(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池に用いられる高配向性コレクタおよびその製造方法並びに使用
(51)【国際特許分類】
H01M 4/66 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
H01M4/66 A
(21)【出願番号】P 2022532632
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2019122333
(87)【国際公開番号】W WO2021108946
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】521437965
【氏名又は名称】ホーフェイ ゴション ハイテク パワー エナジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】張雅
(72)【発明者】
【氏名】程騫
(72)【発明者】
【氏名】蔡毅
(72)【発明者】
【氏名】李晨
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-073500(JP,A)
【文献】特開2010-257712(JP,A)
【文献】特開2007-213930(JP,A)
【文献】国際公開第2013/172256(WO,A1)
【文献】特開2018-198197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレクタであって、
導電粒子が充填される樹脂材料を前記コレクタとして採用し、
前記コレクタにおける前記導電粒子と
前記樹脂材料とは、間隔を隔てて分布しており、
X-Y方向において、導電パスを形成する
前記導電粒子の個数が
前記導電粒子の総数の20%以下であり、
Z方向において、導電パスを形成する
前記導電粒子の個数が
前記導電粒子の総数の60%以上であり、
前記導電粒子で幅が500nm-5μmの導電パスが形成され、
隣り合う導電パスの距離は、500nm-5μmであり、
前記コレクタにおける
前記導電粒子の重量パーセントは、30wt%-70wt%である、コレクタ。
【請求項2】
前記導電粒子は、炭素材料ナノ粒子を含む、請求項1に記載のコレクタ。
【請求項3】
前記炭素材料は、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、VGCFのうちの1種または2種以上の組み合わせから選択されるものである、請求項2に記載のコレクタ。
【請求項4】
前記グラフェンの粒子サイズは、5nm-100nmであり、
カーボンブラック、ケッチェンブラックの粒子サイズは、1nm-100nmであり、
カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブを選択可能であり、その直径が1nm-5nmであり、長さが10nm-500nmであり、
炭素繊維、VGCFの直径が80nm-200nmであり、BETが5m
2/g-30m
2/gであり、長さが200nm-5μmである、請求項3に記載のコレクタ。
【請求項5】
樹脂材料は、ポリオレフィン系の材料であって、前記ポリオレフィン系の材料は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのうちの1種または2種以上の組み合わせの共重合物または混合物である、請求項1に記載のコレクタ。
【請求項6】
厚みは、5-30μmである、
請求項1に記載のコレクタ。
【請求項7】
表面インピーダンスは、15mohm/sqより低い、請求項1に記載のコレクタ。
【請求項8】
密度は、0.7g/ccより小さい、請求項1に記載のコレクタ。
【請求項9】
請求項1乃至
8のいずれか1項に記載のコレクタを製造する方法であって、
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合するステップと、
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラによって、該当する厚みおよび内部構造となるようにフィルムを引張るステップと、を含む、方法。
【請求項10】
引張速度は、5m/min-30m/minであり、引張張力は、40N-80Nである、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1乃至
8のいずれか1項に記載のコレクタを含む、リチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池に用いられる高配向性コレクタおよびその製造方法並びに使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過去20年において、リチウムイオン電池は、既に新エネルギー自動車の最も重要な動力源となった。リチウムイオン電池を広く普及させるために、リチウムイオン電池の性能を向上させると同時にそのコストをさらに低減する必要がある。また、電気自動車の航続距離を向上させるために、業界ではリチウムイオン電池がより高いエネルギー密度を備えることを絶え間なく求め続けている。電気自動車の設計に対して、単一のセルのエネルギー密度の向上と比較して、電気自動車によるパックの設計に対する要求に合致するために、安全が保証される場合にパック全体のエネルギー密度を向上させる必要がある。また、現在の電池パックの設計は、セル→モジュール→パックで構成され、設計の複雑性および空間利用率がさらに増加した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、操作が簡易であるとともに配向度が高いコレクタを大規模に製造可能な方法を提供することにある。
【0004】
本発明の別の目的は、上記の方法によって製造される高配向性コレクタを提供することにある。
【0005】
本発明のまた別の目的は、上記のコレクタの使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術方案によって実現される。
【0007】
本発明の一側面によれば、導電粒子を添加した樹脂材料で製造されるコレクタを提供する。
【0008】
本発明のコレクタでは、導電粒子と樹脂材料とが間隔を隔てて分布しており、そのうち、導電粒子は、導電パスを形成し、X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数(個数)の20%以下であり、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数(個数)の60%以上である。
【0009】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明のコレクタにおいて、導電粒子の材料は、炭素材料ナノ粒子であって、例えばカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素繊維、気相成長炭素繊維(VGCF)のうちの1種または2種以上の組み合わせであってもよい。そのうち、グラフェンの粒子サイズは、5nm-100nmであり、カーボンブラック、ケッチェンブラックの粒子サイズは、1nm-100nmであり、カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブを選択可能であり、その直径が1nm-5nmであり、長さが10nm-500nmであり、炭素繊維、VGCFの直径が80nm-200nmであり、BETが5m2/g-30m2/gであり、長さが200nm-5μmである。2種以上の組み合わせである炭素材料を採用する場合、炭素材料の固体含有量は、10wt%-70wt%であり、例えば、グラフェン+カーボンナノチューブの混合、またはカーボンブラック+ケッチェンブラックの混合、またはカーボンブラック+ケッチェンブラック+カーボンナノチューブの混合などであってもよい。
【0010】
本発明のコレクタにおいて、樹脂材料(基質が有機物)は、ポリオレフィン系の材料を採用することができる。例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのうちの1種または2種以上の組み合わせで形成される共重合物または混合物であってもよい。相対密度に応じて、低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)とに分けられ、LDPEの密度が0.91-0.925g/cm3であり、HDPEの密度が0.94g/cm3より大きい。
【0011】
上記の樹脂材料は、正極および負極の電位に対してより安定し、かつその密度が金属より低く、電池の重量エネルギー密度の向上に寄与する。例えば、充放電電圧の範囲は、2.5-3.8V(LFP)、2.5-4.2V(NCM)であり、正極のタップ密度は、2.3-2.6g/cc(LFP)、3.5-3.8g/cc(NCM)であり、負極のタップ密度は、1.3-1.7g/cc(黒鉛)である。
【0012】
本発明のコレクタにおいて、導電粒子の体積パーセントは、30wt%-70wt%である。
【0013】
本発明の高配向性樹脂コレクタの厚みは、5-30μmであることが好ましい。より好ましくは、コレクタの厚みは、20μmより小さく、15μmより小さいことが好ましく、10μmより小さいことがより好ましい。
【0014】
本発明のコレクタにおいて、導電粒子で幅が500nm-5μmの導電パスが形成され、
隣り合う導電パスの間に樹脂材料で充填され、樹脂材料は、導電しなく、隣り合う導電パスの距離は、500nm-5μmである。
【0015】
本発明の具体的な実施形態によれば、本発明のコレクタの表面インピーダンスは、15mohm/sqより低く、または10mohm/sqより低い。
【0016】
本発明のコレクタは、導電粒子が充填される樹脂をコレクタとして採用し、X-Y方向において低い導電性を有する一方、Z方向において高い導電性を有し、短絡が発生した場合、X-Y方向において極めて少ない活物質のみを活性化することができ、最終に熱暴走が発生しない。本発明では、X-Y方向は、コレクタの水平方向であり、Z方向は、コレクタの厚み方向である。
【0017】
本発明のコレクタは、密度が金属より小さいので、高い重量エネルギー密度を実現することができる。コレクタの密度は、0.7g/ccより小さく、LFP(リン酸鉄リチウム電池)のエネルギー密度は、190Wh/kgより大きく、NCM(リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物電池)は、300Wh/kgより大きくてもよい。
【0018】
本発明の別の側面によれば、主に溶融引張法によって高配向性樹脂コレクタを製造するための方法であって、
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合するステップと、
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラによって、該当する厚みおよび内部構造となるようにフィルムを引張るステップと、を含むコレクタの製造方法を提供する。
【0019】
本発明のコレクタの厚みおよび配向度はそれぞれ、樹脂と導電粒子との比例、溶融炉の予熱温度、および機械ローラの引張りレートによって決定する。
【0020】
溶融引張法によって、特定の導電パス構造を有する高配向性樹脂コレクタを形成する(
図2)。
【0021】
本発明の具体的な実施方式によれば、溶融炉の予熱温度は、60℃-80℃であってもよい。
【0022】
本発明の具体的な実施形態によれば、機械ローラの引張速度は、5m/min-30m/minであってもよく、引張張力は、40N-80Nであってもよい。
【0023】
本発明の製造方法では、機械ローラによる引張を制御することによって、コレクタを横方向に引っ張り、粒子ピッチを制御することができ、導電パスの幅を制御することができる。本発明の1つの具体的な実施形態では、導電パスの幅を500nm-5μmとなるように制御する。
【0024】
本発明の別の側面によれば、前記のコレクタの使用をさらに提供する。
【0025】
本発明のコレクタは、リチウムイオン電池の製造に用いることができる。リチウムイオン電池を製造する時、単一のセルを直列接続して積層する設計を採用し、単一の電池の間に用いられる接続タブを節約し、体積効率を向上させるとともに車載用に適合することができる。
【0026】
本発明では、導電粒子をフィラーとする樹脂を採用してコレクタを製造し、当該コレクタの特徴として、X-Y方向において導電粒子が十分な導電性ネットワークを形成しないが、Z方向において良好な導電性ネットワークを形成したことである。このように、短絡が発生した場合、コレクタは、X-Y方向において多くの活物質を活性化しにくくて熱暴走が発生しにくいが、Z方向において十分に導電することができ、電池が正常に充放電することができる。これにより、電池の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施例1のコレクタの製造プロセスのフローチャートである。
【
図2】導電パス構造を有する高配向性樹脂コレクタを形成するプロセスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の技術特徴、目的および有益な効果をより明確に理解するために、本発明の技術方案について図面および具体的な実施例を参照しながら詳細に説明するが、これらの実施例が本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないと理解すべきである。実施例では、具体的な条件を明記していない実験方法は、本分野でよく知られている一般的な方法および一般的な条件であり、または、機器メーカーが提案した条件に従って操作する。
【0029】
比較例1
正極:LFP(10μm)
負極:人造黒鉛(20μm)
ダイアフラム:12μmPE+2μmAl2O3
サイズ:600L×300W×1Tmmの単一セル構造
コレクタ:正極(Al、厚さ12μm)、負極(Cu、厚さ8μm)
ニードリング実験:20±5℃の温度でかつ電池が満充電した状態(SOC100)で、直径が3mmの鋼製ニードルを利用して、極板の方向に対して垂直となるように迅速に貫通し、鋼製ニードルをその中に留まらせる。
【0030】
実施例1
本実施例は、以下のものを含むリチウムイオン電池を提供する。
正極:LFP(10μm)
負極:人造黒鉛(20μm)
ダイアフラム:12μmPE+2μmAl2O3
サイズ:600L×300W×1Tmmの単一セル構造
コレクタ:正極(50wt%のカーボンブラック(60nm)+50wt%のPP、厚さ15μm)、負極(50wt%のカーボンブラック(60nm)+50wt%のPP、厚さ15μm)。
【0031】
正極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が5mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成される導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmであり、具体的には、
図2に示すとおりである。当該コレクタは、
図1に示すように、以下のステップで製造される。
【0032】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0033】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが7mohm/sqであるコレクタを得た。
【0034】
負極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が5mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmである。当該コレクタは、
図1に示すように、以下のステップで製造される。
【0035】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0036】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが7mohm/sqであるコレクタを得た。
【0037】
ニードリング実験:20±5℃の温度でかつ電池が満充電した状態(SOC100)で、直径が3mmの鋼製ニードルを利用して、極板の方向に対して垂直となるように迅速に貫通し、鋼製ニードルをその中に留まらせる。
【0038】
実施例2
本実施例は、以下のものを含むリチウムイオン電池を提供する。
正極:LFP(10μm)
負極:人造黒鉛(20μm)
ダイアフラム:12μmPE+2μmAl2O3
サイズ:600L×300W×1Tmmの単一セル構造
コレクタ:正極(50wt%のカーボンブラック(60nm)+50wt%のPP、厚さ15μm)、負極(50wt%のNi粒子(1μm)+50wt%のPP、厚さ15μm)。
【0039】
正極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の10%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1.3μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0040】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0041】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:60N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが10mohm/sqであるコレクタを得た。
【0042】
負極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の10%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の部分(個数)が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1.3μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0043】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0044】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:60N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが13mohm/sqであるコレクタを得た。
【0045】
ニードリング実験:20±5℃の温度でかつ電池が満充電した状態(SOC100)で、直径が3mmの鋼製ニードルを利用して、極板の方向に対して垂直となるように迅速に貫通し、鋼製ニードルをその中に留まらせる。
【0046】
実施例3
本実施例は、以下のものを含むリチウムイオン電池を提供する。
正極:LFP(10μm)
負極:人造黒鉛(20μm)
ダイアフラム:12μmPE+2μmAl2O3
サイズ:600L×300W×1Tmmの単一セル構造
コレクタ:正極(40wt%のカーボンブラック(60nm)+10wt%のケッチェンブラック(30nm)+50wt%のPP、厚さ15μm)、負極(50wt%のNi粒子(1μm)+50wt%のPP、厚さ15μm)。
【0047】
正極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が6mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0048】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0049】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが4mohm/sqであるコレクタを得た。
【0050】
負極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の17%以下であり(X-Y方向の抵抗率が6mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の部分(個数)が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1.3μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0051】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0052】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:60N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが13mohm/sqであるコレクタを得た。
【0053】
ニードリング実験:20±5℃の温度でかつ電池が満充電した状態(SOC100)で、直径が3mmの鋼製ニードルを利用して、極板の方向に対して垂直となるように迅速に貫通し、鋼製ニードルをその中に留まらせる。
【0054】
実施例4
本実施例は、以下のものを含むリチウムイオン電池を提供する。
正極:LFP(10μm)
負極:人造黒鉛(20μm)
ダイアフラム:12μmPE+2μmAl2O3
サイズ:600L×300W×1Tmmの単一セル構造
コレクタ:正極(30wt%のグラフェン(1μm)+10wt%のケッチェンブラック(30nm)+10%のカーボンナノチューブ(直径3nm、長さ100nm)+50wt%のPP、厚さ15μm)、負極(50wt%のNi粒子(1μm)+50wt%のPP、厚さ10μm)。
【0055】
正極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0056】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0057】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが3mohm/sqであるコレクタを得た。
【0058】
負極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の10%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1.3μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0059】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0060】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:60N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが10μmであるとともに表面インピーダンスが15mohm/sqであるコレクタを得た。
【0061】
ニードリング実験:20±5℃の温度でかつ電池が満充電した状態(SOC100)で、直径が3mmの鋼製ニードルを利用して、極板の方向に対して垂直となるように迅速に貫通し、鋼製ニードルをその中に留まらせる。
【0062】
実施例5
本実施例は、以下のものを含むリチウムイオン電池を提供する。
正極:LFP(10μm)
負極:人造黒鉛(20μm)
ダイアフラム:12μmPE+2μmAl2O3
サイズ:600L×300W×1Tmmの単一セル構造
コレクタ:正極(50wt%のカーボンブラック(60nm)+50wt%のPE、厚さ15μm)、負極(30wt%のグラフェン(1μm)+10wt%のケッチェンブラック(30nm)+10%のカーボンナノチューブ(直径3nm、長さ100nm)+50wt%のPP、厚さ15μm)。
【0063】
正極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0064】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0065】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが7mohm/sqであるコレクタを得た。
【0066】
負極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0067】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0068】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが3mohm/sqであるコレクタを得た。
【0069】
ニードリング実験:20±5℃の温度でかつ電池が満充電した状態(SOC100)で、直径が3mmの鋼製ニードルを利用して、極板の方向に対して垂直となるように迅速に貫通し、鋼製ニードルをその中に留まらせる。
【0070】
実施例6
本実施例は、以下のものを含むリチウムイオン電池を提供する。
正極:LFP(10μm)
負極:人造黒鉛(20μm)
ダイアフラム:12μmPE+2μmAl2O3
サイズ:600L×300W×1Tmmの単一セル構造
コレクタ:正極(50wt%のカーボンブラック(60nm)+50wt%のPP、厚さ25μm)、負極(30wt%のカーボンブラック(60nm)+10wt%のケッチェンブラック(30nm)+10%のカーボンナノチューブ(直径3nm、長さ100nm)+50wt%のPP、厚さ15μm)。
【0071】
正極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0072】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0073】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが5mohm/sqであるコレクタを得た。
【0074】
負極用コレクタ:X-Y方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の20%以下であり(X-Y方向の抵抗率が8mohm/sqである)、Z方向において、導電パスを形成する導電粒子の個数が導電粒子の総数の70%以上であり(Z方向の抵抗率が1mohm/sqである)、導電粒子で形成された導電パスの幅は、1μmであり、隣り合う導電パスの距離は、1μmである。当該コレクタは、以下のステップで製造される。
【0075】
樹脂を溶融温度以上に加熱して、導電粒子と均一に混合し、溶融炉の予熱温度は、80℃である。
【0076】
溶融した導電粒子が添加された混合物を回転中の冷間ローラに押し込み、混合物が冷やされ粘度が迅速に向上して成膜し、その後、1組の引張りローラ(引張り速度:5m/min、引張り張力:50N)によってフィルムを引張ることによって、厚さが15μmであるとともに表面インピーダンスが3mohm/sqであるコレクタを得た。
【0077】
ニードリング実験:20±5℃の温度でかつ電池が満充電した状態(SOC100)で、直径が3mmの鋼製ニードルを利用して、極板の方向に対して垂直となるように迅速に貫通し、鋼製ニードルをその中に留まらせる。
【0078】
【0079】
表1から分かるように、本発明の樹脂ベースコレクタを採用した場合、パックの体積エネルギー密度および電池の安全性能はいずれも大幅に向上した(ニードリング実験)。