IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドバンスド フュージョン システムズ エルエルシーの特許一覧

特許7527379電気構成要素を過渡電磁妨害から保護するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】電気構成要素を過渡電磁妨害から保護するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20240726BHJP
   H01T 4/20 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H02H9/04 Z
H01T4/20 E
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2022545402
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 US2020018782
(87)【国際公開番号】W WO2021154315
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】16/773,418
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522296413
【氏名又は名称】アドバンスド フュージョン システムズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ビルンバッハ,カーチス エー.
(72)【発明者】
【氏名】カッペレッティ,ジョン アントニー
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0230828(US,A1)
【文献】特表2013-504297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214814(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/04
H01T 4/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力生成、伝送および分配システムの電力線に結合された構成要素を危険なEMIから保護する方法であって、前記方法は、
前記電力線の延在長と前記構成要素との間の位置において前記電力線の直径よりも大きい直径を有する複数の導電性インピーダンス変化素子(CITE)を取り付けることによってインピーダンス不整合を故意に作り出すこと
を含み、
前記CITEと前記電力線との直径の差は、前記2つ以上のインピーダンス変化素子と前記電力線の隣接した部分の間でインピーダンス不整合を意図的に引き起こし、前記インピーダンス不整合は、前記危険なEMIによって前記電力線上で誘起される信号の高周波数成分を反射させ、前記複数の導電性インピーダンス変化素子の対間に形成された減衰共振器間によって散逸させる、方法。
【請求項2】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の直径の前記電力線の直径に対する比は、1.5:1~100:1の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の直径の前記電力線の直径に対する比は、2:1~80:1の範囲内である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子はディスクの形状で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子は、各々が2つ以上の素子を有するサブセットにグループ化され、素子内間隔は前記サブセット内で均一である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の少なくとも1つは、保護すべき前記構成要素の100メートル以内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子は、前記危険によって前記電力線上で誘起される信号の少なくとも75パーセントを前記構成要素に到達するのを防ぐ、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記危険なEMIは、50ps~500μの範囲内の立ち上がり時間を有する電磁パルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の少なくとも2つを相互に距離を置いて配置して、前記電力線上で誘起される信号の高周波数成分に対して減衰共振器を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子を不均一な距離で配置して、前記電力線上で誘起される信号の異なるスペクトル成分に対して減衰共振器を提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
電力生成、伝送および分配システムの電力線上で危険なEMIによって誘起される電信号が前記電力線に接続された電気構成要素に到達するのを防ぐための装置であって、前記装置は、
前記電力線に物理的に取り付けられ導電性インピーダンス変化素子であって、前記導電性インピーダンス変化素子は前記導電性インピーダンス変化素子と前記電力線の隣接した部分との間にインピーダンス不整合を故意に作り出すために前記電力線の直径よりも大きい直径を有する、導電性インピーダンス変化素子
を含み、
前記インピーダンス不整合は、前記導電性インピーダンス変化素子に、危険なEMIによって前記電力線上で誘起された信号の高周波数成分を反射させ、
前記高周波数成分は、複数の導電性インピーダンス変化素子の対間に形成される減衰共振器によって反射されて熱として散逸される、装置。
【請求項12】
前記インピーダンス不整合の大きさは、周波数によって決まり、前記複数の導電性インピーダンス変化素子から誘起された信の不要な高周波数スペクトル成分を反射しながら、前記複数の導電性インピーダンス変化素子によって前記誘起された信号の低周波数スペクトル成分が通過するのを可能にする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の1つ以上は、完全に、または一部、フェライト材料から構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の1つ以上は、2つ以上の異なるフェライト材料から構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の直径の前記電力線の直径に対する比は、1.5:1~100:1の範囲内である、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の直径の前記電力線の直径に対する比は、2:1~80:1の範囲内である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子の各々は、第1の区分および第2の区分を含み、前記第1および第2の区分はヒンジ要素によって連結されており、前記ヒンジ要素は、前記第1および第2の区分がヒンジ要素に関して相互に旋回するのを可能にする、請求項11に記載の装置。
【請求項18】
前記導電性インピーダンス変化素子の第1の部分および第2の部分の各々は、前記電力線を受け入れるための中央開口部を含む締め付けハブを含み、前記第1および第2の部分の締め付けハブは、電力線上に取り付けられる場合に、前記第1および第2の部分を一緒に留めて相互に固定するように適合されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記導電性インピーダンス変化素子の第1の部分および第2の部分の各々は隆起した外側周辺を含み、前記隆起した外側周辺はトロイダル形状を有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記隆起した外側周辺は中空構造を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第1および第2の部分の締め付けハブは各々、半円部および長方形脚部を含み、前記脚部は締め付け要素を受け入れるために適合された一致するねじ穴を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記締め付けハブの半円部は、前記電力線に食い込み、それにより前記CITEを前記電力線に固定するために適合された、彫り込み要素をもつ内表面を有する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
導電性インピーダンス変化素子の対によって形成された減衰共振器は、誘された信号の高周波成分に対する低Qファクタを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
導電性インピーダンス変化素子の対によって形成された減衰共振器は、誘された信号の高周波成分に対する低Qファクタを有する、請求項11に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の部分および第2の部分の締め付けハブは各々、半円部および長方形脚部を含み、前記第1の部分の脚部はラチェット要素を有し、前記第2の部分の脚部は前記ラチェット要素と一致する特徴をもつレセプタクルを有して、前記第1および第2の部分が相互に固定されるのを可能にする、請求項17に記載の装置。
【請求項26】
前記複数の導電性インピーダンス変化素子(CITE)の1つ以上は、完全に、または一部、フェライト材料から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
適切な立ち上がり時間、パルス幅および振幅の破壊的な干渉を確実にするために前記複数の導電性インピーダンス変化素子間の間隔を検査することと、
前記複数の導電性インピーダンス変化素子間で伝送されるときに前記パルス信号が弱まる場合に前記間隔を調整することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記電力線を任意の隣接した電力線から離す距離を増加させることをさらに含んで、前記隣接した電力線に接触することなく、前記複数の導電性インピーダンス変化素子の前記電力線上への設置を可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
電力生成、伝送および分配システムの電力線に結合された構成要素を危険なEMIから保護する方法であって、前記方法は、
前記電力線の延在長と前記構成要素との間の位置において前記電力線の直径よりも大きい直径を有する少なくとも1つの導電性インピーダンス変化素子(CITE)を取り付けることによってインピーダンス不整合を故意に作り出すこと
を含み、
前記少なくとも1つのCITEと前記電力線との直径の差は、前記少なくとも1つの導電性インピーダンス変化素子と前記電力線の隣接した部分との間でインピーダンス不整合を意図的に引き起こし、前記インピーダンス不整合は、前記危険なEMIによって前記電力線上で誘起される信号の高周波数成分を前記電力線に沿って熱として散逸させる、方法。
【請求項30】
前記複数のCITEの少なくとも1つは円形形状である、請求項11に記載の装置。
【請求項31】
複数のCITEの少なくとも1つは非円形形状である、請求項11に記載の装置。
【請求項32】
前記複数のCITEの少なくとも1つは非円形形状を有し、非円形形状は、楕円体、多角形および非均一形状の1つである、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記複数のCITEの少なくとも1つは、非対称形状を有する、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記複数のCITEの少なくとも1つは、球形を有する、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記電力線は、少なくとも100ボルトの振幅で電圧を搬送する、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記中空の外側周辺は透明な外表面を有し、高電場に応答して蛍光を発するガスで充填される、請求項20に記載の装置。
【請求項37】
1つ以上の吸収要素を前記電力線の延在長と前記構成要素との間位置に含むことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ以上の吸収要素は、構成要素として前記複数のCITEの1つ以上に統合される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記複数のCITEは、導電性金属、抵抗または半導電吸収材料、およびフェライト系材料の1つ以上を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
電力生成、伝送および分配システムの地中電力線に結合された構成要素を危険なEMIから保護する方法であって、前記方法は、
前記電力線の導体を取り囲む半導電層にインピーダンス変化を導入することによってインピーダンス不整合を故意に作り出すこと
を含み、
前記半導電層の区分におけるインピーダンス間の差は、前記半導電層と前記電力線の隣接した部分との間で差動インピーダンス不整合を意図的に引き起こし、前記インピーダンス不整合は、前記危険なEMIによって前記電力線上で誘起される信号の高周波数成分を前記電力線に沿って熱として散逸させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その起源が自然発生または人為的であり得る電磁パルスなどの、過渡電磁妨害を含む危険なEMIから電子機器(電気構成要素(EC))を保護するための方法および装置に関する。
【0002】
定義
構成要素:定義された回路もしくはシステム内で接続された個々の電気もしくは電子要素または複数のかかる要素。
【0003】
導電性インピーダンス変化素子(CITE):導体と比べて直径が急に増大する、導体に結合された導体素子。
【0004】
減衰共振器:その間に間隔を空けて導体上に配置された2つのCITE要素またはCITE要素のクラスタ、電磁信号の高周波成分がCITE要素間で前後に反射され、かかる反射は信号が熱として散逸するまで続く。CITE要素間の間隔は、選択された周波数帯域内の電磁信号が衝突せず、建設的な干渉を介して加わるように選択される。
【0005】
電磁攻撃:危険なEMI信号が、いくつかの電気もしくは電子機器またはシステムに、前記システムの損傷、破壊もしくは混乱を引き起こす意図で意図的に加えられるシナリオ。
【0006】
電磁妨害(EMI):電気システムにおいて、搬送される信号またはかかるシステムに結合された機器に干渉し得るので、その受信が望ましくない電磁放射。EMIは本明細書では、以下で定義される多数のサブタイプを包含する広範な用語として定義される。
【0007】
電磁パルス(EMP):危険で、潜在的に損害を与える電流および電圧サージを生じ得る(従って危険なEMIのサブセットと考えることができる)典型的には5ナノ秒の高速な立ち上がり時間を有する電磁放射の過渡バースト。典型的なEMP強度は、数万ボルト/メートルほどである。EMPは、核爆発(NEMP;立ち上がり時間は典型的には5ナノ秒未満である)によって、またはコロナガスの噴出(NNEMP;立ち上がり時間は典型的には5ナノ秒未満である)などの突然変動電磁場を生成する非核源によって生成され得る。
【0008】
電磁脅威:危険で意図的な電磁信号が、電気もしくは電子機器またはシステムに対して、前記システムの損傷、破壊もしくは混乱を引き起こす意図で使用され得る状況。
【0009】
異常電磁パルス:ここで説明される様々な電磁脅威の全てを包含するEMPのクラスであり、US 8,300,378で以前に定義されている。異常EMPは、核爆発(NEMP)、電力システムの構成要素に到達して動作不能にするのに十分な強度の非核電磁パルス(NNEMP)、または太陽風からのコロナガスの噴出の結果としての地磁気誘導電流(GIC)から生じる過渡パルスを含む。
【0010】
危険なEMI:電気システムにおけるその受信が、発電機器、電子回路ボードおよび変圧器などであるが、それらに制限されず、かかるシステムに結合された電気設備を損傷するか、または動作不能にする可能性が高い電磁干渉。この干渉は、パルスまたは連続放射であり得る。
【0011】
高高度電磁パルス(HEMP):NEMPのサブセットでもある。HEMPは、核兵器が地表上の高い位置(大気圏外)で爆発した場合に生成されて、大気と相互作用するガンマ線を生じ、外へ放射する際は人間に害はないが、落雷に似た影響で回路に過負荷をかけ得るが、落雷よりも遥かに迅速に障害を引き起こす、強力な電磁場エネルギーを生じる。
【0012】
意図的な電磁干渉(IEMI):標的の電気システムに悪影響を及ぼすために意図的に(人為的に)作り出された電磁干渉。この干渉はパルスまたは連続放射であり得る。
【0013】
狭帯域幅EM信号:中心周波数の25パーセント以下の帯域幅を有するEM信号。
【0014】
核電磁干渉(NEMI):原子力装置の爆発によって生じて、3ナノ秒未満の初期の立ち上がり時間を有する電気的干渉。NEMIは、高速な立ち上がり時間の電磁パルス(以下で定義される)ならびに遅い立ち上がり時間および長い持続時間で送達される放射を含む。これは通常、電磁パルス(EMP)(上を参照)として知られている。
【0015】
電力線:複数の同期された発電源を含む送電網を有する電力生成、伝送または分配システム。より具体的には、電力線は、3つの別個の導体を有する「三相線」を含み得、その各々は他と位相シフトされた関係の電力信号を搬送する。第4の導体は中性であり得る。
【0016】
無線周波(RF):数キロヘルツ~多テラヘルツに及ぶ、スペクトルの無線部分における電磁放射線および信号。
【0017】
ソース領域電磁パルス(SREMP):核電磁パルス(NEMP)のサブセット。SREMPは低高度(大気圏内)核のバーストによって生じる。有効正味鉛直電子流は大気圏内および地上における電子の非対称堆積によって形成され、この電子流の形成および減衰は、電磁放射のパルスを電子流に垂直な方向に放出する。下方に放出された一部の電子は、地表の上部ミリメートル内で捕捉され、他方、上方および外へ移動している他は、大気圏内を長距離移動できるので、低高度爆発から非対称が生じて、イオン化および電荷分離を生じる。弱い非対称は、大気の密度勾配に起因した高高度爆発のために存在し得る。
【0018】
システム生成EMP(SGEMP):SGEMPは、機器エンクロージャ内でのエネルギー反射の結果として生じるEMP信号の特別クラスである。それは通常、ミサイルと関連付けられてミサイル内で見つかるが、他の場所でも生じ得る。それはEMP放出の二次形であるという点において固有である。
【0019】
超高帯域幅EM信号:信号の中心周波数の75パーセント以上の帯域幅を有するEM信号。
【0020】
NEMP、HEMP、SREMP、SGEMPおよびその他は全て、原子力装置の爆発(分裂、融合、熱核融合)に由来する電磁パルスであることに留意されたい。全ては、極めて高速な立ち上がり時間、典型的には5ナノ秒未満という特徴を示しており、それはサブナノ秒の範囲の立ち上がり時間を有し得る。これら全てのEMPタイプ、および非核EMPクラス(NNEMP)は、極めて広い、典型的には数キロヘルツ~数ギガヘルツに及ぶ、RF帯域幅という特徴を示すパルスを生成する。スペクトルのこの部分にわたる任意の個々の周波数における信号レベルは均一ではないが、エネルギーの大部分は約200メガヘルツ未満であることにさらに留意されたい。これらの境界は固定されておらず、前記パルスの生成時に存在するいくつかのパラメータによって決定される。
【背景技術】
【0021】
ある事象は、電気インフラに極めて悪影響を及ぼし得る電磁放射パルスを生じ得ることは周知である。電磁放射のこの幅広いカテゴリに対して本明細書で使用される用語は、「危険な電磁干渉(EMI)」である。核兵器および同様に破滅的な技術の広がりに関する懸念の観点から、核爆発によって放出される危険なEMI(NEMI)の強力なバーストの影響を調査するために研究が実施されている。核爆発は電磁パルス(EMP)のバーストを極めて高速な立ち上がり時間(5ナノ秒未満ほど)で生じ、その後、長期間継続し得る、時には数分に及ぶ、信号の低速で長続きする部分が続くことが研究から示されている。任意の核由来のEMPパルスの究極的な形状における主要な決定要因の1つは、それが爆発する時の高度である。典型的なEMP強度は、数万ボルト/メートルほどである。これは近くのレーダーに対して200ボルト/メートル、通信機器に対して10ボルト/メートル、および典型的な大都市圏環境に対して0.01ボルト/メートルのオーダーに匹敵する。米国連邦通信委員会(FCC)ガイドラインは、この種の放出に対して伝送サイトの土地の境界線の縁において0.5ボルト/メートルの制限を義務付けていることにも留意されたい。
【0022】
電気機器に対する脅威となるEMPの特性の一部は、極めて高速な立ち上がり時間、極めて短いパルス幅、および広い周波数スペクトルをもつ信号を生じさせる場振幅である。導電構造に結合しているEMに対する3つの基本的な機構がある:電気誘導、直線状導体に対する基本的な機構;磁気誘導、導電構造が閉ループを形成する場合の主要な機構;および地球(すなわち、物理的な惑星)を通した信号伝達。電気的過渡現象に起因して機能障害を起こしやすい可能性がある装置は、能動電子装置、受動電子構成要素、半導体素子、スクイブおよび発火装置、メーター、ならびに電力システム、ケーブル、送電網スイッチングおよび分配要素を含む。操作上の不調および障害が、デジタル処理システム、メモリ装置、誘導システム、および配電システムにおいて予期され得る。損傷機構は、誘電破壊、熱的効果ならびに相互接続、スイッチング、変圧器および発電機故障を含む。
【0023】
任意のタイプの核EMPのスペクトルおよびエネルギー分布は主に、爆発が大気圏中のどの高さで起こるかによって決まる。爆発は、地表上空40km未満で起こり、大気圏内爆発と呼ばれて、ソース領域電磁パルス(SREMP)を生じ、他方、地表上空40km以上で起こる爆発は、大気圏外爆発と呼ばれて、高高度電磁パルス(HEMP)を生じる。SREMPは、ガンマ線からの陽子と大気の分子との間の衝突によって生じる。これらの高エネルギー陽子は、周囲空気分子から電子を放出して、イオン化空気分子を生じる。電荷のこの莫大な分離は、数100,000ボルト/メートルもの高さであり得る強力なE場を生じて、5000アンペア回数/メートルもの高さであり得る大規模な関連したH場を有する。図19Aは、例示的な100キロトンの大気圏内爆発により経時的に生じた例示的なEMP波形のグラフある。図19Aでは、SREMPの波形(E1)の開始は、250KV/メートルまでの高さになり得る最大限度まで略1ナノ秒で上昇して、略10KV/メートルまで10ナノ秒以内に低下する極めて強力なパルスである。上で識別されたシナリオでは、電場は、爆発後、10ナノ秒符号から約100μsまで持続する波形(E2)の第2の部分において10KV/メートルで略一定のままである。爆発後、約100μsから始まる波形の第3の部分(E3)では、電場は10KV/メートルから約ゼロまで1ミリ秒符号で低下する。図19Bは、SREMP波形の相対エネルギー対周波数のグラフである。図のように、SREMP波形の周波数成分は、1MHz未満の周波数範囲内にあり、スペクトル成分の大半は10kHzよりも下に位置する。正確な場強度、パルスの立ち上がり時間、および持続時間は、デバイス幾何形状、デバイス歩留まり、爆発の高さ、および爆発時における大気条件を含む複数の要因の組合せによって決まることに留意されたい。
【0024】
それに対して、HEMPは40キロメートルを超える高所で大気分子によって吸収されているガンマ光子によって生成される。この吸収は、電子を地球の磁場によって力線周囲のらせん軌道に偏向させて、それらに電磁エネルギーを放射させる。図20Aは、例示的な大気圏外爆発により経時的に生成されたEMI波形のグラフである。図のように、HEMPの波形は、そのSREMP対応物とは大幅に異なる。5キロトン~1メガトン範囲のデバイスに関して、この電子放射エネルギーは、大規模で多様なE場を数10KiloVolt/メートルの範囲内で、関連したH場を10~300アンペア回数/メートルの範囲で作り出す。HEMP波形の部分は、SREMPよりも長い持続時間であり得、おそらくは数秒持続する。前述のとおり、波形の特定の部分の持続時間は、デバイス幾何形状、デバイス歩留まり、爆発の高さ、および爆発時における大気条件を含むいくつかの要因によって決まる。図20Bは、HEMP波形の相対エネルギー対周波数の略グラフである。図のように、エネルギーの約90パーセントは、100KHz~10MHzの範囲内に含まれる。
【0025】
EMP対落雷
前述のとおり、本明細書で開示される装置および方法は、高速立ち上がり時間電磁パルス(EMP)および比較的低速な落雷を含む危険なEMIを防ぐ。例えば、大気圏内爆発から生じるEMP(SREMP)は、高速な立ち上がり時間(典型的にはサブナノ秒)および短いパルス持続時間(500ナノ秒以下)を有する。このEMPは、典型的には、10KV/メートル~500KV/メートルの範囲であるが、それに制限されない、実質的な電場強度を有する。稲光によって生じた電力線における電気パルスは、SREMPパルスと同様に動作するが、もっと低速な立ち上がり時間、典型的には20ナノ秒、および原子核、または他の人為的に生成されたEMPよりも長いパルス幅を有する。この結果、低Q減衰共振器は、稲光から誘起された過渡信号の抑制において、それらがSREMPまたは非核源から誘起された過渡信号の抑圧におけるよりもわずかに効果が弱い傾向がある。しかし、様々な実施形態および配置において減衰共振器のQファクタを調整することにより、どのタイプのEMPが特定の電力線においてより重大な脅威とみなされるかに応じて、極めて短いEMP(SREMP)またはもっと長いパルスのEMP(例えば、稲光)を標的にすることが可能である。
【0026】
従来型の保護計画
電磁攻撃シナリオの大部分は、前記攻撃で使用されている単一パルス以上を伴うことに留意すべきである。この結果、保護計画を実現可能にするために、それは、かかる保護計画を実現可能な保護手段と見なすために、多数の一連の電磁攻撃に、恐らくは連続して、耐えることができる必要がある。いくつかの保護計画は単発または潜在的に単発であり、したがって、それらの現在の広範な使用にもかかわらず、保護サービスに対して真に適切ではない。
【0027】
前述のとおり、核爆発(SREMPおよびHEMP)によって生じた危険なEMIに加えて、電気および電子機器は、非核電磁パルス、意図的な電磁バースト、コロナガスの噴出(太陽風)および雷雨などの他の事象によって損傷し得る。電気システムを危険なEMIから保護するためにある手段が考案されている。例えば、EMPおよび稲光などの危険なEMIを抑制するための従来型のシステムおよび装置は、電子管保護装置、金属酸化物バリスタおよび他のソリッドステート装置、火花間隙、およびインダクタを含むが、それらに制限されない。
【0028】
電子管保護装置:本出願の本発明人は、電気および電子機器を前述の電磁脅威のいずれかに起因した損傷から保護するための好ましい手段として、高速高出力冷陰極電界放射電子管を利用する保護手段を以前に開発している。かかる保護冷陰極電界放射電子管は、Birnbachによる米国特許第8,300,378号「Method and apparatus for protecting power systems from extraordinary electromagnetic pulses」に記載されている。電子管装置のこのクラスの検査は、それが、500キロヘルツを超えるまでのパルス繰り返し率をもつ繰り返しパルス用途における保護サービスに適していると示している。
【0029】
金属酸化物バリスタ(MOV):MOVは、それらの静止状態において、典型的には、10MΩ~100MΩであるが、それに限定されない、非常に高いインピーダンスを示す、ソリッドステート装置である。何らかの所定の閾値を超えて、電圧がMOVにわたって印加されると、MOVはその内部インピーダンスを非常に低いインピーダンス状態まで変化させる。これは、MOVが、重要な回路部品周辺の過電圧を短絡するために使用されるのを可能にする。インピーダンスのこの変化が起こる速度は、前記MOVの特定の設計および材料含量の関数である。MOV装置の重要な制約は、それらは半導体であるので、一旦、基板の結晶構造に欠陥が生じると、MOVは修理することができず、自己回復しないことである。前述のタイプの欠陥は、MOVの主要な故障モードである。結果として、MOVは、2つ以上の過電圧事象に対する保護を提供するために信頼できない。MOVは現在のところ、この制約にもかかわらず、公益企業によって使用される主要なサージ抑制手段である。
【0030】
加えて、ほとんどのMOVは、核爆発(NEMP)からのEMP、特に、SREMPのE1部分およびHEMPの高速立ち上がり時間部分、の抑制に有用な十分に高速な立ち上がり時間(典型的には略20ナノ秒)を有していないので、MOVの指定において注意が必要である。高い立ち上がり時間(約2~5ナノ秒立ち上がり時間)に適合した高速な反応時間を有するMOVでさえ、典型的にはサブナノ秒の立ち上がり時間を有する全てのE1パルスに対しては依然として遅すぎて有効ではない。この速度差は、保護作用が生じる前に凄まじく大量のエネルギーが通過するのを可能にして、保護装置の故障および保護装置(MOV)の頻繁ともなる。従って、MOVは一般に、NEMPに対して効果的ではない。
【0031】
5,000アンペアを超えるパルスに対する保護の使用に適していると主張するいくつかのMOVが、たとえそれらの接続ワイヤーが直径0.125インチ(1/8″)未満でも、市販されている。パルスが十分に短く、持続時間が1ナノ秒未満だった場合、接続ワイヤーは蒸発しない可能性があるが、任意の現実世界の電磁攻撃シナリオでは、ワイヤーは蒸発し、その結果、装置を役に立たなくする。当業者には、かかる装置の使用は現実世界の電磁脅威に対する保護を提供するためには不十分であることが明らかなはずである。
【0032】
他の半導体素子:過渡抑制用途のために使用中または開発中の様々な他の半導体素子があることに留意されたい。この一例は、窒化ガリウムアバランシェダイオードである。これは、特定の用途に応じて直列または並列のいずれかで、いくつかが一緒に使用される場合に、グループの速度が、相互接続および必須の平衡回路網によって導入された寄生インダクタンスおよび容量に起因して個々の装置の速度よりも遅い、十分にロバストなパラメータをもつ高速立ち上がり時間スイッチングダイオードである。全ての関連する半導体素子は、圧電効果と関連付けられた結晶構造の破損に起因して故障を被る。このクラスの半導体素子は、前述のMOV装置と同じ故障モードを被る。
【0033】
火花間隙:火花間隙は、時々、危険なEMI保護のために使用される高速スイッチの一形式である。火花間隙は、敏感な構成要素周辺の過電圧を短絡するために配線される。閾値電圧は、火花間隙の電極の間隔によって決定される。火花間隙に関連する問題は、何らかの所定の電圧でそれらに確実にトリガーさせることである。さらなる問題は、一旦、発火すると、火花間隙の接触面が浸食によって劣化して、電極間隔における変化を引き起こし、それに続く発火事象が通常、火花間隙が新しい場合と同じ電圧ではないことである。火花間隙は維持するのに非常に手間がかかり、それらの使用は一般に、研究室パルス電力実験に制限される。配電および送電産業によって専ら使用される火花間隙の別の形式は、しばしば「ホーン(horn)」と呼ばれる、特別に間隔が明けられた曲り棒のセットである。高速立ち上がり時間EMPに対する保護のための立ち上がり時間が遅すぎるが、ホーンは稲光保護に対する単純なアプローチとして示されていて広く使用されている。それらの主要な欠点は、それらは容易に損傷して、頻繁な交換を必要とすることである。
【0034】
インダクタ:は、回路と直列に配線されている場合に高速過渡信号を抑制できる。直列に接続されたインダクタの保護装置としての使用に関連する問題は、ある量の電流を過熱することなく処理するためのその能力に関連する、電気絶縁要件およびインダクタ内の導体の直径の公差は、非常に厳密で、一連のインダクタだけでは一般に、危険なEMI信号を十分に抑制できないことである。複数の繰り返しパルスに耐えるインダクタの能力は、その設計、具体的には絶縁および熱定格の関数である。インダクタはエネルギーを消費して、通常、余剰エネルギーが容易に利用可能な変電所だけで使用される。
【0035】
従って、前述の欠点を確実かつ効率的に克服して、電子機器を危険なEMIから保護できる方法および装置に対するニーズが依然として残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0036】
本開示は、適切に実装されると、電力生成、伝送および分配システムの電力線に取り付けられた構成要素を、過渡電気妨害を含み得る、危険なEMIから保護する方法を提供する、導電性インピーダンス変化素子(CITE)として知られている方法および装置を教示する。本方法は、電力線の延在長と構成要素との間の位置において電力線に対する直径よりも大きい直径をもつ複数の導電性インピーダンス変化素子(CITE)を取り付けることを含む。CITEと電力線の直径の差は、2つ以上のインピーダンス変化素子と電力線の隣接した部分の間のインピーダンス不整合を引き起こす。このインピーダンス不整合は、危険なEMIによって電力線上で誘起される過渡電磁信号の高周波数成分に、導電性インピーダンス変化素子の対によって形成された減衰共振器間を往復して反射させる。減衰共振器は、入射する危険なEMIの高周波数スペクトル成分のエネルギーを熱として散逸させる。典型的には、50、60または400ヘルツ(標準的な配電周波数)の、低周波数スペクトル成分は、保護される構成要素を通される。本方法は、50ps~500μSの範囲内の立ち上がり時間を有する過渡電磁妨害を特に標的とするが、これらの範囲外で動作する。
【0037】
複数の導電性インピーダンス変化素子は、電力線よりも常に大きい直径を有する。複数の導電性インピーダンス変化素子と電力線の直径の比率は、1.5:1~100:1の範囲内であり得る。複数の導電性インピーダンス変化素子の直径と電力線の直径のより現実的な比率は、約2:1~80:1の範囲内であり得る。もっと小さい直径およびもっと大きい直径が使用できるが、一般に現実的ではない。
【0038】
ある実施形態では、複数の導電性インピーダンス変化素子はディスクの形状で形成される。さらなる実施形態では、ディスクの外側は、当業者に知られているように、アンチコロナ構造を形成するために、ディスクの厚さよりも大きい半径を有する。
【0039】
複数の導電性インピーダンス変化素子は、各々が2つ以上の素子を有するサブセットにグループ化でき、素子内間隔はサブセット内で均一である。ある実施態様では、複数のインピーダンス変化素子の少なくとも1つは好ましくは、保護すべき構成要素の100メートル以内に配置される。
【0040】
複数のインピーダンス変化素子は、危険なEMIによって電力線上で誘起される過渡電磁信号の少なくとも75パーセントを構成要素に到達するのを防ぐように設計される。必要な導電性インピーダンス変化素子の数は、過渡抑制の所望の程度および設置のために利用可能な空間の関数である。採用されるCITEの数および直径比率が、高周波数成分の減衰の程度を決定する。
【0041】
本開示は、危険なEMIによって生じる、電力生成、伝送および分配システムの電力線上で誘起される電磁信号の振幅が電力線に接続された電気構成要素に到達するのを防ぐか、または減少させるための装置をさらに提供する。本発明は、前記電力線上に物理的に取り付けられて、電気構成要素と、過渡電磁信号がその上で危険なEMIによって誘起される電力線の長さの間に配置される複数の導電性インピーダンス変化素子を含む。複数の導電性インピーダンス変化素子は電力線の長さに面した第1の面および電気構成要素に面した第2の面を有しており、複数の導電性インピーダンス変化素子の第1の面は、電力線の長さの隣接した部分とのインピーダンス不整合を故意に引き起こすサイズにされる。インピーダンス不整合は、インピーダンス変化素子の第1の面に電力線上で誘起された過渡電磁信号を電気構成要素から離れて反射させる。導電性インピーダンス変化素子と電力線のインピーダンス不整合の程度は、導電性インピーダンス変化素子と電力線自体の直径の差の関数である。
【0042】
インピーダンス不整合の大きさは、周波数によって決まり、複数のインピーダンス変化素子から誘起された過渡電磁信号の高周波数を反射しながら、複数の導電性インピーダンス変化素子によって誘起された過渡電磁信号の低周波数成分が通過するのを可能にする。
【0043】
導電性インピーダンス変化素子の効率を高めるために、複数のかかる導電性インピーダンス変化素子の1つ以上は、フェライト材料のセクションから成るか、または含み得る。かかるフェライト材料は、別個のディスクユニットとして組み込まれるか、または導電性ディスク要素に統合され得る。
【0044】
CITEの1つ以上は、例えば、カーボン、グラファイトなどの、部分的または半導電性材料から構成され得ることに留意されたい。これはディスクが入射エネルギーの一部を吸収するのを可能にする。かかる吸収CITEは、個々に、均等に間隔をおいたセットで、不均等に間隔を置いたセットで、および当業者によって理解され得るような他の構成で使用され得る。
【0045】
CITE組立体は、信号の不要な高周波数部分の最大限の抑制を達成するために、導電性、吸収、およびフェライト系材料の、様々な順序での、組合せから構成され得ることにさらに留意されたい。
【0046】
複数の導電性インピーダンス変化素子の好ましい実施形態は、電力線の対応する寸法よりも少なくとも1.5倍大きい寸法(例えば、直径)を有し得る。ある実施態様では、複数のインピーダンス変化素子の各々は、電力線の直径よりも少なくとも1.5~100倍の範囲内の直径を、2~80のより好ましい直径比率範囲で、有する。電力線の直径の2倍未満の導電性インピーダンス変化素子を、各導電性インピーダンス変化素子のインピーダンス不整合の程度は、好ましい実施形態に対して指定されている寸法が使用される場合よりも少ないという理解の下に使用することが可能である。
【0047】
ある実施態様では、複数の導電性インピーダンス変化素子の各々は、第1の部分および第1の部分にヒンジ式に連結される第2の部分を含み、開位置と閉位置との間を動く。導電性インピーダンス変化素子の第1の部分および第2の部分の各々は、電力線を受け入れるための中央開口部を取り囲んでいる締め付けハブ、平坦な中間セクション、および隆起した外側周辺部分を有し得る。
【0048】
ある実施態様では、導電性インピーダンス変化素子の第1の部分および第2の部分の各々は、電力線を受け入れるための中央開口部を含む締め付けハブを含み、第1および第2の部分の締め付けハブは、電力線上に取り付けられる場合に、一緒に留めるように適合されて、第1および第2の部分を相互に固定する。例えば、図12を参照する。
【0049】
ある実施態様では、隆起した外側周辺はトロイダル形状を有することができる。隆起した外側周辺は中空構造を含むことができる。隆起した外側周辺の論理的根拠は、高電圧技術分野の仮想的当業者に知られている周知の原理に従ったコロナ放電の形成を最小限にする構造を作り出すことである。
【0050】
ある実施態様では、第1および第2の部分の締め付けハブは各々、半円部および長方形脚部を含み、脚部は締め付け要素を受け入れるために適合された一致するねじ穴を有する。好ましい実施形態では、締め付けハブの半円部は、電力線に食い込んで、CITEを電力線に固定するために適合された彫り込み要素をもつ内表面を有する。図12を参照する。
【0051】
以下の図面で、同様の参照番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】電力線(104)に接続されて、過渡的電磁波干渉信号(14)から損傷を受けやすい、電気構成要素(E.C.)の概略、従来技術図である。
図2】本開示に従い、少なくとも1つの例示される導電性インピーダンス変化素子(CITE;106、107)によって過渡的電磁波干渉信号の破壊的な結果から保護される電気構成要素(P.C.)をもつ電力線の、原寸に比例していない、概略図である。
図3】電力線が2つのCITE(125)によって保護される本開示に従った別の実施形態の概略図である。
図4】破線の長方形内の図3の配置のその部分の改変である。
図5】電力線が3つのCITE(178、179)によって保護される本開示に従った別の実施形態の概略図である。
図6】本開示に従ったCITEが、第1の保護される構成要素(100)および第2の保護される構成要素(102)を有する電力線上で使用される別の実施形態の概略図である。
図7図6と同様であり、左側の構成要素を保護しているCITEのより一般的な位置および右側の構成要素を保護しているCITEのより一般的な位置を示している。
図8】CITEが電力線に沿って3つのグループ(235)に配置されている別の実施形態の概略図である。
図9】本開示に従った導電性インピーダンス変化素子(CITE)の第1の実施形態の一方の側の平面図である。
図10】下側構成要素に対してヒンジ要素の周りを旋回するCITEの上側構成要素を示す平面図であり、電力導体上への取り付けを可能にする部分的に開状態における第1の実施形態を示す。
図11】CITEの第1の実施形態のヒンジ端面図である。
図12】部分的に開いているCITEの第1の実施形態の斜視図である。
図13】CITEの第1の実施形態の下側構成要素の斜視図である。
図14】CITEの第1の実施形態の上側構成要素の斜視図である。
図15図11の軸15-15から見たCITEの第1の実施形態の縦方向断面図である。
図16】本開示に従ったCITEの別の実施形態の一方の側の平面図である。
図17】本開示に従った導電性インピーダンス変化素子(CITE)の別の実施形態の斜視図である。
図18A】楕円の断面形状を有するCITEの別の実施形態の平面図である。
図18B】多角形の断面形状を有するCITEの別の実施形態の平面図である。
図18C】非対称の断面形状を有するCITEの別の実施形態の平面図である。
図19A】例示的な大気圏内爆発(SREMP)によって経時的に生じたEMI波形のグラフである(サンディア国立研究所より、以下「サンディア」)。
図19B】SREMP波形の相対エネルギー対周波数のグラフである(サンディアより)。
図20A】例示的な大気圏外爆発(HEMP)によって経時的に生じたEMI波形のグラフである(サンディアより)。
図20B】HEMP波形の相対エネルギー対周波数のグラフである(サンディアより)。
図21】フェライトビーズとして形成された本開示に従った導電性インピーダンス変化素子(CITE)の別の実施形態の斜視図である。
図22A】CITEの縦断面の平面図であり、本開示に従ったCITEを組み立てる方法の一実施形態を例示している。
図22B】CITEの縦断面の平面図であり、本開示に従ったCITEを組み立てる方法の一実施形態を例示している。
図23】球形を有する、CITEの代替実施形態の斜視図である。
図24】蛍光ガスで充填された透明な外側周辺部を有するCITEの正面平面図である。
図25A-25C】それぞれ異なる材料、グラフェンなどの吸収材料(図25A)、アルミニウムなどの金属(図25B)、およびフェライト系材料(図25C)で形成された中央部を有するCITEの実施形態を示す。
図26A】金属の中央部を有する本開示に従ったCITEの別の実施形態の第1の面の斜視図である。
図26B】吸収性の中央部を有する本開示に従ったCITEの別の実施形態の第2の面の斜視図である。
図27A】ケーブルの長さに沿って差動インピーダンスをもつ半導体層を有する地中同軸電力ケーブルの軸方向断面図である。
図27B図27Aに示される地中同軸電力ケーブルの縦方向断面図である。
図28A】CITEの上側と下側構成要素を固定するための舌状部および溝を有するCITEの別の実施形態の側面図である。
図28B図28Aに示される実施形態の正面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の図面と一緒に以下の詳細な説明を読むと明らかになり、図中、同様の参照番号は同様の部分を指す。図面およびその一部は例示であり、必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【0054】
本明細書で開示される装置(システム)および方法は、電子機器、電気構成要素、およびそのシステムを、過渡電磁パルス(EMP)を含む危険なEMIから保護するように構成される。
【0055】
前述のとおり、EMPは最初に、核爆発とともに気付かれたが、近年は、核爆発によって生じたものに匹敵するか、または超えるEMP信号を、電気的手段(人間が作り出した兵器およびシミュレータ)によって生成することが可能になっている。懸念の電磁パルスは、典型的には10KV/メートル~500KV/メートル以上の範囲内のものであるが、それらの範囲に制限されない。本明細書で開示される装置および方法は、核(NEMP)および非核(NNEMP)源から生じるEMPを含む危険なEMIから電気インフラを防ぐ。
【0056】
故意に作り出されたインピーダンス不整合
開示される装置(システム)および方法は、指定されたタイプの電力線に沿ったインピーダンスの故意の不整合により入射する危険なEMIのかなりの部分を反射するという原理を利用し、前記危険なEMIはEMPまたは干渉信号の形であり得る。本明細書では、かかる「電力線」は、複数の同期化された発電源を含む送電網を有する電力生成、伝送または分配システムのそれであり得る。さらに具体的には、電力線は、3つの別個の導体を有し、その各々が他と位相シフトされた関係の電力信号を搬送する、「三相線」を含み得る。4番目の導体は中性であり得る。しかし、本システムおよび方法は一般に、いくつかの事例では、典型的には1~6以上に及ぶ電力分配システムで使用される位相の完全な範囲に適用できる。システム内の相数は、中性を含む全ての相は1つ以上のCITE装置または前記装置のセットを備えるべきであるという制約を課す以外、CITE技術の使用に何の関係もない。危険なEMI信号のかなりの部分の反射は、電気構成要素がかかる信号によって損傷して動作不能にされるのを防ぐことができる。周波数依存インピーダンスの意図的な不整合は、導電性インピーダンス変化素子(CITE)を電力線上に組み込むことによって実現される。CITEは、電力線に対する導電性アタッチメントであると考えられ得る。導電性アタッチメント(CITE)は電力線と同じ断面形状を有し得るが、電力線の直径よりも数倍大きい直径を有し得る。
【0057】
例えば、
【数1】
である、円形断面の要素の総低周波インダクタンスを考えると
式中、
dcはナノヘンリー(nHまたは10-9H)での「低周波数」またはDCインダクタンスであり;
lは要素または構造のcmでの長さであり;
rは要素または構造のcmでの半径である。
(E.B.Rosa、「The Self and Mutual Inductances of Linear Conductors」、Bulletin of the Bureau of Standards,Vol.4,No.2,1908、ページ301ff。)インダクタのリアクタンス(すなわち、インピーダンスのタイプ)は
【数2】
であり、要素の半径に対する変更は、インダクタンス(L)変化につながり、それはその結果として、インピーダンス(X)における比例した変化を引き起こす。ここで「f」という用語はインダクタに入力された信号の周波数である。言い換えれば、電力線上のCITEの存在に起因した変数r(電力線の半径)におけるr+x、xはCITEのrに関する正の直径変更を表す、への意図的な変化は、CITEと、rの元の値を有する電力線の隣接した長さとの間のインピーダンスの対応する意図的な不整合を引き起こす。上の等式は、Lにおける差に起因したインピーダンスの任意の不整合は、周波数値で乗ぜられて、より高い周波数におけるより高い不整合となることも示す。
【0058】
非限定的例として、電力線が直径1インチのワイヤーを含む場合、CITEは15~20インチの直径をもつディスクとして構成できる。この実施形態は、複数の電力線が典型的には、電力線間に十分な距離をおいて、並んで、または別のものの上に、張り巡らされる従来型の電力線設定における使用に適している。具体的には、各電力線を別のものから分離する距離を指示する当業者に周知の標準がある。CITEは電力線よりも大きな幅(直径)を有しているので、CITEは電力線から隣接する電力線に向かって外側に延在することが理解されるであろう。アーク放電またはごく近接して2つの導体を有する任意の他の有害作用を回避するために、CITEの外縁と、隣接した電力線または隣接した電力線上の任意のCITEの周辺端部との間で十分な距離を維持する必要がある。電力線はそれらのテザリングから離れて揺れることができるので、隣接した線の間の距離を短くすると、この現象も吸収するために余分な公差が追加される。いくつかの実施態様では、略18インチの間隔が置かれる電力線の場合には、CITEの外周縁が、略6~12インチなど、隣接した電力線から規定の距離に位置づけられる。CITEハードウェアの設置を可能にするために、送電システム内で個々の線を分離する距離を増やすことは比較的簡単であることに留意されたい。
【0059】
電力線間の間隔に関する考慮事項は別として、CITEの直径は電力線の電圧レベルによっても決まる。電力線上で使用される電圧が高ければ、その電力線に取り付けられるCITEの直径はそれだけ大きくするべきである。
【0060】
本明細書で説明されるように、CITEの例示的な実施態様は、ユニットとして結合されて、電力線に沿って配置された2つ以上のCITEの配置を含む。システム全体の効率は、CITE、またはCITEのグループの数、ならびに電力線に沿って前述の方法で配置される前記CITEおよびCITEのグループの間隔に少なくとも部分的に基づき得る。
【0061】
インピーダンス不整合は、伝送線に沿った定在波となり、電圧定在波比(VSWR)は、波腹(最小限)での部分的な定在波の電圧振幅対ノード(最大限)での線に沿った電圧振幅の比として定義される。VSWRは、電源のインピーダンス整合(不整合)の基準および送電線の特性インピーダンスに対する負荷である。CITEまたはCITEのグループと電力線との間のインピーダンスの意図的な不整合によって引き起こされた高いVSWRは、入射する危険なEMI信号(例えば、EMP)の高周波数成分(MHz~GHzの範囲)の反射を引き起こすが、電力を電力線に供給する電流信号(例えば、50~400Hz)のずっと低い基本周波数成分には弱く影響するだけである。過渡信号の高周波数成分の反射は、(1)熱または絶縁損傷による、変圧器、発電機またはモーターなどの、電力線に接続された電気構成要素を含む磁気巻線に到達して動作不能にするかかる構成要素の設計電圧よりも高い電圧に起因した破壊的な結果、ならびに/または(2)電力線中の電流を遮断するための任意の配備された開閉装置構成要素に到達して動作不能にするかかる高周波数成分の破壊的な結果、を防ぐために行われる。他の故障機構が可能であることに留意されたい。
【0062】
破壊的および建設的な干渉の含意
前記電力線において反射された過渡信号の破壊的または建設的な干渉がある状況を故意に作り出すことが可能であることに留意されたい。CITEシステムを設計する際にこの件が考慮されることが重要である。さらに、高周波数成分の破壊的な干渉を故意に作り出すようにCITEシステムを最適化して、それらがCITEシステムの通常の動作とは無関係に自身を無効にするのを可能にすることが望ましい。
【0063】
破壊的な干渉を確実にするために、電力線の両端におけるCITEの間隔が、建設的な干渉を生じさせる大きさではない。保護された線の電源を切ることができる設置の事例では、最適な間隔を判断するために単純な検査が実施できる。
【0064】
この検査では、適切な立ち上がり時間、パルス幅および振幅の直接噴射パルス源は、CITE構造の設置後に電力線に容量的に結合される。最低限の1GHzの瞬時帯域幅をもつ高速オシロスコープが、CITE構造の1つの他方の側の線に結合される。パルスが注入されて波形が観察される。電力線の注入側からサンプリングされたパルスと比較してパルスの振幅が減少している場合、間隔は適切である。パルスが大きい場合、CITE構造の1つのセットは、最小限のパルスサイズが観察されるまで移動される必要がある。この検査は、CITE構造の適切な動作を検証するために電力線がどのように認証されるかでもある。
【0065】
図1は、従来技術に従い、電気構成要素(E.C.)(電気または電子機器)10が電力生成、伝送および分配システムの電力線104に接続された、原寸に比例していない、システムの概略図である。電力線104は、それが導電性であることを示すためにクロスハッチングで示されている。電磁パルス(EMP)などの、外部の危険な電磁信号12(危険なEMI)は、パルス14として電力線104上で電磁信号を誘起し、それは、電気構成要素(E.C.)10に向けられる。電気構成要素(E.C.)10は、電気構成要素(E.C.)10に到達する電圧パルス14の大きさが、前述した1つ以上の故障機構によって高過ぎる場合、動作不能にされる。
【0066】
図2は、保護される構成要素100(図中で「P.C.」として示されている)、電力線104および単一の導電性インピーダンス変化素子(CITE)106の、原寸に比例していない、概略図である。CITE 106は、保護される構成要素(P.C.)100を危険なEMIの影響から保護するための手段または技術として電力線104に沿って故意に作成されたインピーダンスの周波数依存不整合を導入する。それぞれのCITE 106は概略的に示されており、より詳細な実施形態が以下で説明されて後続の図に例示される。CITE 106は導電性(例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、フェライト、その何らかの組合せなどの、金属、または他の導体材料から形成される)であり、保護される構成要素(P.C.)100から電力線104の長さの方に向く第1の面107を有する。一般に、CITEは、「第1の」面と称される、要素の片面が要素と電力線との間の直径比を最大化するように構築される。設置中、CITEの第1の面は、保護される構成要素から外方に向くように設置される。CITEの第1の面107と電力線104の軸方向に隣接した部分との間に突然のインピーダンス不整合がある。単一のCITEは、不要な高周波数成分の100%反射をもたらさず、これを達成するために、図3図8に示されるような、もっと複雑な構造が要求されて、以下で説明されることに留意されたい。図2図5は、単一の保護される構成要素をもつ電力線の一方の端部を参照することに留意されたい。全ての信号は、分かりやすくするために、たとえそれらが電力線から空間的に移動されて示されていても、電力線の導体上を進むことにも留意されたい。
【0067】
潜在的に有害なEMI信号108は、電力線104に影響を及ぼす外部の危険なEMI109(例えば、EMP)によって電力線104上で誘起される(または、いくつかの事例では、注入される)。信号108は本明細書では、「過渡的誘起信号108」であるとも呼ばれる。電力線104に沿ってCITE 106の存在によって誘起された故意的なインピーダンス不整合は、CITE 106の第1の面107に過渡的誘起信号108の第1の部分110を保護される構成要素(P.C.)から離れて反射させる。反射部分110は、前述の反射に起因して過渡的誘起信号108と比較して極性が反転される。過渡的誘起信号108のより小さい振幅の第2の部分112は、保護される構成要素100の方に伝送される。保護される構成要素から離れて伝送される第1の部分110は、インピーダンス不整合の程度の関数の比率で、第2の部分よりも(振幅において)遥かに大きい。図2は、過渡的電磁波干渉信号の描写ならびに過渡的電磁波干渉信号の伝送および反射部分の描写に関して簡略化(同様の図として)されていることが理解されるべきである。図2では、例えば、過渡的誘起信号108および過渡的誘起信号の反射された第1の部分110は、垂直距離によって離して示されている、別個の経路に沿って進むように見える。しかし、これらの信号108、110は実際には、電力線104を含む重なり合う経路に沿って反対方向に進む。さらに、図解を簡潔にするために、過渡的電磁波干渉信号108の2~3の代表的な伝送および反射部分だけが図2に示されている。図2の構成は、実現可能で動作可能であるが、好ましい実施形態ではなく、ここでは、主に例示目的のために提供されることに留意されたい。
【0068】
電力線104上のCITE 106(および任意の他のCITE)の設計および配置は、保護される構成要素(P.C.)100にわたって印加される電圧が、かかる構成要素を動作不能にする破壊的な結果を回避するために十分に低いことを確実にすることを意図する。前述のとおり、周波数依存のインピーダンス不整合(CITE 106に起因した)は、電力を電力線に供給する電流の基本周波数で、保護される構成要素(P.C.)100から離れて、電力線104上の電圧の反射も回避する。かかる基本周波数は典型的には、例えば、50、60、または400Hzであり得る。
【0069】
保護される構成要素(P.C.)100に伝送される過渡的誘起信号108の部分112に対する最大閾値電圧を決定するための1つの有用なガイドラインは、配電網に接続された電気構成要素を保護するための基準としてグローバルに使用される、トランスナショナル標準「ベーシック絶縁レベル」(BIL)である。周知のように、システムの機器の絶縁は、インパルス(例えば、雷インパルス)過電圧がサージ保護装置および同様のものなどを通して放出される前にある最小電圧に耐えるように設計される必要がある。従って、サージ保護装置の作動電圧レベルは、機器の最小耐電圧レベルよりも低いべきである。この最小定格電圧は電気機器のBILすなわちベーシック絶縁レベルとして定義される。多くの場合、BILは、電気機器が保護されるのを十分に確実にするためにサージ保護装置の作動電圧レベルよりも6~7倍高い。BILに対する倍数は、作動電圧によって決まり、作動電圧が高まるにつれて低下することに留意されたい。
【0070】
従って、1つ以上のCITEは、保護される機器(P.C.)100までCITE(複数可)を通過する部分112がかかる機器に対するBIL定格(または何らかの他の設定基準もしくは閾値)内であるように、保護される機器(P.C.)100に十分に近接して配置される。
【0071】
同様に本明細書で説明されるように、保護される構成要素(P.C.)100は、広範な用途にわたり任意の数の異なる形をとり得る。例えば、保護される構成要素(P.C.)100は、住宅(自宅)またはその下位構成要素の形をとり得るか、または変電所もしくは発電機などの、産業用電力設備の形であり得る。
【0072】
図3は、2つのCITE 120、122が結合されている電力線104の別の実施形態を示す。各CITE 120、122は、保護される構成要素(P.C.)100から離れて配向される第1の面、および保護される構成要素(P.C.)100に向かって配向された第2の面を有する。CITE 120の第1の面およびCITE 122の第1の面は電力線104の区分を挟んで相互に向かい合い、過渡的誘起信号のエネルギーを散逸させるための減衰共振器125を形成する。過渡的誘起信号126は、外部の危険なEMI 127により電力線104上で誘起される。過渡的誘起信号126の一部は伝送部分128としてCITE 122を通って左に移動する。過渡的誘起信号の別の部分は、反射部分134としてCITE 122の第2の面から反射される。CITE 122を通過する伝送部分128の一部は、反射部分130としてCITE 120の第1の面から右に反射される。反射部分130の一部は伝送部分131としてCITE 122を通過する。伝送部分128の別の部分は、伝送部分132としてCITE 120を通って左に移動する。誘起信号126および伝送部分128、132を通って保護される構成要素100までの、危険なEMI 127の受信からの信号の伝送部分は、破線のボックス150で囲まれている。
【0073】
反射部分130の一部は、さらなる反射部分136としてCITE 122の第1の面から左に反射される。反射部分136の一部は、伝送部分140としてCITE 120を通って左に移動する。反射部分136の別の部分は、さらなる反射部分138としてCITE 120の第1の面から右に反射される。信号が反射されると、さらなる反射部分は入射部分と比較して減衰される。例えば、反射部分138は反射部分136と比較して減衰される。反射部分138の一部は伝送部分142としてCITE 122を通って右に移動する。外部の危険なEMI 127の一部で始まり、電力線126上の誘起信号、最初はCITE 122を通して伝送される信号126の部分128、CITE 120を通して伝送される信号128の部分132を含む、誘起信号の主要な伝送構成要素は、破線の長方形ボックス150内に要約されている。用語「左」および「右」は図3に示されているシステムならびに部品の相対的な配置および様々な信号の伝搬の相対的な方向の説明において便宜上のみで使用されることが理解されるであろう。
【0074】
本明細書で前述のとおり、CITE 120、122は、規定の距離だけ相互から間隔を空けることができ、その値は、電力線104のタイプなどの、動作パラメータの数によって決まる。以下で説明されるように、CITEは、所望の距離だけ相互から間隔を空けてCITEを自動的に配置する内部スペーサまたはガイドを提供するために構築できる。
【0075】
図3および前述のパラグラフから、初めの伝送部分がさらなる反射部分のカスケードを引き起こす;具体的には、伝送部分128が反射部分130を引き起こし、それは、同様に、さらなる反射部分136を生じさせ、それはさらにさらなる反射部分138を生じさせることが理解できる。図3は、反射部分の各々が強度において連続して弱められるのを概略的に例示する。結果として、CITE 120および122は、危険なEMIへの暴露に起因する過渡的誘起信号のエネルギーを無害に散逸させるための減衰共振器125を形成する。
【0076】
図3で、信号131、134および142は、CITE 122から電力線104に沿って右に進み、それらのエネルギーは電力線中で熱として無害に散逸される。減衰共振器125内で、過渡的誘起信号126の部分の減衰共振反射も電力線104中で熱として無害に散逸させる。CITE 120から保護される構成要素100に向けられた、部分132および140のそれぞれの電圧は、保護される構成要素100が動作不能にされ、かつ/または損傷されるのを回避するために十分に低く保たれる。CITEの間隔は、建設的または破壊的な干渉を可能にできることが理解されるべきであるが;対象の周波数における建設的な干渉は回避されるべきである(前述の建設的および破壊的な干渉を参照)ことが当業者には明らかであろう。
【0077】
図3に示される実施形態では、外部EMIはCITE 120、122の両方の右側で信号を誘起する。図4は、危険なEMIが、CITE 120、122間の電力線の部分に衝撃する異なるシナリオの概略図である。図4は、破線のボックス150a内の伝送部分を図3のボックス150との比較のための基礎として例示する。理解され得るように、図4では、図3とは異なり、示された危険なEMIは、CITE 120と122との間の電力線の区分で受信される。過渡電磁信号160は、危険なEMI 162により電力線104上で誘起され、その信号の伝送部分165はCITE 120を通過して電気構成要素(図4には示されていない)に向かう。
【0078】
保護される構成要素(P.C.)100と第1のCITE(すなわち、120)の間の電力線104の長さをできる限り短く保つことは典型的には望ましい。外部の危険なEMIからの影響の可能性は、曝される電力線の長さに比例するので、これは、電力線104の前述の長さの過渡電磁信号(誘起信号)への暴露、およびこの長さが外部の危険なEMIによって影響を受ける結果として生じる可能性を限定する。一例として、電力線が第1と第2の変圧器の間に延在する場合、1つ以上の、および好ましくは複数のCITEは、CITEの第1のセットが第1の変圧器に近接して配置され、CITEの第2のセットが第2の変圧器に近接して配置されて、CITEの両方のセットが第1および第2の変圧器を本明細書で説明される方法で保護するように、電力線の両端部に配置されるべきである。言うまでもなく、変圧器の代わりに、電力線の端部は、本明細書で説明される例示的なものおよびその他など、任意の保護される電気構成要素に接続され得ることが理解されるであろう。
【0079】
図5は、3つのCITEが電力線104に結合されて、電気構成要素を過渡電磁妨害に起因する過渡的誘起信号から保護する本開示の別の実施形態の概略図である。この実施形態では、CITE 170、172、174は、2つの減衰共振器、CITE 170と172の間の第1の共振器178、およびCITE 172と174の間の第2の共振器179、を形成する。
【0080】
図5では、前述と同じ慣例が適用され、そのためCITE 170、172、174は、保護される構成要素(P.C.)100から離れて配向される第1の面、および保護される構成要素(P.C.)100に向けて配向される第2の面を有する。
【0081】
図5で、外部の危険なEMI 182は電力線104上で信号180を誘起または注入する。信号180の一部は、CITE 174からの第1の面で反射部分184として右側に反射される。過渡電磁(誘起または注入された)信号180のさらなる部分は、CITE 174を通り、伝送部分186として左側に伝送される。次いで、伝送部分186の一部はCITE 172の第1の面に到達し、反射部分188として右側に反射して戻される。伝送部分186の別の部分は、CITE 172を通り、伝送部分187として左に移動する。伝送部分187の一部は、CITE 170を通り、伝送信号198としてさらに伝送される。振幅に関して、伝送部分186は伝送部分187よりも高い振幅を有しており、伝送部分187は同様に、部分198よりも高い振幅を有することに再度留意されたい。伝送部分187の別の部分は、CITE 170によって反射部分195として右側に反射される。反射部分188がCITE 174の第2の面に到達すると、信号の第1の部分は信号190で伝送され、第2の部分は信号192として左に反射される。左側に向けられた、信号192の第1の部分は、CITE 172を通り信号194として伝送され、他方、信号192の第2の部分は、CITE 172の第1の面で信号196として反射される。信号194がCITE 170の第1の面に到達すると、信号の第1の部分は信号200として反射され、第2の部分はCITE 170を通り伝送部分202として伝送される。加えて、信号196がCITE 174の第2の面に到達すると、信号の一部はCITE 174を通り伝送部分197として伝送される。
【0082】
部分198および202のそれぞれの電圧は、保護される構成要素(P.C.)100を動作不能にするのを回避するために十分に低く保たれる、最終伝送部分である。CITE 122から右側に向けられている、伝送部分184、190および197は、それらのエネルギーを電力線104に沿って熱として散逸させる。
【0083】
図5で、2つの減衰共振器178および179の使用は、電力線に沿った熱放散を増大させる、CITE間を通過する反射および伝送信号のより大きな数のために、図3に示される単一の減衰共振器125の使用と比較して、過渡的電磁波干渉信号のより多くのエネルギーの散逸を可能にする。それに応じて、複数対の減衰共振器の使用は、保護される構成要素100に到達する過渡的誘起信号の任意の部分を最小限にするのを支援できる。CITE構造は、それ自体でひとりでに、ヒートシンクとして動作することは意図されていないことが理解できる。むしろ、熱は、放射プロセスにより電力線104自体によって散逸されると予期される。
【0084】
図6は、本開示に従ったCITEが、第1の保護される構成要素201および第2の保護される構成要素203を電力線の右端部に有する電力線上で使用される別の実施形態の概略図である。従って、図2図5とは対照的に、図6図8は、各々がそれぞれの保護される構成要素201、203を有する、電力線の両方の端部を例示する。図6の実施形態例では、第1および第2の保護される構成要素は変圧器である。それらは他の構成要素にもできる(上で定義されるように)ことが理解されるべきである。図6では、可変CITE要素230は、保護される構成要素201と関連付けられた可変数(1~N)のCITEおよびCITEグループを表し、可変CITE要素232は、保護される構成要素203と関連付けられた可変数n(1~N)のCITEを表す。可変CITE要素230は、可変CITEの個々の要素(1~N)を例示するために別個に右側にも示されている。各要素230、232は、要素内のCITE数-1(n-1)に等しい、いくつかの隣接した減衰共振器を含む。例えば、電力線上に直列に配置された1、2および3の番号が付けられた3つのCITEがある場合、CITE 1と2の間に1つの減衰共振器、およびCITE 2と3の間に別の減衰共振器がある。図6に示される例では、共振器235-1はCITE 1と2の間に位置付けられ、共振器235-2は、例示的な可変CITE要素のCITE 2と3の間に位置づけられる。
【0085】
図7は、1つ以上のCITEを含む可変CITE要素を設置するためのもっと多くの位置を含む図6に類似した別の実施形態の概略図である。例えば、要素240、242、244、246、248、250、252、254は、保護される構成要素100、200の間で、電力線104に結合される。再度、可変CITE要素240~254の各々は、1~NのCITEを含むことができる。図7は、可変CITE要素240~252の各々は、CITE数-1(n-1)に等しい、いくつかの隣接した減衰共振器を含むことを示す凡例(legend)を有する。図7に示される例では、共振器235-3はCITE 1と2の間に出現し、共振器235-4は、例示的な可変CITE要素のCITE 2と3の間に出現する。図7に示される配置で組み合わせることができる多数のCITEは、多数の減衰共振器を提供して危険なEMIによって誘起される任意の信号を散逸できる。例えば、電力線上に相互に隣接して位置付けられる、可変CITE要素240および242が各々3つのCITEを含む場合、要素240、242の概略位置内のCITEの総数は、それらの間に5つの減衰共振器を提供する6つのCITEである。
【0086】
図8は、CITEが電力線104に沿って3つのグループに配置されている別の実施形態の概略図である。グループ内のCITEは、相互に比較的近接近して(例えば、約1センチメートル~10,000センチメートルの間)間隔が置かれ;かかる間隔は以下、グループ内間隔と呼ばれる。CITE 260、261および262は第1のグループを形成し;CITE 265、266および267は第2のグループを形成し;CITE 270、271および272は第3のグループを形成し;CITE 275、276および277は第4のグループを形成する。3つのCITEの前述のグループの各々は、グループ内間隔と比較してもっと大きいグループ間距離だけ、3つのCITEの隣接したグループから離すことができる。グループ内間隔およびグループ間距離は、当業者には周知のように、電力線上で誘起される信号の速度によって決定される、建設的な干渉を作り出すのを回避するように選択され、それは、当業者には周知のとおり、相対論的速度を達成するために必要な電圧レベルと比較して実際の電圧によって決定される、光の速度の一部分である。真空中の光の速度はナノ秒あたり略1フィートであることに留意されたい。本明細書で企図されるタイプの送電線(例えば、線104)上で、電磁波の速度は遅く、いくつかの物理的考慮事項に応じて、1.25~7ナノ秒あたり約1フィートのオーダーである。送電線上の電磁波の低下した速度に基づいて各CITE間の減衰共振器の間隔を選択することは、減衰共振器の各CITE間の最適な距離を生じさせる。いくつかの実施形態では、共振器間の間隔は約800~約1200フィートであるが、この範囲は本来は例示に過ぎず、制限しないことが理解されるであろう。このタイプの伝送線におけるパルスの伝搬は良く知られており、電磁パルス理論に関するテキストブックで説明されている。
【0087】
図8は、グループ内(すなわち、第1グループ内の235-5および235-6、第2グループ内の235-8および235-9、第3グループ内の235-11および235-12、ならびに第4グループ内の235-14および235-15)、およびグループ間(すなわち、235-7、235-10、235-13)の隣接した減衰共振器も示している。
【0088】
減衰共振器の一対のCITEは、別の減衰共振器の別の一対のCITE内に入れ子にできる。例えば、図8で、第1のグループのCITE 262および第2のグループのCITE 265は、それらの間に共振器235-7を定義し、他方、第1のグループのCITE 261および第2のグループのCITE 266は、共振器235-7を含む大きな共振器235-15を定義すると考えることができる。前述の方法でのCITEの入れ子は、過渡的誘起信号の減衰の程度を高める。これは、システムを設計する便利な方法をもたらす。システムがそれに対して保護する誘起信号の最大振幅をとり、それを減衰共振器の入れ子の対のCITEあたりの減衰係数で割って必要な入れ子のセットの数を得る。
【0089】
従来型の低域通過フィルタとの比較
加えて、本開示のCITEは、従来型の低域通過フィルタと比較して有用な特性を有する。本開示のCITEは低Qファクタ低域通過フィルタとして電気的に説明できる。リアクタンスの抵抗に対する比である、Qファクタは、発振器または共振器がどのように不足減衰されるかを説明して、共振器のその中心周波数に対する帯域幅を特性化する。より高いQは、共振器の貯蔵されたエネルギーに対するより低い比率のエネルギー損失を示しており;発振器はより緩やかに停止する。通常、フィルタは、可能な限り高いQファクタを持つように設計されるが、それは、フィルタによって捕捉されたエネルギーがフィルタによって散逸されるための最適な構成であるので、本発明は低Qファクタに対して特に最適化される。追加として、本発明のCITEは、CITEが非共振設計を有して、無彩色で動作して独特で固有の周波数応答曲線を有するという点において従来型の低域通過フィルタと異なる。CITEは、従来型のフィルタがそれを熱として内部で吸収する不必要なエネルギーの一部を反射するように設計されることが理解できる。
【0090】
従来型の低域通過フィルタは典型的には、インダクタ、コンデンサおよび抵抗を使用して様々なタイプの共振回路を形成する。これらのタイプの構成要素の様々な組合せを使用することにより、ほとんどいずれの伝達関数のフィルタも構築することが可能である。このアプローチに関する問題は、50~60ヘルツで、従来のAC電圧および電流で動作する一般的な送電および配電システムにおいて、個々の構成要素は非常に大規模で、扱いにくく、高価になることである。本発明は、インダクタ、コンデンサ、または抵抗の使用を回避して、代わりに著しく不整合な導電性インピーダンス変化素子(CITE)を使用することによってこれを解決する。本開示のCITEは、信号の不要な部分を単に吸収する、任意の組合せのインダクタ、コンデンサ、および/または抵抗から構成される同調共振電子回路の使用とは対照的に、信号の不要な部分の反射を生じるために選択的なインピーダンス不整合のそれらの使用に起因して、従来型の低域通過フィルタと区別される。
【0091】
本発明のCITEは、約1メガヘルツ以下の周波数は抵抗を受けずに通されるが、より高い周波数は選択的に減衰されるという点においてより無彩色の周波数応答を提供する。周波数が高ければ、減衰係数はそれだけ高く、従来のフィルタ設計では必要な任意の構成要素値の変更が必要ない。複数の減衰共振器の使用は、より高い周波数成分のさらに高い減衰をもたらす。本明細書で説明される設計方法は、ほぼ階段関数周波数応答を提供する。
【0092】
低域通過フィルタは、歴史的に、関与する構成要素の大きなサイズおよび費用に起因して稲光抑制に対して使用されていないことに留意されたい。
【0093】
低「Q」、品質係数(Q<1/2)を持つシステムは、過減衰されると言われる。かかるシステムは発振をうまく継続しないが、その平衡定常状態出力から変位されると、それは指数関数的減衰によってそれに戻って、漸近的に定常値に近づく。それは、異なる減衰率を持つ2つの減衰指数関数の合計であるインパルス応答を有する。品質係数が減少するにつれて、低速減衰モードは高速モードに対して強くなり、システムの応答に影響を及ぼして低速なシステムとなる。非常に低い品質係数をもつ二次低域通過フィルタはほとんど一次ステップ応答を有し、システムの出力は漸近線に向かって緩やかに上昇することによってステップ入力に応答する。
【0094】
E1パルスに関して本発明に適用されるように、低Qファクタをもつフィルタは、捕捉されたEMPまたは他の過渡電磁妨害からの不要なエネルギーが減衰共振器(複数可)内で消えて熱として散逸されるのを可能にするので、望ましい。きわめて短いパルス幅、典型的にはE1パルスに対して500ナノ秒未満の結果として、複数の減衰共振器を活用して装置のQファクタをさらに減少させることは望ましい。
【0095】
CITE実施形態
本明細書で説明されるとおり、本システムの構成要素の1つは、典型的には、好ましくは少なくとも2つのCITEのセットに配置されるインピーダンス変化素子(CITE)である。
【0096】
それに応じて、減衰共振器の片面を形成する導電性インピーダンス変化素子(CITE)は、それを囲んでいる電力線よりも直径が大きい導電性ディスクとして実装でき、導電性ディスクは電力線に電気的に結合される。前述のとおり、結果として生じる、CITEと電力線の隣接した部分との間の直径差は、CITEと電力線の隣接した部分との間の不整合なインピーダンスの比率の結果として、過渡電磁(誘起)信号の高周波数に対して高いVSWRを示す構造を作り出す。
【0097】
本開示に従ったCITEの1つの例示的な実施形態、およびその部分は、図9図15に関連して説明される。図9は、CITE 300の片面の平面図である。CITE 300は、概してディスクの形状で形成されて、開口部を中央穴302の形で有する。CITE 300は、第1の(例えば、上側)部分305および第2の(例えば、下側)部分310から形成されて、第1の部分305および第2の部分310は、2つの部分305、310が少なくとも部分的に相互に離れている開位置と、図9に示されている閉位置の間を動くのを可能にするためにヒンジ要素315によって連結される。
【0098】
図9に示されるように、CITE 300は、図のように、トロイダル形状を有し得る外側周辺部分、および中間部分、および中央穴302が形成される中央部分を有する。CITE 300は第1および第2の部分305、310によって画定されて、これらの部分の各々は外側周辺部分、中間部分、および中央部分を有する。外側周辺部分は従って、コロナ放電を除外および/または制御することを意図する丸みを帯びた縁を含む。
【0099】
示される実施形態では、上側構成要素は、増大した幅の外側周辺区分312を有し、下側構成要素は、増大した幅の対応する外側周辺区分313を有する。一実施形態では、外側周辺区分312は、トーラスの略1/2であり、外側周辺区分313は同様に、結合された場合に、2つの部分312、313がCITE 300の外側周辺に沿って概ねトロイダル形状を画定するように、トーラスの略1/2である。言い換えれば、これらの区分312、313は丸い表面を有する。312および313の内表面は、テクスチャ加工され得るか、またはスパイクさえ打ちつけられて(図9図11には示されていないが、図12図15には示されている)穴を開けて、これらの要素によって含まれている電力導体との電気接触を増大させることに留意されたい。
【0100】
第1の部分305は、外側周辺区分312に関して窪みを作られた中央区分314を有し、第2の部分310は、外側周辺区分313に関して窪みを作られた対応する中央区分315を有する。外側周辺区分のトロイダル形状と比較して、中央区分312、314は、平面の形であり、一般に半円形状を有し得る。
【0101】
第1の部分305は、保護される構成要素(図9の図でページから外へ延出している)に面しているCITEの第2の面上に配置された突き出た締め付けハブ316も含み、第2の部分310は、同様にCITEの第2の面上に配置された対応する突き出た締め付けハブ317を含む。図のように、締め付けハブ316、317は中央穴302の周辺にリップを形成する。締め付けハブは、CITEを電力線にしっかりと連結するため、ならびに、図10および図12を参照して以下でさらに説明されるように、上側および下側部分305、310を相互にしっかりと固定するためにも使用される。図9に示される図では、上側構成要素305は下側構成要素の上に据え付けられる。
【0102】
図10に示されるように、ヒンジ要素315によって、上側構成要素305は、反時計回りの方向に下側構成要素310から離れて旋回できる。旋回されると、上側構成要素305と下側構成要素310との間に間隙または空間が広がる。図のように、この間隙を開くことは、CITEがその周囲に配置される電力線(ケーブル)を受け入れる締め付けハブ316、317の間に画定される中央開口へのアクセスも提供する。同様に図10に示されているのは逃げ穴307ならびに締め付けハブ316および317のそれぞれの脚区分321、327を通るねじ穴308である。再度、図9の図を参照すると、上側および下側区分が接合される(旋回を解除する)場合、穿孔307、308が一致して、ねじまたはボルトなどの締め付け要素が挿入できる連続した穴を形成して、CITEの上側および下側区分を相互に固定する。かかる締め付け要素を表すために、例示的なねじ頭303が図9に示されている。いくつかの実施形態では、区分321、327は、CITEの上側と下側部分の締め付けハブの間のしっかりとした連結をさらに確実にするために追加のねじ、ボルトを受け入れるための追加の穿孔を含むことができる。リベットも使用することができ、その場合、ねじ切りは必要ない。図12では、上側構成要素305の補完的な接触面(図示せず)とぴったり合う下側構成要素の傾斜した接触面328も示されている。
【0103】
いくつかの実施形態では、締め付けハブ316、317はCITE 300の片面上に位置付けられ(すなわち、ディスクの平面と垂直に外向きに一方向に突き出る)、複数のCITE 300が直列に組み合わされる場合、2つの隣接したCITE 300は、突き出た締め付けハブ316、317が隣接したCITE 300の反対面と接触するか、またはごく近接するように、配置できるので、締め付けハブは、スペーサーとして機能できる。従って、2つの隣接したCITE 300が押されて相互に接触すると、締め付けハブ316、317は2つの隣接したCITE 300の間の距離を決定できる。締め付けハブ316、317の長さは、CITEのグループがユニットに一緒にグループ化される実施形態では、2つの隣接したCITE 300の間の距離(間隙)を画定するために使用できる。第1のCITE 300から保護される電気構成要素に向かって移動する伝送された過渡的誘起信号は従って、第1のCITE 300から規定の設定距離(突き出た内側区分316、317の長さとして画定された)離れて配置されている第2のCITE 300に遭遇する。このように、一連のCITE 300は、電力線に沿って制御された間隔で配置できる。直列に隣接したCITE間の間隔は均一であり得ることが想像されるが、間隔は少なくとも、2つの隣接したCITE 300間の第1の距離、および2つの他の隣接したCITE 300間の異なる第2の距離があり得るという点で不均一であり得ることも理解されるであろう。CITE 300の不均一な間隔は、電力線104に沿って複数の破壊的な干渉条件を提供する際に有用であり得る。入射する危険なEMIは、異なるスペクトル成分を有し得るので、不均一な間隔を持つことは、異なる周波数の範囲にわたる破壊的な干渉を確実にする。
【0104】
図11は、上側および下側構成要素305、310がぴったり合う位置から離れて旋回されている図10に示されたCITEのヒンジ端面図である。この図では、上側構成要素の下表面322はギザギザの輪郭を有しており、下側構成要素の上表面324は、上側構成要素の下側表面に協調的に係合するように適合された補完的なギザギザの輪郭を有することが分かる。しかし、表面322、324はぴったりとは係合せず、CITEの方に内向きに延出するノッチ325を残す。
【0105】
図12は、わずかに旋回された位置におけるCITE 300の斜視図であり、締め付けハブ316、317をより明確に例示する。締め付けハブ316は、半円のリップ区分319および脚長方形の「脚」区分321を含む。同様に、締め付けハブ317は、半円のリップ区分323および長方形の脚区分327を含む。それぞれの締め付けハブの「脚」区分321a、327aは、図9および図10に示されるものとは異なる締め付け機構を有する。この実施形態では、(締め付けハブ316の)脚区分321aの下表面は、締め付けハブ317の脚区分327b内のレセプタクル345内に位置付けられた一致する歯に関して曲がって適所にパチンとはまる能力を有する可撓性歯をもつラチェット要素343を含む。かかるラチェット締め具のために使用される製造方法および材料特性は、当業者には周知である。CITEが閉じられていてラチェット要素343がレセプタクル345に入ると、上側および下側区分305、310は一緒に適所に固定される。図12では、上側構成要素305の補完的な接触面(図示せず)とぴったり合う下側構成要素の傾斜した接触面328も示されている。
【0106】
締め付けハブの半円区分319、323の内表面は、鋭い彫り込み要素(incision element)341(ひとまとめにして識別される)を含む。彫り込み要素は、CITEが取り付けられて、締め付けハブ316、317が電力線を取り囲む場合に、電力線の外表面に食い込むように適合される。電力線に食い込むことにより、CITEと電力線の間のしっかりとして安全な導電接続が確実にされる。彫り込み要素341は、図のようにピラミッド形状で、スパイクとして、または当業者には周知のように彫り込み要素の機能目的を支援するような他の形状で形成できる。使用される個々の彫り込み要素の数およびサイズは、電力線の既知の特性に基づいて変わり得る。
【0107】
アーク放電を防ぐために、導体ペーストが、CITE内の全てのジョイントおよびCITEと電力線の間の接合部分に塗布される。例えば、電力線上への設置中に、米国オレゴン州レイクオスウィーゴのCool Amp ConductoLube Co.,によって製造される、CondutoLubeなどの導体ペースト、または同等物が、表面328上、および上側と下側構成要素305、310の間の他の全ての接合部分に塗布できる。図示される他の実施形態では、導体ペーストは、ヒンジ表面322、324にも塗布されて、ヒンジ要素におけるアーク放電を防ぐ。一旦、CITEが電力線の周りに取り付けられて、電力線がCITEの中央穴302内に位置付けられると、導体ペーストは中央穴の縁の周りに塗布されて、CITEと電力線の間の均一な導電接続を確実にできる。
【0108】
図13は、CITEの下側構成要素310の斜視図であり、図14は、上側構成要素310の斜視図である。図13および図14の構成要素図は、上側および下側構成要素が連結する傾斜した接触面328、329をもっと明瞭に例示する。両方の表面328、329は不連続であって、中央穴302を提供するために中央で切断される。図15は、図11の軸15-15から見た縦方向断面図である。図15の図は、それぞれ上側および下側構成要素のヒンジ要素315以外の、外側区分312、313の大部分は中空であることを例示しており、それは、CITEの重量および費用を減らすのに役立つ。
【0109】
CITE 300の構造は従って、ケーブルの受け入れを可能にするために、その構造を容易に開くのを可能にし、次いで、上側および下側構成要素305、310を密封して閉じると、ケーブルを捕捉する結果となり、それによってCITE 300をケーブルにしっかりと連結させる。
【0110】
図28Aおよび図28Bに示される、CITE 300の別の実施形態では、CITEの上側構成要素は、図9図16に示される実施形態の上側構成要素と同様に、構成要素の下表面から突き出る舌状要素355を有する。下側構成要素は、確かな電気接触を達成するために、少量の公差で舌状要素をしっかりと受け入れるサイズにされた補完的な溝を含む。舌-溝の対は、CITEが電力線上に取り付けられた後に、締め付けハブと一緒に、上側および下側構成要素を固定するのを支援する。
【0111】
図16は、本開示に従ったCITEの別の実施形態の透視図である。CITE 600は、ヒンジ要素で取り付けられていない上側および下側区分605、610を含む。示される実施形態では、区分605の締め付けハブ616は、サイト602を通る中央穴の周囲に縁を形成する半円のリップ621、および半円リップの両側上に配置された2つの脚区分623、624を含む。同様に、区分610の締め付けハブ617は、中央穴602の周囲に配置された半円リップ631および2つの脚区分633、634を含む。上側区分の脚区分623は、下側区分の脚区分633と連結し、上側区分の脚区分624は、下側区分の脚区分634と連結して、上側および下側区分を相互に固定する。好ましい実施形態では、一致するねじ式穿孔は、区分623/633および624/634にドリルで穴を開けられて、ねじ、ボルト、リベットまたは同様の締め付け要素が穴を通って延出して一致する区分をしっかりと結合するのを可能にする。電力線上に設置すると、上側と下側区分の間の接合部分全体に導体ペーストが塗布されて、区分間の任意の考えられる間隙でアーク放電を防ぐ。
【0112】
図9図16に示される実施形態では、CITEの断面形状は円形であるが、採用されるCITEの1つ以上は、楕円形、多角形、および不均一(例えば、非対称および/または不規則)を含む、他の形状を有し得る。全てのかかる実施形態では、CITEの断面寸法は、それらが取り付けられる電力線の直径よりも大きくて、円形CITEの場合と同様に意図的なインピーダンス不整合が生じる。
【0113】
信号通知目的のためのCITE要素の使用
図9図16に示される実施形態のCITEは、例えば、遠方視認性のために高圧電力線の存在を叫ぶことが有用な空港および他の施設において、高圧線の存在を信号通知するように有用に適合できる。図24に示される、CITE 1000の実施態様では、外側周辺の「トーラス」区分1010の壁は、少なくとも一部、透明な材料で作ることができる。トーラス区分は中空なので、それらは、高電場の存在下で蛍光を発する、ネオンなどの、ガスで充填できる。外側周辺区分1010から発する蛍光放射、例えば、1015が示されている。ガスなどで充填された透明な(または一部透明な)トーラスを含むCITEが高圧電力線上に取り付けられる場合、電力線によって生成された電場がガスに蛍光を出させる。この蛍光はCITEを遠くから見えるようにし、それによりCITEが取り付けられている高圧電力線の存在を信号通知する。
【0114】
ガス放電光の通常の成分が存在する必要があることに留意されたい。従って、好ましくは、ネオンまたはアルゴンなどの貴ガスである蛍光を発するガスの純度を維持するためにゲッタポンプが望ましい。
【0115】
追加のCITE実施形態
図17は、500と番号を付けられた、インピーダンス変化素子(CITE)の代替実施形態を示す。本明細書で説明される全てのCITEと同様に、CITE 500は導電性であり、それが取り巻く(取り囲む)、電力線104と導電接触する。CITE 500は、右側に示される概ね平な面505、および表面510から左に向かって傾斜する円すい状表面510を有する。平な面505は、第1の反射表面として、直径における突然の変化に起因した電力線104の隣接した部分(面505の右側)のインピーダンスと比較して、急激なインピーダンス変化を呈する。左側の円すい形状面は、電力線104の隣接した部分(平な面510の左側)インピーダンスと比較して、インピーダンスにおけるもっと段階的な変化を呈する。それに応じて、平な面505は、過渡的電磁波干渉信号を反射するために使用される。前述の実施形態と同様、CITE 500は、電力線の寸法(直径)と比較して遥かに大きい直径を有する結果として機能する。
【0116】
図18A図18Cは、異なる断面形状を有するCITEの実施形態を例示する。図18Aは、組み立てられた場合に楕円の断面形状を持つ、上側および下側区分705、710を有するCITE 701の一実施形態を示す。図18Bは、組み立てられた場合に多角形(この事例では六角形)を持つ、上側および下側区分715、720を有するCITE 711の一実施形態を示し、図18Cは、組み立てられた場合に非対称の断面形状を持つ、上側および下側区分725、730を有するCITE 712の一実施形態を示す。示される実施形態では、CITE 701、711および721は、その他の点では図16に示される実施形態と構造的に似ている(例えば、それらは各々、電力線に取り付けるための中央穴の両方の側面上にねじ付き要素を備えた同様の締め付けハブを含む)。
【0117】
多くの実施態様では、CITEをフェライト成分から完全に、または部分的に、のいずれかで形成することは実際的である。フェライトの使用は、物理的なサイズの縮小および減少したQファクタを含むが、増大した費用で、いくつかの利点を提供する。図21は、電力線104上に同軸に配置されたフェライトビーズの形での導電性インピーダンス変化素子(CITE)の別の実施形態を示す。フェライトビーズCITE 570の幾何形状および電磁特性は、外部の危険なEMIにより電力線上に誘起された信号および高周波数無線妨害(RFI)電子雑音の比較的高周波数も減衰させる高周波数信号に対する比較的高インピーダンスとなる。これらの源からのエネルギーは、電力線104に沿って誘起信号の源の方に反射して戻されるか、または電力線に沿って低レベルの熱として散逸される。極端な事例においてのみ、熱は目立つ。フェライトは、エネルギーの一部を反射すると同時に、エネルギーを吸収もすることに留意されたい。
【0118】
CITEは一般に、エネルギーを散逸しないが、代わりに、過渡的電磁波干渉信号の比較的高周波数の流れを妨げるリアクタンスを生じる。このリアクタンスは一般に、単純にインピーダンスと呼ばれるが、インダクタンスは抵抗とリアクタンスの任意の組合せであり得る。フェライトは、磁場を集中させて、インピーダンスおよび従ってリアクタンスを増大させ、それは、高周波数信号を妨げるか、または「除去」する。フェライトビーズは通常は、既存の電力線上への設置を容易にするスプリット構成で作られる。
【0119】
フェライト成分がそのように設計される場合、それは付加損をフェライト自体における抵抗加熱の形で生成できる。インダクタのQファクタは、所与の周波数におけるそのリアクタンスと抵抗の間の比である。フェライトインダクタのQファクタが低い場合、それは比較的高い抵抗を有し、従って、抵抗加熱に曝される。用途に応じて、フェライトの抵抗損失特性は望ましいこともあれば、望ましくないこともある。(電気構成要素を過渡的電磁波干渉信号から防ぐことに加えて)雑音除去を改善するためにフェライトビーズを使用するフェライトCITEの設計は、フェライトCITEを含む回路の特定の特性および遮断する周波数範囲も考慮に入れるべきである。異なるフェライト材料は、周波数に関して異なる特性を有する。当業者は、製造業者の文献が、その周波数範囲に対して最も効果的な材料を選択するのに有用であり得ることが分かるであろう。2つ以上の異なるフェライト組成から成るフェライト構造は、CITEの反射および吸収特性の両方を最適化するために利用され得ることに留意されたい。当業者に知られている2つ以上のフェライト成分を組み合わせる様々な方法がある。
【0120】
導電性インピーダンス変化素子(CITE)の形状に関わらず、複数対のCITEは、反射された過渡的電磁波干渉信号の減衰を高めるために使用され得ることに留意することが重要である。かかる複数対のインピーダンス変化素子は本発明の好ましい実施形態を構成する。インピーダンス変化素子は、良好な高電圧エンジニアリング方式と一致するように設計および形成されてアークの形成、コロナ放電、および電気的短絡を防ぐか、または最小限にすることにさらに留意されたい。これらの形状は、高電圧技術分野における当業者に周知である。
【0121】
導電性インピーダンス変化素子(CITE)は、様々な方法で製造できる単純な物理構造である。これらの方法は、機械加工、鋳造、ダイカスト、射出成形、鍛造、スタンピング、ロストワックス鋳造、粉末冶金および焼結、3D積層造形、ウォータージェットを用いた型彫り、レーザーを用いた型彫りなど、ならびにこれらの方法の組合せを含むが、それらに制限されない。追加として、CITEは、外周に取り付けられたアンチコロナリングを備えたディスク、および中央に取り付けられたクランプ機構などの、構成要素部品から組み立てることができる。選択された特定の方法(複数可)は、当業者に対するルーチンであり、通常、所与の期間にわたって要求される装置数を作成するための最も費用効率の高い方法(複数可)、および製造業者にとって利用可能な製造プロセスに基づく。
【0122】
いくつかの実施態様では、CITEは、各々別々に製造される、上側および下側構成要素から組み立てられる。他の実施態様では、CITEは、縦方向部分品からを含む、他の方法で製造できる。図22Aおよび図22Bは、2つの縦方向部分品からCITEを組み立てる方法を例示する平面図である。図22Aは、ディスク形状の第1の区分805の前面図を示す。示される区分の前面は「その区分の平面」を画定する。第1の区分はディスクの外周から中央まで延在するスロット808を有する。スロット808の直径は、図に示されるように電力線804がスロット内に受け入れられるのを可能にするように設定される。取り外し可能なブラケット815は、区分805の中央でスロット808の内側端部内の下に配置して示されている。ブラケットは、ねじまたはボルトなどの、ねじ付き要素817、818を受け入れるための逃げ穴を含む。区分805キャブの背面は、その区分の平面と垂直に、横方向に延出するねじまたはボルトなどの締め具(図22Aに示されていない)を受け入れるための追加の締め付け要素(例えば、穴)を含む。
【0123】
図22Bは、補完的なディスク形状の第2の区分820の背面図である。第2の区分820は、CITEを組み立てるために区分805に適合するように設計される。第2の区分820は、電力線804を受け入れるために区分805のスロット808と同様に成形されたスロット822を含む。上部区分のブラケット815に補完的な、ブラケット825が、スロット822の内側端部の上に示されている。ブラケット825は、第1の区分の補完的ブラケット815のねじ付き要素817、818を受け入れるように適合されたねじ穴827、828を含む。このように、第1の区分はブラケット815、825で第2の区分に固定されて電力線804の周囲へのぴったりした適合を形成できる。加えて、第2の区分の表面は、追加の締め付け要素を受け入れるためのねじ穴、例えば、831、832を含むことができる。このように、区分は、区分の平面において第1および第2の区分を締め付ける補完的ブラケット815、825により、追加として、第1および第2の区分を横の配向に沿って区分の平面に対して固定する追加の締め付け要素により、互いに固定できる。
【0124】
図23に示される、別の実施形態では、CITE 900は、電力線904の直径よりも大きい直径を有する球体905の形状で形成される。これは、CITEの好ましい形ではないが、球体も、入射する危険なEMIの反射を生じるインピーダンス不整合を提供する。
【0125】
さらに、本発明のCITEは、既存の電力線上に固定する単純な構造から成る。それらはアクティブな電子回路を有しておらず、事実上、任意の動作シナリオ中に損傷または劣化され得るいかなる内部構成要素も含んでいない。
【0126】
その上、それらの物理的に単純な設計に応じて、インピーダンス変化素子は容易に量産できる。それに応じて、減衰共振器を形成する一対のCITEに対するそれらの費用は、他のソリューションの費用のごく一部であり得る。さらに、CITEは通電状態の電力線上に容易に設置されるように設計できるので、設置時間および費用は、他の技術と比較して大幅に削減できる。その電力線を介した電力供給が中断されないので、その節約は特に重要であり得る。
【0127】
吸収要素
前述のCITE要素は、導電性であり、入射する危険なEMIのエネルギーを吸収しない。図2図8に示される実施形態では、入射EMIのエネルギーは電力線に沿って熱として散逸される。散逸率を高めて、電力線が要求される単位時間あたりに散逸するエネルギー量を削減するために、CITE要素に関連して、またはCITE要素に追加して、1つ以上の吸収要素を電力線に取り付けることができる。吸収要素は、CITEと同様の方法で形成できるが、グラフェンなどの、抵抗または半抵抗(または半導電)材料から作られる。抵抗材料は入射する危険なEMIからエネルギーを吸収して、電磁エネルギーを熱に変換するように設計される。このように生成された熱は、放射または伝導性冷却によって環境中に経時的に散逸する。1つ以上の吸収要素は、電力線に沿って規則的または不規則な間隔で追加できる。CITEのグループが一緒に組み立てられる、一例では、吸収要素は各組立体に追加できるか、または各組立体に隣接して配置できる。これは一例に過ぎず、当業者は、吸収要素は追加の熱放散能力を提供するそれらの目的に合致した様々な数および構成で追加できることを容易に理解できる。
【0128】
吸収要素は、別個の、スタンドアロン要素にできるか、またはいくつかの実施形態では、吸収要素は、CITE要素の一部として統合できる。別個および統合吸収要素の混合も使用できる。図25A図25Cは、ディスクの中央部分が異なる材料で作られるディスク要素を示す。図25Aでは、中央部分1025は、吸収要素として機能するグラフェンなどの抵抗または半導電材料から作られる。図25Bでは、中央部分1035は、アルミニウムなどの金属から作られる。この実施形態は、図9図16を参照して前述されたCITEと同様である。図25Cは、中央部分1045が、入射する危険なEMIの反射器および吸収装置の両方として機能できるフェライト系材料から作られる、ディスク要素を示す。
【0129】
統合されたCITE/吸収要素の別の実施形態が図26Aおよび図26Bに示されている。この実施形態では、CITE 1105の一方の面は導電性中央部分1115を含み、CITE 1110の反対面は、その中央部分1120要素内に吸収材料(抵抗または半導電)を含む。CITE組立体は、入射信号の不要な高周波数成分の最大抑制を達成するために、CITEのアレイ内(図8に示されるような)での、導電性、吸収性、およびフェライト系材料の様々な組合せから構成され得ることに留意されたい。
【0130】
地中電力ケーブルのためのインピーダンス不整合
前述の実施形態は、むき出しの、前述の地上電力線に関連する。特に大都市圏における、大量の電力線は、むき出しではなく、むしろ、地中を通っている。地中ケーブルにおいて、それらに取り付けられた電気および電子構成要素に対して保護を提供するために、インピーダンス不整合要素を提供することは有用であろう。図27Aおよび図27Bはそれぞれ、本開示に従いインピーダンスにおいて周期的変化を有する同軸電力ケーブル1200の軸方向断面図および縦方向断面図である。ケーブルは、1つ以上の導電線を有するコア1205、コアを取り囲む半導電層1210、導電シールド層1215、およびシールド層を取り囲む絶縁層1220を含む。図27Bに示されるように、半導電層110は、インピーダンスにおける周期的変化(差動)に対応する成分における周期的変化を有する。例えば、区域1232および1234は、それぞれの隣接区域1233および1235と比較して高い抵抗を有する。
【0131】
差動インピーダンスの隣接区域は、受信された危険なEMIが、誘起信号が前述の地上電力線に沿ってCITE要素によって反射されるのと同様に反射される、インピーダンス不整合境界面を生じる。
【0132】
半導電層のインピーダンスにおける変化を達成するいくつかの方法があることに留意されたい。これらは、同軸型ケーブルの製造における当業者には明らかであるように、半導電層の組成の伝導率の変化、半導電層の厚さの変化、およびその他を含むが、それらに制限されない。
【0133】
当業者には明瞭であるように、本明細書で説明されるCITEは、真空管装置などであるが、それに制限されない、公益企業が危険なEMIを防ぐために使用する他の保護手段と併せて使用できる。
【0134】
クレームの範囲は、本明細書で説明される好ましい実施形態および例によって制限されるべきではなく、全体として記述された説明と一致する最も広い解釈を与えられるべきである。当業者には、本明細書の範囲に含まれる多くの考えられる変形例があることが明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B