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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】半導体構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20240726BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240726BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H10B12/00
H01L21/302 105A
H01L21/31 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022547939
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2021079488
(87)【国際公開番号】W WO2021203885
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】202010267288.4
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】祝 嘯
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-347428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0272250(US,A1)
【文献】特開平11-026713(JP,A)
【文献】特開2018-056561(JP,A)
【文献】特開平10-004082(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0022256(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178688(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0296026(US,A1)
【文献】特開2012-186202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0175659(US,A1)
【文献】中国実用新案第210272309(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0285662(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110970351(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110970436(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110931485(CN,A)
【文献】特開2009-076636(JP,A)
【文献】特開2008-159730(JP,A)
【文献】米国特許第07232724(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造の製造方法であって、
基板及び前記基板に位置する複数の個別のビット線構造を提供し、前記ビット線構造内に金属層を有し、前記金属層の上面が前記ビット線構造の上面よりも低いことと、
隣接する前記ビット線構造の間にいっぱいに充填される初期絶縁分離膜を形成することと
前記初期絶縁分離膜を処理して隣接する前記ビット線構造の間に充填される第1絶縁分離膜を形成し、前記第1絶縁分離膜の上面が前記金属層の上面よりも高く且つ前記ビット線構造の上面よりも低いことと、
前記ビット線構造の上面及び側壁並びに前記第1絶縁分離膜の上面に第1誘電体膜を形成することと、
マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて、前記ビット線構造の上面及び前記第1絶縁分離膜の上面に位置する前記第1誘電体膜をエッチング除去して第1誘電体層を形成し、且つ前記第1誘電体層をマスクとして、前記第1誘電体層から露出する前記第1絶縁分離膜をエッチング除去して前記第1誘電体層の真下に位置する第1絶縁分離層を形成することと、を含み、
前記初期絶縁分離膜の材料はケイ素を含み、前記初期絶縁分離膜を形成した後、前記初期絶縁分離膜を酸化処理することにより、二酸化ケイ素を生成することを特徴とする、
半導体構造の製造方法。
【請求項2】
前記第1絶縁分離層の材料の誘電率が前記第1誘電体層の材料の誘電率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1絶縁分離層の材料は二酸化ケイ素を含み、前記第1絶縁分離層を形成する前駆体ガスはケイ酸エチルとオゾンを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化学気相成長プロセスを用いて前記第1絶縁分離膜を形成し、原子層成長プロセスを用いて前記第1誘電体膜を形成することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1絶縁分離層を形成した後には、前記第1誘電体層から露出される前記第1絶縁分離層の側壁には第2誘電体層を形成し、前記第2誘電体層の材料の硬度が前記第1絶縁分離層の材料の硬度よりも大きいことを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1絶縁分離層及び前記第1誘電体層を形成するプロセスステップは、第1マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて前記第1誘電体層を形成し、前記第1マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1誘電体膜のエッチングレートが前記第1マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1絶縁分離膜のエッチングレートよりも大きいことと、第2マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて前記第1絶縁分離層を形成し、前記第2マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1絶縁分離膜のエッチングレートが前記第2マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1誘電体膜のエッチングレートよりも大きいことと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1絶縁分離膜は前記ビット線構造の側壁に位置し且つ所定の厚さを有する第1領域と、前記第1領域の間に位置する第2領域とを含み、前記第2マスクなしのドライエッチングプロセスを行う前に、前記第領域に対してイオンドーピングプロセスを行い、前記イオンドーピングプロセスは前記第2領域のエッチングレートを前記第1領域のエッチングレートよりも大きくすることに用いられることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記初期絶縁分離膜を処理して隣接する前記ビット線構造の間に充填される第1絶縁分離膜を形成することは、前記初期絶縁分離膜の上面と前記ビット線構造の上面を面一にするように平坦化プロセスを行うことと、前記初期絶縁分離膜の厚さの一部をエッチング除去して前記第1絶縁分離膜を形成することと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1絶縁分離膜の上面と前記ビット線構造の上面との高度差範囲が50nm~100nmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年4月8日に提出した名称「半導体構造及びその製造方法」、出願番号第202010267288.4号の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用により本願に取り込まれる。
【0002】
本願の実施例は、半導体分野に関し、特に半導体構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM、Dynamic Random Access Memory)の特徴寸法及び線幅が絶えず減少するにつれて、隣接するビット線構造の間の間隔もますます小さくなっている。ところが、隣接するビット線構造の間の間隔が小さくなると、隣接するビット線構造の間の寄生容量が増加して、更にダイナミックランダムアクセスメモリの性能に影響を与えてしまうこととなる。
【0004】
隣接するビット線構造の間の寄生容量をどのように減少させるか、及び寄生容量を減少させるとともにダイナミックランダムアクセスメモリの製造コストをどのように削減するかは、現在の早急な解決の待たれる問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の一部の実施例は半導体構造及びその製造方法を提供し、半導体構造のコストを低減する上で有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本願の一部の実施例は半導体構造の製造方法を提供し、基板及び前記基板に位置する複数の個別のビット線構造を提供し、前記ビット線構造内に金属層を有し、前記金属層の頂面が前記ビット線構造の頂面よりも低いことと、隣接する前記ビット線構造の間に充填される第1絶縁分離膜を形成し、前記第1絶縁分離膜の頂面が前記金属層の頂面よりも高く且つ前記ビット線構造の頂面よりも低いことと、前記ビット線構造の頂部及び側壁並びに前記第1絶縁分離膜の頂面に第1誘電体膜を形成することと、マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて、前記ビット線構造の頂部及び前記第1絶縁分離膜の頂面に位置する前記第1誘電体膜をエッチング除去して第1誘電体層を形成し、且つ前記第1誘電体層が露出する前記第1絶縁分離膜をエッチング除去して前記第1誘電体層の真下に位置する第1絶縁分離層を形成することと、を含む。
【0007】
また、前記第1絶縁分離層の材料の誘電率が前記第1誘電体層の材料の誘電率よりも小さい。
【0008】
また、前記第1絶縁分離層の材料は二酸化ケイ素を含み、前記第1絶縁分離層を形成する前駆体ガスはケイ酸エチルとオゾンを含む。
【0009】
また、化学気相成長プロセスを用いて前記第1絶縁分離膜を形成し、原子層成長プロセスを用いて前記第1誘電体膜を形成する。
【0010】
また、前記第1絶縁分離層の材料はケイ素を含み、前記第1絶縁分離層を形成した後、前記第1絶縁分離層を酸化処理することにより、二酸化ケイ素を生成する。
【0011】
また、前記第1絶縁分離層を形成した後には、前記第1誘電体層によって露出される前記第1絶縁分離層の側壁には第2誘電体層を形成し、前記第2誘電体層の材料の硬度が前記第1絶縁分離層の材料の硬度よりも大きいことを更に含む。
【0012】
また、前記第1絶縁分離層及び前記第1誘電体層を形成するプロセスステップは、第1マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて前記第1誘電体層を形成し、前記第1マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1誘電体膜のエッチングレートが前記第1マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1絶縁分離膜のエッチングレートよりも大きいことと、第2マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて前記第1絶縁分離層を形成し、前記第2マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1絶縁分離膜のエッチングレートが前記第2マスクなしのドライエッチングプロセスによる前記第1誘電体膜のエッチングレートよりも大きいことと、を含む。
【0013】
また、前記第1絶縁分離膜は前記ビット線構造の側壁に位置し且つ所定の厚さを有する第1領域と、前記第1領域の間に位置する第2領域とを含み、前記第2マスクなしのドライエッチングプロセスを行う前に、前記第1領域又は前記第2領域に対してイオンドーピングプロセスを行い、前記イオンドーピングプロセスは前記第2領域のエッチングレートを前記第1領域のエッチングレートよりも大きくすることに用いられる。
【0014】
また、隣接する前記ビット線構造の間に充填される第1絶縁分離膜を形成する前記ことは、隣接する前記ビット線構造の間にいっぱいに充填される初期絶縁分離膜を形成することと、前記初期絶縁分離膜の頂面と前記ビット線構造の頂面を面一にするように平坦化プロセスを行うことと、部分厚さの前記初期絶縁分離膜をエッチング除去して前記第1絶縁分離膜を形成することと、を含む。
【0015】
また、前記第1絶縁分離膜の頂面と前記ビット線構造の頂面との高度差範囲が50nm~100nmである。
【0016】
それに対応して、本願の一部の実施例は更に半導体構造を提供し、基板及び前記基板に位置する複数の個別のビット線構造と、前記ビット線構造の側壁に位置し、頂面が前記金属層の頂面よりも高く且つ前記ビット線構造の頂面よりも低い第1絶縁分離層と、前記ビット線構造の側壁に位置し、且つ前記第1絶縁分離層の直上に位置する第1誘電体層と、を備え、前記ビット線構造内に金属層を有し、前記金属層の頂面が前記ビット線構造の頂面よりも低い。
【0017】
また、前記第1絶縁分離層の材料の誘電率が前記第1誘電体層の材料の誘電率よりも小さい。
【0018】
また、前記第1絶縁分離層の材料は二酸化ケイ素を含む。
【0019】
また、半導体構造は更に第2誘電体層を備え、前記第2誘電体層が前記第1誘電体層によって露出される前記第1絶縁分離層の側壁に位置し、前記第2誘電体層の材料の硬度が前記第1絶縁分離層の材料の硬度よりも大きい。
【発明の効果】
【0020】
従来技術に比べて、本願の一部の実施例に係る技術案は以下の利点を有する。
【0021】
上記技術案において、ビット線構造の頂部及び側壁に第1誘電体膜を形成し、且つマスクなしのドライエッチングプロセスを利用して第1誘電体層をエッチング形成し、第1誘電体層が第1絶縁分離膜をエッチングする際のマスクとされてもよく、このようにして、第1絶縁分離膜をエッチングする過程において、特にマスクを形成する必要がなく、半導体構造の製造コストを低減する上で有利となる。
【0022】
また、第1絶縁分離層の頂面が金属層の頂面よりも高く、且つ第1絶縁分離層の誘電率が第1誘電体層の誘電率よりも小さく、このようにして、隣接する金属層の間の誘電率を減少させる上で有利となり、ビット線構造の間の寄生容量を減少させる。
【0023】
また、材料がケイ素である第1絶縁分離膜を先に形成し、更に酸化処理を行って二酸化ケイ素を得て、第1誘電体膜材料と第1絶縁分離膜材料とのエッチング選択比を向上させ、エッチングプロセスのエッチング精度を向上させる上で有利である。
【0024】
1つ又は複数の実施例はそれに対応する図画により例示的に説明され、これらの例示的な説明は実施例を限定するものではなく、図面における同じ参照数字番号を有する素子は類似の素子を示し、特に説明しない限り、図面における図は比率を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図2】本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図3】本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図4】本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図5】本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図6】本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図7】本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図8】本願の他の実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
図9】本願の他の実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
半導体構造が絶えず縮小するにつれて、隣接するビット線構造の間の間隔がますます小さくなるとともに、間隔がますます小さくなるため、絶縁分離層の厚さ精度にずれがある場合、絶縁分離層の絶縁分離効果に影響を与え、ひいては新たな問題が生じ、例えば有効な絶縁分離が実現されないこととなる。
【0027】
絶縁分離層の位置を定義するとき、一般的にフォトレジスト及びフォトマスクによりエッチングされるべき領域を定義することとなっているが、フォトマスクのコストが高く、且つ、精度が高ければ高いほど、コストが高くなる。ところが、間隔の狭小化であろうと、それとも絶縁分離層の厚さ精度に対する要求であろうと、フォトマスクの精度に対する要求がいずれもますます高くなり、これは製造コストの上昇を引き起こし、製品の研究開発及び生産にとって不利になる。
【0028】
上記技術的問題を解決するために、本願の実施例は半導体構造の製造方法を提供し、基板及び基板に位置する複数の個別のビット線構造を提供し、ビット線構造内に金属層を有し、金属層の頂面がビット線構造の頂面よりも低いことと、隣接するビット線構造の間に充填される第1絶縁分離膜を形成し、第1絶縁分離膜の頂面が金属層の頂面よりも高く且つビット線構造の頂面よりも低いことと、ビット線構造の頂部及び側壁並びに第1絶縁分離膜の頂面に第1誘電体膜を形成することと、マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて、ビット線構造の頂部及び第1絶縁分離膜の頂面に位置する第1誘電体膜をエッチング除去して第1誘電体層を形成し、且つ第1誘電体層が露出する第1絶縁分離膜をエッチング除去して第1誘電体層の真下に位置する第1絶縁分離層を形成することと、を含む。
【0029】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本願の各実施例を詳しく説明する。ところが、当業者であれば理解できるように、本願の各実施例において、読者に本願をより良く理解させるために多くの技術的詳細を提示する。しかしながら、これらの技術的詳細並びに以下の各実施例に基づく種々の変化及び修正がなくても、本願において特許請求されようとしている技術案を実現することもできる。
【0030】
図1図7は本願の一実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。
【0031】
図1を参照して、基板11及び基板11に位置する複数の個別のビット線構造12を提供し、ビット線構造12内に金属層123を有し、金属層123の頂面がビット線構造12の頂面よりも低い。
【0032】
基板11内には埋め込みワード線、浅いトレンチ絶縁分離構造、能動領域等の構造が含まれる。ビット線構造12はビット線接触121、下層誘電体層122、金属層123及び上層誘電体層124を備え、ビット線接触121の材料はタングステン又は多結晶シリコンを含み、下層誘電体層122及び上層誘電体層124の材料は窒化ケイ素、二酸化ケイ素又はオキシ窒化ケイ素を含み、金属層123は複数種類の導電材料、例えばドープ多結晶シリコン、チタン、窒化チタン、タングステン及びタングステンの複合体等を含む。
【0033】
本実施例では、半導体構造は更に保護層125を備え、保護層125が少なくとも金属層123の表面に被覆されて、金属層123が損傷されることを回避する。
【0034】
本実施例では、保護層125は原子層成長プロセスを用いて形成され、原子層成長プロセスは成長速度が遅く、成長形成した膜層の緻密性が高く且つ段差被覆率が良いなどの特徴を有し、このようにして、厚さが比較的薄い条件下で、保護層125が隣接する金属層123を効果的に絶縁分離して保護するようにすることができ、保護層125が隣接するビット線構造12の間の元々大きくない空間を占有することを回避し、その後の絶縁分離層の充填を実現し、隣接する金属層123の間の絶縁分離効果を向上させる上で有利となる。
【0035】
ここで、保護層125の材料は窒化ケイ素又はオキシ窒化ケイ素を含む。
【0036】
本実施例では、隣接するビット線構造12の間に充填される第1絶縁分離膜を形成することは、以下のステップを含む。
【0037】
図2を参照して、隣接するビット線構造12の間にいっぱいに充填される初期絶縁分離膜131を形成する。
【0038】
本実施例では、初期絶縁分離膜131の頂面はビット線構造12の頂面よりも高く、このようにして、初期絶縁分離膜131と金属層123が密着接触するように確保する上で有利となり、それによりその後に形成される第1絶縁分離層の絶縁分離効果を確保する。
【0039】
なお、最終的に形成された初期絶縁分離膜131の頂面が金属層123の頂面よりもやや高く又は金属層123の頂面と面一である場合、初期絶縁分離膜131と金属層123との間にエアギャップがある可能性がある。他の物質がエアギャップに入って汚染を引く起こす場合、隣接する金属層123の間の絶縁分離効果が所期のレベルよりも低くなることとなり、それと同時に、エアギャップがある場合、その後に形成される第1絶縁分離層は不十分な強度により崩壊するなどの故障があり、更に絶縁分離効果が弱くなってひいてはなくなってしまう可能性がある。
【0040】
本実施例では、初期絶縁分離膜131の材料は二酸化ケイ素を含む。例えば、ケイ酸エチル及びオゾンを前駆体ガスとして用いて二酸化ケイ素を形成してもよく、ケイ酸エチルはコストが比較的低いという特徴を有するため、ケイ酸エチルを原材料として用いて二酸化ケイ素を形成することは、製造プロセスのコストを低減することができる。
【0041】
ここで、二酸化ケイ素を形成するプロセスは化学気相成長プロセス又は原子層成長プロセスを含み、形成する必要のある初期絶縁分離膜131の頂面がビット線構造12の頂面よりも高くなければならず、厚さが比較的大きいため、成長速度の比較的速い化学気相成長プロセスを用いて初期絶縁分離膜131を形成することは製造プロセスのサイクルを短縮する上で有利である。
【0042】
図3を参照して、初期絶縁分離膜131の頂面とビット線構造12の頂面を面一にするように平坦化プロセスを行う。
【0043】
本実施例では、化学機械研磨方式を用いてビット線構造12の頂面よりも高い初期絶縁分離膜131を除去し、化学機械研磨はエッチングプロセスよりも除去速度が比較的速く、プロセスサイクルを短縮する上で有利である。
【0044】
図4を参照して、部分厚さの初期絶縁分離膜をエッチング除去して第1絶縁分離膜132を形成する。
【0045】
除去された初期絶縁分離膜の厚さはビット線構造12の頂面と金属層123の頂面との高度差によって決定されるが、第1絶縁分離膜132の頂面が金属層123の頂面よりも高く且つビット線構造12の頂面よりも低いように確保する必要があり、それによりその後に形成される第1絶縁分離層の絶縁分離効果を確保する。
【0046】
本実施例では、第1絶縁分離膜132の頂面とビット線構造12の頂面との高度差範囲が50nm~100nm、例えば60nm、75nm又は90nmである。
【0047】
図5を参照して、ビット線構造12の頂部及び側壁並びに第1絶縁分離膜132の頂面に第1誘電体膜141を形成する。
【0048】
本実施例では、原子層成長プロセスを用いて第1誘電体膜141を形成する。原子層成長プロセスは成長速度が比較的遅く、段差被覆率が良いという特徴を有するため、原子層成長プロセスを用いて第1誘電体膜141を形成することは第1誘電体膜141の厚さ精度を確保する上で有利であり、更にその後に形成される第1絶縁分離層の厚さ精度を確保する。
【0049】
なお、第1誘電体膜141の厚さはその後に形成しようとする第1絶縁分離層の厚さに等しい。正確には、保護層125の側壁に位置する第1誘電体膜141の厚さは形成しようとする第1絶縁分離層の厚さを定義する。
【0050】
本実施例では、第1誘電体膜141の誘電率は第1絶縁分離膜132の誘電率よりも大きく、第1誘電体膜141の材料は窒化ケイ素又はオキシ窒化ケイ素を含む。なお、第1誘電体膜141の材料の選択使用は高エッチング選択比の要求をできる限り満足する必要があり、即ち第1誘電体膜141の材料と第1絶縁分離膜132の材料は比較的高いエッチング選択比を有し、このようにして、その後のエッチングプロセスのエッチング精度を確保する上で有利となり、エッチングプロセスが非エッチング対象をエッチングすることを回避する。
【0051】
本実施例では、第1絶縁分離膜はビット線構造12の側壁に位置し且つ所定の厚さを有する第1領域1321と、第1領域1321の間に位置する第2領域1322とを含み、第2マスクなしのドライエッチングプロセスにより第1絶縁分離膜をエッチングする前に、第2領域1322のエッチング速度を第1領域1321のエッチングレートよりも大きくするように第1領域1321又は第2領域1322に対してイオンドーピングプロセスを行い、所定の厚さの第1領域1321が第1絶縁分離層を形成するためのものである。このようにして、第1絶縁分離層の厚さ精度を向上させる上で有利となる。
【0052】
図6を参照して、マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて第1誘電体層142及び第1絶縁分離層133を形成する。
【0053】
本実施例では、第1マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて、ビット線構造12の頂部及び第1絶縁分離膜の頂面に位置する第1誘電体膜をエッチング除去して第1誘電体層142を形成し、第2マスクなしのドライエッチングプロセスを用いて、第1誘電体層142が露出する第1絶縁分離膜をエッチング除去して第1誘電体層142の真下に位置する第1絶縁分離層133を形成する。
【0054】
ここで、第1マスクなしのドライエッチングプロセスによる第1誘電体膜のエッチングレートが第1マスクなしのドライエッチングプロセスによる第1絶縁分離膜のエッチングレートよりも大きく、第2マスクなしのドライエッチングプロセスによる第1絶縁分離膜のエッチングレートが第2マスクなしのドライエッチングプロセスによる第1誘電体膜のエッチングレートよりも大きい。このようにして、第1誘電体膜をエッチングする際に第1絶縁分離膜を過度にエッチングすることを回避し、且つ第1絶縁分離膜をエッチングする際に第1誘電体膜を過度にエッチングすることを回避する上で有利となり、更にエッチングプロセスのエッチング精度を確保し、更に第1誘電体層142及び第1絶縁分離層133の厚さ精度を確保する。
【0055】
図7を参照して、第2誘電体層15を形成する。
【0056】
本実施例では、第1絶縁分離層133を形成した後、第1誘電体層142によって露出される第1絶縁分離層133の側壁には第2誘電体層15を形成し、第2誘電体層15の材料の硬度が第1絶縁分離層133の材料の硬度よりも大きい。このようにして、硬度の比較的低い第1絶縁分離層133を支持し、第1絶縁分離層133が崩壊することを回避し、更に第1絶縁分離層133の絶縁分離効果を確保する上で有利となる。
【0057】
本実施例では、ビット線構造12の頂部及び側壁に第1誘電体膜141を形成し、且つマスクなしのドライエッチングプロセスを利用して第1誘電体層142をエッチング形成し、第1誘電体層142が第1絶縁分離膜132をエッチングする際のマスクとされてもよく、このようにして、第1絶縁分離膜132をエッチング加工することにより所定の厚さを有する第1絶縁分離層133を形成する製造プロセスにおいて、特にマスクを形成する必要がなく、半導体構造の製造コストを低減する上で有利となる。
【0058】
本願の他の実施例は更に半導体構造の製造方法を提供し、本実施例において初期絶縁分離膜の材料がケイ素である点で前の実施例と相違する。以下、図8及び図9を参照しながら詳しく説明し、図8及び図9は本願の他の実施例に係る半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造模式図である。前の方法実施例と同じ又は対応する製造ステップは、前の方法実施例の対応説明を参照してもよく、以下、繰り返して説明しない。
【0059】
図8を参照して、初期絶縁分離膜231の材料はケイ素を含み、ケイ素と一般的な誘電体材料(例えば、窒化ケイ素)は比較的大きなエッチング選択比を有し、エッチングプロセスのエッチング精度を向上させる上で有利であり、また、ケイ素を酸化処理した後に二酸化ケイ素を生成することができ、二酸化ケイ素の誘電率は約3.9であり、誘電体材料としての一般的な窒化ケイ素の誘電率(窒化ケイ素の誘電率が約7)よりも小さい。このようにして、隣接する金属層223の間の絶縁分離効果を向上させ、隣接するビット線構造(表示せず)の間の寄生容量を減少させる上で有利となる。
【0060】
ここにて、ケイ素は単結晶シリコン又は多結晶シリコンを含む。
【0061】
図9を参照して、第1絶縁分離層233を形成した後、第1絶縁分離層233に対してウェット酸化プロセスを行い、ウェット酸化プロセスを用いて形成した二酸化ケイ素は、その内部に微小な気孔を有し、気孔内の空気の誘電率が約1に等しく、二酸化ケイ素の誘電率よりも遥かに小さい。このようにして、第1絶縁分離層233の絶縁分離効果を向上させる上で有利となる。
【0062】
他の実施例では、ドライ酸化プロセスを用いて第1絶縁分離層を酸化処理する。
【0063】
本実施例では、材料がケイ素である初期絶縁分離膜231を予め形成することにより、第1絶縁分離膜と第1誘電体膜とのエッチング選択比を向上させ、更にエッチングプロセスのエッチング精度を向上させ、それにより第1絶縁分離層の寸法精度を確保する。
【0064】
それに対応して、本願の実施例は更に半導体構造を提供し、上記いずれか1つの方法を用いて製造してもよい。
【0065】
図7を参照して、本実施例では、半導体構造は、基板11及び基板11に位置する複数の個別のビット線構造12と、ビット線構造12の側壁に位置し、頂面が金属層123の頂面よりも高く且つビット線構造12の頂面よりも低い第1絶縁分離層133と、ビット線構造12の側壁に位置し、且つ第1絶縁分離層133の直上に位置する第1誘電体層142と、を備え、ビット線構造12内に金属層123を有し、金属層123の頂面がビット線構造12の頂面よりも低い。
【0066】
以下、図面を参照しながら本願に係る半導体構造を詳しく説明する。
【0067】
本実施例では、第1絶縁分離層133の材料の誘電率が第1誘電体層142の材料の誘電率よりも小さい。このようにして、第1絶縁分離層133の絶縁分離効果を向上させる上で有利となる。
【0068】
本実施例では、第1絶縁分離層133の材料は二酸化ケイ素を含み、二酸化ケイ素の誘電率が約3.9であり、第1誘電体層142の材料は窒化ケイ素を含み、窒化ケイ素の誘電率が約7である。
【0069】
本実施例では、半導体構造は更に第2誘電体層15を備え、第2誘電体層15が第1誘電体層142によって露出される第1絶縁分離層133の側壁に位置し、第2誘電体層15の材料の硬度が第1絶縁分離層133の材料の硬度よりも大きい。
【0070】
本実施例では、第1誘電体層142は第1絶縁分離層133のためのマスクとして機能することができ、第1絶縁分離層133の厚さ精度を向上させ、更に第1絶縁分離層133の絶縁分離効果を向上させる上で有利である。
【0071】
当業者であれば理解できるように、上記各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実際の応用において、本願の主旨及び範囲を逸脱せずに、形式及び細部的に種々の変化を行うことができる。当業者であれば、本願の主旨及び範囲を逸脱せずに、いずれも種々の変更及び修正を行うことができ、従って、本願の保護範囲は特許請求の範囲により限定される範囲に準じるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9