(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】バルク音響共振器のキャビティ構造及び製造工程
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20240726BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/02 B
(21)【出願番号】P 2022580338
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020098696
(87)【国際公開番号】W WO2022000153
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】202010595466.6
(32)【優先日】2020-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520296211
【氏名又は名称】見聞録(浙江)半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】JWL (ZHEJIANG) SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】BUILDING 3, NO.55, DACHUANWAN ROAD, LONGXI SUB-DISTRICT, HUZHOU, ZHEJIANG 313000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 林萍
(72)【発明者】
【氏名】盛 ▲荊▼浩
(72)【発明者】
【氏名】江 舟
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111010109(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110995196(CN,A)
【文献】特開2006-229611(JP,A)
【文献】特開2011-077810(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111342809(CN,A)
【文献】特開2006-019935(JP,A)
【文献】特開2010-109950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-3/10
H03H9/00-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板及び前記基板に形成されたキャビティを含むバルク音響共振器のキャビティ構造であって、
前記基板には、前記キャビティを取り囲むように形成する支持層が設けられ、前記基板の上方で、前記キャビティに連通する放出通路は前記キャビティと同一層に形成され、前記放出通路は前記基板に平行して、前記キャビティの周囲に延在し
、
前記放出通路は、前記キャビティから外部に延在する第1放出通路、及び複数の前記バルク音響共振器のキャビティの間に延在して複数の前記第1放出通路に直接連通する第2放出通路を含み、
前記放出通路に連通する凹溝をフィルタの外部周囲の前記基板に形成し、前記フィルタは、前記複数の前記バルク音響共振器が接続されて形成され、前記第2放出通路は前記凹溝に直接連通する、
ことを特徴とするバルク音響共振器のキャビティ構造。
【請求項2】
前記第1放出通路及び/又は前記第2放出通路の、前記基板での投影形状は、台形、弧状又は直方形を含むことを特徴とする請求項
1に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造。
【請求項3】
前記凹溝は、天井部が薄膜に被覆されていないトレンチであることを特徴とする請求項
1に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造。
【請求項4】
バルク音響共振器であって、前記バルク音響共振器は、前記キャビティの上方を被覆するように、順に積層されて形成された底部電極層、圧電層及び天井部電極を含み、前記底部電極層は前記支持層に架け渡され、前記バルク音響共振器は、請求項1~
3の何れか一項に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造をさらに含むことを特徴とするバルク音響共振器。
【請求項5】
前記放出通路は、前記基板と前記圧電層との間に延在する通路であることを特徴とする請求項
4に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記バルク音響共振器の前記底部電極層及び前記天井部電極から離れた領域には放出孔が設けられ、前記放出孔は、少なくとも1つの前記放出通路に連通することを特徴とする請求項
4に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
バルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程であって、
S1:パターン化された支持層を基板に製造して、前記支持層により取り囲まれたキャビティを形成し、前記基板の上方で、前記キャビティに連通する放出通路を前記キャビティと同一層に形成するステップであって、前記放出通路は前記基板に平行して、前記キャビティの周囲に延在しているステップと、
S2:前記キャビティ及び前記放出通路を犠牲材料によって充填するステップと、
S3:底部電極層を前記支持層及び前記犠牲材料に製造するステップであって、前記底部電極層は前記支持層に架け渡され、前記キャビティを被覆するステップと、
S4:前記底部電極層に圧電層及び天井部電極を製造するステップと、
S5:全ての前記犠牲材料を除去するステップと、を含
み、
前記放出通路は、前記キャビティから外部に延在する第1放出通路、及び複数の前記バルク音響共振器のキャビティの間に延在して前記第1放出通路に連通する第2放出通路を含み、
前記ステップS1は、前記複数の前記バルク音響共振器が接続されて形成されたフィルタの外部周囲の前記基板をパターン化して、前記放出通路に連通する凹溝を形成するステップをさらに含み、前記第2放出通路は前記凹溝に直接連通する、
ことを特徴とするバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【請求項8】
前記第1放出通路及び/又は前記第2放出通路の、前記基板での投影形状は、台形、弧状又は直方形を含むことを特徴とする請求項
7に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【請求項9】
前記ステップS2は、犠牲材料によって前記凹溝を充填するステップをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【請求項10】
前記ステップS1は、具体的に、PVD工程によって前記支持層を前記基板に堆積し、リソグラフィ及びエッチング工程によって前記支持層をパターン化するステップをさらに含むことを特徴とする請求項
7~9の何れか一項に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【請求項11】
前記ステップS1は、具体的に、エッチング工程によって、パターン化された前記支持層を前記基板に形成するステップを含むことを特徴とする請求項
7~9の何れか一項に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【請求項12】
前記S2において、研磨ステップによって前記犠牲材料の表面と前記支持層の表面とを整合させることを特徴とする請求項
7~9の何れか1項に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【請求項13】
前記S5は、放出孔を前記バルク音響共振器の前記底部電極層及び前記天井部電極から離れた領域位置での前記支持層及び前記圧電層に製造するステップであって、前記放出孔は下向きに、前記基板まで延在して、少なくとも1つの前記放出通路に連通するステップをさらに含むことを特徴とする請求項
7に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【請求項14】
前記凹溝は、天井部が薄膜に被覆されていないトレンチであり、前記放出通路は前記基板と前記圧電層との間に延在する通路であることを特徴とする請求項
7に記載のバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信機器の分野に関して、主にバルク音響共振器のキャビティ構造及び製造工程に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁スペクトルがますます混雑し、無線通信機器の周波数帯及び機能が多くなり、無線通信で使用される電磁スペクトルが500MHzから5GHz以上へ急速に拡大しており、性能が高く、コストが低く、電力消費が低く、体積が小さい無線周波数フロントエンドモジュールに対するニーズもますます増えている。フィルタは無線周波数フロントエンドモジュールのうちの1つであり、信号の送信及び受信を改善でき、主に、複数の共振器がトポロジネットワーク構造によって接続されて形成される。Fbar(Thin film bulk acoustic resonator:薄膜バルク音響共振器)は1種のバルク音響共振器である。これによって構成されたフィルタは、体積が小さく、集積能力が強く、高周波で動作する時、高品質係数Qを保証し、耐電力能力が強いなどの利点を有するため、無線周波数フロントエンドの主な機器として機能する。
【0003】
Fbarは、上部電極、下部電極、及び電極の間に挟まれた圧電層からなる基本的な構造である。圧電層は、電気エネルギーと力学的エネルギーとの変換を実現できる。上部電極、下部電極に電界が印可されると、圧電層は電気エネルギーを力学的エネルギーに変換し、力学的エネルギーはマクロ的に音響の形態で存在し、上部電極と下部電極との間で音響が往復して反射して、発振を形成し、発振した音響は、無線周波数信号を励起する。この時、力学的エネルギーから電気エネルギーに変換される。従って、圧電層はバルク音響の主な生成場所であり、その性質は共振器の性能に影響する。
図1に示すように、圧電層材料の応力変化は、圧電層の電気機械結合係数の変化につながり、共振器からなるフィルタの帯域幅を変化させ、機器性能に差が生じるため、応力の制御は非常に重要である。キャビティの放出過程で、圧電層の応力は影響を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術において、放出孔が圧電層の応力の一致性(一貫性)を破壊して、共振器性能を弱めるため、ある共振器のキャビティは、基板に溝を開けて、犠牲層を放出させて製造され、基板に対して「凹」字状構造を呈し、この場合、犠牲層の放出は、放出孔を電極層及び圧電層に製造する必要があるので、圧電層の応力変化に影響する。また、放出孔をキャビティの内側の周辺に製造することで、キャビティ放出の目的を達成してもよいが、放出孔はキャビティ上部の周辺の圧電層構造を破壊し、当該共振器構造のキャビティの支持層材料はSiNであるため、選択率が高いSiを犠牲層として選択する必要がある。キャビティをさらに放出させる時、ウェットプロセスのアルカリ性Si放出液は圧電層を損傷し易い。
【0005】
これに鑑みると、放出孔の製造によって圧電層の応力の一致性を破壊するなどの問題を解決するために、新規のキャビティ構造を設計することは、とても重要である。
【0006】
上記に言及された、従来のバルク音響共振器構造において、放出孔の製造によって圧電層の応力の一致性を破壊して、共振器の性能が低下するなどの問題に対して、本出願はバルク音響共振器のキャビティ構造及び製造工程を提案することで、上記の問題を解决する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様によれば、本出願の実施例はバルク音響共振器のキャビティ構造を提案し、基板及び基板に形成されたキャビティを含み、基板には、キャビティを取り囲むように形成するための支持層が設けられ、基板の上方で、キャビティに連通する放出通路はキャビティと同一層に形成され、放出通路は基板に平行して、キャビティの周囲に延在している。
【0008】
いくつかの実施例において、放出通路はキャビティから外部に延在する第1放出通路、及び複数の共振器のキャビティの間に延在して第1放出通路に連通する第2放出通路を含む。複数の共振器のキャビティの周囲で、第1放出通路と第2放出通路とは縦横に交差することで、放出液は第1放出通路、第2放出通路からキャビティに流通して、犠牲材料を迅速に犠牲にするとともに、圧電層の応力の一致性に影響していないことを保証できる。交差した放出通路は共振器の配置位置に応じて設計され、この場合、放出孔を製造する必要がないため、共振器の製造工程を簡略化する。
【0009】
いくつかの実施例において、第1放出通路及び/又は第2放出通路の、基板での投影形状は、台形、弧状又は直方形を含む。電極層周囲の第1放出通路及び/又は第2放出通路の形状を変更することで、第1放出通路及び/又は第2放出通路の上方を被覆する圧電層の応力状況を調節して、共振器の性能を効果的に改善する。
【0010】
いくつかの実施例において、放出通路に連通する凹溝を、複数の共振器から接続されて形成されたフィルタの外部周囲の基板に形成する。凹溝は全ての放出通路に連通でき、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層構造を破壊して、共振器性能が低下することを回避する。
【0011】
いくつかの実施例において、凹溝は、天井部が薄膜に被覆されていないトレンチである。放出液は直接的に凹溝から注入されて、放出通路内部から流通してキャビティに入る。
【0012】
第2態様によれば、本出願の実施例はバルク音響共振器をさらに提案し、共振器は、キャビティの上方を被覆するように、順に積層されて形成された底部電極層、圧電層及び天井部電極を含み、底部電極層は支持層に架け渡され、第1態様に言及されたキャビティ構造をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例において、放出通路は基板と圧電層との間に延在する通路である。放出通路は基板と圧電層との間に延在し、キャビティも基板に形成されるため、放出液の流動性によって、各放出通路及びキャビティ内に流通できる。
【0014】
いくつかの実施例において、共振器の底部電極層及び天井部電極から離れた領域には放出孔が設けられ、放出孔は少なくとも1つの放出通路に連通する。放出孔はキャビティの放出効率を高めて、キャビティをより迅速且つ十分に放出させ、共振器から離れた底部電極層及び天井部電極では、電極層周囲の圧電層の応力に影響を受けない。
【0015】
第3態様によれば、本出願の実施例はバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程をさらに提案し、
S1:パターン化された支持層を基板に製造して、支持層により取り囲まれたキャビティを形成し、基板の上方で、キャビティに連通する放出通路をキャビティと同一層に形成するステップであって、放出通路は基板に平行して、キャビティの周囲に延在しているステップと、
S2:キャビティ及び放出通路を犠牲材料によって充填するステップと、
S3:底部電極層を支持層及び犠牲材料に製造するステップであって、底部電極層は支持層に架け渡され、キャビティを被覆するステップと、
S4:圧電層及び天井部電極を底部電極層に製造するステップと、
S5:全ての犠牲材料を除去するステップと、を含む。
【0016】
いくつかの実施例において、放出通路はキャビティから外部に延在する第1放出通路、及び複数の共振器のキャビティの間に延在して第1放出通路に連通する第2放出通路を含む。
【0017】
いくつかの実施例において、第1放出通路及び/又は第2放出通路の、基板での投影形状は、台形、弧状又は直方形を含む。電極層周囲の第1放出通路及び/又は第2放出通路の形状を変更することで、第1放出通路及び/又は第2放出通路の上方を被覆する圧電層の応力状況を調節して、共振器の性能を効果的に改善する。
【0018】
いくつかの実施例において、ステップS1は、複数の共振器から接続されて形成されたフィルタの外部周囲の支持層をパターン化して、放出通路に連通する凹溝を形成するステップをさらに含む。凹溝は全ての放出通路に連通でき、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層構造を破壊して、共振器性能が低下することを回避する。
【0019】
いくつかの実施例において、ステップS2は犠牲材料によって凹溝を充填するステップをさらに含む。凹溝は、放出通路及びキャビティと同一のステップで形成され、同時に犠牲材料が充填されるため、製造工程を簡略化して、犠牲材料を1回充填すれば、凹溝、放出通路及びキャビティを満たすことを実現できる。
【0020】
いくつかの実施例において、ステップS1は具体的に、PVD工程によって支持層を基板に堆積して、リソグラフィ及びエッチング工程によって支持層をパターン化するステップを含む。支持層の材料について、Siを選択してもよく、当該工程によって、支持層を基板の上方に堆積することで、凹溝、放出通路及びキャビティをパターン化するように形成する。
【0021】
いくつかの実施例において、ステップS1は具体的に、エッチング工程によって、パターン化された支持層を基板に形成するステップを含む。当該工程によって、直接的に基板にエッチングを行って、凹溝、放出通路及びキャビティをパターン化するように形成し、堆積工程を必要とせず、工程をより簡略化する。
【0022】
いくつかの実施例において、S2において、研磨ステップによって犠牲材料の表面と支持層の表面とを整合(面一に)させる。研磨ステップは化学機械研磨を含み、研磨後、犠牲材料及び支持層の表面を平坦化し、後続の膜層の応力変化を効果的に低減させ、機械の安定性を高める。
【0023】
いくつかの実施例において、S5は、放出孔を共振器の底部電極層及び天井部電極から離れた領域位置での支持層及び圧電層に製造するステップであって、放出孔は下向きに、基板まで延在して、少なくとも1つの放出通路に連通するステップをさらに含む。放出孔は、キャビティの放出効率を高めて、キャビティをより迅速に十分に放出させ、そして、共振器の底部電極層及び天井部電極から離れるため、電極層周囲の圧電層の応力に影響を与えない。
【0024】
いくつかの実施例において、凹溝は、天井部が何の薄膜も被覆されていないトレンチであり、放出通路は基板と圧電層との間に延在する通路である。放出液は直接的に、凹溝から放出通路内部に注入され、流通してキャビティに入る。
【発明の効果】
【0025】
発明はバルク音響共振器のキャビティ構造及び製造工程を開示し、キャビティに連通する放出通路を支持層に製造して、放出通路に接続される凹溝を複数の共振器を接続して形成されたフィルタの外部周囲に配置し、交差した放出通路は共振器の配置位置に応じて設計される。また、放出孔を配置する必要がないため、共振器の製造工程を簡略化して、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層構造を破壊することによって、共振器性能が低下することを回避する。電極層周囲の放出通路の形状を設計して、電極層周囲の圧電層の応力を調節し、共振器性能改善の効果を達成できる。従って、圧電層構造を破壊しないことを前提として、キャビティの放出を完成できる上に、キャビティ構造設計によって圧電層の応力を調節できる。共振器の間の電気接続された電極は、支持層、圧電層及び放出通路に設けられる。当該放出通路の配置によって、電極層の応力をある程度で放出させ、電気信号を正常に伝送する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面を結合して実施例に対するさらなる理解を提供し、図面は本明細書に結合され、本明細書の一部を構成する。図面は実施例を示し、明細書とともに、本発明の原理を解釈する。他の実施例及び実施例の多くの予期の利点は容易に想到し得て、以下の詳しい記載を援用することで、これらはより分かりやすくなる。図面の要素は必ずしも互いに比率に従うわけではない。同じ図面符号は、対応する類似部材を示す。
【
図1】従来技術において、圧電薄膜の異なる領域の異なる応力による、性能差異を示す図である。
【
図2】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造及びバルク音響共振器の平面図である。
【
図3a】本発明の実施例による
図2のA1-A2方向のバルク音響共振器の並列接続又は直列接続の断面図である。
【
図3b】本発明の実施例による
図2のA1-A2方向のバルク音響共振器の並列接続又は直列接続の断面図である。
【
図4a】本発明の実施例による
図2のB1-B2方向のバルク音響共振器の並列接続又は直列接続の断面図である。
【
図4b】本発明の実施例による
図2のB1-B2方向のバルク音響共振器の並列接続又は直列接続の断面図である。
【
図5】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程のフロー図である。
【
図6a】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【
図6b】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【
図6c】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【
図6d】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【
図6e】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【
図6f】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【
図6g】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【
図6h】本発明の実施例によるバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面及び実施例を結合して本出願をさらに詳しく説明する。ここで、記載の具体的な実施例は当該発明を限定するものではなく、関連する発明を説明するためのものである。また、記載を容易にするために、図面は関連発明に関する部分のみを示す。ここで、図面における部材のサイズ及び大きさは比率に従うわけではなく、明瞭に示すために、ある部材の大きさを強調して示す場合がある。
【0028】
ここで、矛盾しない場合、本出願中の実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせてもよい。以下、図面および実施例を参照し、本出願を詳しく説明する。
【0029】
本出願の実施例は、バルク音響共振器のキャビティ構造を提案し、
図2はバルク音響共振器の平面図であり、当該キャビティ構造は基板、及び基板に形成されたキャビティ201を含み、基板には、キャビティ201を取り囲むように形成するための支持層が設けられ、基板の上方で、キャビティ201に連通する放出通路401がキャビティ201と同一層に形成され、放出通路401は基板に平行して、キャビティ201の周囲に延在している。対応するように、本出願の実施例はバルク音響共振器をさらに提案し、
図3aに示すように、当該共振器は、キャビティ201の上方を被覆するように、順に積層されて形成された底部電極層601、圧電層701及び天井部電極801を含み、底部電極層601は支持層301に架け渡され、上記キャビティ構造をさらに含む。好適の実施例において、基板101の材料はSi、SiC、サファイア、スピネルなどを含み、支持層301の材料はSiを含む。キャビティ201の周囲で、縦横に交差して、キャビティ201に連通する放出通路401は、共振器の電極層周囲の圧電層701の応力に影響せず、キャビティ201における犠牲材料を放出させる。これによって、共振器の性能を改善し、通常工程において放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層701構造を破壊して、共振器性能が低下することを回避する。犠牲材料用の放出液は放出通路401からキャビティ201に流入して、キャビティ201を放出(解放)させる。
【0030】
具体的な実施例において、放出通路401はキャビティ201から外部に延在する第1放出通路402、及び複数の共振器のキャビティ201の間に延在して、第1放出通路402に連通する第2放出通路403を含む。複数の共振器のキャビティ201の周囲で、第1放出通路402と第2放出通路403とは縦横に交差することで、放出液は第1放出通路402および第2放出通路403からキャビティ201に流通して、犠牲材料を迅速に犠牲するとともに、圧電層701の応力の一致性に影響しないことを保証できる。好適の実施例において、交差した放出通路401は共振器の配置位置に応じて設計され、この場合、放出孔を製造する必要がないため、共振器の製造工程を簡略化できる。
【0031】
具体的な実施例において、第1放出通路402及び/又は第2放出通路403の、基板101での投影形状は、台形、弧状又は直方形を含む。平面視で、当該投影形状は台形、弧状又は直方形を含むが、これらに限定されない。電極層周囲の第1放出通路402及び/又は第2放出通路403の形状を変更することで、第1放出通路402及び/又は第2放出通路403の上方を被覆する圧電層701の応力状況を調節して、共振器の性能を効果的に改善する。電極層周囲の圧電層701の応力はキャビティ201上部の共振領域に影響を与えるため、電極層周囲の圧電層701の応力を調節することで、共振器性能改善の効果を達成できる。
【0032】
具体的な実施例において、フィルタは複数の共振器から接続されて形成され、フィルタの外部周囲の基板101には、放出通路401に連通する凹溝501が形成される。全ての放出通路401の一端のエンドは凹溝501に連通し、他端のエンドはキャビティ201に連通し、これによって、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層701構造を破壊して、共振器性能が低下することを回避する。好適の実施例において、凹溝501は、天井部が薄膜に被覆されていないトレンチである。放出液は直接的に凹溝501から注入されて、放出通路401内部から流通してキャビティ201に入るため、本発明において、電極層周囲に放出孔を配置することなく、内部の交差した放出通路401によって凹溝501に連通し、キャビティ201を放出させることができる。他の実施例において、凹溝501を除いた他の形態を選択して、放出液を放出通路401に注入し、キャビティ201の放出を完成してもよい。
【0033】
具体的な実施例において、放出通路401は基板101と圧電層701との間に延在する通路である。従来技術において、電極層及び圧電層を縦方向で貫通して基板まで延在する放出孔と違って、放出通路401は基板101と圧電層701との間に横方向で延在するため、放出液を放出通路401に流通させる。また、キャビティ201も基板101に形成され、この場合、放出通路401の底面がキャビティ201の底面と整合するため、放出液の流動性によって、より迅速且つ容易に各放出通路401及びキャビティ201内に流通する。
【0034】
具体的な実施例において、
図2に示すように、共振器の底部電極層及び天井部電極から離れた領域には放出孔901が設けられ、放出孔901は少なくとも1つの放出通路401に連通する。多くの縦横交差した放出通路401を有する場合、放出孔901を増やし、放出孔901に放出液を注入することで、キャビティ201の放出効率を向上させ、キャビティ201をより迅速且つ十分に放出させる。この場合、放出孔901は共振器の底部電極層及び天井部電極から離れた領域に位置するため、電極層周囲の圧電層の応力に影響して、共振器の性能を低下させることがない。好適の実施例において、放出孔901と共振器の底部電極層及び天井部電極との距離は5μm以上である。当該距離で製造された放出孔901は、電極層周囲の圧電層の応力状況に影響を与えない。
【0035】
具体的な実施例において、
図2に示すように、共振器の周囲の支持層及び圧電層には第1電極接続部1001が設けられている。第1電極接続部1001によって共振器と外部と電気的に接続できる。この場合、第1電極接続部1001の天井部は共振器の天井部と整合する。また、共振器の周囲の基板には第2電極接続部1002が設けられ、第2電極接続部1002は圧電層701から基板に段階状に延在して形成される。段階状の第2電極接続部1002によって、外部との電気接続がより便利になって、外部接続の際に、段階状の位置で位置決めを正確に行って、位置決めの精度を高めることができる。第2電極接続部1002の下方の基板は凹溝501の底部の基板に連通し、凹溝501と同時に形成されるように、第2電極接続部1002の下方の支持層及び圧電層を同時にエッチングすることができる。第1接続部1001及び第2接続部1002において、何れも後続の機器のパッケージングのためのボール実装工程を行うことができる。共振器の間の電気接続された電極は、支持層、圧電層及び放出通路に設けられる。当該放出通路401を配置することで、電極層の応力をある程度放出させ、電気信号を正常に伝送する。
【0036】
共振器を相互接続構造に製造する場合、2つの共振器が接続された中間部分は放出通路を具備しない場合、
図2のA1-A2箇所の断面図は
図3a及び
図3bであり、
図3aは共振器の並列接続の状況であり、
図3bは共振器の直列接続の状況であり、
図3a及び
図3bに示すように、凹溝501及びキャビティ201は同一層に形成される。2つの共振器が接続された中間部分に放出通路が存在する場合、
図2のB1-B2箇所の断面図は
図4a及び
図4bであり、
図4aは共振器の並列接続の状況であり、
図4bは共振器の直列接続の状況であり、
図4a及び
図4bに示すように、凹溝501、キャビティ201及び第2放出通路403も同一層に形成される。
【0037】
上記実施例が提案したバルク音響共振器のキャビティ構造に対応して、本出願の実施例は、
図5に示すように、以下のステップを含む、バルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程をさらに提案する。
【0038】
S1:パターン化された支持層を基板に製造して、支持層により取り囲まれたキャビティを形成し、基板の上方で、キャビティに連通する放出通路をキャビティと同一層に形成し、放出通路は基板に平行して、キャビティの周囲に延在している。
S2:キャビティ及び放出通路を犠牲材料によって充填する;
S3:底部電極層を支持層及び犠牲材料に製造し、底部電極層は支持層に架け渡され、キャビティを被覆する;
S4:圧電層及び天井部電極を底部電極層に製造する;
S5:全ての犠牲材料を除去する。
【0039】
具体的な実施例において、
図6a~6h及び
図3aはバルク音響共振器のキャビティ構造の製造工程の概略図である。ステップS1は、複数の共振器を接続して形成されたフィルタの外部周囲の支持層301をパターン化して、放出通路401に連通する凹溝501を形成することをさらに含む。凹溝501は全ての放出通路401に連通でき、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層701構造を破壊して、共振器性能が低下することを回避する。他の実施例において、凹溝501を除いた他の形態を選択して、放出液を放出通路401に注入して、キャビティ201の放出を完成してもよい。
【0040】
1つの実施例において、
図6a及び6bに示すように、ステップS1は具体的に、PVD工程によって支持層301を基板101に堆積して、リソグラフィ及びエッチング工程によって支持層301をパターン化するステップを含む。支持層301の材料について、Siを選択してもよく、基板101の材料はSi/SiC/サファイア/スピネルなどを含み、PVDによる支持層301の成長の厚さは1.5~3μmである。当該工程によって、支持層301を基板101の上方に堆積して、凹溝501、放出通路401及びキャビティ201をパターン化するように形成する。本発明の実施例において、Siを支持層301、PSGを犠牲材料として選択し、HF又はBOEを犠牲材料のエッチング剤(放出液)として選択し、材料の選択は電極層及び圧電層701に影響を与えず、工程が簡単であり、材料が普遍化し、且つ相対的に安いため、工程面で、より高いコストパフォーマンス及びプロセス互換性を有する。他の実施例において、
図6cに示すように、ステップS1は具体的に、エッチング工程によって、パターン化された支持層301を基板101に形成するステップを含む。当該工程によって、直接的に基板101にエッチングを行って、凹溝501、放出通路401及びキャビティ201をパターン化するように形成し、堆積工程を必要とせず、工程をより簡略化する。本発明の実施例において、基板101の材料についてSiを選択してもよいため、Siをエッチングすることで、材料が同じようにSiである支持層301を形成でき、この場合、PSGを犠牲材料として選択し、HF又はBOEを犠牲材料のエッチング剤(放出液)として選択し、材料選択は電極層及び圧電層701に影響を与えず、工程が簡単であり、材料が普遍化し、且つ相対的に安いため、工程面で、より高いコストパフォーマンス及びプロセス互換性を有する。
【0041】
ステップS2において、
図6dに示すように、犠牲材料202を凹溝501、放出通路401及びキャビティ201において成長させてから、CMP(化学機械研磨)平坦化を行う。犠牲材料202はPSG(Pが添加されたSiO
2)であり、キャビティ201の周囲で縦横に交差してキャビティ201に連通する放出通路401は、共振器の電極層周囲の圧電層701の応力に影響せず、キャビティ201における犠牲材料202を放出させ、これによって、共振器の性能を改善し、通常工程において放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層701構造を破壊して、共振器性能が低下することを回避する。犠牲材料202用の放出液は、放出通路401からキャビティ201に流入して、キャビティ201を放出させる。
【0042】
具体的な実施例において、放出通路401はキャビティ201から外部に延在する第1放出通路402、及び複数の共振器のキャビティ201の間に延在して、第1放出通路402に連通する第2放出通路403を含む。複数の共振器のキャビティ201の周囲で、第1放出通路402と第2放出通路403とは縦横に交差することで、放出液は第1放出通路402、第2放出通路403からキャビティ201に流通して、犠牲材料を迅速に犠牲するとともに、圧電層701の応力の一致性に影響しないことを保証できる。好適の実施例において、交差した放出通路401は共振器の配置位置に応じて設計され、この場合、放出孔を製造する必要がないため、共振器の製造工程を簡略化する。
【0043】
具体的な実施例において、第1放出通路402及び/又は第2放出通路403の、基板101での投影形状は、台形、弧状又は直方形を含む。平面視で、当該投影形状は台形、弧状又は直方形を含むが、これらに限定されない。電極層周囲の第1放出通路402及び/又は第2放出通路403の形状を変更することで、第1放出通路402及び/又は第2放出通路403の上方を被覆する圧電層701の応力状況を調節して、共振器の性能を効果的に改善する。電極層周囲の圧電層701の応力はキャビティ201上部の共振領域に影響するため、電極層周囲の圧電層701の応力を調節することで、共振器性能改善の効果を達成できる。
【0044】
具体的な実施例において、フィルタは複数の共振器から接続されて形成され、フィルタの外部周囲の支持層301には、放出通路401に連通する凹溝501が形成される。全ての放出通路401の一端のエンドは凹溝501に連通し、他端のエンドはキャビティ201に連通し、これによって、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層701構造を破壊して、共振器性能が低下することを回避する。好適の実施例において、凹溝501は、天井部が薄膜に被覆されていないトレンチである。放出液は直接的に凹溝501から注入されて、放出通路401内部から流通してキャビティ201に入るため、本発明において、電極層周囲に放出孔を配置することなく、内部の交差した放出通路401によって凹溝501に連通し、キャビティ201を放出させることができる。
【0045】
具体的な実施例において、放出通路401は、基板101と圧電層701との間に延在する通路である。従来技術において、電極層及び圧電層を縦方向で貫通して基板まで延在する放出孔と違って、放出通路401は基板101と圧電層701との間に横方向で延在するため、放出液を放出通路401に流通させる。また、キャビティ201も基板101に形成され、この場合、放出通路401の底面がキャビティ201の底面と整合するため、放出液の流動性によって、より迅速且つ容易に各放出通路401及びキャビティ201内に流通する。
【0046】
具体的な実施例において、
図6eに示すように、PVD、リソグラフィ及びエッチング工程を順に使用して底部電極層601を製造する。底部電極層601の材料はMoを含む。
図6fに示すように、PVD、リソグラフィ及びエッチング工程を順に使用して圧電層701を製造する。圧電層701の材料はAlNを含み、
図6gに示すように、圧電層のエッチング領域は、凹溝501の上方が所在する領域である。
図6hに示すように、PVD、リソグラフィ及びエッチング工程を順に使用して天井部電極801を製造する。天井部電極801の材料はMoを含む。
【0047】
具体的な実施例において、S5は、放出孔901を共振器の底部電極層601及び天井部電極801から離れた領域位置での支持層301及び圧電層701に製造し、放出孔901は下向きに、基板101まで延在して、少なくとも1つの放出通路401に連通することをさらに含む。多くの縦横交差した放出通路401を有する場合、放出孔901を増やし、放出孔901に放出液を注入することで、キャビティ201の放出効率を向上させ、キャビティ201をより迅速且つ十分に放出させる。この場合、放出孔901は共振器の底部電極層601及び天井部電極801から離れた領域に位置するため、電極層周囲の圧電層701の応力に影響して共振器の性能が低下することがない。好適の実施例において、放出孔901と共振器の底部電極層601及び天井部電極801との距離が5μm以上である。当該距離で製造された放出孔901は、電極層周囲の圧電層701の応力状況に影響を与えない。
【0048】
最後に、
図3aに示すように、凹溝501又は放出孔901に放出液を入れて、放出液が放出通路401に流入し、最後、キャビティ201に流入して、キャビティ201の放出を完成する。
【0049】
本発明は、バルク音響共振器のキャビティ構造及び製造工程を開示し、キャビティに連通する放出通路を支持層に製造して、放出通路に接続される凹溝を複数の共振器を接続して形成されたフィルタの外部周囲に配置し、交差した放出通路は共振器の配置位置に応じて設計される。また、放出孔を配置する必要がないため、共振器の製造工程を簡略化して、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層構造を破壊することによって共振器性能が低下することを回避する。電極層周囲の放出通路の形状を設計して、電極層周囲の圧電層の応力を調節し、共振器性能改善の効果を達成できる。従って、圧電層構造を破壊しないことを前提として、キャビティの放出を完成できる上に、キャビティ構造設計によって圧電層の応力を調節できる。
【0050】
以上、本出願の具体的な実施形態を記載したが、本出願の保護範囲はこれに限定されず、当業者であれば、本出願が開示した技術範囲内、容易に想到し得る変更及び置換は、何れも本出願の保護範囲内に該当する。従って、本出願の保護範囲は請求項の保護範囲を準とする。
【0051】
本出願の記載において、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語が指示する方位又は位置関係は何れも図面による方位又は位置関係であり、その装置又は要素が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないと指示又は暗示するのではなく、ただ本出願を容易に記載して、記載を簡略化するためのものであるため、本出願を限定するものではない。用語である「含む」は、請求項に挙げられない要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の前の用語である「1」又は「1つ」は、複数のこのような素子の存在を排除するものではない。互いに異なる従属請求項にいくつかの方法を記載するという簡単な事実は、これらの方法の組み合わせが改良に適用できないことを示すものではない。請求項における何れかの参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の実施例において、キャビティに連通する放出通路を支持層に製造して、放出通路に接続される凹溝を複数の共振器が接続され形成されたフィルタの外部周囲に配置し、交差した放出通路は共振器の配置位置に応じて設計される。また、放出孔を配置する必要がないため、共振器の製造工程を簡略化して、放出孔を製造する(AlN膜層に孔を開ける)時、電極層周囲の圧電層構造を破壊することによって共振器性能が低下することを回避する。製造工程が簡単であり、製造コストが低くて、大規模な工業製造には便利である。