の接触針の配置の第1の例示的な図を示す。
【
図18】
図18は、集電体上の接触針の配置の第2の例示的な図を示す。
【
図19】
図19は、集電体上の接触針の配置の第3の例示的な図を示す。
【
図20】
図20は、集電体上の接触針の配置の第4の例示的な図を示す。
【
図21】
図21は、様々な位置、様々な回転の、通電部材上の接触針の配置の図を示す。
【
図22】
図22は、様々な位置、様々な回転の、通電壁部材上の接触針の様々な配置の更なる図を示す。
【
図23】
図23は、整流器と組み合わせた3つの接触針の配置を示す。
【
図24】
図24は、整流器と組み合わせた4つの接触針の配置を示す。
【
図27】
図27は、磁性ホルダーを備えた例示的な集電体の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステムの備えた、例示的なプレゼンテーションスタンド100または店舗ウインドウ構造を示す。プレゼンテーションスタンド100は、複数の壁部材10を備えている。各側面は、複数の個々の壁部材から構成されていてもよい。様々な物体5を壁部材10に取り付けることができる。この目的のために、店舗装飾や見本市の構造体で公知の様々な固定具を使用できる。好ましい実施形態において、物体は、磁力により壁部材10に取付可能である。この解決策の利点は、物体5を壁部材10上に自由に配置できることである。対応する床または天井要素を提供することもできるが、本発明の文脈において簡潔性のために壁部材と称すると理解される。物体は、光源、照明装置、スクリーン、モータ、拡声器、マネキンなどの電気装置5としてもよい。電力消費装置5に電気接続された集電体、または、物体もしくは電気装置の一部として構成可能な集電体が電源として設けられている。
【0069】
特に現代的なショールームにおいて、提案の壁部材10および関連の集電体20を用いて、プレゼンテーション、販売または展示スタンド100を簡単に改装可能であり、特に、簡単に現地の状況に対応することができ、プレゼンテーション、販売または展示スタンド100の設計自由度に関して高度な柔軟性を提供する。この様な壁部材10は、店舗装飾においても使用可能である。さらに、前記システムは、美術館やスマートホーム分野において使用可能である。
【0070】
従来の展示スタンドと比較して、電気装置の複雑な配線の必要がなく、これにより組立および解体がかなり簡単になるだけでなく、電力消費装置を略自由に様々に配置することができる。プレゼンテーション、販売または展示スタンド100を建造するために、通常、幾つかの壁部材10を組み立てる。提案の背面接触の通電壁部材を用いると、組立をさらに単純化することができる。
【0071】
提案のシステムの特徴は、集電体20または電力消費装置5をその水平および垂直位置に対して壁部材10上に柔軟に配置可能であるだけでなく、回転が可能なことである。この目的のために、提案のシステムは、少なくとも1つの通電壁部材10と、電気装置5用の集電体20とを備えている。通電壁部材10の実施形態を
図2、
図3に示す。また、集電体の例示的な実施形態を
図4に示す。
【0072】
図2は、カバーを有さない壁部材10の第1の実施形態の概略図を示す。壁部材10は、第1極性の第1導電体軌道11と、第2極性の第2導電体軌道12とを備えている。第1および第2導電体11、12は、少なくともある区画において交互に配置されている。第1導電体11は、第1櫛状構造体を構成可能である。第2導電体12は、対応する第2櫛状構造体を構成可能で、これにより、第1櫛状構造体および第2櫛状構造体が互いに係合するように構成されている。第1および第2導電体11、12の間には絶縁間隙が設けられている。絶縁間隙により、確実に短絡が発生しなくなる。好ましくは、絶縁間隙の幅は、可能な限り小さくすべきで、例えば、2mm未満、特に1.5mm未満、特に1.0mm未満、特に0.5mm未満、特に0.2mm未満である。絶縁間隙の幅は、導電体軌道の幅の1/10未満、特に1/20未満とすることができる。これにより、接触針の1つが絶縁間隙に落下する蓋然性を低減することができる。しかしながら、第1極性の導電体軌道11と第2極性の導電体軌道12との間の短絡を回避するために、絶縁間隙は、集電体の接触針の先端の幅よりも大きくすることができる。第1極性の導電体軌道11は、電圧源の第1出力、例えば正極13に接続するようになっている。第2極性の導電体軌道12は、電圧源の第2出力、例えば負極14に接続するようになっている。導電体軌道11、12には、DC電圧の代わりにAC電圧またはDC/AC電圧の組み合わせを供給することもできる。通電壁部材の領域の少なくとも70%、特に少なくとも85%、特に少なくとも90%または95%を第1および第2導電体軌道で覆うことができる。導電体軌道11、12は、壁部材10のキャリア要素15の一部とすることができ、あるいは、キャリア要素15上に施すこともできる。裏側端子接点を有する壁部材の好適な実施形態は、
図6に示す。
【0073】
図3は、任意のカバー18を備えた壁部材10の概略図を示す。例えば、カバー18は、キャリアプレート15に施された導電体軌道11、12を被覆可能である。あるいは、導電体軌道11、12をカバーの一部とすることもできる。この場合、導電体軌道は、
図2に示す上記の導電体軌道と同一または同様の形状を有していてもよい。カバー18を壁部材10に取り付けるために、カバー側の配管片を挿入可能な配管レール17(または配管プロファイル)を縁部に設けることができる。配管レールは、例えば、シリコーンまたはアルミニウムで形成可能である。
【0074】
図4は、壁部材10と、壁部材10に取り付けられた集電体20とを備えたシステムの側面図を示す。
図5は、
図4からの壁部材10上の集電体20の拡大図を示す。壁部材10は、キャリアプレート15と、任意にそれを覆うカバー18とを備えている。壁部材10は、第1極性の第1導電体軌道11と、第2極性の第2導電体軌道12とをさらに備え、少なくともある区画において第1および第2導電体軌道11、12が交互に配置されている。
【0075】
壁部材10は、表側および裏側を有するキャリアプレートを備えている。第1導電体軌道11および第2導電体軌道12は、キャリアプレート15の表側に配置されている。壁部材10は、第1電気端子接点13と、第2電気端子接点14とを備えている。
図4に示すように、第1電気端子接点13は、第1導電体軌道11に導電可能に連結されている。第2電気端子接点14は、第2導電体軌道12に導電可能に連結されている。第1電気端子接点13および第2電気端子接点14は、キャリアプレート15の裏側に配置されている。例えば、平面的または面的な端子接点13、14を設けることができる。端子接点13、14は、壁部材に電力を供給するために、例えば
図11~
図13に示すように、例えば壁やプレゼンテーションスタンド上で対応する接続要素や電極に接触可能である。壁部材の表側は、壁部材10において集電体20を取付可能な側と言ってもよい。壁部材の裏側は、表側の反対側と解釈してもよい。
【0076】
図4に示す例では、裏側の第1および第2電気端子接点13、14は、キャリアプレート15を介した電気接続により表側の対応する各導電体軌道11、12に接続されている。
【0077】
集電体20は、少なくとも2つ、特に少なくとも3つの(複数の)接触針21a、21b、21cを備えている。集電体20は、接触針の少なくとも1つである接触針21aが第1導電体軌道11の1つに接触し、接触針の少なくとももう1つである接触針21bが第2導電体軌道12の1つに接触するように、壁部材10上に実装されるようになっている。ここでは、以下、
図17を参照しながら詳細に説明するように、複数の接触針のうち、第1接触針21a、第2接触針21b、第3接触針21cは、円上に配置可能である。
【0078】
集電体20を壁部材10に取付または実装するために、壁部材10および集電体20は、集電体を磁力により壁部材に取付可能とすることができる。例えば、
図4、
図5に示すように、集電体20は、1以上の磁石32を備えていてもよい。導電体軌道11、12および/またはキャリアプレートは、磁性材を備えていてもよく、この磁性材に集電体をくっつけることができる。
【0079】
集電体の接触針21a~21cは、整流器22に接続可能である。整流器は、集電体の一部、または、集電体に接続可能な電気装置5の一部とすることができる。整流器22は、接触針21a~21cの少なくとも2つに印加される入力電圧に基づいて、規定の極性の出力電圧を与えるようになっている。この目的のために、出力ピン24a、24bを設けることができ、出力ピン24a、24bに電気装置5を接続可能である。整流器は、少なくとも2つ、特に少なくとも3つの入力23a~23cと、2つの出力24a、24bとを備えていてもよく、少なくとも3つの入力23a~23cのそれぞれが各接触針21a~21cに接続されているか、あるいは接続可能となっている。ブリッジ整流器の形態のこの様な整流器の例示的な実施形態を
図23、
図24に示す。任意に、整流器22、集電体20および電気装置5は、ユニット6を構成可能である。任意に、集電体20および整流器22は、電気装置5の一部とすることができる。
【0080】
集電体または接触針は、規定の接触圧を与えるために、
図5に示すように、接触針用の接触ばね26を任意に備えることができると理解される。
【0081】
図6~
図8は、例示的な壁部材の概念図を示す。ここで、Aは正面図、Bは背面図、Cは第1側面図、Dは第2側面図を示す。任意の実施形態において、導電層70、例えば導電箔を設けてもよく、
図6~8のEに示すようにキャリアプレート上に施してもよい。
【0082】
図6Aに示すように、壁部材10は、第1極性の第1導電体軌道11と、第2極性の第2導電体軌道12とをキャリアプレート15の表側に備えている。第1および第2導電体軌道11、12は、少なくともある区画において交互に配置されている。壁部材10上に設置された集電体20は、第1および第2導電体軌道11、12との電気接続を達成するように配置されていてもよい。
【0083】
図6に示す実施形態の例において、キャリアプレートの縁部63の周囲の第1導電体軌道11の延長部61を、キャリアプレート15の表側から裏側へと案内してもよい。それに応じて、第2導電体軌道12の延長部62を、キャリアプレートの(第2の)縁部64の周囲にキャリアプレート15の表側から裏側へと案内してもよい。これを
図6A~
図6Dに例示的に示す。
【0084】
図6Cは、延長部61をキャリアプレートの縁部の周囲に表側から裏側へと巻き付ける方法の側面図を示す。その背面図を
図6Bに示す。第1導電体軌道11の延長部61は、第1裏側端子接点13に導電可能に接続されている。第2導電体軌道12の延長部62は、第2裏側端子接点14に導電可能に接続されている。任意に、延長部61、62は、裏側端子接点としての役割を果たす。しかしながら、端子接点13、14は、更なる要素を備えていてもよい。例えば、第1および/または第2裏側端子接点13、14は、電極アセンブリや壁などの支持構造体に壁部材を磁力で取り付けるための磁石を備えていてもよい。磁石などの取付手段は、別個の要素として設けてもよい。好適には、導電被覆されたネオジム磁石などの電流導電性磁石を使用してもよい。
【0085】
図6Eは、例示的な実施形態における導電性フィルムとしての導電層70の図を示す。導電体軌道11、12および延長部61、62は、導電箔として実施してもよい。延長部は、このようにキャリアプレートの縁部の周囲に単純な方法で案内されていてもよい。これにより、導電層70の一部が、端子接点13、14としての役割を果たしてもよい。導電体軌道11、12とキャリアプレート15との間に絶縁層65を設けてもよいと理解される。これによって、導電体軌道11、12がキャリアプレート15により短絡するのを防止する。例えば、キャリアプレート15が、スチールなどの導電材で形成されている場合である
【0086】
例示的な壁部材の正面図および背面図が、それぞれ
図10、
図11の行1/列1、2に示されている。
【0087】
ある実施形態において、延長部61、62または端子接点13、14は、製造中に延長部または端子接点が互いに挟合(interleave)するように配置してもよい。この実施形態の利点は、素材の節約である。
【0088】
図7は、更なる例示的な壁部材10の概略図を示す。反復を避けるために、以下では前記の実施形態との潜在的な相違点を強調して説明する。
【0089】
図7Aに示すように、第1導電体軌道11および第2導電体軌道12は、係合または挟合する櫛状構造を構成していてもよい。第1導電体軌道11は第1櫛部を構成し、第2導電体軌道12は第2櫛部を構成する。
図6Aに示す例示的な実施形態において、両櫛部に関して、櫛状構造の分枝部または枝歯が、キャリアプレート15の表側に配置されている。
図6Aにおいて、複数の分枝部を接続する長尺部も、キャリアプレート15の表側に配置されている。それとは対照的に、
図7によると、2つの櫛部の少なくとも1つに関して、複数の枝歯を接続する櫛状構造の長尺部66が、キャリアプレート15の裏側に配置されていてもよい。これにより、表側の領域を活用することができる。壁部材10の辺縁領域においても、集電体20の接触針の少なくとも1つが第1導電体軌道11の1つに接触し、接触針の少なくとももう1つが第2導電体軌道12の1つに接触する蓋然性をこのように高めることができる。
図7Eに示す例示的な実施形態において、折り畳み縁部が点線73として示されており、この線に沿ってキャリアプレート15の縁部63、64の周囲に箔を巻き付けることができる。
【0090】
図6、
図7において、略同一または同様のキャリアプレート15を使用してもよい。
図6E、
図7Eに示すように、キャリアプレート15を異なるフィルム70で被覆することによって、様々な実施形態を実現してもよい。この様なフィルムは、多層の層構造を有していてもよいと理解される。少なくとも1つの導電層を設けて、第1導電体軌道11および第2導電体軌道12を形成してもよい。さらに、キャリアプレート15に電気絶縁体を設けるために、少なくとも1つの絶縁層を設けてもよい。さらに、1以上のカバー層を任意に設けてもよい。例えば、これを上記のようなカバーとしてもよい。
【0091】
図6に関して既述のように、第1および第2電気端子接点13、14は、導電体軌道11、12の延長部61、62により直接的に形成してもよい。
【0092】
図7Bに示す壁部材10の背面図において、第1および第2電気端子接点13、14は、キャリアプレート15の裏側に回転対称に配置されている。これによって、
図10に例示的に示すように、壁部材10を柔軟な配向で実装することができる。本発明の文脈において、回転対称配置とは、キャリアプレートの表側に直交する軸を中心に中心点回りにキャリアプレートを回転したときに、第2電気端子接点の少なくとも一部の領域が、第1電気端子接点13の元の位置の少なくとも一部の領域に対応する位置に来るような配置を言う。回転時の部分的な重なりをこの様に充分確保してもよい。
【0093】
任意に、壁部材10は、第3電気端子接点13’および第4電気端子接点14’をさらに備え、第3電気端子接点13’が第1導電体軌道11に導電可能に連結され、第4電気端子接点14’が第2導電体軌道12に導電可能に連結されている。第3電気端子接点13’および第4電気端子接点14’は、キャリアプレートの裏側に配置されている。図示の例示的な実施形態において、キャリアプレート15は正方形である。4つの端子接点が、キャリアプレート15の裏側に回転対称に配置されおり、この例においては、キャリアプレートの裏側の対角に対で配置されている。これによって、
図10に示すように、プレートは、90度回転させて壁上または支持構造体上に実装可能となる。例示的な壁部材の正面図および背面図を、それぞれ
図10、
図11の行3/列1、2に示す。
【0094】
キャリアプレート15の裏面の左側、右側の辺縁領域に接触要素13、14を配置することによって、素材の使用量を低減することができる。特に、キャリアプレート15の裏面の中央領域を解放することができる。
【0095】
図8は、壁部材10の更なる実施形態を示す。この実施形態において、第1電気端子接点13は、キャリアプレート15の裏側の第1辺縁領域に配置され、第2電気端子接点14は、キャリアプレート15の裏側の第2反対側辺縁領域に配置される。これにより、接続接点は、各導電体軌道11を互いに接続する櫛状構造の長尺部66の機能を同時に提供してもよい。任意に、導電体軌道をキャリアプレート15の裏側の周囲に巻き付け、棒状部として形成される接続端子の延長部61によって互いに接続してもよい。例示的な壁部材の正面図および背面図を、それぞれ
図10、
図11の行2/列3、4に示す。
【0096】
図10に示す実施形態において、システムは、表側導電体軌道を有する壁部材と、表側導電体軌道を有さない壁部材との組み合わせを備えている。このように、電源が不必要な領域において、より単純で安価な要素を使用可能である。
【0097】
したがって、
図9は、表側に導電体軌道を有さない壁部材の例示的な実施形態を示す。ただし、壁部材10は、特に、通常、電気接点が形成される1以上の領域68に絶縁層65を有していてもよい。
【0098】
図9Eは、平坦フィルムの形態の絶縁層を示す。ただし、任意に、たとえば
図9Eに参照符号68で示すように、小さな箔領域を設けてもよい。キャリアプレート15の一部を開放することができる。これによって、素材を節約できる。
【0099】
図10、
図11は、それぞれ複数の壁部材の配列を備えた壁の概略正面図および概略背面図を示す。例えば、これは、
図1に示す店舗ウインドウまたは展示スタンドの背面であってもよい。大型の壁部材の代わりに、このシステムは、複数の壁部材10を備えていてもよい。特に、このシステムが、表側導電体軌道を有する壁部材と、表側導電体軌道を有さない壁部材との組み合わせを有する場合に、有利である。この場合、製造の手間を低減でき、コストを節約できる。
【0100】
壁部材は、着脱可能な接続、特に磁力により壁に取付可能であることが好ましい。これにより、壁部材を容易に交換したり、再編成したりできる。例えば、以前に表側導電体軌道を有さない壁部材を装備していた領域に、今度は表側導電体軌道を有する壁部材を設けることができる。さらに、表側導電体軌道を有する壁部材および表側導電体軌道を有さない壁部材の数を増減可能である。これにより、顧客の要請や利用可能な予算に厳密に合わせることができる。したがって、その後の更新も可能である。
【0101】
図11に背面図で示すように、システムは、第1および第2裏側接続端子13、14を介して壁部材に給電するための電極配列を備えていてもよい。電極配列は、第1群の電極81と、第2群の電極82とを備えている。例えば、電極81を介して正極を提供してもよく、電極82を介して負極を提供してもよい。第1群の電極81は、各壁部材の第1電気端子接点13を第1極性に接続するように構成、配列されている。第2群の電極82は、各壁部材の第2電気端子接点14を第2極性に接続するように構成、配列されている。提案の配列により、壁部材を柔軟に配列可能であり、特に180度または90度刻みで回転可能となる。
【0102】
提案の解決策の利点は、特に、電気工学の深い知識のない設計者や装飾者であっても、壁部材を取り換えたり、置き換えたりすることができることである。壁部材を回転することによって、第1および第2導電体軌道の極性が変化したとしても、可能である。しかしながら、これは、一般的に重要ではない。集電体の場合、どの接触針が第1および第2極性の導電体軌道に接続するかは、事前には不明である。したがって、例えば、
図23,
図24に示すように、整流器を設けてもよい。
【0103】
図11において、第1群の電極81および第2群の電極82は、碁盤状に様々な行、様々な列に配列されている。電極配列は、第1群の電極と第2群の電極との間に配置された、通電しない受入要素または実装要素88を備えていてもよい。例えば、壁部材10の対角の碁盤状の電極配列を介して給電を行ってもよい。壁部材10の更なる角部については、これらが単に1以上の実装部もしくは実装要素88上、または、壁もしくは実装スタンド上に直接的に実装されていれば充分である。
【0104】
任意に、第1および第2導電体軌道と、これらに接触する裏側端子接点とを有する壁部材10は、壁部材10が所定の長さに縮小されるように構成することもできる。この目的のために、第1電気端子接点13および第2電気端子接点14を、キャリアプレート15の同じ側、または、裏側の同じ縁部の少なくともある区画に配置してもよい。このように縮小可能な壁部材10の例を、
図7、
図8に示す。
図11の行4/列3、4に示すように、対応する壁部材10の長さを所望の用途計画に柔軟に合わせることができる。
【0105】
図12は、複数の壁部材10の第2の概略背面図を示す。ここで、電極配列は、通電縦電極85、86を備えている。同時に、これらは、壁部材10用の実装要素としての役割を果たす。この実施形態の利点は、簡単な組立である。壁部材の可能な回転状態は、電極配列により制限されると理解される。例えば、
図7、
図8に示す壁部材の場合、短絡を回避しなければならない。この問題は、
図11に示す電極81、82の碁盤状配列では発生しない。しかしながら、
図6に示す壁部材または
図10の行1/列1、2に示す壁部材の柔軟な回転は、
図12に示す電極配列と共に可能である。
【0106】
図13は、複数の壁部材用の裏側接点配列の更なる実施形態を示す。ここで、複数の電極を壁に取り付けてもよく、電極配列は、第1極性、例えば正極に接続する第1群の電極91と、負極に接続する第2群の電極とを備えている。
【0107】
多数の電極の例示的な接続を
図14に示す。電極配列の電極90は、例えば螺子の形態の固定手段96を備えていてもよく、例えば合わせ釘により壁140に固定してもよい。電極90は、保持部材、例えば磁石をさらに備えていてもよく、これにより壁部材10を電極に取り付けてもよい。このタイプの取付具を用いれば、負荷体を磁力で壁部材に取り付ける場合、結果的に相乗効果が得られる。さらに、電極90は、コネクタ97を備えていてもよく、これに給電線を接続してもよい。特に、コネクタ97は、更なる電極との導通または接触が可能なように設計できる。
【0108】
機械的安定性を向上するために、
図13における参照符号93で示すように、非接触電極または要素を設けてもよい。
【0109】
図15は、第1裏側端子接点13および第2裏側端子接点14を有する通電壁部材の更なる例示的な背面図を示す。裏側の少なくとも一部に絶縁層65を設けてもよい。絶縁層は、第1および第2端子接点13、14用の凹部を有していてもよい。
【0110】
図16は、壁部材を製造するための方法300のフロー図を示す。
【0111】
第1ステップS301において、(強磁性)キャリアプレートを準備する。キャリアプレートは、表側と裏側とを有している。
【0112】
次のステップS302において、第1極性の第1導電体軌道および第2極性の第2導電体軌道を施す。第1および第2導電体軌道を少なくともある区画において交互に配置し、第1導電体軌道および第2導電体軌道をキャリアプレートの表側に施す。
【0113】
ステップS303において、第1電気端子接点および第2電気端子接点をキャリアプレートの裏側に施す。第1電気端子接点を第1導電体軌道に導電可能に連結し、第2電気端子接点を第2導電体軌道に導電可能に連結する。
【0114】
例えば、ステップS302およびステップS303に関して、まず、ステップS302により、
図6E~
図8Eに示すような導電フィルムをキャリアプレートの表面に施し、そして、ステップS303により、導電フィルムをキャリアプレートの縁部の周囲に折り畳んで裏面に施す。
【0115】
以下、集電体の実施形態、特に接触針の様々な配置について説明する。
【0116】
図17~
図20は、集電体20上の接触針21a~21fの例示的な配置図を示す。集電体20のそれぞれは、少なくとも3つの(複数の)接触針21a~21fを備えており、複数の接触針21a~21fのうち、第1接触針21a、第2接触針21b、第3接触針21cが、円41上に位置するように配置される。円41は、単に配置のタイプを説明するために用いるので、補助点線で示す。
【0117】
図17に示す例において、集電体20は、3つの接触針21a~21cを備えており、集電体20の第1、第2、第3接触針21a~21cは、三角形42、特に鋭角三角形、特に二等辺三角形、特に正三角形を形成するように配置される。
【0118】
図21は、
図17に示す集電体の図、または集電体の様々な位置および回転A~Eの接触針配置の図を示す。壁部材10の第1導電体軌道11および第2導電体軌道12を背景に示す。集電体20(より厳密には、その接触針配置)は、接触針の少なくとも1つである接触針21aが第1導電体11の1つに接触し、接触針の少なくとももう1つである接触針21b、21cが第2導電体12の1つに接触するように、壁部材に取り付けるようになっている。
図21から分かるように、複数の様々な回転状態においても、接触針の少なくとも1つが常に第1導電体軌道11の1つ(ここでは正極)に接触可能であり、接触針の少なくとも1つが第2導電体軌道12の1つ(ここでは負極)に接触可能である。これは、位置Cに示すように、接触針の1つである接触針21cが軌道11、12間の絶縁間隙19に位置する場合にもあてはまる。
【0119】
これにより、第1接触針、第2接触針、第3接触針が配置される円41(
図17参照)の直径は、第1導電体軌道11の1つの幅51と、第2導電体軌道12の1つの幅52と、任意に両者の間の絶縁間隙19の幅53の合計以下とすることができる。
図21の位置Eに示すように、2つの接触針21b、21cは、同じ極性の異なる導電体軌道12上に配置可能であり、これにより、3つ目の接触針21aは、他の極性の導電体軌道11上に位置する。任意に、接触針21a~21cは、第2接触針21bおよび第3接触針21cを通る直線と第1接触針21aとの間の距離が導電体軌道11、12の1つの幅51、52よりも大きくなるように配置することができる。
【0120】
以下の表は、絶縁間隙の幅が1mmで接触領域が0.5mmであると仮定した場合の、導電体軌道の幅と円41の直径の例示的な組み合わせを示す。第1および第2導電体軌道11、12は、同じ軌道幅を有することができる。
【表1】
【0121】
図22は、通電壁部材上の様々な位置および回転の接触針の様々な配置の更なる図を示す。ただし、
図22の位置Fに示すように特に好ましくない場合、例えば、第2接触針21bおよび第3接触針21cが軌道11、12間の絶縁間隙19に落下する可能性がある。この様な特別な場合、更なる作用が無ければ、給電は不可能である。第1の可能な解決策は、接触針21a~21cの回転配向が異なる、例えば、
図21の位置Aおよび位置Cに示す配向を有する第1および第2集電体を組み合わせることである。ただし、これは、無視できない量の素材が必要となる。
【0122】
図22の位置G~Jは、更なる例示的な解決策を示す。
図19、
図20、
図22の位置Gに示すように、集電体20に第4接触針21dを任意に設けることができる。第4または更なる接触針21dは、第1、第2、第3接触針21a~21cを配置した円41の内部に配置可能である。例えば
図18に示すように、この様な円内の更なる接触針を更に別の接触針と共に設けることも可能であると理解される。
図18において、この様な任意の更なる接触針、すなわち第2の第4接触針を21gで示す。したがって、壁部材に対する集電体の自由な位置決めと回転に関する柔軟性をさらに向上することができる。
図20、
図22のGに示す例において、第4接触針は、円41の中心および/または三角形42の重心に配置可能である(これらの点は、正三角形の場合一致する)。
【0123】
任意に、第4接触針21dは、
図19に示すように、円41の中心から偏心離間して配置可能である。これは、例えば接触針21a、21dが、集電体20の水平または垂直軸と平行な直線43上に配置される可能性を低減するという利点を有する。本発明の発明者らは、複数の集電体20が水平方向または垂直方向に整列する場合があることを認識している。この背景に対して、
図20、
図22の位置Hに示すように、集電体20の水平または垂直軸に対して回転させる接触針の位置決めは有利である。これも、例えば接触針21a、21dが、集電体20の水平または垂直軸に平行な直線43上に配置される可能性を低減するという利点を提供する。第4接触針21dの使用は、任意である。特に、この場合、厳密に3つの接触針を設けることができ、コストと製造の手間をさらに低減可能である。
【0124】
更なる例示的な実施形態において、集電体20は、第4接触針21d、第5接触針21e、第6接触針21fを備えていてもよい。6つの接触針21a~21fは、六角形、特に正六角形または星形に配置可能である。
図22の位置Iおよび位置Jの例に示すように、この場合、
図22の位置Iに示す2つの接触針21a、21d、
図22の位置Jに示す接触針21b、21dが絶縁間隙19に落下する場合であっても、第1導電体軌道11の1つおよび第2導電体軌道12の1つとの電気的接続を依然として達成可能である。この実施形態のもう1つの利点は、集電体20を壁部材10に取り付けるときに、少なくとも2つの接触針21e、21fが、1以上の第1導電体軌道11に接触し、少なくとも2つの接触針21b、21cが、1以上の第2導電体軌道12に接触することである。これにより、高電流を流すことができ、高電力の電気装置5を集電体20に接続することができる。
【0125】
図23は、3つの接触針21a~21cが整流器22に接続された配置の集電体20の図を示す。
図24は、4つの接触針21a~21dが整流器22に接続された配置の集電体20の対応する図を示す。図示の例には、ダイオードブリッジ整流器を示すが、他のタイプの整流器も使用可能である。この解決策の利点は、多数の接触針21a~21fにも容易に拡張可能な、単純で安価な設計である。規定の極性の出力電圧を出力24a、24bに与え、電気負荷体5に給電可能である。
【0126】
図25A~
図25Cは、電気装置用の集電体20の特定の例示的な実施形態の第1および第2側面図(A、B)および上面図(C)を示す。
図26は、この集電体20の斜視図を示す。この様な集電体は、針コネクタと呼ぶこともできる。ここで、接触針21a~21dは、ハウジングの下側すなわち第1側に配置可能であり、電流インタフェース24a、24bは、ハウジングの上側すなわち第2側(反対側)に配置可能である。例えば、
図24に示す整流回路22は、集電体20に統合することもできる。したがって、容易に取扱可能な小型部材を提供することができる。
【0127】
図示の例において、集電体は、4つ接触針を備えており、これらの接触針は、例えば、
図20に示す図と同様に配置してもよい。ただし、接触針を他の配置や数で設けてもよい。特に、集電体20は、集電体を水平または垂直に整合させた状態で、第1および第2接触針21a、21bを通る直線が、集電体の水平または垂直軸を鋭角、特に30度以下の角度、特に15度以下の角度、特に5%以下の角度で交差するようにしてもよい。
【0128】
図27は、磁石ホルダー30を有する集電体20の斜視図を示す。磁石ホルダー30は、
図1に示すような壁部材10に磁石ホルダー30(したがって集電体20)を取り付けるための1以上の磁石32を備えていてもよい。磁石ホルダーは、集電体20用のレセプタクル33を有することができ、ここでは、集電体20の対応するトング27と相互作用する、磁石ホルダーに設けられた溝33の形態とすることができる。
【0129】
任意に、(特に、ホルダー30と組み合わせた)集電体20は、集電体が通電壁部材上に設置されたときに、接触針21a~21dが、壁部材の導電体軌道に接触可能な接触位置と、導電体軌道から離間する非接触位置との間を移動可能となっている。この目的のために、集電体20は、例えば
図25B、
図26に示すように、ばね要素28を備えていてもよい。磁性ホルダー30は、任意に、電気装置用のスロット33をさらに備えていてもよい。この場合、電気装置は、給電用の出力ピンまたは出力接点24a、24bに挿入位置において接触可能となっている。任意に、ホルダー30と組み合わせた集電体20は、電気装置をプラグインユニットまたは溝33に挿入することによって、非接触位置から接触位置に移動可能となっている。
【0130】
図28は、特にプレゼンテーション、販売もしくは展示スタンド(100)および/または店舗装飾のための方法200のフローチャートを示す。第1ステップS201において、本発明に記載の通電壁部材を準備する。第2ステップS202において、本発明の文脈に記載の集電体を準備する。第3ステップS203において、接触針の1つが第1導電体軌道の1つに接触し、接触針の少なくとももう1つが第2導電体軌道の1つに接触するように、集電体を通電壁部材に取り付ける。
【0131】
任意の第4ステップS204において、集電体(または、集電体を備えた電気装置または集電体に接続する電気装置)の位置および回転を確認することができる。任意の第5ステップS205において、集電体の位置および/または回転を修正することができる。ステップS204およびS205は、任意に、所望の位置および回転整合が達成されるまで繰り返すことができる。これにより、この様なプレゼンテーションシステムの配置や設計の柔軟性をさらに向上することができる。特に、電力消費装置の位置および角度整合を柔軟に調整できるので、前もって規定する必要はない。
【0132】
ここで例示として記載されている実施形態は、添付の請求項の範囲内において、例えば、接触針の数の変更、寸法の変更、接触針と面との間の距離の変更、および/または、幾何学的な配置の変更など、改良態様においても使用可能であると理解される。
【0133】
図2に示すような導電体軌道の厳密に垂直または水平な図示の配置は、例示と解釈され、導電体軌道を細くしたり、太くしたり、斜めにしたり、周回または蛇行するなど、他の態様でキャリア要素15上に設けることも可能であると理解される。電気装置5の動作のために、集電体は、少なくとも第1接触針が第1導電体軌道の1つに電気接続され、第2接触針が第2導電体軌道の1つに電気接続されるように、キャリア要素上に配置された導電体軌道と相互作用可能である。給電のために、特に、12/24Vで動作する低電圧システムを使用可能であり、したがって、危険を伴うことなく使用することができる。しかしながら、必要であれば、ニス、箔などの素材として施される特殊な絶縁材を用いて、高電圧システム、すなわち高電圧で動作するシステムを使用することも考えられる。例えば、接触針の針状設計のおかげで、カバーを損傷することなく接触針を頻繁に移動できる。一般的に、導電体11、12は、通常、例えば12Vまたは24Vといった低電圧を通電するので、提案の壁部材10、集電体20、または、それに接続される電気装置5を取り扱う際の負傷のリスクを略完璧に回避できる。導電体軌道11、12は、例えば噴射、貼着、鍛接によりキャリアプレート15上に施すことができる。特に、導電性ラッカーも導電体軌道11、12に使用可能であり、キャリアプレート15上に(例えば、スクリーン印刷により)噴射/印刷される。
【0134】
壁部材10は、平坦に作製してもよいし、湾曲状またはアーチ状にすることもできる。最近の磁石は、80kgを優に超える磁力を発揮するので、大規模な電気装置5や、棚11(
図1参照)などの特殊なプレゼンテーション要素に配置される電気装置5を各壁部材10に容易に実装可能である。
【0135】
壁部材10は、柔軟に設計することもでき、特に、巻上げ、巻下げが可能で、例えば、壁紙や床被覆材として使用可能である。壁部材10は、通電導電体11、12を備えたサンドイッチ材として構成可能であり、壁紙/カーペット(ロール材)またはパネル材として使用したり、実装したりできる。
【0136】
サンドイッチ構造は、以下のようにして達成できる。カバー18(面材料)は、薄い貫通可能な柔軟な材料として構成され、この背後に導電体軌道11、12が絶縁材上に配置され、この背後にプラスチックおよび/またはスチールなどの磁性素材もしくは磁化可能な素材で形成されたキャリア材15が存在する。
【0137】
集電体20および/または電力消費装置5は、情報処理可能またはプログラム可能とすることができる。いわゆる電力線通信(PLC)、無線通信または光通信により導電体軌道11、12の一方または両方で信号を変調することによって、データを送信できる。例えば、様々な集電体20および/または電気装置5を選択的に制御可能である。例えば、個々の装置5のスイッチ開閉/照度調節/制御が可能である。さらに、導電体11、12、集電体20および/または電気装置5がその一部を構成し、個々の装置5に個別にアドレス/制御可能なバスシステムを提供することもできる。
【0138】
任意に、壁部材は、ファイバグラス壁紙などの壁被覆材の下に施すこともでき、例えば、スマートホームの分野や美術館で使用可能である。集電体は、絵画などの展示物用の照明装置、展示物を説明するモニタなどの電気装置に電力を供給するために使用可能である。
【0139】
同様に、提案のシステムは、オフィスや私邸で使用可能で、例えば、繊維材、箔材、木製ベニア材などの壁面材料の下に設置可能である。集電体を用いることによって、潜在的に不格好な多数の電気コンセントを設ける必要なしに、様々な位置の電気装置、特に様々な回転角度の電気装置に柔軟に電力を供給することができる。特に、低電圧システムを使用する際に、子供やその他の人々に対する安全性を向上すると共に、更なる柔軟性を提供することができる。