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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/06 20060101AFI20240726BHJP
   A63F 13/24 20140101ALI20240726BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
H01H25/06 A
A63F13/24
H01H25/04 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023018240
(22)【出願日】2023-02-09
(65)【公開番号】P2024071325
(43)【公開日】2024-05-24
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202211422754.7
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520012378
【氏名又は名称】深▲せん▼市致尚科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Zesum Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】1/F, Building A, Zesum Technology Park, Mashantou Community, Matian Street, Guangming District, Shenzhen, GuangDong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 雄章
(72)【発明者】
【氏名】胡 先武
(72)【発明者】
【氏名】楊 時影
(72)【発明者】
【氏名】陳 潮先
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-158096(JP,A)
【文献】特開2021-077547(JP,A)
【文献】特開2001-110278(JP,A)
【文献】特開2009-009798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00 - 25/06
H01H 89/00
A63F 9/24
A63F 13/00 - 13/98
G05G 1/00 - 25/04
G06F 3/033- 3/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間が形成され、前記収納空間と連通する開口が設けられたハウジングと、
傾倒動作可能に前記収納空間内に設けられ、一端が前記開口から突出する略円柱状の操作部を有し、他端は前記操作部と同軸で前記操作部と直交する円形平面部を有する操作体と、
前記操作部と直交するX,Y軸を中心に前記操作体の傾倒動作に伴い回動し、前記操作体の中立復帰状態において前記円形平面部と略同一面に形成された複数の第1当接部を有する一対のロッカアームと、
前記一対のロッカアームの回動動作を検知するための第1検知ユニットと第2検知ユニットと、
上端面が前記円形平面部を圧接し下端面が前記収納空間の底部を圧接する復帰機構と、を含み、
前記収納空間の側壁において、前記操作体の中立復帰状態において前記円形平面部と同一面に形成され、前記操作体の傾倒動作中において前記復帰機構の上端面外周と当接する複数の第2当接部を有し、
前記操作体の中立復帰状態において、前記円形平面部、前記第1当接部、および、前記第2当接部は、同一の平面に位置している
ことを特徴とする多方向入力装置。
【請求項2】
前記第1当接部は曲面または平面である
ことを特徴とする請求項に記載の多方向入力装置。
【請求項3】
前記復帰機構は、
前記操作体の軸線上で前記円形平面部と当接する円形プレートと
前記操作体の軸線上で一端が前記円形プレートを前記円形平面部に圧接し他端が前記収納空間の底部を圧接するように配置されたばねと、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の多方向入力装置。
【請求項4】
前記円形プレートの外周下端面にはストッパエッジ面が設置され、前記ばねの位置を前記ストッパエッジ面の内側に制限する
ことを特徴とする請求項に記載の多方向入力装置。
【請求項5】
前記ばねは円錐型コイルばねであり、前記ばねの外径は、前記収納空間の底壁から前記円形プレートへ向かう方向に逓増する
ことを特徴とする請求項に記載の多方向入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置の技術分野に関し、特に多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ゲームコントローラ、ドローン、VRなどの電子機器には多方向入力装置が一般的に配置されており、こうした多方向入力装置を回すことで指令による制御を実現している。従来の多方向入力装置は一般的に、板に固定されたハウジングと、上下に配置された2つのロッカアームと、操作体と、弾性部材とを含み、操作体の回転により2つのロッカアームの回動が駆動され、操作体の回転期間中、弾性部材を付勢することにより、弾性部材によるエネルギー蓄積を実現し、外力が解除される時の操作体の自動復帰を実現する。
【0003】
従来の解決策では、該弾性片は通常、復帰状態において2つのロッカアームの底部に当接している。操作体を回転させると、弾性部材がロッカアームにより付勢され、この場合、弾性部材はロッカアームの一端に当接してそれを支点とし、操作体の回転に伴って、該弾性部材は各ロッカアーム間で入れ替わりに当接するが、当接位置の切替において、各ロッカアームの位置が異なるため、弾性部材が振れ、その振れを操作体に伝達して、使用者の操作感に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来の多方向入力装置の操作体の回動時に振れが発生するという技術的課題を解決するための多方向入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明が提案する多方向入力装置は、
内部に収納空間が形成され、前記収納空間と連通する開口が設けられたハウジングと、
傾倒操作を行うように前記収納空間内に回動可能に設けられ、一端が前記開口から前記収納空間の外へ延出し、下端には操作部が設けられ、前記操作部の下端面は円形である操作体と、
前記収納空間内に設置され、前記操作体の傾倒動作に追従して回転するように、前記操作体に駆動的に接続されたロッカアーム組立体と、
前記収納空間内に設置され、前記操作体に弾性的に接続され、前記開口に向かう上端面が前記操作部の下端面に当接して前記操作部を支持するように構成された復帰機構と、
前記ロッカアーム組立体に設置され、前記復帰機構に近接する方向に延在する第1当接部と、を含み、
前記操作体の動作期間中、前記操作部の下端面の縁部が前記復帰機構の上端面に当接し、前記第1当接部が前記復帰機構の上端面の縁部に当接する。
【0006】
あるいは、前記第1当接部の下面は曲面または平面であり、前記下面は、前記復帰機構の上端面の周方向に沿って延在していてもよい。
【0007】
あるいは、前記多方向入力装置は、前記収納空間の側壁に設置され、前記復帰機構に近接する方向に延在する第2当接部を含んでもよく、
前記操作体の動作期間中、前記第1当接部と前記第2当接部とのうちの少なくとも1つが、前記開口に向かう前記復帰機構の側面に当接する。
【0008】
あるいは、前記ロッカアーム組立体は、互いに直交して設置された上部ロッカアームと下部ロッカアームとを含み、前記第2当接部は、前記上部ロッカアームの反対する2つの端部と前記下部ロッカアームの反対する2つの端部に設けられ、前記第1当接部は、隣り合った2つの前記第2当接部の間に設けられてもよい。
【0009】
あるいは、前記操作部の底面と前記操作部の周面との間は弧状に転移してもよい。
【0010】
あるいは、前記操作体には、前記開口から離れた側の前記操作部の側面に設けられ、前記操作部から離れる方向に延在するストッパ部がさらに設けられていてもよい。
【0011】
あるいは、前記復帰機構は、
前記収納空間内に設置され、前記開口に近接する方向に延在するばねと、
前記開口に向かう前記ばねの一端に設けられ、前記ばねにより前記操作体に付勢され、前記操作体の動作期間中、前記開口に向かう側面に前記第1当接部が当接するプレートと、を含んでもよい。
【0012】
また、本発明が提案する多方向入力装置は、
内部に収納空間が形成され、前記収納空間と連通する開口が設けられたハウジングと、
傾倒動作可能に前記収納空間内に設けられ、一端が前記開口から突出する略円柱状の操作部を有し、他端は操作部と同軸で操作部と直交する円形平面部を有する操作体と、
操作部と直交するX,Y軸を中心に操作体の傾倒動作に伴い回動し、操作体の中立復帰状態において前記円形平面部と略同一面に形成された複数の第1当接部を有する一対のロッカアームと、
前記一対のロッカアームの回動動作を検知するための第1検知ユニットと第2検知ユニットと、
上端面が前記円形平面部を圧接し下端面が収納空間の底部を圧接する復帰機構と、を含み、
前記操作体の傾倒動作中、前記復帰機構の上端面が操作部の円形平面部と当接すると同時に、前記第1当接部のうちの少なくとも一つと当接する。
【0013】
あるいは、前記第1当接部は曲面または平面であってもよい。
【0014】
あるいは、前記収納空間の側壁に操作体の中立復帰状態において円形平面部と略同一面に形成され、操作体の傾倒動作中において復帰機構の上端面外周と当接する複数の第2当接部を有してもよい。
【0015】
あるいは、前記復帰機構は、操作体の軸線上で円形平面部と当接する円形プレートと操作体の軸線上で一端が円形プレートを円形平面部に圧接し他端が収納空間の底部を圧接するように配置されてもよい。
【0016】
あるいは、前記円形プレートの外周下端面にはストッパエッジ面が設置されてもよく、前記ばねの位置を前記ストッパエッジ面の内側に制限する。
【0017】
あるいは、前記プレートの下端面にはストッパエッジ面が設置されてもよく、前記ストッパエッジ面は前記プレートの下端面の周方向に沿って設置されて前記ばねの位置を前記ストッパエッジ面の内側に制限する。
【0018】
あるいは、前記ばねは円錐型コイルばねであってもよく、前記ばねの外径は、前記収納空間の底壁から前記プレートへ向かう方向に逓増する。
【0019】
本発明はさらに、上述した多方向入力装置を含むコントローラを提案する。
【0020】
本発明の技術案において、該多方向入力装置はハウジングを含み、該ハウジングの内部に収納空間が形成され、ハウジングには収納空間と連通する開口がさら設けられており、収納空間には操作体が設置され、操作体の一端が開口から収納空間の外へ延出し、該操作体は収納空間内で回動して傾倒動作を行うことが可能で、該操作体の下端には操作部が設けられ、操作部の下端面は円形である。また、該多方向入力装置には、ロッカアーム組立体と復帰機構とがさらに設置されており、該ロッカアーム組立体は収納空間内に設置されて且つ前記収納空間内で回動可能であり、操作体は該ロッカアーム組立体に駆動的に接続されている。こうして、操作体の傾倒動作によりロッカアーム組立体の回動を駆動することが可能で、該ロッカアーム組立体をポテンショメータなどの装置に接続することで、ロッカアームの位置の検出を実現し、操作体の傾倒により信号の入力を実現する。該復帰機構も収納空間内に設置されて且つ操作体に弾性的に接続されており、初期位置において、開口に向かう側の該復帰機構の上端面が操作部の下端面に当接し、操作体が傾倒すると、操作部は復帰機構に弾性作用力を加えてエネルギーを蓄積させ、外力が解除されると、復帰機構は操作部を押して移動させ、操作体の復帰動作を実現することが可能である。さらに、該多方向入力装置には、ロッカアーム組立体に設けられ、復帰機構に向かって延在する第1当接部がさらに設けられている。こうして、操作体の傾倒操作時に、復帰機構が偏向し、このとき、操作部の縁部が復帰機構の上端面に当接する一方、復帰機構の上端面の縁部は第1当接部に当接して支持する。操作部の下端面が円形であるため、その回転時に、下端面の縁部が常に復帰機構に接触し、復帰機構の上端面の縁部も常に第1当接部に支持される。すなわち、復帰機構が移動時に常に操作体および第1当接部に接触することにより、偏向による振れの発生を防止し、該多方向入力装置の操作感を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に説明する。下記説明における添付図面は本発明の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行わないことを前提に、これらの添付図面が示す構造により他の添付図面を得ることができる。
図1】本発明の多方向入力装置の実施例の構造模式図である。
図2】本発明の多方向入力装置の実施例の分解構造模式図である。
図3】本発明の多方向入力装置の実施例の断面模式図である。
図4】本発明の多方向入力装置の実施例におけるロッカアーム組立体の構造模式図である。
図5】本発明の多方向入力装置の実施例における操作体の構造模式図である。
図6】本発明の多方向入力装置の実施例におけるハウジングの構造模式図である。
図7】本発明の多方向入力装置の実施例における復帰機構の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施例と組み合わせて、添付図面を参照して本発明の目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
以下では、本発明の実施例における添付図面と組み合わせ、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本発明の全ての実施例ではなく、一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得られる全ての他の実施例は、本発明の保護の範囲に属す。
【0023】
本発明の実施例での全ての方向性指示(例えば上、下、左、右、前、後……)は、該方向性指示はある特定の姿勢(添付図面に示す)における各部品間の相対的位置関係、運動状況等を説明するためだけに用いられ、もし該特定の姿勢が変わる場合、該方向性指示もそれ相当に変わることは説明すべきである。
【0024】
本発明において、別途明確な規定や限定がない限り、「接続」、「固定」などの術語は広義に理解すべきである。例えば、別途明確な限定がない限り、「固定」は固定的な接続でもよく、取り外し可能な接続でもよく、或いは一体としてもよい。機械的接続でもよく、電気的接続でもよい。直接つながってもよく、中間にある媒介によって間接的につながってもよく、二つの素子内部の連通或いは二つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況により上記術語の本発明における具体的な意味を理解できる。
【0025】
また、本発明の実施例において「第一」、「第二」等の説明に関わる場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。これにより、「第一」、「第二」に限定された特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。また、全文において現れた「及び/又は」は三つの並行する案を含むことを意味する。「A及び/又はB」を例に取ると、A案、或いはB案、或いはAとBとが同時に満たされる案を含むことになる。また、各実施例の技術案はお互いに組み合わせることができる。ただし、当業者が実現できることはその基礎である。技術案の組み合わせに矛盾が生じるか、実現できない場合には、このような技術案の組み合わせが存在しない、且つ本発明が主張する保護範囲にないと理解すべきである。
【0026】
多方向入力装置は、VR機器やドローンの制御などの分野で広く応用されており、一般的に、ハウジング、ロッカアーム、スティックおよび弾性部材などの部品が含まれる。スティックの回動によりロッカアームの移動を駆動し、回転動作の出力を実現する。スティックは、回動時に、弾性部材を付勢してエネルギーを蓄積させる一方、弾性部材は付勢されて偏向し、その付勢された位置とは反対側の端部がロッカアームに当接してロッカアームを支点として利用する。スティックの回転期間中、該支点が各ロッカアーム間で切り替わるが、ロッカアーム間に大きなギャップがあるため、弾性部材は偏向する間に振れ、その振れをスティックに伝達し、操作感に影響する。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明は多方向入力装置を提案し、該多方向入力装置は、
内部に収納空間が形成され、収納空間と連通する開口が設けられたハウジング100と、
傾倒操作を行うように収納空間内に回動可能に設けられ、一端が開口から収納空間の外へ延出し、下端には円形平面部700が設けられ、操作体200の下端面は円形である操作体200と、
収納空間内に設置され、操作体200の傾倒動作に追従して回転するように、操作体200に駆動的に接続されたロッカアーム組立体300と、
収納空間内に設置され、操作体200に弾性的に接続され、開口に向かう上端面が円形平面部700の下端面に当接して操作体200を支持するように構成された復帰機構400と、
ロッカアーム組立体300に設置され、復帰機構400に近接する方向に延在する第1当接部500と、を含み、
操作体200の動作期間中、円形平面部700の下端面の縁部が復帰機構400の上端面に当接し、第1当接部500が復帰機構400の上端面の縁部に当接する。
【0028】
本発明の技術案において、該多方向入力装置はハウジング100を含み、該ハウジング100の内部に収納空間が形成され、ハウジング100には収納空間と連通する開口がさら設けられており、収納空間には操作体200が設置され、操作体200の一端が開口から収納空間の外へ延出し、該操作体200は収納空間内で回動して傾倒動作を行うことが可能で、該操作体200の下端には円形平面部700が設けられ、円形平面部700の下端面は円形である。また、該多方向入力装置には、ロッカアーム組立体300と復帰機構400とがさらに設置されており、該ロッカアーム組立体300は収納空間内に設置されて且つ前記収納空間内で回動可能であり、操作体200は該ロッカアーム組立体300に駆動的に接続されている。こうして、操作体200の傾倒動作によりロッカアーム組立体300の回動を駆動することが可能で、該ロッカアーム組立体300をポテンショメータなどの装置に接続することで、ロッカアームの位置の検出を実現し、操作体200の傾倒により信号の入力を実現する。該復帰機構400も収納空間内に設置されて且つ操作体200に弾性的に接続されており、初期位置において、開口に向かう側の該復帰機構400の上端面が円形平面部700の下端面に当接し、操作体200が傾倒すると、円形平面部700は復帰機構400に弾性作用力を加えてエネルギーを蓄積させ、外力が解除されると、復帰機構400は円形平面部700を押して移動させ、操作体200の復帰動作を実現することが可能である。さらに、該多方向入力装置には、ロッカアーム組立体300に設けられ、復帰機構400に向かって延在する第1当接部500がさらに設けられている。こうして、操作体200の傾倒操作時に、復帰機構400が偏向し、このとき、円形平面部700の縁部が復帰機構400の上端面に当接する一方、復帰機構400の上端面の縁部は第1当接部500に当接して支持する。円形平面部700の下端面が円形であるため、その回転時に、下端面の縁部が常に復帰機構400に接触し、復帰機構400の上端面の縁部も常に第1当接部500に支持される。すなわち、復帰機構400が移動時に常に操作体200および第1当接部500に接触することにより、偏向による振れの発生を防止し、該多方向入力装置の操作感を改善することができる。
【0029】
具体的には、図1から図5に示すように、多方向入力機能を実現するために、本多方向入力装置は主に、ハウジング100と、操作体200と、ロッカアーム組立体300と、復帰機構400とを含む。ここで、ハウジング100は、内部に収納空間を有する部材であり、ハウジング100には開口が開けられている。製造しやすいように、図2に示すように、該ハウジング100を、上部ハウジング100と下部ハウジング100とに分割することが可能である。上部ハウジング100は、上壁と、上壁の周りに繞設された側壁とを有し、上壁には開口が開けられており、上壁は側壁とともに他の機能部品を収納する収納空間を囲んで形成し、他の機能部品の取付が容易になるように、上部ハウジング100の下方は開口している。下部ハウジング100は板状構造であり、該下部ハウジング100を上部ハウジング100の下方開口位置に覆設して該収納空間を閉塞することが可能である。また、実際の使用時、該下部ハウジング100を他の部品の支持体としても利用することができる。また、該ハウジング100内にはさらに操作体200が設置されており、該操作体200は棒状構造であってもよく、該操作体200は該収納空間内に回動可能に収納され、一端がハウジング100の開口から外部へ貫通する。また、該操作体200の下端面には円形平面部700が設けられてもよく、該円形平面部700は円柱状または円筒状または円台状構造であってもよく、該円形平面部700の下端面が円形平面である。ハウジング100内には、ロッカアーム組立体300がさらに設けられており、該ロッカアーム組立体300は該ハウジング100に回動可能に接続され、該ロッカアーム組立体300は、動力伝達構造を介して操作体200と駆動的に接続することが可能である。操作体200の揺動によりロッカアーム組立体300の回動を駆動する。ロッカアーム組立体300の回転軸には回転ポテンショメータが取り付けており、操作体200の移動によりロッカアーム組立体300の回転を駆動し、さらに、回転ポテンショメータの回転を駆動する、位置センサの信号変化をトリガして信号入力の機能を実現することができる。本実施例において、ロッカアーム組立体300の両端から下へ駆動部が延在しており、該駆動部には接触弾性片が回動可能に接続されており、該接触弾性片は該駆動部に回動可能に接続され、接触弾性片の下端は、収納空間の底壁に設けられた金属接点に当接する。操作体200がロッカアーム組立体300の回動を駆動すると、該ロッカアーム組立体300は駆動部を介して接触弾性片を金属接点上で摺動させ、金属接点と該接触弾性片との間の電位差を測定することにより、該接触弾性片の位置を特定して、該操作体200の位置と電位信号との間の関連付けを実現することができる。また、操作体200を支持するために、該多方向入力装置には、復帰機構400がさらに設置されており、該復帰機構400は収納空間内に設置され、該復帰機構400は、ばね420などの弾性装置であってもよい。該復帰機構400は、ハウジング100の収納空間の底壁に設置されてもよく、開口に向かう該復帰機構400の上端面は、該円形平面部700の下端面に下から上へ当接する。このように、操作体200が平衡位置すなわち中間位置にあるとき、円形平面部700と復帰機構400との間の接触は面接触であるが、操作体200が傾倒すると、該円形平面部700もそれに伴って傾倒するため、このとき、円形平面部700の下端面の縁部は復帰機構400に当接する。該縁部は連続しているため、操作体200の回転期間中、該円形平面部700の下端面の縁部は常に該復帰機構400に当接している。すなわち、操作体200と復帰機構400とは常に接触しており、操作体200が傾倒すると、復帰機構400を下方に付勢し、このとき、復帰機構400は弾性変形してエネルギーを蓄積し、操作体200への外力が解除されると、該復帰機構400は弾性エネルギーを開放して、操作体200を推して平衡状態に復帰させて、操作体200の復帰を実現する。操作体200は、傾倒時に、偏った位置にあるため、復帰機構400に偏った作用力を加えることになる。つまり、該復帰機構400は付勢作用を受け、復帰機構400は該付勢作用により偏向する。本技術案において、ロッカアーム組立体300には第1当接部500が設けられており、該第1当接部500は、該復帰機構400に向かうロッカアーム組立体300の端面に設けられてもよく、復帰機構400が付勢作用を受けて偏向したときに、該復帰機構400の上端面の縁部は該第1当接部500に当接してそれを支点とすることが可能である。本技術案において、該ロッカアーム組立体300には、復帰機構400を囲むように合計4つの第1当接部500が設けられており、該第1当接部500は、該復帰機構400の周方向に延在する支持面である。こうして、操作体200の回転時、復帰機構400の上端面の中央に近い位置は円形平面部700の下端面の縁部に常に接触している一方、復帰機構400の上端面の縁部は、各第1当接部500に入れ替わりに当接される。すなわち、復帰機構は、回転期間中、常に操作体200及び第1当接部500に接触しているため、復帰機構の振れがなくなり、該多方向入力装置の操作感が改善する。
【0030】
さらに、第1当接部500の下面は曲面または平面であり、該下面は、復帰機構400の上端面の周方向に沿って延在する。操作感をさらに改善するために、該第1当接部500の下面を曲面または平面として設計し、該下面が復帰機構400の上端面の周方向に沿って、両側の隣り合った第1当接部500に向かって延在するようにしてもよい。このように設計することで、復帰機構400は偏向する間では、第1当接部500との接触が転がり接触であるため、復帰機構400と第1当接部500との相対的な摺動が防止され、操作時の摩擦力の低減が容易となり、操作感が改善される。本実施の例において、該下面を曲面とすることにより、該曲面の曲率を調整することで、隣り合った2つの第1当接部500間での該復帰機構400の切替をよりスムーズすることができ、操作感およびユーザ体験を改善することができる。
【0031】
さらに、多方向入力装置は、収納空間の側壁に設置され、復帰機構400に近接する方向に延在する第2当接部600を含み、
操作体200の動作期間中、第1当接部500と第2当接部600とのうちの少なくとも1つが、開口に向かう復帰機構400の側面に当接する。
【0032】
ロッカアーム組立体300は、互いに直交して設置された上部ロッカアーム310と下部ロッカアーム320とを含み、第2当接部600は、上部ロッカアーム310の反対する2つの端部と下部ロッカアーム320の反対する2つの端部に設けられ、第1当接部500は、隣り合った2つの第2当接部600の間に設けられている。
【0033】
具体的には、図6に示すように、操作感をさらに改善するために、該多方向入力装置には、ハウジング100の収納空間の内壁に設けられた第2当接部600がさらに設けられており、特に限定されることなく、該第2当接部600は、独立した部材であってもよく、該ハウジング100に一体的に形成されてもよい。該第2当接部600は、復帰機構400に向かう方向に延在する。こうして、操作体200が傾倒すると、復帰機構400が偏向し、第1当接部500と第2当接部600とのうちの少なくとも1つが、収納空間の開口に向かう復帰機構400の端面に当接してそれを支持することが可能であり、操作体200が回転すると、復帰機構400は同期して移動し、第1当接部500と第2当接部600とが入れ替わりに復帰機構400に当接する。本技術案において、ハウジング100に第2当接部600を設けることにより、復帰機構400の偏向時の支持位置を増やし、隣り合った2つの支持位置の間隔を短縮するため、復帰機構400の支持位置間での切替の円滑性を向上させ、操作感をさらに改善した。
【0034】
図4および図6に示すように、本実施例において、該ロッカアーム組立体300は、上部ロッカアーム310と下部ロッカアーム320とを組み合わせた形式とすることが可能で、上部ロッカアーム310と下部ロッカアーム320とは互いに直交して設置されて且つそれぞれハウジング100に回動可能に接続され、該第1当接部500は、上部ロッカアーム310の両端部および下部ロッカアーム320の両端部に設けられてもよい。すなわち、第1当接部500は、ロッカアーム組立体300に4つの支持位置を形成している。一方、第2当接部600は、隣り合った2つの第1当接部500の間に設けられてもよい。すなわち、第2当接部600は同様に、4つの支持位置を形成している。こうして、ハウジング100およびロッカアーム組立体300に合計8つの当接位置を形成することが可能で、これらの当接位置は復帰機構400を囲むように設けられ、復帰機構400は回転時にこれらの当接位置の間で切り替わる。このように構成することで、隣り合った2つの当接部間の間隔を短くすることが可能で、また、復帰機構400の構造や形状に応じて隣り合った各当接部間の段差を調整することで、復帰機構400の各当接部間での切り替わりの円滑性を向上させて、操作感をさらに改善することができる。
【0035】
さらに、円形平面部700の底面と円形平面部700の周面との間は弧状に転移している。具体的には、図6に示すように、円形平面部700の底面と周面との間は弧状に転移している。こうして、操作体200の回転期間中、円形平面部700のエッジの作用力集中現象が大いに緩和され、耐用年数の向上に有利である。また、操作体200の傾倒軌跡に応じて該弧状転移の寸法を設計することで、従来の操作体200と復帰機構400との間の摺動を転動に変更することが可能であり、摩耗の低減に有利となる。
【0036】
さらに、操作体200には、開口から離れた側の円形平面部700の側面に設けられ、操作部から離れる方向に延在するストッパ部800がさらに設けられている。具体的には、図6に示すように、該ストッパ部800は、収納空間底壁に向かう操作体200の側面に設けられ、下へ延在する。こうして、操作体200を押す際に、該ストッパ部800により操作体200の押圧行程を効果的に制限して、過大な押圧行程に起因する復帰機構400の故障を防止することができる。また、該収納空間の底壁にプッシュスイッチを設置し、操作体200に対する押圧により、ストッパ部800によるプッシュスイッチの操作を実現することも考えられ、これにより該多方向入力装置の多機能性を向上させることができる。
【0037】
さらに、復帰機構400は、
収納空間内に設置され、開口に近接する方向に延在するばね420と、
開口に向かうばね420の一端に設けられ、ばね420により操作体に付勢され、操作体200の動作期間中、開口に向かう側面に第1当接部500が当接する円形プレート410と、を含む。
【0038】
具体的には、図3および図7に示すように、該復帰機構400は、円形プレート410とばね420とを含み、該ばね420は収納空間の底壁に設けられて開口に向かう方向に延在し、円形プレート410はばね420の上端面に設けられて、ばね420の弾性により、円形プレート410が操作体200に付勢される。操作体200の回転期間中、操作体200の下端面が円形プレート410の上端面に当接し、円形プレート410は操作体200に付勢されて偏って揺動し、下方のばね420を圧縮する。このとき、操作体200の付勢位置に対応する円形プレート410の縁部は第1当接部500に当接する。外力が解除されると、ばね420は変形から回復して、円形プレート410を押して円形平面部700を平衡状態に調整する。このとき、ばね420から円形プレート410に加えられる各点における付勢力の合力が直上向きであるため、該操作体200が該位置に保たれる。また、操作感を改善するために、該円形プレート410を円形構造部材としてもよい。こうして、円形プレート410が偏って揺動する場合、円形プレート410の縁部の支持位置から操作体200の付勢位置までの距離が常に一定に保たれるため、ばね420の圧縮量が一定に保たれ、操作時の該ばね420の弾性力によるフィードバックの一貫性が保証され、操作感が改善する。
【0039】
さらに、円形プレート410の下端面にはストッパエッジ面が設置され、ストッパエッジ面は円形プレート410の下端面の周方向に沿って設置されてばね420の位置をストッパエッジ面の内側に制限する。具体的には、該復帰機構400の動作の安定性を向上させるために、該円形プレート410の下端面にストッパエッジ面を設けることができる。該ストッパエッジ面は、該円形プレート410の下端面の縁部に設けられ、円形プレート410の周方向に一周延在することが可能で、ばね420の上端面が該ストッパエッジ面の内側に当接する。ストッパエッジ面を設けることにより、ばね420の横方向変位を制限して、復帰機構400の動作時の円形プレート410とばね420との相対的な変位を防止し、復帰機構400の動作の安定性を保証することができる。
【0040】
さらに、ばね420は円錐型コイルばね420であり、ばね420の外径は、収納空間の底壁から円形プレート410に向かう方向に逓増し、通常のばね420と比較して、円錐型コイルばね420により、同じ性能を保証しつつ、その質量中心の高さを効果的に低くすることが可能で、該多方向入力装置の全体高さを低くするのに有利である。また、円錐型コイルばね420により、より優れた横方向の安定性を提供することができるので、付勢時により曲げにくく、その上端面の相対的な水平度が保証され、操作感の改善に有利である。
【0041】
本発明は更に、本体と多方向入力装置とを含むコントローラを提案し、該多方向入力装置は該本体に設置されて信号を入力するように構成されてもよい。該多方向入力装置の具体的な構造については、上記実施例を参照されたい。本コントローラは上記全ての実施例の全ての技術案を採用したので、少なくとも上記実施例の技術案がもたらす全ての技術的効果を有し、ここでは説明を省く。
【0042】
以上に述べたことは本発明の好ましい実施例にすぎず、それによって本発明の特許の範囲を制限するわけではない。本発明の構想の下で、本発明の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた均等構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本発明の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
100 ハウジング
200 操作体
300 ロッカアーム組立体
400 復帰機構
500 第1当接部
600 第2当接部
700 円形平面部
800 ストッパ部
310 上部ロッカアーム
320 下部ロッカアーム
410 円形プレート
420 ばね

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7