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特許7527322情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240726BHJP
【FI】
G05D1/43
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022049044
(22)【出願日】2022-03-24
(65)【公開番号】P2023142245
(43)【公開日】2023-10-05
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】知識 陽平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-262903(JP,A)
【文献】特開2011-227716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
第1移動体が第1時間帯に通過を予定する第1位置の情報と、前記第1移動体の進行方向の情報とを含む、前記第1移動体の移動情報を取得するステップと、
前記第1移動体の移動情報に基づいて、前記第1位置と、前記第1位置よりも前記第1移動体の進行方向側の第2位置との間を、前記第1時間帯において排他領域として設定するステップと、
を含み、
前記排他領域は、前記第1移動体以外の第2移動体が、前記第1時間帯において、前記第1移動体と異なる進行方向に前記排他領域の全域にわたって移動することが許可されず、前記第2移動体が、前記第1時間帯において、第1移動体と同じ進行方向に前記排他領域の全域にわたって移動することが許可される領域である
情報処理方法。
【請求項2】
前記設定するステップにおいては、前記第1移動体の速度に基づき、前記第2位置を設定する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記設定するステップにおいては、前記進行方向側の経路上において、他の経路と分岐する第1分岐位置と、前記第1分岐位置の次に他の経路と分岐する第2分岐位置との間に、前記第2位置が位置する場合には、前記第1位置から前記第2分岐位置までを、前記排他領域として設定する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記排他領域は、前記第2移動体が、前記第1時間帯において、前記排他領域から所定距離範囲内の経路を移動することが許可されない領域である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記第1移動体が移動予定の第1経路と、前記第2移動体が移動予定の第2経路の情報を取得するステップをさらに含み、
前記設定するステップにおいては、前記第1位置と前記第2位置との間の区間が、前記第1経路と前記第2経路とが重複する重複区間に重なる場合には、前記第1位置から、前記重複区間の、前記第1移動体の進行方向側の端部位置までを、前記排他領域として設定する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
第1移動体が第1時間帯に通過を予定する第1位置の情報と、前記第1移動体の進行方向の情報とを含む、前記第1移動体の移動情報を取得する移動情報取得部と、
前記第1移動体の移動情報に基づいて、前記第1位置と、前記第1位置よりも前記第1移動体の進行方向側の第2位置との間を、前記第1時間帯において排他領域として設定する作業設定部と、
を含み、
前記排他領域は、前記第1移動体以外の第2移動体が、前記第1時間帯において、前記第1移動体と異なる進行方向に前記排他領域の全域にわたって移動することが許可されず、前記第2移動体が、前記第1時間帯において、第1移動体と同じ進行方向に前記排他領域の全域にわたって移動することが許可される領域である
情報処理装置。
【請求項7】
第1移動体が第1時間帯に通過を予定する第1位置の情報と、前記第1移動体の進行方向の情報とを含む、前記第1移動体の移動情報を取得するステップと、
前記第1移動体の移動情報に基づいて、前記第1位置と、前記第1位置よりも前記第1移動体の進行方向側の第2位置との間を、前記第1時間帯において排他領域として設定するステップと、
をコンピュータに実行させ、
前記排他領域は、前記第1移動体以外の第2移動体が、前記第1時間帯において、前記第1移動体と異なる進行方向に前記排他領域の全域にわたって移動することが許可されず、前記第2移動体が、前記第1時間帯において、第1移動体と同じ進行方向に前記排他領域の全域にわたって移動することが許可される領域である
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動で移動する複数の移動体について、ある移動体が移動を予定している領域を排他領域(ブロッキング領域)として予約して、その排他領域を、他の移動体が進入しないようにする技術が知られている。例えば特許文献1には、車両の第1ブロッキングエリアを予約しようとする際に、第1ブロッキングエリアに対応する第2ブロッキングエリアを他の車両が通行した場合にデッドロックが生じるかを判定する旨が記載されている。特許文献1においては、デッドロックが生じないと判定された場合に、第1ブロッキングエリアを予約可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5029622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、デッドロックを抑制することには、改善の余地がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、デッドロックを抑制可能な情報処理方法、情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理方法は、第1移動体が第1時間帯に通過を予定する第1位置の情報と、前記第1移動体の進行方向の情報とを含む、前記第1移動体の移動情報を取得するステップと、前記第1移動体の移動情報に基づいて、前記第1位置と、前記第1位置よりも前記第1移動体の進行方向側の第2位置との間を、前記第1時間帯において排他領域として設定するステップと、を含み、前記排他領域は、前記第1移動体以外の第2移動体が、前記第1時間帯において、前記第1移動体と異なる進行方向に前記排他領域内を移動することが許可されず、前記第2移動体が、前記第1時間帯において、第1移動体と同じ進行方向に前記排他領域内を移動することが許可されるように、設定される。
【0007】
本開示に係る情報処理装置は、第1移動体が第1時間帯に通過を予定する第1位置の情報と、前記第1移動体の進行方向の情報とを含む、前記第1移動体の移動情報を取得するステップと、前記第1移動体の移動情報に基づいて、前記第1位置と、前記第1位置よりも前記第1移動体の進行方向側の第2位置との間を、前記第1時間帯において排他領域として設定するステップと、を含み、前記排他領域は、前記第1移動体以外の第2移動体が、前記第1時間帯において、前記第1移動体と異なる進行方向に前記排他領域内を移動することが許可されず、前記第2移動体が、前記第1時間帯において、第1移動体と同じ進行方向に前記排他領域内を移動することが許可されるように、設定される。
【0008】
本開示に係るプログラムは、第1移動体が第1時間帯に通過を予定する第1位置の情報と、前記第1移動体の進行方向の情報とを含む、前記第1移動体の移動情報を取得するステップと、前記第1移動体の移動情報に基づいて、前記第1位置と、前記第1位置よりも前記第1移動体の進行方向側の第2位置との間を、前記第1時間帯において排他領域として設定するステップと、をコンピュータに実行させ、前記排他領域は、前記第1移動体以外の第2移動体が、前記第1時間帯において、前記第1移動体と異なる進行方向に前記排他領域内を移動することが許可されず、前記第2移動体が、前記第1時間帯において、第1移動体と同じ進行方向に前記排他領域内を移動することが許可されるように、設定される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、デッドロックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図2図2は、移動体の構成の模式図である。
図3図3は、管理装置の模式的なブロック図である。
図4図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
図5図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
図6図6は、移動先情報の一例を示す表である。
図7図7は、作業の設定を説明するための表である。
図8図8は、排他領域の設定を説明するための模式図である。
図9図9は、排他領域の設定を説明するための模式図である。
図10図10は、交差点における排他領域の設定の例を説明する模式図である。
図11図11は、本実施形態に係る排他領域の設定フローを説明するフローチャートである。
図12図12は、第2実施形態における排他領域の一例を示す模式図である。
図13図13は、第2実施形態における排他領域の他の例を示す模式図である。
図14図14は、第3実施形態における排他領域の一例を示す模式図である。
図15図15は、第4実施形態における排他領域の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(移動制御システム)
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10と管理装置12と情報処理装置14とを含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。移動制御システム1においては、移動体10は、設備Wの領域AR内に配置された目標物Pをピックアップして搬送させる。領域ARは、例えば設備Wの床面であり、目標物Pが設置されたり移動体10が移動したりする領域である。目標物Pは、本実施形態では、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。目標物Pは、前面Paに、移動体10の後述するフォーク24が挿入される開口Pbが形成されている。ただし、目標物Pは、パレット上に荷物が積載されたものに限られず任意の形態であってよく、例えばパレットを有さず荷物のみであってもよい。
【0013】
以降において、移動体10による、経路R(後述)に従った移動を含む動作を、適宜、移動体10の作業と記載する。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、経路Rに従って移動して、目標物Pの荷積み、搬送、及び荷下ろしを行うため、移動体10が経路Rに従って移動して、目標物Pを荷積みし、搬送し、荷下ろしするまでの一連の動作が、移動体10の作業といえる。また、以下、領域ARに沿った一方向をX方向とし、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差する方向を、Y方向とする。本実施形態では、Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向、Y方向は、水平面に沿った方向といってもよい。また、X方向、Y方向に直交する方向を、より詳しくは鉛直方向の上方に向かう方向を、Z方向とする。また、本実施形態においては、「位置」とは、特に断りのない限り、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)における位置(座標)を指す。また、移動体10などの「姿勢」とは、特に断りのない限り、領域ARの座標系における移動体10などの向きであり、Z方向から見た場合に、X方向を0°とした際の移動体10のヨー角(回転角度)を指す。
【0014】
設備W内の領域ARには、複数の設置領域AR1が設けられている。設置領域AR1は、目標物Pの設置用に設定された領域である。それぞれの設置領域AR1には、設備Wの状況に応じて、目標物Pが配置されている場合もあるし、配置されていない場合もある。設置領域AR1の位置(座標)、形状、及び大きさは、予め設定されている。図1の例では、設置領域AR1は、領域AR上に設けられた棚上に設定されているが、それに限られず、領域AR上(すなわち設備Wの床)に設けられていてもよいし、目標物Pを設備Wに搬入した車両の荷台内に設けられてもよい。また、本実施形態では、設置領域AR1は、目標物P毎に区画されており、設置領域AR1にはそれぞれ目標物Pが1つ配置されるが、それに限られない。例えば、設置領域AR1は、フリースペースとして、複数の目標物Pが設置されるように設定されていてもよい。また、図1の例では設置領域AR1は矩形であるが、形状及び大きさは任意であってよいし、設置領域AR1の数も任意であってよい。
【0015】
(ウェイポイント)
領域ARには、位置(座標)毎にウェイポイントAが設定されている。移動体10が移動する経路Rは、ウェイポイントAを繋ぐように設定される。すなわち、移動体10が通過を予定するウェイポイントAを接続する経路が、移動体10の経路Rとなる。ウェイポイントAは、設置領域AR1の位置や通路などの、設備Wのレイアウトに応じて設定される。例えば、ウェイポイントAは、領域AR内においてマトリクス状に設定されており、1つの設置領域AR1に対向する位置から他の任意の設置領域AR1に対向する位置までを繋ぐ経路Rが設定可能なように、位置や数が設定されている。設置領域AR1に対向する位置とは、例えば、移動体10が、その位置から設置領域AR1に配置された目標物Pをピックアップ可能な位置であってよい。また、ウェイポイントAには、充電場所となるウェイポイントA(図1の例では充電装置CHが配置されたウェイポイントAn)や、待機場所となるウェイポイントA(図1の例ではウェイポイントAm)が設定されている。充電場所や待機場所となるウェイポイントAは、設置領域AR1に対向するウェイポイントA同士を結ぶ経路(搬送する際に用いられる経路)と重ならない任意の位置に設定されていてよい。
【0016】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能であり目標物Pを搬送可能な装置である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。ただし、移動体10は、目標物Pを搬送するフォークリフトであることに限られず、自動で移動可能な任意な装置であってよい。
【0017】
図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26Aと、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、前方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、後方向とする。
【0018】
センサ26Aは、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26Aは、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の姿勢との少なくとも一方を検出するともいえる。本実施形態では、センサ26Aは、それぞれのストラドルレッグ21の前方向における先端と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26Aの設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。
【0019】
センサ26Aは、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26Aは、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26Aは、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0020】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0021】
(管理装置)
図3は、管理装置の模式的なブロック図である。管理装置12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理装置12は、本実施形態ではWCS(Warehouse Control System)やWMS(Warehouse Management System)であるが、WCS及びWMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理装置12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理装置12は、コンピュータであり、図3に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。
【0022】
通信部30は、制御部34に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばWiFi(登録商標)モジュールやアンテナやなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0023】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、移動先情報設定部40を含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、移動先情報設定部40を実現して、その処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、移動先情報設定部40を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、管理装置12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0024】
移動先情報設定部40は、移動体10の移動先を示す移動先情報を設定する。移動先情報設定部40の具体的な処理については後述する。
【0025】
なお、管理装置12は、移動先情報を設定する以外の処理も実行してよい。例えば、管理装置12は、設備Wに設けられる移動体10以外の機構(例えばエレベータや扉など)を制御する情報も設定してよい。
【0026】
(情報処理装置)
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、設備Wに設けられ、移動体10の移動に関する情報などを処理する装置である。情報処理装置14は、例えばFCS(Fleet Control System)であるが、それに限られず、移動体10の移動に関する情報を処理する任意の装置であってよい。情報処理装置14は、コンピュータであり、図4に示すように、通信部50と記憶部52と制御部54とを含む。通信部50は、制御部54に用いられて、管理装置12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやWiFiモジュールなどを含んでよい。通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部52は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0027】
制御部54は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部54は、移動先情報取得部60と、作業設定部62と、移動情報取得部64とを含む。制御部54は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、移動先情報取得部60と作業設定部62と移動情報取得部64とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部54は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、移動先情報取得部60と作業設定部62と移動情報取得部64との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部52が保存する制御部54用のプログラムは、情報処理装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0028】
移動先情報取得部60は、移動先情報を取得し、作業設定部62は、移動体10の経路Rを設定し、移動情報取得部64は、移動体10の移動情報を取得する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0029】
なお、本実施形態では、管理装置12と情報処理装置14とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理装置12が情報処理装置14の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、情報処理装置14が管理装置12の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0030】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する装置である。制御装置28は、コンピュータであり、図5に示すように、通信部70と記憶部72と制御部74とを含む。通信部70は、制御部74に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやWiFiモジュールなどを含んでよい。通信部70による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部72は、制御部74の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0031】
制御部74は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部74は、作業取得部80と、移動制御部82とを含む。制御部74は、記憶部72からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業取得部80と移動制御部82とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部74は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業取得部80と移動制御部82との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部72が保存する制御部74用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0032】
作業取得部80は、移動体10の経路Rを示す情報を取得し、移動制御部82は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0033】
(移動制御システムの処理)
移動制御システム1の処理内容について、以下で説明する。
【0034】
(移動先情報の設定)
管理装置12の移動先情報設定部40は、移動体10の移動先を示す移動先情報を設定する。移動先情報は、移動体10の移動先の位置を示す情報を含む。より詳しくは、本実施形態では、移動先情報設定部40は、第1位置情報(第1位置の位置情報)と第2位置情報(第1位置の位置情報)とを含むように、移動先情報を設定する。第1位置とは、移動体10が最初に到達する位置であり、第2位置とは、移動体10が第1位置の次に到達する位置である。すなわち本実施形態の例では、第1位置は、目標物Pの搬送元の位置であり、第2位置は、目標物Pの搬送先の位置である。移動先情報設定部40は、第1位置情報として、第1位置の位置(座標)そのものを指定してもよい。また、それぞれのウェイポイントAに識別子が付与されており、移動先情報設定部40は、第1位置情報として、第1位置に対応するウェイポイントAの識別子を指定してもよい。第2位置情報も同様である。
【0035】
図6は、移動先情報の一例を示す表である。本実施形態では、移動先情報設定部40は、搬送対象となる目標物P毎に、言い換えれば作業毎に、移動先情報を設定する。すなわち、移動先情報設定部40は、搬送対象となる目標物Pを示す目標物情報と、その目標物Pの搬送元である第1位置情報と、その目標物Pの搬送先を示す第2位置情報とを対応付けて、目標物P毎の移動先情報を設定する。なお、例えば目標物P毎に識別子が付与されており、その識別子を示す情報を目標物情報としてよい。さらに言えば、図6に示すように、本実施形態では、移動先情報設定部40は、目標物情報と、第1位置情報と、第2位置情報と、優先度情報とを対応付けて、目標物P毎の移動先情報を設定することが好ましい。優先度情報とは、目標物P毎の一群の移動先情報のうちで、その目標物Pを搬送する優先順位を示す情報である。すなわち例えば、優先度情報において、最も優先度が高い目標物Pは、最初に搬送されることになる。図6では、優先度が0001(1番目)、目標物P1、第1位置がA1、第2位置がA2となる移動先情報と、優先度が0002(2番目)、目標物P11、第1位置がA11、第2位置がA3となる移動先情報と、優先度が0003(3番目)、目標物P21、第1位置がA21、第2位置がA4となる移動先情報と、優先度が0004(4番目)、目標物P2、第1位置がA31、第2位置がA5となる移動先情報と、優先度が0005(5番目)、目標物P21、第1位置がA41、第2位置がA6となる移動先情報と、が設定されている例を示している。ただし、図6は一例であり、移動先情報は、例えばオーダー状況などに応じて任意に設定されてよい。
【0036】
また、移動先情報設定部40は、第1位置から第2位置まで移動する移動体10(作業を行う移動体10)を指定する指定情報も、移動先情報を設定してよい。すなわち本実施形態の例では、移動先情報設定部40は、目標物情報と第1位置情報と第2位置情報と優先度情報)と指定情報とを対応付けて、目標物P毎の移動先情報を設定してよい。この場合例えば、移動体10毎に識別子が付与されており、その識別子を示す情報を指定情報としてよい。
【0037】
移動先情報設定部40は、任意の方法で移動先情報を設定してよい。例えば、移動先情報設定部40は、搬送すべき目標物Pと搬送元及び搬送先を示すオーダー情報を取得して、それに基づいて移動先情報を設定してよい。移動先情報設定部40は、設定した移動先情報を、通信部30を介して、情報処理装置14に送信する。
【0038】
(移動先情報の取得)
情報処理装置14の移動先情報取得部60は、通信部50を介して、管理装置12から、移動先情報を取得する。
【0039】
(作業の設定)
情報処理装置14の作業設定部62は、移動先情報に基づいて、移動体10の作業を設定する。作業設定部62は、移動体10の作業として、移動先までの移動体10の経路Rを設定する。本実施形態では、作業設定部62は、移動体10が第1位置までの移動を開始する直前に位置する初期位置から、第1位置情報が示す第1位置(搬送元)までの第1経路と、第1位置から、第2位置情報が示す第2位置(搬送先)までの第2経路とを、移動体10の経路Rとして設定する。すなわち、作業設定部62は、初期位置から1位置までの各ウェイポイントAを第1経路とし、第1位置から第2位置までの各ウェイポイントAを第2経路として、移動体10の経路Rを設定する。図1の例では、移動先情報においては、第1位置がウェイポイントAbであり、第2位置がウェイポイントAcとされており、作業設定部62は、選定した移動体10の初期位置であるウェイポイントAaからウェイポイントAbまでの各ウェイポイントAを通る第1経路と、ウェイポイントAbからウェイポイントAcまでの各ウェイポイントAを通る第2経路とを、その移動体10の経路Rとして設定する。
【0040】
図7は、作業の設定を説明するための表である。作業設定部62は、設備Wに複数の移動体10が配備されている場合には、移動体10の作業として、目標物Pを搬送する移動体10を選定する。また、作業設定部62は、複数の目標物Pについての移動先情報が設定されている場合には、目標物P毎に、移動体10の経路Rを設定する。すなわち、作業設定部62は、目標物P毎にその目標物Pを搬送する移動体10を選定して、選定した移動体10の経路を設定する。図7の例では、作業設定部62は、移動情報に示された目標物P1を搬送する移動体10として、移動体10Aを選定し、移動体10Aの初期位置から、第1位置であるA1を通り、第2位置であるA2に到達する経路(...ウェイポイントA1...)を設定する。図7に示された他の目標物Pに対して選定される移動体とその経路(ウェイポイント)の説明は、同様であるため省略する。なお、作業設定部62は、任意の方法で移動体10を選定してよいが、例えば、全ての目標物Pの搬送完了までの時間が最短となるように、目標物P毎に移動体10を選定してよい。また、移動先情報において、指定情報として対象となる移動体10が指定されている場合には、その指定情報で指定された移動体10を選定すればよい。
【0041】
作業設定部62は、設定した作業の情報を、その作業が割り当てられた移動体10に送信する。図7の例では、作業設定部62は、移動体10Aに対して、目標物P1についての作業の情報と、目標物P2についての作業の情報とを送信する。作業設定部62は、作業の情報として、経路Rの情報を送信する。作業設定部62は、経路Rの情報として、経路Rが通る各ウェイポイントAを示す情報を送信する。例えば、作業設定部62は、経路Rの情報として、経路Rが通る各ウェイポイントAの位置(座標)情報を移動体10に送信してもよいし、経路Rが通る各ウェイポイントAの識別子を示す情報を移動体10に送信してもよい。
【0042】
(移動体の移動)
移動体10の作業取得部80は、情報処理装置14から、自身の移動体10について設定された経路Rの情報を取得する。移動体10の移動制御部82は、取得された経路Rに従って、移動体10を移動させる。移動制御部82は、経路Rが通る各ウェイポイントAを通るように、移動体10を移動させる。移動体10は、移動制御部82により、移動体10の位置情報を逐次把握することで、経路R上の各ウェイポイントAを通るように移動する。移動制御部82による移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wに図示しない検出体が設けられており、移動制御部82は、検出体の検出に基づき移動体10の位置及び姿勢の情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体に向けてレーザ光を照射し、検出体によるレーザ光の反射光を受光して、設備Wにおける自身の位置及び姿勢を検出する。移動体10の位置及び姿勢の情報の取得方法は、検出体を用いることに限られず、例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いてもよい。
【0043】
図1の例では、移動制御部82は、初期位置であるウェイポイントAaから第1位置であるウェイポイントAbまでの各ウェイポイントAを通るように、移動体10をウェイポイントAaからウェイポイントAbまで移動させる。移動制御部82は、移動体10がウェイポイントAbまで到達したら、フォーク24を制御することで、ウェイポイントAbに対向する設置領域AR1に設けられた目標物Pの開口Pbにフォーク24を挿入して、目標物Pをピックアップ(荷取り)する。なおこの場合、移動制御部82は、ウェイポイントAbから、又は、ウェイポイントAbに到達する前の位置から、センサ26Aによって目標物Pの位置及び姿勢を検出させてもよい。そして、移動制御部82は、目標物Pの位置及び姿勢に基づいて、目標物Pまでのアプローチ経路を設定して、そのアプローチ経路に従って目標物Pにアプローチして、目標物Pをピックアップしてもよい。すなわちこの場合、移動制御部82は、検出した目標物Pの位置及び姿勢に対して、所定の位置及び姿勢(移動体10が目標物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢)となる新たなアプローチ経路を設定して、そのアプローチ経路に従って目標物Pにアプローチしてもよい。また例えば、移動制御部82は、目標物Pの位置及び姿勢の検出結果と、移動体10の位置及び姿勢の検出結果とに基づき、フィードバック制御(直接フィードバック制御)を行うことで、移動体10を目標物Pにアプローチさせてもよい。この場合、目標物Pの位置及び姿勢に基づいた経路に従ったアプローチ中に、直接フィードバック制御に切り替えてもよい。
【0044】
移動制御部82は、移動体10が目標物Pをピックアップしたら、ウェイポイントAbまで移動体10を戻し、ウェイポイントAbから、第2位置であるウェイポイントAcまでの各ウェイポイントAを通るように、移動体10をウェイポイントAcまで移動させる。移動制御部82は、移動体10がウェイポイントAcまで到達したら、フォーク24を制御することで、ウェイポイントAcに対向する設置領域AR1に、目標物Pをドロップ(荷下ろし)する。
【0045】
移動制御部82は、移動体10が目標物Pをドロップしたら、ウェイポイントAcまで移動体10を戻す。移動制御部82は、ウェイポイントAcを初期位置とした次の経路Rが設定されている場合には、その経路Rに従って移動体10を移動させる。
【0046】
なお、移動制御部82は、センサ26Aによって周囲を検出させつつ、移動体10を移動させる。移動制御部82は、このまま移動体10を移動させると、センサ26Aによって検出された周囲の物体に干渉するかを判断して、干渉すると判断した場合には、移動体10の移動を停止させる。これにより、移動体10は、他の移動体10や障害物などの周囲の物体との衝突が抑制される。周囲の物体が移動体10に干渉するかの判断基準は任意であってよいが、例えば移動体10から物体までの距離が、所定の閾値未満となった場合に、干渉すると判断してよい。
【0047】
(排他領域)
ここで、移動体10は、上述のように周囲の物体との衝突を抑制しつつ移動するよう制御されるが、移動体10同士がデッドロックを起こすおそれがある。それに対して、本実施形態においては、移動中の移動体10に対して排他領域Tを設定することで、デッドロックの発生を抑制する。排他領域Tとは、その移動体10に占有される領域である。すなわち、排他領域Tには、その移動体10の進入は許可されるが、他の移動体10の進入は禁止される。以下、排他領域Tの設定方法について具体的に説明する。なお、デッドロックとは、複数の実行中のプログラムなどが互いに他のプログラムの結果待ちとなり、待機状態に入ったまま動かなくなる現象を指す。本実施形態では、互いの移動体10がこのままの経路で移動を継続した場合には衝突するおそれがあり、かつ、進行方向側に向かう回避経路が設定できない場合に、互いの移動体10が停止したままとなる現象を指してよい。
【0048】
(移動情報の取得)
図8及び図9は、排他領域の設定を説明するための模式図である。以降では、排他領域Tの設定対象となる移動体10を第1移動体とし、排他領域Tを設定する時間帯を、第1時間帯として説明する。この場合、情報処理装置14の移動情報取得部64は、第1移動体についての移動情報を取得する。移動情報取得部64は、第1移動体が第1時間帯において位置することが予定されている第1位置の位置情報と、第1移動体の進行方向の情報とを、移動情報として取得する。
【0049】
移動情報取得部64は、任意の方法で第1位置の位置情報を取得してよいが、例えば、第1移動体の位置情報に基づいて、第1位置の位置情報を取得してよい。この場合例えば、移動情報取得部64は、第1移動体から、第1移動体の現在の位置情報を取得して、第1移動体の現在の位置情報に基づいて、第1時間帯における第1移動体の予測位置を算出して、第1位置としてよい。また例えば、第1移動体が、現在の位置情報に基づいて、第1時間帯における第1移動体の予測位置を第1位置として算出して、移動情報取得部64は、第1移動体から、算出された第1位置の位置情報を取得してよい。
【0050】
第1移動体の進行方向の情報とは、第1移動体の経路Rにおける進行方向を示す情報である。第1移動体の経路R(通過する各ウェイポイントA)は、作業設定部62により予め設定されているため、第1移動体の進行方向も予め設定されているといえる。従って、移動情報取得部64は、第1移動体の経路Rの情報から、第1移動体の進行方向の情報を取得できる。
【0051】
図8では、移動体10A(第1移動体)の第1時間帯における第1位置が、ウェイポイントAであり、ウェイポイントAにおける移動体10Aの進行方向が、Y方向と反対方向(ウェイポイントAからウェイポイントAに向かう方向)である例が示されている。
【0052】
(第2位置の設定)
情報処理装置14の作業設定部62は、第1移動体の移動情報に基づいて、第1移動体の排他領域Tを設定する。作業設定部62は、第1時間帯における第1位置の位置情報及び進行方向に基づいて、第1位置よりも進行方向側の位置である第2位置を設定する。作業設定部62は、第1位置よりも進行方向側の任意の位置を第2位置として設定してよいが、本実施形態では、第1移動体の速度に基づいて、第2位置を設定する。例えば、作業設定部62は、次の式(1)に基づいて、距離Lを算出し、第1位置から進行方向側に距離Lだけ離れた位置を、第2位置として設定してよい。なお、ここでの第1移動体の速度は、任意に取得されてよく、例えば、予め設定された移動体10の制限速度を第1移動体の速度としてよいし、計測された実際の速度を第1移動体の速度としてもよい。
【0053】
L=C・V+C・V+C ・・・(1)
【0054】
式(1)におけるVは、第1移動体の移動速度であり、C、C、及びCは、予め設定される係数である。係数Cは、移動体10の制動距離を考慮して設定されることが好ましい。係数Cは、想定される最大の遅れ時間(第1位置への到達時刻の最大億例時間)と、移動体10と情報処理装置14との通信時間とを考慮して設定されることが好ましい。係数Cは、移動体10の大きさを考慮して設定されることが好ましい。
【0055】
図8では、ウェイポイントAよりもY方向と反対方向にあるウェイポイントAが、第2位置として設定された例が示されている。
【0056】
(排他領域の設定)
作業設定部62は、第1位置と第2位置との間の領域(経路)を、言い換えれば、第1位置から進行方向の前方側の領域を、第1時間帯における第1移動体の排他領域Tに設定する。さらに言えば、作業設定部62は、第1位置から第2位置までの領域を、言い換えれば、第1位置とされたウェイポイントAから第2位置とされたウェイポイントAまでの各ウェイポイントAを、第1時間帯における第1移動体の排他領域Tに設定する。作業設定部62は、第1位置と第2位置との間の領域の位置情報を、すなわち排他領域Tの位置を示す情報を、排他領域Tの情報として設定する。さらに、作業設定部62は、排他領域Tの位置を示す情報に加えて、排他領域Tにおける第1移動体の進行方向の情報も、排他領域Tの情報として設定する。図8の例では、第1位置であるウェイポイントAから第2位置であるウェイポイントA4までの領域が、すなわちウェイポイントA、A、A、Aが、第1時間帯における移動体10Aの排他領域TAとして設定された例が示されており、排他領域TAでの移動体10Aの進行方向は、Y方向と反対方向側(ウェイポイントA、A、A、Aを結ぶ方向)となっている。
【0057】
より詳しくは、作業設定部62は、第1位置及び第2位置の位置情報と、第1位置における第1移動体の移動情報と、他の移動体の排他領域Tの情報とに基づいて、第1移動体の排他領域Tの設定が可能かを判断する。具体的には、作業設定部62は、第1移動体以外の移動体について設定済みの排他領域Tの位置情報と、その排他領域Tにおける移動体の進行方向の情報とを、他の移動体の排他領域Tの情報として取得する。そして、作業設定部62は、他の移動体の排他領域Tのうちで、重複排他領域があるかを判断する。重複排他領域とは、第1時間帯において設定され、第1移動体についての第1位置から第2位置までの領域(各ウェイポイントA)と重複し、かつ、進行方向が第1移動体の進行方向と異なる排他領域Tである。他の移動体の排他領域Tが第1移動体についての第1位置から第2位置までの領域に重なるとは、それぞれの領域の少なくとも一部同士が重なることを指す。また、進行方向が第1移動体の進行方向と異なるとは、重複した領域において、第1移動体の進行方向と他の移動体の進行方向とが異なることを指し、さらに言えば、重複した領域において、第1移動体の進行方向と他の移動体の進行方向とが反対であることを指す。
【0058】
作業設定部62は、重複排他領域がある場合には、第1時間帯における第1移動体の排他領域Tを設定しない。すなわち、作業設定部62は、他の移動体10が、同じ時間帯に、異なる進行方向に重複する位置を予約済みである場合には、第1移動体の排他領域Tを設定しない。図8において、ウェイポイントA、A、A、Aが、第1時間帯に、Y方向(ウェイポイントA、A、A、Aを結ぶ方向)を進行方向として、移動体10Bの排他領域TBとして設定済みである場合を例にする。この場合、移動体10Aの進行方向は、排他領域TBでの移動体10Bの進行方向と反対であり、第1位置から第2位置までの領域はウェイポイントA、A、A、Aであり排他領域TBと重なる。従って、移動体10Aの排他領域TAは設定されない。
【0059】
一方、作業設定部62は、重複排他領域が無い場合には、第1位置から第2位置までの領域を、第1時間帯において第1移動体の排他領域として設定する。すなわち、作業設定部62は、同じ時間帯に、他の移動体10によって重複する位置が予約されていない場合に、第1移動体の排他領域Tを設定する。さらに言えば、作業設定部62は、他の移動体10が、同じ時間帯に重複する位置を予約済みであっても、その移動体10の進行方向が第1移動体の進行方向と同じである場合には、排他領域Tを設定する。図9において、ウェイポイントA、A、A、Aが、第1時間帯に、Y方向と反対方向(ウェイポイントA、A、A、Aを結ぶ方向)を進行方向として、移動体10Bの排他領域TBとして設定済みである場合を例にする。この場合、移動体10Aの第1位置から第2位置までの領域はウェイポイントA、A、A、Aであり排他領域TBと重なるが、進行方向は、排他領域TBでの移動体10Bの進行方向と同じである。従って、移動体10Aの排他領域TAが設定される。
【0060】
(排他領域の送信)
作業設定部62は、第1移動体の排他領域Tを設定したら、第1時間帯における排他領域T内の移動を許可する旨の指令を、第1移動体に出力する。第1移動体は、第1時間帯における排他領域T内の移動を許可する旨の指令を取得したら、第1時間帯において、排他領域T内を移動可能となる。一方、移動体10Aの排他領域TAが設定されない場合には、作業設定部62は、第1時間帯における排他領域T内の移動を許可しない旨の指令を、第1移動体に出力するが、それに限られず、許可しない旨の指令を第1移動体に出力しなくてもよい。第1移動体は、許可しない旨の指令を取得したら、又は、許可する旨の指令を取得しない場合には、第1時間帯において排他領域T内を移動しない。すなわちこの場合、第1移動体は、第1時間帯において、排他領域Tに進入せず排他領域T外に位置することとなる。
【0061】
また、第1時間帯に第1移動体の排他領域Tが設定された後には、作業設定部62は、他の移動体10(第2移動体)に対して、第1時間帯において、第1移動体と異なる進行方向に、排他領域T内を移動することを許可しない。すなわち図8の例で、移動体10Aの排他領域TAが設定された場合には、移動体10Bには排他領域TBが設定されず、移動体10Bは、第1時間帯においてウェイポイントA、A、A、Aを移動できない。一方、作業設定部62は、他の移動体10(第2移動体)に対して、第1時間帯において、第1移動体と同じ方向には、排他領域T内の移動を許可する。すなわち図9の例で、移動体10Aの排他領域TAが設定された場合には、移動体10Bには排他領域TBが設定され、移動体10Bは、第1時間帯において、ウェイポイントA、A、A、Aを移動できる。
【0062】
移動情報取得部64は、以上のように排他領域Tを設定して指令を出力する処理を、それぞれの移動体10に対して、所定の時間毎に実行する。すなわち、移動情報取得部64は、それぞれの移動体10について、所定の時間毎に、移動体10の進行方向の前方側に排他領域Tを設定することで、それぞれの移動体10の移動に合わせて、排他領域Tを逐次更新する。
【0063】
(交差点における排他領域の例)
図10は、交差点における排他領域の設定の例を説明する模式図である。図10は、ウェイポイントA、A、Aを結ぶ経路と、ウェイポイントA12、A、A11を結ぶ経路とが交差している場合を例にしている。図10においては、ウェイポイントA12、A、Aが、この順を進行方向として、排他領域TAに設定されている。この場合、ウェイポイントA11、A、Aをこの順を進行方向とする経路は、排他領域TAと重なるが、進行方向が同じである。従って、他の移動体は、この経路を移動可能であり、言い換えれば、この経路も排他領域として設定可能である。また、ウェイポイントA11、A、Aをこの順を進行方向とする経路は、排他領域TAと重ならない。従って、他の移動体は、この経路を移動可能であり、言い換えれば、この経路も排他領域として設定可能である。一方、ウェイポイントA、A、A12をこの順を進行方向とする経路は、排他領域TAと重なり、進行方向が反対となる区間を含む。従って、他の移動体は、この経路を移動不可能であり、言い換えれば、この経路は排他領域として設定できない。
【0064】
(処理フロー)
次に、以上説明した排他領域Tの設定フローについて説明する。図11は、本実施形態に係る排他領域の設定フローを説明するフローチャートである。図11に示すように、情報処理装置14は、移動情報取得部64により、第1移動体の移動情報を取得し(ステップS10)、作業設定部62により、第1移動体の移動情報に基づき、第1位置と第2位置とを設定する(ステップS12)。作業設定部62は、第1位置と第2位置との間において、同じ時間帯に、進行方向が異なる他の排他領域T(重複排他領域)が設定済みであるかを判断して(ステップS14)、重複排他領域が設定済みでない場合(ステップS14;No)、作業設定部62は、第1位置と第2位置との間を、第1移動体の排他領域Tに設定する(ステップS16)。その後、ステップS18に進み、処理を終了する場合(ステップS18;Yes)、本処理を終了し、処理を終了しない場合(ステップS18;No)、ステップS10に戻り、次の時間帯における排他領域Tの設定処理を続ける。また、重複排他領域が設定済みである場合にも、ステップS18に進んで、次の時間帯における排他領域Tの設定処理を続けてよい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態においては、第1移動体の進行方向の前方側の領域を、すなわち第1位置と第2位置との間の領域を、排他領域Tとして設定する。この排他領域Tには、第1移動体とは異なる進行方向に進む移動体が進入できないが、第1移動体と同じ進行方向に進む移動体が進入できるように、設定されている。このように、進行方向の前方側の領域を排他領域Tとすることで、例えば、移動体10の移動に遅れが生じた場合にも、デッドロックが生じることを抑制できる。また、異なる進行方向に進む移動体の進入を許可しないように排他領域Tを設定することで、異なる方向に進む移動体10同士が正対することによるデッドロックを適切に抑制できる。また、異なる進行方向の移動を許可しないという簡単な手順により、デッドロックを抑制できる。さらに、同じ進行方向に進む移動体の進入を許可するように、排他領域Tを設定することで、デッドロックのリスクが低い同じ方向の移動体の移動制限を減らして、スループットを向上できる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、排他領域Tの設定方法が、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0067】
図12は、第2実施形態における排他領域の一例を示す模式図である。ここで、第1移動体が移動予定の経路上において、その経路が他の経路と分岐(交差)する位置を第1分岐位置とし、進行方向において第1分岐位置の次に他の経路と分岐(交差)する位置を、第2分岐位置とする。すなわち、第1分岐位置と第2分岐位置との間においては、経路が他の経路に分岐していない。この場合、作業設定部62は、設定した第2位置が、第1分岐位置と第2分岐位置との間に位置する場合には、第1位置から第2分岐位置までを、排他領域Tとして設定する。図12の例では、移動体10Aの第1位置がウェイポイントAであり、第2位置がウェイポイントAである。そして、ウェイポイントAは、第1分岐位置であるウェイポイントAと第2分岐位置であるウェイポイントAとの間に位置しているため、作業設定部62は、ウェイポイントAからウェイポイントAまでの各ウェイポイントAを、第1時間帯における移動体10Aの排他領域TAに設定する。従って、移動体10Bが、ウェイポイントA、A、A、A11、A12をこの順を進行方向とする排他領域TBは、ウェイポイントAが排他領域TAに重複し、かつウェイポイントAでの進行方向が反対であるため、設定されない。
【0068】
このように、第2実施形態においては、第2位置が、第1分岐位置と第2分岐位置との間の分岐しない経路上に位置している場合には、排他領域Tを、第2位置に対して進行方向側に隣接する第2分岐位置まで伸ばす。これにより、デッドロックをより好適に抑制できる。例えば図12において、第2位置であるウェイポイントAまでを排他領域TAに設定したとすると、移動体10Bは、同じ時間帯にウェイポイントAまで進入可能となる。この場合、移動体10AがウェイポイントAに向けてY方向と反対側に進み、移動体10BがウェイポイントAからY方向側に進むこととなるため、移動体10A、10Bが正対して、デッドロックを生じるおそれがある。それに対して、第2実施形態においては、第2分岐位置であるウェイポイントAまで排他領域TAにするため、移動体10BがウェイポイントAまで進入できず、デッドロックを好適に抑制できる。
【0069】
図13は、第2実施形態における排他領域の他の例を示す模式図である。ここで、図13に示すように、移動体10Bの経路として、移動体10Aの進行方向と反対側に向かうように排他領域TA内に進入した後、移動体10Aの進行方向と同じ方向側に切り返した経路が設定される場合がある。このように、移動体10Bの経路が、排他領域TA内において、移動体10Aの進行方向と反対側に向かった後、同じ方向側に切り返している場合には、作業設定部62は、移動体10Bの排他領域TBを設定してよい。すなわち、図13の例では、移動体10Bの経路が、ウェイポイントA、A、A、Aの順となっている場合には、作業設定部62は、第1位置であるウェイポイントA、ウェイポイントA、ウェイポイントA、及び第2位置であるAを、その移動体10Bについての排他領域TBに設定してよい。すなわち、移動体10Bが、移動体10Aの進行方向と反対側に向かっているが、後で切り返して移動体10Aの進行方向側に向かう場合には、移動体10Aとのデッドロックは生じない。そのため、移動体10Aの排他領域TAが設定されていたとしても、移動体10Bの排他領域TBを設定可能としている。
【0070】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第2実施形態においては、排他領域Tの設定方法が、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。第3実施形態は、第2実施形態にも適用可能である。
【0071】
図14は、第3実施形態における排他領域の一例を示す模式図である。作業設定部62は、他の移動体の排他領域Tのうちで、近傍排他領域があるかを判断する。近傍排他領域とは、第1移動体の経路とは別であるが近い位置の経路(ウェイポイントA)上に設定された排他領域を指す。具体的には、近傍排他領域とは、第1時間帯(第1移動体の排他領域を設定する時間帯)において設定され、第1移動体についての第1位置から第2位置までの領域(各ウェイポイントA)に対して所定距離範囲内にあり、かつ、所定距離範囲内となる区間において、進行方向が第1移動体の進行方向と異なる排他領域Tである。ここでの、進行方向が第1移動体の進行方向と異なるとは、進行方向が第1移動体の進行方向と反対であることに限られず、第1移動体の進行方向と交差する方向も含む。また、ここでの所定距離は、任意に設定されてよい。例えば、所定距離だけ離れたそれぞれの位置に移動体10が位置している場合に、移動体10同士が干渉してしまうような距離を、所定距離としてよい。
【0072】
作業設定部62は、近傍排他領域がある場合には、第1時間帯における第1移動体の排他領域Tを設定しない。すなわち、作業設定部62は、他の移動体10が、同じ時間帯に、異なる進行方向に近い経路を予約済みである場合には、第1移動体の排他領域Tを設定しない。図14において、第1時間帯に、Y方向(ウェイポイントA、A、A、Aを結ぶ方向)を進行方向として、ウェイポイントA、A、A、Aが、移動体10Bの排他領域TBとして設定済みである場合を例にする。この場合、移動体10Aの進行方向は、排他領域TBでの移動体10Bの進行方向と反対であり、第1位置から第2位置までの領域はウェイポイントA、A、A、Aであり、排他領域TBに対して所定距離範囲内にある。従って、移動体10Aの排他領域TAは設定されない。
【0073】
一方、作業設定部62は、近傍排他領域が無い場合には、第1位置から第2位置までの領域を、第1時間帯において第1移動体の排他領域として設定する。すなわち、作業設定部62は、同じ時間帯に、他の移動体10によって近傍の位置が予約されていない場合に、第1移動体の排他領域Tを設定する。さらに言えば、作業設定部62は、他の移動体10が、重複する時間帯に近傍の位置(近傍排他領域)を予約済みであっても、その移動体10の進行方向が第1移動体の進行方向と同じである場合には、排他領域Tを設定する。すなわち図14の例で、排他領域TBでの移動体10Bの進行方向が、Y方向と反対側である場合には、ウェイポイントA、A、A、Aが、移動体10Aの排他領域Tとして設定される。
【0074】
また、第1時間帯に第1移動体の排他領域Tが設定された場合には、作業設定部62は、他の移動体10(第2移動体)に対して、第1時間帯において、第1移動体と異なる進行方向に、排他領域Tから所定距離内の経路を移動することを許可しない。すなわち図14の例で、移動体10Aの排他領域TAが設定された場合には、移動体10Bには排他領域TBが設定されず、移動体10Bは、第1時間帯においてウェイポイントA、A、A、Aを移動できない。一方、作業設定部62は、他の移動体10(第2移動体)に対して、第1時間帯において、第1移動体と同じ方向には、排他領域T内の移動を許可する。すなわち図14の例で、移動体10Bの進行方向がY方向と反対側の場合には、移動体10Bにも、ウェイポイントA、A、A、Aにおいて排他領域TBが設定され、移動体10Bは、第1時間帯において、排他領域TBを移動できる。
【0075】
このように、第3実施形態においては、排他領域Tとは異なる経路であるが、距離が近い場合には、その経路の移動を許可しない。従って、複数の移動体10が同じ時間帯に近い経路を移動することによるデッドロックの発生を、抑制できる。
【0076】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態においては、排他領域Tの設定方法が、第1実施形態とは異なる。第4実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。第4実施形態は、第2実施形態及び第3実施形態にも適用可能である。
【0077】
図15は、第4実施形態における排他領域の一例を示す模式図である。第4実施形態においては、作業設定部62は、第1移動体について設定された経路Rの情報と、第1移動体以外の移動体について設定された経路Rの情報とを取得する。そして、作業設定部62は、第1移動体について設定された経路Rのうちで、第1移動体以外の移動体について設定された経路Rと重なる区間である重複区間を抽出する。作業設定部62は、第1移動体についての第1位置と第2位置との間の経路が、重複区間に重なるかを判断する。ここで、第1位置と第2位置との間の経路が重複区間に重なるとは、第1位置と第2位置との間の経路と、重複区間との、少なくとも一部同士が重なることを指す。作業設定部62は、第1位置と第2位置との間の経路が重複区間に重なる場合には、第1位置から、重複区間における端部位置までを、排他領域Tとして設定する。重複区間における端部位置とは、重複区間のうちの、第1移動体の進行方向側の端部(最も第1移動体の進行方向側のウェイポイントA)を指す。図12の例では、移動体10Aの経路がウェイポイントA、ウェイポイントA~A、ウェイポイントA~A10の順であり、移動体10Bの経路がウェイポイントA11、ウェイポイントA~A、ウェイポイントA~Aの順であるため、重複区間は、ウェイポイントA~A~Aとなる。そして、移動体10Aの第1位置はウェイポイントAであり、第2位置がウェイポイントAとすると、作業設定部62は、ウェイポイントAからウェイポイントAまでを、移動体10Aの排他領域TAとして設定する。
【0078】
このように、第4実施形態においては、第1位置から第2位置までの領域が、他の移動体10の経路と重なる場合には、排他領域Tを、その重なっている区間の最終地点まで伸ばす。これにより、重複して経路が設定される区間におけるデッドロックを、より好適に抑制できる。
【0079】
(効果)
以上説明したように、本開示に係る情報処理方法は、第1移動体が第1時間帯に通過を予定する第1位置の情報と、第1移動体の進行方向の情報とを含む、第1移動体の移動情報を取得するステップと、第1移動体の移動情報に基づいて、第1位置と、第1位置よりも第1移動体の進行方向側の第2位置との間を、第1時間帯において排他領域Tとして設定するステップとを含む。排他領域Tは、第1移動体以外の第2移動体が、第1時間帯において、第1移動体と異なる進行方向に排他領域T内を移動することが許可されず、第2移動体が、第1時間帯において、第1移動体と同じ進行方向に排他領域T内を移動することが許可されるように、設定される。
【0080】
本開示によると、このように、進行方向の前方側の領域を排他領域Tとすることで、例えば、移動体10の移動に遅れが生じた場合にも、デッドロックが生じることを抑制できる。また、異なる進行方向に進む移動体の進入を許可しないように排他領域Tを設定することで、異なる方向に進む移動体10同士が正対することによるデッドロックを適切に抑制できる。また、異なる進行方向の移動を許可しないという簡単な手順により、デッドロックを抑制できる。さらに、同じ進行方向に進む移動体の進入を許可するように、排他領域Tを設定することで、デッドロックのリスクが低い同じ方向の移動体の移動制限を減らして、スループットを向上できる。
【0081】
排他領域Tを設定するステップにおいては、第1移動体の速度に基づき、第2位置を設定する。このように第2位置を設定することで、デッドロックが生じることをより好適に抑制できる。
【0082】
排他領域Tを設定するステップにおいては、第1移動体の進行方向側の経路上において、他の経路と分岐する第1分岐位置と、第1分岐位置の次に他の経路と分岐する第2分岐位置との間に、第2位置が位置する場合には、第1位置から第2分岐位置までを、排他領域Tとして設定する。このように排他領域Tを設定することで、デッドロックが生じることをより好適に抑制できる。
【0083】
排他領域Tは、第2移動体が、第1時間帯において、排他領域から所定距離範囲内の経路を移動することが許可されないように設定される。このように排他領域Tを設定することで、複数の移動体10が同じ時間帯に近い経路を移動することによるデッドロックの発生を、抑制できる。
【0084】
本開示の情報処理方法は、第1移動体が移動予定の第1経路と、第2移動体が移動予定の第2経路の情報を取得するステップをさらに含む。排他領域Tを設定するステップでは、第1位置と第2位置の間の区間が、第1経路と第2経路とが重複する重複区間に重なる場合には、第1位置から、重複区間の、第1移動体の進行方向側の端部位置までを、排他領域Tとして設定する。これにより、重複して経路が設定される区間におけるデッドロックを、より好適に抑制できる。
【0085】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
10 移動体
12 管理装置
14 情報処理装置
40 移動先情報設定部
60 移動先情報取得部
62 作業設定部
64 移動情報取得部
80 作業取得部
82 移動制御部
A ウェイポイント
P 目標物
T 排他領域
図1
図2
図3
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図5
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図15