(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】機械アセンブリ、ギアモータ及び関連する取り付け方法
(51)【国際特許分類】
B60S 1/04 20060101AFI20240726BHJP
B60S 1/08 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
B60S1/04 710
B60S1/08 R
(21)【出願番号】P 2022562400
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021058214
(87)【国際公開番号】W WO2021209253
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】アラン、セルバン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ミシェル、ベルトム
(72)【発明者】
【氏名】クウェンティン、オービュゴー
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-016805(JP,A)
【文献】特表2018-537358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0368072(US,A1)
【文献】特表2012-502839(JP,A)
【文献】特開2015-214180(JP,A)
【文献】特表平08-500791(JP,A)
【文献】特表2009-531217(JP,A)
【文献】特開2018-108808(JP,A)
【文献】特開昭48-005017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械装置の出力シャフト(12)を案内するようになっているプラスチックバレル(11)を前記機械装置のハウジング(5)に取り付けるための方法であって、前記ハウジング(5)が上縁部(51)と基部(52)とによって画定されるチムニー(5a)を備え、前記チムニー(5a)が前記出力シャフト(12)を部分的に取り囲むように配置され、前記プラスチックバレル(11)が側方突出部(11c)を備え、前記方法は、
-前記側方突出部(11c)が前記チムニー(5a)の前記上縁部(51)に軸方向で当接するまで、前記プラスチックバレル(11)の第1の端部(11a)を前記ハウジング(5)の前記チムニー(5a)に挿入するステップと、
-軸方向の対向当接部を形成するために前記プラスチックバレル(11)の前記第1の端部(11a)を少なくとも部分的に変形させるステップと、
を少なくとも含む方法。
【請求項2】
前記チムニー(5a)の前記基部(52)は、前記ハウジング(5)の内側に向けて少なくとも部分的にフレアー状に広げられ、前記変形させるステップは、塑性変形によって前記プラスチックバレル(11)の前記第1の端部(11a)をフレアー状に広げることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変形させるステップは、加熱する又は超音波を印加するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記変形させるステップが加熱ステップを含み、前記加熱温度が特に150~180°である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プラスチックバレル(11)がポリアミドから形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ハウジング(5)の前記チムニー(5a)が少なくとも1つの凹部(56)を備え、前記変形させるステップは、回転防止突起(110)を形成するべく前記プラスチックバレル(11)を前記少なくとも1つの凹部(56)内へと変形させることを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記機械装置がワイパー装置のギアモータ(1)である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
機械装置の出力シャフト(12)を少なくとも部分的に取り囲むように構成されるチムニー(5a)を備える機械装置用のハウジング(5)であって、前記チムニー(5a)は、前記ハウジング(5)の内側に向かってフレアー状に広げられる実質的に円錐形の内側形状を備える基部(52)を備える、ハウジング(5)
と、
プラスチックバレル(11)と、のアセンブリであって、
前記プラスチックバレル(11)は、当接部を形成するとともに前記機械装置の前記出力シャフト(12)の周りで前記ハウジング(5)の前記チムニー(5a)に挿入されるようになっている第1の端部を画定する側方突出部(11c)を備え、
前記プラスチックバレル(11)の前記第1の端部(11a)は、前記チムニー(5a)の前記フレアー状の基部(52)と協働するようにフレアー状に広げられる、アセンブリ。
【請求項9】
機械装置の出力シャフト(12)を少なくとも部分的に取り囲むように構成されるチムニー(5a)を備える機械装置用のハウジング(5)であって、前記チムニー(5a)は、前記ハウジング(5)の内側に向かってフレアー状に広げられる実質的に円錐形の内側形状を備える基部(52)を備える、ハウジング(5)と、
プラスチックバレル(11)と、のアセンブリであって、
前記プラスチックバレル(11)は、当接部を形成するとともに前記機械装置の前記出力シャフト(12)の周りで前記ハウジング(5)の前記チムニー(5a)に挿入されるようになっている第1の端部を画定する側方突出部(11c)を備え、
前記第1の端部は、軸方向の対向当接部を形成するように変形する、アセンブリ。
【請求項10】
少なくとも1つの凹部(56)が回転防止突起(110)を受けるように前記ハウジング(5)の前記チムニー(5a)の前記基部(52)に設けられる、ハウジング(5)
を含む、請求項8又は9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記側方突出部(11c)がフランジ形状である、請求項
8又は9に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記フランジは、前記プラスチックバレル(11)の前記第1の端部(11a)に向かって湾曲される部分を備える、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記チムニー(5a)は、前記側方突出部(11c)と協働するように構成される少なくとも部分的に環状の嵌合形状を備える、請求項
8から12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記プラスチックバレル(11)の前記第1の端部(11a)は、前記チムニー(5a)の前記フレアー状の基部(52)と協働するようにフレアー状に広げられる、請求項
9から13のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
電気モータ(3)と、出力シャフト(12)を備える減速ギアと、
請求項8から14のいずれか一項に記載のアセンブリと、を備え、
前記ハウジング(5)は、前記電気モータ(3)及び前記減速ギアを少なくとも部分的に収容する
、ギアモータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力シャフトと、金属ハウジング上のプラスチックバレルのアセンブリとを備える機械装置用の金属ハウジングに関する。金属ハウジングは、例えば、特に自動車ワイパー装置のギアモータ用のハウジングに対応する。
【背景技術】
【0002】
特に自動車両の後部窓用のワイパーシステムのギアモータの出力シャフトは、一般に、それらが車体を通過できるようにするために比較的長い出力シャフトを備える。したがって、減速ギア機構を含むギアモータのハウジングに取り付けられるシャフトを案内するためのバレルを使用する必要がある。
【0003】
従来技術はそのようなバレルを開示するが、これらの構成要素は一般に高価であり及び/又は製造又はギアモータのハウジングへの取り付けが困難である。
【0004】
したがって、安価でハウジングに取り付けるのが容易なバレルを得るための解決策の必要性が存在する。更に、バレル及びハウジングの組み立ては、減速ギア機構の耐用年数を維持するために、汚れ又は水分がハウジングに入ることができないようなものでなければならない。
【発明の概要】
【0005】
この目的のために、本発明は、機械装置の出力シャフトを案内するようになっているプラスチックバレルを前記機械装置のハウジングに取り付けるための方法であって、前記ハウジングが上縁部と基部とによって画定されるチムニーを備え、前記チムニーが出力シャフトを部分的に取り囲むように配置され、プラスチックバレルが側方突出部を備え、方法が、
-側方突出部がチムニーの上縁部に軸方向で当接するまで、プラスチックバレルの第1の端部をハウジングのチムニーに挿入するステップと、
-軸方向の対向当接部を形成するためにプラスチックバレルの第1の端部を少なくとも部分的に変形させるステップと、
を少なくとも含む方法に関する。
【0006】
本発明の他の態様によれば、ハウジングは、例えば、その硬度がバレルのプラスチックの硬度とは異なり得る金属ハウジング又はプラスチックハウジングである。
【0007】
本発明の他の態様によれば、チムニーの基部は、ハウジングの内側に向かって少なくとも部分的にフレアー状に広げられ、変形させるステップは、塑性変形によって塑性バレルの第1の端部をフレアー状に広げることを含む。
【0008】
本発明の他の態様によれば、変形させるステップが加熱ステップを含む。
【0009】
本発明の他の態様によれば、加熱温度が150~180°である。
【0010】
本発明の他の態様によれば、変形させるステップは、超音波を印加するステップを含む。
【0011】
本発明の他の態様によれば、プラスチックバレルは、例えばガラス繊維が充填され得る、すなわち、ガラス繊維で強化され得るポリアミドから形成される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、ハウジングのチムニーが少なくとも1つの凹部を備え、変形させるステップは、回転防止突起を形成するべくプラスチックバレルを前記少なくとも1つの凹部内へと変形させることを含む。
【0013】
本発明の他の態様によれば、機械装置がワイパー装置のギアモータである。
【0014】
また、本発明は、機械装置の出力シャフトを少なくとも部分的に取り囲むように構成されるチムニーを備える機械装置用のハウジングに関し、チムニーは、前記ハウジングの内側に向かってフレアー状に広げられる実質的に円錐形の内側形状を伴う基部を備える。
【0015】
本発明の他の態様によれば、ハウジングが金属ハウジングである。
【0016】
本発明の他の態様によれば、少なくとも1つの凹部が回転防止突起を受けるようにチムニーの基部に設けられる。
【0017】
また、本発明は、前述のようなハウジングとプラスチックバレルとのアセンブリに関し、プラスチックバレルは、当接部を形成するとともに出力シャフトの周りでハウジングのチムニーに挿入されるようになっている第1の端部を画定する側方突出部を備える。
【0018】
本発明の他の態様によれば、側方突出部がフランジ形状である。
【0019】
本発明の他の態様によれば、フランジは、第1の端部に向かって湾曲される端部を備える。
【0020】
本発明の他の態様によれば、フランジは、液滴がハウジングに入るのを防止するために水デフレクタを形成する。
【0021】
本発明の他の態様によれば、チムニーは、側方突出部と協働するように構成される少なくとも部分的に環状の嵌合形状を備える。
【0022】
本発明の他の態様によれば、プラスチックバレルの第1の端部は、チムニーのフレアー状の基部と協働するようにフレアー状に広げられる。
【0023】
本発明の他の態様によれば、プラスチックバレルの第1の端部は、凹部に入って回転防止突起を形成するように変形される。
【0024】
また、本発明は、電気モータと、出力シャフトを備える減速ギアと、電気モータ及び減速ギアを少なくとも部分的に収容する前述のハウジングと、前述のハウジングと共にアセンブリを形成するプラスチックバレルとを備えるギアモータに関する。
【0025】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面に関連して非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係るギアモータの概略斜視図である。
【
図3】本発明に係るギアモータ用のハウジングの一部の概略斜視断面図である。
【
図4】本発明に係るギアモータ用のハウジングとバレルとを備えるアセンブリの概略斜視断面図である。
【
図5】本発明に係る様々な組み立てステップの概略斜視断面図である。
【
図6】本発明に係る様々な組み立てステップの概略斜視断面図である。
【
図7】本発明に係る様々な組み立てステップの概略斜視断面図である。
【
図8】本発明に係るハウジング上にバレルを組み立てる様々なステップのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
全ての図において、同一の要素は同じ参照番号を有する。
【0028】
以下の実施形態は一例である。説明は1つ以上の実施形態に言及しているが、これは、各言及が同じ実施形態に関連すること又は特徴が1つの実施形態にのみ適用されることを必ずしも意味しない。異なる実施形態の個々の特徴を組み合わせたり置き換えたりして、他の実施形態を提供することができる。
【0029】
図1は、自動車両の後部窓のためのワイパー装置用のギアモータ1の斜視図を示す。
【0030】
ギアモータ1は、電気モータ3と、ハウジング5内に配置されて電気モータ3に接続される減速ギア機構(図示せず)とを備える。ハウジング5は、例えば金属ハウジング又はプラスチックハウジングであり、例えば車体要素に取り付けるための取り付けタブ7を備えることができる。サイレントブロック9が、車体要素から振動及び音響を分離するために取り付けタブ7に配置されてもよい。
【0031】
また、ギアモータ1は、ギアモータ1の出力シャフト12を案内するようになっているプラスチック材料から形成されるバレル11も備える。プラスチックバレル11は、例えば、特にガラス繊維又はポリアミドを強化するのに役立つ任意の他の種類の繊維が充填されてもされなくてもよく、すなわち、該繊維で強化されてもされなくてもよいポリアミドから形成される。プラスチック材料から形成されるハウジングの場合、ハウジング及びバレルの材料は異なっていてもよく、また、2つの材料の硬度が異なっていてもよい。
【0032】
図2はバレル11のみを示す。バレル11は、円筒形の一般的な形状を有し、ハウジング5のチムニー5aでハウジング5に挿入されるようになっている内側端部と呼ばれる第1の端部11aと、第2の端部11bとを備える。また、バレル11は、ハウジング5のチムニー5aに挿入されるようになっているバレルの部分を画定する側方突出部11cも備える。側方突出部11cは、フランジの一般的な形状を有する。フランジは、円筒の周りで環状に延在する第1の部分と、それに続いて第1の端部11aに向けてバレル11と平行に延在する第2の部分とを伴って湾曲されてもよく、第1の部分と第2の部分とが屈曲中間部によって接続されている。
【0033】
第1の端部11aは、バレル11をハウジング5に取り付けるためにハウジング5のチムニー5aに挿入された後に変形されるようになっている。したがって、
図2は、変形された後のバレル11を示す。ハウジング5のチムニー5aに挿入される前に、第1の端部11aは円筒形状を有する(
図5参照)。
【0034】
図3に示されるように、チムニー5aは、上縁部又は端部51と基部52との間で延在する。上縁部51は、第1の直径D1を伴う円筒部53によって支持される。基部52は、第1の直径D1よりも大きい第2の直径D2を伴う近位部54と、バレルの端部11aを受けるようになっているフレアー状の中間部55とを備える。上縁部51は、例えば、環状の嵌合形状を形成して側方突出部11cの第2の部分を受けるようになっている周方向材料凹部57を備える。また、フレアー状の中間部55は、チムニー5aの内周の一部に設けられて回転防止突起110を受けるようになっている1つ以上、例えば3つの凹部56を備えてもよい。凹部56は、チムニー5aの外周の周りで規則的な間隔を隔てて分布されてもよい。実際に、本明細書本文で以下により良く説明されるように、バレル11は、1つ以上の凹部56の存在がバレル11の第1の端部11aをその周囲にわたって不規則に変形させるように、チムニー5aに挿入された後に変形されるようになっており、その結果、1つ以上の凹部56に1つ以上の回転防止突起110が形成され、したがって、チムニー5aに対するバレル11の回転動作が防止される。チムニー5aがフレアー状であるという事実は、対向当接部を形成することによってバレル11が並進移動するのを防止するのに役立ち、当接部は、側方突出部11cがチムニー5aの上縁部51と接触することによって形成される。
【0035】
図4は、ハウジング5とバレル11との間でアセンブリを形成するべくバレル11の第1の端部11aが変形した後のハウジング5のチムニー5a内の組み立て状態のバレル11を示す。側方突出部11cは、チムニー5aの上縁部51に当接し、ハウジング5のチムニー5aの上縁部51に設けられた周方向材料凹部57の周囲で形状嵌合態様で係合する。したがって、周方向材料凹部57は、バレルの側方突出部11cのための嵌合形状として作用する。したがって、チムニー5aの上縁部51を覆うことによって、側方突出部11cは、水滴がバレル11とハウジング5との間の接続部に入るのを防止する水分デフレクタを形成し、ハウジング5の内部、特に減速ギア機構を保護するのに役立つ。
【0036】
バレル11の第1の端部11aは、チムニーのフレアー状の中間部と接触しており、したがってフレアー状でもある。更に、凹部56に面する第1の端部11aの部分は、少なくとも部分的に前記凹部56に挿入されて回転防止突起110を形成するように変形される。
【0037】
更に、バレル11の第2の端部11bは、ギアモータ1の出力シャフト12をより良好に案内するべくより狭い内側部分を備えることができる。更に、バレル11は、その第2の端部11bの内側部分に、バレル11とギアモータ1の出力シャフトとの間の緊密なシールを確保するべく、シール13、例えばOリングシール又はオーバーモールドシールを受けるようになっている溝11dを備えることができる。
【0038】
したがって、組み立て状態において、チムニー5aは、バレル11を部分的に取り囲み、すなわち、バレル11の第1の端部11aから側方突出部11cまで取り囲む。
【0039】
ここで、プラスチックバレル11をハウジング5に組み付けて取り付けることができるようにする方法の様々なステップを、
図5~
図7及び
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
第1のステップ101は、
図5で示すように、プラスチックバレル11の第1の端部11aをハウジング5のチムニー5aに挿入することに関連する。挿入は、
図6に示されるように、側方突出部11cがチムニーの端部と接触するまで続く。側方突出部11cは、側方突出部がチムニー5aの上縁部51と接触しているときに、プラスチックバレル11の第1の端部11aがチムニー5aのフレアー状の中間部55と対向して位置されるように位置決めされる。
【0041】
第2のステップ102は、プラスチックバレル11の第1の端部11aの塑性変形に関連する。この変形は、例えば、軸方向の対向当接部を形成してチムニー5aに対するプラスチックバレル11の並進運動を防止するべくチムニー5aのフレアー状の中間部55に対して第1の端部をフレアー状に広げることに対応し、当接部は、チムニー5aの上縁部51に当接する側方突出部11cによって形成される。
【0042】
第1の選択肢102aによれば、塑性変形は、プラスチックバレル11の第1の端部11aを加熱するステップによって行われる。プラスチックバレル11 がポリアミドから形成される(充填されてもされなくてもよい)の場合、加熱温度は例えば150~180°Cである。変形は、ハウジング5の内側からプラスチックバレル11の第1の端部11aに挿入される円錐形又は実質的に円錐形の要素によって形成されてもよい。プラスチックバレル11がハウジング5内の所定の位置に保持されている(側方突出部11cが上縁部51と接触している)間に、プラスチックバレル11の第2の端部11bに向かって円錐形の要素に圧力が加えられ、それにより、プラスチックバレル11の第1の端部がフレアー状に広げられる。チムニー5aが凹部56を備える場合には、円錐形の要素が凹部56に対して相補的な形状を備えることができ、それにより、プラスチックバレル11は、凹部56に嵌合して回転防止突起110を形成するように変形される。
【0043】
第2の選択肢102bによれば、プラスチックバレル11の第1の端部11aの塑性変形は、例えばソノトロードプローブを介して超音波を印加するステップによって達成される。超音波を印加することは、プラスチックバレル11の第1の端部11aを局所的に加熱するのに役立ち、したがって塑性変形を可能にする。選択肢102aの円錐形の要素と同様の円錐形又は実質的に円錐形の要素を使用して、ハウジング5のチムニー5aのフレアー状の中間部55に対して第1の端部11aをフレアー状に広げることができる。プラスチックバレルの第1の端部11aがフレアー状に広げられた時点で、プラスチックバレルがハウジングに取り付けられてアセンブリを形成する。
【0044】
ステップ103は、
図7に示されるように、機械装置、例えばギアモータ1をハウジング5内に位置決めし、機械装置1の出力シャフト12をプラスチックバレル11内に位置決めすることにある。
【0045】
本発明は、自動車両の後部窓用のワイパー装置のギアモータ1に限定されず、出力シャフトと、ハウジングと、ハウジングに取り付けられた出力シャフトを案内するためのプラスチックバレルとを備える他のタイプの機械装置にも及ぶ。
【0046】
したがって、プラスチックバレル11を使用することにより、バレル11の重量及びコストを制限しながら、出力シャフト12を案内する機能を果たすことが可能になる。更に、バレル11とは異なる材料、例えば金属から形成され得るハウジング5へのプラスチックバレル11の取り付けは、単純且つ迅速であり、水分がハウジング5に入るリスクを制限し、したがってギアモータ1の機構を保護するのにも役立つ。