(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-25
(45)【発行日】2024-08-02
(54)【発明の名称】腹腔鏡下手技用の外科用訓練モデル
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20240726BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20240726BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B19/00 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023027711
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2021150006の分割
【原出願日】2016-05-27
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503000978
【氏名又は名称】アプライド メディカル リソーシーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ホフステッター グレゴリー ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ブレスリン トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】サレフ コードル
(72)【発明者】
【氏名】フェルシンガー ナターシャ
(72)【発明者】
【氏名】ブラック ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】ドラガノフ ミラン
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0087348(US,A1)
【文献】登録実用新案第3184695(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0051049(US,A1)
【文献】国際公開第2014/052478(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0037773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/28-23/34
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合訓練モデルであって、
側壁によって相互に連結された頂面と底面を有する基部であって、複数の開口部が前記頂面と底面との間に延びるように形成されている基部と、
前記複数の開口部に挿入されるように寸法決めされ且つ構成されている複数の縫合糸タブと、を備え、
前記複数の縫合糸タブは、頂部分と底部分とを形成するように第2の側部と相互連結された第1の側部を有し、
前記複数の縫合糸タブは、休止形態と長手方向軸線に沿った細長い形態とを有するように構成され、
前記複数の開口部の一の内側に配置された前記複数の縫合糸タブの各々が、前記頂部分の近位端を前記基部の頂面に対して上方に引くことにより前記休止形態と前記細長い形態との間で動くことができ、
前記頂部分と底部分との間の交差部に前記縫合糸タブの少なくとも一部分の周りを延びて棚部が形成され、該棚部が、前記基部
の底面に当接し前記縫合糸タブを前記基部の開口部内に保持するように構成され、前記縫合糸タブの底部分が、前記縫合糸タブの頂部分より幅広で前記底部分が前記開口部を通して近位方向に引かれないように構成されている、
ことを特徴とする縫合訓練モデル。
【請求項2】
前記基部の開口部が、開口部の一に2つの前記縫合糸タブを受入れるように寸法決め且つ構成され、前記2つの縫合糸タブが前記開口部内に
取り外し可能に並列配置され、前記2つの縫合糸タブが、同一または異なる形状頂部分を有し、互いに独立して前記休止形態と細長い形態から動くことができる、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項3】
前記複数の縫合糸タブの幾つかの頂部分が、前記第1の側部と第2の側部の間を横方向に延びる少なくとも1つの予め形成された孔を有し、前記休止形態から前記細長い形態への前記縫合糸タブの動きが、動かされた前記縫合糸タブの開口部を拡大する、
請求項2に記載の縫合訓練モデル。
【請求項4】
前記少なくとも1つの予め形成された孔は、長軸と短軸とを有する細長いスリットを有し、該細長いスリットの長軸は、前記縫合糸タブの長手方向軸線と略直交している、
請求項3に記載の縫合訓練モデル。
【請求項5】
前記複数の縫合糸タブの幾つかの頂部分が、前記第1の側部と第2の側部との間の穿通可能領域を有し、該穿通可能の領域が縫合針で穿通可能である、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項6】
前記各縫合糸タブの頂部分が、多角形、矩形、正方形、三角形または湾曲形状である、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項7】
前記縫合糸タブの各々の底部分が、前記長手方向軸線に直交する平面に、断面積を有し、該断面積が、同じ平面の前記頂部分の断面積より大きい、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項8】
前記各縫合糸タブの底部分が、前記基部に保持され、前記細長い形態のとき長さが伸び、前記複数の縫合糸タブが、前記細長い形態から解放されたとき、前記休止形態に戻る傾向がある、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項9】
さらに、前記基部を保持するスタンドを備え、前記基部が嵌め合い係合特徴部によって前記スタンドと取り外し可能に相互連結可能であり、前記嵌め合い特徴部が、前記基部とスタンドとを、前記スタンドに対する前記基部の一または二以上の配向で、一緒に相互連結するように構成されている、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項10】
前記縫合糸タブの弾性材料と前記基部の剛性材料との間に形成される締り嵌めによって、
前記縫合糸タブが前記開口部
内に保持されるように構成されている、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項11】
前記縫合糸タブを前記細長い形態に引くとき、前記縫合糸タブの底部分が前記基部に保持され、前記縫合糸タブの長手方向軸線に沿った長さが、前記細長い形態において前記休止形態より増加する、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項12】
前記基部の頂面が前記基部の底面と平行であり、厚さを有する実質的に平らな構造を形成し、前記基部は、さらに、前記複数の縫合糸タブを保持する前記複数の開口部とともに少なくとも2つの平面を形成する少なくとも1つの角度を有し、前記少なくとも2つの平面が互いにヒンジ止めされ前記少なくとも1つの2つの平面の間の角度が変更可能である、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項13】
前記複数の縫合糸タブの底部分の各々は、前記縫合糸タブの長手方向軸線に直交する平面内に断面形状を有し、前記底部分部の断面形状は、前記縫合糸タブが挿入される開口部の形状または半分形状と実質的に合致している、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項14】
前記複数の縫合糸タブの各々の頂部分の少なくとも一部は、前記基部の複数の開口部の一つの内側に存在したとき、前記基部の頂面の上に延びる、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項15】
前記縫合糸タブの一又は二以上が、前記縫合糸タブの一又は二以上に対して角度を付けられている、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項16】
前記複数の開口部が、前記縫合糸タブの前記基部に対する前記長手方向軸線を中心として二以上の固定配向を許容するように寸法決めされ構成されている、
請求項1に記載の縫合訓練モデル。
【請求項17】
縫合訓練方法であって、
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の縫合訓練モデルを準備する段階であって、前記複数の縫合糸タブが一又は二以上の縫合糸タブのグループを有するステップと、
一又は二以上の前記縫合糸タブのグループを、ランダムまたは所定方法で、前記複数の開口部に挿入し縫合糸径路を形成するステップと、
縫合糸と縫合針を準備するステップと、
一又は二以上の前記縫合糸タブを前記基部に対して引き、前記休止形態から細長い形態にするステップと、
前記細長い形態の間に、前記縫合糸と縫合針を一の前記縫合糸タブの頂部分を通過させるステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記縫合訓練モデルを提供するステップが、一又は二以上の縫合糸タブのグループの頂部の幾つかが少なくとも一つの予め形成された孔を有する縫合訓練モデルを提供するステップを含み
前記縫合糸を通過させるステップが、前記縫合糸を前記少なくとも1つの予め形成された孔に縫合糸を通すステップを含んでいる、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記縫合訓練モデルを提供するステップが、一又は二以上の縫合糸タブのグループの頂部の幾つかが少なくとも一つの予め形成された孔を備えた穿通可能領域を有する縫合訓練モデルを提供するステップを含み
前記縫合糸を通過させるステップが、前記穿通可能領域を前記縫合針によって穿通して孔を形成し、前記縫合糸を前記穿通された孔に縫合糸を通すステップを含んでいる、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記一の縫合糸タブを引っ張り、少なくとも一つの予め形成された孔または穿通された孔を拡大するステップを更に備えている、
請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記一又は二以上の縫合糸タブのグループを挿入するステップが、前記一又は二以上の縫合糸タブのグループの一又は二以上の縫合糸タブの各々を前記複数の開口部の一の開口部と整列させ前記一の開口部内に前記縫合糸タブの各々の頂部分を挿入しながら、前記基部の底面に近づくステップを有している、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記一または二以上のグループの縫合糸タブが、縫合糸が通らなければならない所定の縫合糸径路を規定するように、色づけされている、
請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記所定の縫合糸径路が、技量を向上させる困難性のレベル、又は、実際の手術で遭遇する特定の縫合径路と関連している、
請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に、医用訓練器具、特に縫合を練習するためのモデルに関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2016年4月6日に出願された米国特許仮出願第62/318,902号(発明の名称:Surgical training model for laparoscopic procedures)および2015年5月27日に出願された米国特許仮出願第62/167,129号(発明の名称:Surgical training model for laparoscopic procedures)の優先権および権益主張出願である。
【背景技術】
【0003】
新たな外科的技術(術式)を学習する医学生ならびに熟練医は、自分達が患者としての人間に対して手術を行う資格を得る前に大がかりな訓練を受けなければならない。この訓練は、種々の形式の組織を切断し、穿通し、クランプし、把持し、ステープル留めし、焼灼し、縫合するための種々の医療器具を用いる適正な技術を教示しなければならない。訓練を受ける人(訓練生)が遭遇する場合のある場面の範囲は、広い。例えば、種々の器官ならびに患者の解剖学的構造および疾患が提示される。種々の組織層の厚さおよびコンシステンシーもまた、身体の一部分と隣りの部分とでは様々であり、しかも患者ごとに様々な場合があろう。互いに異なる手技には互いに異なる技能が要求される。さらに、訓練生は、例えば患者の体格や病態、標的組織の隣接の解剖学的景観および景観や標的組織が容易にアクセス可能であるか比較的アクセス不能であるかという要因によって影響を受ける種々の解剖学的環境中において技術を練習しなければならない。
【0004】
外科用訓練の1つまたは2つ以上の観点について多くの教示補助具、訓練器具、模擬訓練装置(シミュレータ)およびモデル臓器が利用可能である。しかしながら、遭遇する可能性がありかつ内視鏡下の手技、腹腔鏡下の手技、低侵襲手術手技(外科的処置)を練習するために使用できるモデルまたは模擬組織要素が要望されている。腹腔鏡下手術では、トロカールまたはカニューレを挿入して体内腔にアクセスしたりカメラ、例えば腹腔鏡の挿入のためのチャネルを作ったりする。カメラは、ライブビデオフィードキャプチャリング画像を提供し、次にこれら画像を1つまたは2つ以上のモニタで外科医に表示する。少なくとも1つの追加の小さな切開創が作られ、かかる切開創を通って別のトロカール/カニューレを挿入してモニタ上で観察される手技を実施するために外科用器具を挿通させることができる経路を作る。標的組織場所、例えば腹部は、典型的には、二酸化炭素ガスを送り出して体内腔に通気しまたは注入して外科医により用いられるスコープおよび器具を受け入れるのに足るほど広い作業空間を作ることによって拡張される。組織腔内のガス注入圧力は、専用トロカールを用いることによって維持される。腹腔鏡下手術は、開放手技と比較した場合、多くの利点を提供する。これら利点としては、切開創が小さいということに起因して、疼痛が軽いこと、出血が少ないこと、回復期間が短いことが挙げられる。
【0005】
腹腔鏡下または内視鏡下低侵襲手術では、開放手術と比較して技能レベルの高いことが要求される。というのは、標的組織は、医師によって直接観察されることがないからである。標的組織は、小さな開口部を通ってアクセスされる手術部位の一部分を表示するモニタにより観察される。したがって、医師は、組織平面を視覚的に見定め、二次元観察スクリーン上における三次元奥行き覚、器具の手渡し、縫合、高精度切断ならびに組織および器具の操作を練習する必要がある。典型的には、特定の解剖学的構造または手技を模倣するモデルが模擬骨盤または腰部訓練器具内に配置され、この訓練器具では、解剖学的モデルは、医師による直接可視化(直視化)から隠されている。訓練器具に設けられたポートは、器具を通して直視化から隠された解剖学的モデルに対して行われる技術を練習するために用いられる。模擬骨盤訓練器具は、腹腔鏡下手術で用いられる基本的な技能および典型的な技術、例えば把持、操作、切断、結び目を作ること、縫合、ステープル留め、焼灼ならびにこれら基本的な技能を利用した特定の外科的処置をどのように実施するかについて外科医および研修医を訓練する機能的かつ安価であり、しかも実用的な手段となる。模擬骨盤訓練器具はまた、これら腹腔鏡下手技を実施するのに必要な医療器具を実演するための効果的な販売用ツールでもある。
【0006】
内視鏡下または腹腔鏡下低侵襲手術における練習を必要とする上述の技術のうちの1つは、臨床医が標的組織および器械を二次元ビデオモニタ上で観察しながら技能、例えば三次元奥行き覚ならびに縫合糸付きの針の手渡しを磨くことが必要であるようにする縫合糸の挿通および縫合である。したがって、縫合を練習するのに適したモデルを提供することが望ましく、特に、訓練を受ける人(訓練生)にとって手順の特定のステップ、例えば臨床医が模擬(シミュレートされた)腹腔鏡下環境で練習するための縫合糸の挿通だけを切り離して行うモデルが要望されている。腹腔鏡訓練モデルは、模擬腹腔鏡下環境、例えばこのモデルが直接可視化(直視化)から少なくとも部分的に隠された腹腔鏡訓練装置内に取り外し可能に配置される。カメラおよびモニタがその医師に可視化を提供する。技術を練習した後、かかるモデルがかかるモデルは、容易に、スピーディーにかつコストを節約した状態で繰り返し可能な訓練を可能にすることが更に望ましい。上述のことを考慮して、本発明の目的は、解剖学的構造を現実的に模倣して繰り返し可能な訓練もまた可能にする手技の特定のステージまたはステップだけを切り離して行う外科用訓練器具を提供することにある。模擬訓練装置の使用により、新米の腹腔鏡下術者の技能レベルが大幅に向上するとともにかかる模擬訓練装置が将来の外科医を非手術設定環境で訓練するための優れたツールであることが実証された。かかる改良されるとともに真に迫ったかつ効果的な外科用訓練モデルが要望されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一観点によれば、縫合訓練モデルが提供される。縫合訓練モデルは、底面と相互連結されている頂面を備えた基部を有する。基部は、頂面に設けられていて底面に向かって延びる複数の開口部を有する。縫合訓練モデルは、基部に取り外し可能に連結された複数の縫合糸タブを更に有する。各縫合糸タブは、長手方向軸線を備えていて縫合針で穿通可能でありかつ長手方向軸線に沿って休止形態から細長い形態に引かれる弾性材料で作られている。少なくとも1つの縫合糸タブは、複数の開口部のうちの1つまたは2つ以上の中に配置され、少なくとも1つの縫合糸タブは、開口部内に取り外し可能に保持され、少なくとも1つの縫合糸タブは、基部に対してその長手方向軸線回りの縫合糸タブの2つ以上の固定された配向を可能にする。各縫合糸タブは、頂部分および底部分を有する。縫合糸タブの頂部分の少なくとも一部は、基部の開口部内に位置しているとき、基部の頂面の上方に延び、細長い形態に引かれると、縫合糸タブの底部分は、基部に対して保持され、長手方向軸線に沿う縫合糸タブの長さは、休止形態に対して細長い形態において増大している。
【0008】
本発明の別の観点によれば、縫合訓練モデルが提供される。縫合訓練モデルは、基部を有し、基部は、交換可能であり、引き伸ばし可能であり、そして基部に対して回転可能な複数の縫合糸タブを保持する。各縫合糸タブは、穿通可能であるタブフェースを備えまたは各縫合糸タブは、縫合糸が通されるべき少なくとも1つのあらかじめ形成された孔を有する。基部は、複数の縫合糸タブを受け入れる複数の開口部を有する。基部の各開口部は、1つまたは2つ以上の縫合糸タブを保持する。基部は、開口部が縫合糸タブを保持した状態で少なくとも2つの平面部を形成するよう少なくとも1つの角度を有する。
【0009】
本発明の別の観点によれば、縫合訓練モデルが提供される。外科用訓練モデルは、底面と相互連結されている頂面を備えた基部を有する。基部は、頂面に設けられていて底面に向かって延びる複数の開口部を有する。縫合訓練モデルは、基部に取り外し可能に連結された複数の縫合糸タブを有する。各縫合糸タブは、長手方向軸線を備えていて縫合針で穿通可能でありまたは各縫合糸タブは、縫合糸が通されるべき少なくとも1つのあらかじめ形成された開口部を有する。少なくとも1つの縫合糸タブは、複数の開口部のうちの1つまたは2つ以上の中に配置される。各縫合糸タブは、頂部分および底部分を有する。縫合糸タブの頂部分の少なくとも一部は、基部の開口部内に位置しているとき、基部の頂面の上方に延びる。あらかじめ形成された開口部は、長手方向軸線回りに少なくとも1つの合致面、例えば傾斜した表面を有し、縫合糸タブは、長手方向軸線回りの縫合糸タブの回転を阻止するよう開口部の少なくとも1つの合致面と合致するよう寸法決めされるとともに形作られた少なくとも1つの合致面を有する。一形態では、縫合糸タブおよび縫合糸タブが収納される開口部は、基部に対する縫合糸タブの長手方向軸線回りの縫合糸タブの2つ以上の固定された配向を可能にするよう形作られている。別の形態では、基部に対する長手方向軸線回りの2つ以上の固定された配向を可能にするよう2つ以上の合致面を有する。
【0010】
本発明の別の観点では、縫合糸を通すのを練習する方法が提供される。本方法は、縫合訓練モデルを用意するステップを含み、縫合訓練モデルは、複数の縫合糸タブを保持するよう構成されている複数の開口部を備えた基部を有する。各縫合糸タブは、穿通可能であるタブフェースを備えまたは各縫合糸タブは、縫合糸が通されるべき少なくとも1つのあらかじめ形成された孔を有する。縫合訓練モデルの基部は、複数の縫合糸タブを受け入れる複数の開口部を有する。各開口部は、1つまたは2つ以上の縫合糸タブを保持する。各縫合糸タブを長手方向軸線に沿って休止形態から細長い形態に引くことができる。本方法は、縫合糸付きの縫合針を用意するステップと、縫合糸タブを基部に対して休止形態から細長い形態に引くステップと、細長い形態にある間に縫合糸付き縫合針をタブフェースに通すステップとを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の外科用訓練器具の上から見た斜視図である。
【
図5A】本発明に従って単一の縫合糸タブが各穴の中に位置した状態の縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図5B】本発明に従って2つのアイレットが各穴の中に位置した状態の縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図6】本発明に従って縫合訓練モデルの基部の断面で見て互いに異なる形状を備えた複数の穴を示す図である。
【
図7】本発明に従って互いにヒンジ留めされた2つの平面部を有する縫合訓練モデルを示す図である。
【
図8】本発明に従って、互いにヒンジ留めされた2つの平面部を備えた基部を有する縫合訓練モデルを示す図であり、各平面部が圧縮性材料の層および基部に連結された複数の縫合糸タブを有する状態を示す図である。
【
図9A】本発明の縫合糸タブの上から見た斜視図である。
【
図9B】本発明の縫合糸タブの上から見た斜視図である。
【
図9C】本発明の縫合糸タブの上から見た斜視図である。
【
図9D】本発明の縫合糸タブの上から見た斜視図である。
【
図10A】本発明の縫合糸タブの上から見た斜視図である。
【
図10B】本発明の縫合糸タブの上から見た斜視図である。
【
図11A】本発明に従って互いにヒンジ留めされた3つの平面部を備えた基部を有する縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図11B】本発明に従って互いにヒンジ留めされた3つの平面部を備えた基部を有する縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図12】本発明に従って互いにヒンジ留めされた3つの平面部を備えた基部を有する縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図13A】本発明の縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図13B】本発明に従って第1の配向状態にある縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図13C】本発明に従って第2の配向状態にある
図13Bの縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図14A】本発明の縫合訓練モデルの上から見た分解組立て斜視図である。
【
図14B】本発明の縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図15A】本発明の縫合訓練モデルの上から見た分解組立て斜視図である。
【
図15B】本発明の縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図16A】本発明の縫合訓練モデルの上から見た斜視図である。
【
図16C】本発明の
図16Aの縫合訓練モデルおよびこれに通された縫合糸の平面図である。
【
図17A】本発明の基部の上から見た斜視図である。
【
図18A】本発明の基部の上から見た斜視図である。
【
図21A】本発明に従って第1の配向状態にある基部に連結された
図20の基部の上から見た斜視図である。
【
図21B】本発明に従って第2の配向状態にある基部に連結された
図20の基部の上から見た斜視図である。
【
図21C】本発明に従って第3の配向状態にある基部に連結された
図20の基部の上から見た斜視図である。
【
図23A】本発明のタブの上から見た斜視図である。
【
図24A】本発明に従って第1の形態にあるタブの正面図である。
【
図28】本発明の2つの並置状態のタブ半部の上から見た斜視図である。
【
図29】本発明の2つの並置状態のタブ半部の上から見た斜視図である。
【
図30】本発明の2つの並置状態のタブ半部の上から見た斜視図である。
【
図31A】本発明の2つの並置状態のタブ半部の上から見た斜視図である。
【
図32A】本発明の2つの並置状態のタブ半部の上から見た斜視図である。
【
図33A】本発明の2つの並置状態のタブ半部の上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られた外科用訓練器具10が
図1に示されている。外科用訓練器具10は、ユーザから実質的に隠されていて、本明細書に記載する模倣されもしくは生きている組織またはモデル器官もしくは訓練モデルなどを受け入れる本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12にはユーザが器具を用いて本体キャビティ12内に見えるように設けられた組織または練習用モデルに対して手術法を実施することにより穿通される組織模擬領域14を介してアクセスされる。本体キャビティ12は、組織模擬領域を通ってアクセス可能であるものとして示されているが、変形例として、手を使ったアクセス器具または単一部位ポート器具を用いて本体キャビティ12にアクセスしても良い。例示の外科用訓練器具が2011年9月29日に出願された米国特許出願第13/248,449号明細書(発明の名称:Portable Laparoscopic Trainer)に記載されており、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。外科用訓練器具10は、腹腔鏡下または他の低侵襲手術手技を練習するのに特に好適である。
【0013】
依然として
図1を参照すると、外科用訓練器具10は、少なくとも1つの脚部20によって基部18に連結されるとともにこの基部から間隔を置いて設けられたトップカバー16を有している。外科用訓練器具10は、患者の胴、例えば腹部領域を模倣して作られている。トップカバー16は、患者の前方表面を表しており、トップカバー16と基部18との間の空間12は、器官が存在する患者の内部または体内腔を表している。外科用訓練装置10は、患者が手術手技を受ける場合の模擬(シミュレーション)において種々の手術手技およびこれらと関連した器械を教示し、練習し、そして実証するための有用なツールである。外科用器械は、組織模擬領域14を通るとともにトップカバー16にあらかじめ設けられた孔22を通ってキャビティ12中に挿入される。種々のツールおよび技術を用いてトップカバー16を穿通し、それによりトップカバー16と基部18との間に配置された模擬器官または練習用モデルに対して模擬手技を実施することができる。基部18は、模擬組織モデルまたは生きている組織をステージングしまたは保持するためのモデル受け入れ領域24またはトレーを有する。基部18のモデル受け入れ領域24は、モデル(図示せず)を定位置に保持するフレーム状要素を有している。模擬組織モデルまたは生きている器官を基部18上に保持するのを助けるため、引っ込み可能なワイヤに取り付けられたクリップが場所26のところに設けられている。引っ込み可能なワイヤは、伸長され、次にクリップ留めされて組織モデルを組織模擬領域14の実質的に下の定位置に保持する。組織モデルを保持する他の手段としては、モデル受け入れ領域24内で基部18に取り付けられたフック・アンド・ループ式(所謂マジックテープ(登録商標)式)締結材料のパッチ(VELCRO(登録商標))が挙げられ、このフック・アンド・ループ式締結材料のパッチは、モデルに取り付けられたフック・アンド・ループ式締結材料の補足し合う小片(VELCRO(登録商標))に取り外し可能に連結可能である。
【0014】
トップカバー16にヒンジ留めされたビデオディスプレイモニタ28が
図1に閉じられた向きで示されている。ビデオモニタ62は、画像をモニタに送る種々の視覚的システムに接続可能である。例えば、あらかじめ設けられた孔22またはキャビティ内に設けられたウェブカム(ウェブカメラ)のうちの一方を通って挿入され、そして模擬手技を観察するために用いられる腹腔鏡をビデオモニタ28および/またはモバイルコンピューティング装置に接続して画像をユーザに提供するのが良い。また、音声記録または送り出し手段もまた提供されて訓練装置10と一体化され、それにより音声および視覚的機能を提供するのが良い。携帯式記憶装置、例えばフラッシュドライブ、スマートフォン、ディジタルオーディオもしくはビデオプレーヤまたは他のディジタルモバイル装置もまた実証目的で訓練手技を記録するとともに/あるいはあらかじめ記録された映像をモニタ上にプレイバックするために設けられる。当然のことながら、音声視覚的出力をモニタよりも大きなスクリーンに提供する接続手段が設けられる。別の変形例では、トップカバー16は、ビデオディスプレイを備えておらず、ラップトップ型コンピュータ、モバイルディジタル装置またはタブレット、例えばIPAD(登録商標)と接続し、これをワイヤまたはワイヤレスで訓練装置に接続する手段を含む。
【0015】
組立て時、トップカバー16は、脚部20が実質的に周囲に沿って配置されるとともにトップカバー16と基部18との間に相互に連結された状態で基部18の真上に位置決めされる。トップカバー16と基部18は、実質的に同一の形状および寸法のものでありかつ実質的に同一の周囲外形を有している。内部キャビティは、視界から部分的にまたは完全に隠されている。
図1に示されている変形例では、脚部は、周囲光が内部キャビティをできるだけ多く照明することができ、しかも有利には、携帯性に都合がいいようにできるだけ軽量化をもたらすために開口部を有している。トップカバー16は、脚部20から取り外し可能であり、脚部20は、基部18に対して取り外し可能でありまたは基部18に対してヒンジなどにより折り畳み可能である。したがって、非組立て状態の訓練装置10は、携帯を容易にする減少高さを有している。本質的には、外科用訓練装置10は、ユーザからは隠されている模擬本体キャビティ12を備えている。本体キャビティ12は、少なくとも1つの組織模擬領域14および/またはトップカバー16に設けられた孔22を介してアクセス可能である少なくとも1つの手術モデルを受け入れるよう構成されており、ユーザは、孔22を通ってモデルにアクセスして腹腔鏡下または内視鏡下低侵襲手術法を練習することができる。
【0016】
本発明に従って腹腔鏡下手技の際に縫合糸を通す練習のためのモデル30が
図2に示されている。モデル30は、上述の外科用訓練器具10または体腔内での縫合を模倣するための他の類似の外科用訓練装置の内部に配置されるよう構成されている。モデル30は、基部32および基部32の表面に連結された複数個のアイレット34を有している。
【0017】
モデル30の基部32は、モデル30の残部の底部支持体としての役目を果たすプラットホームであり、この基部は、モデル30が倒れることがないよう寸法決めされるとともに形作られている。プラットホームは、任意の材料、例えば金属またはプラスチックで作られる。基部32は、ユーザによって操作されている間直立位置においてモデル30の安定性を維持するのに十分な重さのものである。モデル30は、モデル受け入れ領域24の場所で外科用訓練装置10の本体キャビティ12内に配置されるよう寸法決めされるとともに形作られている。基部32の下側は、モデル30を外科用訓練装置10の内部に取り付けるための手段を備えている。モデル30を訓練装置10の内部に取り付けるためのかかる手段としては、接着剤、吸引カップ、磁石、スナップ嵌め、およびフック・アンド・ループ式締結材料(面ファスナ)が挙げられるがこれらには限定されず、フック・アンド・ループ式締結材料は、基部32の底面に取り付けられ、外科用訓練装置10の基部18に取り付けられた補足し合うフック・アンド・ループ式締結材料または接着剤と結合するよう構成されている。
【0018】
モデル30の基部32は、平坦であっても良くあるいは種々の仕方で輪郭付けられても良い外面36を有する。例えば、外面は、
図2に示されているように凸状であるのが良い。外面36は、凹状であっても良く、湾曲していても良く、勾配があっても良く、起伏があっても良く、あるいは上向きのヒル、下向きのヒル、大きな特徴部と補足し合う小さな表面追加部、例えば隆起部または窪みを含む谷部および山部を含む任意の形態または地形学的特徴を有しても良い。外面36の地形学的特徴は、ユーザが腹腔鏡下手術において奥行き覚を練習することができるようにする漸変表面または多くの表面を生じさせる。一変形例では、基部32は、剛性かつ中実ではなく、柔軟性であり、弾性でありかつ可撓性であり、しかも腹腔鏡下手術で用いられる外科用器械で操作されたときに撓曲可能である。したがって、基部32は、柔軟性のある弾性材料、例えばゴムまたはシリコーンで作られる。基部32の外面36の地形学的特徴の別の例が
図3に示されている。
図2および
図3のモデル30は、作用外面36が上方に向いた状態で位置決めされたものとして示されている。しかしながら、モデル30は、腹腔鏡下手技を練習するための内部本体構造体の別の変形例および表示を提供するよう側部が訓練装置10内に位置決めされても良い。この別の向きでは、モデル30の側面がアイレット34を備える。
【0019】
モデル30は、基部32に連結された複数個のアイレットまたは孔34を有し、アイレット34は、
図2および
図3に示されているようにモデル30の外面36または側面の上方に位置するよう構成されている。例示のアイレット34が
図4Aに示されている。一般的に言って、アイレット34は、医師が針および縫合糸(以下「縫合糸付き針」ともいう)を通す訓練を行うことができるようにする開口部を提供するよう構成されている。アイレット34は、ネック部分38およびヘッド部分40を有している。ヘッド部分40は、少なくとも1つの孔42を有し、少なくとも1つの孔42は、これが位置する孔平面を定めている。孔42は、円形の形状を有するものとして示されているが、本発明は、これには限定されず、孔42は、任意の形状、例えば円、多角形または閉じられた曲線のものであって良い。
図4Aは、閉じられた孔42を示しているが、
図4Bに示されているような開いたフック状孔44は、本発明の範囲に含まれる。開いたまたはフック状の孔44は、開いているとともにヘッド部分40の周囲材料によって部分的にしか包囲されていない孔であり、後には、孔40への開口部または入口が寸法において孔周長の約1/8から1/4までのどこかの場所に位置した状態で残されている。一変形例では、アイレット34の孔42は、シリコーンまたはメッシュもしくは織物補強材を含むのが良い他の穿通可能な材料の層で覆われ、その結果、縫合糸付き針を孔42中に通すには、縫合糸付きの針で孔42の覆いを穿通する必要がある。覆いは、本物の組織を模倣しており、かくして、訓練の迫真性の一因となる。
【0020】
一変形例では、アイレット34は、剛性である。別の変形例では、アイレット34のネック部分38は、可撓性であり、ヘッド部分40は、剛性であり、別の変形例では、ネック部分38とヘッド部分40の両方は、可撓性でありまたは撓曲可能である。撓曲可能または可撓性アイレット34は、縫合糸を通す際の難しさを増大させる。別の変形例では、アイレット34は、あらかじめ曲げられておりまたは角度が付けられている。孔によって定められた平面は、
図4Cおよび
図4Dに示されているようにネック部分38の長手方向軸線と交差する。一般的に言って、アイレット34は、外科医が手術針および縫合糸を通す訓練をするための孔42となる。アイレット34のネック38は、孔42を基部32の外面36から隔てるよう構成されている。孔42を基部32の外面36から隔てる他の手段は、本発明の範囲に含まれる。また、ネック38は、基部32に結合するよう構成され、したがって、ネック38は、基部に結合するためのねじ山、接着剤または他の手段を有するのが良い。また、アイレット34は、アイレット34全体が基部32に対して回転しまたは回転可能であるように基部32に取り付けられるのが良く、別の変形例では、アイレット34は、アイレット34のヘッド40がネック部分38に対して自由回転アイレット形態で回転するよう構成される。このように結果として基部32に対して孔42が回転できることにより、縫合糸を通す場合の難しさが増す。
【0021】
複数個のアイレット34が
図2および
図3に示されているように基部32の外面36に連結されている。別の変形例では、1つまたは2つ以上のアイレット34は、外面36に対して引っ込み可能であり、その結果、引っ込み可能なアイレット34は、アイレット34の孔42が外面36に対して第1の距離のところに位置する第1の位置および孔42が外面36に対して第2の距離のところに位置する第2の位置を有し、第2の距離は、外面36の上方において第1の距離よりも大きい。一変形例では、アイレット34は、アイレット34が第1の位置の方へスプリングバックする傾向を有するよう第1の位置の方へ付勢されている。さらに、少なくとも1つのアイレット34は、アイレット34の少なくとも一部分、例えばアイレット36の孔42の少なくとも一部分が上面36の下に位置するよう基部32に連結されており、その結果、アイレット34は、ユーザに見えるが、縫合糸をアイレット34に通すため、上面の下に部分的に位置するアイレット34がユーザによって引き上げられまたは引き出され、そして1つの器械が引き出し位置にある状態で保持され、その結果、縫合針および縫合糸を別の器械が逆の手で保持された状態でアイレット34の孔42中に挿通させることができるようになっている。引っ込み可能なアイレット34は、上面36とは異なる弾性基部内に埋め込まれまたは上面36に対してばね押しされている。また、引っ込み可能なアイレット34は、アイレットを表面の上方に引いてこれを縫合糸挿通のために上面36の上方の定位置に保持するのに力が必要であるように引っ込み位置で付勢される。アイレット34が解除されると、表面の下に向かって引き戻される。別の変形例では、引っ込み可能なアイレット34は、内方には付勢されず、第1の位置と表面の上方の第2の位置との間で出入りし、第1の位置は、表面の下に少なくとも部分的に位置するのが良い。アイレット34は、スロット内で上面36に対して軸方向に動くようスロットが設けられる。各アイレット34は、同一であっても良く、あるいは、複数個のアイレット34は、上述の種々の特徴を備えたアイレット34の混ざったものであっても良く、例えば、互いに異なる寸法および形状の孔42を備えたアイレット、可撓性アイレット、回転可能なアイレット、被覆状態のアイレット、開いたアイレット、撓曲可能なアイレット、撓曲時に撓曲状態のままの塑性変形可能なアイレットおよび撓曲後に先の位置を再び取る撓曲可能なアイレットであっても良い。複数個のアイレット34は、カメラ観察モニタ上でアイレット孔42を可視化する際の難しさを増大させるために基部32の外面36の背景または色に対して溶け合った色を含む互いに異なる色のアイレットを含むのが良い。また、基部32に取り付けられたアイレット34のうちの少なくとも1つはまた、このアイレット34が視覚的に目立ちまたは腹腔鏡を用いて基部の背景または外面36を観察したときにコントラストをなすよう着色されていても良い。さらに、複数個のアイレット34は、同色のものであり、かくして、縫合糸を通さなければいけない所定の経路がアイレット34の色によって定められるよう色分けされた1つまたは2つ以上のアイレット群を含んでも良い。例えば、1組の緑色に着色されたアイレット34は、外科的処置に特有の所定の経路を定めるか、あるいは、例えば比較的大径の孔42を備えたアイレット34によって定められる比較的容易な技能レベルを定めても良い。変形例として、所定の経路は、アイレット34の着色によってではなく、
図2に示されているように基部32の外面36上に施された印46で印付けされても良い。外面36上のかかる印46は、解剖学的ランドマークを含むのが良く、ユーザは、かかる解剖学的ランドマークから縫合糸を通すために辿るべき正確な経路を導き出すことができる。変形例として、印46は、所定の経路を定めるために印を相互に連結したアイレット34相互間の外面上に引かれた線である。線46は、
図2に示されているように基部32に対してコントラストをなす色で着色され、特定の所定の経路を示すよう色分けされているのが良い。また、基部32に取り付けられた複数個のアイレット34のうちで、アイレット34の群は、印46、例えば、ある特定の群内のアイレット34を互いに連結する基部32上に引かれた線で相互に連結されても良い。ある特定のアイレット群は、特定の経路に沿って位置する特定の群のアイレット34の全てに通したことを確認するユーザの技能を試験するために辿るべき所定の経路を定めることができる。それ故、基部に取り付けた複数個のアイレットのうちでアイレット34のサブセットに属するアイレット34の配置および選択を利用すると、縫合糸付き針を孔中に通す技能を向上させることができ、したがって、経路および各経路中で選択されるアイレットは、比較的容易なアイレット、例えば、大きな孔を有するアイレット、直立したアイレット、剛性でありかつ外面の比較的平坦な領域に位置するとともに背景に対して全くのコントラストをなすアイレットから、より難しいアイレット、例えば、小さな孔を有するアイレット、可撓性アイレット、撓曲可能なアイレットおよび背景に対して溶け込むよう着色されたアイレットまで困難さが様々であるのが良い。基部32は、上述の複数個の互いに異なる形式のアイレット34を含むキットの一部として市販可能であり、ユーザは、複数個の互いに異なるアイレットから選択し、次にかかるアイレットを所望に応じて基部32内に配置して練習のために特別に作られた経路を形成することによってアイレットを組み立てる。アイレット34および基部32は、アイレット34を基部32の外面36を通って引き込んでアイレット34をしっかりと取り付けることができるよう構成されている。キットは、特定の練習に適した解剖学的構造を形成するよう基部にも連結可能な器官または他の解剖学的特徴部を更に含むのが良い。
【0022】
縫合糸を通す所定の経路は、練習すべき外科的処置に基づいてあらかじめ定められているのが良い。例えば、膣円蓋を閉じる練習では、小さな孔を有するアイレットと特定の角度をなす全体として円形の経路が必要な場合がある。したがって、かかる経路は、外科医が辿るべき同色のアイレットまたは基部上の印によって定められるとともに印付けされるのが良い。別の外科的処置、例えば腸の吻合では、密に間隔を置いて設けられた対をアイレット対の全体として円形の大径経路が必要な場合がある。それ故、練習すべき外科的処置は、用いられるアイレットの形式ならびにユーザに特定の経路を指示するこれらの配置および印を定めるのが良い。
【0023】
アイレット34は、種々のパターンをなしてかつパターンおよび経路を作る形態をなして基部内に埋め込まれている。幾つかの経路の狙いは、臨床医がアイレットの全てを可視化しまたは縫合糸を通すのが難しいアイレットを見落とすことなく1つの組の全てに首尾良く通すのを確認することにある。当然のことながら、アイレットは、様々な高さおよび様々な角度で配置され、その目的は、外科医が実際の縫合針または模擬縫合針を各アイレット中にかつ特定の順序で通して各経路を修了することにある。同一プラットホーム内での技能を向上させることができる種々の技能レベル向きの互いに異なる寸法のアイレットを備えた多数の経路が存在する。練習モデル30は、腹腔鏡訓練装置10の内部に配置され、腹腔鏡がモデル30を観察するためにキャビティ12中に挿入される。縫合針および縫合糸が孔22のうちの1つまたは組織シミュレーション領域14を通ってキャビティ12中に入れられ、縫合糸をアイレット34中に挿通させる手順は、ビデオディスプレイモニタ28上で観察され、このビデオディスプレイモニタは、腹腔鏡訓練装置10の内側に配置されるとともに直接可視化から隠された三次元モデル30の二次元ビデオ表示を医師に提供する。モデル30と訓練装置10の組み合わせにより、有利には、ユーザは、縫合糸のための所望の手術経路を識別し、針を動かし、縫合糸を腹腔鏡下で多数のアイレット34に通す練習を行うことができる。
【0024】
モデル30は、交換可能なアイレット34を含むのが良く、ユーザは、自分である特定のアイレットを選択することができまたはある特定の技能、難しさのレベルまたは手技を練習するための外科手技の経路に対応した所定の組をなすアイレットを選択することができる。モデル30は、有利には、全ての技能レベルにとって取り組み甲斐がありかつ調節可能であり、ユーザが両手を同じように用いて経路を修了しなければならないという点で効果的である。縫合針はまた、縫合針を孔中に首尾良く通すために各挿通に適切な方向に向くよう操作されなければならない。それ故、モデルは、腹腔鏡下における縫合糸挿通、組織平面の決定および可視化という練習、アイレットの奥行き覚および可視化という練習、器械および針の手渡し、縫合および組織操作に特に有用である。このモデルにより、臨床医は、自分の技能を優秀な状態に維持することができまたは実際の手術の際に首尾良い結果を得るために前もって「ウォーミングアップ」することができる。
【0025】
次に
図5Aおよび
図5Bを参照すると、本発明の縫合訓練モデル100の別の形態が示されている。モデル100は、基部102および基部102に連結された複数の縫合糸タブ104を有する。基部102は、側壁109によって相互に連結された頂面106と底面108を有する。代表的には、頂面106は、厚さを有するプレートまたは扁平な構造体を構成するよう底面108に平行である。複数の開口部110が基部102に形成されており、これら開口部は、頂面106と底面108との間に延びている。これら開口部110は、複数の縫合糸タブ104を受け入れるよう形作られている。基部106は、プラスチック、ポリマーまたは任意適当な材料で作られている。基部106は、全体として剛性または半剛性であり、この基部は、単一の材料層で構成されても良くまたは互いに異なる性質および特徴を備えた1つまたは2つ以上の材料層を含んでも良い。例えば、頂部基部層が色および/または手触りに関して本物のような組織状外観をモデルに与えるとともに/あるいは標的縫合糸タブ104への接近の困難度を高めるよう提供されているのが良く、これについては以下に詳細に説明する。基部102は、開口部110を含む少なくとも1つの開口部具備部分112を有する。例えば、
図7では、縫合訓練モデル100は、互いにヒンジ留めされた2つの部分112a,112bを有する。各部分112は、単一の平面部から成っていても良くまたは多数の相互に連結された平面部または表面部を含んでも良い。
図7では、各開口部具備部分112a,112bが別個の平面部を構成する。別個の平面部は、これら平面部およびこれらの相対的な角度が例えば
図12~
図15に示されているように固定されるよう互いに一体に形成/成形されるのが良い。別の形態では、1つまたは2つ以上の開口部具備部分112は、これらが扁平であるにせよそうでないにせよいずれにせよ、1つまたは2つ以上の開口部具備部分112相互間の角度を所望に応じて調節することができるよう互いに対して動くことができる。この角度を必要に応じて調整しまたは再調整することができ、それにより解剖学的状況を表わす場合がありまたはそうでない場合のある異なる縫合糸通し景観(ランドスケープ)を生じさせることができる。また、角度を調節すると、モデル上を通る縫合糸を訓練のための困難度のカスタムでかつ可変のレベルを生じさせ、それにより漸進的な学習体験を生じさせることができる。2つまたは3つ以上の互いに異なるかつ別々の開口部具備部分112相互間の角度は、蝶ねじ、摩擦嵌めまたは2つまたは3つ以上の平面部112を互いに連結しているヒンジ114を締め付けることによって相対位置をロックするよう構成された他の構造により固定されても良い。別の形態では、別個の開口部具備部分112または開口部具備部分112の表面部は、これらが扁平であるにせよそうでないにせよいずれにせよ、基部102を曲げることによって互いに対して動かされる。かかる形態では、基部102は、適当な応従性のある材料、例えばアルミニウムで作られるとともに基部が回ることができるようにする厚さを有する。
【0026】
図5Aおよび
図5Bに戻ってこれを参照するとともに更に
図6および
図7を参照して、次に、基部102の開口部110について詳細に説明する。各開口部110は、頂面のところの開口部110に実質的に直角な長手方向軸線を定める。各開口部110は、少なくとも1つの縫合糸タブ104を取り外し可能に受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られている。長手方向軸線に沿って見て基部102の開口部110の考えられる形状のうちの幾つかが
図6に示されている。
図6では、1つの開口部110aがスロットの形状を有する。スロットは、長方形でありかつ細長い。開口部110aは、開口部110a内に受け入れられるべき縫合糸タブ104の少なくとも一部分の長方形の形と相補する形状を有する。スロットは、タブを基部開口部内に保持するために縫合糸タブと摩擦嵌め係合関係を作るよう僅かに大きくまたは僅かに小さく寸法決めされている。依然として
図6を参照すると、別の例示の開口部110bが十字状またはX字状の形状を有する。十字形開口部110bは、各々が90°で交差する長方形スロット状開口部110aに類似した2つの長方形の開口部によって形成されている。開口部110bの十字状の形状により、相補する長方形の形状を備えた縫合糸タブ104の少なくとも一部分を開口部110bの2つのレッグのうちの一方の中へ挿入することができる。タブ104は、第1の方向または配向(または向き)をなして挿入され、このタブは、第1の方向に対して横であり、垂直でありまたは角度のついた第2の方向で開口部110bの他方のレッグ内にも挿入されるよう取り外し可能である。単一の開口部110内に2つ以上の配向状態で縫合糸タブ104を受け入れることができるようにすることにより、縫合糸経路を所望に応じて定めることができ、それにより隣接の縫合糸タブ110の配向状態に対して多方向開口部110内での縫合糸の配向または向きのために縫合糸を縫合糸タブ104に通すのが容易になりまたは困難になる。依然として
図6を参照すると、別の形態では、開口部110cが4つの互いに異なる方向に沿って開口部内での縫合糸タブ104の整列を可能にする八角形の形状を有する。多ファセット付き開口部、例えば八角形の互いに反対側に位置するファセットは、開口部110c内における縫合糸タブ104に対する整列および摩擦嵌め係合を可能にする。縫合糸タブ104の少なくとも一部は、ファセットと厳密で同じ形をとるとともに開口部110の縁に当接するよう寸法決めされている。八角形開口部110cと同様、
図7は、縫合糸タブ104を4つの互いに交差した長方形開口部のうちの1つの中で4つの互いに異なる角度および向きに配向することができる4つの互いに交差した長方形開口部によって構成された星状の形をした開口部110を示している。円形開口部110もまた、縫合糸タブ104を開口部110内に保持するのに働くが、タブを任意の既定の方向に配向させるようには働かない。
【0027】
図7を参照すると、本発明の縫合訓練モデル100が示されている。縫合訓練モデル100は、ヒンジ114のところで互いに可動的に連結された2つの開口部具備部分112a,112bを有する。第1の開口部具備部分112aは、第2の開口部具備部分112bに対して関節運動可能である。第1および第2の開口部具備部分112a,112bの各々は、実質的に扁平であり、各開口部具備部分は、複数の星形の開口部110を有する開口部110の全ては、同一の形状を有するよう図示されている。別の形態では、開口部110は、互いに異なる形状を有しても良い。互いに異なる形状を有する開口部110を備えた基部102は、既定の経路をユーザに知らせるのを助け、ユーザは、縫合糸タブ104を隣接の開口部に対してこれらの既定のアンギュレーションに従って開口部110中に挿入する。
【0028】
次に
図8を参照すると、本発明の別の縫合訓練モデル100が示されている。縫合訓練モデル100は、2つ以上の層を有する基部102を含む。具体的に言えば、基部102は、第1の層116および第2の層118を含む。第2の層118は、第1の層116の上方に配置されている。
図8に示されている縫合訓練モデル100の形態では、基部102は、ヒンジ114を介して第2の開口部具備部分112bに対して角度をなした状態で連結された第1の開口部具備部分112aを含み、ヒンジ114は、第1の開口部具備部分112aを第2の開口部具備部分112bに対して調節可能にするとともに動くことができるようにする。一形態では、各部分112a,112bはそれぞれ、別個の第2の層118a,118bを有する。別の形態では、単一の第2の層118が両方の部分112a,112bをまたぎ、それによりこれら部分112a,112b相互間の隙間を橋渡ししている。第2の層118は、厚さを定める頂面120および底面122を有する。第2の基部層118の底面122は、第1の基部層116の頂面に当接するとともにこの上に位置し、この底面を接着剤で取り付けるのが良い。第2の基部層118は、頂面120と底面122との間に延びる複数の孔124を更に有する。第2の基部層118の孔124は、縫合糸タブ104が両方の層116,118を貫通することができるよう第1の基部層116に設けられた開口部110と整列する。一形態では、縫合糸タブ104の少なくとも一部分は、頂面120の上方に延びている。別の形態では、縫合糸タブ104は、頂面120の上方には延びない。
図8の縫合訓練モデル100の形態は、ヒンジ114で互いに連結された2つの開口部具備部分112a,112bを有し、各開口部具備部分は、第1の基部層116a,116b、第2の基部層118a,118b、および孔124a,124bをそれぞれ有するものとして示されている。第2の層118は、軟質の圧縮性材料、例えばフォームで作られ、それにより、基部102に本物のような組織表面を与え、他方、縫合糸タブ104を隠すとともに埋め込むのに役立つ。軟質フォームの第2の層118を追加することにより、訓練が増し、練習を完了するためにユーザによって操作されなければならない別の材料が提供される。例えば、ユーザは、縫合糸タブ104の孔126に接近しまたはこれを観察するためにフォームの第2の層118を押し下げまたは圧縮するのが良い。
【0029】
次に
図9A~
図9Dを参照すると、本発明の縫合糸タブ104の幾つかの変形例が示されている。縫合糸タブ104は、第1の側部128および第2の側部130を有し、これら側部相互間には厚さが定められている。第1および第2の側部128,130は、実質的に垂直であり、これら側部は、頂部132および底部134によって相互に連結されている。縫合糸タブ104は、第1の側部128と第2の側部130との間に延びる少なくとも1つのあらかじめ形成された孔126を有する。孔126は、任意の形状およびサイズのものであって良い。一形態では、孔126は、細長いスロット状の形を有する。細長い形の孔126は、湾曲した側部を有するのが良くかつ孔126が引かれたときに少ない応力集中部を有するよう長円形状であるのが良い。縫合糸タブ104は、弾性材料、例えばシリコーン、エラストマー、ゴムまたはポリマーで作られている。縫合糸タブ104は、硬質プラスチックで作られていても良い。縫合糸タブ104の底部134は、広いフットプリントを有しかつ頂部132よりも広い。棚部136が広い底部134と狭い頂部132の交差部のところで縫合糸タブ104の少なくとも一部分の周りに形成されている。縫合糸タブ104の頂部132は、任意形式の形状を有することができる。例えば、
図9Aでは、縫合糸タブ104の頂部132は、孔126の周りに正方形状または長方形状である頂部を形成するよう扁平な形状を有する。
図9Bでは、頂部132は、孔126の周りに三角形のような形状を形成するようテーパまたは尖った端部を有する。
図9Cでは、頂部132は、丸められておりまたは湾曲している。
図9Dでは、頂部132はまた、丸くされるとともに湾曲しており、かつ
図9Cに示されている縫合糸タブ104の頂部132よりも長くかつ幅が狭い。
図9Dの孔126はまた、
図9Cの孔126よりも短い。縫合糸タブ104は、基部102に設けられた開口部110中に挿入されるように寸法決めされるとともに形作られている。挿入に先立って、縫合糸タブ104を基部102の開口部110と整列させる。具体的に説明すると、基部102の開口部110、例えば
図6の開口部110aが縫合糸タブ104を一方向に受け入れるよう形作られている場合、縫合糸タブ104を開口部110と整列させる。開口部110、例えば
図6の開口部110b,110cが縫合糸タブ104の多くの配向を可能にするよう形作られている場合、縫合糸タブ104の配向状態を選択し、縫合糸タブ104を縫合糸タブ104の外面がこの中に保持されるべき開口部110のファセットと整列するよう挿入する。縫合糸タブ104を基部102中に挿入するため、基部102に底面108から接近し、そして縫合糸タブ104の小さくかつ幅の狭い頂部132が整列したままの開口部110中への挿入を導く。縫合糸タブ104の棚部136は、十分に挿入されると、基部102の底面108に当接して縫合糸タブ104を開口部110内に保持する。縫合糸タブ104は、軟質シリコーンタブ104と硬質プラスチック基部102との僅かな締まり嵌め状態で開口部110内に保持される。
【0030】
さらに、複数の縫合糸タブ104は、同色のタブ104の1つまたは2つ以上のグループを有するのが良く、かくして、縫合糸を通さなければならない所定の経路がタブ104の色によって定められるよう色分けされている。例えば、1組の緑色タブ104は、外科的処置に特有の所定の経路を定めるかあるいはタブ104によって定められた比較的容易な技能レベルを定めるかのいずれかをもたらすことができる。縫合糸を通す練習では、ユーザが赤色タブを避けながら縫合糸を緑色タブに通す必要がある。別の形態では、赤色タブは、孔126を備えていないタブで置き換えられる場合がある。
【0031】
縫合糸タブ104は、挿入されると、
図5Aに示されているように基部102と連結関係をなしたままになる。
図5Aでは、縫合糸タブ104の孔126は、基部102の頂面106よりも実質的に上方に位置する。別の形態では、孔126は、孔126またはタブ104を隠しまたは少なくとも部分的に見えないようにするよう基部102の頂面106よりも実質的に下に位置する。別の形態では、基部102の開口部110は、
図5Bに示されているように並置状態にある2個以上の縫合糸タブ104を受け入れるよう寸法決めされるとともに形作られている。
図5Bでは、2つの並置状態の縫合糸タブ104が各開口部110内に挿入された状態で示されている。2つの縫合糸タブ104は、同一形状の頂部132を有しても良くまたは互いに異なる形状の頂部132を有しても良い。また、隣り合う縫合糸タブは、互いに異なる色で色分けされても良くまたは同一の色を有しても良い。縫合糸タブ104は、縫合糸タブ104の頂部132が外科医によってつかまれて垂直方向に引かれることができるようにするよう基部102の頂面106の上方に延びている。弾性縫合糸タブ104を引くと、その結果として、縫合糸タブ104は、垂直方向に延伸することになる。かかる延伸により、縫合糸タブ孔126は垂直方向に細長くなり、それにより孔126が大きくなる。その間ずっと、縫合糸タブ104を引くことは、棚部136が基部102に接触することによって付勢され、それにより縫合糸タブ104が上方に引かれているときに基部102から完全に引き出されるのが阻止される。縫合糸タブは、下方に動かされると、基部102に対して取り外し可能である。2つ以上の縫合糸タブが縫合糸タブの並置配置状態において開口部内に配置されている状態で、ユーザは、適当なタブを引きまたは必要に応じて練習を終えるよう両方のタブを引くよう注意を払う。縫合糸タブ104は、縫合糸タブ孔126が第1のサイズを有する第1の休止形態および縫合糸タブ孔126が第1のサイズよりも大きな第2のサイズを有する第2の引き出されて細長くなったまたは引かれた形態を有する。縫合糸タブ104は、縫合糸タブ104の近位端または頂部を基部頂面106に対して上方に引くことによって第1の形態と第2の形態との間で動くことができる。第2の形態により、孔126が引かれた時に細長い垂直サイズを有するので縫合糸を通しやすくなる。
図9A~
図9Dの細長いスロット状孔126は、垂直引き方向に実質的に垂直である長手方向軸線を有し、したがって、孔126の垂直サイズは、引かれると拡大される。一形態では、孔126は、タブに設けられていてかろうじて見えるが、引かれて延伸されて基部に当てられると開くスリットまたは切れ目であるに過ぎない。
【0032】
縫合糸タブ104の別の形態が
図8に示されている。
図8の縫合糸タブ104は、円形孔126およびユーザによって容易につかむことができる領域または延長部となる延長頂部132を有する。この延長部は、つかんで保持するのが難しい異なる形状を有しても良い。この形態では、縫合糸タブ104が上方に引かれると、円形孔は、細長くかつ幅の狭い形態となり、それにより縫合糸を孔126に通すのが困難になり、それにより縫合の際に縫合糸タブ104によって表わされる模擬組織を慎重に取り扱うように組織に対する技能レベルに関する外科医の注意を教示する。それゆえ、縫合糸タブ104は、縫合糸タブ孔126が第1の寸法を含む第1のサイズを有する第1の休止形態および縫合糸タブ孔126が第2のサイズを有する第2の引き出されまたは引かれた形態を有し、この場合、第1の寸法は、第1の形態で見た場合よりも小さく、第1の寸法は、第1および第2の形態では同じ測定寸法である。縫合糸タブ104は、縫合糸タブ104の近位端部または頂部を基部の頂面106に対して上方に引くことにより第1の形態と第2の形態との間で動くことができる。第2の形態は、孔126の幅を狭くすることによって縫合糸を通すのを困難にする。孔126は、垂直または引き方向に垂直な成分を有する側方寸法を有し、第2の形態のサイズを第1の形態に対して減少させるのは、この側方寸法である。
【0033】
次に
図10Aおよび
図10Bを参照すると、孔126を備えていない縫合糸タブ104の形態が示されている。これら縫合糸タブ104は、
図9A~
図9Dの縫合糸タブに類似しているが、孔126を備えていない。
図10Aの縫合糸タブ104は、長方形または正方形の形をなす平坦な頂部132を有する。縫合糸タブ104の頂部132は、第1の側部128と第2の側部130との間に位置する穿通可能な部分138を備えている。この形態では、縫合糸付き針を通すのを練習するための既定ではない孔126が設けられている。これとは異なり、医師は、孔を針で穿通して縫合糸を縫合糸タブ104の頂部132に通す。縫合糸タブ104のシリコーン材料は、針で穿通したときに組織のような感触をもたらす。また、タブ104の頂部132を上方に引き伸ばすことができ、すると、縫合糸タブ104は、本物の組織のように応動して縫合糸付き針を通すことができるのと同様なやり方で延伸する。これら孔なしの縫合糸タブ104は、同じ開口部110内に2つ以上の他の孔なし縫合糸タブ104と並置して配置されても良くまたは孔126を備えた2つ以上の縫合糸タブ104と並置して配置されても良い。一形態では、縫合糸タブ104は、タブ104の一方の側部には棚部136を備えておらず、その結果、この側部は、頂部132から底部134まで面一をなしている。縫合糸タブ104のこの面一の側部は、一つの開口部110内の2つの縫合糸タブ104の並置配置状態では別の縫合糸タブ104の別の面一の側部に当てて配置され、それにより、2つのタブ104相互間には空間が残されておらず、それにより単一の縫合糸タブ104をつかんでこれを引くのが困難になる。別の形態では、縫合糸タブの互いに反対側の両方の側部は、棚部を備えてないのが良く、その結果、棚部は、タブの互いに反対側の4つの側部のうちの2つ上にまたは基部に当接してタブを保持するのに十分にタブの少なくとも一部分に沿って配置されるに過ぎないようになる。
【0034】
次に
図11Aおよび
図11Bを参照すると、2つ以上の相互連結面112を有する基部102を備えたモデル100の別の形態が示されている。特に、
図11Aおよび
図11Bは、ヒンジ114によって相互に連結された3つの開口部具備部分112a,112b,112cを示している。各開口部具備部分112は、開口部110を備え、各開口部具備部分は、練習の困難度を増しまたは解剖学的景観を模倣するよう別の開口部具備部分112に対して所望ならば角度をなして配置できる可動表面部または平面部を構成している。
【0035】
次に
図12を参照すると、2つ以上の相互連結表面部112を有する基部102を備えたモデル100の別の形態が示されている。特に、
図12は、ヒンジ114によって相互に連結された3つの開口部具備部分112a,112b,112cを示している。各開口部具備部分112は、開口部110を備え、各開口部具備部分は、練習の困難度を増しまたは解剖学的景観を模倣するよう別の開口部具備部分112に対して所望ならば角度をなして配置できる可動表面部または平面部を構成している。
図12の形態は、折りたたみ式バージョンを形成するよう各部分112内に相補表面部を有し、その結果、1つの開口部具備部分112が折り重なることができて別の開口部具備部分112と並置関係をなすことができるようになっている。
【0036】
次に
図13A~
図13Cを参照すると、可動開口部具備部分112を備えていない縫合糸通しモデル100の追加の形態が示されている。
図13Aのモデル100は、2つの開口部具備部分112a,112bを有し、これら2つの開口部具備部分は、モデル100の基部102の一部として2つの部分112a,112b相互のなす所定の角度で一体的に相互に連結されている。2つの開口部具備部分112a,112bは、各部分に設けられた複数の開口部110を有する。一形態では、2つの部分112a,112b相互間のなす角度は、90°を超える。基部102は、フック・アンド・ループ型ファスナ(面ファスナ)140または他の取り付け手段を介して外科用訓練器具10の基部18に連結されるのが良く、かかる取り付け手段は部分的に、モデル100の1つまたは2つ以上の配置場所でモデル100に取り付けられ、その結果、モデル100は、訓練器具10の基部18または他の表面部にこれに対して互いに異なる向き/アンギュレーションで取り外し可能に固定できるようになっている。
図13Bおよび
図13Cは、3つの開口部具備部分112a,112b,112cを有するモデル100を示しており、これら開口部具備部分112a,112b,112cは、モデル100の基部104の一部として部分112a,112b,112c相互のなす所定の角度で一体的に相互に連結されている。モデル100は、オプションとしてのファスナ140、例えば面ファスナ140により例えば
図13Bに示されている第1の配向状態で外科用訓練器具10のテーブルトップまたは基部18に連結されるとともに例えば
図13Cに示されている第2の配向状態で上下逆さまに向けられて同一モデル100を用いて縫合糸を通すのを練習するための多数のオプションおよび角度のついた形態を提供することができる。また、モデル100をその側部のうちの1つまたは2つ以上について偏向させることができ、それにより練習のための相対的な固定された角度の別の形態を提供することができる。
【0037】
次に
図14Aおよび
図14Bを参照すると、本発明の縫合糸通しモデル100の別の形態が示されている。モデル100は、複数の開口部110を具備した開口部102を有する。基部102は、互いに対して角度がつけられた1つまたは2つ以上の連結状態の開口部具備部分112を更に有するのが良い。
図14Aおよび
図14Bでは、基部102は、互いに対して角度がつけられた2つの開口部具備部分112a,112bを有する。モデル100は、基部102の周囲に沿って設けられていてスタンド146に形成された穴144中に挿入されるよう寸法決めされるとともに形作られたペグを更に有する。スタンド146は、外科用訓練器具10のテーブルトップまたは他の表面、例えば基部表面18に対して直立しかつ安定した向きで基部102を保持するよう構成されている。基部102は、基部102の別の側に設けられている別の組をなすペグ142をスタンド146に設けられている穴144中に挿入することによって基部102を別の方向に差し向けることができるようスタンド146に対して移動可能である。
図14Aは、基部102をこれがスタンド146から切り離された状態で示し、
図14Bは、基部102をこれがスタンド146に連結された状態で示されている。スタンド146の穴144は、ペグ144を受け入れるとともに基部102を基部に対してその配向状態のうちの任意の配向状態で安定した状態で保持するよう形作られており、その結果、縫合訓練を実施することができるようになっている。
図14Aおよび
図14Bの基部102は、2つまたは3つ以上の縫合平面部112a,112bを備えた一体的に角度がつけられた(山形の)基部102である。別の形態では、基部102は、ヒンジを介して互いに連結された2つ以上の縫合平面部112a,112bを有するのが良い。
【0038】
次に
図15Aおよび
図15Bを参照すると、縫合訓練モデル100の別の形態が示されている。モデル100は、1つまたは2つ以上の開口部具備部分112上に配置された複数の開口部110を備えた基部102を有している。
図15Aおよび
図15Bの形態は、互いに対して角度をなして一体に形成された2つの開口部具備部分112A,112Bを有する。これら開口部具備部分は、2つまたは3つ以上の開口部具備部分112が開口部具備部分112相互間の角度を調節するよう互いに対して動くことができるように形成されていても良い。モデル100は、ホルダ148のペグ142と嵌合するよう形作られた複数の穴144を備えたスタンド146を有する。ホルダ148は、スタンド146にスナップ嵌入して基部102を保持するよう形作られている。ホルダ148は、基部102に形成されている切欠き152が嵌入して基部102をスタンド146に対して直立した向きに保持するよう受け入れ可能な隙間を構成する少なくとも1つの直立した口150を有し、スタンド146は、基部102を外科用訓練器具10の平坦なテーブルトップ表面または他の表面、例えば基部18上に支持するよう構成されている。基部102は、周囲周りに形成された複数の切欠き152を有し、その結果、基部102を多数の向きに配向することができるようになっている。例えば、
図15Aでは、基部102の一方の側部の切欠き152は、基部102を水平の位置に配向させるようホルダ148の口150と係合する。
図15Bでは、基部102の別の側部の切欠き152は、基部102を垂直の位置に配向させるようホルダ148の口150の隙間と嵌合する。多数の配向状態により、単一のモデル100は、縫合糸を種々の角度および種々の配向状態で平面部に通す訓練における諸形態を提供することができる。
【0039】
縫合訓練モデル100は、あらゆる技能レベルのユーザが縫合および縫合糸通し技術を練習することができるようにする融通性のある訓練プラットホームを提供している。モデル100は、ユーザの技能および所望形式の練習に応じて構成されるとともに再構成できる可撓性縫合糸タブ104および調節可能な基部102を採用している。モデル100は、複数の開口部を備えた基部102から成り、縫合糸タブ104は、これら開口部を通って配置され、そしてこれら縫合糸タブを引くことができる。基部102は、可動部品のない単一の物品または多数の調節可能な表面または平面部を備えた物品であるのが良い。縫合糸タブ104は、縫合糸タブ104が開口部110を通って引かれるのを阻止する幅の広いストッパ基部134を有する。基部102の開口部110は、スロット、X字形、六角形、八角形などを含む多種多様な形状であって良い。同様に、縫合糸タブ104は、種々の形状および寸法のものであって良い。さらに、縫合糸タブ104は、縫合糸を通す1つまたは2つ以上の穴またはスロット126を有するのが良い。他のタブは、スロットの穴126も備えていないが、穿通可能な領域を提供し、そしてかかるタブを単独でまたはスロット付きタブと関連して用いることができ、それにより高い難易度およびより本物のような模擬または模倣状態を提供することができる。一練習方式では、ユーザは、スロット付きタブ104を標的にして孔なしのタブ104を避け、別の練習方式では、ユーザは、縫合糸を孔なしタブに通してスロット付きタブ104を避ける。さらに別の練習方式では、ユーザは、タブのうちの1つまたは2つ以上が孔126を有しているにせよそうでないにせよいずれにせよ、縫合糸を両方のタブに通すことができる。この練習では、ユーザは、両方の隣り合うタブを引き、そして注意深く標的を通し、そして縫合糸を通す必要がある。基部102の開口部110の形状は、基部102に対するタブ104の向きを決定する。開口部110の形状、およびかくして縫合糸タブの向きは、基部102の一形態では他の開口部110に対してあらかじめ定められており、したがって、かかる向きを実際の手術で遭遇する縫合糸経路を既定するためにカスタマイズできる。別の形態では、単一の開口部110は、ユーザが所望に応じてまたは種々の困難度のレベル、試験または解剖学的状況および手技を練習するための種々の考えられる経路を設計するマニュアルに応じてタブを配向させることができる縫合糸タブ104のための多方向の配向状態の可能性を有する。縫合糸タブ104がエラストマー材料で作られているので、タブ104を腹腔鏡把持器または切開用器で操作する際、ユーザは、有利には、孔126を、縫合糸を通すことができる必要のあるより開いた位置に引き伸ばすのが良い。孔126は、開放位置では休止状態にはなく、タブ104は、付勢されていない非延伸状態の位置にスプリングバックする傾向があるので、ユーザは、両手を協調して用いて練習を完了させるよう強いられる。片手を用いてタブを孔開放形態に引き伸ばした状態に保つとともに、他方の手を用いて針をタブが開放形態にある間に孔126に通す。モデル100によって提供される縫合糸を通す練習は、ユーザの解釈に任されている。タブ104を配置するために通す多数の開口部110を提供するとともに調節可能な基部102を提供することによって、器具100は、ある技能レベルの範囲のユーザに課題を提供するために使用できる。さらに、この練習は、医師にとって関心のある特定の解剖学的構造を模倣するよう再構成可能である。また、タブおよびこれらのそれぞれのスロットの寸法形状は、練習の難易度を高める。縫合訓練モデル100により、ユーザは、孔126を十分に開いて縫合糸をこの孔126に通すためにタブを操作しなければならない。寸法のこの追加により、難易度および模倣の現実味が増す。種々の形状および寸法ならびにタブを基部102上に配置する形態のタブ104を設けることにより、練習にとって様々な困難度が提供される。あらかじめ形成された穴を備える大きなタブ104は、最も容易である。ユーザは、スロットを穴の中に偏向させて縫合糸を通すために2つの手を用いることを必要とするスロットを有するタブ104までレベルを上げることができる。小さなスロットは、タブ104に入れられた線状の切れ目であるのが良い。孔126が小さければ小さいほど、練習を首尾良く完了させるために必要な精度レベルがそれだけいっそう高くなる。孔126が設けられていないタブ104の追加により、標的解剖学的構造を縫合糸で接近している間、周りの組織を避けるために必要な熟練レベルが更に増す。さらに、孔126のあるなしにかかわらずタブの並置配置状態もまた、練習の困難度レベルを高める。孔126のないタブ104は、ユーザが針をあらかじめ形成された孔126ではなく組織それ自体に通す訓練を行わなければならない高い忠実さのレベルが得られるよう用いられる。
【0040】
次に
図16A~
図16Cを参照すると、別の形態としての縫合訓練モデル200が示されている。モデル200は、スタンド202、基部204、および1つまたは2つ以上のタブ206を有する。スタンド202は、基部204を支持している。基部204は、スタンド202に取り付けられた状態で
図21A~
図21Cに示されているように種々の配向状態で支持されるのが良い。1つまたは2つ以上のタブ206が種々の配向状態で基部204に連結されている。1つまたは2つ以上のタブ206は、縫合糸付きの針が1つまたは2つ以上のタブ206を通ることができるよう形作られている。縫合糸211が
図16Cに数個のタブ206を通っている状態で示されている。縫合訓練モデル200は、外科用訓練器具10の空所12内に容易に配置されたりこれから取り出されたりするよう構成されている。変形例として、モデル200は、縫合糸の通しを練習するために訓練器具10の外部で用いられても良い。スタンド202は、基部204およびタブ206を支持し、そして操作時に本物のようではない仕方で倒しまたは応動することなく、縫合糸付き針の通し中にユーザによって及ぼされる力に耐えるよう構成されている。モデル200は、結び目を作ったり、引いたり押したりする作業を含む縫合中に加えられるかかる力に耐えるのに十分堅固であるよう構成されている。基部204は、スタンド202に対する基部204の向きを変えるためにかつ/または形態目的でスタンド202に容易に連結されたりこれから連結解除されたりする。タブ206は、基部204に取り外し可能に連結され、その結果、使用済みのタブ206を使用後必要ならば新たなタブ206で置き換えることができるようになっている。タブ206は、針および/または他の器具で通された縫合糸211を受け入れるとともに縫合したり結び目を作ったり、不用意なまたは意図的に押したり引いたりしあるいは多くの方向に回転させたりしている間に加えられる力に耐えるよう構成されている。基部204は、複数のタブを受け入れる場所、例えば模擬作業にとって様々な困難度のレベルを提供する縫合糸経路および配向状態について多くのオプションを提供する孔220を有する。
【0041】
次に
図17Aおよび
図17Bを参照すると、本発明のスタンド202が示されている。スタンド202は、平坦な表面、例えば外科用訓練器具10の基部18またはテーブルトップ上に配置可能な平坦な底面を有する。底面は、少なくとも1つの直立クリップ208を含む頂面と相互連結されている。
図17Aおよび
図17Bは、互いに整列した状態で互いに間隔を置いて配置された2つのクリップ208を有するスタンド202を示している。各クリップ208は、基部204の一部分を受け入れる隙間を作るよう互いに間隔を置くとともに互いに向かい合った2つのフィンガ状突出部210を有する。突出部210の向かい合った表面は、基部204を案内するとともに受け入れる特徴部、例えばチャネル212および基部204と連結可能な特徴部、例えばスナップ嵌め、摩擦嵌めまたは他の係合部を有する。これら特徴部は、チャネル212、クリップ、または基部204と相互作用してこの基部との連結を容易にする任意他の構造体には限定されない。一形態では、基部204は、基部204をモデル200に固定するようクリップ208と相互作用する相補形状のクリップアダプタを含む。フィンガ状突出部210のうちの1つまたは2つ以上がクリップ208ごとに提供されるのが良い。一形態では、1つまたは2つ以上のフィンガ状突出部210は、
図18Aおよび
図18Bに示されているように突出部210の外面上または
図19に示されているように突出部210の内面上に設けられた1つまたは2つ以上の補強リブ214を含む。
図18Aおよび
図18Bの補強リブ214は、突出部の外面に実質的に垂直である。補強リブ214はまた、
図19に示されているように外面または内面上に垂直に差し向けられるのが良い。補強リブ214は、突出部210の剛性を高めて操作時に基部204の過剰撓みを阻止するよう構成されている。補強リブ214は、突出部210に連結されまたは取り付けられもしくはこれと一体に形成される。
【0042】
スタンド202は、剛性材料で作られている。一形態では、スタンド202は、フック・アンド・ループ型締結材料により外科用訓練器具10の基部18に確実に取り付けられるよう構成されている。かかる形態では、スタンド202の底面は、外方に向いたフック・アンド・ループ型締結材料の一方の側部を含む。フック・アンド・ループ型締結材料の相補片が外科用訓練器具10の基部18の表面に連結されている。モデル200を使用中に固定するためにモデル200を訓練器具10の表面に取り外し可能に取り付ける他の手段は、本発明の範囲に含まれる。
【0043】
次に
図20~
図22を参照して基部204について説明する。基部204は、剛性材料で作られ、基部は、互いに対して角度をなした2つの動作平面部216,218を有する。互いに角度をなした平面部216,218は、一形態では共通の交差部のところで互いに連結されている。別の形態では、2つの平面部216,218のなす角度は、ほぼ120°である。任意数の動作平面部216,218を設けられることができ、各平面部は、縫合糸の通しを傾斜した平面を横切って練習することができるよう模擬平面部として役立つ。基部204は、頂面および底面を有し、頂面と平面の間に厚さが定められている。複数の孔220が頂面および底面を貫通して基部204に形成されている。これら孔220は、種々の縫合糸経路を提供するよう種々の方向、配向状態、アンギュレーションの状態でタブ206を受け入れるのに適した任意形状を有することができ、これについては以下に詳細に説明する。図示の形態では、孔220は、形状が多角形であり、特にこれら孔は、八角形である。基部204は、スタンド202に設けられたクリップ208と連結可能に構成された複数の互いに合致する表面222を更に有する。一形態では、合致表面222は、スタンド202のクリップ208の対と直接的に係合可能な対をなす延長部である。合致表面222は、クリップ208に設けられているチャネル212内に摺動可能に嵌まり込むクリップおよび/またはリブ中にスナップ嵌入する孔を有するのが良い。基部204の縁に沿って設けられた複数の合致表面222が設けられ、その結果、基部204は、任意の数の配向状態でスタンド202に連結できるようになっている。また、合致表面222が考えられる配向状態の数を更に増大させるよう基部204の頂面または底面からの延長部として設けられるのが良い。スタンド202に対する基部204の種々の配向状態が
図21A~
図21Cに示されている。基部204の3つの配向状態が
図21A~
図21Cに示されている。一形態では、合致表面222の対が基部204上の少なくとも3つの場所に沿って設けられている。基部204の傾斜形態のため、基部204のまっすぐな縁に沿って配置された合致表面222は、
図21Aに示されているようにクリップ208中にスナップ嵌めされる。基部204のコーナー部の形態のため、基部204の傾斜縁に沿って配置されている合致表面222は、
図21Cに示されているようにクリップ208中にスナップ嵌めされる。スタンド202に対する基部204の亀の背状の形態のため、基部204の底面上に配置された合致表面222は、クリップ208中に嵌入される。
【0044】
図22を参照すると、基部204の別の形態が示されている。基部204のこの形態では、ヒンジ224が2つの平面部216,218相互のなす角度が調節可能であるような仕方でこれら平面部を互いに連結するよう2つの平面部216,218相互間に設けられている。2つの平面部216,218のなす角度は、基部204の1つまたは2つ以上の側部上に設けられるとともに2つの平面部216,218と合致表面222との間に配置されているラチェット226により固定されている。合致表面222は、これら合致表面を2つの平面部216,218相互間の角度の変化により適切に調節されるようラチェット226に連結されている。合致表面222は、スタンド202上のクリップ208と結合するよう構成された細長い平べったいタブである。
図22の基部204のヒンジ留め形態により、縫合練習のための種々の平面角度の実現が可能である。
【0045】
次に
図23A~
図27を参照し、タブ206について詳細に説明する。各タブ206は、タブネック232によってタブフェース234に相互連結されたタブ基部230を有する。タブ基部230は、タブ206の長手方向軸線に垂直に取った断面で見て、タブが収納されるべき基部204の孔220の形状またはこの形状の半分に実質的に合致する形状を有する。タブ基部230は、孔220よりも僅かに大きく寸法決めされるとともにタブ基部230を孔220に挿入したりこれから取り出したりすることができるよう構成されている。タブ基部230は、孔220中に挿入されると、孔220の外側にかつ基部204の底面に隣接して位置する。一形態では、タブ206は、本物の組織のコンシステンシーをまねた軟質応従性材料、例えばシリコーンで作られている。シリコーンタブ206は、本物の組織のように容易に変形されて引かれ、それにより縫合を練習するのに適しており、それと同時に孔220中に容易に挿入可能である。タブネック232は、タブ206の長手方向軸線に垂直に取った断面で見て、タブが収納されるべき孔220の形状またはこの形状の半分に実質的に合致する形状を有する。多角形孔220の形状の合致する半分または形状全体内に配置されたベースネック232の多角形断面形状は、円形孔220内の円形タブネック232とは異なり、孔220内での回転が阻止されるであろう。タブネック232は、孔220内に配置されると、基部204の頂面と底面との間で孔220内に実質的に位置する。タブフェース234は、基部204の頂面の上方に位置する。タブフェース234は、少なくとも1つのタブ開口部236を有する。タブ開口部236は、任意形状および寸法のものであって良い。一形態では、タブ開口部236は、ユーザには容易には明らかでないスリットである。しかしながら、タブフェース234をつかんでこれを引くと、
図24Bに示されているように、タブフェース234が細長くなり、それによりタブ開口部236が拡大し、その結果、縫合糸をタブ開口部236に通すことができる。したがって、タブ206は、タブ開口部236が小さな第1のサイズを有する弛緩形態である第1の形態およびタブ開口部236が比較的大きな第2のサイズを有する引き伸ばされまたは細長くなった第2の形態を有する。タブ材料の弾性特性により、このタブを第1の形態から第2の形態に動かすことができる。タブ236が第2の形態から解除されると、タブ236は、その第1の弛緩形態にスプリングバックする。タブ開口部236は、有利には、縫合糸を通す場所として役立ち、この場合、タブ開口部236を外すことは、ユーザの腕前をはかる手段としての役目を果たすことができる。また、タブ開口部236は、縫合糸がタブフェース234の軟質シリコーンを通って裂くのを阻止するのに役立つ。一形態では、タブフェース234は、縫合糸を特にタブフェース234がタブ開口部236を含んでいない形態に保持するのを助けるようメッシュ材料で補強されている。かかる形態では、タブフェース234は、タブフェース234の任意の場所でユーザによって穿通されるよう開かれている。タブ基部230とタブネック232との間の移行部は、タブ206の周りに位置していてタブ206が孔220から近位側に引き出されるのを阻止する棚部238となっている。また、タブネック232とタブフェース234との間の移行部は、タブ206が孔220から遠位側に押し出されるのを阻止するアンダーカット240を形成している。棚部238とアンダーカット240の両方は、ファセット付きタブネック232と一緒にタブ206を基部204にしっかりと、しかしながら取り外し可能に取り付けられるとともに縫合手技と関連した引きおよび牽引に耐えることができる状態に保つのに役立ち、それにより、基部に対するタブ206の回転が阻止される。
【0046】
複数のタブ206が代表的には、基部204全体にわたってランダムに選択された種々の孔220中に挿入されまたは腕前を向上させまたは実際の外科的処置で遭遇する可能性のある特定の縫合糸経路を模倣するために困難度の特定のレベルと関連する場合のある所定の縫合糸経路を作るよう所定の方式および形態で挿入される。したがって、任意の数のタブ206を基部204中に挿入することができる。幾つかの孔220は、所望に応じてタブなしのままであっても良い。ほぼ10個のタブ206が基部204中に挿入され、それにより長時間にわたる練習セッションが得られる。ユーザが所定の縫合糸経路を識別するために色分けタブ206が採用されるのが良く、この場合、赤色のタブ206だけが例えば縫合訓練において穿通されることになる。
【0047】
さらに、
図25~
図27を特に参照すると、タブフェース234は、長手方向軸線に垂直な断面で見て
図25に示されているように多角形、例えば正方形、長方形であり、
図26に示されているように三角形である形状を備えている。任意形状、例えば円形、湾曲した形状、楕円形もまた本発明の範囲に含まれる。タブ206は、つかみ、引き、そして操作するための種々の特徴的形状ならびに種々のタブ開口部236の寸法および形状を提供するよう種々の形状および寸法の状態に設計されている。
図25および
図26のタブ開口部236は、長い軸線および短い軸線を備えた細長いスリットであり、長い軸線は、タブの長手方向軸線に実質的に垂直である。別の形態では、スリットは、細長く、長手方向軸線に対して角度をなしまたは実質的に平行である。タブ開口部236は、例えば、長さ約0.25インチ(6.35mm)、長さ0.125インチ(3.175mm)、長さ0.0625インチ(1.5875mm)、および長さ0.03125インチ(0.79375mm)の長い軸線を有するのが良い。
図27はまた、2つ以上のタブ開口部236を備えたフェース234の形態を示している。特に、スリットの形状をした2つの開口部が並置した状態でかつ実質的に長手方向軸線に垂直な線に沿って配置されている。これら2つの並置状態のスリットは各々、長さが約0.03125インチ(0.79375mm)である。
【0048】
図23A~
図23Dに示されているタブ206の一形態では、タブ基部230およびタブネック232は、基部孔220の寸法形状のほぼ半分である。この形態により、2つのタブ半部206a,206bを
図28~
図33に示されているように同一の基部開口部220内で、並置状態でかつ後ろと後ろを突き合わせた状態で配置することができる。タブ206は、摩擦および幾何学的拘束により基部204への確実な取り付けを容易にする寸法および形状を備えている。タブ206は、タブネック232の形状によって基部204の孔220内で不用意に回転することがないようにされており、この場合、タブネック232の台形および/または多角形のコーナー部は、基部204の開口部220の多角形/八角形孔220のコーナー部から回転して出るのを阻止し、このようになるのは、タブネック232のコーナー部が多角形孔220の対応のコーナー部内に配置されているときである。さらに、孔220の八角形形状およびタブネック232の対応の形状により、基部開口部220を備えたタブ206の4つの回転配向が可能であり、したがって、有利には、種々の練習のための複数の縫合糸経路および接近配向状態が可能であり、すなわち、タブ206を12時および6時の位置に沿って定められた第1の配向状態で挿入することができ、そして9時および3時の位置に沿って定められた第2の配向状態で取り出したり再挿入したりすることができ、そしてほぼ2時および8時の位置に沿って定められた第3の配向状態でおよびほぼ10時および4時の位置に沿って定められた第4の配向状態で再び挿入することができる。
【0049】
引き続き
図28~
図33を参照すると、タブ206が第1のタブ半部206aおよび第2のタブ半部206bから成る形態では、第1のタブ半部206aは、タブ基部230aおよび第1の形状を有するタブネック232aを有し、第2のタブ半部206bは、タブ基部230bおよび第2の形状を有するタブネック232bを有する。第1の形状と第2の形状の両方は、接合面のところで互いに相補し、そして基部孔220の周辺形状全体を構成する。2つのタブ半部206a,206bが単一の孔220中に挿入されるので、技能レベルは、有利には高められ、あるいは、並置状態の互いに異なるタブ206の配置によって練習がより困難になる。例えば、一方のタブ半部206aは、タブ開口部236を備えていないのが良く、それにより隣接のタブ半部206bのタブ開口部236が隠される。別の実施例では、タブ半部206a,206bは、互いに異なる色のものであるのが良く、したがって、訓練命令が同色のタブを貫通して縫合することであれば、ユーザは、正確な色のタブ206をつかむことが必要である。さらに、基部孔220内に並置状態で配置されているタブ半部206a,206bをつかむことは、基部孔220内の単一のタブ206をつかむよりも困難である。また、単一の基部孔220内に並置状態で配置された2つのタブ半部206a,206bは、
図28、
図29および
図30に締めされているのと同一であるタブフェース234a,234bを有するのが良く、この場合、タブフェース234a,234bは、それぞれ、多角形、湾曲した形状、および三角形である。別の形態では、単一の基部孔220内に並置状態で配置された2つのタブ半部206a,206bは、互いに異なるタブフェース234a,234bを有するのが良い。例えば、
図31、
図32および
図33では、それぞれ、タブフェース234aが多角形でありかつタブフェース234bが湾曲しており、タブフェース234aが多角形でありかつタブフェース234bが三角形であり、タブフェース234aが三角形でありかつタブフェース234bが湾曲している。タブフェース234a,234bが同一である場合、2つのタブフェースを互いに識別する技能レベルが高められるとともにたった1つのタブフェース234が単一の基部孔220内に設けられている形態とは対照的にタブフェースのうちの1つをつかむさいの困難度が高められる。タブフェース234aの表面をつかむか234bの表面をつかむかは、
図31C、
図32Bおよび
図33Bで理解できるように形状の異なる隣り合うタブフェースのオーバーラップした部分としては識別できない。当然のことながら、別の形態では、単一のタブ206は、共通のタブ基部230およびタブネック232を共有している状態で互いに異なるタブ開口部236の形態および/またはタブフェース234の形状を有する2つの直立したタブフェース234を備えても良い。
【0050】
ある特定の実施形態を具体的に図示するとともにその例示の実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および細部について種々の変更を行うことができることは、当業者によって理解されよう。