(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】レッグウェア物品
(51)【国際特許分類】
A41B 11/14 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
A41B11/14 E
(21)【出願番号】P 2021578119
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2020067900
(87)【国際公開番号】W WO2021001262
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102019117666.2
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521325499
【氏名又は名称】ファルケ コマンディト ゲゼルシャフト アウフ アクティーン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アディ ステマー
(72)【発明者】
【氏名】エフェリン ボング
(72)【発明者】
【氏名】ルートガー シュトルッフホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク クナル
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-134701(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235754(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/023561(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/076184(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00-11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編成領域(122)を有する少なくとも1つのレッグ部分(110)を有するレッグウェア物品において、
前記編成領域(122)の重み付け垂直-垂直光透過度T
V,n-nと、前記編成領域(122)の重み付け垂直-拡散光透過度T
V,n-diffとからの商Q
ttが少なくとも4.0であ
り、
前記編成領域(122)がレッグ部分糸を有しており、前記レッグ部分糸の全繊度が最大でdtex 12であり、
前記レッグウェア物品は、水溶液中の酸性染料で着色し、前記水溶液中の前記酸性染料の濃度は少なくとも0.5重量パーセントであり且つ最大で1重量パーセントである、レッグウェア物品。
【請求項2】
前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光透過度T
V,n-hと、前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光反射度R
V,n-hとからの商Q
trが少なくとも25であることを特徴とする、請求項1に記載のレッグウェア物品。
【請求項3】
前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光透過度T
V,n-hと、前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光反射度R
V,n-hとからの商Q
trが最大で50であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレッグウェア物品。
【請求項4】
前記編成領域(122)の重み付け垂直-垂直光透過度T
V,n-nと、前記編成領域(122)の重み付け垂直-拡散光透過度T
V,n-diffとからの商Q
ttが最大で6.0であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項5】
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffが、最大で0.175であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項6】
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffが、少なくとも0.165であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項7】
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffが、最大で0.185であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項8】
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffが、少なくとも0.175であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項9】
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffが、最大で0.215であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項10】
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffが、少なくとも0.205であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項11】
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hが、最大で0.025であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項12】
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hが、少なくとも0.020であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項13】
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hが、最大で0.028であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項14】
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hが、少なくとも0.023であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項15】
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hが、最大で0.040であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項16】
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hが、少なくとも0.035であることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項17】
前記編成領域(122)がレッグ部分糸を有しており、前記レッグ部分糸がバイコンポーネント糸として形成されていることを特徴とする、請求項1~1
6のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【請求項18】
前記編成領域(122)がレッグ部分糸を有しており、前記レッグ部分糸がポリアミド材料及び/又はポリウレタン材料を含むことを特徴とする、請求項1~1
7のいずれか1項に記載のレッグウェア物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編成領域を有する少なくとも1つのレッグ部分を有するレッグウェア物品に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の根底を成す課題は、着用状態でほとんど見ることができないが、しかしレッグウェア物品の着用者の皮膚の小さなシミを隠し、ひいてはレッグウェア物品の着用者の脚の所望の視覚的効果を作り出す、このようなレッグウェア物品を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような課題は、請求項1の上位概念の特徴を有するレッグウェア物品において、編成領域の重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nと、編成領域の重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffとからの商Qttが少なくとも4.0であることによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の根底を成す認識は、レッグウェア物品の編成領域の光学作用がその光技術的な挙動によって判定され、この光技術的な挙動が、編成領域の光透過・光反射挙動を特徴づける種々の測定値によって、具体的には、
波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-n、
波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diff、
波長依存性垂直-半球光透過度Tn-h、及び
波長依存性垂直-半球光反射度ρn-h
によって定義されることである。
【0005】
このような測定値は、melliand Textilberichte 2/2019 の第88~90頁に発表されたKathrin-haigis, Marielle Stephan, Christoph Riethmueller, Holger Illg及びGoetz T. Gresserによる論文「Neues Messverfahren zur Bestimmung lichttechnischer Kennwerte von Strumpfhosen」に記載されているように検出される。
【0006】
上記光透過度及び光反射度を検出する測定方法は、DIN EN 14500に記載されており、そこでは日焼け防止用布地の特徴付けのために利用されるが、しかし、レッグウェア物品の特徴付けに転用することができる。
【0007】
前述の波長依存性の光透過度及び光反射度からは、重み付けされた光透過度もしくは光反射度が得られる。このことは、それぞれの波長依存性の光透過度もしくは光反射度のために得られた測定値が、全波長領域380nm~780nmにわたって平均され、この際にV(λ)分布で重み付けされることによって行われる。V(λ)分布は、当該波長λにおける明所視に関する人間の目のスペクトル明所比視感度を表す。
【0008】
明所視のV(λ)分布は、規格DIN 5031第3部に定義されており、波長λに依存するその推移が示されている。
【0009】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-nの平均から、重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nがもたらされる。
【0010】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffの平均から、重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffがもたらされる。
【0011】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-半球光透過度Tn-hの平均から、重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hがもたらされる。
【0012】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hの平均から、重み付け垂直-半球光反射度RV,n-hがもたらされる。
【0013】
レッグウェア物品の編成領域の所期光学作用が具体的には、垂直-垂直光透過度と垂直-拡散光透過度とを互いに調和させることによりもたらされるので、重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nと、重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffとからの商Qttは、レッグウェア物品の編成領域の特に重要なパラメータである。
【0014】
【0015】
レッグウェア物品の編成領域のQttが少なくとも4.1であると特に好都合であることが判っている。
【0016】
レッグウェア物品の編成領域の所期光学作用にとって、編成領域の反射挙動と透過挙動との調和も重要なので、重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hと重み付け垂直-半球光反射度RV,n-hとからの商Qtrがさらなる重要な光技術的パラメータである。
【0017】
【0018】
編成領域の重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hと、編成領域の重み付け垂直-半球光反射度RV,n-hとからの商Qtrが少なくとも25、有利には少なくとも30、具体的には少なくとも35であると特に好都合である。
【0019】
さらに、編成領域の重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hと、編成領域の重み付け垂直-半球光反射度RV,n-hとからの商Qtrが最大で50、具体的には最大で45、特に有利には最大で40であると好都合であることが判っている。
【0020】
さらに、編成領域の重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nと、編成領域の重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffとからの商Qttが100未満、有利には最大で6.0、具体的には最大で5.0、特に有利には最大で4.5であると好都合であることが判っている。
【0021】
さらに、編成領域の重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nと、編成領域の重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffとからの商Qttが少なくとも5.0、具体的には少なくとも5.5、特に有利には少なくとも6.0であると好都合であることが判っている。
【0022】
波長440nmにおける編成領域の波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffが、最大で0.175且つ/又は少なくとも0.165であると、レッグウェア物品の着用者の皮膚の色調に特に適合させることができる。
【0023】
さらに、波長540nmにおける編成領域の波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffが、最大で0.185であり且つ/又は有利には少なくとも0.175であると好都合である。
【0024】
さらに、波長720nmにおける編成領域の波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffが、最大で0.215且つ/又は有利には少なくとも0.205であると有利である。
【0025】
レッグウェア物品のできる限りニュートラルな光学的印象のために、波長440nmにおける編成領域の波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hが、有利には最大で0.025且つ/又は有利には少なくとも0.020であると有利である。
【0026】
さらに、波長540nmにおける編成領域の波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hが、最大で0.028且つ/又は有利には少なくとも0.023であると有利である。
【0027】
さらに、波長720nmにおける編成領域の波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hが、最大で0.040且つ/又は有利には少なくとも0.035であると好都合である。
【0028】
本発明によるレッグウェア物品は着用状態において、着用者の皮膚に直接に接していると有利である。
【0029】
本発明によるレッグウェア物品は有利にはパンティストッキング、具体的にはフルファッション型パンティストッキング(Feinstrumpfhose)、又は靴下、具体的にはフルファッション型ストッキング、例えば膝丈ストキング、又は腿までのストッキングである。
【0030】
編成領域の製造のために使用される糸に関しては、編成領域がレッグ部分糸を有しており、レッグ部分糸の全繊度が最大でdtex 16、具体的には最大でdtex 14、特に有利には最大でdtex 12であると好都合である。
【0031】
レッグウェア物品の編成領域の十分な機械的強度、具体的には引き裂き強度のために、レッグ部分糸の全繊度が少なくともdtex 6、具体的に少なくともdtex 8、特に有利には少なくともdtex 10であるとさらに好都合である。
【0032】
本発明の有利な構成では、編成領域がレッグ部分糸を有しており、レッグ部分糸がバイコンポーネント糸として形成されている。
【0033】
具体的には、編成領域はレッグ部分糸を有しており、レッグ部分糸がポリアミド材料及び/又はポリウレタン材料を含んでよい。
【0034】
編成領域がレッグ部分糸を有しており、レッグ部分糸がバイコンポーネント糸として形成されており、このバイコンポーネント糸において各フィラメントがポリアミド材料もポリウレタン材料も有していると特に好都合であることが判っている。
【0035】
ポリアミド材料の比率は有利には少なくとも40重量パーセント且つ/又は有利には最大で約60重量パーセントであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、レッグウェア物品であって、パンティストッキングとして形成されており、上側バンド、後縁領域、パンティ部分、2つのレッグ部分、及び2つの足先領域を有するレッグウェア物品を概略的に示す前面図である。
【
図2】
図2は、編地における直接光透過を示す概略図である。
【
図3】
図3は、4つの種々の編地に対する、波長に依存する垂直-垂直光透過度T
n-nの測定値を示すグラフである。
【
図4】
図4は、編地における拡散透過を示す概略図である。
【
図5】
図5は、4つの種々の編地に対する、波長に依存する垂直-拡散光透過度T
n-nの測定値を示すグラフである。
【
図6】
図6は、編地における光の半球透過を示す概略図である。
【
図7】
図7は、4つの種々の編地に対する、波長に依存する垂直-半球光透過度T
n-hの測定値を示すグラフである。
【
図8】
図8は、編地における指向性反射及び拡散反射を示す概略図である。
【
図9】
図9は、4つの種々の編地に対する、波長に依存する垂直-半球光反射度の測定値を示すグラフである。
【
図10】
図10は、編地における角度依存性光透過を判定するための測定装置を示す概略図である。
【
図11】
図11は、平滑なR/L(右/左)編地を示す編み目イメージである。
【
図12】
図12は、1:1後置(1:1 hinterlegt)編成技術で編まれた編地の編み目イメージであり、各コースの後置部分(Hinterlegungen)は先行のコースの後置部分に対して編み目1つ分だけずらされている。
【
図13】
図13は、平滑編成技術における第1糸と1:1タック編成技術における第2糸とから編まれた編地の編み目イメージである。
【
図14】
図14は、4つの種々の編地に対する、天頂角θに依存する重み付け角度依存性光透過度T
V,θの測定値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
同じ又は機能的に同等のエレメントには、全ての図面において同一の符号が付けられている。
【0038】
図1には、全体として示されたレッグウェア物品100は例えばパンティストッキング102として形成されており、上側バンド104と、下方へ向かって上側バンド104に続いて設けられた後縁領域106と、後縁領域106に下方へ向かって続いて設けられたパンティ部分108と、下方へ向かってパンティ部分108に続いて設けられた2つのレッグ部分110と、それぞれレッグ部分110の一方に下方へ向かって続いて設けられた2つの足先領域112とを有している。
【0039】
上側バンド104と、後縁領域106と、パンティ部分108と、レッグ部分110と、足先領域112とは一緒に基体114を形成している。基体は有利には一貫して編地として形成されている。
【0040】
それぞれ1つのレッグ部分110及び1つの足先領域112、並びにパンティ部分108、後縁領域106、及び上側バンド104の半部が、先ず編みホースの形態で丸編機上で製造される。両編みホースはパンティ部分108、後縁領域106、及び上側バンド104の領域内で切り開かれ、そしてシームに沿って、具体的には縫合によって接合される。
【0041】
レッグウェア物品100を製造するために使用される丸編機は、有利には400本超の針、具体的には420本超の針、特に有利には430本超の針、且つ/又は有利には460本未満の針、具体的には450本未満の針、特に有利には440本未満の針を備えたシリンダを有している。
【0042】
具体的には、丸編機は432本の針を備えたシリンダを有していてよい。
【0043】
シリンダの直径は約4ツォル(Zoll)であると有利である。
【0044】
シリンダの配分(Teilung)、すなわちシリンダ周面の1ツォル当たりの針の数は約34であると有利である(Teilung E 34)。
【0045】
このような丸編機を使用することによって、各レッグ部分110の周面に沿って有利には400超の編み目、具体的には420超の編み目、特に430超の編み目、及び/又は有利には460未満の編み目、具体的には450未満の編み目、特に有利には440未満の編み目を有する編地が形成される。
【0046】
前述の領域におけるレッグ部分110の周囲に沿った編み目の数を選択することにより、レッグウェア物品の着用者の身体におけるレッグウェア物品100の最適なフィット形態がもたらされる。
【0047】
レッグウェア物品100の上側バンド104は、第1バンド糸と第2バンド糸とから編まれていると有利である。任意には1つ又は2つ以上のさらなるバンド糸が編み込まれていてもよい。
【0048】
第1バンド糸は合成ポリマー材料、具体的にはポリアミド材料を含むと有利である。
【0049】
例えば、第1バンド糸としては、全繊度dtex 22の7本のフィラメントから成るポリアミド糸を使用することができる。
【0050】
第2バンド糸は弾性糸であると有利である。
【0051】
第2バンド糸は具体的にはエラステイン材料を含むことができる。
【0052】
例えば、第2バンド糸としては、繊度dtex 195のエラステイン糸を使用することができる。
【0053】
上側バンド104は例えば下記のように編むことができる。上側バンド104の編成時には、次のような連続する4つのコースが繰り返される。
【0054】
各第1コースは、第1バンド糸の2つのスレッドと第2バンド糸の1つのスレッドとから、3:1後置(3:1 hinterlegt)編成構造で形成されている。この場合、フロートが生じる。フロートはR/L(右/左)編地のそれぞれ3つのウェールを超えて延び、そして両側ではそれぞれ1つの編み目によって仕切られている。
【0055】
このようなフロートは、丸編機の針がバンド糸の前置されたスレッドを掴まず、したがって編み目にすることができないことによって形成される。
【0056】
フロート又は後置の原理は
図12に示されている。この図面は編地の編み目イメージを示している。この編地は糸116から1:1後置編成構造で編まれている。各コースにおいて1つの編み目には1つのフロートが続いている。フロートはそれぞれ1つのウェールを超えて延びている。
【0057】
各第2、第3、及び第4コースは第1バンド糸の2つのスレッドから、平滑編成構造で編まれている。
【0058】
平滑編成構造の場合、当該コースの全ての編み目は、
図11において糸116から成る平滑なR/L(右/左)編地に関して示されているように、R/L(右/左)編み目として形成される。
【0059】
レッグウェア物品100の後縁領域106は例えば第1後縁糸と第2後縁糸とから編まれていてよい。任意には1つ又は2つ以上のさらなる後縁糸が編み込まれていてもよい。
【0060】
第1後縁糸は、2種の異なる合成ポリマー材料から成るバイコンポーネント糸であると有利である。具体的には第1後縁糸は、成分ポリアミドと成分ポリウレタンとから成るバイコンポーネント糸であってよい。
【0061】
例えば、第1後縁糸として、2つのフィラメントを有する、全繊度dtex 19のポリアミドとポリウレタンとから成るバイコンポーネント糸を使用することができる。
【0062】
第2後縁糸は合成ポリマー材料、具体的にはポリアミド材料を含むと有利である。
【0063】
具体的には、第2後縁糸として、7つのフィラメントを有する、全繊度dtex 17のポリアミド糸を使用することができる。
【0064】
第2後縁糸は撚られており、具体的には回転方向Sを有していると有利である。
【0065】
第3後縁糸は合成ポリマー材料、具体的にはポリアミド材料を含むと有利である。
【0066】
例えば、第3後縁糸として、7つのフィラメントを有する、全繊度dtex 17のポリアミド糸を使用することができる。
【0067】
第3後縁糸は、具体的には回転方向Zで撚られていると有利である。
【0068】
後縁領域106は例えば下記のように編むことができる。後縁領域106の編成時には、次のような連続する4つのコースが繰り返される。
【0069】
各第1コースは、平滑編成構造で第1後縁糸から形成される。
【0070】
各第2コースは、第1後縁糸と第2後縁糸とから3:1後置編成構造で形成される。
【0071】
各第3コースは、平滑編成構造で第1後縁糸から形成される。
【0072】
各第4コースは、第1後縁糸と第3後縁糸とから3:1後置編成構造で形成される。第4コースのフロートは第2コースのフロートに対してコース方向においてずらされている。
【0073】
レッグウェア物品100のパンティ部分108は有利には第1パンティ部分糸から編まれていてよい。第1パンティ部分糸には、任意には1つ又は2つ以上のさらなる糸が編み込まれていてもよい。
【0074】
第1パンティ部分糸はバイコンポーネント糸であると有利であり、バイコンポーネント糸は具体的にはポリアミド材料とポリウレタン材料とを含むことができる。
【0075】
例えば、第1パンティ部分糸として、2つのフィラメントを有する、全繊度dtex 19のポリアミドとポリウレタンとから成るバイコンポーネント糸を使用することができる。
【0076】
第1パンティ部分糸は第1後縁糸と同一であってよい。
【0077】
レッグウェア物品100のパンティ部分108は例えば下記のように編むことができる。次のような連続する4つのコースが繰り返される。
【0078】
各第1~第4コースは、それぞれ第1パンティ部分糸から平滑編成構造で編まれる。
【0079】
レッグウェア物品100のレッグ部分110のそれぞれは有利にはレッグ部分糸から編まれていてよい。レッグ部分糸内には任意には1つ又は2つ以上のさらなる糸が編み込まれていてもよい。
【0080】
レッグ部分糸は具体的には合成ポリマー材料を含むことができる。
【0081】
レッグ部分糸はバイコンポーネント糸であると有利である。
【0082】
バイコンポーネント糸の両成分は具体的にはポリアミド材料及びポリウレタン材料であってよい。
【0083】
バイコンポーネント糸のフィラメント数は少なくとも1、有利には少なくとも2である。
【0084】
有利には、バイコンポーネント糸のフィラメント数は最大で4、具体的には最大で3、特に有利には最大で2である。
【0085】
レッグ部分糸の全繊度は有利には少なくともdtex 6、具体的には少なくともdtex 10、特に有利には少なくともdtex 12である。
【0086】
さらに、レッグ部分糸の全繊度は有利には最大でdtex 18、具体的には最大でdtex 14、特に有利には最大でdtex 12である。
【0087】
例えば、レッグ部分糸として、2つのフィラメントを有する、全繊度dtex 12のポリアミドとポリウレタンとから成るバイコンポーネント糸を使用することができる。
【0088】
各レッグ部分は例えば下記のように編むことができる。次のような連続するそれぞれ4つのコースが繰り返される。
【0089】
4つのコースのそれぞれが、レッグ部分糸から平滑編成構造で編まれる。
【0090】
レッグウェア物品100の足先領域112は有利には足先糸から編まれていてよい。足先糸内には任意には1つ又は2つ以上のさらなる糸が編み込まれていてもよい。
【0091】
足先糸は、ポリアミド材料とポリウレタン材料とから成るバイコンポーネント糸であると有利である。
【0092】
例えば、2つのフィラメントを有する、全繊度dtex 19のポリアミドとポリウレタンとから成るバイコンポーネント糸を使用することができる。
【0093】
足先糸は第1後縁糸及び/又はパンティ部分糸と同一であってよい。
【0094】
レッグウェア物品100の各足先領域112は例えば下記のように編むことができる。それぞれの足先領域112を編むときには、次のような連続するそれぞれ4つのコースが繰り返される。
【0095】
第1コースは、3:1タック(3:1 Fang)編成構造で足先糸から編まれる。
【0096】
第2コースは、足先糸から平滑編成構造で編まれる。
【0097】
第3コースは、3:1タック編成構造で足先糸から編まれる。第3コースのタック編み目は第1コースのタック編み目に対してコース方向にずらされている。
【0098】
第4コースは、平滑編成構造で足先糸から編まれる。
【0099】
タック結合の編成技術は
図13に概略的に示されている。
図13は、第1糸118から成るR/L編地の編み目イメージを示している。糸118には第2糸120が1:1タック編成技術で編み込まれている。
【0100】
n:mタックという表現は、1つのコース内にコース方向に連続するそれぞれn個の通常の編み目が形成され、次いでそれぞれm個のタック編み目が形成され、その後、通常の編み目とタック編み目とから成るこのような配置関係が繰り返されることを意味する。
【0101】
レッグ部分110の編地に所望の透過特性及び反射特性を付与するために、編成済のレッグウェア物品100に、次の工程を有する着色・仕上げ加工法が施される。すなわち、
塩基性環境(例えばpH値8)中で界面活性剤によって洗浄し、
酸性環境(例えばpH値6)中で酢酸によって中和し、
水で洗浄し、
水溶液中の酸性染料で着色し、水溶液中の酸性染料の濃度は有利には少なくとも0.5重量パーセントであり且つ有利には最大で1重量パーセントであり、
柔軟剤で処理する。
【0102】
編成済・着色済のレッグウェア物品100において、レッグウェア物品100のレッグ部分110のそれぞれは編成領域122を有する。編成領域は前述のように形成されており、そしてレッグウェア物品100の着用状態ではほとんど見ることができないが、しかし着用者の身体に密着した細かい編み目構造が、皮膚の小さなシミを隠し、ひいては着用者の脚の所望の視覚的効果を作り出す。編成領域122の光技術的な特性に基づき、その美容的作用のみが知覚される。
【0103】
レッグウェア物品100の編成領域122の光技術的な挙動が、編成領域122の光透過・光反射挙動を特徴づける種々の測定値によって、具体的には
波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-n、
波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diff、
波長依存性垂直-半球光透過度Tn-h、及び
波長依存性垂直-半球光反射度ρn-h
によって判定されている。
【0104】
このような測定値は、melliand Textilberichte 2/2019 の第88~90頁に発表されたKathrin-haigis, Marielle Stephan, Christoph Riethmueller, Holger Illg 及びGoetz T. Gresserによる論文「Neues Messverfahren zur Bestimmung lichttechnischer Kennwerte von Strumpfhosen」に記載されているように検出される。
【0105】
このために、被験編成領域122が配置されたレッグウェア物品100は、既製服のサイズに調和された装置、具体的にはそれぞれの既製服サイズの脚モデル上に被せられて二次元的に定義されて広げられる。
【0106】
予め製作された緊定フレームによって、編成領域の1個所、有利には脛の前側で、正方形試料が取り出される。この試料は例えば長さが65mmであり幅が例えば65mmである。緊定フレームは、試料の互いに対向する平行長手方向側が脚の中心配向に対して平行に方向付けられるように構成されている。脚モデルに被されたレッグウェア物品100における試料の配向は、方向付けマーキングによって特徴付けられる。
【0107】
既製服サイズの脚モデルにレッグウェア物品100を被せ、この既製服サイズに合わせてレッグウェア物品100が製造業者によって用意されているので、試料の編み目の広がり状態は、製造業者情報によって適切とされる既製服サイズを使用した場合に着用者の脚に着用状態で生じる伸張に相当する。
【0108】
編み目の広がり状態のための基準値として、脛の前側に測定点が選択される。それというのは、このような部位はレッグウェア物品の光学的印象にとって特に関連性があり、光学効果の評価のために重要な役割を果たすからである。
【0109】
既製服サイズ40のレッグウェア物品100の上記実施例の場合、コース方向では約13~14の編み目の、そしてウェール方向では約20の編み目の試料の伸張がもたらされる。
【0110】
このような試料によって、DIN EN 14500の2008年8月版に記載された測定方法を同様に適用して、可視光380nm~780nmの波長領域内で、波長で分解される反射・透過挙動が判定される。この規格では、日焼け防止用布地を検査するための測定方法が記載されている。しかし、この測定方法はレッグウェア物品の編成領域の光技術的特性を判定することに転用することができる。
【0111】
波長依存性垂直-垂直光透過度T
n-nは、指向性入射光束126に対する、編成領域122から直接に透過される光束124の比である(
図2参照)。編成領域122の法線方向と入射光線方向との間の角度として定義された入射角又は天頂角θはゼロである。
【0112】
このような波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-nは、規格DIN EN 14500の第7.5節の2008年8月版に記載された仕方に基づいて測定される。
【0113】
波長領域380nm~780nmにおける波長依存性垂直-垂直光透過度T
n-nの測定結果は、レッグウェア物品100の前述の実施形態の編成領域122からの試料(曲線AF)に関して、そして3つの比較製品V1,V2及びV3の編成領域からの試料(
図3の曲線V1,V2及びV3)に関して、
図3のグラフに示されている。このような比較製品は出願人の競業者によるパンティストッキングである。これらのパンティストッキングは実施形態AFと類似の編み目繊度及び色を有している。
【0114】
明らかに判るのは、レッグウェア物品100の本明細書中に記載された実施形態の波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-nが全波長領域において、比較製品V1~V3の波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-nを著しく上回ることである。
【0115】
波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffは、指向性入射光束126に対する、編成領域122から拡散して透過される光束128の比である(
図4参照)。
【0116】
波長依存性垂直-半球光透過度T
n-hは、指向性入射光束126に対する、直接に透過される光束124と、拡散して透過される光束128とを含む、編成領域122から透過された全光束の比である(
図6参照)。
【0117】
波長依存性垂直-半球光透過度Tn-hはしたがって、波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-nと、波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffとからの和である。
【0118】
波長依存性垂直-半球光透過度Tn-hは、規格DIN EN 14500の第7.4節の2008年8月版に基づいて、直接-半球透過度の測定のために定義された方法の後で判定される。この方法は規格DIN EN 14500の第7.2.3節の2008年8月版に記載されている。透過度の測定時の光線は入射角又は天頂角θ=0°を有する。
【0119】
波長依存性垂直-半球光透過度T
n-hのためにこうして測定された値は、レッグウェア物品100の前述の実施形態の編成領域122(曲線AF)に関して、そして3つの比較製品V1~V3の編成領域の試料に関して、
図7のグラフに波長領域380nm~780nmにおいて示されている。
【0120】
明らかに判るのは、上述の実施形態の編成領域122の波長依存性垂直-半球光透過度Tn-hが全波長領域380nm~780nmにおいて、比較製品V1~V3の波長依存性垂直-半球光透過度Tn-hの値を著しく上回ることである。
【0121】
それぞれの波長依存性垂直-半球光透過度Tn-hから、それぞれ所属の波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-nが差し引かれることによって、波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffがもたらされる。
【0122】
波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffの値は、前述の実施形態の編成領域122(曲線AF)に関して、そして3つの比較製品V1~V3の試料に関して、
図5のグラフに波長領域380nm~780nmにおいて示されている。
【0123】
図5から判るように、前述の実施形態AFの編成領域122の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffが波長領域420nm~780nmにおいて、比較製品V1~V3の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diffよりも常に小さい。
【0124】
レッグウェア物品100の着用者の皮膚の色調に特に適合させることは、本明細書に記載された実施形態では具体的には、波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffが、波長440nmでは有利には最大で0.175且つ/又は有利には少なくとも0.165であり、波長540nmでは有利には最大で0.185であり且つ/又は有利には少なくとも0.175であり、そして波長720nmでは有利には最大で0.215且つ/又は有利には少なくとも0.205であることによって達成される。
【0125】
さらに、レッグウェア物品100の本明細書中に記載された実施形態の場合、波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffが波長400nmからより大きい波長へ向かって、有利には連続的に増大すると有利である
【0126】
波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hは、直接に反射された光束130と拡散して反射された光束132とを含む、編成領域122から反射された光束の和(
図8参照)の、入射光束126に対する比である。
【0127】
波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hは、規格DIN EN 14500の第7.4節の2008年8月版に基づいて、直接/半球反射度の測定のために定義された測定方法の後で判定される。この測定方法は規格DIN EN 14500の第7.2.4節の2008年8月版に記載されている。
【0128】
波長領域380nm~780nmにおけるレッグウェア物品100の前述の実施形態の編成領域122(曲線AF)に関する、そして比較製品V1~V3の試料に関する波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-hの測定値が、
図9のグラフに示されている。
【0129】
410nm~780nmの波長領域内では、レッグウェア物品100の前述の実施形態の編成領域122の波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hは、比較製品V1~V3の編成領域の波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hを全体的に下回る。
【0130】
所期光学的効果、及びレッグウェア物品100の着用者の皮膚の色への同化のために、波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hが波長440nmで有利には最大で0.025且つ/又は有利には少なくとも0.020であり、波長540nmで有利には最大で0.028且つ/又は有利には少なくとも0.023であり、そして波長720nmで有利には最大で0.040且つ/又は有利には少なくとも0.035であることが特に好都合である。
【0131】
前述の波長依存性の光透過度及び光反射度からは、重み付けされた光透過度もしくは光反射度が得られる。このことは、それぞれの波長依存性の光透過度もしくは光反射度のために得られた測定値が、全波長領域380nm~780nmにわたって平均され、この際にV(λ)分布で重み付けされることによって行われる。V(λ)分布は、当該波長λにおける明所視に関する人間の目のスペクトル明所比視感度を表す。
【0132】
明所視のV(λ)分布は、規格DIN 5031第3部に定義されており、波長λに依存するその推移が示されている。
【0133】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-垂直光透過度Tn-nの平均から、重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nがもたらされる。
【0134】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-拡散光透過度Tn-diffの平均から、重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffがもたらされる。
【0135】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-半球光透過度Tn-hの平均から、重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hがもたらされる。
【0136】
明所視のV(λ)分布で重み付けされた、波長依存性垂直-半球光反射度ρn-hの平均から、重み付け垂直-半球光反射度RV,n-hがもたらされる。
【0137】
レッグウェア物品100の前述の実施例の編成領域122からの試料、及び比較製品1~3からの試料の重み付け垂直-垂直光透過度T
V,n-n、重み付け垂直-拡散光透過度T
V,n-diff、重み付け垂直-半球光透過度T
V,n-h、及び重み付け垂直-半球光反射度R
V,n-hのこうして検出された値が下記表に示されている。
【表1】
【0138】
前述のレッグウェア物品100の編成領域122は、少なくとも0.74、具体的には少なくとも0.75の重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nを有していると有利である。
【0139】
表から明らかなように、実施例の編成領域122の重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nは、全ての比較製品1~3の編成領域の重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nよりも大きい。
【0140】
さらに前記表から明らかなように、実施例の編成領域122の重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffは、全ての比較製品1~3の編成領域の重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffよりも大きい。
【0141】
実施例の編成領域122の重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffは最大で0.18であると有利である。
【0142】
さらに表から明らかなように、実施例の編成領域122の重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hは、全ての比較製品1~3の編成領域の重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hよりも大きい。
【0143】
実施例の編成領域122の重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hは、少なくとも0.93、具体的には少なくとも0.94であると有利である。
【0144】
実施例の編成領域122の重み付け垂直-半球光反射度RV,n-hは、有利には最大で0.03である
【0145】
レッグウェア物品100の編成領域122の所期光学作用が具体的には、垂直-垂直光透過度と垂直-拡散光透過度とを互いに調和させることによりもたらされるので、重み付け垂直-垂直光透過度TV,n-nと、重み付け垂直-拡散光透過度TV,n-diffとからの商Qttは、レッグウェア物品100の編成領域122の特に重要なパラメータである。
【0146】
【0147】
実施例の編成領域122及び比較製品1~3のQ
tt値は次の表に再現されている。
【表2】
【0148】
この表から明らかなように、レッグウェア物品100の前述の実施例の編成領域122における商Qttは比較製品1~3よりも大きい。
【0149】
レッグウェア物品100の編成領域122の商Qttは有利には少なくとも4.0、具体的には少なくとも4.1、且つ/又は有利には最大で6.0、具体的には最大で5.0、特に有利には最大で4.5である。
【0150】
レッグウェア物品100の編成領域122の所期光学作用にとって、編成領域の反射挙動と透過挙動との調和も重要なので、重み付け垂直-半球光透過度TV,n-hと重み付け垂直-半球光反射度RV,n-hとからの商Qtrがさらなる重要な光技術的パラメータである。
【0151】
【0152】
レッグウェア物品100の前述の実施例の編成領域122及び比較製品1~3の商Qtrの値も前記表に再現されている。
【0153】
表から判るように、実施例の編成領域122における商Qtrが、全ての比較製品1~3よりも大きい。
【0154】
商Qtrは少なくとも25、具体的には少なくとも30、特に有利には少なくとも35である。
【0155】
さらに、実施例の編成領域122の商Qtrは、有利には最大で50、具体的には最大で45、特に有利には最大で40である。
【0156】
レッグウェア物品100の編成領域122の透過挙動の評価のために重要なさらなる測定値は、波長依存性且つ角度依存性の光透過度Tθである。この光透過度Tθは、レッグウェア物品100の編成領域122から規定の天頂角θで透過される光束の、指向性入射光束に対する比である。天頂角θは、入射光のそれぞれの入射方向と編成領域122の垂直方向との間の角度である。
【0157】
波長依存性且つ角度依存性の光透過度Tθを検出するための測定装置は
図10に概略的に示されている。
【0158】
光源134から送出される光は分光計136によって検出される。光源134と分光計136との間には、編成領域122の試料138が、回転可能な試料ホルダ140に回転可能に保持されているので、所望の天頂角θを調節することができる。
【0159】
試料138は配向マーキングに注意しながら配置されている。
【0160】
図10から判るように、測定装置142はさらにコリメーションレンズ144と導光体146とを有している。
【0161】
測定装置142は暗室148内に0.1未満の反射度で配置されている。
【0162】
光源134の光が暗室148内に進入する際に通過するディフューザと、コリメーションレンズ144との間の距離は
【数5】
である。DDはディフューザの直径を表す。
【0163】
ディフューザDDの直径は例えば50mmであってよい。
【0164】
測定装置142によって測定された波長依存性及び角度依存性の光透過度Tθから、各天頂角θに対して波長領域380nm~780nmにわたって明所視のV(λ)分布で重み付けされた平均を求めることによって、重み付け波長依存性光透過度Tθが得られる。
【0165】
レッグウェア物品100の前述の実施形態(曲線AF)の編成領域122に関する、そして比較製品1~3(曲線V1,V2及びV3)の編成領域に関する重み付け波長依存性光透過度Tθの測定値が、
図14のグラフに天頂角0°~80°に対して示されている。
【0166】
試料138が大きく回転すればするほど、すなわち天頂角θが大きければ大きいほど、重み付け角度依存性光透過度Tθは小さくなる。その理由は、天頂角θを大きくすることによって、編成領域122のより多くの布地材料が入射光束と相互作用することにある。これにより透過度は低下する。
【0167】
レッグウェア物品、例えばフルファッション型パンティストッキングの着用状態に転用されると、より大きい天頂角θのこれらの領域は、正面の観察者から見て側方の脚領域を表す。これらの領域内では、レッグウェア物品は観察者の評価のためにより大きな影響を及ぼす。
【0168】
図14から判るように、レッグウェア物品100の前記実施例の編成領域122の重み付け角度依存性光透過度Tθは全ての天頂角θにおいて、比較製品1~3の編成領域における重み付け角度依存性光透過度Tθよりも高い。
【0169】
このことは、一方では垂直光透過と拡散光透過とを調和させることによって、そして他方では編成領域122の半球光透過と半球反射とを調和させることによって達成されるレッグウェア物品100の前記実施例の特別な視覚的効果を証明する。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
編成領域(122)を有する少なくとも1つのレッグ部分(110)を有するレッグウェア物品において、
前記編成領域(122)の重み付け垂直-垂直光透過度T
V,n-n
と、前記編成領域(122)の重み付け垂直-拡散光透過度T
V,n-diff
とからの商Q
tt
が少なくとも4.0であることを特徴とするレッグウェア物品である。
第2の態様は、
前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光透過度T
V,n-h
と、前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光反射度R
V,n-h
とからの商Q
tr
が少なくとも25であることを特徴とする、第1の態様におけるレッグウェア物品である。
第3の態様は、
前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光透過度T
V,n-h
と、前記編成領域(122)の重み付け垂直-半球光反射度R
V,n-h
とからの商Q
tr
が最大で50であることを特徴とする、第1の態様又は第2の態様におけるレッグウェア物品である。
第4の態様は、
前記編成領域(122)の重み付け垂直-垂直光透過度T
V,n-n
と、前記編成領域(122)の重み付け垂直-拡散光透過度T
V,n-diff
とからの商Q
tt
が最大で6.0であることを特徴とする、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第5の態様は、
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diff
が、最大で0.175であることを特徴とする、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第6の態様は、
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diff
が、少なくとも0.165であることを特徴とする、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第7の態様は、
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diff
が、最大で0.185であることを特徴とする、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第8の態様は、
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diff
が、少なくとも0.175であることを特徴とする、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第9の態様は、
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diff
が、最大で0.215であることを特徴とする、第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第10の態様は、
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-拡散光透過度T
n-diff
が、少なくとも0.205であることを特徴とする、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第11の態様は、
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-h
が、最大で0.025であることを特徴とする、第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第12の態様は、
波長440nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-h
が、少なくとも0.020であることを特徴とする、第1の態様~第11の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第13の態様は、
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-h
が、最大で0.028であることを特徴とする、第1の態様~第12の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第14の態様は、
波長540nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-h
が、少なくとも0.023であることを特徴とする、第1の態様~第13の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第15の態様は、
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-h
が、最大で0.040であることを特徴とする、第1の態様~第14の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第16の態様は、
波長720nmにおける前記編成領域(122)の波長依存性垂直-半球光反射度ρ
n-h
が、少なくとも0.035であることを特徴とする、第1の態様~第15の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第17の態様は、
前記編成領域(122)がレッグ部分糸を有しており、前記レッグ部分糸の全繊度が最大でdtex 16であることを特徴とする、第1の態様~第16の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第18の態様は、
前記編成領域(122)がレッグ部分糸を有しており、前記レッグ部分糸がバイコンポーネント糸として形成されていることを特徴とする、第1の態様~第17の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。
第19の態様は、
前記編成領域(122)がレッグ部分糸を有しており、前記レッグ部分糸がポリアミド材料及び/又はポリウレタン材料を含むことを特徴とする、第1の態様~第18の態様のいずれか1つにおけるレッグウェア物品である。