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特許7527380割卵機および割卵工程の歩留まりを上げる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】割卵機および割卵工程の歩留まりを上げる方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 15/00 20160101AFI20240726BHJP
   A23J 1/08 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
A23L15/00 E
A23J1/08 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022545862
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 DK2020050031
(87)【国際公開番号】W WO2021155893
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】519273588
【氏名又は名称】サノボ、テクノロジー、アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】SANOVO TECHNOLOGY A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】イェンス、クレスティアン、スナビュー、クレステンセン
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-527577(JP,A)
【文献】米国特許第03420743(US,A)
【文献】特表2009-527232(JP,A)
【文献】特開昭59-210847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
殻と卵黄および卵白を含む内容物を有する卵を割るための割卵機であって、
それぞれが一度に1つの卵を保持して割るよう構成されている複数の割卵装置であって、前記複数の割卵装置は前記卵を割る間に進行方向に沿って移動するよう構成され、前記複数の割卵装置は前記複数の割卵装置の前記進行方向に対してそれぞれが略垂直に広がる複数の縦列と前記複数の割卵装置の前記進行方向に広がる複数の横列に配置される、前記複数の割卵装置と、
前記複数の割卵装置のそれぞれを作動させて前記複数の割卵装置のそれぞれにより保持される卵を割るよう構成されている少なくとも1つの割卵作動装置と、
前記複数の割卵装置により割られた前記卵の、重力の影響で前記殻から放出される内容物を受け取る少なくとも1つの卵内容物受け取り装置と、
前記卵の前記内容物が重力の影響で放出された後に複数の前記殻、および/または前記複数の割卵装置に残留している卵白を集めるための少なくとも1つの卵白収集ユニットであって、流体が通過できるよう構成されている少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つの収集要素を含み、前記開口は前記収集要素の外面に設けられる、前記少なくとも1つの卵白収集ユニットと、を含み、
前記卵白収集ユニットは前記収集要素の前記開口を覆うよう構成されている少なくとも1つのカバー要素をさらに含み、前記収集要素、および/または前記カバー要素は、前記カバー要素が前記開口を覆う第1相互位置と前記開口が覆われていない第2相互位置の間を移動可能であるものであり、
前記収集要素は、周囲の空気、および場合によっては卵白を前記開口を通して吸い込むことができるような方法で真空源に接続される、ことを特徴とする、割卵機。
【請求項2】
前記収集要素は前記カバー要素に対して回転される、揺らされる、もしくは動かされるよう構成される、および/または前記カバー要素は前記収集要素に対して回転される、揺らされる、もしくは動かされるよう構成される、請求項1に記載の割卵機。
【請求項3】
前記収集要素のそれぞれに面する前記カバー要素のそれぞれの内面は、前記第1相互位置にある場合は前記収集要素の外面と略同じ高さにあって、前記開口を略完全に覆う、請求項1または2に記載の割卵機。
【請求項4】
前記複数の割卵装置の前記進行方向に対して略垂直に広がる一連の開口を含み、前記一連の開口のそれぞれは前記複数の割卵装置の前記横列の下に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の割卵機。
【請求項5】
前記一連の開口の個数は、前記縦列のそれぞれにおける前記複数の割卵装置の個数の2倍または3倍に相当する、請求項4に記載の割卵機。
【請求項6】
1つの前記収集要素が前記複数の割卵装置のいくつかの前記横列の下へ延びる、請求項1~5のいずれか一項に記載の割卵機。
【請求項7】
前記収集要素の前記外面と同じ高さにある前記開口の全表面積は前記縦列のそれぞれにおける前記割卵装置1つ当たりで20mm ~100mm である請求項1~6のいずれか一項に記載の割卵機。
【請求項8】
前記収集要素へ供給される/前記収集要素から抽出される流体の量を調整するよう構成されている流体調整器をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の割卵機。
【請求項9】
それぞれ一度に1つの卵の内容物を受け取るよう構成されている複数の前記卵内容物受け取り装置、または前記割卵機の底部に配置される1つの一般的な受卵装置を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の割卵機。
【請求項10】
殻と卵黄および卵白を含む内容物を有する卵が複数の割卵装置に供給され、前記複数の割卵装置はそれぞれが一度に1つの卵を保持して割るよう構成されており、前記複数の割卵装置は前記卵を割る間に進行方向に沿って移動しており、前記複数の割卵装置は前記複数の割卵装置の前記進行方向に対してそれぞれが略垂直に広がる複数の縦列と前記複数の割卵装置の前記進行方向に広がる複数の横列に配置され、
少なくとも1つの割卵作動装置が前記複数の割卵装置を作動させて前記卵を割り、
前記複数の割卵装置により割られた前記卵の、重力の影響で複数の前記殻から放出される前記内容物が少なくとも1つの卵内容物受け取り装置により受け取られ、
複数の前記殻から前記卵白の複数の別のひも状のものを分離するため、前記内容物が重力の影響で放出された後に複数の前記殻、および/または前記割卵装置に残留している前記卵白が、少なくとも1つの収集要素の外面に設けられる少なくとも1つの開口に流体を通過させることで卵白収集ユニットにより集められる、割卵工程の歩留まりを上げる方法であって、
前記収集要素、および/または少なくとも1つのカバー要素を前記カバー要素が前記開口を覆う第1相互位置と前記開口が覆われていない第2相互位置の間で前後に定期的に移動させることで、前記カバー要素により前記収集要素の前記開口が少なくとも部分的に覆われるものであり、
少なくとも前記収集要素および前記カバー要素がそれらの第2相互位置にある場合は周囲の空気、および場合によっては前記卵白が前記開口を通って吸い込まれるように、前記収集要素に低い圧力を与えるために真空源が使用されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記収集要素、および/または前記カバー要素は前記第1相互位置から前記第2相互位置へ動かされて、前記割卵装置の前記縦列が前記収集要素を通過するたびに、または30秒~2分の間隔で前記第1相互位置へ戻される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記収集要素、および/または前記カバー要素は、他方に対して回転される、揺らされる、または動かされる、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記カバー要素は、前記第1相互位置と前記第2相互位置の間を移動中に前記収集要素の外面から卵白残留物、卵帯、および/または前記殻のかけらを取り除くために使用される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも前記収集要素および前記カバー要素がそれらの前記第2相互位置にある場合、前記収集要素を前記低い圧力とすることで前記開口のそれぞれの10mm上の距離で気流速度が6m/s~10m/sとなる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殻と卵黄および卵白を含む内容物を有する卵を割るための割卵機に関し、この割卵機は、それぞれが一度に1つの卵を保持して割るよう構成されている複数の割卵装置であって、前記割卵装置は卵を割る間に進行方向に沿って移動するよう構成され、前記割卵装置は割卵装置の進行方向に対してそれぞれが略垂直に広がる複数の列(縦列)および割卵装置の進行方向に広がる複数の列(横列)に配置される、前記割卵装置と、各割卵装置を作動させて割卵装置により保持される卵を割るよう構成されている少なくとも1つの割卵作動装置と、割卵装置により割られた卵の、重力の影響で殻から放出される内容物を受け取る少なくとも1つの卵内容物受け取り装置と、卵の内容物が重力の影響で放出された後に殻、および/または割卵装置に残留している卵白を集めるための卵白収集ユニットであって、前記卵白収集ユニットは流体が通過できるよう構成されている少なくとも1つの開口を有する少なくとも1つの収集要素を含み、前記開口は収集要素の外面に設けられる、前記卵白収集ユニットと、を含む。そのような割卵機にはしばしば、それぞれ一度に1つの卵の内容物を受け取るよう構成されている複数の卵内容物受け取り装置が提供され、前記卵内容物受け取り装置は、場合によっては卵の卵黄を卵白から分離することができる。ただし、この割卵機は全卵製品の製造向けに設計することもできて、割卵機の底部に配置されるただ1個または2~3個のトレーや容器などの一般的な受卵装置を有することができる。本発明は、卵内容物受け取り装置の個数とは無関係に、すべてのそのような割卵機に関する。
【0002】
本発明はさらに、割卵工程の歩留まりを上げる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
そのような方法およびそのような割卵機は米国特許第5,628,246号で既知であり、高い割合の卵の内容物を集めることに関しては非常にうまくいくことが判明している。しかし、結果として得られる卵白生成物は、例えば米国において現在適用される比較的厳しい規則の下では食用として認可を得ることができない。さらに、この工程は多量のエネルギーを消費するので、ほとんど利益にならない。
【発明の概要】
【0004】
それゆえ、本発明の第1の目的は、殻、および/または割卵装置に残留している卵白を集めるための改善された割卵機を提供することであり、本発明の第2の目的は、内容物が重力の影響で放出された後に殻、および/または割卵装置に残留している卵白をより効率的で、好ましくは幅広い管轄下で卵白生成物が食用として認可を得られるようにするやり方で集められる方法を提供することである。
【0005】
本発明の第1態様によれば、第1の目的は割卵機により実現され、この割卵機において、卵白収集ユニットは収集要素の開口を覆うよう構成されている少なくとも1つのカバー要素をさらに含み、収集要素、および/またはカバー要素は、カバー要素が開口を覆う第1相互位置と開口が覆われていない第2相互位置の間を移動可能である。
【0006】
「流体」という用語は、周囲の空気および他の混合物を含む、液体および気体の両方を含む総称として使用される。現時点では、周囲の空気を使用して、収集要素の内部に低い圧力をかけることで開口を通って収集要素へと入る内向きの流れを確立するのは有利であると考えられる。他の例としては、エアナイフ(air knife)またはウォータージェットカッターとして機能するように有利には収集要素の開口から排出される精製ガスまたは滅菌水の使用が挙げられる。
【0007】
この文脈では、「覆う」という用語は、必ずしも開口が完全に閉鎖されることを意味せず、少なくとも1つの収集要素の少なくとも1つの開口を通る流体の流れが第2相互位置と比べて部分的に遮られるようにカバー要素が収集要素に対して置かれることで充分となりうる。同様に、「覆われていない」という用語は、カバー要素のどの部分も開口と重なってはいけないということを意味すると理解されるべきではなく、ただ、第1相互位置よりも開口のより広い部分が流体の通路として利用可能であり、この利用可能な開口の面積は必要な流体流量を実現するのに充分であるということを意味すると理解されたい。実際、第2相互位置にある場合でも、異なる製造要求に対応して流体の流れを調整するために、カバー要素により開口の一部を覆わせることがある。
【0008】
開口を通る流体の流れの更なる調整または補助的な調整は、収集要素へ供給される/収集要素から抽出される流体の量を調整するよう構成されている流体調整器を提供することで実現することができる。この流体調整器は、例えば、収集要素へ吹き込まれる/収集要素から吸い出される空気の量を調整する弁、またはポンプ上の周波数変換器とすることができる。
【0009】
簡単にするために、以下では「収集要素」および「カバー要素」への言及がなされるが、いくつかの収集要素、および/または各収集要素に関連する2つ以上のカバー要素を有する割卵機も本発明の範囲内である。したがって、別途明記しない限り、「収集要素」または「カバー要素」に言及することで2つ以上のそのような要素の存在が排除されることはなく、同様の考えは開口にも当てはまり、「開口」に言及することで開口の一群、または一連の開口の存在が排除されることはないと理解されたい。
【0010】
第1相互位置と第2相互位置の間の移動は、カバー要素に対して収集要素を移動させる、もしくはその逆、または収集要素およびカバー要素の両方を互いに対して同期的に、もしくは時間的に重複させて、または順次移動させることで実現できる。そのような移動を実現するため、収集要素はカバー要素に対して回転される、揺らされる、もしくは動かされるよう構成することができる、および/またはカバー要素は収集要素に対して回転される、揺らされる、もしくは動かされるよう構成することができる。収集要素およびカバー要素の互いに対する相互運動は以下のいくつかの実施例の説明では前後運動と呼ばれるが、相対運動は単一方向への回転運動でありうることを理解されたい。例えば、カバー要素は収集要素の周りを単一方向に回転することができて、その結果、カバー要素は一回転が完了するたびに第2位置となる。別の例では、収集要素およびカバー要素は、開口をカバー要素の両端に設けることで半回転すると第2相対位置となる。回転は、連続的で割卵機の残りの部分の動作速度と合わせる、または断続的とすることができる。
【0011】
カバー要素および収集要素が相互運動中に互いから比較的近くを動いていて、カバー要素が適切に具現化されていれば、運動中に収集要素の表面から残留物を取り除くためにカバー要素を使用することができる。特に、収集要素に面するカバー要素の内面は収集要素の外面と略同じ高さで、第1位置にある場合はカバー要素が卵白および他の残留物、例えば卵帯や殻のかけらを収集要素の外面からこすり取ることができるように、カバー要素が開口を略完全に覆うことが想定される。この目的のため、カバー要素は、第2位置から第1位置へと戻る運動の間に収集要素の外面近くの上方を通過する、剛性材料で作成される端部を有することがある。別の実施例では、カバー要素は、収集要素の表面に直接接触して残留卵白などを拭き取る、より柔らかい材料で作成される端部が設けられる。
【0012】
ただし、カバー要素を収集要素の内側に配置することも可能であり、その結果、カバー要素の外面は収集要素の内面に隣接する。これにより、カバー要素およびカバー要素に関連する任意の可動部分を良好に保護することができる。
【0013】
本発明の特定の実施例では、収集要素は略円形断面を有するパイプであり、その長さ方向軸線の周りに回転できるように取り付けられ、カバー要素は固定された平板であり、収集要素の内面の形状に沿うように湾曲している。収集要素が回転すると、開口はカバー要素の上方へ移動する。収集要素およびカバー要素が互いに対して適切に調整されると、カバー要素の表面に存在する卵白および他の残留物を上述したようにこすり取ることができる。
【0014】
相互運動の間に卵白を取り除くことは、工程の歩留まりを上げるだけでなく、卵白残留物、卵帯、および殻のかけらにより意図せず開口が閉塞されるのを防ぐことにも寄与する。
【0015】
また、カバー要素および収集要素の2つの位置の間での相互運動は、卵帯、または卵殻の半分もしくは割卵装置にいまだつながっている卵白のひも状のものを機械的に切断することにも使用できる。
【0016】
上述した、カバー要素のこすり取る効果、および/または切断する効果を補助するため、卵帯または卵白のひも状のものを切断する1本のはさみのように機能するように互いに向かって動かされる2つのカバー要素を使用するのが有利となりうる。
【0017】
こすり取られた、または切断された卵白は、特にカバー要素が外側にある場合には下にある収集トレーに落とされる、あるいは卵白収集ユニットが第2相互位置に戻ってきたら収集要素の覆われていない開口に吸い込まれる、のいずれかとなりうる。
【0018】
テスト中に、開口の大きさと位置、および開口の全表面積は、割卵機のエネルギー消費および生産される卵白生成物の品質の両方に対して重要であることが発見された。
【0019】
具体的には、割卵装置の進行方向に対して略垂直に広がる一連の開口を使用するのが有利であることと、一連の開口のそれぞれは割卵装置の横列の下に配置されるのが好ましいことがわかった。これは、最も必要な場所で局所的に適用されるだけであるため、卵白を集めるのに使用される流体の量を最小限に抑えることができる。液体を用いる場合、これは、卵白生成物に残ってしまう可能性がある液体の量が最小限に抑えられることを意味する。周囲の空気を用いる場合、エネルギー消費は比較的小さく、気泡の形成を減少させることができる。
【0020】
一連の開口の個数は、典型的には各縦列にある割卵装置の個数の2倍または3倍に相当する。各横列に対して2つの開口を用いる場合、これらの開口は半分に割られた卵の殻のそれぞれの下、または割卵装置の進行方向に互いに連続して配置することができる。もちろん、割卵装置の進行方向に交互に配置された2つの別の卵白収集ユニットを使用することも可能であり、これにより、卵白が回収される可能性を高められ、また1つの収集ユニットが不良となっても工程を継続させることができる。
【0021】
また、割卵装置の各横列に対して別の収集要素を有する実施例も本発明の範囲内であり、開口が意図せず塞がれた場合に交換を容易にすることができる。同じことが割卵装置の各横列に対して別のカバー要素を有する実施例、およびこれらの実施例を組み合わせたものにも当てはまる。ただし、収集要素に低い圧力を加える場合は、割卵装置のいくつかの横列の下、好ましくは割卵装置の横列の少なくとも半分の下へ延びる収集要素を使用するのが現在は有利と考えられる。そのような実施例により、収集要素の内側を、有利には開口を通って吸い込まれた卵白を卵白受け取り装置へ導くよう構成されている水路として具現化することができる
【0022】
一実施例では、収集要素は、周囲の空気、および場合によっては卵白を開口を通して吸い込むことができるような方法で真空源に接続される。真空の影響で卵殻の半分、および/または割卵装置から離れた卵白は、収集要素の外側に沿って流出させて別の卵白受け取り装置に集める、もしくは受け取り装置へ直接注入する、または開口を通して吸い込ませて収集要素を通して受け取り装置へ移動させることができる。
【0023】
この実施例では、割卵装置の各横列の下に別の開口を設けることで収集要素に吸い込まれる空気の量が最小限に抑えられ、これはいくつかの利点を有することが判明している。第一に、米国特許第5,628,246号で既知の従来技術のものよりもかなり小さな真空ポンプを使用することが可能であり、割卵機全体の大きさが小型化される。第二に、真空ポンプにより消費されるエネルギーは低減され、同じことがポンプにより生成される雑音にも当てはまる可能性がある。第三に、もしかすると最も重要なことに、より少ない空気が収集要素に集められる卵白生成物に混合されて、気泡のより少ない生成物がもたらされる。より少ない気泡は、その生成物がより透明で血や他の不純物の存在がより簡単に発見されること、気泡の形成に関連する卵白の変性が低減されること、そして後で気泡を分離または沈殿させる必要が減少することを意味する。
【0024】
別の実施例では、例えば周囲の空気や滅菌水などの流体が開口から噴霧され、結果として開口が流体カッターのノズルとして機能する。そのようなノズル開口は、流体の定常的な噴流、移動する噴流、または断続的な噴流を提供するよう構成することができて、噴流は直線状、円錐形状、または扇形状でありうる、あるいは必要に応じて決まる任意の他の形状を持ちうる。ただ一つの開口を使用する場合は、流体カッターは割卵装置の縦列に平行に収集要素の幅にわたって広がる必要があり、場合によってはさらに割卵機の全幅にわたって延びる必要がある。
【0025】
流体カッターからの流体の影響で卵殻の半分、および/または割卵装置から切り離された卵白は、収集要素の外側に沿って流出させて別の卵白受け取り装置に集める、または受け取り装置へ直接注入することができる。
【0026】
流体を流体カッターのノズル開口へ供給するパイプまたはチューブは、収集要素の内部、または収集要素に接続して提供することができる。
【0027】
流体カッターで液体ではなく気体を用いることには、流体を卵白と混ぜてしまう危険性が比較的低いという利点があるが、気泡の形成の増加を防ぐように注意を払う必要がある。
【0028】
開口の大きさ、および形状は、やはり上述されたように開口を流体カッターのノズルまたは真空ノズルとして機能させるかどうかにより決まる。真空を用いる場合で、割卵機がめんどりの卵を処理するのに使用される場合は、有利には、収集要素の外面と同じ高さにある開口の全表面積は各縦列にある割卵装置1つ当たりで20mm~100mmであり、好ましくは各縦列にある割卵装置1つ当たりで30mm~60mmであり、各縦列にある割卵装置1つ当たりでおよそ40mmであることがさらに好ましいと現在は考えられる。この大きさであれば、気泡の形成と意図しない開口の閉塞の危険性の両方が最小限に抑えられるというバランスを実現することが可能である。
【0029】
上述されたように、割卵装置の各横列に別の開口を設けることができて、そのような開口を設けることには、各割卵装置がいくつかの開口の上を通り過ぎるように複数の群の開口を設けることが含まれる。例えば、第1開口で集められなかった卵白を第2開口で集めることができるように互いに連続して2つの開口を配置することができて、第2開口において流体の種類、流体の流量、および/または流体の流れの方向は第1開口でのものとは異なっている。また、卵を割ることで生じる卵殻の半分のそれぞれの下に開口を配置することも可能であり、これらの2つの実施例を組み合わせた場合、開口は2×2の構成で配置することができて、4つの開口すべてが同じ卵からの卵白を集めることに寄与する。
【0030】
本発明の第2態様によれば、収集要素、および/またはカバー要素をカバー要素が開口を覆う第1相互位置と開口が覆われていない第2相互位置の間で前後に定期的に移動させることで少なくとも1つのカバー要素により収集要素の開口を少なくとも部分的に覆う方法により第2の目的が実現される。
【0031】
収集要素とカバー要素のこの相互運動は、割卵装置が開口を通過するたびに行うことができる。このようにして、1つの卵が通過した場合に流体通路は閉鎖され、新しい卵が開口の上にある場合は流体通路は再度開かれ、その結果、卵白を集める可能性がある場合だけ流体が開口を通過している。
【0032】
少なくとも1つの割られた卵が収集要素の上にある場合だけ開口の覆いを取ることで、卵白収集ユニットを駆動するのに必要なエネルギー量を低減することができて、それゆえ工程全体をより効率的にすることができる。
【0033】
割られた卵が収集要素の上にある場合だけ開口の覆いを取ることの別の利点は、集められる卵白に影響を与える動的負荷が減少しうることで、これにより気泡の形成の減少につながりうる。気泡の形成を減少させることで、卵白の検査とその後の卵白の取り扱いが上述したように容易になる。
【0034】
開口を定期的に覆うこと、および覆いを取ることのさらに別の利点はこすり取る効果であり、これにより、収集要素からの卵白残留物、卵帯、殻のかけら、および他の残留物を上述したように減少させることができる。
【0035】
現代の割卵機は非常に高速で動作するが、カバー要素は割卵装置または割卵装置の縦列が収集要素を通過するたびに第1位置と第2位置の間で前後に移動させられないことが現在は好ましく、カバー要素を第1位置へ移動させる間隔の長さは収集要素を充分にきれいに保つ必要性により決定されることが好ましい。間隔の具体的な長さは、卵の日齢、卵の品質、および/または地域の食品保健局により定められる規格などの多数の要因により決まりうるが、30秒~2分の範囲の間隔が現在検討されている。好ましくは、生産速度または処理される卵の特性の変化に対応するために割卵機の操作者が間隔の長さを調整できるべきである。
【0036】
あるいは、運動は、カバー要素が収集要素からの残留卵白や他の残留物を落とす可能性を利用して特定の個数の卵が通過するたびに行うこととできる。
【0037】
また、生産が停止する場合は開口を閉鎖することも可能である。
【0038】
いくつかの独立したカバー要素、および/または収集要素を有する場合は、割卵装置の縦列がそれらの要素を通過する際にそれらの要素すべてを同時に作動させるのが通常は好ましいが、それらの要素を個別に制御することも可能である。そのような場合、開口の上にある割卵装置が実際に卵を保持している場合、および/または卵の品質が以下で詳細に説明するように以前に認可されている場合のみに、開口の覆いを取ることができる。
【0039】
本発明の第1態様に関連して上述したように、カバー要素および収集要素の相互運動は、収集要素、および/またはカバー要素が他方に対して回転される、揺らされる、または動かされることで実現することができて、一実施例では、カバー要素は第1相互位置にある場合は収集要素の外面と略同じ高さにあって、流体が開口を通って通過することが実質的に阻止されるように開口を略完全に覆う。
【0040】
本発明の第1態様に係る割卵機に関連して上述された、カバー要素および収集要素の特性についての他の詳細は、本発明の第2態様に係る方法にも当てはまる。同様に、本発明の第2態様に係る方法に関連して記載される割卵機の使用とこの割卵機に関連する割卵機の特徴は、本発明の第1態様に係る割卵機にも当てはまる。
【0041】
具体的には、少なくとも収集要素およびカバー要素がそれらの第2相互位置にある場合は周囲の空気、および場合によっては卵白が開口を通って吸い込まれるように、収集要素に低い圧力を与えるために真空源が使用されることが想定され、前記低い圧力は、場合によっては別の低い圧力を与える流体調整器により調整される。
【0042】
真空源を用いてめんどりの卵を処理する場合、収集要素を低い圧力とすることで各開口の10mm上の距離で気流速度が6m/s~10m/sとなれば、卵白生成物で高い歩留まりと高い品質を実現できることが実験により示されている。
【0043】
本発明の方法により提供される卵白生成物はより少ない気泡を含み、それゆえ、食用に適さない卵白、および/または卵の卵黄を除去できるように、自動的に、または人間の検査官によって検査するのによく適している。そのような改善された検査は、それ自体で幅広い管轄下で食用として認可を得ることのできる生成物をもたらしうる。
【0044】
卵白収集ユニットにより集められる卵白は、割卵工程の別の産物であると考えることができる、あるいは、地域の要求に応じて、重力の影響で取り出されて卵内容物受け取り装置で集められる卵白生成物と混合されることがある。
【0045】
一実施例では、個々の卵内容物受け取り装置は各割卵装置と関連付けられるが、いくつかの割卵装置から、場合によっては割卵機のすべての割卵装置から卵内容物を受け取る一般的な受卵装置を使用することも可能である。
【0046】
殻に残留している卵白を集めることで、卵白の歩留まりを最大で0.5%上げられる可能性があることが実験により示されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図面で示される実施例を参照しながら、以下でより詳細に本発明について説明する。
【0048】
図1】本発明の割卵機の側面から見た略図である。
図2図1の割卵機の一部の斜視図である。
図3】卵白収集ユニットおよびその上に配置される割卵装置の第1実施例を示す。
図4】異なる実施例を示しているのを除けば、図2でIVと印を付けられた部分を拡大したものであり、図3に対応する。
図5図4の実施例を別の角度から示す。
図6】収集要素とカバー要素の互いに対する運動の取り得る異なるパターンを示す行列である。
図7】本発明の割卵機の選択された部分および人間の操作者を斜視図で示す。
図8図7の割卵機の部分を異なる角度から示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
卵搬送コンベヤ5を備える割卵機1が図1に示されている。割卵機1は、その内部に図1で破線31により示される第1コンベヤに取り付けられる複数の割卵装置と、図1で破線41により示される第2コンベヤに取り付けられる複数の卵内容物受け取り装置とを含む。
【0050】
図2は、割卵装置3および卵内容物受け取り装置4が第1コンベヤ31および第2コンベヤ41にどのように取り付けられるかを示し、これらのコンベヤはこの実施例ではいずれもチェーンコンベヤである。第1コンベヤ31は進行方向Aに沿って動くよう構成され、第2コンベヤ41は進行方向Bに沿って動くよう構成される。
【0051】
割卵装置3を運ぶチェーンの区間311のみが示されているが、チェーンは2つの車輪駆動312、313の間を案内レール314、315に沿って延びるエンドレスチェーンであることが理解されるであろう。同様に、第2コンベヤは卵内容物受け取り装置4を運ぶチェーンの区間411のみにより表現されているが、実際にはチェーンは2つの車輪駆動412、413の間を案内レール414、415に沿って延びる。また、図2ではごく少数の受卵装置4のみが示されているが、受卵装置は第2コンベヤ41に沿って均等に分布しており、割卵装置3は第1コンベヤ31上に均等に分布していることも理解されたい。受卵装置4は、ここではコンベヤの移動面に対して垂直に延びる3つの受け取り装置が縦列に並んでいるのが示されており、各縦列において1つだけ割卵装置3が示されているが、示されている種類の機械は、通常は各縦列により多い個数、例えば各縦列に18個または24個の装置を含みうる。各縦列にある割卵装置3の個数は、通常は各縦列にある受卵装置4の個数と同じとなる。
【0052】
各割卵装置3は一度に1つの卵を保持して割るよう構成され、各卵内容物受け取り装置4は割卵装置により割られた、一度に1つの卵の内容物を受け取るよう構成される。ただし、独立した受卵装置4を省き、代わりにすべての割卵装置3により割られた卵からの、または一群の割卵装置からの卵内容物を受け取る、1個または2~3個の一般的な受卵装置(示されていない)を提供することも可能である。そのような一般的な受卵装置は、例えば、割卵機1の底部に配置される容器(示されていない)とすることができる。
【0053】
当業者によく知られた、例えば国際公開第2007/095943号の方法では、卵はコンベヤ5により割卵装置3へ届けられ、割卵装置が図2でDという印を付けられた位置で割卵作動装置を通過すると、割卵装置が作動されて、保持している卵の殻を割り、卵を開ける。卵黄および卵白を含む卵の内容物は重力の影響で、殻からその時点で割卵装置の下に置かれている受卵装置4へと放出される。
【0054】
上述した種類の割卵機は当業者によく知られており、それゆえ、卵を割ってその内容物を受卵装置で集めることに関する構造および機能についての更なる詳細は記載されない。
【0055】
本発明の割卵機は、卵の内容物が重力の影響で受卵装置4へ放出された後に卵2の殻21、および/または割卵装置3に残留している卵白を集めるよう構成されている、図3に示されるような卵白収集ユニット6をさらに含む。
【0056】
卵白収集ユニット6は、外面に2つの開口62を有する円筒形の収集要素61を含む。収集要素の中空内部60は、真空ポンプなどの、中空内部において低い圧力を作り出す真空源(示されていない)へ接続される。これに伴い、周囲の空気が開口62、そしてさらに図3で矢印Uで示されるように収集要素の中空内部を通って吸い込まれ、それにより各開口62の上に下向きの気流が作り出される。
【0057】
割卵装置3が卵白収集ユニット6を方向Aへ通り過ぎた場合、卵殻21から垂れ下がっている、および/または割卵装置3に付着しているのが見える卵白、および/または卵帯の2つのひも状のもの22は収集ユニットの2つの開口62を通り過ぎて、下向きの気流の影響を受ける。これにより、卵白、および/または卵帯のひも状のもの22(これ以降は言及しやすいように卵白のみ)が引っ張られて、卵白を卵殻21、および/または割卵装置3から引き剥がすのに寄与する。この実施例では、開口62にはスリーブ621が設けられ、このスリーブによりひも状のもの22が収集要素6の中空内部60に吸い込まれる危険性が低下し、その結果、ひも状のもののほとんどが後述するように円筒形の収集要素61の下にある卵白受け取り装置へと落ちる。
【0058】
本発明は真空の使用に関連して上述されたが、加圧流体を提供して、卵白、および/または卵帯のひも状のもの22をたるませる、または切断するためにこの流体を使用することも本発明の範囲内であることが理解されるであろう。これは、例えば上述したように円筒形の要素としうるパイプ形状の収集要素61に過度の圧力を与えて、開口62を例えばフラットファンノズル(flat fan nozzle)として機能するように充分に小さくすることで行うことができる。フラットファンノズルは平坦な流体の噴流をもたらし、適切な向きとなっている場合は卵白、および/または卵帯のひも状のものを適切に切断することができる。図3で開口62内に設けられるスリーブ621は、ノズル挿入物として機能することができる。
【0059】
加圧流体は、周囲の空気などの気体、または滅菌水などの液体のいずれかとすることができる。卵白生成物が他の物質と混合されてしまうのを防ぐために、周囲の空気を使用することが現在は有利であると考えられる。
【0060】
この実施例では、各割卵装置3が続く進路の下に2つの開口62が収集要素61に設けられ、各開口は、卵を開いて卵殻21の中を空にしている間に卵殻の半分をしっかりと保持するのに使用されるナイフ部42のそれぞれの直下に配置される。卵白、および/または卵帯のひも状のもの22は、しばしば卵殻21の各半分のいずれか、または各ナイフ部42のいずれかから垂れ下がるので、開口はこれらのひも状のもののそれぞれをたるませるのに完璧な位置に置かれる。ただし、割卵装置の下を中心とする開口を1つだけ使用することも可能である。これにはわずかに高い流体圧力が必要となりうるが、開口の個数を最小とすることができて、より高い圧力は開口が塞がれるのを防ぐのに寄与しうるので、好ましいソリューションとなりうる。また、卵殻21または割卵装置3に強くまとわりつく卵白、および/または卵帯を集めることの変更を上げるために、割卵装置3の進行方向Aに互いに連続して配置されるいくつかの開口を設けることも可能である。
【0061】
本明細書では本発明は卵白の2つの別のひも状のものが卵殻21、および/または割卵装置3から垂れ下がっている状況に関連して記載されているが、本発明はただ1つのひも状のものが存在している場合、および2つのひも状のものが割卵装置の下で隣り合っている場合でも機能することに留意されたい。
【0062】
卵白収集ユニット6の第2実施例が図4に示されており、この図は図2でIVと印を付けられた、図3では実質的に同じ機能を有する要素に対して同じ参照番号が使用されている部分を拡大したものである。この実施例では、円筒形の収集要素61の上側に、図3におけるよりもわずかに上方を向いている一連の開口62が設けられ、これらの開口にはスリーブはない。この一連の開口は、一対の開口に関連する移動方向Aへそれぞれが広がっている割卵装置3の縦列からこの収集ユニットが卵白を集めるよう構成されていることを意味する。図3に関連して上でなされた説明はこの実施例にも当てはまり、逆もまた同様である、つまり図2の実施例でも一連の開口を設けることが可能であることを理解されたい。
【0063】
この実施例における開口62にはスリーブがないという事実により、卵白が円筒形の収集要素61に吸い込まれる可能性が高まるため、中空内部60は後述するように卵白受け取り装置に接続される。
【0064】
図4~5の実施例では、各開口62は略円形であり、およそ5mmの直径を有していることで、およそ40mmの有効開口面積となる。この卵1つ当たりの全開口面積は、低い圧力が収集要素にかけられ、卵1つ当たりの開口の個数が3を超えないすべての実施例に適用可能であることがわかった。また、円形開口での5mmという開口直径は、開口を通って吸い込まれる周囲の空気の量を最小限に抑えるという願望と、同時に開口が塞がれる危険性を最小限に抑えることの間でよいバランスをもたらすことがわかった。2mm未満の開口直径は、閉塞の危険性が比較的高くなるので、概して得策とは考えられない。
【0065】
また、2つ以上の割卵装置の下にまたがる細長い開口を設けることも可能であるが、この実施例は、比較的大きな開口面積を有するため、大きな流量が開口を通過することにつながるので、現時点では好ましくない。
【0066】
周囲の空気を用いて収集要素に低い圧力を作り出す場合、収集要素の外面と同じ高さにある開口の全表面積を各縦列にある割卵装置1つ当たり50mm未満で各開口の10mm上での気流速度を6~10m/sに保つのが現在は好ましい。
【0067】
割卵機が割卵装置3の多数の横列を含む場合は、各卵白収集ユニットが割卵装置の片側から卵白を集めればよいように、割卵機の各側に1つずつの2つの別の卵白収集ユニット6を設けることが有利となりうる。これにより、人間の検査官が卵白生成物を検査するのがより簡単になるだけでなく、収集要素のすべての開口で略均一な圧力を実現することがより簡単になるであろう。
【0068】
ここで図5も参照すると、卵白収集ユニット6は、開口62を覆うことができるカバー要素64をさらに含む。カバー要素64は、図4および図5で示されるように、開口62を覆う第1位置から開口が覆われていない第2位置へ両方向矢印Cで示されるように移動可能である。
【0069】
割卵装置3が円筒形の収集要素61を通過したら、次の割卵装置3が到着するのを待つ間に周囲の空気が収集要素61に吸い込まれないようにカバー要素64を第1位置へ動かすことができる。もちろん、少量の周囲の空気が卵白と共に収集要素に吸い込まれるのは避けられないが、空気の量を最小限で抑えられるようにカバー要素の動きおよび開口62の大きさを選ぶことができる。また、機械が動作していて停止している間のみ第1位置とされるのであれば、カバー要素64を第2位置のままとすることも可能である。しかし、現時点では、以下でさらに説明されるように、カバー要素が収集要素の外側の残留卵白や他の残留物を落とすことができるように、カバー要素を一定の間隔で第1位置とするのが好ましい。
【0070】
開口62の最適な大きさは、例えば処理される卵の種類や、卵白の粘度に影響を与える卵の日齢などのいくつかの要因により決まるが、実験により決定されうる。開口をわずかに過大な大きさとして、カバー要素が第2位置にある場合でも開口を部分的に覆うことができるようにすることで、割卵機が動作中であっても有効な開口の大きさを調整することが可能となる。
【0071】
真空吸引と重力の複合効果は、卵白、および/または卵帯のひも状のもの22を砕くには充分でありうるが、そうならない場合は、ひも状のものはカバー要素64が第1位置へ動いた際に機械的に切断することができる。
【0072】
図4および図5で収集要素61に面するカバー要素64の内面は、収集要素の外面と同じ高さにある。これは、カバー要素が第1の閉鎖される位置にある場合は開口を略完全に覆うということを意味する。また、カバー要素の先端66は、第1位置と第2位置の間を移動中は収集要素61の外面、または、ある場合はスリーブに沿って近接した状態で動き、このため卵白、卵帯、殻のかけら、または他の残留物を収集要素からこすり取ることも意味する。これは、開口がそのような物質によって塞がれる危険性を低減することにかなり寄与し、それゆえ、卵白収集ユニットをより信頼できるようにするのに寄与する。
【0073】
図4および図5に示される実施例では、カバー要素64は1つの歯69が卵白収集要素6の開口62のそれぞれに向かって/それぞれの上へ延びるくし型形状を有するが、板状のカバー要素を含む他の実施例も可能であることを理解されたい。
【0074】
一般的には、カバー要素64と収集要素61の間の相互運動は、カバー要素を回転させる、揺らす、もしくは移動させる、もしくは収集要素を回転させる、揺らす、もしくは移動させる、またはカバー要素と収集要素の両方を移動させることで、実現することができる。図6は、板状のカバー要素を用いてこれを具現化することができる方法のいくつかの例を示す。
【0075】
同じ機能を有する特徴は、図1~5と同様に図6のすべての実施例で同じ参照番号を与えられている。
【0076】
図6において、列A、B、C、およびDはそれぞれ、カバー要素64が回転される、揺らされる、または動かされて固定される実施例を示し、行E、F、G、Hはそれぞれ、収集要素61が回転される、揺らされる、または動かされて固定される実施例を示す。
【0077】
すべての実施例は断面図で示されており、すべての収集要素61はただ1つの開口62を有しているが、開口は後で詳細に説明されるように、違う形で具現化されることがある。図6の略図は、カバー要素64と収集要素61の間の相互運動の原理の例示として意図されているだけであり、示されている要素の寸法は本発明の実際の割卵機で使用するのに必ずしも適していないことに留意されたい。さらに、図6における異なる実施例で示されるカバー要素64および収集要素61の異なる形状は、カバー要素が収集要素の開口62を覆うことができる限りは、他の方法で組み合わせられることが理解されるであろう。
【0078】
列Aでは、カバー要素64は完全に円筒形で収集要素61を取り囲んでおり、その結果、カバー要素が軸線の周りを一方向に、または前後に動くように回転できる。また、収集要素61も完全に円筒形であるが、異なる方法で取り付けられる。行Eでは、収集要素61は軸線の周りを一方向に、または前後に動くように回転するよう構成され、行Fでは、収集要素61は軸線aの周りを揺らされるよう構成され、行Gでは、収集要素61は矢印dで示されるように軸線aに沿って動かされるよう構成され、行Hでは、収集要素61は固定される。ここではカバー要素が円筒形であるという事実のため、カバー要素は図1~5のカバー要素の先端66に関連して記載された、こすり取る効果は提供しないが、カバー要素の内面が収集要素の外面と密着していれば、収集要素の外面は充分に保護される。
【0079】
列B、C、およびDでは、カバー要素64はそれぞれ円筒の一部の形状または図1~5のような平板形状を有し、その結果、カバー要素64と収集要素61の間の距離が適切に選ばれれば、上述したこすり取る効果を提供しうる。これらの実施例では収集要素61およびカバー要素64は第2の開かれた位置にあるのが示されており、一方で列Aの実施例は、第1の閉鎖される位置にあるのが示されている。
【0080】
列Bでは、カバー要素64はすべて軸線aの周りを揺らされるよう構成される。行Eでは、収集要素61は円筒形で、軸線bの周りに回転するよう構成され、行Fでは、収集要素61は矩形断面形状で軸線bの周りを揺らされるよう構成され、行Gでは、収集要素61は矢印dで示されるように動かされるよう構成され、行Hでは、収集要素61は固定されて窪んだ上面を有する。卵白と接触する可能性が高い外面を行Eにあるように凸状とすることで、卵白が重力の影響で流れ出て、収集ユニットの下にある収集トレー(図1~6では示されていない)へ注入することができる。その一方で、行Gにあるもののような窪んだ表面は卵白を収集要素61の開口へ向けて流れさせて、これは真空を用いる場合は有利となりうる。
【0081】
列Cでは、カバー要素64はすべて矢印eにより示されるように動かされるよう構成される。行Eでは、収集要素61は円筒形で、軸線bの周りに回転するよう構成され、行Fでは、収集要素61は凸状の上面を有する略矩形断面形状で軸線bの周りを揺らされるよう構成され、行Gでは、収集要素61は矢印dで示されるように動かされるよう構成され、行Hでは、収集要素61は固定されて矩形断面形状を有する。
【0082】
列Dでは、カバー要素64は固定され、収集要素61はすべて円筒形である。行Eでは、収集要素61は軸線bの周りに回転するよう構成され、行Fでは、収集要素61は軸線bの周りを揺らされるよう構成され、行Gでは、収集要素61は矢印dで示されるように動かされるよう構成される。
【0083】
カバー要素64、および/または収集要素61の実際の運動は、これらの要素の一端または両端をアクチュエータ(示されていない)へ取り付けることで実現されうる。例えば、収集要素61の回転運動を実現したい場合は、収集要素の終端にあるピンをピン、ひいては収集要素を回転させる電気モータに接続することができる。モータや類似したアクチュエータへのそのような機械的接続は当業者にはよく知られており、それゆえ、さらに詳細には記載されない。
【0084】
ここで図7および図8を見ると、本発明の割卵機の選択された部分が2つの異なる角度から示されている。ここでも、図1~6のように同じ参照番号が使用され、同じ参照番号を有する特徴は、別途明記しない限り、同じ機能を有する。
【0085】
図2にあるように、卵2を運ぶ割卵装置3および受卵装置4が他方の上で列になっているのが示されており、収集トレー8が卵白、および/または卵帯のひも状のもの22を集めるために割卵装置3および受卵装置4の下に提供されていて、ひも状のもの22は卵殻の半分または割卵装置から離れるが、受卵装置の中には落ちない。
【0086】
ここでは、卵白収集ユニット6は収集要素61、真空源に接続されるよう構成されている流体結合管63、沈殿槽67、および槽排出口68を含む。槽排出口68は、卵白が収集トレー8へ流れ出ることができるように収集トレーの上に配置され、卵白は、トレー排出口81を介して貯蔵槽(示されていない)などの卵白受け取り装置へ放出される前に、人間の検査官9により検査される。人間による検査は、卵白生成物が食用と認可されるためには一部の管轄下で必要であるが、槽排出口68を直接貯蔵槽へ接続することも可能である。
【0087】
図7および図8の実施例では、流体結合管63は、この管を介して卵白が吸い出されるのを防ぐために槽67の最上部に設けられており、卵白は重力の影響で排出口68を介して沈殿槽67を離れる。これは、集められた卵白生成物に気泡が生じた場合には、気泡は気泡の泡がはじけるまで沈殿槽内に残る傾向があり、槽排出口68を通って出てくる生成物は主に液体の卵白から成っていて、より簡単に検査できる、ということを意味している。
【0088】
本発明はいくつかの異なる実施例に関連して上述されたが、これらの実施例に関連して記載された特徴は、必ずしも請求の範囲から逸脱することなく異なる方法で組み合わせる、または置換することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8