(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】真空掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/16 20060101AFI20240726BHJP
【FI】
A47L9/16
(21)【出願番号】P 2022580510
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2021066233
(87)【国際公開番号】W WO2022002591
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2024-01-16
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523393508
【氏名又は名称】ヴェルスニ ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フォンク アルヤン サンダー
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル コーイ ヨハネス ツェアルド
(72)【発明者】
【氏名】ルベルス マティス ヘンドリクス
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0079590(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2001/0042283(US,A1)
【文献】特開2004-188175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴミ吸入口と、
前記ゴミ吸入口に吸引力を与えるモータ及びファンと、
前記モータ及びファンの前記吸引力によって発生した流れから粒子を分離するサイクロンユニットであって、サイクロン回転軸に沿って延在する渦ファインダ及び前記渦ファインダの外側に形成された環状チャンバを含み、前記環状チャンバは天井壁を有している、サイクロンユニットと、
前記環状チャンバに流れることができるように空気を前記サイクロンユニットに送達する送達ダクトと、
を含み、
前記送達ダクトは前方方向の気流方向に延在し、
前記渦ファインダの前方端は閉じられていて、前記渦ファインダからの排出口は前記渦ファインダの後方端にあり、これにより、前記渦ファインダからの排出口は、前記前方方向の気流方向とは反対の方向にコンポーネントを有する、真空掃除機において、
前記渦ファインダの
前記前方端と前記天井壁との間に空間が提供され、
前記真空掃除機は、
前記渦ファインダの前方側に位置するフィルタと、
前記渦ファインダの後方端から前記フィルタまでの通路と、
を更に含むことを特徴とする、真空掃除機。
【請求項2】
前記送達ダクトは、前記サイクロン回転軸と実質的に平行である、請求項1に記載の真空掃除機。
【請求項3】
前記ゴミ吸入口を有するヘッドを含み、前記送達ダクトは、前記ヘッドを前記サイクロンユニットに接続するチューブを含む、請求項1又は2に記載の真空掃除機。
【請求項4】
スティック型真空掃除機を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空掃除機。
【請求項5】
前記サイクロンユニットの前記排出口に連結し、かつ前記空間に連結するゴミ収集チャンバを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空掃除機。
【請求項6】
前記空間は、10mm~30mmの範囲の高さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機に関し、特にサイクロンユニットを使用する真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気の流れからゴミを分離するサイクロンユニットを真空掃除機で使用することはよく知られている。
【0003】
サイクロンシステムでは、チャンバ内で空気を回転させることによって遠心力が発生する。サイクロンの中心を通って上部から出てサイクロンを出る前に、空気は、例えばサイクロンチャンバの上部で始まり底部において終わるらせん状パターンで流れる。回転する流れに沿って運ばれる粒子は、気流経路のきつい曲線部に従うには慣性があり過ぎて外壁に衝突し、その後、壁に沿ってサイクロンチャンバの底部まで移動し(又は、別箇のゴミ収集チャンバに入り)、そこで粒子は取り除くことができる。
【0004】
サイクロンユニットは、空気からゴミ粒子を分離するやり方として広く使用されている。サイクロンユニットはまた、湿式真空掃除機の場合、空気から水滴(及びゴミ粒子)を分離するためにも使用される。
【0005】
通常、サイクロンは、中空の円筒形状のプラスチック部品に、空気がその中に流れ込むことを可能にするスロットを長さに沿って有する形の中央の渦ファインダを有する。サイクロンは、気流が妨げられない限り、効率的な分離を持ってうまく機能する。なぜなら、フィルタリング機能に最も貢献する要素は気流速度だからである。したがって、サイクロンが汚れ始めると、システム内の気流が減少し、結果として、分離効率が減少し、より汚れが進む。
【0006】
気流障害の一般的な原因の1つは、毛髪や他の糸状体の収集である。これにより、頻繁にサイクロンを清掃する必要がある。清掃は、通常、手動で行う必要があり、ユーザが床から収集されたゴミや毛髪の一部に触る必要が出てくる。
【0007】
FR2860134及びEP1774888のそれぞれは、空気が上部から入り、底部から出るサイクロンユニットについて開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サイクロンユニットの清掃要件を下げるために、毛髪や他のデブリによる目詰まりを発生しにくくするデザインが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
【0010】
本発明の態様による例によれば、
ゴミ吸入口と、
ゴミ吸入口に吸引力を与えるモータ及びファンと、
モータ及びファンの吸引力によって発生した流れから粒子を分離するサイクロンユニットであって、サイクロン回転軸に沿って延在する渦ファインダ及び渦ファインダの外側に形成された環状チャンバを含む、サイクロンユニットと、
環状チャンバに流れることができるように空気をサイクロンユニットに送達する送達ダクトとを含み、
送達ダクトは前方方向である気流方向に延在し、渦ファインダからの排出口は渦ファインダの後方端にあり、これにより、渦ファインダからの排出口は、前方方向である気流方向とは反対の方向にコンポーネントを有する真空掃除機が提供される。
【0011】
前方方向とは送達ダクトが延在する方向と定義される。典型的には、ゴミ吸入口(真空掃除機のヘッド)からハンドルまでの方向である。渦ファインダからの排出口は、少なくとも部分的に反対の後方方向にあり、したがって、排出口は渦ファインダの後方端、即ち、送達ダクトが最初に近接する端にある。前方場所は遠位場所と見なされ、後方場所は近位場所と見なされる(即ち、吸引ヘッドに近位であり、ハンドルから遠位である)。
【0012】
渦ファインダの前方端は、従来では出力端である。しかし、この場合、渦ファインダの前方端は閉じられ、即ち、空気不透過性であり、したがって、空気は強制的に開いている後方端から出る。
【0013】
この真空掃除機は、サイクロンユニットへの空気の送達が1つの方向にあり、サイクロンユニットからの出口は、少なくとも部分的に反対である方向にあるサイクロンユニットを使用する。これは、渦ファインダの遠位端が閉じられており、したがって、遠位端を越えた先の領域がゴミ収集領域の一部を形成できることを意味する。これは追加のデザイン自由をもたらし、特に、例えば渦ファインダの周りに毛髪が巻き付く目詰まりを発生しにくくするデザインが可能になる。
【0014】
送達ダクトは、例えばサイクロン回転軸と平行である。これにより、インライン配置が画定される。
【0015】
真空掃除機は、例えばゴミ吸入口を有するヘッドを含み、送達ダクトは、ヘッドをサイクロンユニットに接続するチューブを含む。
【0016】
したがって、サイクロンユニットは、ヘッドの上方に取り付けられ、軽量かつ操作が簡単なヘッドを与える。ヘッドをサイクロンユニットに接続するチューブは送達ダクトを画定し、これにより、気流がサイクロンユニットに送達される大まかな方向が画定される。
【0017】
真空掃除機は、例えばスティック型真空掃除機を含む。
【0018】
渦ファインダを越えた先の天井壁(渦ファインダの周りの環状チャンバの天井壁であり、したがって、ゴミ収集チャンバの天井壁である)は、渦ファインダの前方方向側の閉じた端から間隔が空けられていることが好ましい。この空間により、渦ファインダの外側からの毛髪や他の繊維の分離が可能になり、したがって、これらはより確実にゴミチャンバに収集される。したがって、渦ファインダの前方方向側の閉じた端は、渦ファインダを越えた先の天井壁から距離がある。
【0019】
ゴミ収集チャンバは、好ましくはサイクロンユニットの前方端を越えた先の空間に連結されている。渦ファインダの前方(遠位)端は閉じられており、したがって、前方(遠位)端を越えた先に、ゴミ収集チャンバに連結する空間を形成できる。
【0020】
空間の高さは、例えば10mm~30mmの範囲にある。これは、全体の必要なサイズを大幅に追加することなく又は効率を大幅に減少させることなく、渦ファインダの周りのデブリの除去を支援する空間を提供する。
【0021】
渦ファインダの後方端からフィルタまで通路が形成されてもよい。渦ファインダの後方端は、空気が渦ファインダから出る場所である。
【0022】
一例では、フィルタは渦ファインダの前方方向側に位置している。したがって、フィルタは、送達ダクトの一般的な方向に沿って渦ファインダよりも更に前方である。この場合、フィルタは、例えば真空ヘッド側よりも渦ファインダのハンドル(ユーザ)側にある。したがって、通路はサイクロンユニットの側部の周りに延在し、バイパスとして機能する。この場合、フィルタを通る流れは前方方向にある。したがって、コンポーネントの通常のインライン配置が依然として守られ、フィルタはサイクロンユニットを越えた先の遠位にある。
【0023】
別の例では、フィルタは渦ファインダの後方に位置している。したがって、フィルタは送達ダクトの一般的な方向に沿って渦ファインダよりも更に後ろである。この場合、フィルタは、例えばハンドル(ユーザ)側よりも渦ファインダの真空ヘッド側にある。
【0024】
これは、通路が渦ファインダからフィルタまで直接連結が可能であることを意味している。したがって、渦ファインダからフィルタまで、流れを方向転換する必要がない。
【0025】
この例では、ゴミ収集チャンバが真空掃除機の流路の最も前方側の部品である。これは、フィルタがサイクロンユニットの後方端にあることによって可能にされる。これは、ゴミ収集チャンバを空にするプロセスの使い勝手がより良くなることを意味する。
【0026】
真空掃除機は、例えばモータを動作させる充電式バッテリを含む。したがって、本発明は、バッテリ動作式のスティック型真空掃除機にとって特に興味深い。これは乾式真空掃除機であるが、本発明は湿式掃除機にも適用できる。
【0027】
本発明のこれら又は他の態様は、以下に説明する実施形態から明らかとなり、また、当該実施形態を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のより深い理解のために、また、本発明をどのように実施し得るかを明白に示すために、ほんの一例として、添付の図面を参照する。
【0029】
【
図1】
図1は、既知のサイクロン式真空掃除機を示す。
【
図2】
図2は、本発明によるサイクロン式真空掃除機の第1の例を概略図で示す。
【
図4】
図4は、
図2の概略例と同様に動作するサイクロンユニットのより詳細な例についての第1の図を示す。
【
図6】
図6は、
図4のサイクロンユニットを使用する真空掃除機の第1の分解図である。
【
図7】
図7は、
図4のサイクロンユニットを使用する真空掃除機の第2の分解図である。
【
図8】
図8は、サイクロン式真空掃除機の第2の例を示す。
【
図10】
図10は、サイクロンユニットと送達ダクトとの2つの異なる相対的な向きを示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、図を参照して説明する。
【0031】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示す一方で、説明を目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、次の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより深く理解できるであろう。なお、図は概略図にすぎず、縮尺通りに描画されていないことを理解されたい。また、同じ参照番号は同じ又は同様の部品を示すために図全体で使用されることを理解されたい。
【0032】
本発明は、ゴミ吸入口と、ゴミ吸入口に吸引力を与えるモータ及びファンとを含む真空掃除機を提供する。サイクロンユニットは、吸引流から粒子を分離するために使用され、サイクロン回転軸に沿って延在する渦ファインダと、渦ファインダの外側に形成された環状チャンバとを有する。サイクロンユニットへの空気の送達は前方方向にある(即ち、前方方向とはゴミ吸入口からサイクロンユニットへの方向である)。サイクロン回転軸は、この前方方向と平行又はほぼ平行である。渦ファインダからの排出口は、その後方端にあり、したがって、渦ファインダの排出口は、前方側のコンポーネントに対しておおよそ反対の方向にある。これは、渦ファインダを越えた先の空間をゴミ収集領域の一部として使用できることを意味し、これにより、毛髪や他のデブリのより効果的な収集が可能になる。
【0033】
図1は、真空掃除機ヘッド12と、真空掃除機ヘッドに吸引力を与えるモータ14及びファン16とを含む既知のサイクロン式真空掃除機10を示している。
【0034】
サイクロンユニット18がモータ及びファンの吸引力によって発生した流れから粒子を分離するために提供される。サイクロンユニットは、渦ファインダ19を有し、その周りにらせん状の流れが発生し、この流れが渦ファインダの周りの環状空間を占める。
【0035】
この例におけるサイクロンユニット18は、追加のフィルタを含み得る乾式ゴミ管理システムの一部である。ゴミ管理システムは、分離したゴミを収集するための収集チャンバ20を有する。これは、サイクロンユニットの内部部品であってもよいし、又はサイクロンユニットが接続する別箇の収集リザーバがあってもよい。図示のように、サイクロンユニットの排出口と、モータ及びファンとの間には排出口フィルタ21が提供されている。
【0036】
サイクロンユニットは、渦ファインダを通って延在するサイクロン回転軸22を有する。この軸22は、(
図1の場合にあるように)真空掃除機の一般的な長さ軸と平行に揃えられるが、これは必須ではない。
【0037】
真空掃除機ヘッド12は、送達ダクト24によってサイクロンユニット18に接続されている。これは、空気がサイクロンユニットに、特に渦ファインダを囲む環状空間に送達される方向を規定する。空気が送達される方向は、送達ダクト24によって規定される。
【0038】
図示の例では、送達ダクト24は回転軸22と平行である。
【0039】
本文書では、送達ダクト24、したがって、真空掃除機ヘッド12から真空掃除機の上部までの方向を前方方向と定義する。空気は、サイクロンユニットに大まかにこの前方方向で送達される。
【0040】
ヘッド12とは反対側の端にはハンドル30がある。
【0041】
図示の真空掃除機はスティック型真空掃除機であるため、使用中、ヘッド12は掃除をする表面との唯一の接点を形成する。当然ながら、アップライト型真空掃除機であってもよい。
【0042】
本発明は、サイクロンユニットのデザイン特徴に関し、ほぼインラインの構成を有する任意の真空掃除機に適用できる。また、乾式DMSを有する乾式真空掃除機又は湿式DMSを有する湿式掃除機にも適用できる。
【0043】
図1のデザインの問題は、毛髪や他のデブリ(糸など)が渦ファインダの周りに絡まる可能性がある点である。これは気流速度を低減し、したがって、ゴミ分離効率を減少させる流れ障害となる。
【0044】
図2は本発明による第1の例を示している。
図1と同じ参照番号を使用している。
【0045】
ゴミ吸入口12と、ゴミ吸入口に吸引力を与えるモータ及びファンとを含む点で、真空掃除機の全体的な構成は同じである。モータ及びファン、並びにユーザインタフェース、制御電子部品、及びハンドルはユニット40として概略的に表されている。
【0046】
サイクロンユニット18は、ここでも、モータ及びファンの吸引力によって発生した流れから粒子を分離するためのものであり、サイクロン回転軸22に沿って延在する渦ファインダ19と、渦ファインダの外側に形成される環状チャンバとを含む。
【0047】
送達ダクト24はサイクロンユニットに空気を送達する。送達ダクトは、前述したように、ゴミ吸入口(真空掃除機のヘッド)とハンドルとの間の通例的な方向に相当する前方方向に延在する。
【0048】
本発明のデザインでは、渦ファインダ19の排出口は、少なくとも部分的に後方方向(送達ダクトの前方方向とは反対)にあり、したがって、排出口は渦ファインダの後方端、即ち、送達ダクトが最初に近接する端にある。渦ファインダの前方端は閉じられているため、空気は渦ファインダから前方方向には出ることはできず、後方方向に出なければならない。
【0049】
図2の拡大部分に、サイクロンユニットの配置がより明らかに見て取れる。
【0050】
図2では、サイクロンユニット18への空気送達方向は、ダクト24と軸22とが平行であることから、サイクロンからの出口方向とは完全に反対である。ただし、回転軸22が前方方向と平行であることは必須ではない。これらの間には角度が付けられていてもよい。
【0051】
この配置は、渦ファインダの最も前方(遠位)端41は閉じられており、閉じた端を越えた先の領域がゴミ収集領域の一部を形成できることを意味する。これは追加のデザイン自由をもたらし、特に、例えば渦ファインダの周りに毛髪が巻き付く目詰まりを発生しにくくするデザインが可能になる。例えば毛髪の絡まりが解けることを可能にし、ゴミ収集チャンバにより良好に収集されるようにする空間42が提供される。この空間42は、渦ファインダの周りの環状チャンバの前方壁、即ち、天井44、即ち、ゴミ収集チャンバの天井44が、渦ファインダの前方端40から間隔が空けられていることから可能にされている。
【0052】
ゴミ収集チャンバ20は、この空間42に連結している。
【0053】
図3に示すように、空間42は、例えばxの前方-後方方向における寸法を有している。この寸法は10mm~30mmの範囲にある。
【0054】
この空間は、収集された繊維が渦ファインダの閉じた端を通過することを可能にするように十分である必要がある。したがって、空間は、例えば捕捉される繊維の直径(例えば少なくとも3mm)の少なくとも10倍であることが好ましい。渦ファインダの周りのらせん状の流れと渦ファインダの上方の天井における(より)静的な空気との間には流れ勾配があるため、より大きな空間が望ましい。この理由から、空間は少なくとも10mmであることがより好ましい。空間内にらせん状の流れを発生させるために必要なエネルギーは、サイクロンユニットの分離機能には寄与しないため、最大の所望空間というのがある。より大きな空間は効率の低下に相当するからである。この理由から空間の高さは30mm未満であることが好ましい。
【0055】
例として、渦ファインダは、30~45mmほど(スティック型真空掃除機の場合)の直径と、25~50mmほどの軸長とを有する。
【0056】
図3はまた、渦ファインダからの後方方向の排出口流れを、
図1の例にあるように、渦ファインダの前方方向側に位置している排出口フィルタ21に向かって前方方向に方向転換する通路46も示している。したがって、この配置は、
図1の従来のデザインと同じコンポーネントのインライン配列を維持するため、改良されたサイクロンユニットを組み込むために、真空掃除機のデザイン全体を大幅に修正する必要がない。特に、改良されたサイクロンユニットは、渦ファインダと、渦ファインダの周りのチャンバの天井44との間に距離を実現する。この間隔や渦ファインダからの逆転された排出口方向は、通常は、インライン構成を維持することを可能にしなかったであろう。
【0057】
図4は、
図2の概略例と同様に動作するサイクロンユニット18のより詳細な例についての第1の図を示している。
図4にはフィルタ及びファン・モータアセンブリは図示していない。
【0058】
送達ダクト24はサイクロンユニット18の後方端にある吸入口50に連結している。この吸入口は、サイクロンユニット18のメインハウジング54内のサイクロン本体52と接続する。メインハウジング54はカバー55を有する。(吸入口50に接続する)送達ダクトからの吸入口気流56は、渦ファインダ19の周りの環状空間に向けられる。循環流が傾斜面によって形成され、渦ファインダからの出口流は吸入口気流54とは反対の方向にある。前述したように、通路46はこの流れを前方方向に方向転換し、サイクロンユニット18全体としての出口流は前方方向にある。
【0059】
ゴミ収集チャンバは、サイクロンユニットの後方端にあるフラップ57を開けることによって空にされる。これは、サイクロンユニットを真空掃除機の残りの部分から分離することなく、サイクロンユニットを空にできることを意味する。或いは、ゴミ収集チャンバは分離式であってもよい。サイクロンユニットはフィルタユニットを前方端から取り外すことによって清掃できる。
【0060】
図5は、前方端を覗き込んだ
図4のサイクロンユニットの第2の図を示している。渦ファインダ19及び収集チャンバ20が示されている。更に、フィルタ21に向かってサイクロンユニットの後方端から前方端に延在する2つのバイパスチャネル46も示されている。
【0061】
例えばこれらのチャネルは(組み合わせで)吸入口とほぼ同じ断面積を有しているので、大きな流れ制限とはならない。
【0062】
図6は、
図4のサイクロンユニット18を使用する真空掃除機の第1の分解図である。サイクロンユニットはメインハウジング54の上流にサイクロン底部58がある。流れユニット59が循環流を促進するためのサイクロン入口、出口、及び傾斜面を画定する。渦ファインダ19は流れユニット59の前方端にある。フィルタ21はサイクロンユニット18の前方端にアセンブリを含む。ファン・モータアセンブリ14、16がフィルタ21上に取り付けられている。
【0063】
図7は、
図4のサイクロンユニットを使用する真空掃除機の第2の分解図である。
【0064】
図2~
図7の例は、渦ファインダの後方端48からフィルタ21までの通路46(又は複数の通路)を有している。通路はチャンバの前端を越えた先まで延在し、サイクロンユニットの閉鎖空間を形成し、これにより、フィルタは、渦ファインダの前方側に位置している(物理的な場所と流路の両方に関して)。通路46はサイクロンユニットの側部の周りに延在し、バイパス経路として機能する。実際には複数のチャネルを含んでいてもよい。
【0065】
コンポーネントの通常のインライン配置が使用され、バイパス経路46は渦ファインダからの排出口を逆転の方向にすることを可能にする。
【0066】
図8は、フィルタ21が渦ファインダの後方側に位置している第2の例を示している。これは、通路46が渦ファインダ19からフィルタ21まで直接連結が可能であることを意味している。フィルタ21を通る流れは後方方向にある。したがって、渦ファインダからフィルタまで、流れを方向転換する必要がない。
【0067】
【0068】
この例では、ゴミ収集チャンバ20が真空掃除機の最も前方側の部品であるか、又はハンドルに最も近い。
【0069】
他のコンポーネント(例えばモータ及びファン14、16、ハンドル30、バッテリ80、並びに電子部品82)がすべて、収集チャンバ20よりも真空掃除機の更に下にあってもよい。これは、フィルタ21がサイクロンユニット19の後方端にあることによって可能にされる。これは、ゴミ収集チャンバを空にするプロセスの使い勝手がより良くなることを意味する。
【0070】
図1のデザインと比べて、空間42を提供するために渦ファインダが短くされても、サイクロンユニットが長くされてもよい。
【0071】
図10は2つの異なる構成を概略的に示している。渦ファインダからの出口流は流れ矢印90として示されている。いずれの場合もこの流れは、フィルタ21に直接つながるか又は前方方向に経路決定される。したがって、いずれの上記アプローチも使用できる。デブリ経路は92として示されている。
【0072】
図10Aは、送達ダクトがサイクロン軸と平行に延在している上記例に対応している。
【0073】
図10Bは、サイクロン軸22が送達ダクト24の前方方向から、例えば最大60度までオフセットにされ得ることを示している。好ましくは、送達ダクト軸(即ち、前方方向)とサイクロン回転軸との間の角度は30度未満であり、好ましくは10度未満である。したがって、この構成はサイクロンユニットの平行インライン配置である。渦ファインダからの排出口は依然として大まかに後方側であり(即ち、後方側のコンポーネントを有する)、送達ダクトは前方方向に延在する。
【0074】
サイクロンユニットの大まかな空気送達方向は、先に定義したとおり、前方方向側にある。しかし、空気は全体としてサイクロンユニット内に入ると、内部空気通路が、気流方向を局所的に変更されてから、渦ファインダの周りの環状空間に流れる。サイクロンユニットの内部でのこの局所的な方向制御は、流れに部分的に半径方向内向きの方向をもたらして、サイクロンユニット内の所望のらせん状の流れ状態を促進する。
【0075】
上記の例では、送達ダクトはサイクロンユニットに直接接続するものとして示されている。これは概略的にすぎない。取り外し可能な吸引チューブである送達ダクトは、実際には、サイクロンユニットの環状チャンバにつながる内部通路を有するハウジングに接続し得る。
【0076】
開示された実施形態に対する変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求された発明を実施する際に当業者によって理解及び達成されうる。請求項において、「含む」との単語は、他の要素又はステップを排除せず、単数形は複数を排除しない。
【0077】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているというだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0078】
「適合される」との用語が特許請求の範囲又は説明において使用される場合、当該「適合される」との用語は「構成される」との用語と同等であることを意図している。
【0079】
特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。