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  • 特許-光電池上に存在する銀のリサイクル方法 図1
  • 特許-光電池上に存在する銀のリサイクル方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】光電池上に存在する銀のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20240726BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20240726BHJP
   H01L 31/068 20120101ALI20240726BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 400
H01L31/06 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021570787
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 FR2020050869
(87)【国際公開番号】W WO2020240126
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】1905739
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520223860
【氏名又は名称】ロシ
【氏名又は名称原語表記】ROSI
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ユン
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-093336(JP,A)
【文献】特開2005-166814(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102629644(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
B09B 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電池(10)上に存在する銀のリサイクル方法であって、
前面(1a)および背面(1b)を有するシリコン製の支持基板(1)と、
前記支持基板(1)とは反対のドーピングタイプの、ドープされたシリコン製であり、かつ、前記前面(1a)上に配置された上層(2)と、
前記上層(2)上に配置された複数の銀線(3)と、
前記上層(2)上に、前記銀線(3)と隣接して配置された、少なくとも1つの反射防止層(4)と、を含む、
光電池(10)を供給するステップa)と、
前記光電池(10)を酸性溶液に浸漬することによって、前記反射防止層(4)をエッチングするステップb)と、を含み、
前記酸性溶液は、0.5%~5%の濃度を有するフッ化水素酸を含み、
ステップb)において、前記銀線(3)は前記上層(2)に少なくとも部分的に付着して残り、
前記リサイクル方法は、
前記反射防止層を欠く前記光電池を塩基性溶液に浸漬することによって、前記上層(2)をエッチングし、前記銀線(3)を分離するステップc)を含み、
ステップc)の全期間または一部の期間に、40kHz~100kHzの周波数において、超音波が印加され、
前記リサイクル方法は、
前記支持基板(1)および分離された前記銀線(3)によって形成されたアセンブリを乾燥させるステップd)と、
固体状態の前記銀線(3)を抽出するステップe)と、を含む、リサイクル方法。
【請求項2】
ステップb)およびステップc)は、次のステップの前に、脱イオン水または超純水を用いたリンシングを含む、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項3】
ステップb)の全期間または一部の期間に、40kHz~100kHzの周波数において、超音波が印加される、請求項1または2に記載のリサイクル方法。
【請求項4】
ステップb)および/またはステップc)の全期間または一部の期間に印加される超音波は、80kHzの周波数を有する、請求項3に記載のリサイクル方法。
【請求項5】
ステップc)において使用される前記塩基性溶液は、1~30%の濃度を有する、水酸化ナトリウムである、請求項1~4のいずれか1項に記載のリサイクル方法。
【請求項6】
ステップc)におけるエッチングは、20~100℃の温度おいて実行される、請求項1~5のいずれか1項に記載のリサイクル方法。
【請求項7】
前記銀線(3)と前記支持基板(1)とを分離するために、ステップe)における抽出は、ブロアまたは振動方法に基づく密度差によって、または、シービングによって実行される、請求項1~6のいずれか1項に記載のリサイクル方法。
【請求項8】
ステップe)の後に、前記支持基板(1)を再使用するステップf)を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のリサイクル方法。
【請求項9】
ステップe)から得られる前記銀線(3)は、銀ベースの導電性接着剤を製造するために、および/または、電解析出のための銀電極または電解質電極を製造するために使用される、請求項1~のいずれか1項に記載のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[本発明の分野]
本発明は、太陽電池モジュールおよびマイクロエレクトロニクスコンポーネントの分野に関する。本発明は、特に、光電池上に存在する銀をリサイクルするための方法に関する。
【0002】
[本発明の技術的背景]
銀は、太陽電池モジュールにおいて最も貴重な材料である。実際、光電池においては、太陽エネルギーによって生成された電荷の収集のための金属グリッドは、通常、厚さ数十ミクロンの細い銀線によって形成される。1MWの電力に相当する太陽電池モジュールの寿命が尽きたときに得られる銀材料の価値は、現在では約25、000ドルであると推定できる。
【0003】
太陽電池モジュールから銀を抽出し、当該銀をリサイクルするために提案されている方法の多くは、湿式冶金プロセス(銀を完全に溶解させ、その後、塩中の錯体の形態に変換するか、または純金属の形態に蒸着させるプロセス)に基づいている。
【0004】
銀を溶解するために最も広く使用されている溶媒は、DE102007034441およびCN105355541に特に記載されている通り、硝酸である。US2016053343は、酸化剤の存在下における銀とスルホン酸との反応に基づく変形例を提供する。WO2015130607に記載された別の変形例は、酸化剤、ハロゲン化物、酸および溶媒からなる溶液を用いて、銀を溶解するというものである。
【0005】
当然、これらは複数の方法のうちのほんの数例にすぎず、銀を溶解することに基づく、他の方法も存在する。いずれにせよ、銀を固体形態から液体形態へ変化させ、次いで固体形態へと戻すことを必要とするので、全体のプロセスは一般に長く、複雑である。
【0006】
あるいは、米国特許出願公開第2017092528号明細書に開示されている通り、特定の方法においては、接着剤および接着テープへの移転によって、金属表面層をピーリングし、次いで、液体溶液中において金属層は接着剤から分離される。
【0007】
[本発明の目的]
本発明は、従来技術における解決法に対する、代替的な解決法を提供する。本発明は、光電池上に存在する銀をリサイクルするための、簡単かつ経済的な方法に関する。
【0008】
[本発明の簡単な説明]
本発明は、光電池上に存在する銀をリサイクルする方法に関し、当該リサイクル方法は、
-前面および背面を有するシリコン製の支持基板と、
-前記支持基板とは反対のドーピングタイプの、ドープされたシリコン製であり、かつ、前記前面上に配置された上層と、
-前記上層上に配置された複数の銀線と、
-前記上層上に、前記銀線と隣接して配置された、少なくとも1つの反射防止層と、を含む、
・光電池を供給するステップa)と、
・前記光電池を酸性溶液に浸漬することによって、反射防止層をエッチングするステップb)と、
・前記反射防止層を欠く前記光電池を塩基性溶液に浸漬することによって、前記上層をエッチングし、前記銀線を分離するステップc)と、
・前記支持基板および分離された前記銀線によって形成されたアセンブリを乾燥させるステップd)と、
・固体状態の前記銀線を抽出するステップe)と、を含む。
【0009】
単独または任意の技術的に実現可能な組み合わせにおいて利用される、本発明の他の有利かつ非限定的な構成によれば、以下の通りである。
【0010】
・ステップb)およびステップc)は、次のステップの前に、脱イオン水または超純水を用いたリンシングを含む。
【0011】
・ステップb)および/またはステップc)の全期間または一部の期間に、40~100kHz、有利には80kHzの周波数において、超音波が印加される。
【0012】
・ステップb)において使用される前記酸性溶液は、0.5%~48%、有利には0.5%~5%の濃度を有する、フッ化水素酸である。
【0013】
・ステップc)において使用される前記塩基性溶液は、1~30%、有利には3%の濃度を有する、水酸化ナトリウムである。
【0014】
・ステップc)におけるエッチングは、20~100℃の温度、有利には50℃において実行される。
【0015】
・前記銀線と前記支持基板とを分離するために、ステップe)における抽出は、密度差によって、または、シービングによって実行され、
【0016】
・密度差による抽出は、ブロアまたは振動方法に基づいている。
【0017】
・前記光電池は、
-前記支持基板と同じドーピングタイプの、ドープされたシリコン製であり、かつ、前記支持基板の前記背面の表面に配置された下層と、
-前記下層の表面に配置された、シリコンおよびアルミニウム合金製の中間層と、
-アルミニウム製の背面コンタクト層と、を含む。
【0018】
・前記方法のステップb)において、前記背面コンタクトは、エッチングまたは脱凝集される。
【0019】
・前記方法のステップc)において、前記中間層および前記下層は、エッチングされる。
【0020】
・前記リサイクル方法は、ステップe)の後に、前記支持基板を再使用するステップf)を含む。
【0021】
また、本発明は、前記リサイクル方法から得られる、固体形態の前記銀線に関する。
【0022】
本発明はさらに、銀ベースの導電性接着剤を製造するために、および/または、電解析出のための銀電極または電解質電極を製造するために、前記銀線を使用することに関する。
【0023】
[図面の簡単な説明]
本発明の他の構成および利点は、添付の図面を参照して、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう:
図1および図2は、本発明に係るリサイクル方法のステップを示す。
【0024】
[本発明の詳細な説明]
説明部分において、図中の同じ参照符号は、同じ種類の部材(要素)に対して使用されてもよい。図面は、可読性のために、縮尺通りではない模式図である。特に、z軸に沿った層の厚さは、x軸およびy軸に沿った横方向の寸法に対して縮尺通りでなく、それらの間の層の相対的厚さは、図において必ずしも考慮されない。
【0025】
本発明は、光電池上に存在する銀のリサイクル方法に関する。
【0026】
本発明においては、光電池とはシリコンベースのコンポーネントを意味する。当該コンポーネントは、
-i)光エネルギーを電荷に変換する性能を有しているPN接合を形成するために要求される半導体層と、
-ii)前記電荷を収集し、かつ、電位差が確立されるであろう、端子同士のコンタクトを形成するために要求される金属層と、
-iii)光照射ことが意図されている面状に配置されており、かつ、日射の反射による損失を制限することを可能にする、少なくとも1つの反射防止層と、を備える。
【0027】
本発明に係るリサイクル方法は、光電池10(図1(a)および図2(a))を供給する第1の(最初の)工程a)を含む。前記電池は、わずかにドープされた、シリコン製の支持基板1を備える。当該支持基板は、前面1aと背面1bとを有している。ドーピングレベル(通常はP型、しかし場合によってはN型)は、一般に約1オームセンチメートルの抵抗率に対応する、約1016cm-3である。
【0028】
また、光電池10は、支持基板1の前面1a上に配置された、ドープされたシリコン製の上層2を含む。特に、上層2は、支持基板1のドーピングタイプとは逆のドーピングタイプを有する。上層2の抵抗率は、典型的には、約75オーム/スクエアである。例えば、支持基板1がP型ドープ(ホウ素ドーピング)される場合、上層2は、N型ドープ(燐ドーピング)される。光照射下において逆極性電荷(電子および正孔)が電池10内で生成されるとき、前記層は、支持基板1と共に、当該逆極性電荷を分離するためのPN接合を形成する。上層2は、典型的には1ミクロン未満の厚さを有する。
【0029】
有利には、支持基板1の背面1b上に、支持基板1と同じドーピングタイプの高ドープシリコンの下層5が配置される。下層5は例えば、約5ミクロンの厚さを有し、かつ、約3×1018cm-3から4×1018cm-3までのドーパントの最大濃度を有する。
【0030】
光電池10は、上層2上に配置された複数の銀線3をさらに含む。これらの銀線は、下部の半導体構造内において発生した電荷を収集するための金属コンタクトを構成し、かつ、上層2上に比較的均一に分布している。当該銀線は、一般に、93%~97%の銀を含む銀合金によって構成されている。これらの銀線3は、約20ミクロンの厚さおよび約100ミクロンの幅を有していてよく、典型的には2mmの距離だけ離間していてよいが、これらに限定されない。
【0031】
有利には、光電池10はまた、支持基板1の背面1bの側に1つ以上のコンタクトを含む。特に、アルミニウムの背面コンタクト層7は、通常、下層5の表面に配置される。例えば、当該背面コンタクト層7は、約1~数十ミクロンの厚さを有してよい。
【0032】
電池10を製造するための熱処理時に、シリコン内にアルミニウムが拡散することに起因して、シリコンとアルミニウムとの合金である中間層6が、シリコンからなる下層5と背面コンタクト層7との間に存在しうる。中間層6の厚さは、例えば、約10ミクロンの周辺において変化しうる。
【0033】
このような機能的光電池10上に日射が照射されると、半導体構造内において発生した異極性(逆極性)の電荷がそれぞれ銀線3上および背面コンタクト7上に収集され、これら2つの金属コンタクトの間に電位差がもたらされる。
【0034】
光電池10はまた、上層2上に、かつ、銀線3に隣接して配置された、少なくとも1つの反射防止層4を含む。通常、当該反射防止層は、窒化シリコン(SiN)製、または酸化チタン製である。窒化シリコン製の場合、当該反射防止層は、約75nmの厚さを有する。
【0035】
当然ながら、本発明の方法は光電池10をリサイクルすることを意図しており、寿命が尽きた電池、欠陥電池、または仕様外の太陽電池モジュール(生産不良品)から得られた電池を処理することを目的としている。
【0036】
次に、本発明に係るリサイクル方法は、電池10を酸性溶液に浸漬することによって、反射防止層4をエッチングするステップb)を含む(図1(b)および図2(b))。前記酸性溶液は、反射防止層4の性質に応じて選択されてよい。特に、窒化シリコン製の反射防止層4の場合、酸性溶液は、0.5%~48%の濃度を有するフッ化水素酸(HF)である。好ましくは、HF濃度は0.5%~5%である。例えば、75nmの窒化シリコン層に対するエッチング時間は、約10分である。エッチング時間は、酸性溶液の濃度の関数として、および反射防止層4の厚さの関数として、明らかに変化しうる。
【0037】
あるいは、酸性溶液は、フッ化水素酸と過酸化水素との混合物を含んでもよい。
【0038】
有利には、ステップb)において、酸性溶液によって、背面コンタクト層7は、エッチングされる、および/または脱凝集される。HFエッチングの場合、アルミニウム製の背面コンタクト層7は、溶液中において分離し、脱凝集するであろう。懸濁液中のフィルムの形態のアルミニウム残基は、リンシング(リンス処理,すすぎ)時に除去され、これによりステップb)が完了する。
【0039】
次のステップが実行され前に、エッチングステップb)に続いて、脱イオン水または超純水を用いたリンシングが存在する。リンシングは、有利には、反射防止層4を欠く電池10が浸漬されている溶液をオーバーフロー(あふれさせる)ことによって実行されてよい。
【0040】
有利には、エッチングステップb)は、超音波が40kHz~100kHzの周波数において印加されている期間に実行される。超音波は、反射防止層4のエッチングの効率を改善し、背面コンタクト層7の分離を促進する。超音波はまた、銀線3の局所的分離を開始させうる。好ましくは、超音波の周波数は、銀線3が分離の開始時に破損することを避けるために、80kHzに選択される。
【0041】
次に、本発明に係るリサイクル方法は、反射防止層4を欠く(および、場合によっては背面コンタクト層7を欠く)電池10を塩基性溶液に浸漬することによって、上層2をエッチングするステップc)を含む。上層2のエッチングは、支持基板1から銀線3を分離させる(図1(c)および図2(c))。
【0042】
エッチングステップc)に使用される塩基性溶液は、好ましくは1~30%の濃度を有する水酸化ナトリウム(NaOH)である。当該溶液は、容易に制御可能なエッチング速度を有する点において、有利である。例えば、NaOHの濃度が3%の場合、エッチング速度は、50℃において約0.5ミクロン/分である。当該溶液はまた、銀に対して良好な選択性を有し、したがって、銀線3は、このエッチングステップにおいて劣化しない。
【0043】
あるいは、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)の溶液を使用して、上層2をエッチングしてよい。
【0044】
エッチングステップc)は、20℃~100℃の温度、好ましくは50℃において実行される。これにより、特に、エッチング速度を高めることができる。上層2の厚さに応じて、エッチングは、数分~1時間の持続時間を有しうる。
【0045】
有利には、ケイ化アルミニウムの中間層6も、特にNaOHエッチングの場合には、ステップc)において塩基性溶液によってエッチングされる。
【0046】
有利な一実施形態によれば、エッチングの効率を増加させ、かつ、銀線3の分離を促進するために、ステップc)の全て、または一部において、40kHz~100kHzの周波数の超音波が印加される。好ましくは、銀線3の破損を制限するために、当該周波数は80kHzに規定される。当該銀線3は、ステップc)の終了時に、溶液中において、完全に分離されており、かつ、遊離していることが意図されている。
【0047】
次のステップが実行される前に、エッチングステップc)に続いて、脱イオン水または超純水を用いたリンシングが存在する。リンシングは、有利には、支持基板1および遊離銀線3(すなわち、支持基板1から分離された銀線)が浸漬される溶液をオーバーフローさせることによって実行されてよい。
【0048】
本発明に係るリサイクル方法の次のステップd)は、支持基板1および分離された銀線1によって形成されたアセンブリを乾燥させるステップを含む。当該乾燥は、好ましくは、例えば室温よりわずかに高い温度において、炉内において静的に実行される。
【0049】
最後に、本発明に係るリサイクル方法は、固体状態の銀線3を抽出するステップe)を含む。有利には、当該抽出は、密度差によって実行される。当該ステップは、支持基板1から遊離銀線3を物理的に分離することが可能である、ブローイング(吹き付け)または振動の公知の方法に基づいていてよい。場合によっては、シービング(ふるい分け)方法によっても、支持基板1から銀線3を効率的に分離することができる。
【0050】
本発明に係る、銀線3をリサイクルする方法は、実施が簡単であり、銀は量的にほぼ完全に回収され、銀線3が劣化しないか、または各ステップにおいてほんのわずかしか劣化しないという点において、従来技術と比較して特に有利である。
【0051】
また、本発明は、前述のリサイクル法から得られる固体形態の遊離銀線3に関する。本明細書中における固体形態の銀線は、前記方法から得られる銀線の破片と同様に、銀線全体を意味する。
【0052】
これらの銀線3または断片は、銀ベースの導電性接着剤を製造するために使用されてよい。この目的のために、例えば、それらを1つ以上のポリマー成分および/または他の化合物と混合することもできる。
【0053】
銀線3または断片はまた、電解析出を実行することを目的とする銀電極(固体形態)または電解質電極(溶液に溶解)を製造するために使用されてもよい。
【0054】
本発明に係るリサイクル方法はまた、支持基板2を再使用(リユース)するステップf)を含んでもよい。実際には、支持基板1から遊離銀線3を物理的に分離することを含むステップe)の後、前記支持体の前面および背面は、(i)ドープ層(上層2および下層5)、(ii)金属層または合金層(銀線3、背面コンタクト層7、および中間層6)、および、(iii)反射防止層4を、完全に欠いていてもよい。ステップe)において抽出された支持基板1は、非常に高いレベルの純度を有する。したがって、例えばトリクロロシラン(trichlorosilane,TCS)の製造、または、DSS(directional segmentation system,方向性分離システム)による「フィードストック(供給原料)」シリコンの製造のために、当該抽出された支持基板をシリコンダイに再導入することができる。
【0055】
もちろん、本発明は、記載された実施形態および実施例に限定されず、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態の変形を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明に係るリサイクル方法のステップを示す。
図2】本発明に係るリサイクル方法のステップを示す。
図1
図2